参院選について雑感(7/21)

【1】投票後、開票前の感想
 9時に投票してきました。共産支持者として、比例、選挙区(定数4)ともにいつもどおりの投票です。個人名は漢字で書くと間違えそうなのでいつもひらがなです。
 オフクロ曰く「どちらもいつも通り自民*1」で、オヤジ曰く「昨日、知人に頼まれたから今回はどちらも公明」だそうです。
 オヤジ曰く「名前を聞き忘れたので投票会場で名前探すのに手間取った。選挙区候補は政党名だと確か無効票だろ?」「自筆式やめればいいのに*2」だそうです。
 オヤジもオフクロもまあ熱のないこと。
 「どうせ私が投票しなくてもたぶん当選するから」「参院議員は代議士と違って世話になってないから別に落選してもいいけど」「でも選挙は国民の義務だから」だそうです。
 「彼らの与党支持」について俺の考えをいえば、幸いなことに彼ら(両親)は「中産階級」です。それなりの職業(正規職員)について、定年退職した今、それなりに退職金をもらい、年金もそれなりに毎月もらい、預貯金もあります。貧困にあえいでるわけではない。
 「将来的に介護の問題がないわけではない」ですが今のところは元気です。そうなると生活の不安がない。
 「安倍政権のためにワーキングプア」などという生活困難者の気持ちは彼らには分からないでしょう。もちろん「安倍の極右性(戦前美化)や不正(モリカケなど)、反人権(沖縄基地問題など)」などは問題ですが「そうしたものは俺の生活に関係ないからどうでもいい」つう個人主義の立場なら「今、生活にたいして不満がないから与党でかまわない(わが両親)」つう話になってしまう(もちろん生活困難者が全て野党支持か、生活に不安のない中流階級以上が皆与党支持かと言えばそこまで単純でもないですが)。
 あるいはもっと酷いとリベラル21 「先進国で最低の投票率」の汚名返上をで批判されてるように「今、生活にたいして不満がないから投票しない」ということにすらなるわけです。
 「両親へのぼやき」「最近の選挙での低投票率へのぼやき」はこのくらいにします。選挙結果が分かった時点でいろいろ書くつもりです。いや世論調査で「与党過半数が予測されてるから」アンチ与党としてショックで書かない、書けないかな。あるいはそれでも「ポリアンナ的良かった探し」で何か書くか。どうでしょう。書く場合は産経、読売とか見ていると不快になるだけでしょうから、「割と価値観の近いブログやツイート」である五十嵐仁の転成仁語:So-netブログしんぶん赤旗 (@akahata_PR) | Twitter赤旗政治記者 (@akahataseiji) | Twitterこちら赤旗日曜版 (@nitiyoutwitt) | Twitter立川談四楼 (@Dgoutokuji) | Twitter*3などを参照して書くかと思います。
 書くのは7/22になるかもしれません。
 なお、選挙当日は「A氏に投票しよう」「B党に投票しよう」などの政治的呼びかけは不可だった気がしますので、抵触しないような一般的なことだけ書いておきます(なお上に書いたことは単なる政治的感想だと思いますが問題があるなら適宜修正はします。上の文では党名も何も書かないと分かりづらいので党名は書きましたがそういうことで個人名は書くのを控えました。まあ埼玉選挙区で調べれば分かりますが)。
1)棄権、白票は辞めましょう
 それはどう言い訳しようが白紙委任と同じです。先日、TBS報道特集のインタビューで松本正生*4・埼玉大教授(政治学)が

「棄権や白票をすれば白紙委任と同じだから後で文句言っても仕方がないんだよ」
「後で文句言うくらいなら投票しなさい」
「日本に住んでる限り日本の政治の影響をあなたは受けるんですよ。税金納めてるし公共サービスも受けてるんだから。投票しなければ影響がないわけではない」

と言う趣旨のことを学生に言ってる、それは政治学者としても、大人としてもやるべき事だと思ってると言ってましたがそういうことです。
2)与党支持なら与党に、野党支持なら野党に投票しましょう。
 どの与党、野党に投票すべきかはこれは個々人の判断です。「マスコミ報道に寄れば当選可能性の高い候補」「自分の考えに一番近いところ」など各自で判断すれば良いと思います。
 ともかくまずは当たり前のことですが「与党支持なら与党に、野党支持なら野党に投票」ですね。
 あとで「こんなことならA氏(与党でアレ、野党でアレ)に投票しなければよかった」ということのないようにしてほしい。
 たとえば

・今の安倍政権を支持したいのかしたくないのか
憲法九条を擁護したいのか、変えたいのか
・消費税増税(10月予定)を認めるのか、認めないのか
・現政権の韓国への敵対的な対応を容認するのかどうか
モリカケのような不正を容認するのか、しないのか

などとシンプルに考えましょう。いつだってそれ(現与党を支持するかどうか)が「国政選挙の」最大の選挙の争点でしょう。往々にして田舎だと「A先生にはうちの会社が世話になってるから」「知り合いに頼まれたから」などという政策が全く関係ない利益誘導やコネ的な話(ウチの両親なんかそれしかしませんが)が出てくるんですが。せめて、比例くらいは「政党の政策」で選んでほしいもんです。


【2】開票後の感想(7/21)
 事前世論調査では「自民改選議席過半数」の予想でショックを受けそうなので、8時前に寝て、明日見ようかとも思いました。今年は亥年であり、俗に言う亥年現象(亥年の年には与党が苦戦することが多い:単なるジンクス的なものではありますが)が起こればよかったのですがそうはなりそうもありません。
 しかし、8時前に寝られず、寝そびれてしまったのでしばらく開票速報を見ることにします(ショックで早く寝るかもしれません。遅くても10時頃に寝ると思います)。ただもっぱら産経、読売とか見ていると不快になるだけでしょうから、「割と価値観の近いブログやツイート」である五十嵐仁の転成仁語:So-netブログしんぶん赤旗 (@akahata_PR) | Twitter赤旗政治記者 (@akahataseiji) | Twitterこちら赤旗日曜版 (@nitiyoutwitt) | Twitter立川談四楼 (@Dgoutokuji) | Twitterなどを見ていきたいと思います。
 苦しい結果であっても「耐えること」もまた大事なことかと思うことにします。

・吉岡正史
 吉良さん、当確!

・もとむら伸子(本村伸子)
‏ 高良鉄美氏が当選確実。参院選沖縄

1)まあ「東京選挙区の吉良氏当確」「沖縄選挙区の高良氏(野党共闘)当確」は予想の範囲内ですがまずは素直に喜びます。しかし選挙区 定員別当選当確一覧 | 参院選 2019 | NHK選挙WEBによれば、8時20分現在で

選挙区
 自民30、立民8、公明6、国民民主3、維新3、共産1
比例
 自民18、立民8、公明6、維新4、共産3、国民民主2,れいわ1

で「自民の当確の多さ」に「事前世論調査からある程度覚悟はしていた」ものの、改めてげんなり、うんざりします。
 それと維新が図に乗らないかというのと「立民が勘違いしないか」と言うのが不安ですね。
 国民民主が不振のため、選挙後、自民の草刈り場にならないかというのも不安ですが。
 共産はまず小池晃氏(比例)と吉良氏(東京選挙区)が当確ですね。これをどこまで伸ばせるか。
 1人区ですが野党共闘候補として、福島の森氏、長野の羽田氏、愛媛の永江氏、沖縄の高良氏が当確を決めましたが、既に8時20分時点であ1人区の約15選挙区で自民が当確を決めていてげんなりというところですね。1人区共闘は思ったほどの成果が出なかったということになりそうですが、「共闘の問題点を是正する」と言う形で動いてほしいもんです。成功した共闘候補もいるわけですから。
 「共闘は無意味だ」という馬鹿な結論は出さないでほしいところです。
2)大阪選挙区で維新が2議席だそうです。覚悟はしていましたが何であんなごろつき集団・維新を大阪府民は支持するのかと思うとやりきれませんね。なんとか辰巳氏の議席は獲得したいところです。

共同通信速報:
 埼玉選挙区で共産党新人の伊藤岳氏の当選が確実となった。同選挙区で共産が議席を獲得したのは1998年以来21年ぶり。

 本当なら、埼玉県民の共産支持者として「やったぞー」てところですね(幸いにも本当のようですが)。「自民が議席を着実に獲得する」という悲惨なニュースの中、俺的に「数少ない今回の嬉しいニュース」です。「同じく県民で共産支持者だという、拙記事の常連コメント者・バルトフェルドさん(リアルな形では逢ったことはありませんが)」とささやかながら喜びをわかちあいたい。後で拙記事にコメント頂ければ幸いです。
 定数が3から4に増えたので「なんとか議席がとれるんじゃないか」と望みをかけていた物の、最近当選から遠ざかっていたし「立民、国民民主、維新」が候補を立てていたので正直自信はありませんでした。
 「やったぞー」ですね。まあ「俺の票があろうとなかろうと」関係ないのですが、素直に喜びたい。
 順番的には「自民、公明、立民、共産」のようです。できれば「もっと上」で行きたいですが、それは今後の課題として素直に喜びます。
 国民民主や維新が最後の議席にならなくて本当によかった(維新は勿論ですが、俺は国民民主を大して評価していません)。
 意外ですが、吉良氏の次の当確が、伊藤氏のようですね(「意外」というのは、埼玉は残念ながら東京、京都、大阪などに比べ地盤が固くないので)。

清水ただし
 定数4の参議院大阪選挙区について、NHKが全員の当確を出しました。残念ながら日本共産党のたつみコータロー候補は及びませんでした。応援してくださったみなさまに心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 維新2人、自民、公明だそうです。覚悟はしていましたが無念ですね。比例復活とかないんでしょうか。
 復活当選がない場合も、次の衆院選で擁立するとか、有能な彼の復活の場を早くつくることを希望したい。
 それにしても「維新なんぞ支持する府民の馬鹿さ」は当然批判するとして、現職候補の共産に譲ろうともせず、新人候補を立てて、足を引っ張った立民には改めて怒りを禁じ得ませんね。
 公明と共産の差はわずかな上、立民が明らかに共産候補の票を奪ってるので立民が譲って共産支持を表明すれば、共倒れを避け、共産当選の可能性は十分ありました(絶対に当選したとまでは言いませんが)。共倒れなんて馬鹿なまねをして枝野や福山は恥ずかしくないのか。こんなことをしていて安倍に勝てると思ってるのか。「立民さえ良ければいい」という自己中心主義も大概にしろと怒りが収まりません。大阪の辻元氏もなぜ「共産に譲るべきだ」「共倒れだけは避けるべきだ」と言わなかったのか。
 そもそも「辻元氏レベルのベテラン」ならまだしも、新人なんか立てて当選させられるわけがないでしょう。
 「当選できなくても共産よりは上に行けるかもしれない、共産には負けたくない」「共倒れでもかまわない」とでも思っていたのか。はたまた本気で「当選できる」と思うほど立民は非常識だったのか(実際には辰巳氏より少ない得票でしたが)。
 俺は絶対に「立民のバカども」を許す気はありません(共産党はその当たりあまり立民をくそみそにも言えないでしょうが、俺は党外の一シンパなのでためらいなく立民への怒りをぶちまけます)。以前から立民なんぞ大嫌いでしたが「立民なんか絶対に支持しない」という思いを改めて強くしました。そして立民支持者もいい加減、「党派主義はやめろ」「大阪で野党候補を当選させることが最優先じゃないのか」と立民関係者に働きかけたらどうなのか。
 なお、清水氏のツイートhttps://twitter.com/tadashishimizu/status/1152902680831881222にはNHKの予想議席数画像が貼ってありますが、

自民:55~63
立民:16~22
公明:12~14
維新:8~11
共産:5~8
国民:5~7

だそうです。
 「自民の大勝」と「共産の苦境」に絶望的な思いになりますがくじけず戦うしかないのでしょう。「外野のシンパ」に過ぎない小生より、共産の後援会員や党員の方がずっとつらいはずです。
 立民のバカどもは「俺たちが野党第一党だ」と喜んでるのかもしれませんが。俺は「共産ならまだしも」立民なんぞが議席を増やしても少しも嬉しくありません。
 さすがに「自民、公明、維新」よりはマシだと思いますが。21:15分ですが、がっくりきたのでひとまず寝ようかと思います。

【3】開票後の感想(7/22)
 上では、大阪でのショックから立民への悪口を書きましたが、少し気が落ち着いてきました。
 俺は立民への怒りはかわりません。ただしだからといって「野党共闘をやめるべし」とはいいません。
 野党共闘を続けた上でこうした事態をどう防ぐかという話ですね。
 大阪の野党共倒れなど「野党共闘への批判(これで野党共闘してると言えるのか)」と言われても仕方がない失態でしょう。
 そしてこの場合、共産の現職を無視して、新人など立てた立民に非があると俺は思います。これは俺の偏見ではないと思います。
 本来なら労組や市民団体が「新人など立てるな」と調整能力を発揮すべきなのですが、反共主義にとらわれてるのか*5、調整能力がないのか、そうしないのだから困ったもんです。とりあえず「今回の共倒れを二度と再現しない」それが今後の野党共闘の一つの課題でしょう。

*1:今の極右・安倍自民と昔の自民では大分政治的に違いますが、そういうことに興味はないのでしょう。憲法擁護のお気持ちを、日本共産党と野党共闘候補へ。 | ちきゅう座の筆者・澤藤氏などは「呆れて二の句が継げない」と嘆くでしょうし、俺も「我が子とは言え」同感ですが。本当、「政治の話をするとケンカにしかならない」のでもはや諦めています。

*2:この点は俺も同感です。

*3:あの談志の弟子(落語家)でありながら、安倍批判派であり「共産党に比較的好意的な御仁」です。

*4:著書『政治意識図説:「政党支持世代」の退場』(2001年、中公新書)、『「世論調査」のゆくえ』(2003年、中央公論新社)など

*5:連合は間違いなくそうでしょうが

今日の産経&朝鮮・韓国ニュースほか(2019年7月21日分)

前回下回る出足 参院選投票始まる 未明に大勢判明
 投票率があまりにも低いのは本当に勘弁してほしいですね。マスコミがろくに選挙報道しないのも影響してるのでしょうが。


東京新聞:参院選投票、前回下回る出足 未明に大勢判明:政治(TOKYO Web)
 もちろん「2/3阻止」は、「改憲、護憲」と言う意味でも重要ですが、「阻止しないと、安倍がさらに無茶苦茶やりかねない」と言う意味でも重要です。
 もちろん「不幸にして阻止できなくても」戦うほかないわけですが、まずは「最低でも2/3阻止」を実現したいところです。
 可能ならば「改選議席与党過半数割れ」なども実現したいところです。


米、トルコに「失望」伝達 外相電話会談 - 産経ニュース
 トルコのした行為を褒める気はない*1ですが、「米国ともロシアともつきあう」と言うスタンスは「米国べったり」の日本人としては「ある意味、これこそがあるべき外交」と言う気はします。
 あくまでも、外交とは「国益のための是々非々」だと思います。


【第608回・特別版】文政権の反日は反米・親北と一体 « 今週の直言 « 公益財団法人 国家基本問題研究所
 文氏*2は「反米・親北朝鮮」ではありませんが「太陽政策実施」のために「北朝鮮に融和的」ですし、また「米韓軍事演習中止要求」など、北朝鮮の要望に出来る限りこたえようとはしています。
 それは見ようによっては「反米・親北朝鮮」かもしれない。
 しかし「反日」云々は明らかにそんなこととは関係ないですね。
 「安倍が戦前礼賛極右&韓国差別者だから」文氏は対立しているにすぎません。あの朴クネですら「安倍に批判的な韓国国民世論もあって」安倍にはある程度批判的でした。
 そして石破*3、石原*4、岸田*5など安倍以外の総理ならそんなことにならない。
 例えば太陽政策といえば文氏だけでなく、金大中盧武鉉政権もそうですが、彼らが大統領の時は

金大中(任期:1998年2月~2003年2月)
 橋本*6内閣(1996年1月~1998年7月)、小渕*7内閣(1998年7月~2000年4月)、森*8内閣(2000年4月~2001年4月)、小泉*9内閣(2001年4月~2006年9月)
盧武鉉(任期:2003年2月~2008年2月)
 小泉内閣(2001年4月~2006年9月)、第1次安倍*10内閣(2006年9月~2007年9月)、福田*11内閣(2007年9月~2008年9月)

ですがこれらの時期に反日などと言う話があったのか。無論なかったわけです。それどころか小渕政権時代は金氏が訪日して共同声明が出ている。小泉政権時は2002年に日韓共催サッカーワールドカップが行われています(なお、第1次安倍内閣では安倍ですら今のような無茶苦茶な嫌韓国の態度ではありませんでした)。
 というか前も今日の朝鮮・韓国ニュース(2019年6月3日分) - bogus-simotukareのブログなどで書いたことがありますが、「北朝鮮融和外交なら反日」というこの珍論ならば「太陽政策金大中氏」は反日でないとおかしいことになりますが実際の金大中氏は「小泉氏の依頼を受けて拉致被害者帰国を金正日に要請する」わ、

金大中ウィキペディア参照)
・1998年の来日に先立って、韓国政府として天皇を表す「日王」の呼称を取り止め、「天皇」を使用することを公式に宣言。
愛子内親王の誕生に際しては「皇室と国民が待ちこがれた皇孫が誕生した事を、韓国国民とともに心よりお祝いします。皇室がこの度の慶事を機に、一層繁栄することを確信します」との祝電を送った

りするわ、反日どころかむしろ親日です。
 しかしこれはむしろ「当然のこと」でしょう。太陽政策を実施するに当たり、日本と「険悪な関係」であるより「親密な関係になり、出来ることならば日本から太陽政策支持を表明してもらい、それが無理でも日本に太陽政策に中立的立場(少なくとも敵対的でない立場)をとってもらう」方が太陽政策は推進しやすいわけですから。
 そして安倍の無法「半導体材料の輸入規制」に対しては「北朝鮮に批判的な保守政党自由韓国党」さえ「この問題では文大統領を支える」と明言したわけです。それで何が「文政権の反日は反米・親北と一体」なのか。
 大体、文氏が本当に反日なら速攻で、安倍に対し「WTO提訴と対抗報復措置」でしょう(お断りしておきますが「WTO提訴と対抗報復措置してはいけない」という意味ではありません。彼が西岡らが言うような反日ならそれによる日韓関係悪化の恐れに躊躇しないだろうという話です)。しかし彼は「将来はともかく」現時点では「口頭での批判、抗議」にとどめてるわけです。
 明らかに彼は日韓関係をいたずらに悪化させることは避けたがっています。
 というか前も今日の朝鮮・韓国ニュース(2019年6月3日分) - bogus-simotukareのブログなどで書いたことがありますが、ウィキペディア「文世光事件」を読めば分かりますが、文世光事件のときは「日本の交番から盗まれた拳銃で犯行が発生し、私の妻が死んだのにろくに謝罪もない。日本の態度が無礼だ」と怒った朴チョンヒをなだめるために椎名悦三郎*12自民党副総裁が訪韓してるわけです。「日本側(自民党)の戦前美化に甘い」全斗煥ですら「藤尾文相の韓国併合正当化暴言」には抗議して、「中曽根*13首相による藤尾*14更迭」を招いています。大体、朴チョンヒ、全斗煥にしても西岡ら日本ウヨほど「戦前日本万歳」ではないでしょう。政治的思惑から日本批判を控えてるに過ぎません。
 しかし「藤尾暴言」のときの首相が安倍だったら、藤尾をかばって状況をさらに悪化させたんでしょうか。

*1:そもそも評価する能力がありませんので。

*2:盧武鉉政権大統領秘書室長、「共に民主党」代表を経て大統領

*3:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*4:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*5:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て自民党政調会長

*6:大平内閣厚生相、中曽根内閣運輸相、海部内閣蔵相、自民党政調会長(河野総裁時代)、村山内閣通産相などを経て首相

*7:竹下内閣官房長官自民党副総裁(河野総裁時代)、橋本内閣外相などを経て首相

*8:中曽根内閣文相、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)などを経て首相

*9:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*10:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*11:森、小泉内閣官房長官を経て首相

*12:戦前、岸信介商工相(東条内閣)の下で商工次官。戦後、岸の誘いで政界入り。岸内閣官房長官、池田内閣通産相、外相、佐藤内閣外相、通産相自民党副総裁(田中総裁時代)など歴任

*13:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*14:鈴木内閣労働相、自民党政調会長(中曽根総裁時代)、中曽根内閣文相を歴任

黒坂真に突っ込む(2019年7月21日分)

■黒坂ツイートにコメント

黒坂真所十三リツイート
 日本の左翼政党で、台湾の政党や運動家と良い関係を維持している政党はありましたか?。右派政治家には、台湾を何度も訪問し政治家や知識人と議論している方は多いかと存じます。

 「日本の左派政党(共産党社民党?)と中国共産党は違う」「日本の左派政党は台湾侵攻なんか支持しない」という所氏への黒坂リツイートです。
 やれやれですね。「台湾独立派」でなければ左派も「台湾の政治家と交流はしてる」んじゃないですかね。一方で右派の「台湾独立派との交流」なんてただのアンチ中国ですからね。かつそんな「右派政治家」は少なくとも「自民党幹部」にはいないわけです。


黒坂真の反中国ツイートに突っ込む漫画家・所十三

https://twitter.com/tokoro13/status/1152743961724801024
所十三
 ‏高野記者については追悼碑が建てられ書籍も出され今年も追悼式典があるなど決して無かったことにされてるわけでも無さそうですよ。
高野記者殉職40年/ベトナム・ランソンで追悼式

 所氏も随分我慢強い方のような気がしますね。そして当初小生が思っていた以上に「共産党に好意的」なのかもしれません。
 たまに黒坂がいう「高野記者がー」に「最近の赤旗にも追悼記事載ってるヤン。別に彼の死去はなかったことにされてないやん」「そりゃ何度も何度もしつこく高野記者の件で日本共産党中国共産党非難したらその方がおかしいんじゃないの?」と言う趣旨のツイートで応じる所氏です。
 それでも「高野記者の名前を挙げた明確な謝罪*1中国共産党から多分出てない」とか言い出す黒坂も「なかなかのタマ」ですが(もちろんほめてない)。

https://twitter.com/tokoro13/status/1152581501034176512
所十三
 領海領空に出入りする挑発ならソビエトもずーっとやってましたが結局それだけでしかありません。
 自国の領土としてる台湾はおろか、(ボーガス注:一国二制度のために)香港にすら軍を入れられないのが今の中国が置かれた立場です。

https://twitter.com/tokoro13/status/1152586544948998144
所十三
‏ 香港でも手を焼いてる中国が台湾を武力で制圧など出来ないし、米軍基地の無い台湾に軍を入れられない中国が米軍基地だらけの沖縄に侵攻出来るはずもありません。
 一度自分が中国の国家元首になったつもりで一番良い日本の利用法を考えてみると良いですよ。(ボーガス注:日本侵攻などすれば)兵の命の損失。(ボーガス注:在日米軍基地があることに寄る)アメリカとの戦争。(ボーガス注:チベットウイグルの統治だって楽ではないのに)一億人を超える言葉の通じない民族の統治、自給率の低い食料の確保、頭が痛くなる事だらけです。

https://twitter.com/tokoro13/status/1152579176257347584
所十三
 (ボーガス注:中国が日本侵攻後)統治のために軍を進駐させれば本国はガラ空き。(ボーガス注:場合によっては)チベットウイグルの蜂起はもちろん(ボーガス注:領土紛争を抱える)インド、ベトナムの侵攻も許す事に(ボーガス注:なりかねません)

 まあ、「中国の沖縄侵攻、日本侵攻」なんて普通に考えれば「中国にとって不利益(戦争で失われる人命、国際的な非難、「反乱鎮圧」など、予想される侵攻後の日本統治のコストなど)が多いが利益は少ない(日本は石油などの資源産出国でないので直接支配してもメリットが少ない)」、「従って中国がそんなことやるとは思えない」そういう話でしかありません。
 所氏も指摘するように香港デモレベルですら、強攻策一辺倒ではなく「条例案撤回」で妥協したわけです。もっとハードルが高い台湾侵攻や日本侵攻はできるわけもない。
 これに対し、黒坂は

黒坂真
・米軍基地*2をなくし、自衛隊を解散したら中国共産党尖閣や沖縄に侵攻しうると考えます。
・私なら親中派を物心両面で支援して親中国政権をつくるように画策します。自衛隊解散、日米安保廃棄を実現する政権が最も中国には望ましい。

リツイートするのだからまあ、「バカに付ける薬はない」という所ですかね。
 中国言いなりの政権なんか出来るわけがないし、一方で「反中国政権」なんてことも日中の経済関係を考えれば無理な話です。
 これに対し、所氏は黒坂に

所十三
 それを今の日本人が望むという設定で既に無理があります。あと、アメリカはそんな甘くありません。日本にそこまでの親中政権*3が出来る前に徹底的に芽を摘み取るでしょう。

とツイートしています。おっしゃるとおりで自民・公明支持者は勿論、野党支持者にしても当面は「黒坂の考えるような親中国」になることはありえません。野党は安倍のような反中国ではないにせよ、黒坂のいうような「中国言いなりではない」。
 また日米安保廃止も自衛隊廃止も現状では「楽な道」では明らかにありません。いや「日米地位協定の改正」「自衛隊軍縮」レベルでさえ「楽な道」ではない。
 そしてチリ・アジェンデ政権相手には「軍事クーデター」を仕掛けたのが米国です。
 いざとなれば米国はそこまでやる。まあ日本相手にそれはないでしょうが「米国をとてつもなく無能で、中国をとてつもなく有能」と描き出さない限り、黒坂のような脅威は現実には成立しません。
 なお、所氏は

https://twitter.com/tokoro13/status/1152569889191690241
所十三
 今の日本共産党の支持者で中国のような体制を許せる人間は一人もいないでしょう。選挙のある日本で支持者を失えばアウトです。それより怖いのは特定秘密保護法共謀罪で国民の権利を奪おうとしてる自民党です。たとえ資本主義でも日本を中国のような国家体制にする事に私は反対します。

https://twitter.com/tokoro13/status/1152521265615212546
所十三
 「共産党」という言葉のイメージだけで毛嫌いする人が多過ぎる。中国共産党とは全く性格の違う日本共産党を名前だけで一緒くたにする印象操作の成果。性格的に中共に近いのは自民党

ともツイートしており俺的に好感が持てそうな御仁です(所氏が共産党支持者なのか、「野党共闘のタッグパートナーとして評価してる」にとどまるのかはともかく黒坂のような反共右翼でないことは確かです)。
 さて他にも所氏のツイートを見てみましょう。

https://twitter.com/aniotahosyu/status/1152580639666761729
所十三リツイート
・古谷経衡
 明日の参院選で自民が50割れということになれば責任論というものが出てくるだろうが(ボーガス注:残念ながら)それはないであろう。問題は、何を言っても何をやっても政権与党は盤石で危機を感じない現体制である。国民を背任すればすぐ下野させられてしまう、という危機感。この危機感を味あわせたい。自公に。よき日本の為に。

 まあネトウヨの古谷ですら安倍の無茶苦茶と「それを容認する日本人多数派」にうんざりしてるようですね。俺もうんざりですが。
 ちなみに古谷のツイートには「安倍総裁のままでいいのか」「今回の参院選で自民が大敗しても、衆院選挙じゃないんだから政権交代なんかない。1998年参院選敗北で橋本総裁が辞めて、小渕総裁が誕生したのと同じ事が起こるだけじゃないですか。安倍や二階が、総裁や幹事長をやめるだけじゃないですか。後継総裁が石破や石原、岸田になるだけじゃないですか」「それで何が悪いんですか?」(以上、俺の要約)つう趣旨の別のリツイートもついていますね。まあ、自民支持層でも「モリカケなどで安倍にはうんざり」ならそう思うでしょう。

https://twitter.com/HIDE_Bell/status/1152613039914401792
所十三リツイート
■湘南魂
‏ 予想通りニュースではカットされたのが宮迫が「今回とは別に当該の反社会勢力から吉本が正規の営業として仕事を受けていた」と語った所と、ロンブー亮が「吉本が在京在阪キー局は吉本の株主だから大丈夫(ボーガス注:と会社に言われた)」と語った所。大きな闇を感じる部分をカット。

 「今回とは別に当該の反社会勢力から吉本が正規の営業として仕事を受けていた」と言う話が事実なら、宮迫としては「会社が以前、そこの仕事を受けたから俺が直接受けても問題ないと思った。それなのに会社はその事実を認めないし、その件について処分者が誰一人いないし、社長も謝罪しない。吉本はクリーンで、まるで俺だけが反社とつながりがあるかの扱いで首切りは納得できない」でしょう。暴露記者会見になるのも当然の話です。しかし「予想通りニュースではカット」ですか(呆)。

参考

所十三(1961年生まれ、ウィキペディア参照)
 駒澤大学卒。駒澤大学漫画クラブOBの漫画家・高橋葉介(1956年生まれ)、芳井一味(1959年生まれ)のアシスタントを務め、1984年(昭和59年)、『月刊少年マガジン』(講談社)で読み切りマンガ『名門!多古西応援団』でデビュー。これが好評だったことから連載(1984~1992年)となる。この他にも『週刊少年マガジン』(講談社)で連載した『疾風伝説 特攻の拓』(1991~1997年)のような、硬派な世界の少年達の漫画を数多く手掛ける。最近では『DINO2』(講談社週刊モーニングに2003年に連載)、『白亜紀恐竜奇譚 竜の国のユタ』(秋田書店週刊少年チャンピオン』に2006~2009年に連載)のような、かねてから興味を抱いていた恐竜をテーマにした漫画を中心に発表している。

*1:イヤー『文革の時はいろいろと済みませんでした(中国)』で現実問題として十分でしょうよ。

*2:そもそも米軍基地は日本防衛のためにあるわけではありません。国防限定なら、米軍基地など必要なく、自衛隊だけで十分です。

*3:日米安保廃棄や自衛隊解散は別に親中国ではないのですがそれはひとまずおきます。

高世仁に突っ込む(2019年7/21分)

首相官邸が国民民主を支援の怪 - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 この拙記事につけた「これはひどい」タグは「高世の記事」ではなく「高世記事が紹介する自民党と国民民主党の振る舞い」が酷いと言う意味です。
 むしろ今回の高世記事は「自民党と国民民主党の振る舞い」を批判したよい記事だと思います。

 投票日直前、まさかと思う情報が・・
 静岡選挙区で、首相官邸が国民民主党の候補者を支援するという。さらに、ある番組でそれを報道しようとしたら局内で潰されたというのだ。
【特別寄稿】スクープ! 官邸への忖度か!? 参院選静岡選挙区に関する報道をめぐって、『報ステ』から消えた『6分』のVTR! 官邸は国民民主候補への支援と引き換えに改憲賛成を要求か!? | IWJ Independent Web Journal
 17日の新聞のテレビ欄には、報道ステーションの番組予告では「“大物が続々応援”激しい駆け引き・・・静岡選挙区」とあったのが、用意された6分のVTRが突如降ろされ、「番組の内容を一部変更しました」とのテロップが流れて番組が終わったという。
 そのVTRの内容は、菅義偉官房長官が静岡選挙区で立候補している国民民主党の榛葉(しんば)賀津也候補を支援するよう地元有力者*1に要請しているというもの。
 (ボーガス注:定数2の)静岡選挙区では過去3回、国民参院幹事長の榛葉賀津也*2が自民と議席を分けあってきた*3が、そこに立憲民主党から徳川宗家*419代目*5徳川家広*6が立ち、一転して激戦区になっている。ここに首相官邸が「介入」してきたことは複数のメディアですでに報じられていた。
立憲が国民に「刺客」=官邸参戦で対立激化-静岡【注目区を行く】:時事ドットコム
 《苦境に陥った榛葉に思わぬ強力な援軍が現れた。自民県連関係者は「官邸が榛葉にてこ入れしている」と声をひそめる。複数の関係者によると、榛葉と親しかった官房長官菅義偉が企業や公明の支持母体・創価学会に榛葉支持を働き掛けたという。徳川陣営も察知しており、関係者は「山が動いた。公明が怪しい動きをしている」と警戒を強めている。》(11日時事通信
 また、静岡新聞が13日の朝刊1面トップで《「官邸依頼」で榛葉氏支援》の記事を載せていた。
参院選静岡選挙区 野党激突に「不思議」な動き、官邸介入か|静岡新聞アットエス
 《5日夜、榛葉氏が浜松市中区の中心部で行った街頭演説に、スズキの鈴木修会長が突然姿を現した。
 過去の選挙でも取引先や関係企業を動かして政治的影響力を発揮してきた鈴木会長。2013年の参院選静岡選挙区では牧野氏を支援し、榛葉氏とは疎遠だった。今回選でも、全国軽自動車協会連合会の要職に就いている牧野氏を支援するとみられていた。ところが、鈴木会長は榛葉氏の演説を聴き終えると、記者団に榛葉氏支援を明言。「自民党の牧野氏は1位だから(榛葉氏の)2番目の当選を祈っている」と答えた。関係企業を含め榛葉氏を支援する方針だ。
 7日には袋井市での榛葉氏の集会で、国民民主党企業団体委員長の桜井充*7参院議員が「榛葉氏が厳しいから、自民党静岡県選出の元大臣に『票を回して』とお願いした*8」と明らかにした。
 複数の関係者によると、スズキ以外にも県内の大手企業や団体の一部が榛葉氏の支援に回った。脱原発を主張する徳川氏の当選を阻止したい思惑も透けるが、ある自民関係者は「首相官邸からの依頼だ。(参院選後の)改憲を意識しているのだろう」と話す。榛葉氏に恩を売って(ボーガス注:榛葉氏ないし彼が所属する国民民主党に)改憲へ協力を得る狙いとの分析だ。背景に静岡選挙区で自民が2人目の公認候補擁立を見送り、牧野氏が他候補に先行する選挙情勢もある。》
 問題なのは、こうした報道が忖度によってメディア*9で報じられなくなっていることだ。メディアの責任は重い。

 高世も呆れていますが「報道ステーションの話」が事実ならとんでもない話です。
 それはともかく、このあたりが国民民主が立民、共産党よりも支持率が低い理由の一つであるわけです。つまり日頃の言動から「自民党に寝返るんじゃないのか」と多くの野党支持者に疑われてる。
 そして国民民主(昔は民主党民進党の一部)のような存在が野党にいることが「野党にも安倍自民に近い政党があるなら安倍自民で問題ないじゃん」つうイメージを安倍自民支持層に与えて安倍を利してるのも間違いないでしょう。立民にもこうしたウヨ議員としては「福山*10幹事長」がいますしね(もちろん野党が軒並み、「共産並みの信用できる一貫した安倍批判*11」でも安倍自民を支持する支持者は一定数いるでしょうが)。
 そういう意味で「1980年代以前の野党」と違い「俺にとって信用でき、評価できるのは共産党だけ」つう嘆かわしい状況です。
 正直「何度も繰り返します」が俺は共産支持とは言え、それは他の野党が「政策面や政治姿勢で評価できない(維新。立民、国民民主と言った旧民進党系の諸政党)or評価してもいいが党勢が弱いから(社民やれいわ)」という消極的選択*12です。
 id:Bill_McCrearyさんが嘆くように「社会党が健在だった1980年以前(土井たか子委員長以前)」のほうが「ずっとマシだった」と嘆きたくもなります。
 もちろん社会党も100点満点ではない。社会党も当時「いわゆる国対政治」が批判されていました。
1)金丸(自民党副総裁)、田辺氏(社会党委員長)が一緒に訪朝をするほど、親密なのは「彼らが自民、社会の国対委員長」時代にそうした関係が出来た
2)村山自社さ連立内閣で官房長官を務め「村山内閣誕生の仕掛け人の一人」とされる野坂浩賢氏は社会党国対委員長経験者であり、そのため自民とパイプがあった
のは割と有名な話です。
 したがってこの種の問題が社会党に全くなかったとは言えない。とはいえ最近はあまりにも酷すぎるでしょう。
 「国対政治」と比べても今の「自民党に近い、なんちゃって野党(今回は国民民主)」の態度は酷すぎる。
 なお、徳川某氏について「なぜ静岡?」と思う方もいるでしょう。
 徳川家康は、「北条氏の滅亡後、豊臣秀吉の命令で、関東に移動させられるまで」はもともと静岡を領土としていました。そして将軍引退後は、静岡に駿府城を作ってそこで死ぬまで生活していました。
 家康死後は徳川忠長(三代将軍・家光の弟)が駿府藩主となり、忠長改易による駿府藩消滅後は幕府直轄地として駿府城代が置かれます。
 そうした経緯から、明治維新後、最後の将軍「徳川慶喜」及び幕臣たちは明治新政府によって「駿府(静岡)への移住」を強制されるわけです。

*1:高世の紹介する静岡新聞記事に寄れば軽自動車大手スズキの会長だそうです。

*2:鳩山、菅内閣防衛副大臣、野田内閣外務副大臣を歴任

*3:まあ共産に立ててほしいところですが、「地盤の強い京都」などと違い定数2ではなかなか難しいのでしょう。なお、今回は残念ながら「複数区で自民を落とす」というのが一部(沖縄なんかはそれが可能でしょう)を除いて困難なので勝負の焦点は1人区になります。

*4:もちろん「徳川将軍家(明治以降は華族)の末裔」つう意味です。著名な人間としては貴族院議長、ワシントン軍縮会議全権大使などを務めた徳川家達(16代目当主)がいます。

*5:徳川家康から数えて19代目だそうです。

*6:作家。著書『自分を守る経済学』(2010年、ちくま新書)、『なぜ日本経済が21世紀をリードするのか:ポスト「資本主義」世界の構図』(2012年、NHK出版新書)、『マルクスを読みなおす』(2014年、筑摩選書)

*7:菅内閣財務副大臣、野田内閣厚労副大臣民主党政調会長(海江田代表時代)など歴任

*8:こういうことを選挙集会で公言する当たり理解に苦しみますね。

*9:正確には「テレビ(今回はテレ朝・報ステ)」ですね。高世の紹介する時事通信静岡新聞はそれなりに報じてるわけですから。

*10:鳩山内閣外務副大臣菅内閣官房副長官民主党政調会長(海江田代表時代)を経て立憲民主党幹事長

*11:ここではあくまでも「批判が一貫していて信用できる」と言う意味で「共産並み」と書いており、それ以外のことは問題にしていません。

*12:なお、言い訳しておけば「消極的選択」であっても「選ばれること」は「誇りに思っていい」というか「別に恥ずべき事ではない」と俺個人は思っています。俺は消極的選択ですらたとえば維新を選ぶ気はありませんし。

今日の中国ニュース(2019年7月20日分)

中国の太陽光パネル工場を歩く 1枚1分で、世界を席巻 :日本経済新聞

 中国の太陽光パネルメーカーが世界市場を席巻している。世界上位10社のうち8社を中国企業が占め、生産地別のシェアでも中国は約7割を占める。

 中国をどう評価、認識するにせよこうした事実をおさえずに反中国発言をしてもそれは無意味でしょう。


■M谷氏ツイートにコメント

■M谷N子
‏ 中国駐日大使館の京アニへの哀悼に深謝。当方からも一つ哀悼を。新疆ウイグル自治区職業訓練施設などと偽り大規模に作られているテュルク系ムスリム強制収容所で、大勢のウイグル人らが死亡していることに、心から遺憾*1の意を表します。

中華人民共和国駐日本国大使館
‏ 京都で発生した悲惨な事件で、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りし、負傷された皆様にお見舞いを申し上げます。

 「なんだかなあ」ですね。ご本人うまい皮肉を言ったつもりなのでしょうがね。こういう物言いは京都アニメに失礼な気がしますし、中国に対しても挑発行為でしょう。どう見ても感謝してない。
 俺なら

■ボーガス
(ツイート例)
 中国駐日大使館の京アニへの哀悼には日本人として感謝している。しかしそうした人情を例えばウイグル族にも向けてほしい。国連が批判している現状の中国によるウイグル統治にはやはり問題があると思う。

とでもツイートしますかね。まあ内容的には「中国批判」で大して変わらないですけど、やはり「表現の仕方」は大事だと思います。
 小生の「ツイート例」の場合「皮肉でも何でもなくて単なる感想」ですからね。


宗教・文化省大臣カルマ・ゲレク・ユトク師、訪日:お寺と国会を訪問 | ダライ・ラマ法王日本代表部事務所

 毛沢東時代より悪化している

 いやーさすがに毛時代(文革?)よりはマシでしょう。

・カルマ・ゲレク・ユトク師は国会を訪問、元文部(ボーガス注:科学)大臣で現国会議員の下村博文氏と面会した。超党派の「日本チベット国会議員連盟」会長の下村氏
・ユトク師は千葉工業大学麗澤大学からも暖かな歓迎を受けた。

 麗澤大が「日本会議にも参加してるウヨ宗教モラロジー系列」「古森義久高橋史朗八木秀次が教員」と言うウヨ大学です。
 千葉工業大が「落選していた頃の萩生田光一が一時客員教授でカネをもらってた加計系列の大学」です。
 まあ何というか「下村に言われるがままに訪問」なんでしょうが「やれやれ(苦笑)」ですね。

*1:「哀悼」がいつの間にか「遺憾」に変化しています。

今日の朝鮮・韓国ニュース(2019年7月20日分)

あなたの参院選:日韓政治対立と韓国ブーム 女子高生「政治と文化は無関係」 | 毎日新聞

 記者が東京・新大久保のコリアンタウンを訪れると、中高生や20代の若者がまちにあふれていた。平日のお昼過ぎにもかかわらず、まるで観光地のようなにぎわいだ。
 「自分の周りでは韓国のコスメ(化粧品)やアイドルがブームです」。
 埼玉県から来た中学2年、もえかさん(14)が大流行している韓国発祥のチーズドッグ「ハットグ」を手に取材に応えてくれた。韓国のイメージを尋ねると「おしゃれで流行の最先端。ファッションがかわいくてまねしたくなる」と魅力を熱く語る。
 K-POPを代表する「防弾少年団BTS)」は2014年に日本でデビューした。オリコンによると、3日にリリースした日本での10枚目シングルは週の売り上げが62.1万枚を記録して初登場1位になった。
 韓国コスメも若い女性に人気がある。財務省貿易統計によると、2008年に118億4356万円だった韓国からの「精油・香料及び化粧品類」の輸入額は、今回のブームが始まったとされる2016年に262億6863万円になり、18年は364億5130万円と10年間で3倍に膨らんだ。
 今回の韓国ブームは第3次と呼ばれている。第1次は2003年ごろから爆発的な人気を呼んだ韓流ドラマ「冬のソナタ」によるもの。第2次は2010年前後で、少女時代や東方神起といったアイドルが本格的に日本でデビューし、NHK紅白歌合戦にも出演*1した。

 そりゃ政治と文化は無関係でしょう。当たり前の話です。
 文化交流することも悪いことではない。若者を中心に韓流愛好家が増えてることも、そうした文化交流を毎日新聞がこのように報じることも「日韓友好や在日差別撲滅に貢献しうること」で大変いいことです。
 とはいえ日韓関係に限らず、「文化交流してれば政治的対立が自然に解決するわけでは全くない」。
 安倍のような極右排外主義者、韓国差別者がでかい面して首相をやっていて「文化交流だけで」日韓関係がよくなるわけもない。
 たとえば、いかにフランス文化が魅力的でも「ルペンのような極右」が大統領になったら「文化の魅力だけ」でどうにかなる話ではない。
 その点、この毎日記事は「文化交流の重要性」しか訴えておらず、「何だかなあ」ですね。

 新大久保を楽しんでいた中高校生グループに日韓関係のことを聞くと、冷え込んでいる国同士の関係を思い出したかのように「あ~」と一斉に口をそろえた。詳しくは知らなくても「政治的に仲が悪い」ということは認識しているようだった。高校2年の女子生徒(16)は「政治とこれ(文化)は関係ないですから。悪くても別に良いです。アイドルとか文化が好きな人からしたら関係ない」、中学1年の女子生徒(12)は「おじいちゃん、おばあちゃんにアイドルのグッズをねだると『韓国のアイドルだから』と嫌な顔をされた。正直『なんで』って思う。歴史のこととかアイドルには関係がないことを持ち出してこないでと思います」と答えた。

 こうした少女たちの気持ちは分からないではありません。
 しかし一方で「慰安婦問題」「徴用工問題」などに「日本の韓国植民地支配」に対する適切な認識なくして日韓友好は困難でしょう。
 日本人に適切な認識がないからこそ安倍の無法が容認されてしまう。
 まあ小生だってろくな知識はありませんが「植民地支配は悪だということ」「宗主国が植民地だった国を無反省に敵視するなど馬鹿げてる」「慰安婦戦争犯罪だ」「安倍の戦争認識や韓国評価は許せない」つう認識くらいはさすがにあります。


朝鮮中央通信:日韓問題に関する安倍政権批判|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ
 浅井先生も指摘していますが安倍の嫌韓国行為は「安倍の本音(徴用工判決ガー)」においても、「建前(密輸ガー)」においても北朝鮮にとって容認できる話ではなく批判も当然でしょう。
 まず「徴用工判決ガー」。北朝鮮にも当然、元徴用工はいます。それについて「日本は悪くない」と公然と居直る発言はさすがに北朝鮮も容認できないでしょう。
 一方、ありもしない「韓国から北朝鮮への密輸ガー」には「ありもしない捏造話で我が国を誹謗するな」「我が国を何でも言っていいサンドバッグかなんかと勘違いしてるのか」と言う意味で容認できないわけです。しかも「実態は徴用工判決への報復なのに嘘ついて安保云々と強弁」なんて「WTO違反行為の疑い濃厚」ですから「他の件とは違い」実に日本批判しやすい。
 WTO違反行為を擁護したがる国はまずない。
 かつ「韓国に対して日本は酷い」と北朝鮮がいえば、「韓国との関係が多少なりとでもよくなり、南北交流につながる可能性もある」わけで「日本批判しない動機がない」わけです。
 まあ浅井先生も指摘してますが「前提条件なしで首脳会談(安倍発言)」を北朝鮮は今

「ああ、やっぱウソだったか(最初から期待してなかったけど)」
「本気で首脳会談する気なら『韓国から北朝鮮へ密輸ガー』なんてウソで我が国中傷しないだろ」
「徴用工判決ぐらいで、韓国相手にあんな逆ギレする狭量な安倍が、前提条件なしで金正恩委員長と会うわけがない。『俺が訪朝する場合は、俺のメンツのために何人か拉致被害者を出せ』とか絶対に言ってくるに決まってる。安倍が首相でいる限り交渉の余地なんかねえよ」
「しかしやる気もないことでよく『前提条件なしの首脳会談』なんて嘘がつけるよな、サイコパスなの?」
「よく日本人もあんなんを支持できる。理解が出来ん(注:まあその点は俺も理解できませんが)」

と改めて思ってるでしょうね。


日韓双方とも求めるなら仲介も 韓国大統領が要請 トランプ氏は及び腰 - 産経ニュース
トランプ氏、日韓仲介の用意 「双方が求めるなら」 (写真=ロイター) :日本経済新聞

日韓双方とも求めるなら仲介も 韓国大統領が要請 トランプ氏は及び腰 - 産経ニュース
 トランプ米大統領は19日、韓国の文在寅ムン・ジェイン)大統領から、輸出管理をめぐる日本との対立に関して仲介を頼まれたことを明らかにした。「もし日韓双方が私に求めるのであれば関与するだろう」と述べた

 「なぜ仲介しないのか」という批判に対し、どう見ても「文在寅からは要請があったが、安倍が要請してこないから」と「安倍に責任転嫁してる」としか理解できない話ですが、そうは安倍は理解しないのでしょうね。
 いずれにせよ産経の強弁とは違い、この件で米国は「明確な安倍批判、文氏支持もしない代わりに」安倍支持、文氏批判もしないわけです。
 むしろ「安倍が要請すれば応じる*2byトランプ」ということは、文氏の要請*3それ自体は「日韓関係改善に一定の尽力をしている」としてトランプ政権が評価していると見なすことすら出来るでしょう。

*1:少女時代は2011年の紅白歌合戦に、東方神起は2009年、2011年の紅白歌合戦に出場した。

*2:まあ要請しないとみての逃げ口上の可能性大ですが。

*3:もちろん「韓国の言い分を無視した仲介」など文氏が望んでるわけもないですが、仲介要請自体は「韓国の側に立ってくれ」と言う要望ではありません。そういう意味では安倍が要請したって本来はおかしくないわけです(おそらく要請する気はないでしょうが)。

今日の産経ニュースほか(2019年7月20日分)

改憲勢力「3分の2」迫る?厳しい? 参院選分析、割れたメディア(1/2ページ) - 産経ニュース
 前も触れましたが
1)一人区が接戦で判断が難しい
2)「改憲派」産経、読売などは迫ると書き、一方、「護憲派」朝日、毎日などは難しいと書き、いずれも世論誘導的な態度に出てる(もちろんどちらの態度も非常に問題です)
つうことでしょうね。最悪でも「改憲派2/3阻止」だけは実現したいところです。


自民党・安倍総裁 「不安定な政治に逆戻りするわけにはいかない」 - 産経ニュース
 民主党政権時代がそこまで酷かったとは俺は思いませんが、安倍は本気でそう思っており、それに賛同するのが安倍支持者なんですかね?
 つうか6年の長期政権で今時「不安定な政治に戻せない」もないもんです。なぜそこで自らの成果を語れないのかと言ったら「語る成果がない」と安倍も自覚してるからでしょうね。


公明・山口代表「無責任な政党、口先だけの政治家に負けられない」 - 産経ニュース
 「無責任な口先だけの党ってそれ公明党のことじゃねえのか?」「昔、護憲の党とか、クリーンな党とか言ってたくせによく安倍とつるめるな」「そんな政党はイカンザキ!ですよ」て話です。最近の若者は「イカンザキ(細川内閣郵政相、新党平和代表など歴任)」とか言っても誰のことか分からないでしょうけど。


地上イージス改めて陳謝 首相「緊張感欠いた」 - 産経ニュース
 こんな舌先三寸の無内容な謝罪で済む話では全くありませんが、さすがの安倍も「居直り続けると状況が悪くなる」と思う程度には「反省(?)」しているようです。


共産党・志位委員長「増税は無謀の極み」 - 産経ニュース
 全くもって同感です。消費税増税など10月にやれば確実に景気に悪影響を与えるでしょう。


自民党・安倍総裁「強い経済つくれば年金基盤も強く」 - 産経ニュース
 安倍らしい馬鹿げた主張です。「きちんとした年金制度」を作らなければいくら景気がよくなろうが安心の年金にはなりません。
 こういうデタラメなことを首相が言って恥じないというのだから呆れます。


【昭和天皇の87年】日中和平の一歩手前で“決裂” 背後にソ連の影も… - 産経ニュース
 下で適当にコメントした【昭和天皇の87年】近衛文麿の嘆き「兵がどこに行くのか少しもわからない…」 - 産経ニュースの続きです。
 産経の言う

【昭和天皇の87年】近衛文麿の嘆き「兵がどこに行くのか少しもわからない…」 - 産経ニュース
 この連絡会議のもとで進められたのが、駐華ドイツ大使、オスカー・トラウトマンを仲介とするトラウトマン和平工作である。ところが近衛は、この工作をめぐり大失敗を犯してしまう

の意味が今回分かるわけです。

 日中戦争の初期、ドイツは微妙な立場にいた。日本と防共協定を結ぶ一方で、中国とは経済提携を強め、軍事顧問団も送り込んでいる。

 まあそういうことです。なおウィキペディア「中独合作」を見れば分かりますがこうしたドイツの中国への接近は「1920年代からのこと」、つまり満州事変前、ナチ政権誕生前からのことです。

 広田は、「ドイツが中国に和平を促すなら歓迎する」とした上で、和平条件として(1)内蒙古自治政府を設立する(2)華北は一定の条件のもと中国に行政権を委ねる(3)上海の非武装地帯の拡大(4)排日政策の中止(5)共同防共政策の推進-などを示した。
 ドイツ本国からの指示を受け、中国側の説得にあたったのは駐華大使のトラウトマンだ。親中派のトラウトマンは、中国に一定の影響力を持っている。ところが蒋介石は11月5日、こう言って和平条件を一蹴した。
 「日本側が現状を盧溝橋事件前に戻す用意がない限り、いかなる要求も受け入れられない」
 蒋介石が強気の姿勢をみせたのは、国際連盟の主導で始まった米英仏などの九カ国条約会議(※1)に、期待していたからだろう。会議で日本の軍事行動が条約違反とされ、日本に対する経済制裁などを引き出すことができれば、情勢は一変するに違いない。
 だが、会議は実質的成果を上げることができず、11月15日に閉会してしまう。
 蒋介石は頭を抱えた。和平交渉を拒んでいるうちに上海が陥落し、南京も風前のともしびである。12月2日、蒋介石は軍幹部を招集し、日本の和平条件を示して意見をきいた。
 最高幹部の一人、白崇禧が言う。
「これだけの条件だとすれば、なんのために戦争しているのか」
 徐永昌もうなずく。
「ただこれだけの条件ならば、これに応ずべし」
 同日、蒋介石はトラウトマンに会い、こう伝えた。
「ドイツの仲介を受け入れる用意がある」
 あとは日本側の決断次第だ。しかし、ここで近衛文麿内閣が第一の失敗を犯す。12月13日に南京が陥落したことを受け、和平条件を一気に引き上げてしまうのだ。華北の特殊地域化を要求したり、賠償請求を追加したりと、中国の面子を潰すような内容である。

 当初の条件を引き上げて交渉の見込みをかえって潰すとはまるで「小泉訪朝後に、特定失踪者デマを持ち出して拉致被害者数を水増しした救う会」のような所業です。まあ救う会の場合、「交渉を潰す気」なのに対し、近衛首相や広田外相は「南京が陥落した、蒋介石も弱気になってきた。もっと有利な条件が要求できるはずだ」「蒋介石に和平を蹴れるはずがない。蹴ったら日本軍で叩き潰せばいい」と蒋介石をなめていただけであり、一応「和平する気はあった」わけですが。
 一方参謀本部の多田や石原(和平推進派)は「とにかく和平最優先」でこういう条件引き上げには批判的だったわけです。
 これでわかることは「落としどころを考えずに楽観論で無茶苦茶なことすると後で取り返しがつかなくなる」つうことですね。拉致問題での家族会なんかその典型でしょう。今安倍がやらかしてる韓国相手の嫌がらせも似たようなもんです。

 近衛内閣にも、止むに止まれぬ事情があった。8月の第二次上海事変以降、日本軍の戦死傷者は10万人を超え、戦費も巨額に達していた。12月の南京陥落で国民が戦勝気分に酔う中、賠償請求などを追加しないわけにはいかなかったのだ。

 まるで「家族会がうるさいから北朝鮮に強硬路線をせざるをえないんだ」の世界ですね。今の我々は当時の近衛内閣を全く笑えません。

 とはいえ、中国側に受け入れ不能な条件を出しても意味がない。ある時、内閣書記官長の風見章*1が関係閣僚に「この条件で和平の見込みがあるだろうか」と聞いてみた。
 米内光政海相「和平成立の公算はゼロだと思う」
 広田弘毅外相「まあ、三、四割は見込みがありはせぬか」
 杉山元陸相「四、五割は大丈夫だろう。いや五、六割は見込みがある」
 こんな調子では、本気で和平実現を考えていたのか疑われても仕方がない。
 12月23日、新たな条件を伝えられた駐日大使のディルクセンは、外相の広田に言った。
 「これらの条件を中国政府が受諾することは、あり得ないだろう」

 産経ですら「お前ら、和平する気があるのか」と突っ込む近衛内閣メンバーの態度です。南京陥落による「蒋介石の妥協(当初受け入れ拒否していた条件を受け入れる用意があるとした)」に「そんなに蒋介石が弱気ならもっと条件をあげよう。それで向こうが受け入れなくてもいい」と完全に楽観論だったわけです。
 まあそれはともかく「受け入れ不能な条件を出しても意味がない」つうのは何だって同じです。
 例えば北朝鮮拉致。「即時一括全員帰国以外認めない」とかいって相手が受け入れるのか。
 産経記事をパロれば救う会、家族会は

・ある時、家族会、救う会に「この条件(即時一括全員帰国)で日朝首脳会談の見込みがあるだろうか」と聞いてみた。
・「会談成立の公算はゼロだと思う」
・「まあ、三、四割は見込みがありはせぬか」
・「四、五割は大丈夫だろう。いや五、六割は見込みがある」
 こんな調子では、本気で拉致解決を考えていたのか疑われても仕方がない。

ではないのかと疑いたくなります。

 果して中国は、トラウトマンから新条件を示されて沈黙した。日本側は翌年1月6日を期限とし、回答を待ったが、うんともすんとも言ってこない。
 ただ、何もしなかったわけではなかった。実はこの時、中国は新条件をソ連に内通し、アドバイスを受けていたのだ。スターリンは12月31日、こう打電した。
 「盧溝橋事件以前の状態に戻すという条件でなければ応じるべきではない。仲介したドイツの意図は日本を休ませることにあり、日本は休戦してもすぐにそれを反故(ほご)にする」(※2)

 産経は「スターリンの狙いは国民党による共産党攻撃の阻止ではないか」としていますが、仮にそうだとしても、蒋介石も「いったん受け入れた条件を引き上げる」ような無茶に応じる気にはならなかったでしょう。
 そもそも「盧溝橋事件以前に戻せ」ということは「満州国は認める」ということなのだから、日本にとってとてつもなく不利益というわけでもない。

 しかし、近衛は粘らなかった。このまま蒋介石政権が和平を求めてこないなら、親日的な新政権の樹立を助長し、それと交渉して戦争を終わらせようとしたのだ。
 これが近衛の、第二の失敗である。戦争相手と交渉せずに、何を決めるというのか。しかも近衛は、新たな方針を御前会議で確定しようとする。昭和になって初の御前会議だ。それが近衛の、取り返しのつかない第三の失敗を招くのである

 「親日的な新政権の樹立」とは汪兆銘擁立工作です。汪兆銘政権と日本で和平を結ぶとともに、蒋介石政権幹部に「汪兆銘政権に参加せよ」と切り崩し工作を仕掛けて、蒋介石政権を崩壊させれば戦争は終わるというなんとも日本にとって都合のいい話です。その結果「国民政府(つまり蒋介石)を対手とせず」声明(第一次近衛声明)が出され、一方では汪兆銘擁立工作が水面下で始まる。
 「御前会議での第三の失敗」「新たな方針」とは御前会議を経て決定された第一次近衛声明のことでしょう(ただし詳しい話は次回の記事のようです)。
 しかし汪兆銘 理想と現実1汪兆銘 理想と現実2を読めば分かるように、汪兆銘工作の結果は日本にとっても汪兆銘にとっても悲惨でした。
 汪に「日本が期待したほどの政治力」がないため、蒋介石政権への打撃はたいした物ではありませんでした。蒋介石政権の重要メンバーが汪のもとにかけつけるなんて都合のいいことにならなかった。しかも日本側も「汪のメンツを守る」どころか手前勝手な要求を突きつける。かえって蒋介石に「汪兆銘売国奴、裏切り者」と宣伝されるだけに終わります。
 こうしてみると「前も書きましたが」
1)「当時の日本支配層(政財官界)が軍部に限らず、中国は簡単に倒せると蒋介石をなめていたこと(その結果、軍部が暴走しても大目に見てしまうこと)」
2)「米国の中国支援意志を軽視していたこと(どうせ、中国に対する軍事的勝利という既成事実を作れば米国も支援を諦めると考えた結果、米国との対立がどんどん深刻になる)」
ことが日中戦争を深刻化させ、太平洋戦争を招いたのだと改めて思います。
 「1)中国は簡単に倒せる」や「2)既成事実を作れば米国も蒋介石支援を諦める」と言う認識が正しければ「道徳的是非」はともかく近衛らの「トラウトマン和平工作否定」は「それなりに合理的だった」でしょう。しかし1)も2)も結果的には間違いであり、日本は泥沼の戦争に突入していきます。
 ゆう氏が

小林英夫『日中戦争』
 戦争は「持久戦」となります。しかし中国には、自らの力で勝利を勝ち取る(ボーガス注:軍事)力はありません。そこで中国は、「ソフトパワー」の発揮により反撃に転じようとします。
 初期において、中国は諸外国、特に米国の同情を獲得することに成功していました。
 このような中国側の「ソフトパワー」の発揮は、米国などからの大規模な物資支援、あるいは日本に対する石油禁輸措置などの形で、少しずつ成果を挙げていきます。そして打つ手がなくなった日本は、英米戦争という「狂気の選択」に追い込まれることになります。

と書くとおりでしょう。
 軍事力において中国を圧倒していた日本は、「戦争勝利」を確信していた。しかし中国側は「欧米の支援」で対抗した。その結果、「欧米のせいで中国に勝てない」とばかりに日本は英米戦争という「狂気の選択」に踏み込むわけです。遅くともその時点で「英米戦争」ではなく「日中戦争和平」に動くべきでした。


【昭和天皇の87年】近衛文麿の嘆き「兵がどこに行くのか少しもわからない…」 - 産経ニュース
 以下は小生が持ってる山田朗昭和天皇の軍事思想と戦略』(2002年、校倉書房)を参考に書いていきます。
 なお、山田氏はその後も「昭和天皇の戦争責任問題」では

・『昭和天皇の戦争:「昭和天皇実録」に残されたこと・消されたこと』(2017年、岩波書店
・『日本の戦争III:天皇と戦争責任』(2019年、新日本出版社

と言う本を出していますがそちらは未読です。

 戦争状態を終結*2するには、政府と軍部の意思疎通が欠かせない。そこで近衛が考えたのは、大本営の設置である。大本営は戦時における天皇直属の最高統帥機関だ。正式な構成員は参謀本部と軍令部の首脳のみ*3だが、かつて伊藤博文が首相の立場で列席した前例がある。近衛は、大本営を設置したうえで自ら構成員に加わろうとした。

 戦争があまりにも長期化したため、大本営の設置自体には軍部も反対はしていません。
 問題は「制度上は大本営のメンバーではない首相、蔵相、外相」をメンバーにして軍部をコントロールしようとする近衛首相の態度には軍部が難色を示したと言うことです。彼らは近衛に余計な口出しをされたくなかった。
 その結果、妥協案として「政府と大本営の意見調整組織」として大本営政府連絡会議が設置されます。
 幕末の討幕運動に従事し、「毛沢東主席、劉少奇国家主席周恩来首相、トウ小平副首相ら中国共産党革命第一世代」なみの権威を持ち、明治新政府誕生後も「首相、貴族院議長、枢密院議長、韓国統監」など要職を歴任した伊藤は「軍出身」でなくても、大本営に参加し軍ににらみをきかすだけの実力がありました。近衛にはそれだけの力はなく彼は大本営それ自体には参加できませんでした。
 ただし、「近衛ら内閣構成員」を排除しようとした軍部の態度を批判した上での話ですが、個人的には日中戦争が継続した最大の理由は「統帥権独立による軍部の暴走」ではなく
1)「当時の日本支配層(政財官界)が軍部に限らず、中国は簡単に倒せると蒋介石をなめていたこと(その結果、軍部が暴走しても大目に見てしまうこと)」
2)「米国の中国支援意志を軽視していたこと(どうせ、中国に対する軍事的勝利という既成事実を作れば米国も支援を諦めると考えた結果、米国との対立がどんどん深刻になる)」
だと思うので仮に近衛が蔵相、外相とともに大本営メンバーになっても日本は「1945年の敗戦に向かった」とは思います。

 当時は日中双方とも宣戦布告をしておらず、本来なら大本営は設置できない。しかし昭和天皇は12年11月17日、陸海両相の奏請により従来の大本営条例を廃止し、「大本営ハ戦時又ハ事変ニ際シ必要ニ応ジ之ヲ置ク」とする新たな大本営令を裁可した。

 なぜ日中両国は宣戦布告しなかったのか。なぜ日本は大本営規則を「事変でも設置できる」と改正したのか。産経はなぜか書いていませんがその理由は「米国による中立法の発動」です。
 当時の米国にはモンロー主義に基づき「戦争中の国に対しては米国は中立的立場をとり、軍事物資を輸出しない」と言う中立法がありました(ドイツと戦う英仏を軍事支援するために後に中立法は廃止されますが)。日本や中国が宣戦布告すると中立法が発動されます。そうなると日本も中国も米国から軍事物資が一切来なくなる。それで戦争が遂行できるのかと言う不安が日中両国にはありました。「中国だけではなく」当時の日本もそれほど米国に物資を依存していた。
 しかしその後の日本は「そんな米国相手」に戦争を仕掛けるのだから無謀な話です。
 いずれにせよ「戦争なのに中立法の発動を恐れ宣戦布告しないだけ」「大本営をいつまでも設置しないと不便」ということで大本営規則が「事変でも設置できる」と改正されます。

 この連絡会議のもとで進められたのが、駐華ドイツ大使、オスカー・トラウトマンを仲介とするトラウトマン和平工作である。ところが近衛は、この工作をめぐり大失敗を犯してしまう

 ということで今回の記事はこれでひとまず終わりです。産経の言う「近衛の大失敗」の意味がよく分かりませんが「工作にのらない」と決めたことか。
 あるいは工作打ち切り後に出されて「和平の可能性を破壊した」と非難される、いわゆる「国民政府を対手とせず」声明(第一次近衛声明)のことか(ただし、どちらも近衛の独断ではなく他の大臣もそうした意見が多かったのですが)。
 いずれにせよ、産経の言う「近衛の大失敗」の意味は次回明らかになるわけです。
 なお、当時のドイツは「満州事変の起こる前」から中国に積極的に経済進出し、武器などを売っていました。上海事変ではドイツ軍事顧問の指導で蒋介石は日本と戦ってさえいました。
 一方で日本とは日独同盟を結んでいたわけです。
 「中国という巨大市場を失いたくないが、日独同盟も続けたい」と思ったドイツは「トラウトマン和平工作」に動きますが勿論これは日本が乗り気でないことから失敗します。その結果「ソ連と戦うには日本との同盟が必要だ」と考えるヒトラーの意向によって、「中国市場を失いたくない財界や経済官庁」の意向「中国との連携」は捨てられドイツは更に日本との提携に力を入れます。
 以前も別記事で書きましたが「もしトラウトマン工作が成功していたら」「もしドイツが日本を切って中国を選んでいたら」、日本は太平洋戦争に踏み切っていなかったかもしれません。
 なお、山田本でもウィキペディア「トラウトマン和平工作」でも指摘がありますが、この工作に乗り気だったのが、多田駿*4・参謀次長*5石原莞爾*6参謀本部第一部長が支配する当時の参謀本部です。多田らは日中戦争が泥沼化すること、欧米の対日感情が悪化することを恐れていました。
 一方、近衛内閣メンバー「近衛首相」「広田*7外相」「杉山*8陸軍大臣」「米内*9海軍大臣」は「こんな不利な条件で和平するくらいなら戦争を継続する」「日本の方が軍事的に勝利してるんだ」と全員がこの工作には否定的でした。その結果、日本はこの和平工作には乗らないことを決めます。
 終戦工作に従事したこと、日独伊三国同盟や対米戦争に反対したことで平和主義イメージで語られることの多い米内はこの時はむしろ戦争を推進しました。
 そして「満州事変」によって「戦争推進イメージ」で語られることが多い石原莞爾はこの時「平和主義」ではなく「日中戦争が泥沼化したらせっかく作った満州国がぽしゃるかもしれない」と言う考えだったとは言え、むしろ終戦に動いていたわけです。いわゆる陸軍悪玉論、海軍善玉論が単純には成立しないことが分かるかと思います。
 

【産経抄】7月20日 - 産経ニュース

 集団的自衛権の行使を限定容認した安全保障関連法の成立直後の平成27年9月のことである。朝日新聞で、著名な憲法学者の長谷部恭男氏*10が同法を批判し、憲法条文を見ても白黒の判断がつきにくい場合について持論を語っていた。
▼「答えを決めるのは、(中略)『法律家共同体』のコンセンサスです」。

 (中略)と言う部分が怪しすぎます*11がそれはともかく。
 「専門的な問題については原則として専門家の意見に従うべきだ」「素人が安易に専門家を否定すべきでない」と長谷部氏は言ってるに過ぎません。
 例えばわかりやすい例で言えば「国民が温暖化CO2否定論を否定したら、政府もその方向で動くべきなのか」。そんな馬鹿な話はない。
 あるいは専門家の意見(米国には勝てない)を無視して国民挙げて「対米戦争に突き進んだ日本」は結局敗戦しました。
 もちろん「人文・社会科学と自然科学」では性格が違いますが、長谷部氏の主張はその程度の話でしかありません。
 つうか長谷部氏の主張は「天皇と国民主権~国体関連で」 小堀桂一郎・東京大学名誉教授 « 最近の活動 « 公益財団法人 国家基本問題研究所で国基研が持ち上げる「ノモス論」にある意味近い認識なんですけどね。
 かつ「決めるのは国民の多数決だ」と産経が言うなら産経は「国民の大多数」が支持する女帝導入を支持すべきでしょう。しかし産経は大原康男などを持ち出した上で「これが天皇制の専門家の意見だ」と言い出して反対するわけです。全くデタラメです。


「天皇と国民主権~国体関連で」 小堀桂一郎・東京大学名誉教授 « 最近の活動 « 公益財団法人 国家基本問題研究所

 法哲学者・尾高朝雄著『国民主権天皇制』をとりあげ、象徴天皇制国民主権とは矛盾しないという尾高理論

 ググったら『国民主権天皇制』が最近、講談社学術文庫から刊行されたようです。
 「今時、尾高説かよ」ですね。
 まあ、大学の法学部で憲法を学ぶと「尾高・宮沢論争」というのが「あったという事実」は教わります(ウィキペディアにも「尾高・宮沢論争」という項目がある)。「一応、法科卒」の俺も「あったという事実」は教わりましたし、芦部の教科書なんかにも確か簡単に書いてあります。
 ただ「尾高の主張」はあまりにも意味不明で難解なので詳しい説明なんかまず「大学の授業レベル」ではされないし、一般には「宮沢の方が支持された」で話は終わります。
 尾高理論(いわゆるノモス主権論)は『象徴天皇制国民主権とは矛盾しない』という理論ではありません(確かに尾高説なら矛盾しませんが)。そうではなく「戦前日本と戦後日本で主権のあり方は変わらなかった。主権はどちらの社会でもノモスにあったのだ」と言う代物です。
 これだと日本に限らず「フランス革命でも、ドイツ革命でも、ロシア革命でも、辛亥革命でも、あらゆる政治的変革で」「王制から共和制になろうが」主権はノモスで変わらないと言うことになりかねません(尾高がそういったと言うことではなくそう解釈しうる)。
 一方、宮沢は「主権は天皇から国民に移った」と主張しました。
 まあ、「戦後の変化を小さく見せたがる」尾高は「右寄り」なんでしょう。いずれにせよこの尾高理論だと「戦後の国民主権への変化はたいした変化じゃない」んだから「日本国憲法」について「象徴天皇制になったこと」に話を限れば何ら嘆くことではなくなりますが、それを国基研は支持するのか。まあ尾高は「右寄り」として「象徴天皇制」を認めざるを得ない(反対しても国際社会の圧力で、阻止は無理)と考えた上で「戦後の変化をできる限り小さく見せようとした」んでしょう。
 いずれにせよ、問題は「ノモスって何?」ですよねえ(尾高の独自理論のようですが)。
 これを国基研は

 変わったのは主権発動の態様、いわゆる政体であり、主権の在り方としての国体に変化はないことになる。
 ここで、尾高氏はギリシャの詩人ピンダロスの言葉「ノモス(法や掟、伝統など)」を用い、難解なノモス主権論を展開して、国民主権天皇制が矛盾しないと結論するが、より分かり易い言葉にすると、それは「天*12」になると小堀教授は易しく説き、結果的にそれが国全体を正しい道へ導くのだという。

と主張します。
 やれやれですね。「ノモスとは中国儒学で言ういわゆる天道に近い概念のことである」と言う理解が正しいとしましょう(正しいのか知りませんが)。
 そこで「政治は天道(あるべき道理)によって決めるべきだ。そういう意味では主権は「天道」にある。その意味では、天皇主権だろうが国民主権だろうがたいした問題じゃない」なんて主張に何の意味があるのか。その理屈だと「別に中国とかベトナムとかキューバとか共産党一党独裁でいいじゃん、天道(ノモス)に従ってれば」つうことにもなりかねません。
 そもそも「天道(ノモス)って何?」「誰が天道を決めるの?」ですね。かつこうした考え方は一歩間違えば「問題は天道(ノモス)に合致しているか否かだ。形式的合法性など関係ない。天道に反する政治は形式的には合法でも実質的には違法であり、否定していいのだ」「これは違法な殺人ではなく、国を守るための天誅、正義の行いなのだ。処罰されるいわれはない。むしろ褒められて当然だ」として226事件青年将校のようなテロ容認論にもなりかねません。
 もちろん「形式的な合法性」を否定するというのは「ある意味大事なこと」です。大抵の独裁体制はナチドイツにせよ、スターリンソ連にせよ何にせよ「形式的には合法」だからです。
 モリカケですら「形式的には一応合法」なわけです。司馬遷が「天道是か非か」とぼやいた宮刑だって「形式的には合法」です。
 そういう意味で「ノモス(天道)」的な問題意識は尾高や国基研の思惑に関係なく重要です。しかし、一方で安易に「ノモス」なんて放言したらただの法治主義否定にしかならない危険性も大です。
 「形式的合法性による人権侵害(実質的な違法)」を批判しながら、一方でそれが「恣意的な判断基準による法治主義の否定」にならないようにするのはそんなに楽なことではないでしょう。
 そして「ノモスに反する」的な物言いで仮に「韓国植民地支配」「治安維持法」「戦後のレッドパージ」などを批判すれば、国基研は「当時は合法だった」と言い出すのだから、まあご都合主義でしかない。
 「ノモス」なんか持ち出したら「当時は合法だった」ですむ話ではないでしょうに。つうか安倍のモリカケすら擁護するウヨ連中が天道だのノモスだの全くふざけています。

 このような尾高氏の説は、これから改憲へ向けて議論する上で、格好の教材になるとした。

 何の教材になるのかさっぱり分かりません。もしかして「ノモス(天道)に反する改憲(例:天皇制廃止)は認めない」「ノモスに反する法改正(例:女帝容認)は認めない」とかウヨ連中が叫ぶのか(女帝容認はともかく天皇制廃止は当面ありそうにないですが)。
 むしろ「ノモス(天道)に反する安倍の首相辞任」でも求めてほしいもんです。まあモリカケとかニッキョーソ野次とかノモスや天道以前の話ですが。
 まあそういう物言いをやっていいなら、そして意味があるなら俺も「アンチ右翼の護憲派」として「ノモスに反する改憲国家神道復活、集団的自衛権容認、三権分立否定、天皇主権復活など*13)は認めない」とか言いたいところですが、それ「是非以前に」政治的に意味がないでしょう。
 単に「俺はそんな行為は無法だと思うから認めない」の言い換えでしかない。

参考

司馬遷の「天道是か非か」と「歴史とは何か」 | 山内昌之 | 10MTVオピニオン
 今日は、司馬遷の発した有名な言葉「天道、是か非か」についてお話しします。
 「天道、是か非か」という言葉を聞くにつけて、私たちは、このシリーズのテーマである「歴史とは何か」という問いをどうしても考えざるを得ません。「天道は、正しいのか、正しくないのか」という悲痛な叫びは、まことに歴史と人間との関わり、そして、歴史とは何か、正義とは何か、ひいては歴史と正義との関わり方について、私たちを本当に悩ませます。また考える材料を提供してくれます。
 司馬遷はいろいろなケースを出して、秩序を守らず悪行を重ね、生涯を享楽や逸楽のままに過ごし、富貴にも恵まれた人々を、他方において、自分に厳しく行動に慎重であり、誰からも後ろ指を指されない、さらに言葉も口数も少なく、人から隠れてずる賢く脇道や近道を通って物事を達成しようとはしない人と比較しています。
 そして、司馬遷はこのように言います。
 「大義名分にかかわることでなければ憤りを発しない人間で、しかもなお禍いにあう者の数は枚挙にいとまがないほどである」(小竹文夫他訳『史記5 列伝一』)
 すなわち、数えるごとができないほど多いと言っているのです。
 こうした不幸をもって、司馬遷はまた有名な言葉を発します。
 「余、甚だ惑う(余甚惑焉)」、すなわち、自分はすこぶる絶望感に襲われるほど悩み、迷いに誘われると言って、歴史の不条理を語ろうとしているのです。
 歴史とは、なかなか一本道にはいきません。時にはさまざまな不正がある。正しい道だけではなく、脇道やそれた道から歴史を歩もうとする不正のやからもいるのです。
 私も含めてですが、およそ若い頃、少年少女の頃に、世の中にいったいなぜ不正義、不公正、不公平があるのか、自分はなぜ貧しい家に生まれ家庭環境で苦労しているのに、なぜあの遠くに見える人は豊かな家に生まれ明るい家族に恵まれて幸せなのか、と疑問に思った人は多かったと思います。
 日本のケースに少し触れてみましょう。
 『太平記』という本があります。これは、鎌倉時代の末期、建武の中興から南北朝時代に至る日本の動乱期において、特に南朝方に対して同情的とも言える立場だけではなく、北朝方についても逸話を交えて書いた書物です。
 この書物の中に、大変印象的な光景があります。それは、延文5年(1360年)の5月頃、後村上天皇を頂く南朝方の敗色が濃厚になったときのことです。君臣一同が金剛山の奥で息を潜めていたときに、ある廷臣が、将来を絶望して出家しようと思い詰めるシーンです。
 太平記の専門家でもある松尾剛次*14によれば、このようなシーンになります。
 「いったい今の世の中はどうなっているのか」と、この廷臣は疑問を呈します。威力があっても道義のない者は必ず滅ぶと言い置かれた先賢の言葉にも背いている。また百代までは王位を守ろうと誓われた神約(神による約束)も実現されない。そして、臣下*15が君(天皇)に反逆しても天罰を受けることもない。子どもが父を殺しても、神の怒ったためしがない。
 この悲歎(歎きや憤り)は、紀元前2世紀に生きた司馬遷の考えともどこか通じるところがあります。否、それどころか彼らの悲歎は、司馬遷をはじめ、中国の先人や賢人たちの金言、物事の本質を突き刺すような言葉に触発されていたのかもしれません。


【主張】京都アニメ放火 大惨事は防げなかったか - 産経ニュース
 マジレスすれば残念ながら防げなかったでしょうね。
 この男が以前から、京都アニメに無法な行動をとっていたと言うなら話は別ですが、いきなりの犯行ではどうにもなりません。

 消防法令ではガソリンの購入には専用の携行容器が必要としているが、京都アニメに放火した男は携行缶持参で購入したガソリンを現場に持ち込んだとみられる。これでは現行法で取り締まれない。購入時の身元確認も義務づけられず、業界団体に任されているのが実情だ。今後のテロ対策も含めて法整備の必要はないか。

 うーん、どんなもんでしょうか。「ガソリンテロだけは絶対に防ぐ」ということでその当たり規制を強化する必要はあるのかもしれません。

*1:1886~1961年。戦前、立憲民政党衆院議員(1930~1942年)を経て、第一次近衛内閣書記官長、第二次近衛内閣司法大臣など歴任。戦後は社会党衆院議員(1952~1961年)。著書『近衛内閣』(中公文庫)

*2:「戦争終結」ではなく、単に戦争するだけでも、戦争が長期化すれば「政府と軍部の意思疎通」は欠かせません。

*3:つまり参謀総長、参謀次長、軍令部総長、軍令部次長の4人です。場合によってはそれプラス「陸軍大臣、陸軍次官」「海軍大臣海軍次官」「侍従武官長」なども出席します。

*4:支那駐屯軍司令官、参謀次長、北支那方面軍司令官など歴任

*5:当時の参謀総長は皇族の閑院宮だったため、多田が事実上のトップ。

*6:関東軍参謀として満州事変を実行。関東軍作戦課長、 参謀本部作戦課長、参謀本部第一部長、関東軍参謀副長、舞鶴要塞司令官など歴任

*7:斎藤、岡田、第一次近衛内閣外相、首相など歴任。戦後、死刑判決。後に靖国に合祀。

*8:林、第一次近衛内閣陸軍大臣、陸軍教育総監参謀総長など歴任。戦後、自決。

*9:林、第一次近衛、平沼、小磯、鈴木内閣海軍大臣、首相など歴任。

*10:著書『権力への懐疑:憲法学のメタ理論』(1991年、日本評論社)、『テレビの憲法理論』(1992年、弘文堂)、『憲法と平和を問いなおす』(2004年、ちくま新書)、『憲法とは何か』(2006年、岩波新書)、『憲法の境界』(2009年、羽鳥書店)、『憲法のimagination』(2010年、羽鳥書店)、『憲法の円環』(2013年、岩波書店)、『法とは何か:法思想史入門(増補新版)』(2015年、河出ブックス)、『安保法制から考える憲法立憲主義・民主主義』(編著、2016年、有斐閣)、『憲法の理性(増補新装版)』(2016年、東京大学出版会)、『憲法の論理』(2017年、有斐閣)、『比較不能な価値の迷路:リベラル・デモクラシーの憲法理論 (増補新装版)』(2018年、東京大学出版会)、『憲法の良識』(2018年、朝日新書) など

*11:いつの朝日新聞記事が産経がきちんと書かないのもおそらく「中略部分」を確認されたくないからでしょう。

*12:正確に言うと「天道」でしょうね。司馬遷の「天道、是か非か(この世に天道はあるのか!)」の「天道」です。天道(あるべき人の道)に従って生きてきた自負を持っていた司馬遷は「宮刑」と言う酷い目に遭い、こうした嘆きをせずにはいられませんでした。

*13:まあウヨですら三権分立否定、天皇主権復活は今時目指してないでしょうが。

*14:著書『鎌倉新仏教の誕生』(1995年、講談社現代新書)、『救済の思想:叡尊教団と鎌倉新仏教』(1996年、角川選書)、『太平記』(2001年、中公新書)、『忍性』(2004年、ミネルヴァ日本評伝選)、『知られざる親鸞』(2012年、平凡社新書)など

*15:南朝と対立した足利氏のこと