と、id:flurryのメモ「適当訳『台湾にとっての恐怖の年: 2006年』 」(http://flurry.g.hatena.ne.jp/flurry/20100110)を読んで思った。
以下、思ったことを箇条書き。
・本来、全文訳はJSFがやるべきだろう。なお、id:flurry氏はトラバを送ったらしいので今後のJSF先生の対応が注目される。
・大体、政府の見解ならともかく、いくら軍事専門家とは言え一記者の見解に過ぎないだろ(しかもJSFは過去にマスコミの軍事記事やプロの軍事専門家としてマスコミで活動する人間をdisってる)。何故JSFは「間違いない正論」みたいに振り回すんだよ。ダブスタも甚だしいんじゃないの?。
・大体この記事には
もし中国が台湾と再統一するために武力を用いることにした場合、その機会は2006年に訪れると言われてるよ。
2008年の北京オリンピックまで2年あるから、戦争後のゴタゴタを片付ける時間があるだろうし。
と書いてあるが「2006年に武力行使」なんかあったかよ、JSF(なお、私には元記事を訳す能力などないんで、以下、全てid:flurry氏の訳が正しいという前提で話を進める)。
こんな6年も前の信用性の怪しい記事持ち出すなんてバカじゃねーのか?
・次に適当訳の記事に突っ込み
いくつかの分析資料によると、中国は1988年のチベットでは、1個師団の空挺を48時間で完了させたらしいよ。
チベットと台湾じゃ違いが大きすぎるだろ・・・。
中国軍が地面を踏むと同時に、台湾陸軍の憲兵隊を相手にすることになるよ。
「憲兵隊」?。「id:flurry氏の誤訳」「元記事がトンデモ」なのかもしれんが、台湾では対外侵略に最初に対応する部隊を憲兵隊って呼ぶのか?
じゃ、日本で言う「憲兵隊」(軍内部の犯罪の摘発をする)はなんて呼ぶんだ?。
侵入者は台湾軍や警察のシンパから支援を受けられるかも。
軍や警察の少なくとも75%は国民党支持――つまりは中国・台湾の統一を支持している――と考えられているんだ。
「侵略への協力」は立派な犯罪なんだから「シンパから支援」はさすがにないだろ。それと「国民党」は中台統一支持だが武力侵攻なんか支持してないけど?
侵入者の多くはタクシーを使って、気付かれずに街を動き回ることができるんじゃないかな。
お前は台湾の防衛体制なめすぎだろ?
「犬が戦うときには、戦いの中で犬が占める大きさではなく、犬の中で戦いが占める大きさが問題となるのだ」*8って言葉があるよね。
台湾陸軍は、20ヶ月の徴兵期間を終わらせてガールフレンドや仕事のところに戻ることを乞い願う、無気力で役にたたない兵隊で一杯だよ。
多くのひとは台湾の若者(兵隊も含むよ)のことを「いちご世代」って呼んでるんだ。
いい生活のおかげで甘やかされて、軟弱になっちゃったってこと。
台湾を訪れたアメリカ陸軍の士官は、しばしば、台湾陸軍の新兵訓練キャンプが「ゆとり」すぎるんじゃないの、って不満をこぼすよ。
「中国の侵略よりも、自分とこの兵隊の親御さんが怒るのを恐れてるんじゃねえの?」とも言ってるね。
どこの国でも若者叩きはあるんだな(笑い)
まあ「中国の侵略の危険」が真実味を持たないからそうなるんじゃないの?
それと、「精神論より武器の性能とかの方が大事じゃない?」とか「今時、徴兵制に期待してるのかよ?。プロの兵隊(職業軍人)で十分じゃないのか?」と思うな。
ある『政治的に正しい』国会議員がアジア・タイムズ・オンライン(この文章が載ってるやつ)に「台湾は軍内での暴力に対処しなければならない」って訴えてきたことがあったよ。
記者は彼に指摘したよ。「いやその、軍隊って暴力機構なんですけど」
「ある『政治的に正しい』国会議員」ってどういう意味だろう。皮肉らしいことは分かるけどね。
それにしてもこの記者はアホだな。ブコメにも書いたけど、この議員のいってることは「軍内部でイジメやシゴキがヒドイから何とかしなきゃ」って意味じゃないの?
それに対して「いやその、軍隊って暴力機構なんですけど」は答えになってないよ!
まさか「軍隊は暴力機構だから、イジメやシゴキがあってもいい」って意味じゃないだろうな?
台湾は中国の一部だという考えは、未だに台湾軍内で強い共感を得ているんだ。
国民党はそう言う立場らしいからね。でも「台湾主導の平和的統一」であって「中国の武力統一でもOK」じゃないんだけど。
この侵攻シナリオで台湾海軍ができることはほとんどないよ。
石のように海底に沈むこと以外は、だけど。
お前は台湾海軍なめすぎだろ?
つーか、そんなに台湾海軍が弱いんだったら「ノルマンディー上陸作戦みたいな大規模な揚陸侵攻作戦」やっても構わないんじゃないの?
基地が破壊される前に滑走路から離陸した台湾空軍の戦闘機は、中国軍と激戦を繰り広げるだろうね。
でも燃料がなくなっても、着陸する場所はないんだ。
多くの戦闘機は単に最後まで戦って、パラシュートで緊急脱出するだろうね。
お前は台湾空軍なめすぎだろ?
台北が占領された時点で、北京によって選ばれた新政府が宣言を行うよ。
候補になる台湾人の政治家はたくさんいるよ。
中国に投資しているたくさんの親中派の国会議員がいて、何人もが北京政府と私的な会合を持っていることが知られているんだ。
いや、「親中派の国会議員」でも、普通の人間はさすがに「傀儡政権の指導者」にはならないと思うぞ。なるとしてもよほどの「権力亡者」でそんな奴に国民が付いていくとは思えないが?
アメリカ国務省内には親中派のひとたち――内心で、台湾問題がやっと解決したと安堵してる――があまりにも沢山いるから、台湾防衛については取り上げられないかもね。
いくら親中派でも「武力統一」は支持しないと思うが?
台湾軍内部で高まっている親中国的な心情からすると、ほとんどの部隊はしぶしぶながら新総統に従うと考えられるよ。
嘘でしょ(絶句)。
つーか、そんなに「親中国的な心情」が軍で高まってるんなら、「中国が侵攻しても抵抗ないんじゃないの?」とか「台湾軍内部の親中派でクーデタでもやらせたら?。中国の犠牲減るじゃん?」とか突っ込まずにはいられない。
中国が、アメリカ軍が日本や韓国から撤退してくれるよう切実に願っているのも、分かるってもんだね。
「中国が、アメリカ軍が日本や韓国から撤退してくれるよう切実に願っている」へえ、そうなの、知らなかった。
それはともかく、在韓米軍は南北朝鮮で戦争が起こると困るから出てってほしいんじゃないの?。台湾なんか関係あるのか?(在日米軍はひとまず置く)
PACOMは、この移動は北朝鮮情勢への対応だと主張してるけど、他のひとは台湾情勢がこの移動の根っこにあると推測しているよ。
「表向きの理由は北朝鮮情勢だけど、裏の理由は台湾」というのは、アジアにおけるアメリカ軍の基本的なテーマだよ。
いまやグアムは、ハワイに代わって空母打撃群を配備する拠点として考えられているんだ。
グアムにあるのに、北朝鮮情勢や台湾情勢への対応が目的なの?。グアムと台湾、北朝鮮じゃ大分距離遠くね?
多くのひとが、中国が台湾を占領したら、日本と韓国はただちに――たぶん数ヶ月以内に――核兵器を開発・配備すると主張しているよ。
それは無理だろ。NPT違反なんだから。
アメリカを巻き込んで紛争が拡大した場合、中国がこの地域(私注:日本のこと)のアメリカ軍基地に攻撃を行う可能性もあるよ。
終端誘導可能な東風21号(DF-21C)准中距離弾道ミサイルを沖縄に発射するのが、その手始めになるんじゃないかな。
そりゃ日本に台湾防衛用の基地があればその可能性はあるだろうな。で、JSF先生なんかは日本に犠牲が出るかも知れないが介入すべきだと言うんですか?(私は中国の台湾侵攻の可能性はほとんどないと思うが)
アナリストによると、中国は日本やアラスカ、ハワイにあるアメリカ軍基地に特殊部隊での攻撃を行う可能性すらあるってさ。
これらのオプションは中国に自軍を強化する余裕を与え、アメリカ軍の介入を妨げるよ。
アラスカやハワイまで攻撃するのかよ!。米国と全面戦争も辞さないのかよ、中国。
もちろんこれは、意図的に選択した事実に基づき、推測で味付けしたシナリオにすぎないよ。
中国に何が出来るかという想定と、何をするだろうかという想定は別の話だよ。
いや、いくら何でもこんなシナリオは実行しないんじゃないの?
・id:flurryのメモ「適当訳『台湾にとっての恐怖の年: 2006年』 」についているブクマにも応答
hayaton117:海兵隊だけでひっくり返せるとは考えてないような。とりあえず要人確保?選挙で選ばれた総統を保護できれば国際的な大義名分になる。その後は台湾というより米国の外交カードかもしれんけど
JSFそんなこといってましたっけ?。まあ、この仮想戦記だと「要人確保」も無理そうだし、外国の力がないと要人確保できない台湾軍では無力すぎて「必要あるのかよ!」って思いますが。
saloth_sar:超感覚的なコメントとかスターは味わい深い。
「超感覚的なコメントとかスター」と言う意味不明なこのコメの方が「味わい深い」。
zu2:台湾を守る部隊のために沖縄が攻撃対象になる、と。沖縄に住んでなければ関係ないんだろうな。
この仮想戦記だと「沖縄以外の米軍基地のある町」も攻撃されそうですけどね。場合によってはハワイやアラスカも攻撃するそうですから。
nomitori:台湾特派員が国民党支持=中台統一支持とか言っているのか…。台湾で何を見てるんだ…
うーんと、「国民党支持=中台統一支持」では必ずしもない。「自民党支持=改憲支持」*1、「公明党支持=創価学会支持」、「日本共産党支持=共産主義支持」では必ずしもないのと同じって言うような意味ですか?
mojimoji:ご苦労様でした。滅茶笑わせていただきました。/記載されてる作戦自体荒唐無稽なんだけど、沖縄に海兵隊おいとけばひっくり返せるという発想もすごいよな。
この仮想戦記は「日本の海兵隊は中国の脅威」「海兵隊は岩国と沖縄にいるよ(岩国も台湾防衛用かよ!)」とか「いざとなったら中国はハワイとアラスカも攻撃するよ」とか言ってるので「沖縄に海兵隊おいとけばひっくり返せるという発想」(JSFの発想)ではなさそうですけどね。
まあ、こちらの方が岩国も中国軍の攻撃対象になるかも知れないんでJSFシナリオよりもっと恐ろしいんですが。
flurry なんでこんなことに労力を投じたのか自分でもさっぱり分からない。自傷行為みたいなものかしら。
JSFのトンデモぶりがまた一つ暴かれたのでみな感謝してると思いますよ(JSFとその信者を除く)。どうもありがとうございました。