今日のMSN産経ニュース(10/29分)

超党派議員が新法準備 離婚した父親にも子供会わせて
 子どもと会えないのは親権のない親であって父親に限らないのにこういうタイトルをつけるのが産経らしい。


■【主張】民主党企業献金 方針転換の説明を尽くせ
 方針転換は公約違反と批判しながら、自民への配慮から公約を守れとは言わないところが産経らしい。


■【正論】国学院大学教授・大原康男 発布から120年、教育勅語再考を
 これについて羽仁五郎歴史学者、一時、日本共産党参議院議員を務めた)の有名な伝説を紹介しましょう。このサイト以外にもこの伝説を紹介するサイトはあると思いますが、「羽仁五郎教育勅語」でググッたら一番最初に出て来たので。

http://zenkyoto68.tripod.com/kyoikucyokugo01.htm
彼(羽仁)がそれについて、ある高校で講演した際、「羽仁先生は教育勅語は非常に有害なものであったといわれるけれども、あれに書いてあることは、兄弟は仲良くしろ、父母は大事にしろ、夫婦は愛し合えということだし、少しも間違っていないじゃありませんか」という質問を、ある教師が寄せたという。これに対して、羽仁は、相手が数学の先生であったので、「それじゃあなたは『朕思うに三角形の内角の和は二直角である』というふうになってもいいんだね」と尋ねたという。「それはちょっと違う」と口ごもったところへ、羽仁は次のように答えたという。


「三角形の内角の和が二直角というのはたしかに正しい。しかし、その上に『朕思うに』がつくと問題は別になってしまう。『父母に孝に、夫婦相和し、朋友相信じ…』というのは、三角形の内角の和は二直角というのと同じようなものだ。そして、これらの道徳を守れと天皇が命令しているのだ。」(和仁廉夫『歴史教科書とナショナリズム*1


 教育勅語は、天皇(朕)が国民に対して「我が臣民」「なんじ臣民」「朕の忠良の臣民」などと臣民の語を繰り返し、天皇が一方的に命令する形式をとっている。天皇を神とし、国民はそれに仕える「臣民」に位置づけられ、「兄弟・夫婦は仲良くする」ことまで天皇が命じるものである。これは確かに、衆議院決議や羽仁五郎がいうように、国民の基本的人権を侵害し、主権在民の原則に反するものであろう。語られている「良いこと」にしても、文脈として、危急の際は天皇を助けるという目的へと結びつけられていることが問題である。また、男尊女卑の当時にあって「夫婦相和」すことがどのような負担を女性に強いるものであるかなど、社会的な文脈からも批判されねばならないだろう(高嶋伸欣教育勅語と学校教育:思想統制に果した役割』*2岩波ブックレット)。

 朕をスターリン同志や金正日将軍、ヒトラー総統などに書き換えれば、羽仁の言ってる意味はより分かりやすくなるでしょう。
 なお、教育基本法の制定より決議の方があとだから教育勅語教育基本法に反しないと書いていますがこれは端的に言って間違いです。
 決議は「失効確認決議」であって「廃止決議」ではありませんので。いつから失効したのかと言えば多分ポツダム宣言受諾からでしょう。

 
(参考)
 日夜困惑日記@望夢楼
教育勅語「国民道徳協会訳」の怪」(http://clio.seesaa.net/article/5199250.html
教育勅語「国民道徳協会訳」と明治神宮」(http://clio.seesaa.net/article/27349120.html
 明治神宮がサイトに掲載する教育勅語口語訳が「超訳」だと言う批判。要するに最近の若者にはどん引きされそうな皇室礼賛などを故意に「超訳」してるらしい。たとえば「朕」(天皇の自称)を注意書きもなしに「私」に、「皇祖皇宗」を「私たちの祖先(私たちといってもこの私たちは「皇室」である。これは「私たち=日本人」と誤読されかねない)」、「臣民」(家臣である民)を「国民」とするなんて無茶苦茶である。

*1:2001年、社会評論社

*2:1990年刊行