【産経抄】2月21日

「日本の作家の暮らしはどうかね」
「大変だよ」
「そりやまた、どうして?」
「何しろ税金がひどい」
「えつ!日本の連中はおとなしく税金を払ふのか?」
「それは払ふよ。あんたはどうしてるの?」
「払ふもんか」


ペルー出身で、昨年ノーベル文学賞を受賞したバルガス・リョサさんと、ある日本人作家がかわした会話だ。書き留めた丸谷才一さんは、仰天する。

 この日本人作家(丸谷氏では?)が超売れっ子で、この人にとって「売れない作家は作家でない」ことがわかります。
 「作家の暮らしはどうかね」って作家だってピンキリ。売れてる作家にとって税金は頭の痛い問題でしょうが、売れてない作家にとっては売れることが最大の問題です。税金で頭が痛いなんてことは売れてない作家には恐らくあり得ない。
 売れなきゃ仕事は来なくなるし、最悪「作家廃業」「貧乏生活しながら作家を続ける(生活保護を受けることや副業をすることも検討する)」ことになりますから。
 若い頃それなりに売れてた作家が、中年以降売れなくなるのが一番恐ろしいでしょうね。 「それなり」では印税生活でリタイアというわけにいかないでしょうし、といって作家を辞めて40代以降の再就職は困難です。

ペルーが抱える極端な経済格差の問題も、不公正な税制と無関係ではあるまい。

 作家の税金(と言うより売れっ子作家の税金、つまり高額所得者の所得税が高いと言うことでしょう)が高いのと不公正税制と何の関係もありません。少なくとも、そこだけ見れば「金持ち減税」よりずっと「公正」では?
 また不公正というなら日本だって金持ち減税でかなり不公正ですよ。その上マスコミは消費税増税を唱え不公正税制を後押しするし。経済格差だって日本は昔に比べて、新自由主義的経済政策で拡大の方向にあるのでは?、と言われています。

税務当局はもちろん、武富士の違法な取り立てや経営破綻で、多大な損害を被った人たちは、憤懣(ふんまん)やる方ない思いだろう。

id:pr3氏も「産経抄の脱税観」(http://d.hatena.ne.jp/pr3/20110221/1298301171)で突っ込んでいますが、サラ金規制に反対の論陣を張った、そしてサラ金の広告を載せていた産経がこういうこと言っても今ひとつ説得力がない。

たとえ税逃れが明らかであっても、厳密に法に照らせばやむを得ないというのが、最高裁の判断らしい。

 法律とはそう言うものです。
 「そうした税逃れを出来ないよう法改正する」「武富士にきちんと社会的責任を果たさせる」を今後やるしかないでしょう。

古代ギリシャの哲学者、ソクラテスは、「悪法も法なり」と言って、毒杯を仰いだとされる。その末裔(まつえい)の国が財政破綻を招いた一因も、富裕層の目に余る税逃れだった。

 だったらなぜ法人税減税を支持するんですか?。違法でなければ「税逃れ」していいとでも?