http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100411/trl1004111802001-n1.htm
基本的に「安藤慶太が斬る」はいつの記事も酷い電波。この記事もそこら中、電波な内容だが特に酷いところを取り上げる。
それにしても現地北海道のメディアの取り上げ方はひどいと思う。北海道新聞4月9日のコラムを例に挙げる。
《行き過ぎ調査
北教組の政治資金問題は、当欄でも何度か批判した。事態を今なお進んで解明しない、この組織の自浄能力のなさにはあきれている。だが、関連して道教委が予定する調査は行き過ぎだ▼3万人以上の教職員らを対象に、組合活動や政治活動などを詳細に調べる。職員団体からカンパの要請があったか、ビラ配りをしたことがあるか。「見聞きしたことがあるか」と、他人の行為まで尋ねる。政治信条の洗い出しは人権を脅かすだろう▼回答を断れば、職務命令を出すことが可能という。となれば処分も視野に入るわけだ。警察に逮捕された容疑者にも黙秘権があるのに、それすら許さぬ圧力は尋常ではない…》
北海道新聞の主張は「全く正論」としか思わないが、左翼嫌いの産経には高尚すぎて理解できないのだろう。
道教委が調査をやり遂げることができるか。今後も見守っていくつもりだが今回はこれ以上、深入りしない。今日の本題は、前回述べた裁判所の続きである。
随分と長い前振り(文章の2/5が前振り)だな。しかも、前振り(北教組批判)と本題(戦後補償問題)は「左翼叩き」以外、何の共通点もない。新聞記者というプロが書いたとは思えない、本当に酷い文章だな。
ありとあらゆる左翼的な党派利害や運動体の要求が次々持ち込まれてイデオロギーを背景にした裁判闘争が日夜繰り広げられる舞台でもある。
すべての裁判が政治的な裁判のわけではない。また、行政訴訟が典型的だが、政治的な裁判の何が問題なのか分からない。それに右翼も政治的な裁判はやってるよね、大江・岩波訴訟とか百人斬り訴訟とか。
左翼の政治的裁判は汚い裁判だが右翼の政治的裁判はきれいとでも言いたいのか?
(なお、この人は「左翼の裁判は負けが分かってるのに云々」と後半で書いているが、なら百人斬り訴訟はどうなのかと言いたい。名誉毀損の事実すら認定されなかったが、例え認定されたところで記事が書かれたのは原告が裁判を起こすよりもずっと前、既に時効成立で請求が認められることはまずありえないと、容易に理解できるはずだが?)
負けても負けても何度も同一構造、類似構造の訴訟が繰り返される。
繰り返しちゃ悪いのか?。産経は「過去の判例に反する主張は認められない可能性が高いから裁判するな、時間の無駄だ」とでも言いたいらしい。判例変更の可能性もあるのだが。産経理論だとポルノなどエロ関連の裁判は捜査当局に唯々諾々と従うべきなんだろうな。「チャタレー夫人の恋人」有罪判決*2があるのに、日活ロマンポルノなど、後にエロを「表現の自由」で争った奴らはバカだと言いたいわけですね、分かります(嘲)。
そして、やがて要求を通しお墨付きを与える裁判官が現れるのである。
その場合、「原告の裁判戦術が洗練された」「時代の流れによる世論の変化」等、ケースはいろいろだと思うが。まるで「根負けした裁判官が無理難題を認めた」かのように書くなよ。
サンフランシスコ平和条約、日華平和条約*3、日中共同声明、日中平和友好条約により、国家間で賠償権放棄に合意しているのである。
ところが、こうした国家同士が外交交渉で積み上げた合意を無視して「損害があれば救済されるべきである」とする論理が左翼系市民グループの後押しで次々に法廷に持ち込まれる。それは、裁判闘争にメリットがあるからだ。
いわゆる中国人強制連行について国の賠償責任を認めた平成16年3月の新潟地裁判決のような事例もあるが、ほとんどの請求は結論として退けられている。ところが問題は請求が退けられても強制連行や南京虐殺などが事実として次々と認定されているのである。
「裁判を起こす権利」を公然と否定するとはさすが産経さんはトンデモぶりが半端ないな(なお、国家間の賠償請求権放棄は国家間に限定され、個人には及ばないというのが確か、裁判原告側の主張である。それが例え、法解釈として間違っていようとも「裁判を起こす権利」は否定されるべきではないという当たり前のことが産経には理解できないようだ)
それと「裁判で事実が認定されてる」って、裁判が起こされなければ、南京虐殺とかが事実認定されてないと本気で思ってるのか?
例えばこんな具合である。
《確かに国が中国人労働者移入の制度を設計した時点において前記のような態様の強制連行まで意図していたかについては議論の余地があるとしても、中国人労働者の移入策の実行場面において、被控訴人国の意向を受けた日本軍、中国人関係者らが、第一審原告ら中国人労働者の意思に反してこれを拘束し、監視のもと、同人らを日本国内の各事業場まで強制連行したことは明らかというべきであり、上記被控訴人企業らの主張は採用できない》(平成18年6月16日、東京高裁判決)
《我が国の軍部が…中国内部の政治的軍事的極めて複雑な混乱に乗じて、その当時においてすら見るべき大義名分なく、かつ十分な将来的展望のないまま、独断的かつ場当たり的に展開拡大推進されたもので、中国および中国国民に対する弁解の余地のない帝国主義的、植民地主義的意図に基づく侵略行為にほかならない》
《いわゆる「南京虐殺」もそのような日本兵の中国国民に対する民族差別意識を基盤として行われた…》
《当時の日中間の戦闘等につき、例えば『満州事変』『上海事変』などと『事変』との表現が当時も現在も使用されることがあるが、実相は我が国が他国で展開した『戦争』ないし『侵略行為』にほかならないといえる》
《我が国は、今後も反省をし続け、将来にわたるアジアの平和と発展に寄与すべく最大限の努力をしなければならない》(以上、平成11年9月22日、東京地裁判決)
・日本人として愉快な事ではないが、全部事実だろう。残虐行為、違法行為はなかったし、侵略戦争でもなかった、反省の必要もないとでも産経は言いたいのか?
・そもそも産経が賠償請求権は放棄されたとして持ち出した、日中共同声明において日本側は(不十分な形かもしれないが)自らに一定の非があったことを認めている(「日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」(日中共同声明))のである。
自分に都合に良いところだけ引っ張る条約のつまみ食い利用は止めるべきだろう。
請求自体は棄却されているから、国はどんなにおとしめられても上訴ができない。
貶めるも何も事実だろ?
では、なぜこういう判決が書かれてしまうのだろう。それは、国の代理人となる訟務検事がまともに事実関係を争わないからであり、裁判官の訴訟指揮に問題があるということである。
事実なんだから、訟務検事が争わないのは当たり前。争えば事実認定で勝てると本気で思ってるのか?。
裁判官の訴訟指揮に問題があるって具体的にどうしてほしいわけ?
基本的に裁判官はアンパイアの立場にあるのだから、反則(法律違反)でない限り、プレー(原告や被告の訴訟戦術)にどうこう口を出さないのは当たり前だろう。下手な口を出せば、片方に肩入れしたとして、違法な訴訟指揮に該当する恐れすらあるのだが?
最後まで原告らに言いたいことを言わせる、それで審理を尽くしたという判断に傾くのである。
原告や被告に言いたいことを言わせなくても産経的には「審理を尽くした」事になるんですか?
原告や被告の行為が裁判引き延ばしとか明らかに不当な行為ならともかく、言いたいことを最後まで言わせるのは当たり前だろう。
言い放しの歴史糾弾が事実と認定されたことになり、今度はそれがマスコミに大々的に取り上げられたり教科書に掲載されうる事実として扱われ、いずれ猛威を奮うのである。
マスコミが取り上げるのはニュースバリューがあるからで当然のこと。取り上げなかったらその方がおかしい。「取り上げること」=「事実と認めること」では必ずしもないし。
教科書に掲載云々って、裁判で事実と認定されたらノーチェックで教科書に載ると思っているのか?。教科書執筆者と文科省の検定官をバカにしすぎだ(裁判で事実認定される前にこう言ったことは学会の通説となり既に教科書に載っている場合がほとんどだと思うが)。
それと産経の大好きな「結論と関係ない部分は傍論だから無視してOK」はどこへ行ったのだろうか?
「日本の国には国の名誉、日本人の名誉を守る機関がない」。これは自ら百人斬り訴訟の原告代理人を務め、国政に転身した稲田朋美衆院議員の言葉である。
あなたが裁判で負けたのは、あなたの無能のせいですから、稲田さん。何、他人のせいにしてるんですか?
国をおとしめる判決を書く裁判官(中略)の姿勢こそが深刻なのである。
裁判官が従うべきは法律と証拠のみなのだがそう言う常識が産経にはないらしい。だから「証拠がない」「法律解釈が間違っている」ではなく「国を貶める」と言う意味不明な言葉が書けるのだろう。
慰安婦をめぐる対日非難決議が米国下院で可決されたときも、日本の世論はもちろん、政府や立法府に、その不当性を毅然と主張する声は少なかった。
不当性というのが「アジア女性基金等で問題解決に努力してます、非難されるのは心外です」ってのならともかく、産経の言う不当性は「慰安婦は違法でも反道徳的でもない」ですからね。お話にならない。
世界には、日本に対する悪意が厳然と存在する。日本を隷属させ、延々と金をむしり取る仕組みを作りたいと画策する動きがあって虎視眈々と日本をはめる機会をうかがっているのだ。
仮にも全国紙が陰謀論ですか。大体、対日非難決議のどこに金を払えと書いてあるのやら(それと、日本のやったことを考えたら金を請求されても仕方がないと思うが。自分の家族が慰安婦にされてもこの人は同じ事が言えるのやら)。
なお、アメリカが「日本を隷属させ」、思いやり予算という金を不当にも「延々とむしり取」っているのをどう思っているのか、この人に聞きたいものだ。