【産経抄】5月31日

 帝銀事件や吉展ちゃん事件で敏腕を振るった平塚八兵衛が亡くなったとき、新聞は「最後の名刑事」とたたえたものだ。

・吉展ちゃん事件はともかく帝銀事件ですか。あれは平塚の誤認逮捕、見込み捜査であり、冤罪だというのが日本の常識でしょう。だから法相は死刑執行の命令書にサインできなかったわけです。さすが産経は酷い。

 しかし、「最後」ではなかった。
 警視庁の後輩である小山金七もまた、名刑事の称号を得たからだ。
 数々の難事件を解決しながら、八兵衛が「3億円事件」に思いを残したように、金七もまた「警察庁長官銃撃事件」の捜査の最中、57歳の若さで世を去った。その金七を主人公にしたテレビドラマ『落としの金七事件簿』(注:テレビ朝日で放送)が、先週の土曜日の夜、放映された。

・既に指摘しましたが平塚は帝銀事件誤認逮捕という大罪を犯しました(もちろん彼の過ちを是正できなかった検察、裁判所の罪も重いですが)。しかも彼は死ぬまで、誤認逮捕を認めませんでした。そんな人間を手放しで「名刑事」と評価する気には私はなりません。
・ミステリーで「落としの何とか」というのは私個人は構わないと思います。しかし実録物で「落としの何とか」というのは本当に止めてほしい。産経といいテレ朝と言い、お前らには、自白を取るために過去、強引な捜査が行われ冤罪を産んできた事(志布志事件足利事件など)への反省はないのかと小一時間(以下略)。
・そもそも刑事捜査というのはチームプレイではないのでしょうか?。特定の人間を必要以上に「名刑事」と持ち上げることに意味があるとは私には思えません。「名刑事を批判できなくなる」「個人のスタンドプレーの原因になる」「その結果捜査がねじ曲がる」恐れがある点で、むしろ有害でしょう。3億円事件や警察庁長官狙撃事件を彼らが解決できなかったことは名刑事の限界をよく示していると思います。

 小紙社会部OBの小野義雄さんによる、同名のノンフィクション(産経新聞出版)が、もとになっている。警察取材の経験が長い小野さんによると、捜査の緻密さは2人に共通し、特に金七は、取調官としての能力がずば抜けていた。

・小山はともかく、帝銀事件誤認逮捕をやらかした平塚のどこが「緻密な捜査」なんでしょうか。

 ドラマの終わり近く、金七の病室のロッカーから、妻、シゲ子に贈るセリーヌのバッグが出てくる場面がある。金七がかつて「ロサンゼルス銃撃事件」の捜査のために海外出張したとき、妻に土産を買ってこなかったことを気に病んでいた、との設定だが、事実ではない。金七は、何も言わない奥さんの好みのブランドを知っていて買ってきた。気配りこそ、名刑事金七の最大の武器だった。

 その程度の気配りなら、名刑事でなくとも多少気の利いた人間ならするでしょう。抄子はアホかと。
 なお、ロサンゼルス銃撃事件での三浦氏起訴は、冤罪でしたがそれに対する産経の見解は?(嘲)
 それにしても小山が冤罪ロス事件に関わったのなら名刑事という産経の評価も怪しい物です。まあ、産経が怪しいのはいつものことですが(毒)

 「金七さんの遺志を継ぎたい」。ドラマの後、小野さんのもとには、数人の若い刑事からメールが届いている。

 テレビドラマなんて、虚構の産物で、どこまで事実か分からないのに何ともアホな若手刑事ですね(嘲)。見ず知らずの小山より身の回りの先輩に尊敬できる刑事はいないのかと小一時間(以下略)。

 金七を「最後の名刑事」にしてはならない。

 小山以外に名刑事は今、日本にいないとでも?。現職の刑事たちに大変失礼な話です。
 そう言う意味で私は「最後の明治生まれ」とか本当の最後は別ですが、「最後の何とか」という比喩はあまり好きではありません。