高世仁に突っ込む(2020年5/20日分)(追記あり)

プノンペン陥落から45年、「キリング・フィールド」を観る - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 記事タイトルには「もう、そんな昔なのか」感がありますね。
 ウィキペディア「1975年」によればこの年に起こった事件は「4月17日:ポルポト派によるプノンペン陥落」以外では「2月11日:サッチャーが保守党の党首に就任」「4月30日:サイゴン(現ホーチミン)陥落によりベトナム戦争終結」「7月19日:沖縄国際海洋博覧会開幕」「11月15日:第1回サミット(先進国首脳会議)開催」などがあります。

 政府・与党は、検察庁法改正案の今国会での成立を断念し、継続審議とすることを決めた。
 安倍内閣が急いで強行採決しようとしていたのを、およそ1週間で予定変更させたわけである。
 先日の(ボーガス注:松尾邦弘*1・元検事総長ら)元検察官14人の抗議に続き、きのう18日、熊﨑勝彦氏*2東京地検特捜部長経験者や横田尤孝*3(ともゆき)・元最高裁判事を含む元検察官、計38人が、「検察の独立性・政治的中立性と検察に対する国民の信頼が損なわれかねない」として、政府に再考を求める連名の意見書を森雅子法相あてに提出した。
 こうしたいわば身内からの抗議やツイッターデモなども効いたのだろうし、また内閣支持率が大きく下がっていることも大きい。
 朝日新聞社が16、17両日に実施した世論調査によると、安倍内閣の支持率は33%で、4月調査の41%から下落した。「激減」と言ってもいいほどの下がりようだ。
 不支持率は47%で、4月調査の41%から上昇した。
 2012年12月発足の第2次政権以降で、内閣支持率が最低だったのは森友・加計問題への批判が高まった18年3月と4月調査の31%で、今回の33%はそれに次いで低い。
 同調査では、検察庁法改正案について、「賛成」は15%にとどまり、「反対」が64%だった。新型コロナウイルスの感染拡大の防止に向け、安倍首相が指導力を「発揮している」と答えた人は30%(4月調査は33%)で、「発揮していない」の57%(同57%)の方が多かった。やることなすこと、国民にそっぽを向かれている。
 去年の英語民間試験導入やコロナ禍での給付金問題など、安倍内閣が予定の変更を余儀なくされるケースが続く。
 検察庁法改正は、次の国会で通すと言っているので引き続き要注意だが、声を大きく上げれば政治を動かせるという学習効果に今後期待したい。

 高世仁に突っ込む(2020年5/18日分)(追記あり)(注:アガサ・クリスティ『検察側の証人』、松本清張『一年半待て』のネタばらしがあります) - bogus-simotukareのブログで紹介したロッキード世代からの「検察庁法改正案」批判 - 高世仁の「諸悪莫作」日記の続きです。
 引用が長くなりましたが、概ね高世に同感ですね。「支持率が下がるような不人気な行為は、いくら多数議席を有していてもそうそう出来ない」わけです。そう言う意味では「諦めずに批判すること」は重要です。「英語民間試験導入白紙撤回やコロナ禍での給付金問題(全員に10万円支給)」「検察庁法改定*4阻止」、全て「批判してもどうせ無駄だ」と諦めていたらこうした成果は生まれなかった。
 特に検察庁法改定問題では
1)法律のプロである「弁護士会や検察OBの批判」
2)「小泉今日子ら著名芸能人の批判」は安倍にとって痛かったでしょう。
 ただ

 2012年12月発足の第2次政権以降で、内閣支持率が最低だったのは森友・加計問題への批判が高まった18年3月と4月調査の31%で、今回の33%はそれに次いで低い。

ですからねえ。安倍は「モリカケと同じでいずれアホな国民はなんとかなる」と思ってるでしょうし、日本人は本当にバカなのでその危険性は否定できません。
 少なくともテレビ局はTBSなど一部を除いてこの問題を必ずしもきちんと報じてませんからねえ。典型的には日テレとフジですが。
 また

安倍内閣の支持率は33%で、4月調査の41%から下落した。「激減」と言ってもいいほどの下がりようだ。

というのも小生からすれば「まだまだ高い」「もっと落ちてもいい」ですね。安倍も「継続審議にして次の国会で可決するつもり」なのでそれを許さない闘いは続きます。一番いいのは「次の国会までに安倍を下野させること」ですね。正直、「検察庁法改定案」に限らず「モリカケ疑惑」「桜を見る会疑惑」「布マスク疑惑」など安倍はろくでもないことしかしませんので。この期に及んで安倍を支持する連中、特に「いつまで経っても拉致被害者が帰国しないのに安倍を持ち上げる家族会」には心底呆れます。
 いや「是とは思いませんが」、
1)安倍のために利益を得ているので支持する
2)安倍によって利益を得ていないが「二階幹事長(二階派ボス)」「岸田政調会長(岸田派ボス)」「麻生副総理・財務相麻生派ボス)」「二階派、岸田派、麻生派所属議員(親分が安倍支持である以上、子分も勿論建前では安倍支持です)」など「安倍を支持する連中」によって利益(例:地元への利益誘導)を得ている(二階選挙区の二階支持者、あるいは二階派所属議員Aの選挙区でのA支持者など)ので、二階らが安倍を支持し続ける限り支持する(おそらく安倍支持層のかなりの部分はこれでしょう。二階や岸田、麻生が安倍支持を辞めれば『安倍支持やーめた』ではないか)
つうのは分かります。家族会の態度はさっぱりわかりませんね。

 NHKBSで映画「キリングフィールド*5」(1984年)を観た。
 私は土地勘があるので、リアリティがいま一つという場面がいくつかある

 うろ覚えですが、これは本多勝一*6もそんなことを書いていた記憶があります。
 ああ、それと本多氏が「英語『キリングフィールド』をそのまんまタイトルにするな。せめて『殺戮の大地』など直訳調でいいから翻訳してくれ」と書いてた記憶があります。
 オリバー・ストーン*7の「プラトーン(直訳すると『小隊(軍隊の単位の一つ)』)」にも「そんなんほとんどの日本人には意味が分からんがな」と本多氏が突っ込んでいた記憶があります。
 まあ、「映画タイトルの翻訳は時として難しい」「変な翻訳をされるぐらいなら題名そのまんまでいいよ」つう気も一方ではしますが。
 「話が完全に脱線しますが」、以前、題名と内容がそぐわないじゃないか - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)のコメント欄で、小生は

◆やっぱ「未来を花束にして」の政治運動はテロですよねえ(非難ではありません) (bogus-simotukare)
https://togetter.com/li/1024313
(様々なツイートでの邦題批判)
・サフラジェット公開決まったけどなんだそのタイトル
・日本に新語の普及で「SUFFRAGETTE(サフラジェット)」の方がいいわ。
・元々"Suffragette(サフラジェット)"という言葉は、今回主人公が影響を受ける、大女優メリル・ストリープ*8演じる実在の活動家、パンクハーストなどにつけられた言葉だけど、その手段が放火なども伴う暴力的なものだったとして恐れられていた、という人物なんだけど、花束にされちゃうのか…
・「サフラジェット」の邦題は久々に無視できないぐらいひどいなあ。だいたい「未来を花束にして」って意味不明だし。
https://www.iwanami.co.jp/book/b452042.html
ブレイディみかこ*9『女たちのテロル』(2019年、岩波書店
・武闘派サフラジェット,エミリー・デイヴィソン
・(ボーガス注:アイルランド独立を求めた)イースター蜂起のスナイパー,マーガレット・スキニダー
(引用終わり)
 サフラジェットてのはこの記事の「未来を花束にして」批評で「それ完全なテロじゃん」とid:Bill McCrearyさんが書いてる「映画に出てくる政治活動団体」です。
 なお、ウィキペディア「未来を花束にして」などによれば映画の原題は「Suffragette(サフラジェット)」です。これは下手にひねるより最近よくある『英語題名そのまんま(ユージュアルサスペクツ、ミリオンダラーベイビーとか)』の『サフラジェット』でよかったんじゃないですかね。
 やはりブレイディ氏やid:Bill_McCrearyさんなどが批判するように「未来を花束にして」じゃダメでしょう。
 そしてブレイディ氏がいうように「イースター蜂起のスナイパー,マーガレット・スキニダー」同様に「テロ、武闘派=サフラジェット」ですよねえ(それが悪いとかいいとかいう評価はしていません)。

とコメントしていますし。この場合は「サフラジェット」の方が「まだまし」かと思います。
 さて今回改めて調べて気づきましたが、サフラジェット 命を懸けた女性参政権獲得への闘い SUFFRAGETTES|岩波映像|平和・人権|販売作品ということで、「サフラジェット」をネタにしたDVD(注:『未来を花束にして』とは直接の関係はありません、BBC制作の海外ドキュメンタリーのようです)が出ていますが

サフラジェット 命を懸けた女性参政権獲得への闘い SUFFRAGETTES|岩波映像|平和・人権|販売作品
 今から100年前の1918年。イギリスで、一定の条件を満たす30歳以上の女性たちに初めて参政権が与えられた。この法制化以前の約15年間、"サフラジェット"と呼ばれる好戦的な女性運動家たちが過激な闘いや抵抗を続けていた。
 彼女たちは女性参政権を獲得するために、暴動、過激なプロパガンダ行為、ハンガーストライキ放火、爆破などを繰り返し、暴徒化し闘い続けた。彼女たちを駆り立てたものは何だったのか?この行動の成果は?
 彼女たちのスリリングな足跡を歴史家のルーシー・ワースリー*10が再現ドラマを軸に当時の映像、写真を交えながら解説していく。
◆監修のことば
 日本語字幕版監修:法政大学法学部政治学科教授 衛藤幹子*11
 19世紀後半から20世紀初頭に起こった女性参政権運動は、上流階級から労働者まで、イギリスのあらゆる階層の女性を巻き込みながら、女性にも政治的権利があることを強く社会に知らしめました。ここに華々しく登場し、運動の前衛となり、権利獲得への道を切り開いたのが"サフラジェット"でした。運動は海を越えて日本を含む多くの国に広がりました。彼女たちを語ることなく、女性参政権を論じることはできません。暴力的なやり方は決して容認できませんが、"サフラジェット"が世界の女性の地位向上に貢献したことは確かといえるでしょう。
1)サフラジェット誕生
 舞台は19世紀後半のイギリス。約40年間の女性参政権運動は実らず、1903年に好戦的な女性団体"女性政治社会連合(WSPU)"が立ち上がる。彼女たちは"サフラジェット"と呼ばれた。集まったのはパンクハースト家を中心とした普通の女性たち。しかし後に国家の安全を脅かす存在になる。計算されたプロパガンダで世間を煽り、議会の外で抗議中に警官に危害を加え始める。逮捕者は収監中、不当な待遇に抵抗しハンガーストライキを行い物議を醸した。"女性も法的に人権を認められたい"、この強い思いは加速し膨れ上がっていく。

2)暴走する女性たち
 政府と"サフラジェット"の間に歩み寄りがみられ一時体戦したが、またも議案が見送られ彼女たちは激怒し、暴徒化が一気に加速する。デモ、放火、爆破行為をロンドンの至るところで行い、巨大なテロ組織となる。議会で取り上げられないまま、第一次世界大戦に突入。彼女たちも戦争を支持し多くの女性が労働力となり、社会への貢献度は否定できない*12ものとなった。そして1918年、一定の条件を満たす30歳以上の女性に参政権が与えられる。彼女たちの破壊活動は決して肯定できるものではないが、当時の男性優位の社会に一石を投じた。

だそうです。まあ、こっちの方が明らかに「未来を花束にして」より適切でしょう(赤字強調は小生による)。はっきりと「暴徒」「テロ」と書いている点は俺的に大変好感が持てます。
 また

テロリストと呼ばれた女性たち - サフラジェットが戦い、遺したもの - イギリス女性参政権運動の歴史 - 英国ニュース、求人、イベント、コラム、レストラン、ロンドン・イギリス情報誌 - 英国ニュースダイジェスト
◆なぜ石を投げることになったのか?:WSPUが戦闘的な行動を取るに至った理由
 1860年代には、既に様々な女性参政権運動が各地で行われ、集会の開催やチラシの配布、国会への嘆願書提出が行われていた。にもかかわらず女性参政権に関する法案は常に否決され、一般国民や政府にとって彼女らの運動は見慣れた行事のようなものでしかなかった。だが1905年に風向きが変わる。
 WSPUのメンバー2人が、マンチェスターで開催された自由党の集会に出向き「政権を取ったら、女性に選挙権を与えるのか」などと大声で叫び妨害。取り押さえた警官に唾をはきかけるなどして逮捕・投獄された。各新聞はこの「女性らしからぬ」事件を大きく報道。地方の一団体でしかなかったWSPUと、進展の見込みのなかった女性参政権運動は一躍脚光を浴びた。選挙権がない女性が政治に対して意見を言う方法は、もはや直接行動のほかにないとWSPUは考えた。こうして彼女たちは次々に過激な運動を展開するようになる。
◆サフラジェットによる直接行動の数々
◆投石
 1908年6月のデモ行進時、警官たちの暴力に怒ったメンバーが首相官邸の窓を破る。メアリー・リーとエディス・ニューはこれにより2カ月間、ホロウェイ刑務所に服役。その後も政府機関への投石が続くが、1911年以降は「デーリー・メール」紙などの新聞社やウェスト・エンドのショーウインドーも標的に。バーバリーやリバティーなどの英系ショップが狙われた。
(中略)
◆爆弾
 1911年12月、郵便ポストの中に自家製爆弾が放り込まれる。翌年11月にはロンドン中心部やいくつかの地方都市のポストに、インクやタールなどの黒い液体や酸などが注ぎ込まれ、何千通もの手紙がダメージを受けた。これまでWSPUは一般市民を対象にしなかったが、これをきっかけに市民を巻き込む方針に転換。次第に運動は激しさを増していく。
◆放火
 1912年7月、イングランド南東部オックスフォードシャーにあるハーコート植民地相の別宅と、アスキス*13首相が観劇中だったアイルランドのダブリンにある劇場シアター・ロイヤルが狙われた。別宅への放火は未然に防がれたが、犯人には9カ月の禁固刑が言い渡される。劇場では2人のメンバーがカーテンに火をつけ、燃えた椅子をオーケストラに向かって投げ込むなどして禁固5年の判決が下った。
◆自殺行為
 1913年6月4日、戦闘的なサフラジェットの中でも特に過激派と言われたエミリー・ワイルディング・デービソンは、国王の馬が出場するというエプソム・ダービーへ出掛け、レースの最中にコースへ飛び出し、馬に蹴られて頭蓋骨を骨折。数日後に死去した。デービソンが死を意図していたかは不明だが、公衆の前でショッキングな行動をとることで、運動に光が当たることを望んでいたとされる。
◆器物破損
 1914年5月、ロンドンのナショナル・ギャラリーに展示されていたスペインの画家ベラスケスの「鏡のビーナス」を含む5点と、ロイヤル・アカデミーに展示された作品1点が刃物で切り裂かれるなどの被害を受ける。さらに大英博物館では展示されていたミイラを覆っているガラスが破壊された。これにより、各地の美術館・博物館では女性の入場に条件を付けるところも出た。
◆WSPUは過激な行為しかしなかった?:巧みなマーケティング戦略を展開
 WSPUが有名になったのは、過激な示威運動のせいばかりではない。全国的な運動を展開するには資金が必要だったため、英国中の都市にWSPUグッズを販売する店をオープン。「Votes for Women」(女性に選挙権を)というブランド名で、紅茶、チョコレート、マーマレード、マグカップなどを販売した。

なんて記事も見つかりました(なお、テロリストと呼ばれた女性たち - サフラジェットが戦い、遺したもの - イギリス女性参政権運動の歴史 - 英国ニュース、求人、イベント、コラム、レストラン、ロンドン・イギリス情報誌 - 英国ニュースダイジェストでは穏健な女性参政権運動もあったことについても触れられていますが紹介は省略します)。まあ「デービソンが死を意図していたかは不明だが、公衆の前でショッキングな行動をとることで、運動に光が当たることを望んでいたとされる」で俺が連想したのが「チベット焼身自殺」ですね。
 デービソンの「競馬場での自殺(?)」とチベットの「焼身自殺」と大して変わらない。どっちも「話題造りの訳」です。
 しかし、そういうと阿部治平やI濱Y子、id:Mukkeid:noharraは「チベットを馬鹿にするな」とか言うんですかね。話が脱線しましたが、高世の記事に話を戻します。

 その論争を収めた『虐殺と報道』(すずさわ書店、1980年)に、カンボジアを取材したカメラマン石川文洋*14は「同胞を百万人以上も殺してしまうという、きわめて悪質な大虐殺がポル・ポト政権下のカンボジアで起こったことは事実であると信じています」としてこう書いている。

 『虐殺と報道』は「本多勝一編著」なのですが編者・本多氏の名前を出さないのは、高世が本多氏に何か含むところがあるからなのか?
【追記】
 後で、高世のブログを検索したら

金大中氏の葬儀によせて - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会の会長、三浦小太郎さんが会のサイトに載せていた文章を紹介しよう。
《各紙は、民主化運動の闘士としての金大中氏を評価する声と、また大統領就任後、北朝鮮独裁政権に対し融和的だった外交政策を、民主主義や人権思想とはかけ離れたものだったと批判する声の双方が見られます。私は後者の立場ですが、それ以上に今再検討すべきなのは、ここ日本における金大中氏を、また韓国民主化運動を支持した歴史の再検討ではないでしょうか。
 失礼ながら具体的な名前を挙げさせていただければ、故小田実*15、和田春樹氏*16本多勝一氏、大江健三郎*17、故宇都宮徳馬*18鶴見俊輔*19、故安江良介*20(雑誌「世界」編集長)、私の記憶が正しければ、彼らは皆金大中氏や韓国民主化運動の支持者であったと思います。この人たちも北朝鮮の体制をよいとは思っていないでしょう。しかし、北朝鮮人権改善運動に対し、当時も今も韓国民主化運動同様熱心かといえば、とてもそうとは思えません。》

だそうです。なるほど、本多氏(見て分かるように金大中氏、和田春樹氏なども悪口されていますが)については「反北朝鮮ウヨ」高世的には「北朝鮮打倒論の立場」でないことが気にくわないようです。とはいえコメ欄で指摘があるようにそんなことで編著者名をネグるとは全く高世もくだらない男です。
【追記終わり】

 4月30日はサイゴン*21陥落45周年だった。私の大学在学中の1975年、ベトナムラオスカンボジア三国で「解放側」が勝利したのだった。
 私はこれに大いに感動して、ベトナム研究にのめり込み、大学院に進むことになったのだから、人生の分岐点の一つだったわけだ。単純なやつだなと笑われるだろうが。
 その後、アカデミズムではなくテレビ屋になってカンボジアを取材することになる

 まあ要するに「学者としての才能がなかった」のでしょうね。救う会に媚びるような高世は「アカデミズムの世界」に行かなくて「世のため人のために良かった」と思いますが。

 ポルポト政権下のカンボジアは、普通の独裁ではなく、ナチズムやスターリニズムのような「全体主義」だったのだろう。

 「はあ?」ですね。
 高世的にはこの一文、「高世にとっては普通の文章」なのでしょうが、読んでるこっちは「はあ?」です。
 世間的には「全体主義=独裁」であり「右の全体主義(右の独裁)=ファシズム」ですね。
 そしてそうした理解から「戦前の日本は『天皇ファシズム』という全体主義だった」「検察庁法改定案など、安倍政治は全体主義ファシズム)」などという用法は普通に使われる。
 「全体主義」でググれば

仲正昌樹*22『日本とドイツ・二つの全体主義』 (2006年、光文社新書)

という「戦前日本を全体主義と呼ぶ本」もヒットする。
 「安倍、全体主義」「自民、全体主義」でググれば
前川喜平・激白150分! 「安倍政治」の全体主義がニッポンを壊している! | 毎日新聞出版
日本で進行する「静かな全体主義」への危惧 - 宇野重規|論座 - 朝日新聞社の言論サイト
と言う記事もヒットする。
 あるいはマッカーシズム全体主義と呼ばれることもある。
 しかし、おそらく高世にとっては「戦前の日本や安倍、マッカーシズム=普通の独裁」であって「全体主義」ではないのでしょう。
 しかし、その場合の「普通の独裁と全体主義を区別する物は何か」ということであり、「区別する必要があるのか」ということでもある。
 いずれにせよそうした全体主義の用法は日本では一般的ではないので、そんな用法をいきなりされても意味が分かりません。

 クメールルージュを中国が全面支援したことが、その後の二つの戦争(ベトナムカンボジア侵攻と中国のベトナム侵攻)を招くことになる。
 だから、中国はカンボジアの虐殺と二つの戦争の犠牲に対して責任がある。
 私の中国に対する警戒意識の原点でもある。

 おいおいですね。今や中国は「文革期とは全然違う」のにそんなことを堂々と言われても「はあ?」ですね。
 ちなみに高世風に書けば

田中均氏を家族会、巣くう会が個人攻撃したことが、彼の「望まない退官」を招くことになる

 彼の退官は明らかに『筑紫哲也氏の朝日退社(TBS『ニュース23』キャスター就任)』『吉田照美氏の文化放送退社(フリーアナウンサー化)』、あるいは『外務省を途中退官し大学教授になった浅井基文*23』などのような「新天地を求めての退官」ではないでしょう。結果的には彼は退官後、外交評論家という新天地を開拓し、『日本外交の挑戦』(2015年、角川新書)、『見えない戦争』(2019年、中公新書ラクレ)という著書も出しましたが、それは結果論にすぎない。彼は「可能ならば事務次官になりたかった」でしょう。彼の在職した「アジア大洋州局長」というポストについた人間では

薮中三十二 - Wikipedia
佐々江賢一郎 - Wikipedia
齋木昭隆 - Wikipedia
杉山晋輔 - Wikipedia

事務次官になっています(田中氏退官後の事務次官就任、つまり田中氏の後輩なので彼としても悔しい限りでしょう)。
 「アジア大洋州局長」の前身である「アジア局長」まで含めれば

大野勝巳 - Wikipedia
須之部量三 - Wikipedia
高島益郎 - Wikipedia
川島裕 - Wikipedia

事務次官になっている。
 つまり「日本にとって重要な国である中国、韓国(以上、アジア)やオーストラリア(大洋州)を担当する」アジア大洋州局長はかなりの重要ポストで「アジア大洋州局長経験者全て」が事務次官になってるわけではないですが、なった人間がかなりいる。
 また、彼の『小泉訪朝、拉致被害者帰国』という業績は充分「事務次官就任」に値するものでしょう。巣くう会、家族会の個人攻撃がなければ彼は順調に出世し事務次官になっていたのではないか。事務次官になれる可能性があるのに退官する官僚は普通居ません。
◆だから家族会、巣くう会は田中氏の退官について責任がある。
◆田中氏退官は私、ボーガスの家族会、巣くう会に対する批判意識の原点である。
◆そして家族会、巣くう会を持ち上げることしかしない高世仁への批判意識の原点でもある

ですね。俺は家族会が「田中均氏」「蓮池透氏(家族会を不当除名)」にした非礼、無礼を公式にわびない限り、彼らを何一つ信用も、評価も、同情も、共感もしません。
 高世は

「高世さんさ、あんたは、田中氏退官を招いた巣くう会、家族会の、彼への個人攻撃をどう思ってるのよ?。問題ないと思ってるの?」
「それとも問題あると思いながら巣くう会と家族会(特に横田奥さん)に媚びへつらってるの?。あんたが田中氏への個人攻撃をどう思ってるのか、言ってみなさいよ」
「田中氏への個人攻撃は問題ないと言っても、問題があると言っても、都合が悪いから黙りですか?。よくそんな奴がジャーナリストを名乗れますねえ。恥ずかしくないの?」

と面と向かって言われたら、たぶん「非常に不愉快な顔をするが、言い返せなくて黙り」つう醜態をみせるんでしょうねえ。
 それとも、「巣くう会、家族会の田中批判は不当な個人攻撃じゃない」「田中氏の退官は巣くう会や家族会の田中批判と関係ない」「俺は巣くう会や家族会に関係ない(id:Mukkeid:noharraの『ペマ・ギャルポや三浦小太郎を批判しない』言い訳がこれ(俺はペマや三浦と関係ない)です)」とかむきになって無茶苦茶な反論(?)をするのか。
 まあ俺の「邪推と偏見」ですが高世が巣くう会や家族会に媚びへつらったことで高世にあきれ果てて、付き合いを辞めた人間も結構いるんじゃないですかね。
 面と向かって高世を批判しないまでも。

*1:東京地検次席検事、法務省刑事局長、法務事務次官、東京高検検事長検事総長などを歴任(他の省庁と違い法務省の最高ポストは次官ではなく事実上検事総長です)(ウィキペディア松尾邦弘」参照)

*2:東京地検特別捜査部長、富山地検検事正、前橋地検検事正、最高検公判部長、最高検公安部長などを歴任。退官後、日本プロ野球コミッショナーを務めた(ウィキペディア「熊﨑勝彦」参照)

*3:奈良地検検事正、法務省保護局長、矯正局長、広島高検検事長次長検事最高裁判事などを歴任。(ウィキペディア「横田尤孝」参照)

*4:「正しいと思ってない」ので改正ではなく「改定」と書きます。

*5:ニューヨーク・タイムズ記者としてカンボジア内戦を取材し、後にピューリッツァー賞を受賞したシドニー・シャンバーグの体験を映画化したもの。1984年のアカデミー賞において、助演男優賞編集賞・撮影賞の3部門受賞。カンボジア人助手のディス・プランを演じたハイン・S・ニョールはカンボジア人医師で、実際に4年の間、クメール・ルージュの元で強制労働に就かされた経験を持つ。演技経験のまったくない素人であったが、この作品でアカデミー助演男優賞を受賞(ウィキペディア『キリング・フィールド』参照)。

*6:1932年生まれ。著書『検証・カンボジア大虐殺』(1989年、朝日文庫)など

*7:1986年公開の『プラトーン』、1989年公開の『7月4日に生まれて』でアカデミー監督賞を受賞

*8:1979年公開の『クレイマー、クレイマー』でアカデミー助演女優賞を、1982年公開の『ソフィーの選択』、2011年公開の『マーガレット・サッチャー:鉄の女の涙』で、アカデミー主演女優賞を受賞

*9:著書『労働者階級の反乱:地べたから見た英国EU離脱』(2017年、光文社新書)など

*10:著書『暮らしのイギリス史:王侯から庶民まで』(2013年、NTT出版)、『イギリス風殺人事件の愉しみ方』(2015年、NTT出版

*11:著書『医療の政策過程と受益者:難病対策にみる患者組織の政策参加』(1993年、信山社出版)、『政治学の批判的構想』(2017年、法政大学出版局

*12:女性の戦争貢献が参政権を後押ししたという点を指摘しており、このDVDが単純なきれい事ではないらしい点に好感が持てます。

*13:内務相、蔵相などを経て首相

*14:1938年生まれ。著書『ベトナム戦争と私:カメラマンの記録した戦場』(2020年、朝日選書)など

*15:1932~2007年。作家。著書『「難死」の思想』(岩波現代文庫)、『「殺すな」と「共生」:大震災とともに考える』(岩波ジュニア新書)、『義務としての旅』、『「民」の論理,「軍」の論理』、『「ベトナム以後」を歩く』、『世直しの倫理と論理(上)(下)』、『歴史の転換のなかで』、『われ=われの哲学』(岩波新書)、『中流の復興』(NHK生活人新書)、『「問題」としての人生』(講談社現代新書)、『オモニ太平記』(講談社文芸文庫)、『何でも見てやろう』、『日本の知識人』(講談社文庫)、『世界が語りかける』(集英社文庫)、『私と天皇・人びとのなかの天皇』(ちくま文庫)、『地図をつくる旅』(文春文庫)など

*16:1938年生まれ。東京大学名誉教授。著書『歴史としての社会主義』(1992年、岩波新書)、『金日成満州抗日戦争』(1992年、平凡社)、『歴史としての野坂参三』(1996年、平凡社)、『北朝鮮:遊撃隊国家の現在』(1998年、岩波書店)、『朝鮮戦争全史』(2002年、岩波書店)、『テロルと改革:アレクサンドル二世暗殺前後』(2005年、山川出版社)、『ある戦後精神の形成:1938〜1965』(2006年、岩波書店)、『日露戦争 起源と開戦(上)(下)』(2010年、岩波書店)、『これだけは知っておきたい日本と朝鮮の一〇〇年史』(2010年、平凡社新書)、『北朝鮮現代史』(2012年、岩波新書)、『領土問題をどう解決するか』(2012年、平凡社新書)、『「平和国家」の誕生:戦後日本の原点と変容』(2015年、岩波書店)、『慰安婦問題の解決のために』(2015年、平凡社新書)、『アジア女性基金慰安婦問題:回想と検証』(2016年、明石書店)、『米朝戦争をふせぐ:平和国家日本の責任』(2017年、 青灯社)、『レーニン:二十世紀共産主義運動の父』(2017年、山川出版社世界史リブレット人)、『ロシア革命』、『スターリン批判・1953〜56年:一人の独裁者の死が、いかに20世紀世界を揺り動かしたか』(以上、2018年、作品社)、『韓国併合110年後の真実:条約による併合という欺瞞』(2019年、岩波ブックレット)など

*17:1935年生まれ。1958年、短編小説「飼育」により当時最年少の23歳で芥川賞を受賞。1994年ノーベル文学賞受賞。著書『新年の挨拶』(岩波現代文庫) 、『あいまいな日本の私』、『新しい文学のために』、『沖縄ノート』、『日本の「私」からの手紙』、『ヒロシマ・ノート』(以上、岩波新書)、『新しい人よ眼ざめよ』、『壊れものとしての人間』、『鯨の死滅する日』、『叫び声』、『静かな生活』、『持続する志』、『懐かしい年への手紙』、『僕が本当に若かった頃』、『万延元年のフットボール』、『みずから我が涙をぬぐいたまう日』(以上、講談社文芸文庫)、『言い難き嘆きもて』、『憂い顔の童子』、『M/Tと森のフシギの物語』、『河馬に噛まれる』、『キルプの軍団』、『鎖国してはならない』、『さようなら、私の本よ!』、『水死』、『治療塔惑星』、『取り替え子』、『晩年様式集』(以上、講談社文庫)、『「話して考える」と「書いて考える」』(集英社文庫)、『核時代の想像力』(新潮選書)、『「雨の木」を聴く女たち』、『美しいアナベル・リイ』、『遅れてきた青年』、『個人的な体験』、『死者の奢り・飼育』、『小説のたくらみ、知の楽しみ』、『人生の親戚』、『空の怪物アグイー』、『同時代ゲーム』、『日常生活の冒険』、『ピンチランナー調書』、『見るまえに跳べ』、『芽むしり仔撃ち』、『私という小説家の作り方』、『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』、『われらの時代』(以上、新潮文庫)など

*18:1906~2000年。衆議院議員参議院議員日中友好協会名誉会長、日本北アフリカ協会会長などを務めた。ミノファーゲン製薬創業者。著書『暴兵損民:なぜ軍拡に狂奔するのか』(1984年、徳間書店)、『軍拡無用』(1988年、すずさわ書店)など

*19:1922~2015年。著書『教育再定義への試み』、『戦時期日本の精神史:1931‐1945年』、『戦後日本の大衆文化史:1945‐1980年』、『竹内好』(以上、岩波現代文庫)、『アメリカ哲学』(講談社学術文庫)、『埴谷雄高』(講談社文芸文庫)、『限界芸術論』、『文章心得帖』(以上、ちくま学芸文庫)など

*20:1935~1998年。月刊「世界」編集長、岩波書店社長など歴任。著書『孤立する日本』(1988年、影書房)、『同時代を見る眼』(1998年、岩波書店)など

*21:現在はホーチミン市

*22:金沢大学教授。著書『今こそアーレントを読み直す』(2009年、講談社現代新書)、『今こそルソーを読み直す』(2010年、NHK生活人新書)、『マックス・ウェーバーを読む』(2014年、講談社現代新書)、『ハイデガー哲学入門:「存在と時間」を読む』(2015年、講談社現代新書)、『教養としてのゲーテ入門:「ウェルテルの悩み」から「ファウスト」まで』(2017年、新潮選書)など

*23:「外務省に居ても自分のやりたいことは出来ない」と思っての退官でしょうが別に彼の場合、田中氏のように「追放されたわけではない」でしょう。

今日の産経ニュースほか(コロナ問題:2020年5月19日分)

新型コロナ:レナウン破綻、従業員が告白「原因はコロナじゃない」 :日本経済新聞
上場企業で初“コロナ倒産”レナウン破綻の本当の理由 | けいざい多面鏡 | 今沢真 | 毎日新聞「経済プレミア」
 イヤイヤ直接の倒産原因はコロナでしょう。もちろん「コロナ以前から経営がやばかった」「コロナがなくても倒産したかもしれない」とはいえるでしょうが。


「うどんすき」の東京美々卯が全店閉店へ コロナ影響、関西は継続 - 産経ニュース

「美々卯」 労働組合が退職撤回求め 救済申し立て コロナ影響 | NHKニュース
 鍋料理の「うどんすき」で知られる日本料理店「美々卯」の首都圏の運営会社が、新型コロナウイルスの影響で全店舗を閉店したのに伴い従業員を解雇したのは不当だとして、労働組合が撤回などを求めて労働委員会に救済を申し立てました。
 救済を申し立てたのは首都圏の「美々卯」で働いていた9人が加盟する労働組合です。
 組合は、解雇を強行するのは不当だなどとして、東京都労働委員会に対して解雇通知や退職合意書の撤回、それに事業の継続などを求めています。

 また外食分野での企業倒産のようです。
 「コロナ、倒産」「コロナ、破産」などでググると最近のニュースだと

「五稜郭ガーデン」破産申請へ|NHK 北海道のニュース
 函館市中心部の飲食店複合施設「五稜郭ガーデン」の運営会社が新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少し、近く破産申請を行う見通しであることが分かりました。道南で新型コロナウイルスの影響で企業が倒産するのは2例目です。
 破産申請を行うのは函館市本町の飲食店複合施設「五稜郭ガーデン」を運営する「まちづくり五稜郭」です。

新型コロナ:大分・日田の旅館が破産申請、新型コロナで :日本経済新聞
 旅館運営のリバーサイドホテル山水大分県日田市)は15日に大分地裁日田支部へ破産を申請した。負債総額は8億円超。

新型コロナ:路線バスの丸建自動車、民事再生法申請 :日本経済新聞
 埼玉県内で路線バスなどを運営する丸建自動車(埼玉県上尾市)は19日までに、さいたま地裁民事再生法の適用を申請し、監督命令を受けた。東京商工リサーチなどによると、負債総額は約5億円で、新型コロナによるバス会社の経営破綻は全国で初めて。

なんて記事がヒットします。事態は実に深刻です。
 こういう状況下で「検察庁法改定」などにうつつを抜かしてた安倍は「呆れたバカ」というべきでしょう。
 「安倍がモリカケによってとっくの昔に下野してればコロナ問題は今よりもっとマシだったんじゃないか」と思わずには居られません。

今日の朝鮮・韓国ニュース(2020年5月19日分)

◆朝鮮新報〈本の紹介〉檀一雄著「夕日と拳銃」を読む/卞宰洙

〈本の紹介〉檀一雄著「夕日と拳銃」を読む/卞宰洙
 檀一雄は、東京大学経済学部を卒業後、詩人で小説家の佐藤春夫に師事。小説家の太宰治坂口安吾らと親交を結び、51年に「真説石川五右衛門」などで直木賞を受賞して、作家としての地歩を占め、その作家的資質は、日本浪漫派精神の嫡流とうたわれた。
 参考までに「夕日と拳銃」は、56年に佐伯清の演出で東映が映画化した。

◆『夕日と拳銃』(ウィキペディア参照)
 1956年9月18日に東映で公開された日本映画。原作は檀一雄*1の小説で、後にTBS系列でドラマ化(1964年、工藤堅太郎主演)されている。

 で、何故、壇『夕日と拳銃』(現在は角川文庫、河出文庫で入手が可能)が朝鮮新報(朝鮮総連機関紙)で取り上げられているのかというと、朝鮮新報記事の本文を読めば分かりますが、この小説(そして映画)の主人公は伊達順之助をモデルとした伊達麟之介(演・東千代之介*2)ですが、金日成(演・波島進)が脇役として登場するからです。
 そして、映画『夕日と拳銃』(1956年、東映)で金日成を演じた波島は

 波島進(1922~1995年:ウィキペディア参照)
◆花と竜(1954年、東映
  主演(玉井勝則(火野葦平)役)
姿三四郎(1955年、東映
  主演(姿三四郎役)

という当時の「二枚目スター俳優」ですから当然、好意的に描かれてるでしょう(見ないとなんとも言えませんが)。
 とはいえ別に檀一雄や、佐伯清(映画『夕日と拳銃』の監督)が北朝鮮に政治的に共感してるわけではないでしょうが(あくまでも主役は伊達麟之介ですし)。ただし一方でこの頃は「二枚目スターが金日成をかっこよく演じようが別に問題にされない時代」だったわけです。
 なお、ウィキペディア佐伯清』によれば彼の代表作は高倉健主演の『昭和残侠伝シリーズ』(1965~1972年、全9作)だそうです。
 何というか『夕日と拳銃』を見たくなってきました。
 何せこの映画、

◆夕日と拳銃(ウィキペディア参照)
・伊達時宗(伊達麟之介の祖父。宇和島藩主だった伊達宗城がモデル。ただし実際の伊達宗城は1892年に死去し、一方、実際の伊達順之助は1892年生まれなので、この映画のような状況(伊達時宗が伊達麟之介の親代わりの存在)はあり得ません):加藤嘉
・山岡厳山:小沢栄太郎
・山岡慎太郎高倉健*3
・日笠団蔵:花澤徳衛
・王鳳閣:千田是也*4

と意外にも日本を代表する名優が名を連ねています。

*1:1912~1976年。1951年(昭和26年)「長恨歌」「真説石川五右衛門」の2作にて直木賞を受賞。エッセイストの檀太郎(1943年生まれ)は長男。女優の檀ふみ(1954年生まれ)は長女。著書『小説・太宰治』(岩波現代文庫)、『太宰と安吾』(角川ソフィア文庫)、『花筐』(光文社文庫)、『火宅の人』、『リツ子その愛・その死』(以上、新潮文庫)、『青春放浪』(ちくま文庫)、『檀流クッキング』、『美味放浪記』、『わが百味真髄』(以上、中公文庫BIBLIO)、『真説石川五右衛門』、『新説国定忠治』(以上、徳間文庫)など

*2:1926~2000年。代表作として映画『赤穂浪士』(1956年、浅野内匠頭役)、『鞍馬天狗』(1956~1959年、鞍馬天狗こと倉田典膳役)、『水戸黄門』(1957~1960年、佐々木助三郎役)、『赤穂浪士』(1961年、堀部安兵衛役)、TBSドラマ『忠臣蔵』(1990年、吉良上野介役)など(ウィキペディア東千代之介」参照)

*3:1931~2014年。1963年に『人生劇場 飛車角』で高倉は準主役に抜擢された。これ以降、仁侠映画を中心に活躍。1964年から始まる『日本侠客伝シリーズ』、1965年から始まる『網走番外地』シリーズ、『昭和残侠伝シリーズ』などに主演し東映の看板スターとなる。しかし、1973年には『仁義なき戦い』がヒットすると、東映の岡田社長は「高倉健任侠映画はしばらく止める」と実録ヤクザ路線に変更したため、高倉と東映の関係は悪化。高倉は1976年に東映を退社する。フリー転向後、1977年に『八甲田山』、『幸福の黄色いハンカチ』の2作品に主演し、第1回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞と、第20回ブルーリボン賞主演男優賞のダブル受賞に輝いた。これによって長年のヤクザ俳優イメージからも脱却する。その後も映画『動乱』、『遙かなる山の呼び声』(1980年)、 『駅 STATION』(1981年)、『鉄道員(ぽっぽや)』(1999年)で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。また、1998年に紫綬褒章、2006年に文化功労者、2013年には文化勲章を受章(ウィキペディア高倉健』参照)。

*4:1904~1994年。1944年、東野英治郎小沢栄太郎青山杉作らと俳優座を創立、亡くなるまで俳優座代表を務めた(ウィキペディア千田是也」参照)。

今日の産経ニュースほか(コロナ問題以外:2020年5月19日分)

「来年一斉」「5年かけ段階的」 9月入学移行の2案を提示 - 産経ニュース

 文部科学省の藤原誠事務次官が令和3年9月に移行する場合の一斉実施案と段階的実施案の2案を示した。

 令和3年9月に一斉実施なんか出来るわけがないでしょう。
 というか文科省的にはさすがに「段階的実施案」が本命でしょう(実際にやるのならば、ですが。まあ、9月入学をやることがそもそも妥当かどうかはひとまず置きます)。
 「令和3年9月一斉実施」なんてのは「一応つくるだけつくってみました」程度の話でしかないでしょうが、安倍自民はまともでないので「それで行く」と言い出す危険性はゼロではありません。


【正論】「国民の絆」を壊す9月入学論 九州大学教授・施光恒 - 産経ニュース
 小生も9月入学論には反対の立場ですがそれは単に「メリットが感じられないから」「コロナ問題を抱える今、そんなことは後回しにすべきだから」であって、「国民の絆」などという珍論ではないので「何だかなあ」ですね。


【産経抄】5月19日 - 産経ニュース

 中国文学者、井波律子さんの訃報が届いた。

 普通の「追悼コラム」「訃報コラム」ですのでこれ以上は特に引用しません。ウィキペディア「井波律子」の記載を紹介しておきます。

◆井波律子(1944年2月11日~2020年5月13日)
 中国文学研究者。1966年、京都大学文学部卒業。1972年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。1974年京都大学助手。1976年金沢大学助教授、1990年金沢大学教授、1995年に国際日本文化研究センター教授、2009年定年退任。国際日本文化研究センター名誉教授。『三国志』の研究や『三国志演義』の翻訳などで知られる。夫・井波陵一*1(1953年生まれ、京都大学人文科学研究所教授)も中国文学研究者。
◆主な著書
・『中国人の機智:「世説新語」を中心として』(1983年、中公新書→後に『中国人の機智:「世説新語」の世界』と改題して、2009年、講談社学術文庫)
・『読切り三国志』(1992年、ちくま文庫)
・『酒池肉林:中国の贅沢三昧』(1993年、講談社現代新書→後に2003年、講談社学術文庫)
・『三国志演義』(1994年、岩波新書)
・『裏切り者の中国史』(1997年、講談社選書メチエ)
・『中国のグロテスク・リアリズム』(1999年、中公文庫)
・『中国文章家列伝』(2000年、岩波新書)
・『中国の隠者』(2001年、文春新書)
・『故事成句でたどる楽しい中国史』(2004年、岩波ジュニア新書)
・『「三国志」を読む』(2004年、岩波セミナーブックス)
・『奇人と異才の中国史』(2005年、岩波新書)
・『三国志曼荼羅』(2007年、岩波現代文庫)
・『中国の五大小説〈上〉:三国志演義西遊記』(2008年、岩波新書)
・『中国の五大小説〈下〉:水滸伝金瓶梅紅楼夢』(2009年、岩波新書)
・『論語入門』(2012年、岩波新書)
・『中国文学の愉しき世界』(2017年、岩波現代文庫)
・『中国名言集:一日一言』(2017年、岩波現代文庫)
・『中国侠客列伝』(2017年、講談社学術文庫)
・『三国志名言集』(2018年、岩波現代文庫)
・『中国名詩集』(2018年、岩波現代文庫)
・『キーワードで読む「三国志」』(2019年、潮文庫)

 一般向けの著書(文庫や新書)が多数ある点が興味深いところです。当然、才能があるわけですが、一方で彼女の専門である「三国志」がいかに日本人に親しまれてるかという面もあります。
 「三国志」でぐぐれば、あるいはCategory:三国志を題材とした作品 - Wikipediaを見れば分かりますが

北方謙三三国志』(角川春樹事務所・時代小説文庫)
柴田錬三郎*2三国志 英雄ここにあり』、『柴錬三国志:英雄・生きるべきか死すべきか』 (講談社文庫:『英雄ここにあり』は劉備生前までを描き、『英雄・生きるべきか死すべきか』は劉備死後の諸葛亮孔明の活躍を描いたもののようです)
柴田錬三郎 『英雄三国志』(集英社文庫講談社文庫の『三国志 英雄ここにあり』、『柴錬三国志:英雄・生きるべきか死すべきか』 を一つにまとめた上で改題した物で内容は同じ)
陳舜臣*3諸葛孔明』、『曹操:魏の曹一族』、『秘本三国志』(以上、中公文庫)
宮城谷昌光*4三国志』、『三国志外伝』(以上、文春文庫)
横山光輝*5三国志』 (潮漫画文庫)
吉川英治三国志』 (講談社吉川英治歴史時代文庫)

と有名作家による多数の『三国志』関連書籍(小説やマンガ)がヒットするわけです。
 それとこれを言うとおっさんであることがモロバレになりますが小生は子どもの時に見ていたNHK人形劇三国志』(1982~1984年)が好きですね。

参考

◆『人形劇 三国志
 1982年10月2日から1984年3月24日までNHKでテレビ放送された人形劇。
 『三国志演義』(立間祥介*6訳、現在は角川ソフィア文庫)をモチーフに魏、呉、蜀三国の興亡を描いた作品で、美しい人形は人形美術家・川本喜八郎が担当した。番組開始時および人形劇本編の合間には、司会兼ストーリーテラーとして漫才師の島田紳助松本竜介が出演した。
 ストーリーは劉備玄徳(その死後は諸葛亮孔明)を巡る説話が中心であり、桃園の誓い(作中では168年と設定)から五丈原の戦い(234年)までを描く。10代の少年少女を主なターゲットとしていたため、分かりやすさに重点を置いたセリフや展開になっており、荒唐無稽・勧善懲悪(勿論劉備が善で、曹操が悪)の要素が強調されている。
【キャスト】
 この作品では、1人の声優*7が複数の登場人物を兼務する。同じ声優が演じている人物同士で会話する場面もある。
谷隼人
 劉備玄徳、馬謖*8など
石橋蓮司
 関羽袁紹*9諸葛瑾*10司馬懿仲達*11ほか
せんだみつお
 張飛夏侯淵*12ほか
森本レオ
 諸葛亮孔明曹丕*13夏侯惇*14ほか
岡本信人
 曹操董卓周瑜*15陸遜*16関平*17ほか
◆松橋登
 孫権*18袁術*19献帝*20趙雲*21ほか
人形劇三国志オリジナルの登場人物】
◆美芳(みいふぁん:声・伊佐山ひろ子
 屋台の居酒屋を営み、店の客である張飛(声・せんだみつお)とはケンカが絶えない。後に張飛の妻となる。物語の中では紳々、竜々と共に初回から最終回まで登場した。
◆淑玲(すうりん:声・長谷直美)
 黄巾の乱劉備(声・谷隼人)と出会い、漢の献帝の侍女を勤めた後、劉備の妻になり、阿斗(後の劉禅:声・田坂都)を儲ける。長坂の戦いで阿斗と共に蜀軍からはぐれて手傷を負い、駆けつけた趙雲(声・松橋登)に阿斗を託すと井戸へ身を投げて死亡した。
 彼女を失った後に呉を訪れた劉備は、孫権(声・松橋登)の妹・貞姫(声・田坂都)に淑玲の面影を見出し、妻に迎えることとなる。
◆紳々、竜々(しんしん、ろんろん)
 島田紳助松本竜介の分身で、声優もそれぞれ本人が担当。狂言回し的・コミックリリーフ的な役割を担う。武名を上げ将軍に成ろうとはするものの「(現代的な価値観のため)敵兵を殺せない、臆病ですぐ逃げ出したり命乞い、任務でもドジが多い」などで出世できず、一兵卒のまま、黄巾族→董卓軍→呂布軍→魏→呉→蜀を渡り歩く。最終回ラストでは、劉備関羽(声・石橋蓮司)、張飛趙雲諸葛亮(声・森本レオ)の墓を見ながら、「わしらの知ってる人達は皆あの中へ入ってしもうたなあ」としみじみつぶやいている。


検察庁法改正案断念 首相、不毛な消耗戦回避 先週末に判断 - 産経ニュース

 首相には改正案の今国会成立にこだわる理由もなかった。
 「法務省・検察側に頼まれてやった話だ。(今国会で)どうしてもやらないといけない法案ではない」
 首相は改正案成立見送りを表明した18日夜、周囲にこう語った。

 世論調査での「予想以上の不人気」にびびって方針転換したくせに、法務省に責任転嫁とは良くもふざけたことが言えたもんです。
 大体、法務省があんな「黒川の定年延長を正当化する」だけの法律を積極的に出したがるわけがないでしょう。
 ベタな物言いで恐縮ですが「こんなバカ、クズを育てた親はどういう子育てをしていたのか。よほど甘やかしてわがままにさせていたのか」「やはり親も子ども同様のクズなのか」と問いただしたくなりますね。安倍晋太郎*22のことですが。
 福田康夫*23と安倍*24の違いを考えるに「福田赳夫*25」は安倍晋太郎と違ってまともな親だったのでしょう。安倍晋太郎の親「安倍寛」もよほど酷かったのだろうなと思いますね。

 首相は「もうやらなくていい」と本音も漏らす。国家公務員法改正案が成立しなければ、国に準拠して定める地方公務員の定年引き上げも据え置かれる。困るのは、立憲民主党最大の支持団体*26である自治労だからだ。

 おいおいですね。野党(立憲民主党に限らない)は「検察庁法改定以外なら賛成してもいい*27」と言っていたのに、それを蹴飛ばした上、「困るのは自治労だ」とは何という言い草か。
 そもそも
1)国家公務員法改定案なのだから直接被害を受けるのはまず国家公務員
2)「地方公務員=自治労構成員」ではない(自治労以外の組合加入者もいれば、非組合員もいる)のによくもこんな馬鹿なことが言えたもんです。
 「もうやらなくていい」て、なら何のために「国家公務員法改定案」を出したのか。「検察庁法改定案の悪法性をごまかすために出しただけ」とでもいうのか。まともな人間なら到底言えないアホ発言です。勿論産経も安倍もまともではありませんが。安倍なんぞ支持できる人間の気が知れません。なお、この自治労云々という与太は阿比留も、【阿比留瑠比の極言御免】支持者の利益損ねた立民 - 産経ニュースで表明しています。

 自民党内では不信任案を否決した上で、いかに週内に改正案を採決まで持ち込むかについて協議を重ねてきただけに、官邸サイドの突然の方針転換に「そんなことがあるのか」(幹部)と衝撃が走った。
 野党の批判に対し、繰り返し「改正案に問題はない」と反論してきた与党。自民党関係者からは「ここで引っ込めれば『やっぱり問題があったんじゃないか』と思われないか」と不満の声も漏れる。

 結局の所、今の自民党は、安倍政権誕生後は完全に「安倍の私兵集団と化した」といっていいでしょう。悪法であっても安倍のいいなりに「この法律に問題はない」と強弁。そして「世論調査での不人気にびびった安倍」に「継続審議にする」とはしごを外されても安倍に何一つ不満など言えないわけです。


山田太郎参院議員「サイレントマジョリティー動いた」 検察庁法改正案見送り - 産経ニュース
 もちろん自民の陣笠にすぎない山田は「安倍に逆らえるわけもなく」検察庁法改定案について、野党や弁護士会、検察OB、一部芸能人(小泉今日子など)などのような批判などしていなかったわけですが、にもかかわらず今頃、批判派ぶろうとはどこまでクズなのかと言う話です。
 しかも「ネット世論ガー」と言いだす山田ですが、何も批判者はネット世論だけではないし、「ネットの批判者」は別に「ネット世論の代表面」する山田の支持者ではない(むしろ山田には批判的でしょう)。
 それにしても産経が山田をこうして持ち上げる理由は何でしょうか。産経にとって山田に利用価値があるからなのでしょうけど。


【主張】改正案見送り 検察のあり方本格議論を - 産経ニュース

 政府・与党は検察庁法の改正案について、今国会での成立を見送った。野党や世論の批判に加えて検察OBからの反発も相次ぎ、採決を強行すれば大きな政治問題化する可能性があった。

 さんざん「野党の言いがかり」呼ばわりしていたくせに安倍が今国会の可決見送りを決めるやこれです。呆れて二の句が継げませんね。
 それにしても「採決を強行すれば支持率が大きく落ち込み、退陣に追い込まれる恐れがあった」とはかけず「大きな政治問題化する可能性があった」とぼかして書く辺りは安倍応援団らしいせこさです。

 議論が紛糾したのは、今春に加えられた特例をめぐってだ。これにより、内閣や法相が認めれば検事総長の定年延長や幹部検察官の職務延長が可能となった。
 昨秋と今春の間に何があったか。それは今年1月、黒川弘務東京高検検事長の定年延長を閣議決定で決めた異例の措置だ。
 特例が加えられたのはこの直後である。政府がいくら「黒川検事長の人事と検察庁法改正案は無関係」と強弁しても、理解は得られなかった。
 政府側が「特例による恣意(しい)的人事はない」と反論しても、黒川氏の定年延長で内閣による属人的措置をみた後では、これを信用することは難しい。

 「おいおい」ですね。この産経社説の内容は、概ね批判派の主張と同じ内容ですが「今頃それを言うのか?」「だったらお前らが批判派に対してこれまでに加えていた悪口雑言は何なんだよ?」ですね。
 しかもこう書きながら結論は、法案廃案ではなく

 森雅子法相は特例規定の要件について内閣委で、「現時点で具体的に全て示すのは困難だ」と述べた。これでは議論にならない。
 検察庁法の改正論議は、政府が特例要件を示すところから再開すべきである。

として「政府が具体的な延長要件を示して恣意的な人事をしないという信用を得ろ」。
 「お前、安倍が見送りを表明するまでそんなこと言ってなかったろうが!」「大体既に、黒川の人事が恣意的だろ!」「そんなことができるのなら野党が『定年延長という特例措置をする蔡の具体的要件を示せ』と要求した際にとっくにやってるだろ!」ですね。
 とはいえ、産経ですら高まる批判を前に「要件を出さないと話にならない」と書いたことは次期国会での武器となるでしょう。
 もちろん産経だと平気で前言撤回して恥じませんし「要件さえ出せば」どんな「曖昧でデタラメな代物」でも「要件を出したから問題ない」と強弁するでしょうが。
 とはいえ、産経がこう書けば「次期国会で何も要件が出なければ」、『産経は安倍政権を批判せよ!』ということになりますし、現時点では要件が出る保証もありません。
 産経がここまで書いたことは意外ですが、産経もそれだけ今回は追い詰められたと言うことでしょう。
 それにしても櫻井よしこなど「安倍首相に問題は何一つない」と言っていた連中は「政府の側にも問題はあった」「野党や弁護士会、検察OBなどの批判は一理あった」と渋々認めてるこの産経社説をどう評価するんでしょうかね?。
 たぶん「産経は余計なこと書くな」と反感を覚え、とはいえ「産経批判もできずに」、産経の社説をなかったことにして「政府に問題はない」と強弁し続けるのでしょうが。

*1:著書『紅楼夢と王国維』(2008年、朋友書店)、『「紅楼夢」の世界』(2020年、臨川書店)など

*2:1917~1978年。市川雷蔵が演じ人気となった『眠狂四郎シリーズ』が代表作

*3:1924~2015年。『小説十八史略』(講談社文庫)、『チンギス・ハーンの一族』、『耶律楚材』(以上、集英社文庫)、『江は流れず:小説 日清戦争』、『実録アヘン戦争』、『孫文』、『鄭成功』(以上、中公文庫)、『秦の始皇帝』(文春文庫)など中国史を題材とした小説多数。

*4:1945年生まれ。『管仲』(角川文庫)、『子産』、『重耳』、『孟嘗君』(以上、講談社文庫)、『晏子』、『楽毅』(以上、新潮文庫)、『太公望』(文春文庫)など中国史を題材とした小説多数。

*5:1934~2004年。中国史をネタにした作品では『三国志』の他に『殷周伝説』、『項羽と劉邦』、『史記』、『水滸伝』がある。

*6:1928~2014年。慶應義塾大学名誉教授。著書『諸葛孔明三国志の英雄たち』(1990年、岩波新書)など

*7:全員、声優専業ではなくむしろ俳優業が主であるところがNHKらしいと思います。

*8:泣いて馬謖を斬る」の故事で知られる蜀の武将

*9:曹操孫権劉備らと天下を争った武将の一人

*10:諸葛亮孔明の兄。呉の武将

*11:「死せる孔明、生ける仲達を走らす」の故事で知られる魏の武将

*12:魏の武将

*13:曹操の長男。魏の皇帝

*14:魏の武将

*15:呉の武将。三国志演義では呉の中心人物として描かれる

*16:呉の武将。三国志演義では周瑜死後の、呉の中心人物として描かれる

*17:蜀の武将。関羽の息子。三国志演義では関羽と共に魏に降伏し、処刑されるが人形劇三国志では、関羽の死後も蜀の武将として活躍する設定。

*18:呉の皇帝

*19:曹操孫権劉備らと天下を争った武将の一人。袁紹の従兄

*20:後漢最後の皇帝

*21:蜀の武将

*22:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)など歴任

*23:森、小泉内閣官房長官を経て首相

*24:自民党幹事長、小泉内閣官房長官を経て首相

*25:大蔵省主計局長から政界入り。岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣行政管理庁長官、蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*26:本当に「最大の支持団体」かどうかは知りません。デマ記事常習産経なのでデマの疑いはあります。

*27:もちろんこれは「本当に賛成してもいいと考えていた」というのもあるでしょうが1)「検察庁法改定反対」に論点を集中させるとともに、2)安倍が「国家公務員法のみ改定」を蹴った場合「検察庁法改定とワンセットにする必要はどこにもないのにおかしい」と批判できるという面も勿論あります。

新刊紹介:「歴史評論」6月号

・詳しくは歴史科学協議会のホームページをご覧ください。小生がなんとか紹介できるもののみ紹介していきます。正直、俺にとって内容が十分には理解できず、いい加減な紹介しか出来ない部分が多いですが。
第53回大会「変貌する国家と個人・地域」
 歴史科学協議会第53回大会(2019年11/30、12/1に明治大学駿河台キャンパスで開催)での報告について説明されている。

【第1日目:11/30】
◆問われる植民地支配認識(加藤圭木*1
(内容紹介)
 加藤氏の著書『だれが日韓「対立」をつくったのか:徴用工、「慰安婦」、そしてメディア』(共著、2019年、大月書店)や小生が
新刊紹介:「前衛」11月号(追記あり) - bogus-simotukareのブログで紹介した加藤論文『問われているのは日本の植民地支配への反省』などと同様の問題意識による報告であり、これらも参照して欲しいとしています。
 なお、加藤氏は、山本晴太ほか『徴用工裁判と日韓請求権協定:韓国大法院判決を読み解く』(2019年、現代人文社)を参考文献としてあげています。
 この山本晴太ほか『徴用工裁判*2と日韓請求権協定:韓国大法院判決を読み解く』(2019年、現代人文社)については興味深い本が出版された(買うことに決めた) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)も参照下さい。
 小生も『徴用工裁判』でググってみましたが、それでヒットした戸塚悦郎*3『「徴用工問題」とは何か:韓国大法院判決が問うもの』(2019年、明石書店)、『歴史認識と日韓の「和解」への道:徴用工問題と韓国大法院判決を理解するために』(2019年、日本評論社)、竹内康人*4『韓国徴用工裁判とは何か』(2020年、岩波ブックレット)なども参考になるかと思います。
 安倍の「ホワイト国除外」など嫌韓国政策への批判が決して高くない状況について、世間一般に「韓国通の研究者、ジャーナリスト」として扱われる人物に「植民地支配への無反省」があることが大きいと加藤氏は評価しています。
 具体的には

【順番は著者名順】
◆浅羽祐樹*5、木村幹*6ほか『徹底検証韓国論の通説・俗説:日韓対立の感情vs.論理』(2012年、中公新書ラクレ)、『(ボーガス注:韓国の反日主張に?)だまされないための「韓国」: あの国を理解する「困難」と「重み」』(2017年、講談社
◆浅羽祐樹、新城道彦*7ほか『知りたくなる韓国』(2019年、有斐閣
小倉紀蔵*8ほか『嫌韓問題の解き方*9』(2016年、朝日新聞出版)
◆鈴置高史*10『中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』、『中国という蟻地獄に落ちた韓国』(以上、2013年、日経BP社)、『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』、『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』(以上、2014年、日経BP社)、『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』、『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』、『「中国の尻馬」にしがみつく韓国』(以上、2015年、日経BP社)、『米中抗争の「捨て駒」にされる韓国』、『孤立する韓国、「核武装」に走る』(以上、2016年、日経BP社)、『米韓同盟消滅』(2018年、新潮新書
◆牧野愛博*11『ルポ 絶望の韓国』(2017年、文春新書)、『ルポ「断絶」の日韓:なぜここまで分かり合えないのか』(2019年、朝日新書) *12
武藤正敏*13『韓国人に生まれなくてよかった』(2017年、悟空出版)、『文在寅という災厄』(2019年、悟空出版)

などが批判されています(これらについては、新刊紹介:「前衛」11月号(追記あり) - bogus-simotukareのブログで紹介した加藤論文『問われているのは日本の植民地支配への反省』でも批判されています)。具体的批判内容については歴史評論を参照頂ければと思います。また

新刊紹介:「前衛」11月号(追記あり) - bogus-simotukareのブログ
◆問われているのは日本の植民地支配への反省(加藤圭木)
(内容紹介)
Q&A形式(架空問答)で書いてみます。
Q(俺)
「日韓関係の悪化についてお考えをお聞かせ下さい」
A(加藤氏)
「私個人は日本社会に『日本が韓国を植民地支配した加害者である』にもかかわらず『被害者である韓国側の声に虚心に耳を傾け、日韓間の共通理解、合意、和解を目指す』という考えがあまりにもなさ過ぎる点に問題があると思います。」
「例えば徴用工判決については、安倍政権の『日韓協定違反だ』などという意見が一方的に垂れ流されています。しかしそれは「争いのない当然の話」などでは全くありません。
 それはたとえば
徴用工問題の公正な解決を求める――韓国の最高裁判決について/志位委員長が見解
「被害者個人の請求権は消滅せず」の一致点で解決に努力を/志位委員長の一問一答
という『韓国最高裁判決を日韓協定違反だとする安倍政権の主張は間違ってる』と批判する日本共産党・志位委員長の意見を見れば明白でしょう。ところがこうした志位氏のような意見はマスコミでは、特にテレビワイドショーではほとんど取り上げられません」
「なお、私としては『日韓協定違反』などという法的問題に話を矮小化することにも大変問題があると思います。仮に韓国最高裁判決が日韓協定違反なら日本の韓国植民地支配には何一つ問題はなかったのか(私個人は韓国最高裁判決を志位氏同様、むしろ評価していますが)。そういう話ではないでしょう。損害賠償という法的問題をどう考えるか、と言う前にまず『日本の植民地支配は道義的、政治的に問題があった』ということを認めるべきでしょう。」
「私が極めて問題だと思うのは世間的に、『韓国通』『韓国研究者』扱いされている人間に『日本が正しい、韓国が間違ってる』という主張をメディアで垂れ流してる人間が多数いることです。たとえば彼らの著書の一つ『だまされないための「韓国」*19』(2017年、講談社)などという著書は書名(どう見ても「韓国にだまされないための」としか理解しようがない)からし嫌韓国以外の何物でもないでしょう。
 マイナー極右出版社ならまだしも、こうした嫌韓国本が大手出版社・講談社から出版され、大手出版社・小学館週刊ポストには嫌韓国記事が平然と載る。日本の言論状況に改めてため息が出ます。
 彼ら「韓国通」の言動は『山野車輪立川志らくと何ら変わりない嫌韓国言動』と言っても過言でないと思います。私も韓国研究者の一人として「韓国通」として扱われる彼らのような意見にどう対決していくべきか真剣に考えざるを得ません。彼ら「韓国通」の存在が「韓国通も韓国批判している」として嫌韓国をあおってることは間違いないからです」

「いろいろとご意見ありがとうございます。加藤先生の言う『韓国通』『韓国研究者』扱いされている人間とは、具体的には浅羽祐樹*20・同志社大学教授、木村幹*21・神戸大学教授、武藤正敏*22・元駐韓大使などのことですね。彼らは「元外交官(駐韓大使館勤務)」「大学教授(韓国研究)」と言う肩書きを持つが故にその害悪は「素人扱いされてる」山野や志らくより大きいと言ってもいい気がします。
 浅羽や木村については
従軍慰安婦問題についての浅羽祐樹教授の見解がよくわからない - 法華狼の日記
浅羽祐樹『韓国化する日本、日本化する韓国』巻末の読書案内を読んで、池上彰氏と同じくらいの信頼性と感じた件 - 法華狼の日記
木村幹氏が吉方べき氏に剽窃されたと主張している件についてメモ - 法華狼の日記
木村幹氏は吉方べき氏より先に自分の記憶力を疑うべき - 法華狼の日記
SYNODSの鼎談記事で、談話順守の要求を浅羽祐樹氏が「極論」にふくめていた件 - 法華狼の日記
浅羽祐樹『韓国化する日本、日本化する韓国』において、「強制連行はなかった」等の事実誤認が「いちいちもっとも」と評されていた件について - 法華狼の日記
「韓国化する日本」という言葉について、タイトルにもちいた浅羽祐樹氏による説明と、実際の使用例の乖離 - 法華狼の日記
村山富市氏に対する木村幹氏の魔女狩り論理 - 法華狼の日記
と言った批判を参考に紹介しておきます」

も参照下さい(細部はともかく、大筋では今回の加藤報告及び、それへの俺の感想は新刊紹介:「前衛」11月号(追記あり) - bogus-simotukareのブログで書いたこととそう大きくは変わりません。違いがあるなら、新刊紹介:「前衛」11月号(追記あり) - bogus-simotukareのブログでは登場しなかった小倉紀蔵、牧野愛博が今回は批判されてることでしょうか)。浅羽と木村、新城(木村、新城は共に浅羽の共著者)は前回も批判されています。
 ただし、加藤氏が「内容はもちろんだが、多くの場合、

◆浅羽、木村他『(ボーガス注:韓国の反日主張に?)だまされないための「韓国」』
◆鈴置『中国という蟻地獄に落ちた韓国』、『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』、『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』、『「中国の尻馬」にしがみつく韓国』、『米中抗争の「捨て駒」にされる韓国』
◆牧野『絶望の韓国』
◆武藤『韓国人に生まれなくてよかった』

など著書名からし

◆浅羽、木村他『だまされない』
◆鈴置『蟻地獄に落ちた』、『「逆切れ」する』、『「独り相撲」で転げ落ちた』、『「中国の尻馬」にしがみつく』、『米中抗争の「捨て駒」にされる』
◆牧野『絶望』
◆武藤『韓国人に生まれなくてよかった』

などと露骨に嫌韓国(挑発的、侮辱的)でひどい」とあきれ果てていることは指摘しておきます。小生も日本人として恥ずかしく腹立たしい限りです。
 まあここまで著書名が酷いと読まなくても内容が分かるという利点がありますが(皮肉のつもり)。
 加藤氏が問題にしているのは牧野らは「国家基本問題研究所の櫻井よしこ」等ほどには「わかりやすい嫌韓国」ではなく「正当な韓国通のコメント」と見なされる危険性が高いと言うことですね*14。例えば牧野が所属する朝日は一般にはリベラルメディアと評価されています。武藤も「恐れ入ることに」元駐韓大使です(本来なら、武藤の立場なら嫌韓国本を批判すべきでしょうにあきれ果てた、見下げ果てた男です)。
 また、浅羽(同志社大学)、小倉(京都大学)、木村(神戸大学)、新城(フェリス女学院大学)は「大学教授」の肩書きを持っており、また彼らの所属大学も「国士舘」「國學院」「拓殖」などの右翼大学ではない。これらの本の版元も牧野『ルポ 絶望の韓国』(2017年、文春新書)の版元「文春」の様なウヨ出版社もありますが、浅羽祐樹、新城道彦ほか『知りたくなる韓国』(2019年、有斐閣)の「有斐閣」などはウヨ出版社とは言えないでしょう。
 特に、小倉にいたっては訪朝し、『新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮』(編著、2012年、KADOKAWA)を出版したことで
小倉紀蔵氏までもが事実上北朝鮮擁護とは 
と極右団体に非難されたり、あるいは逆に朝鮮総連機関紙『朝鮮新報』に
〈本の紹介〉新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮/小倉紀蔵 編
〈本の紹介〉東北アジアの「矛盾」を解く主体的な試み/小倉紀蔵著『北朝鮮とは何か―思想的考察』
などと好意的に言及されたりしています。加藤氏が「ある意味一番危惧している」のは牧野『北朝鮮核危機 全内幕』(2018年、朝日新書)などで露骨に北朝鮮への敵意を表明する『極右』牧野などではなく『新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮』(小倉編著、2012年、KADOKAWA)などで太陽政策支持を表明する小倉であると言っていいでしょう。
 小倉の場合、「見ろ、朝鮮新報でも好意的に取り上げられたことのある小倉ガー」になりかねません(むしろ、そう言う意味では、韓国マスコミや朝鮮総連などは絶対に褒めない牧野などの方が『ある意味害悪は小さい』)。
 加藤氏は「専門家面して嫌感言説を垂れ流す連中への強い危機感」を表明しています。
1)安倍の長期政権を下支えしているのはこうした嫌韓国言説でもある
2)日本人はついに久保田妄言、高杉妄言などの嫌韓国の負の歴史を清算できないまま今日に至った(『冬ソナ』ブームや日韓共催ワールドカップ、少女時代などの韓流ポップスの流行は悪いことではないが残念ながら嫌韓国を是正するには至らなかった)との認識を表明しています。
 久保田妄言、高杉妄言については以下の記事を紹介しておきます。

いま振りかえる 植民地支配 歴史と実態(3)/戦後、日本政府がとった態度は
◆日韓交渉:妄言連発し異例の長期化
 こうした認識は、今日なお日本政府が持ち出す日韓基本条約と請求権協定(1965年)の交渉にも引き継がれました。この交渉は、14年もの異例の長期間にわたりましたが、その要因の一つが日本政府代表団による「妄言」でした。
 1953年には、交渉の日本側代表だった久保田貫一郎*15が「朝鮮36年間の統治は、いい部面もあった」「はげ山が緑の山に変わった。鉄道が敷かれた。港が築かれた。米田が非常にふえた」「カイロ宣言は、戦争中の興奮状態において連合国が書いたもの」などと妄言を連発。交渉は長期にわたって中断しました。
 1965年1月には、首席代表・高杉晋一が就任当日、「日本は朝鮮を支配したというけれども、わが国はいいことをしようとしたのだ」「敗戦でダメになったが、もう20年朝鮮をもっていたら、こんなこと(はげ山)にはならなかった」「創氏改名もよかった」などと(ボーガス注:日本マスコミ相手の記者会見で)発言。「久保田発言」に匹敵する妄言でした。
 このときは、交渉への影響を恐れた外務省がオフレコ扱いを(ボーガス注:日本マスコミ各社に)要請。「アカハタ」(現「しんぶん赤旗」)と韓国の東亜日報が暴露したものの、一般紙は沈黙し、その後政府が「事実無根」と否定したことのみを報じたのでした。当時の新聞は、暴言を吐く日本政府を批判するどころか、韓国に対して「弱腰」だと非難さえしていたのです。

いま振りかえる 植民地支配 歴史と実態 番外編/日本メディアはどう伝えてきたか
 1945年8月、日本はポツダム宣言を受諾し、植民地朝鮮を解放しました。しかし、日本政府はその直後から、過去の非を認めず、朝鮮支配は正しかった、日本はいいこともしたという態度を打ち出しました。戦後一貫した日本政府の基本的立場です。これが端的に表れたのが、1950~60年代にかけての日韓国交正常化交渉における、いわゆる「久保田発言」「高杉発言」でした。
 「日本は朝鮮に鉄道、港湾、農地を造った」「多い年で二〇〇〇万円も持ち出していた」。
 1953年10月、日韓会談が長期にわたり中断する原因となった第三次会談の日本側首席代表、久保田貫一郎の発言です。韓国側の激しい反発にあい、会談決裂、中断したのは当然です。ところが、日本のメディアは久保田発言を批判するどころか、「ささたる言辞」「韓国の不条理な威嚇には屈しない」「朝鮮統治には功罪両面がある」などと発言を擁護しました。当時の新聞論調について研究者は「全新聞が韓国に非があるという認識であった」と分析しています。
 「日本は朝鮮を支配したというけれども、わが国はいいことをしようとした」「それは搾取とか圧迫とかいったものではない」。
 交渉最終盤の1965年1月、第七次会談首席代表の高杉晋一による妄言は、交渉決着への影響を懸念した日韓両政府によってオフレコ扱いとされ、日本の商業メディアは取材しながら黙殺しました。

“メディアは事実を伝えるのが仕事だ”と主張する人に伝えておきたい政府・メディア共同で犯した隠蔽事件 - 誰かの妄想・はてなブログ版
(前略)
 上記は1965年1月7日、第七次日韓会談の記者会見で日本側首席代表・高杉晋一*16が(ボーガス注:日本マスコミ相手に)述べた内容をアカハタ(ボーガス注:当時。現在の「しんぶん赤旗」)が報じたものです。
 植民地支配を否定し恩恵だと主張する内容で、これが植民地支配を受けた側を如何に侮辱する発言であるか、容易に理解できると思いますが(いや、今の日本人には無理かな)、驚くべきは、これが15年目に突入した日韓国交正常化交渉の大詰めで出た発言だということです。
 この翌月には日韓基本条約案が仮調印されるわけで、ほとんど調整が終わっている状況で、相手側を著しく侮辱する発言を交渉の最高責任者がやったわけですから、この夜郎自大な感覚もさることながら、何よりも外交センスの無さに呆れ果てます。
 むしろここで現実的だったのは韓国側代表です。このような侮辱発言が公になったら、せっかくまとまりかけていた交渉が少なくとも数年は遅れる(ボーガス注:そして経済支援金が受け取れず、韓国の経済発展が遅れる)と正しく認識した金東祚*17首席代表の方から牛場信彦*18副代表に、この問題発言をオフレコにするように助言し、日本側もそれを受け入れ、オフレコにするように記者らに要請することになりました。
 それをアカハタがすっぱ抜いたわけです*19。(1月10日報道)
 そして、東亜日報でも報道され(1月17日)、懸念された通り、この高杉発言は日韓で大問題となりました。これに対して、韓国外務部は「(ボーガス注:日本)共産党のでっち上げ」だとして高杉代表を擁護し、高杉側も会見で発言の事実を否定し、事実を隠蔽しました。
 1965年2月15日には(ボーガス注:岸信介*20の側近で韓国ロビー、台湾ロビーの大物として知られる)椎名*21外相も、事実を否定する国会発言を行いましたが、他のメディアは沈黙したままでした。もちろん、記者会見の場にいた他のメディアの記者らは、アカハタ報道が事実であることも、日韓両政府が嘘をついて事実を隠蔽していることも知っていましたが、それを報道しなかったわけです。
 「エコノミスト」1965年2月9日号には高杉代表が「あれは共産系の作為的報道としか思えません」と虚言を述べています。
 アカハタ報道が事実であったことは1993年に発表された金東祚の『韓日の和解−日韓交渉14年の記録*22』で確認されました。
 しかし当時、他のメディアはそれを黙殺しました。日韓両政府と日本メディアが連携して事実を隠蔽したわけです。
 “メディアは事実を伝えるのが仕事だ”と主張する人は、このときのアカハタ報道を無条件で歓迎・賞賛すべきでしょうね。

 今も昔も日本マスコミの権力批判精神のなさには絶句しますがそれはさておき。
 さて、高杉妄言を「日本からの経済支援金ほしさに見て見ぬ振りし、赤旗のデマ報道とまで居直った朴チョンヒ政権」と違い、「文在寅反日だ」と放言する日本ウヨですが、「根本的に認識がおかしい」というべきでしょう。朴も「当時の韓国は貧乏でカネが欲しいから」「当時の韓国は北朝鮮と大して経済力に差がないから」日本にへいこらしたにすぎません。「韓国が豊かになり、北朝鮮を大幅に上回る経済力を付ければ」日本にへいこらしなくなるのは当たり前の話です。
 なお、新城については以前
「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(3/11分:荒木和博の巻)(追記・訂正あり) - bogus-simotukareのブログ
今日の産経ニュース(4/12分)(追記・訂正あり) - bogus-simotukareのブログ
で取り上げました。
 鈴置についてはたとえば以前

「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(10/16分:荒木和博の巻)&萩原遼死去&北朝鮮・韓国ニュースほか(追記・訂正あり) - bogus-simotukareのブログ
2018年「北の核」は軍事攻撃か体制崩壊で決着:日経ビジネス電子版
 「いつもの鈴置クオリティか(呆&笑)」で終わる話です。
 軍事攻撃というのはもちろん「米国の」ですがそんな物騒なことはさすがにトランプもできないでしょう。まあ、やらせるべきでもないですが。
 「体制崩壊」つうのは「制裁による経済崩壊による体制崩壊旧東ドイツなどを想定?)」とでもいう意味でしょうがここからして「はあ?」ですね。
 「経済制裁体制崩壊」するのなら軍事攻撃する必要も無い。「体制打倒のため」に軍事攻撃の必要があるなら「経済制裁体制崩壊」はありえない。鈴置主張は論理的に矛盾しています。
 単に彼が「2018年内に金正恩体制は終わる」といいたいだけでしょう。しかしここまで言い切ってしまっていいんですかね?。「2018年内に体制崩壊」なんて可能性低いと思いますけど。
 まあ今や彼をまともな人間は相手にせず、彼を相手にするのはウヨばかり、ウヨは「予想が当たったかどうかなど気にしない」つうことなんでしょうけど。「ボーン・上田賞受賞者」鈴置氏もずいぶんと落ちぶれたもんです。それとも上田賞受賞の時に既にこうだったのか。

と批判しています(もちろん2020年の今も北朝鮮金正恩体制は続いていますし『2018年中に崩壊の可能性がある』などと『2018年当時で既に可能性が低いと誰でも分かる無茶苦茶な放言をしたこと』について鈴置は謝罪なんかしません。人間として鈴置のような劣化はしたくないもんです。まあ一番酷いのはデマ屋・鈴置よりも、彼の与太を記事掲載した日経ビジネスですが)。
 牧野については以前、
今日の中国&朝鮮・韓国ニュース(2019年6月27日分) - bogus-simotukareのブログ
「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」を笑おう(2019年4/17分:三浦小太郎の巻) - bogus-simotukareのブログ
で批判的に言及し、アンドリュー・バルトフェルドさんから「牧野は私も酷いと思います」「最近の朝日はどうしようもないと思います」という趣旨の賛同コメントを頂いています。
 まあ、ウヨなんかは朝日をサヨ扱いしますが、今や牧野が編集委員ですからね。小生からすれば今の朝日は「産経や読売よりはマシ」とはいえ、嘆かわしいばかりです。また、アンドリュー・バルトフェルドさんから何かコメント頂ければ、特に「歴史評論の加藤論文」や加藤『だれが日韓「対立」をつくったのか:徴用工、「慰安婦」、そしてメディア』(共著、2019年、大月書店)を実際にお読み頂ければ幸いです(俺は歴史評論論文は読みましたが、加藤著書は現時点では未読です)。 
 なお、加藤氏は「日本での嫌韓国言説の蔓延」という嘆かわしい状況について「即効薬はない」が「地道に嫌韓国批判&韓国市民運動との交流を続けるほかはないのではないか」としています。また、加藤氏は「今回の報告では嫌韓国以上に酷い、アンチ北朝鮮言説に触れることが出来なかったがそれについては他日報告したい」としています。


◆国家・階級・グローバル化:プーランザスと現代西欧左派の政治観(柏崎正憲*23
(内容紹介)
 エルネスト・ラクラウシャンタル・ムフ『民主主義の革命:ヘゲモニーとポスト・マルクス主義』(2011年、ちくま学芸文庫)、シャンタル・ムフ『左派ポピュリズムのために』(2019年、明石書店)などの近年の左派政治理論の影に埋もれて『忘れられた政治思想家』、有名な『マルクスヘーゲル評価』風に言えば『死んだ犬』と化しているニコス・プーランザス(プーランツァス)*24の再評価が主張されています
 なお、プーランザス(プーランツァス)についてはニコス・プーランツァス『資本主義国家の構造 1:政治権力と社会階級』(田口富久治ほか翻訳、1977年、未来社)、『資本主義国家の構造2:政治権力と社会階級』(田口富久治ほか翻訳、1981年、未来社)、ボブ・ジェソップ*25『プーランザスを読む:マルクス主義理論と政治戦略』(田口富久治ほか翻訳、1987年、合同出版)があり、日本でのプーランザス(プーランツァス)紹介者としては田口富久治*26名古屋大学名誉教授(政治学)が知られています。
 なお、田口氏の翻訳以外ではプーランツァス『資本の国家:現代資本主義国家の諸問題』(1983年、ユニテ)、『国家・権力・社会主義』(1984年、ユニテ)が翻訳出版されています。
 ただし小生の無能のため、残念ながら柏崎報告の詳しい紹介は出来ません。直接、歴史評論の柏崎報告をお読み頂ければと思います。


【第2日目:12/1】
◆日本古代国家論の研究潮流(関根淳)
(内容紹介)
 日本古代国家論の研究潮流が次の様に説明されています。
1)石母田正*27の『日本の古代国家』(1971年、岩波書店→後に岩波文庫
 石母田著書が日本古代国家論の古典としてまず紹介されます。もはや石母田学説はそのままの形では支持できない過去の学説だが、日本古代国家論は基本的に石母田の理論をどう評価し、応答していくかと言うことで始まったとみるのが筆者の見解です。
2)多種多様な見解の時代
 現在の見解として、都出比呂志*28の『初期国家論』、鈴木靖民*29の『首長制社会論』、大津透*30の『後期律令国家論』、吉川真司*31の『初期権門体制論』、広瀬和雄*32の『前方後円墳国家論』などが紹介されていますが、小生の無能のため、残念ながら関根報告の詳しい紹介は出来ません。直接、歴史評論の関根報告をお読み頂ければと思います。

参考
◆初期国家論

都出比呂志『古代国家はいつ成立したか』読んだ。 - ~戯語感覚~
◆いつ古代国家が成立したか?
 8世紀冒頭に律令国家が成立するが、そのような国家は勿論、一夜のうちにできあがるものではなく弥生・古墳時代を経て徐々に完成されてきたとみるべきで、その過程に著者がいう「初期国家」段階が存在する。「初期国家」がいつ成立するかは専門家の間でも諸説あり、主に(ボーガス注:邪馬台国の)3世紀・(ボーガス注:いわゆる『倭の五王』の)5世紀・(ボーガス注:推古天皇の)7世紀という説があるそうで「七五三論争」と言われているのだとか。著者はその中でも3世紀説を採っている。つまり邪馬台国は初期国家だという事である。その理由は、身分制がある、法が存在する、租税がある、地方官もいる、魏に使者を送っている(外交)、これらの点で既に初期国家の条件を満たしていると見做している。

前方後円墳国家論

日本古代史つれづれブログ 古墳は語る(18)~「前方後円墳体制は」なかった!?
 これまで「前方後円墳が、大和王権の全国支配の象徴である」という表現を使ってきましたが、難しい表現をすると、「前方後円墳体制」と呼ばれます。 この言葉は、都出比呂志氏(大阪大学名誉教授)が提唱しました。
奈良県桜井市箸墓古墳をはじめとする定型化した前方後円墳の造営をもって古墳時代の始まりとし、古墳時代は、その当初からすでに国家段階に達していたとして、葬制の定型化にみられるような一元化された政治秩序を前方後円墳体制と呼ぶべきだ”としました。
 その後多くの方が使っており、たとえば広瀬和雄氏(国立歴史民俗 博物館考古研究系教授)は、
”日本列島各地に展開した前方後円墳の特質として「見せる王権」としての可視性、形状における斉一性、そして、墳丘規模に顕現する階層性の3点を掲げ、前方後円墳を、大和政権を中心とした首長層ネットワークすなわち「前方後円墳国家」と呼ぶべき国家の表象である”
としてます。(以上Wikipediaより)
 小難しい表現ですが、いずれにしろ「大和王権による全国支配」が前提であり、その「象徴的存在である」点は、同じとみていいでしょう。
 もう少しかみくだいていうと、たとえば
大和王権が、地方豪族に対して築造を命じて、支配の象徴とした。
あるいは
・地方の豪族が、大和王権に服属の証として、自らの意志で築造した。
といったところでしょうか。
 最後に、「前方後円墳体制」はなかったとする説を提唱する専門家の一人、藤田憲司氏*33(前『大阪府立近つ飛鳥博物館』館長)の論文からです。
”巨大前方後円墳の築造が続いた約350年間の当初から「全土的」に一体的な体制が成立したという想定は、多くの問題点を抱えており、同意できない。「古墳時代」中期までは各地に大きな前方後円墳を築く権力構造が成立しており、「近畿中央部の首長と地方の首長との間にあったのはせいぜい同盟的な関係であったろう」(白石2002*34)という指摘は一つの指標になると思う。”(「日本前方後円墳時代研究課題」より)


◆近世日本の国家・社会と「障害者」(高野信治*35
(内容紹介)
 資料が少ないという制約があることを断った上で、和歌山藩田辺領(紀伊田辺藩)を題材に近世日本での障害者の扱いを
1)家族による自助が基本
2)1)でカバーできない場合は村落共同体の共助
3)2)でもカバーできない場合に藩が支援を行うという体制が構築されていた、とみなす。

参考

紀伊田辺藩(ウィキペディア参照)
 紀州徳川家の御付家老だった安藤家が治めた藩。代々紀州藩主を補佐し、紀伊国に3万8千石の所領を与えられたが、紀州徳川家の家臣であることから陪臣とみなされ、独立した藩としては扱われなかった。
 ただし、慶応4年(1868年)1月24日、「維新立藩」で独立の大名となった。明治2年(1869年)6月20日、藩主・安藤直裕が田辺藩知事に就任した。
 明治17年1884年)7月8日には特旨をもって、当主・安藤直行(安藤直裕の四男)が男爵に叙された。


◆近現代中国における国家と個人・地域(田中比呂志*36
(内容紹介)
 清朝末期を、清朝が改革による近代化に失敗したあげく、アヘン戦争敗北や日清戦争敗北を契機に「欧米列強や日本の侵略による中央政府の弱体化」「その弱体化に乗じての軍閥*37の群雄割拠状態(『日本の戦国時代』や『北斗の拳*38(まあアレはマンガですが)』のようなアナーキーな状況であり、中国の国家分裂の危機*39)」という状況にあったと認識している。
 こうした状況の下、孫文辛亥革命に成功し、中華民国が誕生しますが、しかし「欧米列強や日本の侵略による中央政府の弱体化」「その弱体化に乗じての軍閥の群雄割拠状態」と言う難問はそのままであった。
 こうした中、国家統一維持と近代化(富国強兵)を進めるためには「上からの改革」が強力に実施され、民主主義的要素が軽視される傾向があるのは「ある意味当然」といえる。
 蒋介石国民党や毛沢東共産党が、「上からの改革」傾向であったのはもちろん「蒋介石毛沢東の個性」「国民党や共産党イデオロギー」と言う要素もあるだろうがそもそも「欧米列強の侵略による中央政府の弱体化」「その弱体化に乗じての軍閥の群雄割拠状態(こういう状況で到底民主主義などは出来ない話です、軍閥にそんな話が通じるわけもないでしょう)」の中で「国家統一維持と近代化(富国強兵)、そして列強の侵略排除」を進めるためにはそうした「上からの改革路線になりやすい」という近現代中国の特殊要素もあった。もし清朝が改革による近代化に成功し、「列強の侵略」「軍閥の群雄割拠」がなければ中国の歴史も大きく違っていただろう。
 なお、お断りしておきますが、田中氏は「そうした事実を指摘しているだけ」であり蒋介石毛沢東の政治に見られる「ある種の非民主性(独裁性)」を「軍閥が群雄割拠してるし,列強は侵略するし、その状況で近代化しないといけないんだから仕方がねえだろ!。蒋介石毛沢東の独裁には何の問題もない」と擁護しているわけではありません。
 さて「清朝末期&中華民国時代は軍閥の群雄割拠状態(『日本の戦国時代』や『北斗の拳』のようなアナーキーな状況であり、中国の国家分裂の危機)」という田中氏の指摘を頭に入れて

中国に関する私の見方:疑問・批判へのお返事|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ
 私の30年以上の親交のある中国人夫妻(両者とも党員であり、かつて大学教員でした)が最近話してくれたことを参考までに紹介します。特に文化大革命でつらい日々を過ごした夫人の方は、かつて中国共産党による支配そのものに厳しい批判を持っていました。しかし、最近、私が「習近平*40を特別扱いすることは、個人崇拝に直結するし、行きすぎではないか」という疑問を口にしたとき、その夫人が、「浅井の言うことは分かるし、個人的には確かに疑問もある。しかし、中国人の性格(魯迅*41「一億の砂」)を考えるとき、中国社会がまとまりを保つことは絶対に必要であり、中国共産党による統治のもとでのみ中国社会の今日に至る発展と人民生活の向上が可能となったし、今後数十年もその状況は変わらない」と述べたのです。改革開放のもとで40年を過ごした彼女の認識の大きな変化を実感したのでした。

という浅井氏の文章を改めて読むと「なるほど」感があります。
 「軍閥の群雄割拠状態(事実上、内戦状態?)」というアナーキー状態は「国共内戦共産党勝利」を経て「共産党支配」の中、「軍閥が牙を抜かれること」で解消しました(その中にで軍閥撲滅どころか、反右派闘争や文革のような無茶苦茶な反政府批判派への弾圧があったことはひとまず置きます。いや『置きます』つうと『何故置く!』『ボーガスは中国シンパだ!』つう輩がいるであろう事(例:Mukke)は分かりますが)。
 要するに『清朝が弱体化したら、軍閥が群雄割拠するアナーキー状況になった。魯迅も『中国人は一億の砂だ』というように中国人は歴史的に個人主義が強くて団結心が弱い*42し、下手に中国共産党批判して、中央政府が弱体化してあんなアナーキー状況が再現したらかなわん*43がな。中国は欧米や日本とはまた国の性格が違うと思う。欧米や日本ではそういうことはないやろうから中央政府批判ガンガンやった方がええかもわからんけどな』『表現の自由、政治的活動の自由かて、昔(典型的には文革期)に比べれば大分マシになった。経済的豊かさや福祉の面も勿論大分良くなった。一帯一路とかAIIBとか、この間のコロナ封じ込めとか習近平も結構有能やないか』と思えば『まあ、何というか中国共産党支配の元での漸進的改革が当面は一番ええんと違うか、現実的と違うか』つう話にもなるでしょう(ここで浅井先生が紹介する中国人女性の発言は平たく言えばそう言う話だろうと思います)。 
 てこういうことを書くと、一部の人間(例:Mukke)は『ボーガスは中国シンパだ!(あるいは、中国に甘い)』というであろうことは大いに予測がつきますが、まあ、俺はそう言う価値観です。そう言う価値観なんであまり「打倒プーチン*44」「打倒北朝鮮」とか思わない。
 さすがに中国、ロシア、北朝鮮のああした独裁的政治を擁護はしませんし、ああした国に住みたいと思いませんし、批判派の気持ちも分からんでもないですが、まあそれでも俺は基本的には漸進的改革の立場です。内戦などのアナーキー状態になられても困る。id:noharraのように「脱北者を10万人引き受ければ北朝鮮崩壊」とかそういうことは全く思わない。
 一方、日本でそう言うアナーキー状態はあり得ない、つうか安倍のやってる「モリカケ」などの無法の方がよほどアナーキーなんで俺は「そう言う意味では」躊躇なく安倍を批判します)。
 なお、以上の感想は浅井記事や田中論文にヒントを得た、あくまでも俺の個人的感想であり、田中論文や浅井記事とは直接の関係はないことをお断りしておきます。
 さて以下、話が脱線しますが、色々書いてみます。
1)よく中国人の特徴として「日本人に比べてたくましい」「自己主張が強い」「家族など身内は信用しても、身内以外は信用しない」「政府を信用しない」「金にこだわる」とか言われます。まあ俺も中国人の知人がいるわけではないので実際どうか知りませんが、何せ、「最近でこそ平穏無事になってきました」が「満州事変以降の日本との戦争(1931~1945年)」「国共内戦(1945~1949年)」「文革(1966~1976年)」など「死の危険性もある」アナーキーな状態が暫く前までずっと続いてきたわけです。そりゃ良く言われる「中国人の特徴」は当たり前すぎるほど当たり前の特徴でしょう。
2)日本史でも「いわゆる西原借款軍閥・段祺瑞に対して行われた借款。段の失脚で結果的に無駄になった)」、「軍閥張作霖暗殺への対応のまずさから昭和天皇の不信を買い、田中義一*45内閣総辞職」などで軍閥が出てきますので何も中国史だけではなく、日本史理解においても軍閥は重要な要素です。
3)「好き勝手やってる軍閥」を押さえ込むことを目的として実施され、実際に押さえ込んだのが蒋介石が実行したいわゆる「北伐(1926~1928年)」です。で北伐は成功しますが、まあ、当時の日本政府(特に陸軍)の蒋介石評価、中国評価は大して良くありません。
 「北伐が成功したといっても一時的なもんだ。あんなもん、すぐに崩壊する」。
 当然ながらそんな蒋介石相手には「譲歩や妥協の必要なんかない。日本軍でボコボコにぶったたけば、すぐに蒋介石は降伏する。奴が降伏しなくても軍閥蒋介石を引きずり下ろすはずだ。今は日本が中国で利権を増やす絶好のチャンスだ。満州国建国(1932年)止まりで終わりに出来るか」。
 西安事件(1936年)が起こると「見ろ、やっぱり俺たちの予想通りだ。」「蒋介石は多分殺されるに違いない。今まで戦争を続けてきて良かった。蒋が死ねば俺たちにとって事態が良くなる」。
 「ギャンブルにのめり込む依存症患者」「結婚詐欺師にかもられる男性」みたいなもんです。自分に都合良い方向にしか物が見れない。
 まあ「日本政府・軍の名誉」の為に断っておけば「北伐成功以前」は蒋介石のような「軍閥を押さえ込む動き」は全て失敗してきたのでどうしても「また失敗する」つう方向で物を見てしまう。
 しかし、今更言うまでもないですが、蒋介石は日本軍に屈服しなかったし、政権崩壊もしなかった。あげく「蒋介石を支援する米国」から「対日石油禁輸」をやられて日本の方が経済的に追い込まれたあげく「太平洋戦争で敗戦」です。「見通しを誤るととんでもないことになる」つう話ですね。
 「日本軍の思惑に反し、日本に勝利した蒋介石」ですが、とはいえ、蒋介石の軍が「軍閥の寄せ集めだ」と言う性格は結局、完全には解消できませんでした。その結果、国共内戦で「蒋介石側が負けそう(毛沢東が勝ちそう)」となると蒋介石の部下のうち、もともと彼に対してそれほどの忠誠心のない「軍閥出身の部下」、たとえば

傅作義 - Wikipedia
 1947年12月には、華北剿匪総司令に任じられ、北平(今の北京)に拠点を置いている。しかし、戦況は好転しなかった。年末からは各方面の和平工作もあり、ついに1949年1月、傅作義は北平を無血開城している。
 中華人民共和国成立後は、中央人民政府委員会委員、軍事委員会委員、水利部長、全国人民代表大会代表、国防委員会副主席、中国人民政治協商会議全国委員会常務委員、同副主席などを歴任。

などがどんどん降伏して、戦況がどんどん悪化していくわけです。

参考

◆人民中国『一九四九年一月三十一日
 1949年の1月は、北京の歴史にとって特筆されるべき月であった。中国共産党中国国民党の間の戦いで、北京が平和解放されたのである。
 国民党軍の北京地区の司令官だった傅作義将軍に面と向かって、中国共産党の北京平和解放の提案を受けるよう求めた人がいた。傅作義氏の娘の傅冬菊だ。新聞記者だった傅冬菊のもう一つの顔は、父にも秘密の中国共産党の地下党員だった。
 傅作義将軍の心は、大いに揺れ動いた。長い沈黙のあと、「よく考えてみよう」と静かに言った。
 こうしたなかで、中国共産党は傅作義将軍と根気強く、頻繁に交渉を続けた。一月ほどの話しあいを通じて傅作義将軍は、国民党軍の市内からの撤退という条件を受け入れ、1949年1月20日の命令の中で「北京を完全な形で共産党側に引き渡すべきである。さもなければ、われわれは歴史の罪人となるだろう」と述べている。


◆リレー連載:「明治150年」の総括4『被災地熊本で見た「明治150年」と私たちの課題』(三澤純*46
(内容紹介)
 筆者は『熊本では明治150年イベントは低調だった』とまず指摘します。
 筆者に寄れば、やはり明治150年イベントが活発だったのはやはり大久保利通*47西郷隆盛*48黒田清隆*49松方正義*50らの薩摩(鹿児島)、木戸孝允*51伊藤博文*52山縣有朋*53井上馨*54らの長州(山口)、坂本龍馬板垣退助*55後藤象二郎*56らの土佐(高知)、江藤新平*57大隈重信*58副島種臣*59らの肥前(佐賀)だったようです。
 なお、実は大隈重信らの肥前藩佐賀藩鍋島藩)は倒幕で活躍しましたが、唐津藩

唐津藩ウィキペディア参照)
 唐津藩最後の藩主となった小笠原長行は幕末期に老中・外国事務総裁を兼任して幕政を担った。しかも1868年の戊辰戦争では旧幕府軍に与して箱館まで転戦するなど、最後まで幕府に忠義を尽くした人物である。

ということで「佐賀全体」としては必ずしも倒幕ではなかったのですが、三澤氏に寄れば
1)肥前藩を前面に出し、唐津藩を後景に追いやると共に
2)小笠原長行が参加した箱館戦争の『最高司令官・榎本武揚*60』は敗戦後、その才能を認められて明治新政府に登用された。榎本を『西郷、大久保などとは立場は違うが愛国者だった。だから明治新政府も登用した』というなら小笠原長行も同様に評価されていいはずだ
3)明治維新以降は唐津からも辰野金吾など優秀な人材が輩出された
ということで明治150年イベントにおいては『唐津藩』の処理がされたようです。
 さて、『熊本では明治150年イベントが低調だった』とする三澤氏ですが、『三澤氏の認識(熊本では明治150年イベントが低調)が正しい』と前提して、では『熊本(熊本藩肥後藩、細川藩)と明治維新と関係がないのか』といえば実はそうでもありません。
 明治維新と関係がある熊本出身の人間としては

熊本藩出身の人物:順番はあいうえお順】
井上毅
 伊藤博文の側近として大日本帝国憲法皇室典範教育勅語軍人勅諭などの起草に参加した。法制局長官、枢密顧問官、第2次伊藤内閣文部大臣を歴任。
河上彦斎
 薩摩藩田中新兵衛中村半次郎桐野利秋)、土佐藩岡田以蔵と共に「幕末の四大人斬り」と呼ばれる人物。佐久間象山暗殺の実行犯の一人として知られる。
宮部鼎蔵
 熊本藩出身の尊皇倒幕派池田屋事件において新選組によって殺害される。明治24年(1891年)に従四位を贈られている。また宮部は、池田屋事件で殺害された杉山松助吉田稔麿長州藩)、石川潤次郎、北添佶摩土佐藩)、大高又次郎(林田藩)、松田重助(熊本藩)とともに俗に『池田屋事件・殉難七士』と呼ばれる。
元田永孚
 儒学者教育勅語の起草に参加。宮中顧問官、枢密顧問官を歴任。
横井小楠
 ただし、熊本藩ではその才能が認められなかった。一方、福井藩主・松平春嶽からその才能を認められて、春嶽の政治顧問として採用されたため、三澤氏に寄れば熊本よりもむしろ福井で明治150年記念イベントがされたとのこと。

がいますし、士族反乱の一つ『神風連の乱』は熊本で発生している。また西南戦争で西郷軍と政府軍が激突したのは熊本城だからです(以上はウィキペディア
Category:幕末熊本藩の人物 - Wikipediaなどを参照。なお、熊本には熊本藩とは別に人吉藩もありますが小生がググった限りではあまり有名な人間はいないようです)。
 三澤氏は『明治維新万歳の安倍自民の立場では教育勅語の起草に関わった井上毅元田永孚を大々的に顕彰するイベントが熊本でされてもおかしくないのにそうならなかったのは興味深い事実』『彼らを顕彰することによって国内外から批判が起こることを恐れたのか、はたまた単に『井上や元田に興味がないだけ』なのか?』『そもそも熊本県民において彼らの知名度が低いことも興味深い事実』と指摘しています(まあ、話を安倍に限定すれば、『教育勅語万歳ウヨ』とはいえ、あの『頭の悪い男』が井上毅元田永孚を知っているとはとても思えませんが)。
 ちなみにググったら

【維新伝心150年】近代教育(下)2人の熊本人 慎重期した教育勅語 - 産経ニュース
 明治政府は西欧流の教育制度を導入した。国力の源である科学技術分野で、先進国に追い付くことが最重要課題だったからだ。しかし急速な欧化によって、わが国の価値観・道徳観が大きく揺らいだ。深まる混迷を払おうと、2人の元熊本藩*61が「教育勅語」を作り上げた。

【士魂を育む 今村裕の一筆両断】教育勅語に込められた日本人の「こころ」 - 産経ニュース
 西洋化の中で日本の良き伝統や文化が失われていく。明治天皇はそう心配し、井上毅(こわし)と元田永孚(もとだながざね)に倫理道徳観の基本を作成するよう命じました。それが『教育勅語』(明治23年10月発布)です。

として産経が「教育勅語の起草者」として「井上毅」「元田永孚」を「一応」好意的に紹介していますね。
 勿論産経が

【士魂を育む 今村裕の一筆両断】教育勅語に込められた日本人の「こころ」 - 産経ニュース
 昨年10月、内閣改造がありました。大臣の記者会見では、それぞれ定番の質問が出ます。(ボーガス注:極右・安倍政権下での)文部科学大臣の場合は、教育勅語についての考えです。肯定的な発言をしようものなら、よってたかって叩かれます。踏み絵を迫るかのような記者会見の様子を見るたびに、質問者は教育勅語の成立当時の日本の苦悩、そこに書かれた徳目などをどれほど理解しているのだろうか*62、と疑問に思います。

教育勅語を絶賛し、批判派に対して「教育勅語を絶賛して何が悪い」と居直るのはいつものお約束です。
【参考:教育勅語と安倍政権】

主張 教育勅語美化発言 「まっとう」という見識を疑う」│歴史教科書、「日の丸」・「君が代」│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会
 下村博文*63文部科学相が、戦前の軍国主義教育を 推進する主柱だった教育勅語について「中身はまっとうなことが書かれている」と発言したのも見過ごせません。安倍政権の「教育再生」を担当する下村氏の発言は、教育の面から「戦争する国」づくりを推進する危険を示しています。

主張/教育勅語称賛発言/取り戻したいのは戦前なのか
 国有地の「格安」売却疑惑の渦中にある「森友学園」の幼稚園で園児に教育勅語を暗唱させていることが問題になっている中、稲田朋美*64防衛相が国会で「教育勅語の精神を取り戻すべきだ」などと称賛する答弁をしたことに批判が上がっています。教育勅語は戦前、子どもたちに「天皇のために命をささげる」ことを教え込んだ軍国主義教育の主柱です。その精神を「取り戻す」と公言してはばからない稲田氏の防衛相としての資質がきびしく問われます。

主張/教育勅語も「教材」/歴史反省しない政治は許せぬ
 安倍晋三政権が、戦前の「教育勅語」を学校教育の教材にすることを認める見解をまとめ、菅義偉官房長官松野博一文部科学相が道徳の教材にすることも「否定しない」と発言して反発を呼んでいます。異常な「天皇中心主義」で国民を戦争に駆り立てた「教育勅語」を、道徳の教材にするなど許されません。菅長官は「憲法教育基本法に反しなければ」としていますが、戦後の憲法教育基本法制定に伴って国会でも排除・失効が決まった「教育勅語」が、憲法などと両立するわけはありません。安倍政権の態度は歴史を反省しない政治そのものです。

主張/教育勅語復活発言/形変えても本質は変わらない
 安倍晋三首相による内閣改造文部科学相として初入閣した柴山昌彦氏が就任会見で、教育勅語について「アレンジした形で今の道徳に使うことができる分野は十分にあるという意味では、普遍性を持っている部分が見て取れる」「現代的にアレンジして教えていこうという動きがある。検討に値する」などと発言しました。戦前、軍国主義教育を進める主柱となっていた教育勅語を、形を変えて復活させようというもので、国の文部行政の責任者が就任早々このような発言をするのは異常です。

【参考:明治150年と唐津

明治維新150年記念事業/唐津市
 幕末維新期の唐津は、徳川幕府譜代大名という位置づけのもと、最後まで徳川家に忠誠を尽くし明治新政府に抵抗しましたが、ついに降伏しました。賊軍としてのレッテルを貼られ明治維新を迎えた唐津藩は、これまでの思想や方針を180度変更し、英学校としての「耐恒寮(たいこうりょう)」に代表されるように、明治という国家や近代化に適合できる人材育成と人材の輩出を目指しました。この動きに応えるように辰野金吾*65(たつのきんご)、曽禰達蔵(そねたつぞう)、天野為之*66(あまのためゆき)、長谷川芳之助(はせがわよしのすけ)、大島小太郎(おおしまこたろう)など、近代的な建築学や経済学、法学などを学び、明治期の日本や唐津の最前線で活躍できる人材が多数輩出されました。
 また、唐津の近代化を語る上で重要なのが石炭です。幕末から維新期にかけての唐津の石炭の出炭量は、全国の約3分の1にまで及び、新政府軍として戦った薩摩藩熊本藩久留米藩佐賀藩唐津で石炭採掘を行っていました。特に明治維新の立役者の薩摩藩などは、唐津の石炭がなかったら、軍艦(蒸気船)を動かすこともできなかったでしょう。このように、幕末維新期のエネルギー源を、唐津が大きく支えていたといっても過言ではありません。これらの石炭は、明治以降、唐津の鉄道施設や国際港としての港湾整備、さらには電気の普及などのインフラ整備の要因にもつながり、唐津の近代化を推進し、経済を潤す大きな原動力にもなりました。

唐津藩の危機、石炭が救う 明治新政府へ献上、軍艦燃料に 幕府支える譜代の立場転換|【西日本新聞ニュース】
 幕末から明治維新にかけ唐津地方の石炭は国内採掘量の約3分の1を占めていた。唐津藩は、明治新政府に対し軍艦や輸送船として使われた蒸気船の燃料の石炭を供給し、戊辰戦争ではエネルギー面で重要な役割を果たした。「唐津の石炭がなかったら明治維新は遅れていたかもしれない」。こんな見方を示す唐津市明治維新150年事業推進室係長の黒田裕一さん(51)に、維新に不可欠だった石炭を通し激動の時代を読み解いてもらった。
 当時の唐津藩は、藩主の小笠原長国(ながくに)の養嗣子、長行(ながみち)が江戸幕府最後の老中を務め、佐幕派と見られがちだ。しかし、実は石炭供給は、新政府の敵とみなされていた藩が攻め滅ぼされないよう長国が講じた起死回生策だった。
 新政府軍が旧幕府勢力を破った鳥羽伏見の戦い(1868年)を皮切りに戊辰戦争が始まると、唐津藩は存亡の危機に陥る。新政府側の薩摩藩兵が現在の伊万里市まで迫ってきて駐留し、幕府を支えてきた譜代大名の長国に対し降伏開城を突きつけたのである。さらに京都の新政府中枢部は、第2次長州征討(1866年)で指揮を執り討幕派の長州藩に敗れた長行について、切腹唐津で謹慎させるよう長国に求めてきた。
 長国は、長行との養子関係を断つ苦渋の決断をする。京都に上るため、呼子に寄港していた佐賀藩前藩主の鍋島直正に「新政府に奉仕したい」との思いを伝え、ともに上洛(じょうらく)するのである。「臨機応変に立ち回る才覚がある人だった。幕府側に立つ譜代大名の宿命から脱却し、藩を存続させることを優先させた」と黒田さん。
 長国は、新政府に従順さを猛烈にアピールしなければならなかった。そこで思いついたのが唐津に豊富にある石炭の献上だった。「新政府は戊辰戦争を続けるための資金力が不足していた。当時、関東などで戦うためにも、人員、物資を運ぶのに必要な蒸気船の燃料の石炭を非常に欲しており、長国は石炭の献上によって立場の好転を画策した」と黒田さんは指摘する。
 新政府から石炭買い取りの要請があると、長国は3千トンの献上を申し出る。新政府側も大きな石炭供給地を領する長国の懐柔を図ることにし、それまでの小笠原家の地位より格上の官職を与えた。長国はその後も新政府に石炭の供出を続け、唐津藩は朝敵となる危機から脱した。


◆科学運動通信『「陵墓限定公開」四〇周年記念シンポジウム「文化財としての「陵墓」と世界遺産」参加記』(阿部大誠、森田喜久男*67
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

文化財としての「陵墓」 大阪歴博でシンポジウム - 毎日新聞
 宮内庁が歴代天皇らの墓として管理する「陵墓」を考えるシンポジウム「文化財としての『陵墓』と世界遺産」が22日午前10時半から、大阪歴史博物館大阪市中央区)講堂で開かれる。陵墓は原則的に立ち入りが制限されるが、考古・歴史学の研究者らは宮内庁に公開と文化遺産としての評価を求めてきた。

陵墓の公開めぐり、研究者ら討論:朝日新聞デジタル
 歴代天皇・皇后や皇族の墓として宮内庁が管理し自由な立ち入りを禁じている「陵墓(りょうぼ)」の公開を求めてきた歴史・考古学系16学・協会の研究者によるシンポジウム「文化財としての『陵墓』と世界遺産」が12月下旬、大阪市大阪歴史博物館であった。陵墓の限定公開が40周年を迎えたことを記念して開催。

「陵墓」テーマ、大阪歴博でシンポ 学術・信仰・観光、分別が課題 - 毎日新聞
 宮内庁が歴代天皇の墓などとして管理する「陵墓」を考えるシンポジウムが2019年12月22日、大阪歴史博物館大阪市中央区)であった。19年に世界文化遺産登録された「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」(大阪府)の構成資産49基のうち29基が陵墓。原則非公開、学術的根拠がないまま「仁徳天皇陵古墳」(大山古墳、堺市)のように被葬者が確定したかのような登録名称など、課題も多い。考古学、歴史研究者があるべき姿について意見を交わした。
 1979年に清寧天皇陵とされる白髪山古墳(大阪府羽曳野市)が限定公開されて40年を記念し開かれた。当時を知る文化財保存全国協議会の宮川徏(すすむ)*68さんが「最初は墳丘に入れず撮影も止められるような『公開』だった。その後、墳丘裾までの立ち入り観察も許されるようになったが、さらに自由な見学にしていく必要がある」と訴えた。

  一応簡単にコメントしておけば、まず第一に宮内庁が陵墓の発掘に消極的なために、陵墓の考古学的研究は進んでおらず、学者がこのように「学問調査の実施」を宮内庁に要求しています。
 第二に、陵墓指定は「明治時代の指定がそのまま」なので「清寧天皇陵とされる白髪山古墳」「仁徳天皇陵とされる大仙古墳(大山古墳)」などは本当に天皇陵か分かりません。


◆書評:水野剛也著『有刺鉄線内の市民的自由:日系人戦時集合所と言論』(2019年、法政大学出版会)(評者・秋山かおり)
(内容紹介)
 「日系人戦時集合所」とはあまり聞き慣れない言葉ですがもっとわかりやすく言えば「太平洋戦争での日系人強制収容所」のことです。

全米日系人博物館:強制収容所データ
◆「集合センター」の所在地と運営期間
 米国陸軍によって管理された16ヶ所のセンターは、強制立ち退きを命じた日系アメリカ人たちを、(ボーガス注:本格的な)強制収容所へ送るまでのあいだ、拘留するために設けられた。センターは野外催事場や競馬場の馬小屋などを急ごしらえで転用したもので、その施設は人間が住むようなものではなかった。

ということで「一時的な仮設収容所=日系人戦時集合所」ですね。
 なお、「一時的な仮設収容所=日系人戦時集合所」は軍の管理ですが

全米日系人博物館:強制収容所データ
強制収容所の所在地と運営期間
 戦時転住局に管理された10ヶ所の強制収容所は、有刺鉄線に囲まれ、武装した警備兵に監視されていた。

ということで本格的な強制収容所については新たに「戦時転住局」という機関が「内務省」の下部組織として軍とは別に設置されます。
 水野著書についてはアマゾンの内容紹介を紹介しておきます。

【内容】
 第二次世界大戦下、アメリカ西海岸地域に住む約十二万人の日系人は敵性外国人として居住地を追われ収容施設に隔離された。最初期の日系人仮設収容所である「集合所」で行われた印刷物の検閲や日本語使用の規制など多領域にわたる市民的自由の侵害を実証的に解明。戦時民主主義の限界と矛盾を問う。
【著者について】
 1970年、東京都生まれ。アメリカ・ミズーリ州立大学スクール・オブ・ジャーナリズム博士課程修了。現在、東洋大学社会学部教授。著書に『日系アメリカ人強制収容とジャーナリズム:リベラル派雑誌と日本語新聞の第二次世界大戦』(春風社、2005年)、『「敵国語」ジャーナリズム:日米開戦とアメリカの日本語新聞』(春風社、2011年)、『「自由の国」の報道統制:大戦下の日系ジャーナリズム』(吉川弘文館、2014年)、共訳書にM. エメリー、E. エメリー、N. L. ロバーツ『アメリカ報道史:ジャーナリストの視点から観た米国史』(松柏社、2016年)がある。

 ということで収容所内での新聞発行、集会開催などは事前検閲がされており、それについて取り上げた著書だそうです。


◆書評:ティヴァダル・ソロス『仮面のダンス:ジョージ・ソロスの一家はいかにしてナチ党支配下ハンガリーを生き延びたのか』(2017年、現代企画室)(評者・割田聖史*69
(内容紹介)
 ジョージ・ソロスとは著名な投資家でティヴァダル・ソロスとはジョージの父親です。
 ユダヤ人であるソロス一家が、ナチ支配下ハンガリーでどのように生き延びたかが書いてあるそうです。
 なお、割田氏も触れていますが、「ナチ支配下ハンガリーユダヤ人」といえば、戦場のピアニスト - Wikipedia(主演のエイドリアン・ブロディ*70はこの作品でアカデミー主演男優賞を受賞)という映画の主人公ウワディスワフ・シュピルマンも「ナチ支配下ハンガリーユダヤ人」です。

*1:一橋大学准教授。著書『植民地期朝鮮の地域変容:日本の大陸進出と咸鏡北道』(2017年、吉川弘文館)、『だれが日韓「対立」をつくったのか:徴用工、「慰安婦」、そしてメディア』(共著、2019年、大月書店)

*2:安倍が『新日鐵住金(現・日本製鉄)の敗訴判決』に逆ギレしてホワイト国除外などの暴挙に走ったことで知られる裁判。

*3:弁護士。龍谷大学安重根東洋平和研究センター客員研究員。著書『日本が知らない戦争責任:国連の人権活動と日本軍慰安婦問題』(1999年、現代人文社)、『図際人権法入門』(2003年、明石書店)、『ILOとジェンダ一:性差別のない社会へ』(2006年、日本評論社)、『国連人権理事会』(2009年、日本評論社)など

*4:著書『浜岡・反原発の民衆史』(2014年、社会評論社)、『静岡県水平社の歴史』(2016年、解放出版社)、『日本陸軍のアジア空襲:爆撃・毒ガス・ペスト』(2016年、社会評論社)、『明治日本の産業革命遺産・強制労働Q&A:八幡製鉄所、 長崎造船所、高島・端島炭鉱、三池炭鉱』(2018年、社会評論社)など

*5:同志社大学教授。著書『したたかな韓国:朴槿恵時代の戦略を探る』(2013年、NHK出版新書)、『韓国化する日本、日本化する韓国』(2015年、講談社

*6:神戸大学教授。著書『朝鮮半島をどう見るか』(2004年、集英社新書)、『高宗・閔妃』(2007年、ミネルヴァ日本評伝選)、『韓国現代史:大統領たちの栄光と蹉跌』(2008年、中公新書)など

*7:フェリス女学院大学教授。著書『天皇韓国併合』(2011年、法政大学出版会)、『朝鮮王公族:帝国日本の準皇族』(2015年、中公新書

*8:京都大学教授。著書『韓国語はじめの一歩』(2000年、ちくま新書)、『韓国人のしくみ』(2001年、講談社現代新書)、『歴史認識を乗り越える』(2005年、講談社現代新書)、『韓国は一個の哲学である:〈理〉と〈気〉の社会システム』(2011年、講談社学術文庫)、『心で知る、韓国』(2012年、岩波現代文庫)、『入門・朱子学陽明学』(2012年、ちくま新書)、『新しい論語』(2013年、ちくま新書)、『朝鮮思想全史』(2017年、ちくま新書)、『京都思想逍遥』(2019年、ちくま新書)など

*9:武藤などと違い『露骨な差別ではない』とはいえ、加藤報告が『嫌韓国本扱い』し、『朝日もここまで劣化したか』と嘆く小倉本が『ウヨの巣窟・アマゾンレビュー』では『韓国に媚びてる』などと評価されるのだから小泉純一郎の有名な居直り発言『人生いろいろ、会社もいろいろ』ではないですがまさに『人間いろいろ』です。

*10:日経新聞ソウル特派員、元日経編集委員(2018年に日経を定年退職)。2012年1月24日から2019年1月8日まで、『日経ビジネスオンライン』にコラム「早読み 深読み 朝鮮半島」を連載。現在、週刊新潮にコラム『半島を読む』を連載中( 鈴置高史 - Wikipedia参照)。

*11:朝日新聞編集委員朝鮮半島)。元朝日新聞ソウル支局長

*12:なお、加藤報告は2019年11/30に行われたので牧野『韓国を支配する「空気」の研究』(2020年、文春新書)は取り上げられていません。

*13:元駐韓大使

*14:そのため、加藤報告では櫻井よしこ『赤い韓国:危機を招く半島の真実』(共著、2017年、産経新聞出版)、『韓国壊乱:文在寅政権に何が起きているのか』(共著、2018年、PHP新書)、ケント・ギルバート儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(2017年、講談社+α新書)など世間的に韓国通扱いされてない人間の嫌韓国著書は取り上げられていません。

*15:外務官僚。駐メキシコ大使、駐南ベトナム大使など歴任

*16:三菱電機社長、会長を歴任

*17:駐日大使、韓国外相など歴任

*18:外務事務次官、駐米大使など歴任

*19:おそらくオフレコ扱いに義憤を感じたマスコミ記者の赤旗へのたれ込みでしょう。

*20:戦前は満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後は日本民主党幹事長、自民党幹事長、石橋内閣外相などを経て首相。佐藤栄作元首相の実兄。安倍晋太郎元外相の義父。安倍晋三現首相の祖父。

*21:戦前から「岸信介・東条内閣商工相』のもとで商工次官を務めた岸の側近。岸が政界入りした際に岸の誘いで政界入り。岸内閣官房長官、池田内閣通産相、外相、佐藤内閣外相、通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、総務会長(佐藤総裁時代)、副総裁(田中、三木総裁時代)など要職を歴任。佐藤内閣外相時代に日韓国交正常化を実現。一般には三木武夫を首相に指名した、いわゆる「椎名裁定」で知られる。

*22:サイマル出版会

*23:東京外国語大学助教。著書『ニコス・プーランザス 力の位相論』(2015年、吉田書店)

*24:1936~1979年。ギリシャアテネに生まれフランスで活躍した政治学者。ギリシャ共産党員。いわゆるユーロコミュニズムに影響を与えた理論家の一人とされる。1979年に43歳の若さで謎の自殺を遂げている(柏崎氏は1980年代のレーガン(米国)、サッチャー(英国)の台頭、コール(ドイツ)の長期政権など1980年代における欧米左派の困難を1979年時点で認識したプーランザスが絶望のために自殺したのではないかと評価していますが、まあこういうことは遺書でもない限り、軽々に語るべきことではないでしょうね)( ニコス・プーランツァス - Wikipedia参照)。

*25:英国の政治学者。著書『資本主義国家:マルクス主義的諸理論と諸方法』(1983年、御茶の水書房)、『国家理論:資本主義国家を中心に』(1994年、御茶の水書房)、『資本主義国家の未来』(2005年、御茶の水書房)、『国家権力:戦略・関係アプローチ』(2009年、御茶の水書房

*26:著書『マルクス主義政治理論の基本問題』(1971年、青木書店)、『先進国革命と多元的社会主義』(1978年、大月書店)、『マルクス主義国家論の新展開』(1979年、青木書店)など。訳書としてラルフ・ミリバンド『現代資本主義国家論』(1970年、未來社)、『マルクス主義政治学入門』(1979年、青木書店)、『階級権力と国家権力』(1986年、未來社)など

*27:1912~1986年。著書『神話と文学』(岩波現代文庫)、『中世的世界の形成』(岩波文庫)、『歴史と民族の発見:歴史学の課題と方法』(平凡社ライブラリー)など

*28:大阪大学名誉教授。著書『王陵の考古学』(2000年、岩波新書)、『古代国家はいつ成立したか』(2011年、岩波新書)など

*29:國學院大學名誉教授。横浜市歴史博物館館長

*30:東京大学教授。著書『道長と宮廷社会』(2009年、講談社学術文庫)、『律令国家と隋唐文明』(2020年、岩波新書)など

*31:京都大学教授。著書『飛鳥の都』(2011年、岩波新書)など

*32:国立歴史民俗博物館教授。著書『古墳時代政治構造の研究』(2007年、塙書房)、『前方後円墳の世界』(2010年、岩波新書)、『カミ観念と古代国家』(2010年、角川叢書)、『前方後円墳国家』(2017年、中公文庫)、『前方後円墳とはなにか』(2019年、中公叢書)など

*33:著書『邪馬台国ヤマト王権』(2016年、えにし書房)

*34:白石太一郎編『日本の時代史 倭国誕生』(2002年、吉川弘文館)のことか?

*35:九州大学教授。著書『近世大名家臣団と領主制』(1997年、吉川弘文館)、『藩国と藩輔の構図』(2003年、名著出版)、『近世領主支配と地域社会』(2009年、校倉書房)、『武士の奉公 本音と建前:江戸時代の出世と処世術』(2014年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『近世政治社会への視座』(2017年、清文堂出版

*36:東京学芸大学教授。著書『近代中国の政治統合と地域社会:立憲・地方自治・地域エリート』(2010年、研文出版)、『袁世凱』(2015年、山川出版社世界史リブレット人)

*37:有名なのが例えば「関東軍が爆殺した張作霖」「張作霖の義理の息子で西安事件の首謀者として知られる張学良」「張学良と共に西安事件を実行し、後に蒋介石によって殺害された楊虎城」です。

*38:最近の若者は『北斗の拳』といっても何のことだかさっぱりわからないでしょうが。あのマンガも1980年代連載ですからね。パチスロ北斗の拳くらいでしか今はまず見ないんじゃないか。

*39:辛亥革命での混乱状態を利用し、外モンゴルは独立を宣言し、実際に独立を果たします(ただし内モンゴルは独立できず)。しかし、チベットは「独立を宣言した」ものの国際社会には相手にされず、ウイグルも後に「東トルキスタン共和国」を「建国」しますが、結局は崩壊します。内モンゴルウイグルチベット全て今も中国の領土です。なお、これはあくまでも「各地の少数民族が独立を目指し、それにすぐには対応できないほど、中央政府の力が弱体化していた(ただしそれでも実際に独立できたのは外モンゴルだけであった)」という「事実を説明している」だけで俺が「独立論を支持しているわけではないこと」をお断りしておきます。

*40:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*41:1881~1936年。著書『阿Q正伝狂人日記 他十二篇』、『故事新編』、『朝花夕拾』、『野草』(以上、岩波文庫)、『阿Q正伝』(角川文庫)、『阿Q正伝・藤野先生』(講談社文芸文庫)、『故郷/阿Q正伝』、『酒楼にて/非攻』(以上、光文社古典新訳文庫)、『中国小説史略 (上)(下)』(ちくま学芸文庫)、『吶喊』(中公文庫)など

*42:それはそれでメリットもあるわけですが。

*43:本当かどうか知りませんが、一部の日本ウヨは人民解放軍軍閥扱いし、「中国中央政府が弱体化すれば、中華民国時代のような軍閥割拠状態になる」と放言しています。たとえば【野口裕之の軍事情勢】反習近平派の拠点、中国人民解放軍「瀋陽軍区」が北と通じてクーデターを計画している!(1/5ページ) - 産経ニュース【野口裕之の軍事情勢】習近平氏が人民解放軍「瀋陽軍区」に怯えている! 核の原料・技術を平壌に流す?最精強集団(1/8ページ) - 産経ニュース新型肺炎“無策”で…習政権に人民解放軍が暴発寸前か 反習派の牙城「北部戦区」動く!? 識者「習氏の『個人崇拝』は崩れつつある」 (1/3ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイトはそうした放言の一例です。また、さすがに「現在の人民解放軍」を軍閥呼ばわりはしてないとは言え、「軍閥を押さえ込み取り込むことで人民解放軍は形成された」という指摘として人民解放軍の源流は「私兵」だった 中国の政治と軍の悩ましい関係史 澁谷由里・帝京大教授 (1/3ページ) - 産経ニュースを紹介しておきます。

*44:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相などを経て大統領

*45:参謀次長、原、第2次山本内閣陸軍大臣を経て首相

*46:熊本大学准教授

*47:参議、大蔵卿、内務卿など歴任。紀尾井坂の変で暗殺される

*48:参議、陸軍大将、近衛都督を歴任。後に西南戦争を起こし自決。

*49:第一次伊藤内閣農商務相、首相、第二次伊藤内閣逓信相、枢密院議長など歴任。元老の一人。

*50:大蔵卿、第1次伊藤、黒田、第1次山県、第2次伊藤、第2次山県内閣蔵相、首相、内大臣など歴任。元老の一人。

*51:参議、文部卿、内務卿を歴任

*52:首相、貴族院議長、枢密院議長、韓国統監など要職を歴任。元老の一人。安重根によって暗殺される。

*53:陸軍卿、内務卿、第一次伊藤内閣内務相、首相、第二次伊藤内閣司法相、枢密院議長、参謀総長など歴任。元老の一人。

*54:参議、外務卿、第1次伊藤内閣外相、黒田内閣農商務相、第2次伊藤内閣内務相、第3次伊藤内閣蔵相など歴任。元老の一人。

*55:参議、第二次伊藤、第二次松方、第一次大隈内閣内務相など歴任

*56:参議、工部大輔、黒田、第1次山県、第1次松方内閣逓信相、第2次伊藤内閣農商務相など歴任

*57:参議、司法卿を歴任。後に佐賀の乱を起こし死刑

*58:参議、大蔵卿、第一次伊藤、黒田内閣外相、首相など歴任

*59:参議、外務卿、第1次松方内閣内務相など歴任

*60:明治新政府で第1次伊藤、黒田内閣逓信相、黒田、第1次山県内閣文相、第1次松方内閣外相、第2次伊藤、第2次松方内閣農商務相など要職を歴任

*61:井上毅元田永孚のこと

*62:「当時としては教育勅語は意味があった」かどうかなんて話は誰もしていません(まあこれだって「当時においても教育勅語は有害無益だった」と否定的な人間はいるでしょうが)。「今の時代に教育勅語を評価し、活用する意味があるのか」という話をしているのであり、それに「イエス」と答えるのは産経や日本会議のような極右だけです。

*63:第一次安倍内閣官房副長官、第二次安倍内閣文科相などを経て現在、自民党選対委員長

*64:第二次安倍内閣行革相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣防衛相など歴任

*65:帝国大学工科大学学長(現在の東京大学工学部長に当たる)。日銀本店、東京駅の設計などで知られる。

*66:東洋経済新報社主幹、早稲田大学学長、早稲田実業学校校長を歴任

*67:淑徳大学教授。著書『日本古代の王権と山野河海』(2009年、吉川弘文館)、『古代王権と出雲』(2014年、同成社

*68:古墳の守り人 | 動画で見るニッポンみちしる~新日本風土記アーカイブス~在野で書き残す「破壊の嵐」 宮川徏さん「よみがえる百舌鳥古墳群」|好書好日古墳の丘を歩む人~「よみがえる百舌鳥古墳群」著者宮川徏さんに聞く~(1) | つーる・ど・堺【堺・南大阪の地域情報】によれば本業は歯科医で『よみがえる百舌鳥古墳群:失われた古墳群の実像に迫る』(2018年、新泉社)と言う著書があるそうです。

*69:青山学院大学教授。著書『プロイセンの国家・国民・地域:19世紀前半のポーゼン州・ドイツ・ポーランド』(2012年、有志舎)

*70:1973年生まれ。2002年公開の『戦場のピアニスト』でアカデミー主演男優賞を受賞。29歳での受賞記録は、現在でも史上最年少記録である( エイドリアン・ブロディ - Wikipedia参照)。

島田洋一に突っ込む(2020年5月18日分)

島田洋一のツイート

島田洋一
 この機会に最高裁判事(司法そのもの)を内閣任命制から国会承認制に改め承認公聴会を行う憲法改正に踏み込むべきだ。一番困るのは左翼で、日弁連が政権との談合で既得権としてきた「左翼枠」が白日の下に晒され成り立たなくなる

 検察庁法改定問題なのに、「検事総長の国会承認制(絶対に安倍が呑まないでしょうが)」ならまだしもなんで「最高裁判事の国会承認制」なんて話が出てくるのか謎*1ですが、『一番困るのは左翼』てのは色々な意味で意味不明ですね。
 「日弁連ガー」て、別に日弁連は左翼組織ではないし、「自民党政権」が選ぶような弁護士は島田の立場では「左翼」なんでしょうが、せいぜいリベラル保守にすぎないわけです。
 かつ「検察枠(法務事務次官、東京高検検事長など)」「判事枠(東京高裁長官、大阪高裁長官など)」「学者枠」「(検察、判事以外の)官僚枠(外務省や内閣法制局:外務事務次官内閣法制局長官など)」もあるのにそっちは無視して「弁護士枠ガー」てのも滑稽です。
 「弁護士枠ガー」どころか、むしろ「検事枠を持つ検察」や「官僚枠を持つ外務省や内閣法制局」といった官僚組織の方が国会承認には否定的じゃないか。もちろん安倍もそういうことを望まないでしょうが。そして「天皇元首化」「九条改定(集団的自衛権の正当化)」「地方首長の公選制廃止(首相による任命や地方議会による間接選挙など)」など「左翼が反対する類の改憲案」を持ち込まない限り、むしろ「国会承認制に改める憲法改定」には左翼(共産や社民など)は反対どころか「検察枠」「外務省・内閣法制局枠」に突っ込む機会が出来て大喜びではないのか。
 なお、歴代自民党はともかく、安倍政権においては
国民審査で信任されるのか 木澤克之判事は加計学園元監事|日刊ゲンダイDIGITALでありどう見ても弁護士判事も「日弁連」云々ではなく「安倍友」から選ばれており、それこそ「国会承認人事」になどしたら安倍の立場がかえって悪くなるでしょう。こうした事実を島田が知らずに「日弁連ガー」なら滑稽だし、知っていてこんなことを言ってるのなら悪質なデマ屋です。

島田洋一
 「米中対立」すなわち2つの「国」の争いではない。文明対ファシズムの闘争であり、日本は文明側に立つのかチャイナチの御用商人として生きていくのかが問われている。両方の御用商人でありたい、はもう許されない

 「打倒中国を叫ぶ極右」島田らしい非常識ツイートですが、トランプはまさか「打倒中国」は考えてないでしょう。もちろん秋に習主席を招待する予定の安倍だってそんなことは考えてない。
 それにしても「文明対ファシズムの闘争」ねえ。日米だけでなく英仏独伊だってそこまで中国を敵視などしてないでしょうに、島田の言う「文明側の国」とは一体どこにあるのか。

島田洋一
 私は中共ファシズムと規定していますが、左翼が「安倍はファシスト」とレッテル貼りするのとは違って学問的根拠を示しています。歴認研創刊号に載った「ファシズム概念と歴史戦」を参照頂けると幸いです。

と自画自讃する島田ですが、島田の文章を読んでも「どこが学問的根拠なのか?」と頭痛がしてくる代物です(なお「歴認研(歴史認識問題研究会)」とはただの極右・歴史修正主義団体でありまともな学術団体などではありません)。
 誰しも島田に対して
1)一般にファシズムの定義、あるいは特徴として「右翼反共主義」があげられる。そのため「共産国」である中国は一般的理解ではファシズムに該当しないのだが、その点、島田はどう考えてるのか?。島田にとってファシズムの定義、特徴は何か?
2)左翼独裁については「スターリニズム」という概念があるが島田はスターリニズム概念を支持しないのか?
3)中国は建国当初から島田の言うファシズムだったのか、それとも「ファシズムに変質」したのか?。変質したとするならばそれはいつなのか?
4)中国以外の共産国、例えば過去に共産国だった「旧ソ連・東欧」「カンボジアポルポト時代)」や現在も共産国である「北朝鮮」「ベトナム」「ラオス」「キューバ」もファシズムなのか?。
といった疑問を感じるでしょうが、そういったことは島田の文を読んでも全く分かりません。
 島田の自画自讃に反し、島田の駄文こそが「悪罵のためのレッテル貼り」でしょう。つまり「他のウヨ連中」はともかく島田にとって「ファシズム」呼ばわりは「最大の政治的罵倒」であり、だからこそ「島田が激しく敵視する」中国をファシズム呼ばわりするし、一方で「戦前日本や安倍」をファシズム呼ばわりされるとマジギレするわけです。

*1:俺個人は別に「最高裁判事の国会承認制」に反対ではなくむしろ賛成ですし、理由はどうあれ島田がこんなことを言いだしたのが意外ですが。

今日の産経ニュースほか(コロナ問題以外:2020年5月18日分)

「拙速は望ましくない」9月入学導入、十分な議論求める 国公私立大学3団体トップら - 産経ニュース
 「9月入学などそう簡単にできる話ではなく、仮に実施するとしても、実施するには十分な準備が必要」「来年や再来年に実施できる話ではない」とは、当たり前の話ですが、その当たり前が通用しないのが、日本の政治家連中(日本共産党などまともな政治勢力を除く)ですのでこういう当たり前のことを言わざるを得ないわけです。


検察庁法改正案、今国会成立見送りへ 秋の臨時国会へ継続審議 - 産経ニュース
検察庁法改正案の今国会成立見送り確認 自公幹事長 - 産経ニュース
検察庁法改正案見送り「日本の民主主義にとって大きな前進」 立民・枝野氏 - 産経ニュース
石破氏「判断は適切かつ賢明」 検察庁法改正案見送り - 産経ニュース
首相「国民の理解なく前に進めない」 検察庁法改正案 - 産経ニュース
 小生のような安倍批判派の立場からすればまだまだ高い支持率で「安倍を退陣させるためにも20%台まで落とす必要がある」わけですが、検察庁法改正「反対」64%内閣支持率33% 朝日調査 [検察庁法改正案]:朝日新聞デジタル
も報じるように内閣支持率が30%台にまで落ちたこと、政権支持層ですら「反対>賛成」ということ、「コロナ問題の先行きが不透明なこと(コロナでさらに支持率が落ちるリスクを考えれば無茶しづらい)」で今国会での可決は諦めたようです。
 ある種の勝利としてひとまずは素直に喜びたい。正直、野党の批判で安倍が挫折した「安倍流大学入試改革(ひとまず保留)」、「桜を見る会(2020年は実施しないと表明)」のようになることを希望はしていましたが、「布マスク」のように強行する危険性はゼロではなかったからです。
 とはいえ
1)次期国会で継続審議で可決するもくろみ
2)黒川検事長の違法な定年延長はそのまま
であり、手放しで喜べないのも確かです。
 今後とも闘いは続くのであり、まだまだ警戒が必要です。
 結局の所、「安倍を下野させる」以外に手はないかと思います。次期国会までに何とか安倍を辞任に追い込みたいところです(もちろんそれができなくても法案提出を断念させる、法案を提出しても今国会のように可決断念に追い込むなど闘い方はありますが、「安倍辞任」がもちろん最善です)。
 安倍*1がまともになることは期待薄ですし、安倍でなければ、「立民の枝野*2代表」など、野党に政権交代しなくても、ポスト安倍が「安倍からの禅譲で、安倍のいいなり(実弟佐藤栄作*3、子分・福田赳夫*4、女婿・安倍晋太郎*5を介して政治力を維持した祖父・岸*6のように、安倍が退陣後も子分を介して政治力を維持)」でない限り、石破*7元幹事長であれ、石原*8元幹事長であれ、岸田*9政調会長であれこんな馬鹿なことは諦めるでしょうから。
 それにしても野党は「検察庁法改正を外せば他は可決してもいい」としたのに「検察庁法改正単独ではごまかしづらい」と全て継続審議というのだからいつもながら無茶苦茶です。

*1:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*2:鳩山内閣行政刷新担当相、菅内閣官房長官、野田内閣経産相民主党幹事長(海江田、岡田代表時代)、民進党代表代行(前原代表時代)を経て立憲民主党代表

*3:運輸次官から政界入り。吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、自民党総務会長(岸総裁時代)、池田内閣通産相科学技術庁長官などを経て首相

*4:大蔵省主計局長から政界入り。岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣行政管理庁長官、蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*5:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)など歴任

*6:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*7:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*8:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*9:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て自民党政調会長