「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」を笑おう・パート109(追記・訂正あり)

■【声明】ウルムチ虐殺事件から6年 中国のウイグル弾圧に抗議する日本ウイグル協会声明
http://freeasia2011.org/japan/archives/4048

日本政府は中国政府に対し、人権外交の立場から、ウイグルにおける民族虐殺に抗議し、人権の改善を要請すると共に、仮に中国政府が拒否した場合は、現在行っている経済支援、技術支援などを停止せざるを得ないことを通告してください。

いや、「事件の真相解明のために中国は国連調査団を受け入れるよう要望します」はともかく「日本は中国を制裁しろ」とか「中国が国連調査団を受け入れないなら安保理から追放しろ、理事国資格剥奪しろ*1」てのは無理ですからね。そんなん欧米各国も賛同しないでしょうし。


■【7月5日東京多文化共生プラザ】“7・5ウルムチ虐殺”六周年および “7・28ヤルカンド虐殺”一周年追悼・抗議集会
http://freeasia2011.org/japan/archives/4042

 世界ウイグル会議日本全権代表部は、正義を愛する日本の皆様に呼びかけ、中国のウイグル人に対する殺戮、人権侵害を非難すべく、抗議集会を開くことを決めました。
発起人代表
トゥール ムハメット(世界ウイグル会議日本・東アジア全権代表)
頭山興助(呉竹会アジア・フォーラム会長)

よくわからないんですけど「イリハム・マハムティの失脚によって日本ウイグル協会が消滅→それにかわって世界ウイグル会議日本代表部なんてもんが新しくできた」んですかね。それとも日本ウイグル協会が「世界ウイグル会議日本代表部」に改名したのか。あるいは「日本ウイグル協会と世界ウイグル会議日本代表部」は別物なのか。
 いずれにせよイリハムが失脚しても「右翼活動家・頭山満の顕彰団体である呉竹会の幹部」で「満の孫である興助」と野合する「ウヨとの醜い野合体質」は変わらないようです。イリハムの失脚理由て単なる「猿山のボス争い」みたいなくだらないもんだったでしょうね。


■日本ウイグル協会『イリハム・マハムティ会長辞任のおしらせ』
http://uyghur-j.org/japan/2015/06/14_soukai/
 日本ウヨとの野合が問題視されたのか、イリハムが失脚したようです。

(注:イリハム前会長が)会の発足以来、長きにわたって、この日本にてウイグルの人権改善、民族自決権を先頭に立って訴え、活動してこられたことに、深い感謝と敬意の念を表します。

とは言ってますが一方で

 (注:日本人ウヨが口を挟んでいたイリハム前会長時代とは違い?)基本的に、在日ウイグル人を中心とした組織づくりを今後は目指してまいります。
 (注:イリハム前会長の辞任で)皆様方にもご心配をおかけしていると思いますが会の再出発にどうかご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

なんだし、このイリハム辞任記事以前は長期間にわたってサイト更新がなかったんだから、「内紛の勃発で混乱状態、とにもかくにもイリハムは失脚」という実態はモロバレです(この辞任記事掲載後、新体制などについて全然サイト更新がされないこともそうしたことを証明してるでしょう)。
 これで少しでも日本のウイグル運動がまともになれば幸いです。


■アジア自由民主連帯協議会『「内モンゴルから見た中国現代史」出版記念・学術講演会 : 南モンゴル自由民主運動基金
http://freeasia2011.org/japan/archives/4019
 アジア自由民主連帯協議会サイトに掲載された記事です。小生ももちろん「内モンゴル問題専門家」ではありません。従っていずれ出るだろう開催報告については「特に突っ込む所がなければ突っ込みません」。がこの種の集会にありがちな「無茶苦茶な日本ウヨへの媚びや中国への誹謗」があればそこには突っ込みます。


■アジア自由民主連帯協議会『【報告と動画】第16回講演会「戦後70年 アジアの立場からパール判事判決を考える」 講師 プロビール・ビカシュ・シャーカー氏』
http://freeasia2011.org/japan/archives/3995

 前も書きましたがアジア出身判事は「インドのパル」の他にも「中華民国の梅汝コウ」「フィリピンのハラニーリャ」がおり、「フィリピンのハラニーリャ」に至っては「被告人全員死刑」という極刑派でした。(ウィキペ「極東国際軍事裁判」参照)
 判事らの主張の是非はともかく「全員無罪」のパル(インド)と「全員死刑」のハラニーリャ(フィリピン)は明らかに対立していたわけでパルは少なくとも「アジアの立場」などではありません。
 もちろん日本ウヨ連中は故意にハラニーリャの存在を無視するわけですが。
 さすがにこの講演ではハラニーリャの存在には一応触れますがそれでも、「パル意見をアジア代表扱いする」んですから呆れます。ハラニーリャがいるのにどうしてパルがアジア代表なのか。

 2007年に私がコルカタへ行ったとき、パル判事の長男であるプロシャント・パルさんと知り合い、いろいろなお話しを伺うことができました。この方もまた弁護士で、何度か来日されたことがあります。プロシャント・パルさんのお話では、ネール*2は「パル判決書」を気に入らず、批判しました。

 要するにパルの意見は「インドの主流意見」とはとても言えないわけです。

(注:パル判事は)「アメリカは、ABCD包囲陣を作り、日本を経済的に封鎖し、石油禁輸まで行って挑発した上、ハルノートを突きつけてきた。アメリカこそ(注:太平洋戦争)開戦の責任者である」と述べました。

 本当か知りませんが本当ならパルの認識は明らかに間違っています。パル判決も所詮は「反イギリスであるが故に日本に過大な期待を抱いた男の手前味噌判決」「公正中立性のかけらもない判決」で「評価になど全く値しない」ことになるでしょう。しかしこの講演をしたというシャーカー氏も何でこんなに日本ウヨに媚びるんですかね。訳がわかりません。


東洋経済オンライン『北朝鮮カップルに人気の「意外な商品」:なぜ平壌で「消費ブーム」が起きているのか』
http://toyokeizai.net/articles/-/71575

 巣くう会などは北朝鮮崩壊論を唱えますがそんなに話は簡単じゃないよと言う事です。
 もちろんこの消費ブームをどれだけ評価できるかは分かりません。「平壌という大都市における中産階級以上限定」というちゃちいものかもしれない。それでも一時期の本当に酷い状況を脱したことは確かなのでしょう。


東洋経済オンライン『北朝鮮経済制裁しても体制は崩れない:北朝鮮ビジネス手がけるスイス人が語る真実』
http://toyokeizai.net/articles/-/70784
 「北朝鮮に2002年から2009年まで駐在し、ビジネスをしていたスイス人」フェリックス・アブト氏に対する東洋経済のインタビュー記事です。少し長くなりますが引用してみましょう。

東洋経済
『スイスに本社を置く電力・オートメーション技術などの大手のABBグループに勤務し、その(注:北朝鮮事務所の)代表として北朝鮮に転勤した。平壌の7年間はどのような生活だったか。』
アブト:
『人生で最も忙しい時期だった。
(中略)
 平壌在住の外国人とともに、北朝鮮では最初の外国人商工会議所を設立した。また、2004年には平壌ビジネススクール(Pyongyang Business School)を立ち上げた。
(中略)
 海外企業と互角に競争できるようなビジネスパーソンを育成することが目標だったが、米国などの経済制裁でスポンサーを失って閉校せざるを得なかったのが非常に残念だ。』
東洋経済
『アブト氏自身の北朝鮮ビジネスの成果は何か。』
アブト:
北朝鮮企業との合弁で立ち上げたピョンス製薬合弁会社だ。
(中略)
 2009年に北朝鮮を離れたが、現在でも同社はビジネスを行っており、北朝鮮で最も信頼されている製薬ブランドになっている。
(中略)
 一つ紹介したいのは、ピョンス製薬合弁会社北朝鮮で初めて、テレビとラジオの両方でCMを出したことだ。社会主義北朝鮮では、広告は資本主義のツールと見なされ、当時は禁止されていた行為だった。このCMでは「ピョンスアスピリン」を北朝鮮国民に紹介し販路を広げることができた。』
東洋経済
『2006年に北朝鮮が核実験を行うなど、北朝鮮の対外姿勢が米国の反発を招き、経済制裁が強化された。日本もそれに拉致問題を取りあげ、独自の経済制裁を行い、現在も続いている。アブト氏の北朝鮮滞在中の出来事だが、現地ではどのような状況だったか。』
アブト:
経済制裁の影響は本当に厳しいものだった。先ほどのビジネススクールも閉鎖に追い込まれたが、海外からの長期的な投資も難しくなった。既存のビジネスにとっても、たとえば機材や施設の更新もままならなくなる。海外からの専門家を連れてくることも非常に難しい。
(中略)
 経済制裁について私が一番言いたいことは、米国も日本も制裁する目的として国家指導層への圧力を言うが、その結果は、圧力にはならない、ということだ。
 庶民が最も経済制裁の影響を受けることを目の当たりにしてきた。制裁を併行しながらも人道支援は行うとアピールする国もあるが、それは正しくない。実際に、私が進めていた庶民の生活改善につながるプロジェクトがいくつもダメになった。人道的に最も支援が必要な庶民の生活が困り、逆に圧力を与えようとする指導層にはなんら影響がないのだ。まさに人権問題を経済制裁が作り出しているとも言えるだろう。
 北朝鮮は今でも核開発プログラムを停止していない。朝鮮労働党のエリートは、(注:中国やロシア経由で?)海外から高級品を購入しているし、どんな状況でもそれはできる。経済制裁が続けば続くほど、エリートがやっているようなことができない庶民の生活だけが困窮するのだ。』
東洋経済
北朝鮮から逃げてきた、「脱北者」による証言が米国などで広まり、「経済圧力すべし」との声がますます高まっている。日本も拉致問題の解決が遅れ、再び圧力が必要という指摘が増えている。』
アブト氏:
『私も(注:北朝鮮についての)本を出したことで(注:北朝鮮に甘いと)ずいぶんな批判を受けている。だが、脱北者の証言は実際に自分が経験したものをストーリー化して、そのストーリーをねじ曲げている。それは、ストーリーが北朝鮮の残酷さをより描くものであればあるほど、メディアの注目を集めることができ、カネが入るためだ。
 私の経験からすれば、脱北者はよく嘘をつく。北朝鮮の悪口ばかり言っているように思える。米国などで証言して有名になった脱北者が、その後にウソがバレるケースもしばしばなのは、何をかをいわん、だろう。そして、そんな彼らの“証言”のせいで北朝鮮への経済制裁が厳しくなり、同時に、支援が切実に必要で人道的支援が本当に必要な北朝鮮の庶民の生活がますます厳しくなるのだ。
 私が本に書いたことはすべて事実であり、北朝鮮国民の率直・素朴な一面を描いた。それは、北朝鮮の庶民の生活を変えるのは経済制裁ではなく、北朝鮮とのビジネスを通じて互いに未来を切り開くことが大事ではないかと考えているからだ。制裁ではなく、ビジネスで交流することこそ、いろんな問題の解決に役立てると考えている。』

 いろいろな困難があったことはアブト氏も認めていますが、「ピョンス製薬会社の成功」を見るに、どう見ても巣くう会の言うような「北朝鮮崩壊」など当面ありそうにありません。北朝鮮もそれなりに改革開放し、それなりに成功してるという所でしょうか。


脱北者が大幅減、金正恩政権の監視体制強化で
http://hrnk.trycomp.net/news.php?eid=01141
 まあ評価は難しい。「監視体制の強化」は減少の一因かも知れない。ただ「北朝鮮住民の生活向上」「脱北後の生活の不安」なども減少の理由かも知れない。
 脱北をコーディネートするブローカーには悪党業者もいるようですし、「善意にあふれたブローカー」であっても「脱北後の生活保障」まではしてくれない。「低価格で安全なルートで脱北」までが関の山です。
 脱北すればそれだけで幸せというわけではない。まあ、三浦のようなウヨの場合、そんなためらいは何もなくて「脱北が減って残念だ、北朝鮮崩壊が遠のいた」位のことしか考えてないでしょうが。


■アジア自由民主連帯協議会『【5月31日 東京池袋】6・4天安門事件26周年「中国のいま」シンポジウム : 民主中国陣線』
http://freeasia2011.org/japan/archives/3985
 この団体のような、「アジア自由民主連帯協議会なんてウヨ団体」と野合して恥じない団体、個人が「全ての中国民主派」ではないでしょうが、何というか酷い(苦笑)。こういう馬鹿者に民主派面して欲しくはないもんです。

 アジアにおいて、中国の東海、南シナ海の覇権行為に対して、周辺国家は強く抗議し、外交上孤立した状態にいる。

 AIIB一つ取ってみても、「孤立はしてない」ですよね(苦笑)。

 中国国内では、経済的地滑りに直面している、中国政府はかつての繁栄を挽回するには限界に見えた。

 もちろん中国において一時期の高度成長は収まってるわけですがこういう物言いはいかがなものか(苦笑)。
 1960年代の高度成長後の日本が成長がダウンしたとは言え、別に経済的に崩壊したわけではないように中国だって別に経済崩壊はしないでしょう。こういうバカを言ってるようではこの団体は本当にどうしようもない。


■浅井基文ブログ『「一帯一路」と朝鮮』(李敦球文章)
 中国の北朝鮮専門家・李敦球による文章の紹介です。もちろん李の意見がストレートに中国の対北朝鮮政策になるかは分かりませんがこういう意見がある以上、巣くう会が望むような類の政策を中国がとることは「浅井氏が言うように」ないでしょう。

http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2015/708.html
 中国の駐朝鮮新任大使である李進軍は、先月平壌で朝鮮の李龍男貿易相を表敬訪問し、「一帯一路」構想を紹介し、双方が協力してチャンスをつかみ、中朝経済協力を新しい時代・情勢の下で新しい段階に進め、両国人民に利益をもたらすことを希望した。韓国メディアは、これをもって中国が朝鮮に対して「一帯一路」に加わることを要請したものと見なしている。韓国メディアの解説が正しいかどうかはここでは論じない。駐朝中国大使館WSの報道から見れば、李大使の今回の李龍男表敬訪問は、彼が信任状を提出してからの最初の外交活動であり、中国が中朝経済協力を重視していることの最新のシグナルと理解することも可能である。
(中略)
 朝鮮は、中露を日韓とつなげる一大陸橋である。朝韓関係などの要因もあってこの橋は今のところ通っておらず、朝鮮の後進性と貧困との重要な原因の一つともなっているが、このことはこの大陸橋の価値がないということを表すものではない。中国は現在「一帯一路」建設計画を実施し、東北三省はすでにこの計画に組み込まれており、この大陸橋を推進して通すとともに、「中朝韓経済走廊」を建設することは大いに必要である。
 (中国)東北地方の経済を振興するためには、中朝韓経済協力及び東北アジアの地域協力を切り離すことはできず、そのことは経済上の多国間のウィン・ウィンを実現することを可能にするだけでなく、地縁戦略的意義も極めて大きい。
 東北アジア大陸橋を通すことは、必要であるだけではなく、可能性をも備えている。
(中略)
 朝鮮の南浦及び元山は、中国と日本を結ぶ最高の港湾であり、中国の貨物を元山経由で日本に運ぶ場合は、大連や青島経由である場合より、コストを約1/3ほど節約できる。
(中略)
 ロシアが韓国、日本に石油や天然ガスを輸出する上でも朝鮮を経由する必要がある。
(中略)
 以上から明らかなように、東北アジア大陸橋を通すことは、中露日韓朝蒙という東北アジア6ヵ国の経済貿易開発に巨大なチャンスと利益をもたらすのであり、域内のすべての国々が支持し参加する可能性がある。まったく関係がないのはアメリカだけだ。したがって、東北アジアの地域協力を発展させるためには、朝鮮が参加することがカギとなる。朝鮮の参加なしには東北アジアの地域協力は最低限として不完全であり、ひいては本当の意味での東北アジア地域協力を語る余地もなくなる。
 金正恩は、政権について以来非常に経済建設を重視し、朝鮮に適した経済発展の道筋を探してたゆまぬ努力を払ってきた。韓国メディアの報道によれば、2012年以来、朝鮮は一貫して緩やかな経済成長を続けており、1月14日付の朝鮮中央通信は、朝鮮が13の経済特区を発展させるブルー・プリント計画を制定し、この計画はすでに朝鮮最高人民会議を通って全国に及び、工業、ツアリズム*3、農業及び輸出製造などの分野をカバーし、国際経済協力を増進することを目指している。周知の原因により、朝鮮の外資導入は必ずしも順調ではないが、朝鮮は対外開放を希望しており、朝鮮経済が世界に向かう足取りも停滞することはないだろう。したがって、条件さえ熟せば、朝鮮は東北アジア大陸橋を通すことに自ら参加するだろう。
 東北アジア大陸橋を通すためには、さらに次の3つの問題を解決しなければならないことに留意するべきである。
 第一に、朝韓は必ず和解を実現しなければならない。朝韓が和解できない状況のもとでは、朝韓を連結する鉄道及び道路は38度線を跨ぐことは不可能であり、これが隘路になる。朝韓和解(統一ということではない)が東北アジア地域協力にとって非常に重要な意義があることを東北アジア各国は理解するべきであり、朝韓双方が努力する以外に、国際社会も朝韓が和解を実現するために大いに働くべきである。
 第二に、朝鮮の核問題に如何に対処するかである。朝鮮半島の非核化を追求すると同時に、半島を中心にした東北アジア地域経済協力を排斥するべきではない。仮に半島の経済開発及び協力に対して核廃棄という前提条件を設定するならば、局面を悪循環に陥らせるだろうから、核問題解決にとっての最善の選択ではないだろうし、東北アジア大陸橋を通すことはさらに不可能になるだろう。朝鮮を東北アジア経済協力の大潮流の中に溶け込ますことができれば、最終的に朝鮮の核問題を解決することに対してプラスのエネルギーを提供することもできるかもしれない。
 第三に、如何にアメリカと東北アジア地域協力との矛盾に対処するかである。アメリカは、東北アジアひいてはアジア太平洋地域の秩序を規制するため、朝韓の和解を望んでいないし、朝鮮半島を中心とする東北アジアの地域経済協力にも参加しないだろう。したがって、各国共同の経済的利益のためには、アメリカによる干渉を如何に排除するかということも、東北アジア6ヵ国が共同で対処する必要がある問題である。


■浅井基文ブログ『朝鮮経済と中朝経済関係(中国専門家の見方)』
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2015/706.html
 李敦球署名文章と曹世功署名文章とでは李の方が「北朝鮮の改革開放の成果についてより好意的・楽観的」であり、曹の方がより評価が厳しいという差異はあるものの、「中国の国益上は、北朝鮮の改革開放を支援していくことが望ましい」と言う点では違いはないというのが浅井氏の見方のようです。
 浅井氏に寄れば李などは「中国東北部に住む朝鮮族の資本を北朝鮮に投下すればいいんじゃないか?」などと考えているようです。
 この見方に立てば「北朝鮮崩壊」などという可能性は低いということになります。

 中国の朝鮮問題専門家の中国メディアにおける最近の発言としては、2つの文章が注目されます。一つは5月14日付の環球時報掲載の李敦球署名文章「朝鮮経済の包囲突破の兆しはっきり」であり、もう一つは5月22日付で同じく環球時報に掲載された曹世功署名文章「朝鮮は何故「改革開放」と呼ばれることを好まないのか」です。

<李敦球文章>
 最近、朝鮮経済の改革にかかわる一連の報道が世論の関心をひときわ引きつけている。朝鮮政府は今年から、全国範囲で家庭を単位とするグループ請負制度を実行しており、これは中国の改革開放実施初期における家庭生産請負責任制度を連想させ、全面的改革のシグナルである可能性が大きい。
 また朝鮮は、5月末に金剛山で、中国朝鮮族企業家及び外国投資家を対象とした「元山−金剛山国際旅遊地帯」投資説明会を行おうとしている。このたびの投資勧誘は朝鮮が開放拡大を開始しようとしているものではないか。
 筆者が思うに、朝鮮が中国朝鮮族に関心を持つ原因としては3点が挙げられる。一つは、中国朝鮮族朝鮮人とは、言語、文化、生活習慣等の分野で同じであり、意思疎通に便利である。二つ目は感情的要素であり、中国の改革開放初期における海外華僑の大陸投資と似ている面があるということだ。三つ目は、中国朝鮮族は投資のプロセスにおいて、政治は語らず経済のみを語るという原則を堅持しており、そのことによって朝鮮側の好評を得ているということだ。
 朝鮮族企業家は朝鮮の社会生活を比較的に理解しており、したがって、朝鮮経済の発展の初期段階では、中国朝鮮族企業家に投資の門戸を開けるという意義は大きなものがある。朝鮮は最近、ツアリズム*4に対する対外的PRに力を入れ、大連、瀋陽等の地域で投資仲介の活動を行うなど、朝鮮が投資導入及び経済発展を早める戦略を取っていることを裏づけている。
 国際世論の影響もあり、朝鮮は経済的に遅れた国家だと考える人が多い。しかし、朝鮮政府は一貫して朝鮮に適合した経済発展の途を模索し続けている。本年2月18日、朝鮮労働党中央政治局拡大会議が平壌で開催され、最高指導者は席上、朝鮮労働党が直面している最重要で切迫した任務は人民の生活水準を決定的に向上させ、人民に腹帯をきつく縛るようなことをさせず、人民に対して豊かで幸福な生活を創造することだと表明した。
 経済建設と民生事業の重視は、朝鮮メディアの報道からも容易に見て取ることができる。朝鮮指導者が建設現場、民生施設、工場、さらには児童食品工場、児童靴下工場を視察するというニュースは以前にも増して多くなっている。韓国メディアですら、朝鮮経済には新たなエネルギーが注入されていると認めている。
 政策面から見ると、朝鮮はすでに13の経済特区を開発するブルー・プリント的計画を制定しており、すでに朝鮮最高人民会議を通って全国に及んでおり、工業、ツアリズム、農業発展及び輸出製造等の領域をカバーし、国際経済協力を進めようとしている。しかしながら、投資導入問題こそがカギとなっている。
 朝鮮からすれば、韓国資本こそが悪くない選択だが、朝韓関係は安定しておらず、李明博政権から今日に至るまで、朝韓関係は外的要因による干渉に極めて弱いようであり、少なくとも現時点では、韓国資本は不確定性がある選択肢である。
 昨年、朝露関係は急速に高まり、経済協力はその中心的内容の一つである。ロシアは、朝鮮の100億米ドルの債務を免除し、ロシア極東開発部は朝鮮と経済協力を展開する一連のプランを制定した。その中には、2020年までにバイの貿易額を10億米ドルにすること、ルーブルを貿易決済通貨とすること、シベリア横断鉄道と朝鮮の鉄道とを連結すること、朝韓開城工業団地への参与などの項目が含まれている。これらの計画が予定どおり実施されれば、ロシアは間違いなく朝鮮経済の将来にとって輸血チャンネルとなるだろう。
 4月21日に、中国の駐朝新任大使である李進軍は平壌で朝鮮の李龍男貿易相を訪問し、「一帯一路」構想を紹介し、双方が共同で努力し、チャンスを捉え、中朝経済貿易協力を新時期の新情勢のもとで新しい段階に引き上げ、両国人民に裨益させることを希望した。中国在朝鮮大使館WSの報道から見ると、李大使の今回の李龍男訪問は、彼が3月末に金永南*5に信任状を提出してから最初の対外活動であり、中国が中朝経済貿易協力を重視していることの最新のシグナルと理解することも可能かもしれない。
<曹世功署名文章>
 最近、朝鮮が経済政策の調整及び対外経済分野で取っているいくつかの積極的な行動が広汎な注目を引き起こしている。これらの行動は、朝鮮が速やかに、長期的に続いてきた経済民生における困難な局面から抜け出すことに役立つし、朝鮮の政治的社会的安定及び域内経済協力促進にとって有利であり、歓迎と激励に値する。しかし、朝鮮のこれらの行動を「全面的改革のシグナル」とか「開放拡大の開始」とか規定することは適当ではない。
 朝鮮はもともとその経済発展にかかわる措置を「改革開放」と称することに消極的だ。朝鮮の立場に立ち、その特殊な国情から出発して問題を観察するならば、何故朝鮮が「改革開放」というレッテルを使うことに消極的であるかを理解することができる。筆者が見るところ、核心的問題は3つある。
 第一に、中国における改革開放は、「階級闘争を綱とする」誤った路線を徹底的に否定するという基礎の上に進めることになったものである。しかし、朝鮮は血統が続く政権として、先代指導者の「主体思想」及び「先軍路線」は国家安定の重石であり、疑ったり改めたりすることは絶対に許されない。
 第二に、中国の改革は計画経済システムを打破し、社会主義市場経済システム建設を志向し、様々な所有制の並存特に私有経済を発展させることを実行してきた。しかし朝鮮は、思想上は「計画経済及び社会主義所有制は社会主義の主要な特徴」とする認識を依然として固守しており、この二つを変えることは社会主義を捨てることと認識している。
 第三に、中国は国家としての図体が大きく、レジリエンスも強く、全方位開放という状況のもとで外来思想文化の侵蝕、衝撃という重大なチャレンジに遭っても、政治的社会的な安定を維持することができる。しかし朝鮮の場合、アメリカの敵視、南北の分裂、激しい体制間競争という複雑な環境のもとで、仮に中国のように門戸を開放すれば、敵対的思想や好ましくない情報が流入し、政治社会の安定に対して脅威が及ぶことが必然である。
 以上に対して、朝鮮が採用している処方箋が「朝鮮式社会主義」及びそれに見合った「革新」的措置を実行するというものだ。「7.1経済管理改善措置」、「6.28措置」、「5.30措置」などと命名された施策は、「土地請負」、企業の権限拡大、ひいては特区・開発区の建設などの分野に関して、確かに中国の改革開放を連想させやすいが、立ち入って分析すれば、朝鮮の「革新」と中国の改革開放との間には大きな違いがあることが直ちに分かる。例えば、朝鮮は「土地請負」を行っているが、合作農場を解散したということではない。企業が機動的に経営することを奨励してはいるが、財産権の性格を変更はしない。特区や経済開発区を設立してはいるが、そのやり方は「拠点式」「回廊式」のコントロール・モデルである。
 以上をまとめると、朝鮮の「革新」の基本とは、基本的なシステム及び制度を変更しないという前提の下で、政策的フレキシビリティを高め、新しい管理方法を導入し、市場の役割を発揮させるということであり、「鳥かご式」コントロールのもとで外資を導入し、利用するということだ。明らかに、これらは朝鮮の国情から出発し、はっきりした朝鮮としての特色を備えており、「形が似ている」ということだけで、朝鮮は「改革開放」を実行していると断定することはできない。
 朝鮮の「革新」が成果を出し始めたということについては大方の見方が一致している。報道によれば、朝鮮経済はすでに3年間連続してプラス成長であり、国内の市場及び消費は活発で、食糧不足及び生活用品不足も緩和に向かっており、これらの成果は朝鮮が実行している経済政策の調整と密接な関連がある。経済的蓄積及び自信の高まりに伴い、朝鮮が「革新」及び対外経済発展のペースを速める可能性はあると言うべきだ。
 その一方で、次のことも見ておくべきだろう。即ち、朝韓の緊張と対立は引き続き継続しており、南北間でわずかに存在する経済協力モデル地区の開城工業団地は摩擦が絶えず、朝鮮との経済協力に対しては疑念を持たざるをえない。特に、朝鮮は核ミサイル開発を堅持しており、国際的制裁と孤立を打破することは至難だ。このような最低の外部環境は、朝鮮国内の「革新」及び対外経済発展に対して深刻な制約とならざるを得ない。これらの要因は、朝鮮の経済的変革に対して深刻な不確定要因となっている。したがって、メディア及び学界に対しては、社会に朝鮮の情報を伝えるに際しては正確、全面的でなければならず、そうすることで「すべてがうまくいっている」式のミスリード、感覚的麻痺が起こること、投資家のリスク意識を弱めること、したがって取り返しのつかない損失を生むことを回避するべきである。


東京裁判史観を容認した安倍政権(酒井信彦:『月刊日本』2015年6月号)
http://sakainobuhiko.com/2015/05/post-277.html
 安倍の「米国議会演説」は産経などからは「日米友好に寄与した」と評価され、一方、中国、韓国などからは「あの戦争についての明確な反省、謝罪の言葉がない(特に侵略や慰安婦に触れた言葉がない)」と批判されています。
 しかし産経のようなウヨでありながら安倍演説を批判する酒井です。もちろん批判動機は中韓とは違います。安倍演説について「『戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました(安倍)』とはどういうことだ。日本に反省することなど何もない」「安倍は東京裁判史観を容認している」「何故、『東京裁判は間違ってる』『大東亜戦争は日本を不当にも抹殺しようとするABCD包囲網に対する日本の祖国防衛戦争であり、またフィリピン、マレーシア、ベトナムインドネシアなどを英米仏蘭など欧米から解放するアジア解放戦争であった』などと米国議会で言わない」と無茶苦茶言う酒井です。
 正気じゃないですね。そんな「戦前礼賛の反米演説」をよりにもよって「米国議会」で「日本国首相」としてやったらその場の空気が完全に凍り付いたでしょう。拍手どころかブーイングと罵声(ふざけるな!。帰れ!など)が出たんじゃないか。
 日米関係も破壊されますよ。酒井の非常識さにはちょっと言葉がないですね。とはいえ「産経や安倍の戦前賛美」を徹底すれば「米国に媚びるな、あいつらに『よくもABCD包囲網で酷い目にあわせやがったな』と言え」という酒井の反米路線にしかならないんですが。その意味では安倍や産経の主張は極めてご都合主義でデタラメではあります。


ラグタイムララバイ(三浦小太郎)のアマゾンレビューが酷すぎる。

言志2015年6月 vol.4
チャンネル桜責任編集

 チャンネル桜編集なんてウヨ雑誌に星4つもつけてるんだから三浦の馬鹿さには際限がないですね。
 こんなバカウヨ三浦を役員に担いで恥じないバカウヨ団体が守る会であり、そんなバカウヨ団体に入会しながら「僕はアンチバカウヨの立場」と虚言が吐ける人間のくずがid:noharraという男です。俺は「バカウヨ三浦とつきあいながらアンチバカウヨ面できる」id:noharraと「ペマギャルポの南京事件否定論河野談話否定論を野放しにしながらアンチ歴史修正主義者面できるチベットキチガイid:Mukkeと言う輩については「虚言癖の屑」として、心の底から軽蔑しています。ああ、あと、「在沖縄米軍がなければ中国が日本に攻めてきた」など、非常識な言動が多い「W大学のI濱女史」とそんなI濱女史を配偶者としている「O大学のF教授」も心の底から軽蔑しています。

おそらく話題を集めるだろう*6、本書カラー特集でのアイリス・チャン氏の自殺現場の不審さ、また、「南京大虐殺」を証言した元軍人の証言を本人自身が証言を翻したこと*7はいずれも興味深い

 三浦が穏健保守ぶっても所詮は「南京事件否定論者の一味だ、歴史修正主義のバカウヨだ」ということがよくわかる駄文です。
 大体「不審な自殺現場」とは何のことなのか。謀殺だと陰謀論でも唱える気なんですかね。他者の自殺を玩具にして何が面白いのか。まさに三浦は「人間のくず」としかいいようがありません。
 大体三浦たちウヨの世界にだって、江藤淳三島由紀夫など自殺した人間はたくさんいるわけですが(まあ、三島の自殺は特殊ですが)。
 三浦も以前はこういう露骨に下劣な文章は少なかったように思うのですが安倍政権誕生で完全にたがが外れつつあるようです。まあ、三浦の屑さが満天下に明らかになることは悪いことではないとは思いますが。
 「安倍政権が終われば」三浦も「穏健保守を再度偽装したい」と思ってもそうはいかず、「ただの右翼活動家」として活動せざるを得ず泣きを見ることになるんじゃないか。

 チャン氏については、私は彼女は自分のアイデンティティを追い求めて周囲に利用され、実力以上の「売り込み」「政治利用」に潰された哀れな女性というイメージしかない

 三浦も本当に失敬な野郎です。自分が南京事件否定派のゲスウヨだからと言って、「南京事件肯定論者のチャン氏」を誹謗中傷して恥じないとはどういう神経をしているのか。
 むしろ「実力以上の政治利用」で哀れな目にあってる輩と言えば「チベットダライ・ラマ一味」「ウイグルラビア・カーディル一味」とか三浦ら日本ウヨが都合良く「中国叩きのネタとして政治利用してる一味」にこそ当てはまる言葉だと思います。「安倍とのダラムサラでの面会(ダライ)」「尖閣募金や靖国参拝(ラビア)」などでダライやラビアが日本ウヨにどんなに媚びたっていいことなんか何一つないわけですから。
 とかいうとid:Mukkeさんとか大激怒でしょうが(苦笑)。
 まあ、でも今のママだとダライ一味とか、ラビア一味とかには明るい未来は全くないでしょうね。日本ウヨに言いように政治利用されて、一方俺みたいなアンチウヨには「ダライとかラビアとかあいつら日本ウヨにあんなに媚びてバカじゃね?、恥知らずじゃね?、屑じゃね?」とドンビキ、敬遠されてそれで終わりでしょう。別に俺はダライ一味やラビア一味が好きな訳じゃないので奴らが滅亡しようが死のうが、どんな酷い目にあおうが知ったことじゃないのですが一応「予想されるダライ一味、ラビア一味の末路だけは指摘」しました。


■7月1日までブログを休みます(三浦の個人ブログ)
http://miura.trycomp.net/?p=3192

ある原稿を書くために準備しなければならず、この1か月は仕事以外の時間はできるだけ資料を読むことにあてたいので。

 一体どんな文章を書く気かよく分かりませんがいずれはその文章とやらに突っ込みたいと思います。また三浦の「7月以降の文章」とやらにも突っ込む予定です。


■「望楼の決死隊」の中の朝鮮風景 高来れいさんの紹介文をいただきました(三浦の個人ブログ)
http://miura.trycomp.net/?p=3186
 「どんだけ三浦は『望楼の決死隊』が好きなんだよ」と苦笑しますね。まあ、この三浦エントリ及び三浦の紹介する高来某の文章を読むだけでも「望楼の決死隊」での「連帯して匪賊と戦う日本人と朝鮮人描写(三浦の表現)」をネタに「戦前の日韓(日朝)友好万歳」を宣伝したいつう「右翼的野望(?)」はもろばれですが。
 明らかな国策映画、それも監督の今井正が後に「重大な過ちだった」と反省の弁を述べてる映画を元によくもふざけたことができるもんだと呆れます。


■7月20日 連帯して匪賊と戦う日本人と朝鮮人を描いた(?)名作映画 「望楼の決死隊」を上映いたします(三浦の個人ブログ)
http://miura.trycomp.net/?p=3176
 「望楼の決死隊」なら以前、三浦が役員を務める某NGO(http://kotomovie.org/)が既に上映会やってるんですけどね。その某NGOでまた上映するんだそうです。「お前ら、どんだけこの映画好きなんだよ」「前回上映から1年も経ってないのに再上映かよ?」「ほかにやる映画はないのか?」と苦笑しますね。
 「今井正も当時こういう映画作ってて、朝鮮人俳優も出演してるから日本の朝鮮植民地統治に問題ないんだ」とウヨらしい強弁でもするんですかね(苦笑)。今井自体は「重大な過ちだった」と後に反省の弁を述べてるそうですけどね。

いわゆる「国策映画」として、おそらくDVD化もされないのではと思われる同作品

 まあ、現在の日本において売れるDVDとも思えませんしね。

ちょっと面白い特別ゲストも来る予定ですよ。

 もったいぶってないでどこの誰か言えばいいのに。「引退して消息不明の原節子*14が来る」とか言うなら面白いですけどね。
 原の全盛期を知る原ファンなら行くかも知れませんがさすがにそれはないか。つうか、かりに原がまだ存命で来るとしても「認知症」とかだったらちょっときついものがありますけどね。


■書評「内モンゴルから見た中国現代史」ボヤント著 集広舎(三浦の個人ブログ) 
http://miura.trycomp.net/?p=3172
 「文革時のモンゴル族粛清」などの「中国政府の内モンゴル統治での問題点」について触れた本をもとにアンチ中国ウヨの三浦が中国政府に対し悪口雑言吐いてるだけのくだらない話です(本の内容については読んでいませんので特に評価しません)。以前から三浦は「楊海英氏の著作紹介」の口実で同じ事やってますけど。
 ちなみに「この本のアマゾンレビュー」を「ラグタイムララバイ」名義で三浦が書いてますが当然ながらレビュー内容はこのエントリとほとんど同じです。
 例の「楊海英氏」が「文革内モンゴル」について書いた本が「司馬遼太郎賞」を受賞して以降は「ウヨ世界での司馬の権威」てのは大変なもんですから、「ウヨは内モンゴルについて中国叩きのネタにするようになった」わけです。ちなみにこの本の宣伝文句がアマゾンや出版社サイトhttp://www.shukousha.com/information/publishing/4090/に載ってますが「楊海英氏推薦」だそうです。
 それ以前は民族問題ネタでのウヨの中国叩きてほとんど「ダライラマノーベル平和賞を受賞したチベット」で、次が「ラビア・カーディルについての本(水谷尚子著)が文春新書から出たウイグル」だったんですけど。
 「中国の民族政策を諸手を挙げて賛同できる」とは小生思ってません。いろいろ問題もあるんでしょう。とはいえ日本という「大国・中国の隣国」にとって「民族問題があるから中国とつきあわない」なんて馬鹿な事出来ない訳です。せいぜい「何とかうまーく民族融和してもめ事起こさないようにしてほしいんですわ」くらいの苦言を呈するのが関の山でしょう。言うまでもないでしょうが「独立」なんてのはチベットウイグル内モンゴルも現実性ありません。三浦みたいなバカウヨは無責任に「独立希望」とか放言しますけどね。
 なお、民族問題てのは「民主国家英国でもある」ように民主化すれば解決するつうたぐいのもんではないでしょう。そこがなかなか難しい話ではあります。


■アジア自由民主連帯協議会『【6月13日五反田】P-Time(ペマ・ギャルポとの茶話会)『ダライ・ラマ法王の軌跡』 : チベット文化研究会
http://freeasia2011.org/japan/archives/3978

 かつてダライ・ラマ法王日本代表を務めたペマ・ギャルポが、法王の歩みとチベット人から見た法王の存在を語ります。 

 このペマがかつて務めていたという「ダライラマ法王日本代表」というのが
1)ダライから任命されてペマが日本に派遣されたのか(つまりダライら亡命政府のイニシアチブが強いのか)
2)ペマが自分で日本代表部を作りダライの承認を得たのか(ダライのイニシアチブは弱いのか)
はともかくまさかダライの了解もなしに勝手にやっていたわけではないでしょう。
 どこの世界だって自分と関係のない人間が勝手に、たとえば「セブンイレブンと契約もしてない人間」が勝手に「セブンイレブン何とか店」なんてもんをでっちあげたら法的対抗措置をとられるわけです。ダライだって同じでしょう。「同じチベット人だから勝手に何やろうが構わん、許可無しでダライラマ法王日本代表を名乗っても問題ない」なんてことはないでしょう。
 で「ダライの許可で日本でダライの公式宣伝マンを過去やっていた男」が「俺は昔はダライ猊下の許可を得た公式宣伝マンだったんだ」と自慢し、また「今も私的ではあるがダライの宣伝をやり」、その一方で「日本ウヨとつるんで河野談話否定論や南京事件否定論を垂れ流していた」ら、デマ垂れ流しのほうだって「ダライの了解」と誤解される危険性があるわけです。
 ダライやその応援団(例:id:Mukke)としてはきっちりペマを批判しておくべきでしょう。でもそれをやらないんだから呆れますね。ダライ一味とその取り巻き連中はどうしようもないバカの集団だと思います。
 Mukkeも『俺のダライ・ラマがこんなに金髪美少女なわけがない』(http://d.hatena.ne.jp/Mukke/20150522/1432282183)なんておちゃらけてる暇があったら、ペマ批判でもやったらどうなんですかね。
 ちなみにMukkeの文章にも突っ込んでおきますか。

 ダライ・ラマはこの地上に「おてんばなブロンドの女性」として復活することだってできると,7月に80歳の誕生日を控えてむちゃくちゃ緊迫してる転生先という政治的問題について言明した。

 ばかばかしい。「歴代ダライにブロンドの女性なんているんですか?」「どうせ今まで通り、自分らにとって都合のいい、自分らの身内であるチベットの男の子から選ぶ癖に何デタラメ抜かしてるんですか?」「つまんない冗談言って恥ずかしくないですか?」とあの爺(ダライのこと)に突っ込みたいですね。

 二度と転生しないこともありうるよ,と彼は言った。
「もしもチベット人の多くがこの何世紀にもわたる制度は不要だっていうなら,自動的に終わるし,そうなればわたしは最後のダライ・ラマになるだろうね。ダライ・ラマが人気のあるうちに終わらせよう」

 「彼」つうのはダライです。
 「人気のあるウチに終わらせたい」て「芸能人かよ?」「何ダライ制度って、キャンディーズとかAKBとかそういうのと似たような代物だったの?」「つう事はいったんやめてもファンが『やめないでー』とか言えばアイドルの芸能界復帰みたいにまた再開することもありうるんだ?」て突っ込みたくなりますね。
 建前ではアレ(ダライの転生)て「人気があるから続けよう」とかそういうもんじゃないはずなんですけどね。

 彼は「中国支配下にあるチベット本土に生まれ変わることはない」と言明してる

 単に「中国にダライラマを作り上げられたくない」つうだけのくだらない話です。何せ「人気がなくなればやめる程度の代物」に過ぎないわけですから。つうか基本的に生まれ変わる場所ってたぶん「ダラムサラ」ですよね。一番ダライにとって都合がいいから(毒)。日本とか南アフリカとかに転生は多分しない。

 まだ,続いているのです。焼身が。先日本土で139人目となる新たな焼身者があらわれました。この悲劇の連鎖を止めなければなりません。人びとを焼身に追いやる抑圧を,終わらせなければいけません。

 いい加減「中国が悪いから自殺が続くんだ」で、話終わらせるのやめたらどうなんですかね。それ自殺の容認、賛美というおぞましい話でしかないでしょうよ。


■大井健輔ブログ『北方領土問題でロシアが敵国条項を利用との報道』
http://blogs.yahoo.co.jp/burke22jp/63978253.html

 日本語で、「国際連合」と訳しているのがおかしな話で、ユナイテッドネーションズとは、WW2*8で日本に勝利した戦勝国(注:米英仏露中の安保理五大国)が(注:中心になって)作った組織ですから。その点を忘れては困ります。

・確かにご指摘の通りで「国連という翻訳の是非」はともかく「国連の中心は元・連合国(五大国)でありその歴史認識が国連の前提にある」と言うことは忘れてはいけません。
 ですがそのことを「一番忘れてるのは大井のようなウヨ」じゃないんですかね。
 五大国が中心になって作った以上、「あの戦争で日本は侵略を行い諸外国に被害を与えた」というのが国連の立場です。日本は国連に加盟した以上その立場を認めたわけです。国連に入りながら「その立場を認めたくない」というなら「なら加入するな、出て行け」ということにしかなりません。
敵国条項とは「第二次大戦の敵国(日独伊)が侵略的行為を行った場合、安保理の許可がなくても、侵略被害国以外の国もその敵国に軍事的制裁ができる」とする国連憲章の規定で「事実上死文化しています」がまだ一応残っています。
 基本残ってても問題はないです(なくして欲しいとは思いますが)。日本が「竹島北方領土に軍事攻撃しかけるような馬鹿な真似しない限り」発動のしようがない。まあ、そう言うバカやると発動の可能性はあるでしょうね。発動するしない以前に日本の評判ががた落ちですが。
 ロシアも別に敵国条項発動と言うことを言ったのではなくて「日本はロシアの敵国だったと言う事を自覚してるのか」「日本がロシアから不当に奪った領土(北方領土)がロシアに戻るのは当然じゃないか」と言う前振りで敵国条項に簡単に触れたに過ぎないようです。
 敵国条項は「事実上死文化してる」んですが、安倍みたいな極右が与党政治家にいる限り「文章上も廃止されること」は当面あり得ないでしょう(中露が多分反対する)。まあ、安倍ら極右政治家も「死文化してるから別に残っててもいい、どうせ発動されないから」としか思ってないでしょうし。

 ロシアが北方領土に強気なのは、(中略)アメリカが(注:ソ連の対日参戦の見返りとして)(中略)ロシアの北方領土支配を容認したからです。したがって、この件でアメリカが日本に味方するわけがないと彼らは思っています。
 そういう背景を知ることが重要です。おそらくロシアという国は永遠に北方領土を返す気はないでしょう。

 残念ながらそうなんでしょう。と同時に「もう長時間経ってます」からね。今さら返すと言われても日本の方が困る面はあります。今北方領土に住んでるロシア人を「ロシア系日本人」として日本社会で受け入れるのか、はたまた「可能な限りロシア本土に帰ってもらう」のかということですね。


■大井健輔ブログ『5月30日の勉強会』
http://blogs.yahoo.co.jp/burke22jp/63975705.html

 日本近代史の論者を見ると、アジア関係から日本を捉えている人が少ないように思う。

「そんなあほな(苦笑)」ですよね。これだけでは大井の言いたいことがよく分かりませんが、「国内限定の話」ならともかく、「日清戦争」「台湾植民地統治」「満鉄」「関東軍」「韓国併合」「日中戦争」「太平洋戦争(もちろんアジア方面)」など「アジアの絡むビッグな話」は日本近代史にいくらでもあるし、そう言う研究者もいくらでもいるでしょう。


■大井健輔ブログ『書評 アジアと欧米世界 (世界の歴史25)』(1998年、中央公論社、後に2010年、中公文庫)
http://blogs.yahoo.co.jp/burke22jp/63955390.html

 幕末の日本の外交上の勝利についての記述は本書の白眉であろう。

 明治維新後いわゆる「不平等条約交渉」が行われたことや、幕府の外交対応がいわゆる「討幕運動を招いたこと」を考えると外交上の勝利と言えるかは疑問です。
 が、確かに近年では「幕府の幕末外交」について「あまりにも過小評価されすぎていた」という見直しがされてるようには思います。
 列強の侵略を招いたアジア諸国(例:清朝)と比べ、「自国の独立」をとにもかくにも保ったことはもっと評価されていいのではないかと言う事ですね。
 また「全ての旧幕臣」が評価に値するわけでもなければ、「全ての旧幕臣」が明治維新後も活躍したわけではないですが

勝海舟
 幕臣として軍艦奉行、陸軍総裁を歴任。維新後も参議、海軍卿、枢密顧問官などを歴任
榎本武揚
 幕臣として幕府海軍副総裁。五稜郭を拠点としたいわゆる箱館戦争明治新政府への抗戦)を実行。維新後も駐ロシア公使、海軍卿、駐清国公使、伊藤内閣逓信相、黒田内閣農商務相、文相、松方内閣外相などを歴任
大鳥圭介
 榎本武揚の元でいわゆる箱館戦争に参加。維新後も工部大学校校長、学習院院長(華族女学校校長兼務)、駐清国公使、駐朝鮮公使、枢密顧問官などを歴任

と維新後、活躍した旧幕臣もいるわけです。
 なお、この「幕府外交の評価」は、『アジアと欧米世界 (世界の歴史25)』の著者の一人で、

『イギリスとアジア:近代史の原画』(1980年、岩波新書
『黒船異変:ペリーの挑戦』(1988年、岩波新書
『黒船前後の世界』(1994年、ちくま学芸文庫) 
『幕末外交と開国』(2004年、ちくま新書、後に2012年、講談社学術文庫

と言った著書がある加藤祐三氏(元横浜国立大学学長、横浜国立大学名誉教授)の意見の反映でしょうか。


■大井健輔のツィート

 平和論者の致命的欠落は、主観的に、念仏を唱えるように平和平和と訴えていればよいということ。
■日本の反核運動が世界の現実と向き合うべき時:「核軍縮」「核廃絶」など、どこ吹く風の国際社会
古森義久
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43992

 ばかばかしい。大井が言うほど「平和論者」は能天気じゃありません。とはいえ「政治権力を握ってればともかく」そうでなければ平和なんて問題では「戦争勢力を非難し平和を訴える政治的アピール」くらいしかやれないだけの話です。むしろ大井らウヨの方こそ「軍事力を過大評価している」上、そのほとんどは「自分は戦場に行く気がないチキンホークの卑怯者」なんだから最悪です。
 大井が紹介する古森の文章も実にくだらない。もちろん「一路、核軍縮が遅滞なく進んでるわけではありませんが」、一方でたとえば
赤旗核兵器の非人道性告発、NPT再検討会議 159カ国が声明』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-30/2015043001_04_1.html
と言う動きもあるわけです。そしてなんだかんだ言って一応「NPT体制」は今も存在している。核保有国も建前は「防衛用で先制攻撃はしない」という話の訳です。
 確かに「核保有国の存在(いわゆる五大国のほか、インド、パキスタンイスラエルなど)」はありますがそれを理由に「核軍縮など無意味だ」というのは暴論の極みです。

 精読すべきレポート。この国の危機意識の無さは絶望的。南シナ海の話は日本人にとって火星の話をしているくらいのリアリティー
南シナ海への認識が甘すぎる日本の議論
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43933

 ウヨの大井らしい反中国ツィートです。一応大井が紹介するウヨレポートにコメントしてみましょう。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43933
 安倍政権は日本国内での安全保障関連法案に関する説明では、中国の軍事的脅威を極力口にしていない。

 どうもそのようでこれは実に意外です。尖閣問題や南沙問題でもがんがん持ち出すかと思っていたのですがね。
 日中関係を今以上に悪化させることを恐れているのか、それとも「尖閣や南沙を持ち出すことはかえって法案への反対世論を増やし法案成立の邪魔になる」と思ってるのか。ただこうした安倍の態度がこの種の反中国ウヨをいらだたせてることは言うまでもありません。安倍の売りは「反中国」でありそれをウヨ支持層も期待していたからです。

 一方で、ホルムズ海峡でイランが機雷を敷設して海上航路帯を封鎖する可能性については安倍首相自らも繰り返し指摘し続けている。
(中略)
 もっとも、安倍政権はホルムズ海峡危機に関しては「機雷敷設による海峡封鎖」のみを想定しており、イランの地対艦ミサイルや潜水艦や小型攻撃艇それに航空攻撃といったアメリカ海軍が機雷戦以上に警戒している脅威に関しては何ら言及していない。

 「安倍が語る機雷掃海」ですら国内外から「危険だ」「違憲だ」と批判されてるのにそれ以上の「イランが米軍を軍艦や軍用機などで直接攻撃したときの自衛隊の対応」なんて安倍に語れるわけないでしょう。「自衛隊と米軍の共同軍事作戦でイランに反撃する(安倍)」とか言って欲しいのか。本当にウヨってのは非常識です。
 下手な事言ったら日本・イラン関係が悪化しかねませんし。つうか「ホルムズ湾での機雷掃海」発言レベルですらイランは「安倍は米軍支援としてそれ以上のことを考えてるのではないか」と疑心に駆られ正直不快感を覚えてるでしょう。イランは「政治力が失礼ながらない」でしょうから中国ほどには安倍に抗議しないでしょうけど。

中国共産党政府が「日本関連船舶の南シナ海での自由航行を妨害・阻止する」といった決断を下した事態
・中国政府がこのような決断をした場合、人民解放軍は、日本に関係しない船舶にもダメージを与えてしまう可能性が高い機雷戦は行わず、日本関連船舶だけにターゲットを絞って、(注:南シナ海を通る日本船舶に)ミサイル攻撃・魚雷攻撃・爆撃・砲撃といった手段で航行を妨害するであろう。

 そんな事態は起こるわけがないし、「そういう事態を想定して安保法案を提出しました」なんて安倍が発言したら日中関係が今以上に悪化します。どれほど反中国極右というのは非常識なのか(とりあえず以上でコメント終わり)。

 来年の総統選は国民党は政権を維持できず、蔡英文*9女史(民進党主席)の時代となろう。

 大井のような反中国極右は「反中国的観点」から何故か民主進歩党に期待してるようですが、仮に政権復帰したところで大井が期待するような反中国政策など「景気の観点」からとてもとれないでしょう。
 また、ウィキペディアに書いてありますが、蔡氏率いる民主進歩党が「脱原発」をアピールしているのに対し、国民党は原発推進です(たとえば、■産経新聞『台湾で民進党など脱原発デモ』(http://www.sankei.com/world/news/150314/wor1503140072-n1.html)参照)。大井ら「原発推進ウヨ」にとってはそう言う意味でも民主進歩党は手放しで褒められる存在ではないはずなのですが。

 南沙諸島を抑えられたら、日本のシーレーンはどうなるのか。石油を中東に依存する韓国・台湾・日本は同じ運命になる。アメリカが中国に激怒しているのは、この三国が事実上中国の軍門に下るということになるからだ。日本国民はなぜこの問題に関心が希薄なのか。呆れるほどである。

 中国の南沙問題での対応の是非はともかく、別に中国が自らの言い分を通したとしても「軍門にはくだらない」ですよね(苦笑)。
 小生も「国際政治音痴」なので何で米国は対中強硬姿勢なのか知りませんが、別にその理由は大井が言うようなことではないでしょう。

ホーはコミュニストというより、ナショナリストだった。
ホー・チ・ミン*10生誕125周年(時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150518-00000045-jijp-int.view-000

 毛沢東*11金日成*12を糞味噌に言う大井のようなウヨが「ホーチミン*13」はそこまで罵倒しない理由がこういうことなんでしょうねえ(こうした認識が正しいかどうかはひとまず置く)

 一方で三浦小太郎のように未だに「ベトナム戦争での北ベトナム勝利」を恨み続けてるウヨもいるわけです。


■三浦エントリ『総特集 福田恆存 2015/5/22 発売(河出書房新社) 私も書かせていただきました(自慢)』の三浦コメント
http://miura.trycomp.net/?p=3161&cpage=1#comment-121766

特に私が読んでみたいのは、中森明夫佐藤健志片山杜秀*14各氏の論考です。

 極右活動家・三浦が褒めるってことは要するにそう言う内容なんでしょう。
 しかし中森某氏というのは「噂の真相にコラム持ってたアイドル評論家」だとばかり思ってましたが違うんですかね?

 これから、福田の思想は公正な評価を受けるでしょうし、また、その政治への視点の鋭さも再評価されるはずと思います。

 たかだか河出書房新社が特集を組んだくらいで随分と吹くもんです(苦笑)。まあそれはともかく極右活動家・三浦にとっての福田評価とは「文学者でも翻訳家でも演劇演出家でもなく」あくまでも「極右活動家としての福田」のわけです。

 そういえば、今年はサイゴン陥落40周年でもありますね。ベトナム戦争についても今一度、当時の議論を再読してみる作業が必要かもしれません。

 要するに「北ベトナムの侵略に南ベトナムが負けて悔しい」とか、そう言う事が言いたいんでしょうね。福田とどういうつながりがあるのか知りませんが北ベトナムを激しく非難していたのが福田と言う事でしょうか。


NPO法人東映像文化振興事業団6/7上映会
http://kotomovie.org/
 木下恵介「24の瞳」(高峰秀子主演)はいいとして、「マライの虎」なんて戦前の戦意高揚映画なんか誰が見たがるんだよと(苦笑)。
 しかし「24の瞳」というのは一応「反戦映画の一種」と言っていいのでしょうが「戦前礼賛ウヨ連中」にまともな「24の瞳」批評なんかできるんですかね。「反日映画だ」と罵倒がはじまるんじゃないかと危惧しますね。
 なお、三浦小太郎に寄れば1989年に和田勉監督、陣内孝則主演で『ハリマオ』なる『マライの虎』のリメイク(?)が作られてるそうです。
 また、1960〜1961年まで日本テレビでは『怪傑ハリマオ』なる実写ドラマが作られると同時に石森章太郎によるハリマオのコミカライズ作品が週刊少年マガジンに連載されたようです(ウィキペ「怪傑ハリマオ」参照)。
 最後にググって見つけた「マライの虎」のレビューエントリを紹介しておきます。DVDが発売されてるようです。

http://blog.goo.ne.jp/langberg/e/4d64ad4e45eb0fdefafa66ad9e04c63f
 (注:映画『マライの虎』は)お話としては3パートに分かれます。
 最初は、善良な日本人の谷豊*15が妹を中国共産党のスパイに射殺され、それと結託していたイギリス人警察署長のジョンソンを椅子でタコ殴りにして逃亡するまで。
 次は、谷豊が侠賊として生きることを決意し、表の顔は地方の徳望家チェーマ氏、実はハリマオ(虎)として活躍。やがて、妹の仇である中国共産党のスパイ「陳ブンケイ」を倒すまで。
 そして、第二次大戦が始まり、日本の特務機関のためにペラク河大ダムに仕掛けられた爆破装置の撤去に成功するものの、敵弾に倒れ死ぬ*16まで、です。
 全編を通して、強調されるのは、とにかくイギリスは暴虐非道な国だということ。そして、日本はアジアの解放のために尽力する、いわば「アジアのお兄さん」の国だということです。当然、今となっては、その大前提が崩れ去っていますから、ストーリーに感情移入することは非常に難しいと言わざるをえません。
(中略)
とは言え、無理やり見所を見つけると、
・歌はなかなか楽しいです。
「南の天地股にかけ、率いる部下は三千人。ハリマオ、ハリマオ、マライのハリマオ」で始まるメインテーマはノリノリの楽曲だし、
 後半に流れるあやしい合唱。男声、女声交互に「ハリマオー」「ハリマオー」「ハリマオッ」「ハリマオッ」と流れるそれは、なんか癖になるメロディです。
・それから、謎の出演者。谷豊のお母さん役として素顔をさらしている浦辺粂子はともかく、マレー人刑事を演じている上田吉二郎は、声を聞かないと分かりません。当然、現地人メークですし。あと、クレジットに名前があった小林桂樹は、目を皿のようにして見たものの、どこに出ていたか確信が持てません。うーん、気になります。

 小林桂樹ですがウィキペディア「谷豊」によると『ハリマオの部下・ハッサン役』だそうです。

【追記】
 和田作品についてのレビューを見つけたので紹介しておきます。

http://blog.livedoor.jp/ussyassya/archives/51948225.html
 過去にレンタルできないかと捜していた作品の一つが陣内孝則主演、和田勉監督の「ハリマオ」でした。DVD化されていないのか見当たらず…。仕方なしにVHSでもいいやと考え直してヤフオクでも探しても見つからなかったのですが、つい先日、CS放送で放送があったので、やっと視聴できました。
(中略)
 私としては「怪傑ゾロ」っぽい、レトロな大活劇を期待していたら、全く違いました。「怪傑ハリマオ」と「ハリマオ」は別物だそうで、非常にシブい視点で、ハリマオと呼ばれた実在した日本人青年「谷豊」の生涯を描いたものでした。
(中略)
 以下、粗筋ばんばんいきます。てか、粗筋しか書きません。(きっぱり!)
(中略)
 ユタカは生まれたときからマレーシア育ちであり、日本の地を踏んだことがないが戦況の悪化を知り、兵隊を志願し日本へとたつ。父ちゃん*17から仕込まれた日本の知識からすれば、ニッポンは神の国であり、御国の為に戦うのだという愛国青年に育つ。
(中略)
 しかし、ユタカが降り立った魂の故地である日本はユタカを歓迎しなかった。マレーシア育ちのユタカはイスラム教徒であり、また、ファッションなどもマレーシア流であるから日本人たちに溶け込めない。兵隊に志願して身体検査を受けるが、(中略)検査も不合格となり、ユタカは失意してマレーシアへと戻る。
 華僑が大規模な暴動を起こしている。棒状の物を持って武装した華僑らは口々に「東洋鬼(とんやんふぁ)」などと叫びながら行軍し、日本人狩りをしている。襲撃される日本人たち。
 再び、えぐいシーン。華僑どもが日本人を襲撃していると知り、トミ子の家の前をユタカが通りかかると、大勢の華僑たちがトミ子*18の家の庭先でバレーボールをしている。
「何をしているんじゃー!」と、ユタカが一喝する。すると、ユタカの足元にころころとバレーボールが転がってくる。よくよく見ると、それはバレーボールではなく、妹の頭部である。華僑は年端もいかぬユタカの妹*19を殺害し、その頭部を切断し、切断した頭部でバレーボールをして遊んでいたのだった。
 統治下のマレーシアではイギリスの官憲が警察の役割をしており、後にやって来る。ユタカは「華僑どもを取り締れよ!」と迫るが真面目に応じない。
(中略)
 イギリス人にしてみればアジア人の殺し合いなんて関係がないのだ。
 ユタカの中で何かがハジける。
(中略)
 捨て鉢になったユタカは死んでも構わないという境地となり、ユタカは義賊になる決意を固め、親友に声を掛け、武器などを盗み出す。
(中略)
 気がつけばユタカは、ハリマオと呼ばれる有名な盗賊団の大ボスとして君臨する。
 しかし、そこに山崎努演じる日本陸軍の城ヶ崎がやって来て諜報を仕掛ける。城崎はハリマオを利用できないかと画策し、実はハリマオの正体がタニ・ユタカという日本人青年であり、過去に故郷に錦を飾らんと兵士を志願して不合格になっていた事実を知る。城ヶ崎はハリマオに土下座をして懇願する。「我々は君の力を必要としている。大日本帝国が、君に土下座をして頼むのだ」と芝居を打って、ハリマオ一派を帝国陸軍の諜報部隊に仕立て上げる。
 結局、ハリマオと呼ばれる窃盗団の頭目になったユタカであったが、この城ヶ崎との出会いによって途中から便利に戦争に利用される「駒」になってしまう。橋に仕掛けられた爆弾を夜陰にまぎれて取り外すというハリマオ一団のアシストを得て、無事に日本軍はマレーシア上陸を成功させる。最早、用無しになってしまったハリマオこと谷豊に、城ヶ崎は呟く。
「もう、君は用無しだ。あとは君が死ねばいいのかも知れない。死ねば永久に君は英雄だよ」などと言い出し、暗にユタカに死ぬように仕向ける。城ヶ崎は新聞社を呼んでは、日本人青年ハリマオがマレー原住民らと一緒に蜂起して日本軍に手を貸してくれたという美談を売り込んでいる。この美談の完結は、ハリマオの死であると力説する。
 (注:城ヶ崎に裏切られ) 失意のユタカ。
(中略)
 自ら毒物を注射する。英雄として祀られるという選択を蒼白い顔で決断して、自殺*20
 最後の最後に、時が経過して戦後のビル街の一室に城ヶ崎がいる。戦争は昔の事。マレーシアにも高層ビルが並んでいる。商社を経営しているらしい城ヶ崎が電話で商談らしいものをしている。
「ところで、ハリマオってご存知ですか? タニ・ユタカという青年なのですが?」
 問い掛けてみるが相手にハリマオの記憶はなく、「テレビドラマの『怪傑ハリマオ』なら知っている」と返答されている。
 城ヶ崎の眼鏡の奥底にカメラが寄る。懐かしんでいるのか哀れんでいるのか、或いはほくそ笑んでいるのかも分からない不気味な眼光が映されて、エンドロールへ。
(中略)
 陣内ハリマオのギラギラ感とかイケイケなチンピラ感、また所詮はチンピラであるが故の悲哀も上手に描けており、映像全体として味があります。個人的には陣内孝則の代表作はコレだねって気がしました。
 また、脇もすごい。和田勉はダシャレのオッサンでは無かった…。
(中略)
 山崎努はどの映画でも安定していますがラストシーンが、山崎努の「眼鏡の奥底」で終わるだなんて演出はゾクっとします。なんだか埋もれさせるのは勿体ない日本映画だなって感じました。

 どうも単純な「ハリマオ賛美」ではないらしい和田映画です。しかし

「もう、君は用無しだ。あとは君が死ねばいいのかも知れない。死ねば永久に君は英雄だよ」

ていつものあの「悪役面の低い声」で山崎努(城ヶ崎)が陣内(谷豊)に言うんですかね。
 『八つ墓村』(1977年)の田治見要蔵といい、『マルサの女』(1987年)の権藤といいあの人が悪役を演じるとしゃれにならない怖さがあると思いますね。
 そういうのは何も山崎だけじゃなくて『復讐するは我にあり』(1979年)の主人公・榎津(緒方拳)なんかも見ててぞっとしますけど。


東京新聞書評『北朝鮮とは何か(小倉紀蔵*21著)』(評者:丸川哲史*22・明治大教授)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2015051702000189.html
 以前、『新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮:市民経済と大衆文化が明らかにする真実の姿』(小倉紀蔵ほか共著、2012年、角川書店)を刊行した小倉紀蔵氏が単著『北朝鮮とは何か』(2015年、藤原書店)を刊行したようです。その小倉本についての東京新聞の書評を後で紹介しましょう。
 なお、前回の角川書店も今回の藤原書店も左派系の出版社ではない点を指摘しておきます。
 何せ藤原書店は、「後藤新平*23の会」が主催する「後藤新平賞」なるものに「右派新聞社・読売」とともに協力(読売は後援、藤原は協賛)しており、後藤賞の第1回受賞者(2007年)は「今やペマ・ギャルポダライラマ並みの日本ウヨの愛玩犬」に転落し、晩節を汚してしまった元台湾総統李登輝」です(苦笑)。藤原書店が左派の訳がない。
 さて以前、小倉氏が『新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮』を刊行したときには
■新たな「小田実」の出現 小倉紀蔵編著「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」(角川書店
http://hrnk.trycomp.net/news.php?eid=00901
などという駄エントリを書き小倉氏を「北朝鮮シンパ」であるかのように誹謗中傷しまくった極右活動家が『我らが三浦小太郎大先生』です。ゲス右翼・三浦の「小倉氏への言いがかり」については小生は
■『「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」を笑おう・パート54(追記・訂正あり)』
http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20081106/1307052595
なる駄文をものし、三浦の主張がいかにデタラメであるか小生なりに論じました。論じるに当たっては、『新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮』を購入し、一応読んでおります。今回も小倉本を読んで感想を書こうかなとちょっと迷っています。なお、前回同様、三浦もそのうちこの小倉本を取り上げてまた小倉氏に悪口雑言するんですかね?。それとも「小倉氏は保守であり、別に北朝鮮シンパという訳ではないこと」もあってスルーするのか?
 前置きが長くなりましたが、では、東京新聞の書評を紹介することにしましょう。なお評者は「単なる偶然ですが」以前id:noharra大先生が
■鄭義の「二つの文革」論
http://d.hatena.ne.jp/noharra/20120617#p1
なる駄エントリで「中国現体制を擁護してる」などと誹謗中傷されてた丸川哲史氏です(苦笑)。  
 id:noharra先生だと多分丸川書評を「北朝鮮現体制を擁護してる」とか言い出すんでしょうね(さらに苦笑)。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2015051702000189.html
 本書の最大の眼目は、ほとんど一般的には気づかれていない平壌ピョンヤン)宣言(二〇〇二年)の画期性に注目したことにある。その反面として、平壌宣言という歴史の好機を取り逃がした「日本」にとってのマイナス、これを深く考察することも大きな狙いとなっている。そして結論として、著者は、朝鮮半島の北の部分との和解(国交正常化)は日本人にとって最も必要不可欠な歴史的行動となる、と総括している。
 現在の日本の空気に激しく抵触するような問題提起だが、そこには一つの重要な着眼点が孕(はら)まれる。それは、平壌宣言が朝鮮半島全体の関係構造に対する一つの転換を指し示すものだということ、すなわち一九六五年の韓国との間で結ばれた日韓基本条約への対抗性である。実に平壌宣言には、日韓基本条約にはない植民地支配の歴史の清算が謳われている。つまり、日朝国交正常化の次に始まる経済援助という「経済的動機」だけでなく、そこには歴史の解決が目指されているという「道徳的動機」があることだ−ここに儒教研究者として著者の発見がある。
 実際のところ、平壌宣言の内容が履行され国交が正常化されるなら、明らかに一方の日韓基本条約の立脚点の弱さが際立つこととなる。なるほど、著者が指摘するように、朝鮮半島の北の政権と南の政権は、冷戦の名残としての内戦状態の継続を孕みながら、過去の歴史にかかわる道徳的根拠についても競争していることになる。
 さてもう一つ、本書はいわゆる主体(チュチェ)思想の由来に触れつつ、朝鮮半島の北の政権の性格を理解しようと努めているわけだが、その下にまた別様の志向性が蔵されていることが分かる。まさにそれは、「あとがき」に書かれている日本人の「主体」性の話なのだ。国交正常化を計って行くことは「日本にとって、米国追従の戦後の歴史を果敢に変えてゆく大きな転換点となるだろう」と。ここに著者の日本人としての行動=倫理の決意を見る思いがした。

 まあ、「脳みそのあまりよろしくない小生」にはよく分からない部分の多い書評ですが、

・結論として、著者は、朝鮮半島の北の部分との和解(国交正常化)は日本人にとって最も必要不可欠な歴史的行動となる、と総括している。
・国交正常化を計って行くことは「日本にとって、米国追従の戦後の歴史を果敢に変えてゆく大きな転換点となるだろう」

つう小倉氏の意見、そしてそうした小倉氏の意見を好意的に紹介する丸川氏の書評には異論ないですね。id:noharra大先生とか三浦小太郎大先生とか「救う会幹部の諸先生方(西岡力大先生、島田洋一大先生、荒木和博大先生)」とか「家族会タカ派の皆さん(例:増元照明や横田の奥さん)」とか、要するに「北朝鮮打倒論者の反共ウヨの皆さん」は小倉氏や丸川氏、あるいは丸川書評を掲載した東京新聞に「北朝鮮の手先」というありがたい勲章を贈呈するのでしょうが、俺は全くそうは思いません。まあ、俺みたいな人間にも彼らは「北朝鮮の手先」という勲章をくれるんでしょうけど。

【追記その1】
 小倉本を本屋で買ってきて一応ざっと読みました。
 感想を書こうかと思ったんですが面倒なので省略します。ただこの本を読めば、三浦らウヨの小倉氏への「北朝鮮シンパ」と言うレッテル張りがいかに馬鹿げてるかは分かると思います。
 たとえば小倉氏は本書第4章『張成沢氏粛清をめぐって(2014年1月)』において、北朝鮮の党・政府発表や各国政府、メディアなどの反応などを見る限りやはり張粛清は「正当性、合法性の観点で果たして正当かつ合法と言えるか疑問」として批判しています(そう言う部分は朝鮮新報書評では見事なまでに紹介されず「日朝交渉路線支持」「巣くう会の無謀な路線批判」や「日中、日韓関係を酷くした安倍の極右外交批判」が紹介されますが)。 
 ただ一方で
1)一応軍事法廷で証拠に基づいて裁いたとしており、「合法性、正当性のアピールについて」北朝鮮が全く無関心な野蛮国家ではないこと
2)

・張粛清を「親中国、改革開放に積極的な張」を「それらに否定的な正恩が粛清し中国が猛反発してる」
・張の経済改革の失敗を全て張に押しつけたものであり、北朝鮮の経済的衰退、崩壊が始まった
・張と言う後見人がいなくなれば正恩には後見人はいない

などと見なし、北朝鮮早期崩壊論を唱える論には現時点では賛成できないこと
3)1)より北朝鮮は「自己アピールをそれなりに気にしており充分交渉相手となり得るであろう事」、2)より崩壊論に立って交渉をネグる事は許されないことを指摘しています。
・ちなみに4章には巣くう会一味への批判が簡単ながら書いてあります。

p112-p113
 (注:日本政府主催の某シンポジウムでは)これまで拉致問題に深く関わってきた人びとのなかには、「北朝鮮自衛隊を派遣して、空中から進入し、拉致被害者を救出すべきだ」という主張をするものもいたそうだ。
 これは劇画ではないだろうか。このような(注:ゴルゴ13的な)劇画的世界観を持っている人びとが、これまで長い間拉致問題の解決のために主導的な役割を果たし、政府の政策にも大きな影響を与えつづけてきたことを、われわれは深く憂えざるをえない。われわれの国家・日本はいつからこのような軽い国家になってしまったのだろうか。

【追記その2】
 小倉本の書評が朝鮮新報に載りましたので紹介しておきます。

http://chosonsinbo.com/jp/2015/05/sk520-4/
 「東北アジアの歴史的・構造的矛盾を一身に体現した国家である『北朝鮮』」とは何か。
 相手国を内在的に理解する姿勢を持ちえぬばかりか、米国追従の状態に安住する「思考停止」状態の日本。そのバイアスのかかった目には、残念ながら、隣国の真の姿は見えていない。著者の小倉紀蔵さんは、朝鮮に対する認識、理解は、「戦前から現在にいたる日本をどう認識し、理解するかということと緊密に関係している」と喝破する。
 本書は思想的観点から、東北アジアに横たわる複合的かつ相互依存的な諸問題を紐解き、停滞する日朝関係において日本がイニシアチブをとって取り組むことを促している。
 米国中心の世界観のもとで固定化された偏狭な「北朝鮮」像。著者は「国家がその進むべき道を誤るとき、その過誤はたいてい、認識の誤謬から始まる」とし、日本のマスメディアに接しているだけでは決して理解できない朝鮮のソフト・パワーとしての「自主」の概念を提示する。そして、米国の核の挑発やグローバル資本への従属を拒み、ほかの国が捨ててしまった自尊心と尊厳を死守しようとする「ぶれない北朝鮮のソフト・パワーは大きな文明的・文化的意義を持っている」と読者に新たな視点を与える。
 東北アジアの不安定な状態を引き起こしている最大の要因としての(注:「過去の清算」(例:慰安婦)に消極的で、アメリカべったりで、北朝鮮に無関心ないし敵対的という)「日本の不動性」を指摘し、「日朝国交正常化」こそが植民地支配の清算における南北の非対称性の克服、朝鮮半島全体の安定のために日本の動くことのできる最大の方向性であるとその意義を強調。それこそが「日本にとって米国追従の戦後の歴史を果敢に変えてゆく大きな転換点となる」と断言する。
 そのために、著者が提示するのが「日韓モデル」に代わる、歴史の清算という要素を最初から全面的にとりいれた新たな「日朝モデル」だ。これこそが、「旧宗主国と被支配側の双方が生産的な未来を築いていくための重要な和解のプロセス」という指摘は閉塞感漂う日本の東アジア外交を解くキーワードになるだろう。
 本書における「東北アジアの『矛盾』を解く覚悟があるのか」という問いに日本社会はどう答えるのか。「矛盾」の中から、見えてくる日本の姿に向き合って欲しい。

*1:国連から除名しろと言うかと思いましたがさすがにそこまで無謀ではないようです

*2:インド初代首相

*3:原文のまま、ツーリズム(観光業)のこと

*4:原文のまま。ツーリズム(観光業)のこと

*5:朝鮮労働党国際担当書記、副首相(外相兼務)などを経て現在、最高人民会議常任委員長

*6:ウヨ業界では話題を集めるでしょうがそれ以外では当然無視されるでしょう。「犯罪性無し、自殺」でかたのついた「チャン氏の自殺」を「他殺ではないか」と再捜査を求めるのはそう簡単なことじゃないからです。大体ウヨ連中だって「謀殺論」を唱えることによってチャン氏を貶めたいだけで本当に「謀殺だ」なんてかけらも思ってないでしょう。

*7:当然ながら南京事件は「一人や二人の証言でその実在性が揺らぐような代物」ではありません。何故その元兵士が発言を変えたのか、変える前と変えた後とどちらが正しいのかはそれ自体、興味深い話ですがそれは別に「南京事件の実在性」とは関係のない話です。

*8:第二次大戦のこと

*9:陳水扁政権時代に副首相

*10:北ベトナム国家主席ベトナム労働党主席

*11:中国共産党主席

*12:北朝鮮国家主席朝鮮労働党総書記、朝鮮人民軍最高司令官

*13:ホーについて言えば、「いろいろな事情(ベトナム戦争対応でそれどころではなかったとか、「軍事の天才ボー・グエン・ザップの存在」とか)があったのでしょうから単純にホーを褒めるわけにもいかない」でしょうが生前において彼が「毛や金ほどの絶対的権力を行使せず、毛や金ほどの個人崇拝もなかったこと」は事実でしょう。

*14:著書『近代日本の右翼思想』(2007年、講談社選書メチエ)、『未完のファシズム:「持たざる国」日本の運命』(2012年、新潮選書)など

*15:太平洋戦争中、マレーで活動した実在の日本人工作員。ただし「ハリマオ」や「マライの虎」はもちろん大幅な誇張、脚色がされている。

*16:ウィキペ「谷豊」によれば実際には「マラリアによる病死」。

*17:川谷拓三が演じている

*18:ユタカの父親の愛人。竹下景子が演じている。

*19:ユタカの父とトミコとの間の子。つまりユタカにとっては「腹違いの妹」。

*20:何度も言うように実際の谷豊は「戦死(映画「マライの虎」)」でも「自殺(映画「ハリマオ」)」でもなく病死です

*21:京都大学教授(韓国文化論)。著書『韓国語はじめの一歩』(2000年、ちくま新書)、『歴史認識を乗り越える』(2005年、講談社現代新書)、『日中韓はひとつになれない』(2008年、角川oneテーマ21)、『韓国は一個の哲学である:〈理〉と〈気〉の社会システム』(2011年、講談社学術文庫)など

*22:明治大学教授(中国・台湾文化論)。著書『日中100年史:二つの近代を問い直す』(2006年、光文社新書)、『ポスト〈改革開放〉の中国:新たな段階に突入した中国社会・経済』(2010年、作品社)、『魯迅毛沢東:中国革命とモダニティ』(2010年、以文社)、『台湾ナショナリズム:東アジア近代のアポリア』(2010年、講談社選書メチエ)、『思想課題としての現代中国:革命・帝国・党』(2013年、平凡社)、『阿Qの連帯は可能か?:来たるべき東アジア共同体のために』(2015年、せりか書房)など

*23:台湾総督府民政長官、初代満鉄総裁、桂内閣逓信相(鉄道院総裁兼務)、寺内内閣外相、東京市長、山本内閣内務相(帝都復興院総裁兼務)、東京放送局NHKの前身)初代総裁などの要職を歴任