新刊紹介:「経済」6月号

「経済」6月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/

 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは6月号を読んでください)

■随想「ニュース価値・やんばるの森」(北田芳治)
(内容要約)
ヘリパッド問題について、まるで報じないマスゴミへの批判。
参考)
赤旗
「沖縄ヘリパッド工事批判 赤嶺衆院議員 副大臣、運用目的知らず 予算委分科会」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-02-27/2011022702_02_1.html
「米軍ヘリパッド反対を 沖縄県議会 玉城議員が代表質問」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-02-25/2011022515_03_1.html


■世界と日本
【ドイツの脱原発闘争(宮前忠夫)】
(内容要約)
ドイツの脱原発運動の紹介。筆者は労働運動研究家なので労組の運動にポイントが置かれている。
参考
赤旗
「「福島は警告」原発とめよ ドイツで21万人デモ」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-03-28/2011032807_01_1.html
「ドイツ州議選、脱原発 野党が躍進 緑の党、初の州首相か」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-03-29/2011032907_01_1.html
「独、原発からの転換模索 再生エネルギーを促進」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-13/2011041306_01_1.html
原発を早期廃止 ドイツ 政府と各州が合意」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-17/2011041701_03_1.html
東京新聞「ドイツ、原発早期全廃へ 福島事故で首相方針」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2011041702000028.html

【中国全人代と新5ヵ年計画(平井潤一)】
(内容要約)
格差是正、福利厚生充実(民生改善)が今回の5カ年計画のポイントである。
参考
赤旗「平均成長率7%目標に 5カ年計画 中国全人代始まる」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-03-06/2011030607_02_1.html
産経新聞「中国、全人代開幕 社会安定に向け民生改善を重視」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110305/chn11030511200002-n1.htm


■特集「東日本大震災原発事故」
【崩れた原発安全神話」(吉井英勝*1)】
(内容要約)
これについては吉井氏についての赤旗の記事紹介。
赤旗
電源喪失による最悪事態を警告、福島原発事故でメディア注目、吉井衆院議員 繰り返し追及」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-03-26/2011032601_03_1.html
「再建へ債務免除必要 被災中小企業 吉井氏が主張 衆院経産委」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-14/2011041402_03_1.html
経産相 “安全神話は全く失われた”「過酷事故」想定せず増設 吉井氏追及 原発政策改めよ」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-21/2011042102_04_1.html
放射線量測定強化へ 文科・経産省 吉井議員の指摘受け」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-24/2011042401_04_1.html
衆院予算委 原発事故問題 吉井議員の質問 備えなし 事故後も対策なし 政府と東電による「人災」」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-27/2011042704_01_1.html
原発事故 首相「政府答弁は誤り」 衆院委 「明確な人災」吉井氏追及」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-27/2011042701_02_1.html
「大津波くれば原発炉心損傷 経産省関連機関が指摘 昨年 吉井議員の警告裏付け」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-27/2011042701_04_1.html
福島原発「水棺」作業 強度・構造の問題ただす 吉井議員追及」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-28/2011042804_03_1.html
「外部電源喪失 地震が原因 吉井議員追及に保安院認める」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-30/2011043004_04_0.html


釜石市津波防災教育の教訓(片田敏孝)】
(内容要約)
うまくまとめられないのでいつものパターン、ググって見つかった関連記事の紹介。
参考
片田敏孝「小中学生の生存率99.8%は奇跡じゃない:「想定外」を生き抜く力」
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1312

北海道新聞「防災の教え、命救った 釜石「津波てんでんこ」生かす 小中学生、高台へ一目散」
http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/earthquake0327/124759.html
 津波地震発生後、いつ来るか分からない。教師の指示が遅れると、逃げ遅れることになる。釜石市内の小中学校は指示されなくても「とにかく早く、自分の判断でできるだけ高いところ」に逃げるよう指導してきた。
(中略)
 釜石市昭和三陸地震(1933年=昭和8年)やチリ地震(60年)などの津波で大きな被害を受けた。市内の各小中学校は津波を経験した高齢者の講演会などを開いたり、当時の映像を見せたりして津波の恐ろしさを教えてきた。釜石東中の場合、平均して週1時間を防災教育に充て、年3回避難訓練を行っている。
 市教委などによると、今回の震災で、釜石市内の小中学生2923人のうち、死者と行方不明者は5人。ほとんどが学校を休んでいた子供で、学校からの避難がほぼうまくいったことを裏付ける。
(中略)
 一方、釜石港沖には2009年、マグニチュード(M)8・5の地震を想定し、高さ約6メートル、全長約1・6キロの防波堤が建設された。耐震性を増すなど最新の技術が駆使されたが、10メートル以上とされる今回の津波であっけなく破壊された。
(中略)
 釜石市の幹部は「津波対策は防波堤の建設などのハード面と、津波の恐ろしさを啓発するなどのソフト面があるが、今回の震災でソフト面の大切さを痛感した」と話している。


津波てんでんこ〉
 岩手県大船渡市の津波災害史研究家山下文男さん*2(87)が、幼少時に父母が語っていた言葉を講演で紹介したことなどがきっかけで広がったとされる。
「てんでんこ」は「てんでんばらばらに」の意。もともとは自分だけでも高台に逃げろという考え方を示すが、現在の三陸地方では自分の命は自分の責任で守れという教訓として使われている。

 山下氏や片田教授が強調する「てんでんこ」の教えは一歩間違えると「イラクの例の自己責任論」(政府は悪くないよ、津波から逃げずに死んだ奴が悪い)と同じになるが正論だと思う。


【住宅復興の展望」(塩崎賢明*3)】
(内容要約)
・被災者のための住宅確保(仮設住宅の建設や、民間アパートの借り上げ等)が急務。
・被災者の多くは元々いた土地に住むことを望んでおり、住宅再建支援を充実させる必要がある。


【復興へ内部留保の活用】(小栗崇資)
(内容要約)
・震災復興のために企業による内部留保の自主的な活用が望まれる(ソフトバンクの孫先生を見習えよ!)。震災解雇などトンでもない話である。
・菅政権も、復興税を唱えるのなら消費税ではなく、メインは内部留保への課税とすべきである。恒久的課税でなく、震災復興目的の一時的な臨時課税とすれば、経団連の皆さんも「立派な紳士」だから、「国難のためには我慢する」であろう(皮肉)。


■「特集:農のいきづく日本へ(1)」
【TPP「開国」農政と農業再建の課題(田代洋一)】
(内容要約)
日本農業は過保護であるかのように言われるがそんな事はない。国際比較すると欧米各国は食糧安保の観点から日本以上に、農業に補助金を投入しているのである。農業の再建は難しいが、TPPのような単純な新自由主義万歳が農業崩壊を一層すすめることだけは確かであろう。

【農業脆弱化の深化か、構造再編の進展か 2010農林業センサスを読む(安藤光義)】
(内容要約)
・統計からは農家数の減少、農業従事者の高齢化という厳しい状況が読み取れる。


■「日本資本主義の長期停滞:投資の抑制と利潤の増大を中心に」(佐藤拓也
(内容要約)
・日本資本主義の特徴として「過剰生産能力と過小な国内需要」「その差を埋めるための海外輸出」ということが指摘できる。
不況克服のためにもそうした状況を変えていくことが必要である(賃金上昇による国内需要の増加など)。


■「不公正ファイナンス昭和ゴム事件:問われる証券市場規制の機能まひ」(野中郁江)
(内容要約)
・「新刊紹介:「経済」11月号(追記・訂正あり)」(http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20101008/1281158775)で紹介した「ファンドは事業会社に何をもたらすか:昭和ゴムの経営・職場を守る闘い」(北健一)の関連記事。
・2010年6月、金融庁証券取引等監視委員会昭和ゴムの親会社である投資ファンドAPFに対し、架空増資の疑いがあるとして強制捜査に乗り出した。APFは増資に当たって目論見書に、「ゴム事業のための投資」と記入していたが、その実態が認められなかったのである。
・APFは昭和ゴムを食い物にしているハゲタカファンドの疑いが濃厚であり、そうした疑惑のファンドが野放しになっていることは「証券市場規制の機能まひ」と言ってもいいのではないか。

参考)
昭和ゴム労組のブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/showa_rubber_rouso


■「ハノイ遷都千年 ベトナムを旅する」(鎌田隆)
(内容要約)
2010年に行われた日本ベトナム友好協会のハノイ訪問の報告。

*1:共産党衆議院議員。公式サイトhttp://www.441-h.com/。著書『原発抜き・地域再生の温暖化対策へ』(新日本出版社

*2:著書『津波の恐怖』(東北大学出版会)、『津波てんでんこ』(新日本出版社

*3:著書『住宅復興とコミュニティ』(日本経済評論社