やはり自公下野の模様(追記・訂正あり)

きちんと見ていないのだが、NHKのHP等によれば、やはり自公は大幅に議席を減らし、下野の模様。
(追記:自民300→119、公明31→21。しかも山崎拓氏(元自民副総裁)、公明の太田昭宏代表、北側一雄幹事長などかなりの大物が落選(あえて重複立候補せず、あるいはしても落選)しているようだ)*1
民主内閣誕生の見込みのようだ。
世論調査であれだけ不人気であるにもかかわらず、適切な手を打てず、(怪文書ならまだしも)ネガキャンを公然とやるようでは、当然の結果だろう。
(こんな事なら、自公的には任期満了まで引っ張りその間にやりたい放題やった方が、ベターだったかもしれない)
夜遅くまで、選挙結果を見る気になれない。しかも民主以外の野党がのきなみ議席を減らしてたりすると精神的につらい。民主以外の野党が増えなければ民主暴走の恐れがあると思う。従って明日以降見ることにしよう。
とりあえずの感想を書くと
・民主が単独で過半数や2/3を制するかどうか。→追記:308議席で、単独2/3ではなかったのはひとまず良かった。他党を引っ張り込むか、自民切り崩しでもやらない限り2/3条項が使えないから
・民主以外の野党の結果がどうなるか。(何議席か、誰が当選するのか。どこが増えるのか。ネオリベの「みんなの党」や極右の「改革クラブ」だけ増えたりすると怖い。)
→追記:共産9(現状維持)、社民7(現状維持。小選挙区で獲得議席が増えたが比例が減ったので収支とんとん)、みんな5(改選前4なので1増)、国民新3(改選前4なので1減)、日本1(改選前0なので1増)、改革クラブ0。
 総じてどこも苦しい戦いだったが、参議院にしか議席が無くなり、今後の党の存続がいっそう危うくなった改革クラブ以外、議席数を見る限り、善戦したと言えよう。極右の改革クラブ衆議院から消えたことは、個人的にうれしい。なお、改革クラブ議席が減ったため、議席要件に引っかかり、政党助成金がもらえなくなったらしい。ますます党財政が苦しくなったわけである。*2*3個人的には共産に1議席でいいから増えてほしかったんだが、まあ、減らなくて良かった。なお、共産が野党第2党であることを考えると、共産の戦い方(社民、国民新と違い民主の問題点を指摘)は基本的には正しかったのではないかと思う。おそらく民主に疑念を感じる票のほとんどは共産に行ったということだろう。
(したがって民主に票を食われる被害が他党に比べ少なく済んだ。被害が一番大きかったのは、小選挙区で増えたのに比例で減らしトータルで議席が増えなかった社民だろう。比例が減らなければ議席増だったのだから)
 なお、ケインズ色の強い「国民新」が1議席とはいえ減らしたこと(しかも綿貫民輔代表、亀井久興幹事長という幹部・ベテラン議員が落選したのはやはり痛いだろう)、ネオリベ色の強い「みんな」が1議席とはいえ議席を増やしたこと、城内実平沼赳夫といった極右の無所属議員が当選したことは今後の懸念材料。
・自民・公明の結果がどうなるか。(何議席か、誰が当選するのか)
→追記:議席数は訂正して上に追記しました。当選メンバーについては後でじっくりと見る予定。なお、ポスト麻生の新総裁が誰になりどんな人事、政策を打ち出すのかが今後の自民の動向を決めるだろう。また公明が今後どのような態度を取るのかも重要(自民との友好関係を続けるのか、止めて是々非々で行くのか?。一部で噂される小選挙区からの撤退はあるのか?、等)。
が、今後の政局に大きな影響を与えるだろう。
 今までの自公政治が続く事がいいとは思わないが、民主には不明な点が多すぎる。手放しで喜ぶ気にはなれない。詳細が分かるまで、当面は模様眺めと言ったところか。

【追記】
1)今後いろいろと、追記・訂正する予定。なお、必ずしもお断りはしませんので念のため。
2)報道によると、首相指名選挙は今月の16日、自民の総裁選は28日だそうなので、それまでは、大きな政治的な動きはなさそうだ(水面下ではいろいろあるのだろうが)。まずは、本当に、自社国連立が成立するかどうかがポイントだろう。「安保/外交問題」(社民)、「郵政問題」(国民新)、「比例削減問題」(社民、国民新どちらもだろうが、特に社民)等で、協議が不調に終わり、民主単独政権の可能性はゼロではない。
→9/9現在、連立合意が成立したとの事。手放しでほめるのも、どうせ野合と叩くのも不適切だと思う。これをどう評価すべきかはじっくり考えたい。斜め読みした限りでは、かなり曖昧な点が多く、今後の民主の対応如何では、細川護煕羽田孜政権時のような社民、国民新の連立離脱もあるのでは、と思った。
3)報道によると、鳩山由紀夫代表は、岡田克也幹事長を入閣させ、後任の幹事長に小沢一郎代表代行を任命するつもりらしい。しかし、「西松の反省はどこへ行った」と叩かれるのは確実(その批判は正当だと私は思う)なので、やめた方がいいと思う。
→結局、9/16、小沢氏が正式に幹事長に就任した。ああ(絶句)。
4)9/10現在、マスコミ報道を信じる限り、官房長官財務相、外相はNC(次の内閣:民主党HPで確認できる)の大臣とは別の人間がなるようだ(他はどうなのだろう)。また、枝野幸男氏、川端達夫氏、仙谷由人氏の入閣が取りざたされているようだが、彼らはNCには影も形もない。NCを全く無視した組閣をするのならば何のためのNCなのかと疑問に思う。今のところNCとマスコミ報道が合致しているのは、菅直人氏の副総理と、「ミスター年金長妻昭氏の年金担当相(場合によっては厚労相)だけではないのか?(マスコミももっと批判すべきでは?。もし、報道通りNCを無視した組閣が成されたら、少なくとも組閣の記者会見では「何故NCと違うのですか?」と聞いてほしいものだ)。
→追記:結局、川端氏、枝野氏、仙谷氏の処遇は次の通り。
枝野氏:行政刷新会議メンバー
川端氏:文部科学相
仙谷氏:行政刷新会議担当相
5)9/11の赤旗によれば、鳩山代表は、志位和夫共産党委員長との会談に応じ、「核密約」解明にリーダーシップを発揮することを求めた志位氏に対し好意的な対応をしたようだ。例の温暖化の件(自民よりも削減目標を上積みする方針を表明)とともにこれについては評価して良いように思う。(一方で志位氏の求める比例削減撤回や日米FTA交渉反対に対しては色よい返事をしなかったようなので民主を全面肯定は出来ない)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-09-11/2009091101_01_1.html
6)自民の総裁選だが、次のようになった。(あいうえお順)
河野太郎・元法務副大臣(46)
谷垣禎一・元財務相(64)
西村康稔・前外務政務官(46)

それぞれの方の説明を、新聞記事を参考に書くと次のようになる。(朝日新聞が一番詳しくわかりやすかったので、もっぱら参考にしている)

河野氏
麻生派所属。派閥解消や世代交代を前面に掲げた。所属する麻生派の議員や小泉改革を支持した中堅・若手のほか、派閥主導を批判する中川秀直元幹事長*4菅義偉選挙対策副委員長にも後押しされている。

谷垣氏:
古賀派所属。世代交代論を意識し、「適材適所にしないと永遠に与党には戻れない。若い人を積極的に登用し女性の出番も増やす」と強調した。所属する古賀派古賀誠元幹事長や青木幹雄参院議員会長ら重鎮に加え、石破茂農水相石原伸晃幹事長代理、小池百合子元防衛相(石原氏、小池氏は推薦人の1人)ら「ポスト麻生」候補だった有力者らの支持を受け、国会議員票で優勢。

西村氏:
最大派閥・町村派所属。一応、派閥の長老・森喜朗元首相や町村信孝官房長官に出馬を了承されている(推薦人20人のうち、半数の10人が町村派河野氏、谷垣氏の推薦人と違い、特定の派閥が突出している)。「世代交代は大事だが、若手だけで民主党に勝てない。老壮青が力をあわせたい」と訴え、同じ若手でも世代交代を唱える河野氏とは一線を画した。与謝野馨財務相鳩山邦夫総務相の推薦を取り付けている。また、「非世襲の叩き上げ、苦労人」もアピールしているようだ(河野氏、谷垣氏は世襲)。


谷垣氏が国会議員票で優勢だから順当に勝つのだろうと思う。(国会議員票オンリーではないので、もちろん橋本龍太郎氏が小泉純一郎氏に敗れた総裁選のような番狂わせの可能性はゼロではないだろう。競馬風に言うと、谷垣本命、河野対抗、西村穴といったところか。西村氏は出馬表明が遅れたことと他の2人に比べ知名度が落ちることが弱点。)
別に自民党支持者ではないのだが、谷垣氏なら他の2人と違って要職も歴任している(財務相自民党政務調査会長国土交通相)し、一番無難じゃないか、と思う。
悪いけど、他の2人には、朝日記事を読む限り良いイメージが持てない。失礼ながら「河野氏=未だに小泉改革万歳派」(平たく言うと「みんなの党の2番煎じ」。河野氏が総裁になったら「みんなの党」のメンバーに復党を呼びかけるつもりらしい。「小泉改革地方切り捨て自民大敗」だと思うのだが)*5*6「西村氏=森元首相のパペット」*7という印象がある。
それと今後アピールするのかもしれないが、「選挙敗北の理由は何か」「自公連立をどう評価するのか」「小泉改革をどう評価するのか」「民主との違いはここ!」などもっと政策的なことも語ってほしいものだ。世襲批判や派閥批判、世代交代論だけでは話にならない。*8なお、私個人は以下の理由から派閥の現状批判はともかく派閥解消論には疑問を感じる。
(1)民主党にも派閥は存在する。派閥それ自体が悪いのではなく、有りようが問題ではないのか。派閥を否定してその後に来るシステムは何なのか?
(2)派閥の存在は少なくとも過去の自民党においては「タカ派vsハト派」など派閥間論争による活力を生み出していた。現在の派閥は単なる互助会化した事が問題ではないのか?
(3)むしろ、総裁派閥または最大派閥が強大な力を持ち、それに他派閥が対抗できない状態の方が問題ではないのか、それが現状ではないのか?
(4)そんなに派閥が悪いと思うなら少なくとも表向きは無派閥の公明や共産をもっと評価したらどうなのか?(池田大作個人崇拝とか民主集中制とか非難するくせに何だよ、と思う)

→【9/28追記】
下馬評通り、谷垣氏が総裁に就任した。自民敗北の教訓は「小泉(ネオリベ)、安倍路線(極右)からの脱却が必要」「若いとか人気があるとかイメージ戦略に頼ると転んだとき、目も当てられない」*9だと思うので、「地味だが、経験がある」「残り2人に比べればずっと小泉、安倍路線に距離を置いている」*10谷垣氏が選出されたことはあの3人の中では最善だと思う。
「谷垣氏がどんな政策、人事をするのか」「河野、西村両氏はどう動くのか」「他党はどう動くのか」今後の政界の動きに注目したい。

→【10/25追記】
政策はともかく、党三役人事(敬称略)と河野氏、西村氏に対する処遇は次の通り。

党三役:
幹事長:大島理森
総務会長:田野瀬良太郎
政務調査会長石破茂


河野氏:国際局長
西村氏:政務調査会副会長

*1:何故、公明は重複立候補しなかったのだろう(支持者じゃないからしなくて構わないが)。僅差で勝てると読んで外したのか、それとも重複立候補で当選するくらいなら落選した方がいい、と言うのが公明の考えなのか?

*2:個人的に議席要件には少数政党差別じゃないのかと疑問を感じるが(それ以前に共産支持なので、助成金自体に疑問を感じるのは言うまでもないが。また改革クラブの連中に限れば、自民、民主在籍中に議席要件反対と言わなかったのだから自業自得だと思うが。)

*3:10/20追記:無所属の中村喜四郎衆議院議員改革クラブに入党したため、議席要件は回復された。

*4:中川氏は森元首相の子分で彼が今の地位にあるのも森氏のおかげだと思うのだが、何故袂を分かつ?。それとも、「町村派の安全策」(保険をかける)or八百長なのか?。

*5:河野氏に投票することは、「橋本氏では旧態依然」と総裁選で小泉氏に投票した「失敗」の繰り返しではないかと思う。小泉政治を失敗と思っていない、「悪いのは後継総裁たち(安倍晋三氏、福田康夫氏、麻生太郎氏)だ!」と思っている自民党支持者も未だにいるようだが。ただし、河野氏の地盤である神奈川のような大都市はともかく、小泉氏に期待をかけてひどい目に遭わされた地方支部はバクチは避けて今回は無難に谷垣氏では?、と言う気がする。

*6:河野氏には「麻生派のくせに何を偉そうな」とも思う。森氏を非難する前に親分・麻生氏に政界引退を迫ったら?

*7:また推薦人メンバーを見ると改憲靖国参拝など安倍氏のような極右路線を目指しそうでそこも心配。

*8:個人的には、政策や人間的力量が変わらないなら、非世襲で若い方がいいと思う。ただ政策や人間的力量が上なら、世襲、高齢でも支持せざるをえない。極論を言うなら、いくら若くて非世襲でも、杉村太蔵を総裁にはしないだろうと言うことだ。

*9:それが安倍氏と、「ローゼン閣下」こと麻生氏では。2人とも若さや人気で選んだら失敗した好例だと思う。河野氏、西村氏がああならない保障はない。特に河野氏は例の過激発言を計算でしているのなら良いのだが、そうでないなら失言で自爆する危険があると思う。

*10:もちろん「経験がある」も「小泉、安倍路線に距離を置いている」もあの2人に比べればという比較の問題だが。