今日の中国ニュース(2019年7月17日分)

台湾一の富豪、「庶民」に敗北 総統予備選、親中あだ:朝日新聞デジタル
 産経だけでなく、朝日新聞までも「理屈に合わない反中国」なのかと思うとげんなりしますね。

 党本部前に集まった支持者が訴えたのは、中国との関係を安定させて景気回復を図るという韓氏の主張の一つだ。

ということでわかるように郭台銘氏に勝利した韓国瑜氏が反中国だなどという事実はないのですから

 (ボーガス注:郭氏の)敗因の一つは、中国との関係の緊密さだ。

なんてことはあるわけもないでしょう。
 大体

・ざっくばらんな語り口で国民党の刷新を求める人々の支持を得て
・「庶民総統」のキャッチフレーズ
・旧来の国民党幹部らが「密室」で郭氏を担ぎ出したとの見方もあり、政治エリートに反発する支持層から敬遠

と「庶民イメージの韓氏が、金持ちイメージの郭氏に勝利した」と書きながら何で突然

敗因の一つは、中国との関係の緊密さだ。

なんて話が出てくるのか。


台湾・総統選、中国との距離感が争点 蔡氏VS親中候補(1/2ページ) - 産経ニュース

「皆さんに今の香港を見てほしい。2020年の総統選は、台湾の民主的な生活方式を守る戦いになる」
 蔡氏は15日、外遊先のカリブ海の島国、セントクリストファー・ネビスで記者団にこう述べた。

 「そういうナショナリズムの扇動しかお前はやることがないのか」「総統としての実績を訴えないのか」「しかも国内ならまだしも海外でそんなことをやるか」ですね。国民党が仮に勝利しようと、4年間の間に中台統一が現実の物となることはまず考えられません。国民党支持者ですらそんな早期統一は希望してないし、国民党もそんな方針ではない。
 国民党は「中台が対等な立場で」かつ「台湾住民多数の支持を得て」統一という方針です。実際、馬政権で「中台の経済交流」などは進んでも統一なんて方向には全く動いてない(中国が「将来の統一」云々と言い、それを馬政権が目くじら立てずに容認したとしても、もちろん経済交流それ自体は統一に直結するもんではありません)。
 安倍よりは有能であり、また「脱原発」「同性愛容認」というある種のリベラル性を持つとは言え、中国問題に限れば「台湾の安倍晋三」といっていいんじゃないか。いや安倍は「対韓国」はともかく「対中国」では事情はともかく「矛を収めつつ」ありますが。

 蔡政権は今年に入り、安全保障関連の法律5本を改正。中国で政治活動に参加した退役将官の年金の支給停止を可能にするなど、中国の統一工作に対抗策を講じている。

 おいおいですね。「中国で政治活動に参加した退役将官の年金の支給停止を可能にする(実際に停止するかどうかはともかく)」なんてことはおよそまともな行為ではないでしょう。年金は「老人への生活保障」であって「国が与えるご褒美」ではない。
 政治活動といったところで「福田元首相の訪中」のような、「中台で仲良くやっていきましょう」程度の話でしかないでしょうし。「安倍の韓国への嫌がらせ」といい勝負ではないのか。

 韓氏は今年3月に中国広東省などを訪問し、国務院(政府)台湾事務弁公室の劉結一主任と会談。中国寄りの「中国時報」系メディアは韓氏の動向を連日、手厚く報道している。ただ、韓氏は香港のデモで「よく知らない」と失言して批判され、最近は防戦を迫られる対中関係ではなく内政課題で政権を批判。15日の会見でも「3年余の蔡政権下で、全ての台湾人が苦しい生活を過ごしている」と語る一方、対中政策の質問は「時期が来たら話す」と回答を避けた。

 韓氏としては「景気問題など内政失政」で蔡を攻撃するのがよいという認識なのでしょう。一方、彼も「香港デモ」で「中国支持」でもないでしょうが、「蔡のせいで悪化する中台関係」を考えればあまり中国批判したくないという所なのでしょう。
 一方、蔡は蔡で「総統としての成果がろくにないこと(例:同性愛容認は悪いことではないですが景気回復ほど世間の関心は高くない)」で「反中国で乗り切ろう」と馬鹿なことを考えてるのでしょう。蔡はおよそまともな政治家ではない。
 

【主張】米国の武器売却 台湾存立に当然の措置だ - 産経ニュース
 「反中国」産経的にはそうなるのでしょうが全然当然ではないですね(なお武器購入それ自体は金額などはともかく馬政権など過去の政権もやっていたことではあります)。
 なぜなら
1)過去の武器購入が中国に配慮し「金額を抑えたり」「最新鋭武器ではなく、やや型落ちの武器*1」などにしてきたのに、今回そうした配慮があまり見られない
2)蔡英文が馬前政権に比べてやたら反中国で、「中国が抗議しても」突っぱねてる
からです。
 中国も正直「台湾政府は米国製武器を全く買うな」とは思ってないでしょう。ある程度は「大目に見る用意」はある。
 ただし「独立を計画し、中国との対立をエスカレートさせるのではないか」と疑わしい行動を蔡に公然ととられてはメンツの上で「強硬な抗議」を表明せざるを得なくなるわけです。
 正直、蔡は「反中国支持層への受け狙い」でこうしたことをやってるのではないかと疑いたくなります。

 台湾海峡の安定と地域の安全を脅かしてきたのは中国の方ではないか。

 おいおいですね。馬政権時代にはこんな対立はありませんでした。先に挑発行動をとり緊張を高めたのはむしろ蔡の方です。

 魏鳳和中国国防相は6月2日、アジア安全保障会議で「誰かが台湾分裂を図るなら、犠牲を惜しまず戦い抜く」と述べた。

 蔡が「米国からの武器購入金額を増大させる」など、「中国からの独立宣言」を画策しているのではないか、と中国に疑われる行動をとるからこその牽制に過ぎません。
 そもそも中国は「誰かが台湾分裂を図るなら=蔡が台湾独立を宣言するなら(そしてそれを欧米や日本がもし支持するなら)」戦争も辞さないと言ってるのであり「蔡が挑発的態度を控えれば済む」話です。
 なお「誰かが」と言う表現に注目したいと思います。これは「蔡に代わって別の人間が次の総統になろうが」と言う意味もあるでしょうが、それプラス「蔡を名指しで非難すること」は避けたという面もあるのではないか。

蔡英文総統は、中国の強硬姿勢への反発を追い風にむしろ支持を広げている。

 だとしたら台湾住民は愚かとしか言い様がありませんね(まあ最終的には国民党候補当選という「正しい選択」を選ぶのではないかと「願望込みながら」思いますが)。
 あえて俺は「国民党候補当選」が「正しい選択」だと言いきります。
 もちろん「台湾は中国に媚びまくれ」とはいわない。しかし現実問題として「大国中国」相手に今のような敵対的関係であることは望ましいことではないでしょう。
 蔡が国民党とは違い、「将来の中台統一」に反対するにしても、安全保障や経済などを考えれば「ある程度の中台友好関係構築」は目指して当然です。実際、蔡が「反中国路線」を改めれば、安倍が反中国路線を一応封印したが故に「G20で習主席が来日」した程度の「融和的対応」を中国もするでしょう。
 ところが非常識な反中国路線を蔡が改めないというのであれば、蔡を総統から下ろすほかないでしょう。

 「一国二制度」の結果が香港の現状である限り、台湾がこれを受け入れることはあるまい。

 やれやれですね。問題は「蔡の非常識な反中国」を容認するかどうかであって「中台統一を支持するかどうか」ではない。
 また香港について言えば「デモ隊の成果」とはいえ、一応香港当局は条例案を撤回しました。そして行政長官が「当面、出す気はない」と事実上の廃案宣言をした(メンツもあって現時点では「廃案」「撤回」を明言してはいませんが)。
 「何が何でも条例案を通す」が出来なかった中国側がもっとハードルが高い「台湾侵攻」なんか「蔡が独立宣言しない限り」到底出来るもんではありません。

*1:勿論全くのロートルでは使えませんので、そのあたり「中国の反発を買わないが、それなりに使える武器」としてある種のバランスをとるわけですが

今日の朝鮮・韓国ニュース(2019年7月17日分)

日本の右翼解説委員「文在寅のクビを切るしかない」と暴言 : 日本•国際 : hankyoreh japan
 コメント欄でバルトフェルドさんが指摘していた「フジテレビ平井の暴言」がハンギョレ日本語版で紹介されていたのでここで紹介しておきます。非常識の極みですね。問題は「これは安倍の本心でもあるのではないか」ということです。


【正論】「西方世界」の資格問われる韓国 東洋学園大学教授・櫻田淳 - 産経ニュース
 「冷戦が終わったのに、今時、西方世界って何だよ」「それともこの場合の東方ってのは東側(共産圏)つう意味じゃなくて『遅れたアジア』つう意味ですか?(韓国が遅れたアジアとはとても言えないでしょうが)」ですが、まあそこは「国際社会」とでも読み替えておきましょう。
 「国際社会の一員の資格」が問われてるのはむしろ「WTO違反行為の疑いが強い行為」を実行した安倍の方でしょう。

 『格下の国』である日本が『格上の国』である韓国に楯(たて)突いて来るのは、許し難い

なんてことは勿論韓国は考えていません。そもそもいつ韓国が「俺の方が格上だ」といったのか。というか「侵略被害国(韓国)」に対し、加害国(日本)が「なめた態度」をとれば「日韓関係に限らず」反発が出るのは当たり前の話です。
 むしろ産経や安倍などウヨの方が

 『格下の国』である韓国が『格上の国』である日本に楯(たて)突いて来るのは、許し難い

と思い上がってるわけです。

 「ロシアのクリミア併合」並みの所業と説明されても佳(よ)いかもしれない。

というのが「WTO違反行為の疑い濃厚」な安倍の報復措置について言うならそうでしょうが「韓国がそうだ」と言うのだから呆れて二の句が継げません。

 先進7カ国(G7)首脳会議でも、議論の俎上(そじょう)に載せるのがふさわしい。

 そんなことをしたってどこの国も安倍に賛同などしないでしょう。
 まあ「日本との関係を考えて」、「韓国の主張が正しい」というような露骨な安倍批判はしないかもしれない。しかし「早急に円満な解決を目指してほしい」「日韓の対立は望ましくない」という「婉曲な形での安倍批判(批判というのは言い過ぎかもしれませんが)」はするでしょう。当然ながらこんな道理の通らないことで安倍擁護しても韓国の反発を買うだけでメリットがないからです。


西村副長官「検査実施」と韓国に反論 北朝鮮石炭入港問題 - 産経ニュース

 西村康稔官房副長官は17日の記者会見で、北朝鮮産石炭を積むなどして国連安全保障理事会の制裁決議に違反した疑いのある船舶に対し、日本側が適切な措置を取らなかったと韓国側が批判していることについて「入港した際に立ち入り検査を実施している。これまで北朝鮮産石炭の運搬や国内法令に違反する事実は確認していない」と反論した。韓国の情報機関、国家情報院は16日、疑いのある船舶が最近まで日本の港に入港したなどと国会に報告した。

 真偽は今後明らかになるでしょうが、もし韓国側の指摘が事実ならこれほど滑稽な話もありません。
 まあ、仮にこれが事実として韓国側も安倍があんな無法をしなければ「やんわりと指摘」で済ませて安倍のメンツを潰すことはしなかったでしょうが。
 まあ、輸出規制についての「北朝鮮への密輸ガー」という安倍の主張が事実ならこうして「北朝鮮密輸疑惑のいろいろな話が表に出ること」は決して「安倍にとって必ずしも悪いことではない」でしょうが、まあ「事実ではないから」、安倍は「韓国が俺のメンツを潰した」「余計なことするな」と逆ギレでしょう。

 西村氏は船舶に関し「昨年8月に韓国政府が入港禁止措置*1を講じた船舶の一部が、過去に日本に入港したことは把握している」と説明した。

 問題は
「把握したのはいつなのか。入港当時既に把握していたのか、既に日本から船が立ち去った後に把握したのか、韓国から指摘があって把握したのか(その場合いつ韓国から指摘があったのか)など」
「仮に入港時把握していたのなら、なぜ韓国と違った措置(つまり入港許可)を執ったのか、韓国の措置が間違ってると言うことなのか」
「船が日本を去った後、把握したのなら、『入港当時把握した』のなら韓国同様に入港拒否したと言うことか。もしそうなら、それは日本の落ち度と言うことか。落ち度だとして再発防止策はとったのか」という話でしょうが、その当たりは産経記事を読んでもさっぱり分かりません。まさか「政府から説明もなかったし、日本マスコミも質問しなかった」のか。
 正直産経が「安保理制裁の抜け穴を封じて北朝鮮を締め上げたい!」つう「真面目な(?)アンチ北朝鮮」ならその当たり聞かずにはいられないと思うんですが。産経にとって「安保理制裁の抜け穴封じなんてややこしい話はどうでもいい」のか。


北朝鮮への車輸出「一切知らず」=大阪企業、民間報告書に反論:時事ドットコム

 米シンクタンク、高等国防研究センター(C4ADS)が報告書で、ドイツ製高級車が中国・大連や大阪、韓国、ロシアを経由し北朝鮮に輸出された可能性を指摘したことについて、大阪から韓国への車両輸送への関与を指摘された美濃物流(本社・大阪市)代表の徐正健氏は17日、メール取材に「北朝鮮へ行く車とは一切知らなかった」と述べ、北朝鮮への輸出に関与したことを否定した。
 徐氏によると、美濃物流は中国・大連の物流会社からの依頼を受け、中国から到着した貨物を日本への輸入手続きを経ずにそのまま韓国に送る「積み戻し」の申告を手配しただけという。「北朝鮮との貿易は絶対にない」と強調した。

 まあこれだけではなんとも言えませんね。もちろんこうした指摘がある以上、「そうした疑惑はある」のでしょうが、うかつなことを言えば美濃物流に対する営業妨害になりかねませんし、当面は模様眺めでしょう。今後いろいろと分かることがあるかもしれませんが。


北朝鮮、日本車など800台超密輸か 米研究機関報告書 (写真=ロイター) :日本経済新聞
大阪経由で北朝鮮へ密輸か=決議違反のドイツ高級車-シンクタンク報告:時事ドットコム
 どうやってそんなことが可能なのか、不思議に思いますが

大阪経由で北朝鮮へ密輸か=決議違反のドイツ高級車-シンクタンク報告:時事ドットコム
 米シンクタンク、高等国防研究センター(C4ADS)は16日、1台50万ドル(約5400万円)以上のドイツ製高級車2台がオランダから日本の大阪などを経由しながら北朝鮮に密輸された可能性を指摘する報告書を公表した。
 大阪には9月18日に到着し、同27日に出港。記録では日本側の荷受人は不明だが、日本から韓国への荷送り人は「美濃物流」(本社・大阪市)とされていた。
 大連での荷受人や韓国からロシアへの荷送り人はいずれも日本に登記のある貿易会社「瑞祥」。瑞祥の登録住所は兵庫県尼崎市とみられ、美濃物流の執行役員の住所と同じという。

が事実なら安倍は偉そうに「韓国から北朝鮮に密輸ガー」なんて言える立場じゃないでしょう。
 しかも指摘してるのは「米国のシンクタンク」ですから真偽はともかく安倍に因縁を付けられてる「韓国の立場をよくするための行為」でないことは確かです。


韓国与野党、反日で結束 文氏、18日に5党代表と会合(1/2ページ) - 産経ニュース
 安倍の報復措置こそが「反韓国」であり、韓国の対応は「当然の防衛措置」でしかないのですが、そういう常識は勿論産経にはありません。

 経済・外交分野で失政を重ねていると非難されてきた文政権が、今回の苦境は日本に一方的に責任があるといわばスケープゴートとし、世論の収斂(しゅうれん)を図ろうとする意図がうかがえる。

 おいおいですね。安倍の行為は無法でしかないし、それに対し文氏が「無法行為の撤回」を求めるのは当たり前です。むしろ安倍の方こそが「韓国に一方的に責任があるといわばスケープゴートとし、世論の収斂(しゅうれん)を図ろうとする意図がうかがえる」わけです。

 そもそも今回の問題は、昨年10月にいわゆる徴用工訴訟で日韓が両国関係の基盤としてきた1965年の請求権協定の趣旨を覆し、日本企業に賠償を命じる判決を最高裁が下したにもかかわらず、文氏が「司法に介入できない」の一点張りで半ば状況を放置してきたことに端を発している。

 おいおいですね。「北朝鮮への密輸ガー」「安全保障ガー」じゃなかったのか。いや「北朝鮮への密輸ガー」は「韓国のWTO提訴&日本敗訴を恐れて」の「モロバレのウソ」ですが、よくもまあこう整合性のないことが言えたもんです。
 そしてその産経の物言いなら光華寮訴訟中国敗訴判決(高裁段階)への中国の抗議「日中平和友好条約に反する。日本政府は適切な対応をすべし」に対して、当時の自民党政権が「三権分立だから司法に介入できない」の一点張りで、当時、産経も「三権分立を中国は無視するのか」と自民党政権を擁護したことはどうなるのか。およそ整合性がとれていません。
 光華寮訴訟中国敗訴判決(高裁段階)での自民党の対応が正しいなら文氏の対応も正しいし、文氏の対応が間違いなら、自民党の対応も間違いです。
 そもそも産経は何をどうしてほしいのか。判決をどうこうすることなんか三権分立上できやしません。
 仮に文政権がこの件で何かやるとしたら「裁判原告・徴用工も、裁判被告・日本製鉄も、日韓両国民も(そして安倍政権も?)納得する解決策」でしょうが、そもそも安倍が「俺たちが正しいんだ、原告なんか間違ってるんだ」「日本製鉄は和解に応じるな」と言う態度では文政権には出来ることは何もない。
 ここで「安倍の言いなりになって原告を切り捨てること」を安倍や産経は希望してるのでしょうが「無茶言うな」ですね。
 そんなことをしたところで原告や場合によっては韓国民の「日本政府批判」が高まるだけです。
 「高まってもかまわない、とにかく文政権が俺たちの側に立って原告を押さえつければいいんだ」つうなら「バカか」と呆れるだけです。
 「是非以前に*2」そんなことが文政権に出来るわけがないでしょう。文政権支持層はそんなことは望んでないでしょうから。そしてそれはもちろん反日という話ではない。

 韓国紙、朝鮮日報は15日付社説で「政府が『三権分立』を理由に8カ月間、手をこまねいていたことで問題が拡大した」と指摘した。

 朝鮮日報は文政権を敵視する「韓国の産経」「日刊・自由韓国党」みたいなもんですからねえ。はっきりいって朝鮮日報の主張の方が間違ってるでしょう。「原告・徴用工と被告・日本製鉄が話し合って和解すれば済む話」であってそれ以上でもそれ以下でもない。
 あの裁判において日韓両国政府はどちらも原告でも被告でもない。原告や被告として日韓両国政府が関わってこない話で、安倍や産経がここまでヒートアップするのがおかしい。それは結局「日本政府が被告でなかろうと徴用工の非を何一つ認めたくない」つう、ある意味くだらない話でしかないわけです。
 そして「無策だ」という朝鮮日報ですら「ならば原告も被告も日韓国民も納得する解決策とは朝鮮日報にとって何なのか」という問いには答えられないわけです。さすがに「安倍の言いなりになれ」とは朝鮮日報も公言できない。そして安倍のような男にとっては「韓国が間違ってる、俺が正しい」だから韓国にとって交渉の余地なんかどこにもないわけです。

 文氏の発言は、徴用工問題を「歴史問題ではなく、国際法上の国と国の約束を守るのかということだ」(安倍晋三首相)

 意味不明ですね。その理屈なら光華寮訴訟中国敗訴判決(高裁段階)への中国の抗議も「日本政府が国際法上の国と国の約束(田中内閣の日中共同声明福田内閣の日中平和友好条約)を守るのかということだby中国*3」と言うことで中国の言い分が正しくなるのか。「三権分立だから司法に介入できない」「裁判判決を日本政府は支持はしていない(司法への圧力になりかねないので、批判もしてないが)」といった当時の自民党政権は間違いで「自民党の態度は、日本の約束違反」だったのか。
 自民党は「中国敗訴判決を『日中平和友好条約に反する』と公然と批判する」なり「光華寮訴訟原告(台湾側)に訴訟取り下げを働きかける*4」なり何か中国のためにすべきだったのか。
 自民党は中国に対し「何らかの対応」をすることを約束すべきだったのか?*5
 おそらく安倍や産経に「光華寮訴訟中国敗訴判決(高裁段階)での日本政府の対応」との整合性を聞いてもまともに答えられないでしょう。そもそも「光華寮訴訟中国敗訴判決(高裁段階)での日本政府の対応」が念頭にないかもしれない。


韓国、中国から代替調達か 日本が輸出管理のフッ化水素 - 産経ニュース
 報道元が「上海電子報」と言う中国の新聞ですので、「中国びいきで話を盛ってる」つう可能性は無論あります。
 産経が紹介する「上海電子報」記事だと、「使ってみてダメだったら契約は打ち切る」という試験的契約であるにせよ「正式に契約締結しフッ化水素を購入する」かのようですが、もしかしたら、「交渉中にすぎない」のかもしれない。
 もちろん全くのウソ記事と言うことはさすがにないでしょうが、浜化集団側の「かなり盛った話」を上海電子報が裏取りを十分せずに流したという可能性はあるでしょう。
 現時点では「他社の報道待ち」というところでしょう。同様の報道が、中国メディア以外の「ロイター」「NYタイムズ」だのから「上海電子報の孫引き」ではなく「自ら責任を持つ報道」として出てくれば、あるいは「購入先の韓国企業が記者発表すれば」まず間違いないでしょうが。
 いずれにせよ、安倍の行為に対して「こうした対処が出てくるであろうこと」はわかりきったことです。
 おそらく「日本製でなければどうしてもダメ」ということはないでしょう。
 せいぜい「日本製が一番性能、コストなど総合面で望ましい」程度の話でしかない。ならば「当面は多少コストが跳ね上がったり、不良品の発生率が高くなったとしても代替品を都合しよう」となるに決まっています。浜化集団から購入するかどうかはともかく、また、韓国国内メーカーか、中国やロシア、欧米などの海外メーカーはともかく、「日本以外のメーカーから購入」はするでしょう。
 そしていったんそうなれば、安倍が「早期に報復措置を撤回し、二度とこんなことはないと韓国メーカーが思わない限り」、韓国半導体メーカーのそうした「フッ化水素など半導体材料での日本メーカー離れ」はどうにもならないでしょう。勿論それは反日という話ではない。
 「日本が喜んで売ってくれるのにあえて買わない」のではなく「日本が売ってくれないから買いたくても買えない*6」わけですから。
 いったん契約してしまえば、仮に今後安倍が報復措置を撤回したとしても「人情として」、『日本メーカー製品が使えそうだから、やっぱ切り替えたい』とは言いづらい。
 ましてや安倍政権が続く限り、「いったん報復措置が撤回されても」いつ同じことがまた起きるか分からないのだから、なおさら言いづらいわけです。
 「安倍が二度とこんなことはしない」と韓国メーカーが思わない限りは日本メーカーに戻ることは多分ない。そして残念ながら今の安倍では「二度とこんなことはしない」と韓国側に思わせることは到底ありそうにない。結果「韓国半導体メーカー」という「日本のフッ化水素メーカーのお得意様」が減るわけです。
 どう見ても日本にメリットはないのですが、それでも世論調査に寄れば、安倍の報復措置を批判しない日本人が多いらしいと言うのだから絶句しますね。
 残念ながら「韓国に対する不当な差別感情がある」「戦前日本に対するまともな反省がない」としか思えません。

*1:まあこの措置の是非はともかく当然ながらこうした措置を執る文政権はその北朝鮮外交をどう評価するにせよ産経などが誹謗するような「北朝鮮シンパ」ではありえません。

*2:勿論俺の立場は非ですが。

*3:当時の中国の主張は「中国がどこまで本気だったのか(本気で日本政府に何かしてほしかったのか、それとも単なる『一つの中国に反する行為はいかなるものでも絶対に認めない』という政治アピールに過ぎなかったのか)」はともかくそういう話だろうと思います。

*4:まあ取り下げないでしょうが。

*5:ただし光華寮訴訟のその後の不可解な流れ(高裁判決(1987年)から最高裁判決(2007年)を出すまで、20年も放置したあげく、最高裁で「台湾勝訴の高裁判決を破棄し、地裁に差し戻し(2019年の今も訴訟中?)」という事実上の中国勝訴判決)を考えると裏で日本政府が中国に「善処」を約束し、最高裁もそれを忖度した疑いが否定できません(なお、これは「最高裁判決が法解釈として間違ってる」と言う話ではありません。不当な政治的忖度があっても「法解釈としては判決は正しい」と言うことは当然あり得ます)。なお「最高裁の台湾敗訴判決」については「最高裁を批判しながらも」さすがに「台湾政府は勿論」、産経らウヨも「自民党政権はなんとかしろ」「何もしないのでは日台友好に反する」とは言いませんでした。

*6:正確には「売らない」わけではなく「規制してる」だけですが、安倍の態度から見て「確認手続きを口実に徹底的に輸出許可を遅らせる」つもりでしょうから、「売らない」に近いもんになるかと思います。ならば「日本ないし韓国の裁判所で韓国メーカーが日本政府(つまり安倍政権)相手に仮に訴訟を起こすにしても」、あるいは「文政権がWTO提訴するにしても」すぐに勝訴判決が出るわけではないのだから「もっと簡単に買えそうな所」を探すのは全く自然です。

今日の中国ニュース(2019年7月16日分)

台湾断交、中国が誘う甘い蜜 市長に「金はいくらでも」:朝日新聞デジタル

 2017年6月にパナマ、18年5月にドミニカ共和国が相次いで台湾と断交。同年8月、追い打ちをかけるように台湾との関係を断ったのがエルサルバドルだ。
 エルサルバドル東部、フォンセカ湾の入り江に面したラウニオン港。
 同港は「中米地域の物流拠点に」と、日本の円借款112億円を含む232億円を投じ08年に完工した。
 しかし、泥土の流入が激しく、大型船を接岸させるためには毎年巨額の浚渫(しゅんせつ)費用がかかることが判明。コンテナを下ろすクレーンも設置できなくなり、昨年寄港した船はわずか26隻。港はほぼ開店休業状態だ。
 台湾の呉チャオシエ外交部長は断交直後、この港への支援や政権への選挙資金提供を断ったことが原因の一つだと語った。台湾の与党議員によると、港湾や周辺の開発費としてエルサルバドル政府が求めたのは約270億ドル(約3兆円)。台湾外交部の年間予算は総額8億ドル足らずで、桁違いの要求だった。
 その港に触手*1を伸ばしていたのが中国だった。

 「中国とそれなりの友好関係を構築してきた」馬・前政権時代はこんなことはなかったので率直に言って「中国に挑発的な」蔡英文の自業自得だと思いますね。
 「台湾は中国の気にくわないこと(例:米国からの武器購入)もするが、中国は台湾の気にくわないこと(例:エルサルバドルとの国交樹立)をするな」なんてそんな都合のいい話はない。
 「やられたらやり返す」のは当たり前の話です。
 大体、蔡のようなアンチ中国はさんざん「中国の脅威」とわめいていたのだからこうした対抗措置を予測して当然です。「脅威」とまで敵視する国がこうした対抗措置をしないと思ってたのなら変な話です。
 それとも「口から出任せの反中国発言をほざいていた」のか。
 そもそも先日の安倍の「韓国への不当な嫌がらせ(WTO違反の疑い濃厚)」と違い「国交樹立」は少なくとも「嫌がらせではない」わけです。
 外交において「金のばらまき」なんてどこの国もやってることでそれで中国を非難するのもおかしいでしょう。台湾だって金をばらまいてきたけど「単にばらまき合戦に敗北しただけ」にすぎないわけですし。いやそれどころか、「中国が国連加盟する前」は台湾が「我が国だけが中国の正統政府だ」と言ってきたわけですしね。


キム・カーダシアンの「キモノ」に怒った日本人よ、ジンギスカンの料理名を変えて | 楊海英 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 端的に言えば、モンゴル人にとってのチンギス・ハンは、日本人にとっていわば「万世一系」の存在である天皇家と全く同じであり、料理の名前にしてはいけない神聖な存在なのだ。
 2005年4月、私はある日本の全国紙に「〈ジンギスカン〉料理名変えて」と投書した。その際、私の原稿には「もし、モンゴル人がウランバートル市内に『テンノウ焼き』や『テンノウ揚げ』という料理を出したら日本人はどう考えるのか」と書いた。担当編集者は「テンノウだけはやめて」と連絡してきて、結局「日本人が尊敬する歴史上の人物の名がついた料理が出されたらどう思うか」と変えて掲載された。

 ということでタイトルから予想されるとおりの内容です。今回ばかりは楊に大いに共感します。
 おそらく楊(内モンゴル自治区出身)も本気で「ジンギスカン*2とか、日本人はなめてんのか!」「アレはモンゴル料理じゃねえぞ!」「そもそもわがモンゴルの英雄の名前を勝手につけてんじゃねえぞ!」と言いたいわけではないでしょう。
 そのようにモンゴル人に抗議されてもおかしくない行為をやってる日本人が「あんなもん着物じゃない」とか言うのは馬鹿げてる、そんなもん大目に見ろよ、どんだけお前ら日本人は自己中のバカなんだよ、つう話です。
 まあ、「よほど酷いもの(例:トルコ風呂)」以外は、お互い「そんなもんは基本的には大目に見るべき」じゃないですかねえ。
 ちなみに昔の日本にはもっと酷い「トルコ風呂」なんてもんがありました。トルコに抗議されてさすがにソープランドに変えましたが。

*1:「甘い蜜」だの、「触手」だの、もう少し上品な表現が出来ないんでしょうか。日本マスコミ(今回は朝日)の中国への敵意を感じます。「安倍政権の悪影響」でしょうか。

*2:なお、場所によってはジンギスカン鍋のことを「義経鍋」というようです。なぜかはまあ言うまでもないでしょう。もちろん「義経ジンギスカン」説は明らかな与太ですが。

今日の中国ニュース(2019年7月15日分)

「死刑か無期懲役と宣告」=3回強制収容のウイグル人証言:時事ドットコム

 中国で弾圧を受けたウイグル人の証言を聞く集会がこのほど、明治大現代中国研究所*1と国際人権NGOアムネスティ・インターナショナル日本の共催で開かれ、2015~18年に3回強制収容された在米ウイグル人女性、メヒルグル・トゥルスンさん(29)がインターネットを通じて映像で登場。

 まあ、読んで思うのは頭に「???」がいっぱいつうことですね。

 エジプトでウイグル人男性と結婚し、三つ子を授かった。15年5月、生後45日の子供を親に見せようとカイロから中国新疆ウイグル自治区ウルムチ空港に到着したところ、拘束された。手錠・足かせを付けられ刑務所に連れて行かれ、尋問を受けた。その後強制収容所に移された。
 以前、警官に「私がなぜこんなにひどい目に遭うのか」と尋ねたことがある。「それはお前がウイグル人だからだ」との答えが返ってきた。
 2018年ごろからウイグル人家庭に監視カメラと盗聴器が設置され、女性のスカーフは禁じられ、スカートも膝上まで切られる。(イスラム教徒向けの)ハラル食材もラマダンも禁止され、各家庭に中国の国旗や習近平の写真が飾られている。病院や銀行の職員らもウイグル語は禁止され、話すと退職処分となる。
 強制収容所に関しては、村の役人に収容者を増やすようノルマが課され、達成するまで拘束は続けられている。収容所の規模は拡大しており、全ウイグル人が収容所を体験するのは時間の問題だろう。

 まあ本当に「わけもわからず連行される」つうこともあるのかもしれませんが、これを読む限り「反政府活動」とか何も出てきませんからね。
 「え、ご本人だけでなく家族にもそういう反政府活動家がいないのにいきなり連行されるの?」ですね。いや「いれば連行していい」つう話ではなく「連行理由がさっぱり分からなくて???」つう話です。
 関係各位は「民族同化」云々つう理解をしてるようですが、それにしても「民族同化」にしても、ここまで無茶苦茶なことしますかねえ。まあ、してるのなら勿論小生も批判しますし、また「このレベルでなければ同化政策でも問題ない、批判しない」つう話でもないですが。


台湾野党、総統候補に韓・高雄市長 鴻海の郭氏敗れる - 産経ニュース
 民進党の総統候補は現職の蔡英文となり、国民党の総統候補は韓国瑜・高雄市長となりました。
 蔡に敗れた頼清徳(元行政院長)は一応、離党せず、蔡を支援するようですが、今回、韓に敗れた鴻海精密工業の郭台銘・前会長はどう動くかという所でしょう。
 それにしても韓の候補就任にはびっくりです。彼が高雄市長に当選したのは「2018年12月」です。まだ半年しかたってない。
 さすがに「半年で総裁候補なんて市政をなめてる」つう批判が出て国民党候補にはなれないんじゃないかと思っていたんですが。


第一章 人類を壊滅する邪悪の陰謀

 ダーウィンの進化論には欠陥があり、長い間、信用のない仮説とみなされていた。

 今時進化論否定とはさすが邪教法輪功です。

 ダーウィンの主張は、彼の破滅的な理論「社会進化論」からきている。

 嘘八百ですね。ダーウィンの進化論はあくまでも「自然界で起こった事実(進化)を説明する仮説」でしかありません。進化がいいとか悪いとかいう価値判断はない。
 一方「社会進化論」は「ダーウィンの進化論」をヒントに生み出された「価値観を含む理論」です。進化論(事実を説明するに過ぎない、価値観を含まない仮説)と社会進化論(価値観を含む理論)は全くの別物です。

 科学というカルトは人間の理性を「科学的な合理性」に置きかえた。人々は、目に見えるものや触れられるものだけを信じるようになり、無神論的な世界観を強めるようになった。

 法輪功のような邪教が科学を敵視するのはいつものことです。

 金本位制を廃し、変動的な法定通貨が導入されると、絶え間なく金融危機が起こるようになった。

 まさかとは思いますが「金本位制復活」を主張する気でしょうか(ちなみに金本位制が廃止されたのが1971年8月のいわゆる「第二次ニクソンショック(ドルショック)」です。そして1971年7月の訪中発表がいわゆる「第一次ニクソンショック」です)。

 悪魔の企みを暴露しようとする者には、容赦なくレッテルが貼られる。「陰謀論者」「過激派」「極右」「オルタナ右翼」(右翼思想の一種。米国における主流の保守主義への代替案として出現した)「性差別」「人種差別」「戦争屋」「偏屈屋」「ナチス」「ファシスト」などである。

 つまりは法輪功とは「陰謀論者」「極右」「性差別」「人種差別」と批判されるような集団だということです。


悪魔が世界を統治している 序章

 共産主義が重要視した目標のひとつは、家族の崩壊である。男女平等、「富と婦人の共有」といった概念を推し進めた。20世紀に女性拡張運動が盛んになり、性の解放、性区別の取り外し、父権制の廃止、家庭における父親の権威の失墜が現れた。結婚の定義を変え、同性愛の合法化と立法化、離婚と堕胎の権利、母子家庭への手厚い社会保障を推し進めた。この全てが家族の崩壊をエスカレートさせ、その結果として多くの貧困と犯罪が生まれた。

 まあ、「同性愛差別する」わ「母子家庭への社会保障なんかするから家庭が崩壊するという」わ、「同性愛者の権利擁護や母子家庭の社会保障を許す共産主義よばわりする」わ、詳しく突っ込む必要すらないほどの暴論でしょう。中国政府が実際に行っている取り締まりの是非はともかく「法輪功は危険なカルトで取り締まりが必要です」つう中国の主張は全く正しいわけです。
 「明らかに邪教、カルト」の法輪功については「いかに犯罪的宗教でも法治主義や人権擁護に反する無茶苦茶な取り締まりは不可」「山口組やマフィアのような犯罪組織でも無茶苦茶な取り締まりは正当化できないのと同じだ」つう形の擁護しかどう見てもできません。

*1:ここの教員がM谷N子・明治大准教授のようです。

野原燐に突っ込む(2019年7/14分)

■野原のツイートに突っ込む

野原燐がリツイート
前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民)
‏・同じ自民党でも、福田さんはまっとうな民主主義国の総理大臣だった。アベ・スガ政権は、日本を独裁国に変えてしまった。

 必要以上に美化する気もないですが、確かに福田氏は「男は黒豹」発言などマイナス面を割り引いても、安倍なんぞよりずっとまともな政治家でした。
 しかし野原も「俺が朝鮮学校無償化除外反対と主張したら」やたら噛みついてきたのに、同じ事を前川氏が言っても何一つ批判せず、それどころか「加計告発した前川氏は素晴らしい」しかいわないんだから呆れたバカです。つうか俺なんぞより前川氏の方がずっと社会的影響力は大きいし、彼は「無償化除外訴訟の原告(つまり朝鮮学校側)に協力もしている」んですけどね。
 野原の立場なら、前川氏を批判して当然ですが、まあ、あの男は権威に弱いんでしょう。だから無名人の俺には悪口するが前川氏には何も言えないわけです。

野原燐
 わたしたちがやらないといけないことは、中国の軍事化を押しとどめることです。簡単なことではありません。しかしそれには中国の民主化が必要です。

 いつもながら「やれやれ」ですね。
 民主化と「軍事化」には何の関係もないでしょうに。ならば「民主国家」米英仏独は軍事大国ではないのか(もちろん軍事大国ですね)。
 当然ながら「国民が軍事大国化を支持すれば」民主国家だろうと軍事大国化するわけです。民主主義の目的はそういうことにあるわけではない。
 まあ「軍事大国は民主国家ではない(勿論そんな事実はありません)」というよほど特異な定義でも採用しない限り、あり得ない主張ですね。
 と同時に「中国の軍事化」より「日本の軍事化」を問題にすべきでしょうにねえ。まずは「自国の問題」でしょう。

野原燐
 中国が軍事的に強大化し周辺国の人々の人権侵害に加担しているとすれば(ロヒンギャ問題の影に中国が?)、それを妨げなければいけない。

 やれやれですね。
 まず第一に「ミャンマーロヒンギャ問題」についていえば、あれは「ミャンマー人大多数がロヒンギャを差別しているから起こってる問題」であって「中国」云々というネタにするのがこれほど不適切な話もないんじゃないか。
 「独裁体制を民衆が倒そうとしてるのに中国が支援してる」なんて話じゃないですからね。
 つうか「中国」云々の前にアウンサンスーチーをどう扱うか考えた方がいいんじゃないか。今も「民主化指導者」として彼女に期待をかけるべきか、それとももはや批判対象にすべきかつう話です。
 第二にサウジにせよミャンマーにせよ何も独裁的国家や人権面で問題がある国家は「中国だけが支えてる(ODAとか商売とか)」わけではない。日本も、欧米も、ASEAN諸国も支えてるわけです。
 我々が日本人であることを考えれば「日本がミャンマーを支えてる問題」をまずなんとかすべきであって中国に限らず、欧米でもASEAN諸国でも「外国の政策」につべこべいうなんて「日本がまともになってからの話」でしょう。どんだけずれてるのか。それほどまでに野原が「アンチ中国」てことなんでしょうけど。
 第三にサウジでアレミャンマーでアレ、中国が支えてるパワーは軍事力よりむしろ「経済力」ですよね。海外に軍事基地を持ってる米国と違い中国の軍事力は正直たいしたもんではないでしょう。

野原燐
‏ 70年前の戦争責任にばかりこだわり、中国国内の人権侵害に声を挙げない(左翼)も誤りだ。

 やれやれですね。まず第一に左翼は「中国の人権問題」を批判しています。
 第二になんでこう言うときに「戦争責任」云々なんて話が出てくるのか。中国の人権問題と何の関係があるのか。
 第三に「南京事件否定論者」「河野談話否定論者」櫻井よしこを有力支援者とする男・安倍が首相(しかも6年の長期政権)になるような状況を前にして「左翼がそれにこだわる」のは当たり前の話です。「こだわる必要がある」からこだわってるわけで「こだわる必要がなければ」頼まれたってこだわったりしません。
 まあ「つくる会理事」三浦小太郎と交際して恥じないウヨの野原にはそれが理解できないのでしょうが。

野原燐
 ダライラマを崇敬する権利の為の凄惨な焼身自殺の連鎖が告発した中国国家が行なう人権侵害に眼をつぶってはいけない。

 やれやれですね。
 「ダライラマを崇敬する権利の為の焼身自殺」だそうです。自殺をそうやって美化して恥じないとは呆れたバカです。
 大体「目をつぶってはいけない」て具体的に誰に何をしてほしいんですかね?。そして野原個人は一体何をやる気なのか?

野原燐
 国家よりも一人の人間の命を重視する思想が、日本人の命の重視につながる。

 やれやれですね。チベットの人権侵害を是正すべきなのは「それがチベット人のためだから」であって「日本人がどうこう」ではないでしょうに。
 日本人をどうこうしたいなら「日本の人権問題に取り組めばいい」だけの話です。
 大体外国の人権問題だって「中国以外にもいろいろあるだろうに」何でこの男は中国だけに異常にこだわるんですかね?

今日の中国ニュース(2019年7月14分)

【日本の議論】長期化する米中対立 簑原氏「戦争へつまずくかも」 柯氏「蜜月に戻らない」 - 産経ニュース

簑原俊洋
「中国が『日米は座視する』と誤算して台湾や尖閣諸島に侵攻すれば、戦争へとつまずいてしまうかもしれない」

 「簔原は正気か」ですね。無人島の尖閣ならまだしも人が住んでる台湾なんか攻めて「米国が座視する」わけがないでしょう。そしてそんなことは中国も分かってる。
 大体、中国は「独立宣言したら侵攻もありうる(裏返せば宣言しない限り侵攻しない)」としています。蔡英文が独立宣言しない限り侵攻するわけがない。


日米豪がフィジー軍支援で連携 攻勢の中国に巻き返し(1/2ページ) - 産経ニュース
省庁横断「インド太平洋使節団」が推進 日米豪のフィジー支援 - 産経ニュース
 こうした行為をどう評価するかはともかく「反中国の妄想」が酷すぎますね。「攻勢の中国に巻き返し」って「米豪、フィジーは勿論」安倍ですらそんな「反中国」は考えてないでしょう。産経もどこまで本気かどうか。ウヨ読者層に媚びた記事の気がします。


■M谷N子・明治大准教授のツイート

M谷N子*1
 どこがならずもの国家であるかのリトマス試験紙。→ウイグル問題で中国擁護、ロシアなど37か国が国連に書簡
ウイグル問題で中国擁護、ロシアなど37か国が国連に書簡 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
 中国・新疆ウイグル自治区におけるウイグル人や他の少数民族への処遇をめぐり、日本や欧米諸国などが今週、国連人権理事会に中国を非難する書簡を提出した。これを受けて今度は、37か国の国連大使らが12日、中国の対応を擁護する書簡を公開した。
 同自治区では、主にウイグル人ら100万人が収容施設に拘束されていると伝えられており、欧州連合EU)各国や、オーストラリア、カナダ、日本、ニュージーランドの大使らは今週、中国の処遇を非難する文書に署名していた。
 これに対し、ロシアやサウジアラビア、ナイジェリア、アルジェリア北朝鮮など、37か国のグループは12日、中国政府に代わって共同書簡を公開。ミャンマーやフィリピン、ジンバブエなども署名した。
 この書簡には、「われわれは、人権の分野における中国の顕著な成果をたたえる」「テロリズムや分離主義、宗教の過激主義が、新疆の全ての民族に多大なダメージをもたらしていることにわれわれは留意している」と記されている。
 国連人権理事会では通常、各国が非公開の席で交渉し、公式決議を作成しようとするため、公開書簡の形で応酬する事態は珍しい。

 こういうことを言うと狭量な「M谷女史とその不愉快な仲間たち(平たく言うとウイグルキチガイ)」は「ボーガスの野郎許さない!」「ウイグルと私たちの運動を馬鹿にするのか(俺:いや馬鹿にしてるんじゃなくて、物事は客観的に冷静に見ろって話ですよ)」「お前はウイグルのために何をしてるんだ?(俺:何もしてませんがそれが何か?)」などと激怒するのでしょうが、「ウイグル問題で中国に批判的かどうか」だけで「ならず者国家リトマス試験紙」とかいうのはまずすぎるでしょうよ(「サウジは大使館で殺人してるからならず者だ」なんてのは勿論反論にはなりません。そういう批判は個別にやればよろしい)。
 なら、「欧米と一緒に批判的な意見書に賛同した」日本の安倍はまともなのか。そんなことはない。
 この37カ国*2にしても「中国との経済関係を重視して中国擁護に動いたのだろう」とはいえるでしょうけど、「ならず者国家」呼ばわりはまずいでしょうよ。
 せいぜい、批判するとしたら「この37カ国には失望した」「その中国擁護は事実に反すると思う」程度が適切ですね。
 まあこういう発言をためらいなくしちゃうM谷氏が「まともな人間じゃない」つう事がわかったと言う意味ではむしろ彼女のツイートの方がリトマス試験紙じゃないか。まあ俺だったら「M谷氏とはお付き合いしたくない」ですね。いくらウイグルびいきでも度が過ぎてると思うので。
 とはいえ「ウイグル専門家の数自体がおそらく少ない」のでマスコミに彼女がよく出るのも仕方がないんでしょうね。俺は彼女みたいな狭量な人間は大嫌いですが。

M谷N子
 中国擁護国には、所謂「ならず者国家」以外に、中国に経済的に牛耳られている国も多い。その中でも特に気になるのが、同じテュルク民族の国であるはずのトルクメニスタンや、中央アジアの国でウイグル人は「隣人」であるはずのタジキスタン、国際連帯の精神はどこへ行った?のキューバ等々。

 M谷氏も「ならず者国家呼ばわり」はまずかったと思い始めたらしく発言を修正している点は評価できます。
 まあそれはともかくトルクメニスタンタジキスタンキューバはM谷氏にとってはならず者ではないようです(彼女の「ならず者」定義がよく分かりませんが)。

M谷N子
 幸いなのは、ウイグル人が多い国~トルコ、カザフスタンキルギス共和国ウズベキスタンが入っていないこと。隣接している国であったり、経済的に厳しい国であっても、決して擁護の側に回らないところに、彼らの良心を見た。

 「擁護しなかったことは嬉しかった」ならまだしも「良心」つうのはナイーブすぎますね。
 中国擁護をすれば、中国に喜ばれる反面、EU諸国(英独仏など)に恨まれる可能性もあるわけですからね。

*1:著書『亡命者が語る政治弾圧:中国を追われたウイグル人』(2007年、文春新書)など

*2:M谷氏ツイートに寄れば、アルジェリアアンゴラベラルーシブルキナファソブルンジコモロコンゴキューバ北朝鮮コンゴ民主共和国エリトリアガボン、イラン、ミャンマー、ナイジェリア、フィリピン、ロシア、ソマリア南スーダン、シリア、タジキスタンベネズエラジンバブエサウジアラビアパキスタン、エジプト、トーゴカンボジアオマーンカタールUAEアラブ首長国連邦)、バーレーンスーダントルクメニスタンクウェートカメルーンボリビア

常岡浩介&黒井文太郎に突っ込む(2019年7月13日分)(追記あり:M谷N子にも突っ込む)

黒井文太郎
‏ 昨日も番組でお話したのですが、日韓の政治的なバトルはともかく、危険な戦略物資が札付きの国々の怪しげに決まっている諸々の手に渡って、そのまま何処かに消えていくのは危険きわまりないので、あらゆる手段で止めるべき

 「韓国誹謗の印象操作乙(呆)」「安倍擁護乙(呆)」ですね。韓国政府だって「危険な物資の密輸」なんか無論容認してません。
 安倍批判派(韓国含む)は
1)安倍の韓国への態度は言いがかりだ
2)むしろこんなことして韓国から「対抗措置」として安保協力(安保情報の日韓共有)が得られなくなったら「日本から危険な物資の密輸」が助長される恐れがある
としているのですがね。そういう指摘に黒井がどう思うのかと言うことです。まあ、「黒井がはっきり安倍批判をしない」と言う時点で黒井の本性「安倍擁護、韓国誹謗」はモロバレですが。

黒井文太郎
 ホルムズ海峡への自衛隊派遣。
 「法的に認められないから反対」との理屈は本末転倒。
 必要なことなら、可能なように法を変えればいいだけの話。
 これ言ってる人は、つまりは政策として反対ということ。
なので、まずは政策としてやるべきかやらないべきか、やるなら何をどこまでやるべきか議論すべき

 もちろん「なぜそうした法(まあ憲法ですが)を守るべきだと思うのか」ということ(例えばかえって中東の緊張が高まると思う、など)は当然反対派も指摘していますので黒井の行為は客観的にはくだらないネガキャンでしかありません。

常岡浩介
 読んだけど、「多くの日本人が誤解していること」がなにかわからなかったし、取材者はまさか現地で聞いた話や「公式発表」を真に受けているのかなあと不思議に感じた
取材困難…中国の“超敏感エリア”新疆ウイグル自治区に行ってきた 多くの日本人が誤解していること - FNN.jpプライムオンライン

 むしろ常岡のツイートに「え、なんで分からないの?」ですね。
 確かに「これこれこういう点を日本人は誤解してるがそれは間違いだ」という書きぶりではなく「少し分かりづらい」。
 とはいえ常識的な文章読解力があればフジの言いたいことは分かるでしょう(後で説明しますが)。
 かつこの記事のどこが

取材者はまさか現地で聞いた話や「公式発表」を真に受けているのかなあ

なのか。そのように理解できる部分はどこにもありません。
 「俺の望むような内容の中国批判でないと全て中国擁護と見なす」つうバカが常岡のようです。
 さて最後にフジ記事を一部引用して俺の考えを書きましょう。

取材困難…中国の“超敏感エリア”新疆ウイグル自治区に行ってきた 多くの日本人が誤解していること - FNN.jpプライムオンライン
・筆者は10数年前にもウルムチ市を訪れているが、空港は新しくなっており、市内に入るとかつては砂漠だったというところでマンション建設ラッシュが進んでいたりと、街の発展ぶりは明らかだった。地元の人によれば、生活レベルも向上したという。
自治区全体ではウイグル族が多数派だが、ウルムチ市内の人口は、この約20年で見ても他の民族と比べ漢族の増加が最も多く、現在は概ね4分の3が漢族で占められている。また、多くのウイグル族も流暢な中国語を話し生活している。町の看板には中国語とウイグル語が併記されているが、街並みは他の中国の都市とそう変わらない。つまり発展とともに街が漢族化しているのだ。
・今回取材できたウイグル族も暴力には反対しており、治安のためにはある程度の監視や管理もやむを得ないと考えている人は少なくないと感じた。取材に応じた漢族もウイグル族も「最近は悪い奴らがいなくなった」「安全になってよかった」などと口をそろえていた。しかし、プライバシーや個人の権利といったことを主張するのはタブーであり、「外国人記者」と聞いた途端に口をつぐんでしまう、といった様子からも、下手な発言をすればどうなるかわからないという強いプレッシャーが彼らにあることが伺えた。
ウイグル自治区では、漢族が「監視し支配する側」、ウイグル族などの少数民族が「監視され支配される側」とイメージされがちだが、必ずしもそれほど単純な構図ではない。例えば、監視し、取り締まる側の警察官も現地ではほとんどがウイグル族少数民族だ。また、地元の共産党幹部など、こうした政策を推進する側にもウイグル族がいる。
・一般のウイグルの人達も今や漢族経営の会社で働いたり、漢族相手に商売をしたりと、生活の安定のためには中国語を話し、漢族中心の中国社会の中で生きていくことが現実的になってきている。抑圧の中において、ウイグル族であっても現状の捉え方は立場によっても異なるだろう。

 つまりはフジが言ってること、それは「ウイグル族全てが中国の統治を全否定してるか、独立を求めてるかと言ったらそんなことはない、もし日本人がそう思ってるならそれは誤解だ」「ウイグル問題はもっと複雑だ」程度の話でしかありません。
 それは「中国のウイグル統治の100パーセントの擁護」ではないし、当然ながら

取材者はまさか現地で聞いた話や「公式発表」を真に受けているのかなあ

などと常岡に非難される話でもない。
 そもそも

「外国人記者」と聞いた途端に口をつぐんでしまう、といった様子からも、下手な発言をすればどうなるかわからないという強いプレッシャーが彼らにあることが伺えた。

と書いてるフジ記事をどう理解すればそう認識できるのか。
 むしろ安易に「独立論」を唱える方が無責任であり、このフジ記事はむしろフジサンケイには珍しく「誠実」とすらいえるでしょう。

【2019年7/15追記】
 さて常岡が悪口していたフジ記事にはM谷氏も悪口していたので見てみましょう。M谷氏の主張にも常岡同様に全く賛同できませんが。
 まあ、でもそういう指摘すると「私はウイグル専門家よ!」「フジテレビやボーガスなんか私に比べれば格下よ!」とかいって憤激しちゃうんだろうな、あの人。つまり「M谷氏のような方とは、付き合わずに済むのなら、付き合わない方が精神衛生上いい」。つうかフジ記者だって「少なくとも主観的には」中国擁護してるわけじゃないんだし、仮に記事内容に問題があるとしても、少しは口の利き方に気をつけろよ、M谷は、ですね。
 産経のデマ記事(例:南京事件否定論)なんかとはわけが違うでしょう。

M谷N子
 日本人が誤解していることとして「取り締まる側の警察官も現地ではほとんどがウイグル族少数民族だ。また、地元の共産党幹部など、こうした政策を推進する側にもウイグル族がいる」とあるが、それは常識であって、そもそもウイグル人の警官や武警、軍人は、ろくに武器さえ持たせてもらえず最前線に立たされ、犬死にするのも彼らであるという現実をこの記者は知っているのか?

 M谷氏のいってる意味が分からないですね。まず、「フジの指摘」は「M谷氏が言うほど、ウイグルに詳しくない普通の日本人にとって常識なのか」。俺は疑問に思いますけどね。
 そして「ウイグル人の警官や武警、軍人は、ろくに武器さえ持たせてもらえず最前線に立たされ、犬死にするのも彼らであるという現実」とやらがフジ記者の指摘「中国政府によるウイグル支配体制にはウイグル人も関わっており、漢民族だけで運営してるわけではない(だからこそ中国のウイグル支配には一定の基盤があるし、そう簡単に倒れない、とフジ記者はいいたい?)」の反論に何でなってると思えるのか。
 たぶん「ウイグル人の警官は権力の末端にいておいしい思いしてる」とフジ記者が書いたと勝手に勘違いして「それは違う、危ない所に送られて犬死にしてるんだ」といいたいんでしょうが、そもそもそんなことをフジ記者は何一つ書いてないわけです。
 「お前本当に明治大学准教授なのか。フジ記事について、本気でそんな解釈が適切だと思ってるのか?」と問いただしたくなるレベルですね。まあI濱Y子や横田奥さんよりはマシでしょうが基本的に「I濱や横田奥さん同様、思い込みが酷い」ので相手しない方がいい御仁でしょう。賛同意見しか聞く耳を持たないタイプの人間が彼女でしょう。
 「こんな思い込みの酷い困った人」しか日本の支持者にいないのかとウイグルがかわいそうになる話です。

 さらに「政策を推進する側」にウイグル人がいると、それをまるで悪としてこの記者は印象づけているが、政権側にいる側が、実は、全てを覚悟で国外に貴重な情報を水面下で流していたことだって有る*1。たとえば89万人が強制収容所に収監されているとのデータだって(トルコのウイグル人メディアに流出)、新疆のウイグル人警官が出所だという。だから、ウイグル人中国共産党と一緒に弾圧*2に加わってますよ、との言説こそ、取材不足だと私は思っている。

 いやフジ記者は「そういう事実(中国政府によるウイグル支配体制にはウイグル人も関わっており、漢民族だけで運営してるわけではない)がある」と指摘しただけでそれが「ウイグルの裏切り者で悪だ」なんて一言も書いていませんが。
 もちろん「ウイグル族が行政に参加してるんだからウイグルの意見が政治には十分反映されており、問題はない。中国の政治に反発する一部ウイグル人の方がおかしい」ともいってない。繰り返しますが単に「そういう事実(中国政府によるウイグル支配体制にはウイグル人も関わっており、漢民族だけで運営してるわけではない)がある」と指摘しただけです。 
 まあ暗に「そういう事実があるから独立は現実的じゃない」とはいってるかもしれませんが。
 むしろ「ウイグルの裏切り者で悪だ」と思ってるのはM谷氏の方じゃないのか。
 大体何でそこで「ウイグルの役人でも、面従腹背で、欧米マスコミとかに情報リークしてる奴もいる」なんて話が出てくるのか。
 フジの記者はそんな話は何一つしてない。大体「面従腹背」だろうと表向きは「従順に従ってる」わけで面従腹背が仮にあるとして、M谷氏ほど高く評価できる話なのか。フジ記者の指摘「中国政府によるウイグル支配体制にはウイグル人も関わっており、漢民族だけで運営してるわけではない(だからこそ中国のウイグル支配には一定の基盤があるし、そう簡単に倒れない、とフジ記者はいいたい?)」の反論に何でなってると思えるのか。

M谷N子
‏ そもそもウルムチ中華民国期から漢人の多い街だった

取材困難…中国の“超敏感エリア”新疆ウイグル自治区に行ってきた 多くの日本人が誤解していること - FNN.jpプライムオンライン
自治区全体ではウイグル族が多数派だが、ウルムチ市内の人口は、この約20年で見ても他の民族と比べ漢族の増加が最も多く、現在は概ね4分の3が漢族で占められている。また、多くのウイグル族も流暢な中国語を話し生活している。町の看板には中国語とウイグル語が併記されているが、街並みは他の中国の都市とそう変わらない。つまり発展とともに街が漢族化しているのだ。

に対するM谷氏流反論のようです。
 まあ俺はウイグル素人なので「ウルムチ市内の人口は、この約20年で見ても他の民族と比べ漢族の増加が最も多く、現在は概ね4分の3が漢族で占められている。発展とともに街が漢族化している(フジ)」のか、「そもそもウルムチ中華民国期から漢人の多い街*3だったからそんなことはたいした問題じゃない(といいたい?)(M谷氏)」のか、どちらの事実認識が適切かは俺には、もちろん分かりません。
 しかし、仮にフジ記事がその点で事実誤認があったとして極論すれば「ウイグル族全てが中国の統治を全否定してるか、独立を求めてるかと言ったらそんなことはない、もし日本人がそう思ってるならそれは誤解だ」「ウイグル問題はもっと複雑だ」というフジの主張の大きな方向性には大して影響はないでしょう(もちろんフジの記事に事実誤認があるなら修正すべきですが)。
 何せウルムチ自治区の首都です。「首都の人口の3/4が漢族」ならそれこそ、そうそうウイグル独立なんてできるもんじゃないでしょう。
 他にもM谷氏の噴飯物のツイートを見てみましょう。まあでもM谷氏だと俺みたいな人間には「ボーガスの野郎、絶対に許さない!」でしょうが。まあ俺(こう見えて小心者です)もM谷氏と下手にやりあって「精神衛生が害されるのがいや」だからこうして「イニシャルトークにしてる」わけですが。

M谷N子
 それは違います。東大院生で政治犯として11年収監されていたウイグル人故トフティ氏についても、現首相が以前首相でなかった時代に、その状況や経緯について、私の嘆願を聞いてくれたこともあります。この結論は「偶然」の産物ではなく、基盤作りをしてきた結果だと私は確信しています。強制収容所にいるウイグル知識人は、新疆大学元学長をはじめ、日本留学組が極めて多く、そうした高度人材を育成してきた日本*4としては、もはや目をつぶることはできないのです。

 さてこのM谷ツイートは

石田昌隆
 日本がこの件で中国を非難する側にいるのは答えだけ偶然正しいが、中身は単に(ボーガス注:22カ国の中に入っている英仏独などの)欧米追従で人権感覚とは無縁であろう。

というツイートへのM谷氏流反論です(俺は石田の認識は全く正しい、M谷氏の認識は間違ってると思いますが。なお石田はこのM谷ツイートについて賛同も反対もしてないので彼の現在の認識は不明です。たぶん「ウイグル専門家のM谷とトラブったら厄介だ。何せM谷はマジギレすると厄介な性格だし*5。でも、奴の安倍礼賛主張に賛同も出来ない*6し、だんまりで逃げちまおう」つうのが石田の考えでしょう。まあ、その気持ちはよく分かります)。
 「ええ?(衝撃的すぎて、唖然)」ですね。「何、未だに安倍さんは私の話を聞いてくれて素晴らしい人だった、とか妄想してるの?」「てっきりそういう認識は止めたと思ってたんだけど?」ですね。
 ね、首相に復活したら安倍は動いてはくれないだろ(今後に期待?) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)といった安倍認識の方が正しいでしょうが、こういう指摘に「私の安倍氏への陳情が無駄だったと、私を侮辱するのか!」「あんたが、アンチ安倍だからといって何でもかんでも安倍批判をするな!」などとマジギレしちゃうのがM谷氏なんでしょう。
 まあそういう意味では先日の「22カ国の共同声明」への日本参加はM谷氏にとって「やはり安倍さんはウイグルの味方だ!」つう話だったんでしょうね。それ客観的に見て自己欺瞞だと思いますが。
 つうか「首相の時代」じゃなくて「首相でなかった時代に」つうあたりで「安倍は無責任な野郎だ、首相時代は何もしなかったくせに無役になったら反中国だよ!」と何で思わないんですかね。M谷氏はあまりにも自分に都合のいい脳みそをしすぎでしょう。当然ながらここまで安倍に好意的なM谷氏は「韓国への無茶苦茶な嫌がらせ」など「安倍の問題点」について何ら批判意識はないんでしょうね。
 結局「ウイグルがよければそれでいい」がM谷氏なんでしょう(ちなみに「チベットさえよければそれでいい」がI濱Y子やMukkeです)。愚劣としか言いようがない。いや安倍なんか持ち上げててウイグルにとって本当にいいのか疑問ですけど。
 安倍なんざ、M谷氏が期待してるほどのウイグルへの思い入れはない上に、「韓国への無法な嫌がらせ」でわかるように「無法な行為」で敵ばかり作ってる男です。そんな男を持ち上げることが長期的に見てウイグルのためになるのか(勿論これはウイグルだけでなくチベットでも同じです)。

M谷N子
 私自身もそうだが、中国の専門家が新疆問題をすぐに「書ける」かといえば、それはNOである。読まなくてはならない専門書分野が全く異なるし、少なくとも辞書を引きながら、ウイグル語やトルコ語やロシア語などを読めるくらいにならないと、この分野には精通できない。かくいう私も格闘中だ

 まあそういう面は実際にあるんでしょうが「俺の邪推ですが」、M谷氏には「別にアムネスティと一緒にウイグル集会やるなとはいわんけど、それ、学者の本務じゃねえだろ。研究論文をちゃんと書いてるの?」「そういうことがやりたいなら、研究者でなくて、外務省職員とか人権NPO職員になればいいのに?」つう批判が「面と向かって言われたのか、陰口か」とはともかく、彼女の元に届いてるのでしょう。
 でこういう反論になったんじゃないか。

*1:何のことかといえば日本でもたまにある「政府不祥事のリーク」のことですね。

*2:「M谷氏みたいな誤読(ウイグル人警官の存在を理由に弾圧を正当化してる)を恐れたのか」、フジ記事は「ウイグル統治」と表現していて「弾圧」とは書いてないんですけどね。つうかなんでそんなに「事情はどうあれウイグル人警官が弾圧に加わってるであろうこと」をM谷氏は「面従腹背」云々と書いて過小評価したがるのか。全てのウイグル人警官が面従腹背ではないだろうし、面従腹背警官だって表ではおそらく「弾圧せざるを得ない(弾圧に加わってる)」わけです。面従腹背つうならたとえば「文科事務次官時代の前川氏だって」、退官後にご本人が語るように面従腹背(無償化除外には本心では反対)だったわけですがそんなこと朝鮮学校生にはどうでもいい話だし、だからこそ、退官した前川氏は「つぐない」として今、朝鮮学校支援を社会に訴えてるわけです。もちろん彼も「後でどんなに償おうとしても、過去の行為はチャラにはならない」事ぐらい理解しているでしょうが。

*3:できればここで「20年前は概ね10分の7だから、4分の3になっても、20年で5%しか増えてない。大して漢族化は進んでない」とかある程度、具体的数値をM谷氏に提示してほしいところです。

*4:「育成してきた日本」ねえ。「日本の大学の個々の教員」が教育者としての善意から育成したに過ぎないのであって、日本政府が積極的に育成したわけじゃないでしょうに。

*5:過去の経験でM谷氏は「下手に怒らせると後が厄介」と言うことは俺も認識しています。たぶんM谷氏は絶対に「自分の非を認めない性格」だし。

*6:まあ、「石田自身が賛同できない」つうのもあれば、「石田のお仲間にそんな安倍擁護に賛同する奴がいないので、M谷氏に調子を合わせたら石田が浮いてしまう」つう保身的な意味合いもあるでしょう。