【産経抄】6月19日

地政学的に重要な位置にあるベトナムは常に外国勢力の攻勢にさらされてきた。相手は米国だけでなく、隣国中国やフランスだった。

 地政学関係ないと思うが。フランスは植民地支配だし、米国は反共政策の一環(要するにベトナム共産国でなければ攻撃しなかった)だし。

中国との抗争の歴史は長い。13世紀末には日本への元寇のように、元の大軍が海から押し寄せた。このときは干潮時、海辺に杭(くい)を打つなどで元の船をうち破った。

 前近代の抗争と今の抗争を一緒にされてもねえ。しかも元時代は「モンゴル民族がトップ」で、チンギスハン時代から続く世界征服の一環だが。日蒙関係が問題ないからこうなるのであってモンゴルを反日認定したら「元寇でわが国を苦しめた反日国家」「ノモンハン事件で(以下略)」「日本軍兵士の抑留*1で(以下略)」と糞味噌にののしるのだろうが。

1979年の中越戦争では陸の国境での必死の戦いで中国軍をはねつけている。

 むしろ中国が惨敗したと思うが。そしてこの時の中国は文革色が強く、ベトナム攻撃も、「ベトナムは中国の敵・ソ連の仲間」「ベトナムが親中・ポルポト政権を転覆した」「だから報復する」というもので今の抗争とは同一視できる代物ではないが。

ベトナム戦争で米国をあれほど非難した日本の文化人や大方のマスコミが、中国へは一言も文句を言わないのである。

 ベトナムの政権転覆目的で行われ、多数の死者が出た侵略戦争と、領土紛争の小競り合いと同一視する抄子の方がおかしい。前者は非難しても後者は非難しないというのは充分あり得ることだろう。

*1:シベリアだけでなくモンゴルにも一部抑留された