松本清張生誕一〇〇年でいろいろ(追記・訂正あり)

 今年は松本清張生誕一〇〇年。それを記念してという当て込んでと言うかいろいろな物が行われている。
 私が気づいただけでも
・月刊「松本清張」の刊行。
・昨日からNHK教育の「知る楽」で各界著名人が清張への思いを語る松本清張番組が始まった。(初回は阿刀田高。次回はみうらじゅん。)
・「ゼロの焦点」の映画化、がある。

以下、清張について思うことを箇条書きで書いてみよう。

・清張の魅力としては量の多さ、質の高さ、幅の広さ(ミステリー、評伝小説、時代小説、ノンフィクション等)を上げることが出来る。

【追記】
・後、読みやすさを上げても良いかもしれない。清張作品がとてつもなく読みやすいとまでは言わないが、ひねりまくった表現やトリックのため読者を選ぶということ、マニアックでない一般人には読むのがつらいと言うことはないように思う。


・清張ミステリーの最大の魅力は、ストーリー展開(意外なオチなど)だろうか?。少なくとも、本格ミステリのようなトリックや謎解きの要素はやはり清張は弱いように思う(本格ミステリの傑作と比べれば見劣りするとは言え、「点と線」(アリバイ崩し)のように、それなりにトリックをひねった物もあるし、下手な本格ミステリのトリックより清張のトリックの方が面白いとは思うが)。

・清張作品については短編を勧めたい。長編は読むのが大変だし、短編の方が面白いと個人的には思う。また、まずはノンフィクション系(「日本の黒い霧」、「昭和史発掘」等)ではなく、小説を薦めたい。ノンフィクションはどうしても時代の限界があるし、事の性質上、清張作品だけ読んでOKというわけにはいかないので(例えば下山国鉄総裁謀殺論に対しては当然自殺論がある)。

・私が子どもの頃、清張は「二時間ミステリドラマ」の王様であった。今で言えば、「白夜行」、「流星の絆」(TBS)、「探偵ガリレオ」(フジ)、「名探偵の掟」(テレビ朝日)と作品の数々がテレビドラマ、映画化されている東野圭吾がそれに当たるか?(東野は個人的には今のところ好きでもないが嫌いでもない、どうでも良い作家だが。ただ、「名探偵の掟」みたいなバカバカしいネタはわりと好きかな?)

・清張にとって幸せだったのは映像化作品に恵まれたことでないか。
 映画「砂の器*1など、数々の名作ドラマ、映画がなければ、これほど清張が世に知られたかは疑問だ。
 これは、もちろん清張に限ったことではない。
角川映画やTBSの金田一耕助シリーズがなければ横溝正史氏は・・・
・アニメ「ドラえもん」がなければ藤子・F・不二雄*2は・・・
・アニメ「クレヨンしんちゃん」がなければ臼井儀人*3は・・・、等いくらでもあると思う。
(作品の映像化は大事)

*1:原作では犯人(映画では加藤剛。かなり早い段階で加藤剛が犯人であることは示され、最大の謎は犯行動機である。)の父親は既に死んでるのだが、映画では生きており、加藤剛の写真を見せ、「この人を知りませんか?」と質問する今西刑事(映画では丹波哲郎)に対し、「知らない」とかばうシーンは私的には感動物。「砂の器」は映画の方が小説より良いと個人的には思う。

*2:ただし、ドラえもんが有名になりすぎて、ドラえもん以外の作品(特にSF短編のような、大人向け作品)があまり知られてない気もするが。

*3:連載雑誌は「漫画アクション」なのだからアニメ化がなければ、おそらく子どもに大人気と言うことはなかっただろう。