【産経抄】9月28日

・つい、先日、中国人船長釈放で菅内閣を叩いていたのにまた同じネタで叩き。好きだねえ(嘲)
・「司法の独立」「大津事件」がどうこう言っていますが、裁判所は内閣の下部組織ではないが、検察は下部組織であると言うことを無視してるのが片腹痛い。「司法の独立」(三権分立と言い換えてもいいでしょう)という場合の「司法」は裁判所であって検察は含まないから今回の問題は「違法かどうか」、「合法であったとしても適切かどうか」を論じる場合でも「司法の独立」とは何の関係もありません。例えば「警察に政治家が圧力かけて事件をもみ消した場合」や「税務署に政治家が圧力書けて脱税をもみ消した場合」は、「司法の独立」が侵害されたとは言いませんが、それと同じ事です。
・なお大津事件の場合、「罪刑法定主義」の問題もあることに注意。政府は日本皇室に対する殺人未遂規定(未遂でも死刑に出来る)をロシア皇太子殺人未遂にも類推適用させようとしますが、これを違法な解釈と批判したのが児島です。
・私個人は今回の件は適切かどうかはともかく違法ではないと思います。
・なお、この件で例を出すとしたら「東条英機が政敵中野正剛の逮捕を命じたが、国会議員の不逮捕特権を理由に拒否した当時の検察」とか「造船疑獄での指揮権発動」とかの方が妥当では?。ちなみに逮捕をあきらめた東条は憲兵隊を使って、家族や知人、友人など周囲の人間がどうなってもいいのかと脅し中野を自殺に追い込みます。いや、関係ない人間を人質に脅すとか「愛国者」東条のやり口は本当に汚いですね。ウィキペディア東条英機」にはこの種の東条のゲスい政敵潰し(真偽不明のものもあるが)が沢山乗っています。こんな奴を靖国に合祀したらそりゃ昭和天皇も怒るよ。よくネトウヨは東条合祀に賛成できるな。とりあえず東条だけは分祀しようぜ(毒)
・造船疑獄での指揮権発動では疑惑の政治家、佐藤栄作(当時幹事長、のちに首相)、池田勇人(当時政務調査会長、のちに首相)が罪をまぬかれます。自民党官僚派の彼らが逮捕されていれば、革新勢力や自民党党人派にとって有利な情勢が出現したでしょうが、官僚派の吉田首相はそれを力でつぶしたわけです。
・繰り返しになりますが、今回の件は、東条の件と違って明らかな違法とまでは言えないと思います。
・それと平賀書簡事件*1とか、青法協問題とか砂川事件判決前に田中耕太郎(当時の最高裁長官)*2アメリカと密談してたこととか、田中耕太郎の八海事件*3に関して述べた「雑音発言」*4とかどう考えますか、産経さん?
 これらについて左翼が「司法の独立」が侵害されたと批判したときはスルーした癖によく言うよ(毒)

今回の中国漁船衝突事件は、平成の「その場しのぎの男たち」が中国に屈した、最悪の外交の事例として、紹介されることだろう。

まあ、今回の釈放劇には疑問を感じますが産経の場合、落としどころを考えない強硬論の絶叫ですから論外です。
それと「最悪の外交の事例」というのは無謀な戦争に突入した戦前外交(産経は擁護したいようだが)こそがそれに該当すると思いますけどね。

*1:札幌地方裁判所所長・平賀健太が、長沼ナイキ事件審理中の裁判長・福島重雄に、訴訟判断の問題点について申立てを却下するよう示唆した「一先輩のアドバイス」と題する詳細なメモを渡した事件。

*2:弁護団は田中が日米安保を締結した吉田内閣で文相だったことから忌避請求したが不当にも認められなかった。

*3:冤罪事件、後に再審無罪

*4:冤罪という批判に対し下級審は雑音に惑わされるなと暴言を吐いた