新刊紹介:「前衛」11月号(追記・訂正あり)

「前衛」11月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/publish/teiki-zassi/zenei/zenei.html
 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは11月号を読んでください)


■「新しい政治局面と『しんぶん赤旗』の役割:「民自公翼賛体制」の危険、大震災・原発危機の下で」(小木曽陽司)
(内容要約)
 思いっきりはしょって俺流に説明すると、「原発批判がまともに出来ないマスゴミ*1と違ってウチ(赤旗)はきっちり原発批判するから応援よろしくね」「朝日、毎日は最近、反原発チックな態度取ってるけど、反原発デモに冷たいし、今ひとつ信用できないよね、やっぱ、ウチだよ、ウチ」って感じの話。


■「野田新政権と二大政党の行方」(上脇博之*2井上哲士
(内容要約)
・いろいろ批判してるわけだが、やはり特に強く批判されてるのは菅より後退したところだろう。
 米倉経団連会長が「菅と全然違う」と絶賛したとか、「脱原発と余り言わない」とか、鉢呂が失言したとか、前原がアメリカで武器輸出三原則見直し言うとか、「ノーサイド」と言って小沢の子分を幹事長や大臣にするとか。
 あと後退とは言えないかも知れないが、廃止したはずの事務次官会議を平然と復活させるとか。


■「被災地の医療再建に何が必要か」(梅津邦夫)
(内容要約)
被災地の医療再建をすすめるに当たっては、過去の自公政権の医療切り捨てについての一定の反省が必要だよねというお話。


■特集 原発ゼロの日本へ
自然エネルギーの現状と本格的導入への課題(佐藤洋)】
(内容要約)
・あれだけの事故がおきて原発なんか継続できないし、温暖化のことを考えたら、化石燃料もそんなには使えない。自然エネルギー(風力、地熱、太陽光など)の本格的導入が必要だ。原発補助金に使う金があるのなら、自然エネルギーに使おうというお話。


【政党は原発にどのような態度をとってきたか(小泉大介)】
(内容要約)
・【1950、60年代】
 政界において原発を推進したのは中曽根康弘(当時、科学技術庁長官。後に首相)と中曽根の盟友・正力松太郎(初代科学技術庁長官・原子力委員会委員長。読売グループのドン)であった。これについては有馬哲夫「原発・正力・CIA」(新潮新書)が詳しい。
・【1970年代以降】
 1970年代以降、原発を推進したのは田中角栄であった。田中は首相時代にいわゆる「電源三法」を成立させ、補助金をぶち込んで原発反対運動を黙らせるという手法を開発した。なお、田中内閣において通産相科学技術庁長官兼務)を務めたのが中曽根である。ちなみに、この電源三法と田中、中曽根の関係については俺の気づいた限りではid:kojitaken氏が「自立奪った電源三法」(朝日新聞)(http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20110817/1313540098)など、何度か自ブログで取り上げている。
 また田中は地元新潟に柏崎刈羽原発を誘致している。
 なお、柏崎刈羽原発については田中の利権疑惑に触れておく。

参考

http://ameblo.jp/warm-heart/entry-11020279316.html
<シリーズ 原発の深層>第1部 原発マネー8/田中邸に消えた5億
しんぶん赤旗」2011.09.11
 新潟県佐渡島を望む日本海沿いの砂丘地が、世界最大の東京電力柏崎刈羽原発へと変貌した背景について、地元では自民党政治家の“黒いうわさ”が語り継がれてきました。
■元県議の証言
 柏崎市(旧西山町)出身の田中角栄元首相の土地転がし疑惑です。本紙2001年1月15日付は、田中氏の後援会「越山会」幹部だった木村博保氏(元自民党県議)の証言で裏付けました。原発用地の売却資金5億円が、東京・目白の田中邸に運ばれ、1972年7月の自民党総裁選(俺注:田中が福田赳夫を破り総裁になった)に投入された事実を明らかにしました。
 柏崎に原発誘致を働きかけた人物として、田中氏が「深い交際」(『私の履歴書』66年)をした東電顧問の松根宗一氏がいます。地元紙は、松根氏が63年当時の柏崎市長・小林治助氏に誘致を勧めたと報じています。
 田中氏は、後に原発用地となる砂丘地約52万平方㍍を66年9月、「室町産業」名義で購入。同年10月、日本共産党が国会で、信濃川河川敷買い占めを追及、「室町産業」を幽霊企業だと暴露すると、田中氏は翌67年1月、登記「錯誤」として「室町産業」の名前を抹消し、木村氏名義に。71年10月、東電に用地を売却した際、土地の値段を決めたのも田中氏自身だったと木村氏は証言します。
ハコモノ次々
 田中氏は地元の講演で「(柏崎刈羽と巻の)二つの原発ができると新潟県は一大電力供給地となり、税収は豊かになるッ」と叫びました。人口9万人の柏崎市に電源3法交付金だけでも32年間で1133億円も注ぎこまれ、図書館、博物館、体育館やスポーツ施設が次々と造られました。
 日本共産党の持田繁義市議は(中略)言います。「原発を誘致した結果、ハコモノをつくれば仕事をしていると錯覚する人たちをつくりだしました。原発は、住民の団結、自治をお金で阻害している」 

シリーズ記事なら赤旗サイトに載せればいいのに(赤旗サイトを検索したがヒットしなかったので載せてないみたい)。善意の赤旗支持者の紹介があるから良かったけど。

http://www.niigata-nippo.co.jp/jyusyou/report/04_03.html
新潟日報2007年12月13日
新聞協会賞受賞・長期連載「揺らぐ安全神話柏崎刈羽原発
第3部 なぜ未開の砂丘地に
第3回 金脈疑惑「転売に室町産業絡む、追及恐れ一転、所有権白紙」
 「もう昔のことですから。今ごろどうこう言う話ではありませんよ」。12日午前。元首相田中角栄の側近で国家老と呼ばれた本間幸一(85)が1971年、柏崎刈羽原発の建設用地として東京電力に土地が売却された利益約4億円を東京・目白の田中邸に運んだことを認めた直後の言葉だ。
 原発建設をめぐる土地取引で生まれた資金が田中邸に届けられた経緯はどうだったのか。発端は、柏崎市刈羽村の両議会が原発誘致を決議した数年前にさかのぼる。
【登記抹消の真相】
 刈羽村長だった木村博保(79)が後に原発建設予定地になる砂丘地の一部約52ヘクタールを北越製紙から購入し、所有権を得たのは66年8月19日。土地の所有権はその後、半年ほどの間に2度入れ替わる。
 登記簿を見ると、木村が得た所有権は1カ月もたたない9月9日、田中のファミリー企業「室町産業」に移る。ところが、翌67年1月13日には、登記錯誤による抹消手続きが行われた。所有権は再び木村の元に戻った。
 それから40年目の今、木村は「東電進出の情報は発表前に流れていた。だが、もうけを狙った土地転がしではない」と強調、買収の目的に「村の農業構造改革」を挙げた。農家の経営規模拡大を図るため砂丘地を耕作地に変え、モモなどの栽培に充てる計画を立て「県の認可も得ていた」という。
 だが、木村は村の農業振興が目的としながら、買収には借金の上、私費を投じた。「(砂丘地に)北越製紙が持つ土地が他人に買われるという情報があり、緊急に買った。当時の村は前村長時代に生じた借金に追われ、公費は出せないので信用金庫で借金した」と説明。室町産業への売却は「借金の金利を計算したらとても持ちこたえられないので、田中先生に購入を頼んだ」とする。ではなぜ、抹消手続きを取ったのか。それは当時、自民党幹事長だった田中をめぐる野党の田中金脈追及の動きと重なる。木村から室町産業に所有権が移転した約1カ月後の10月20日共産党議員が国会で、室町産業が信濃川河川敷を買い占めたとする疑惑を追及したからだという。
 「次は原発の土地に関する話も出ると聞いた。先生に迷惑は掛けられなかった」。木村はその後、田中邸を訪ねて「土地を返してください」と錯誤による登記抹消を申し出た。田中をさらなる疑惑追及から守るためだった。
原発長者が躍進】
 木村は71年10月、東電に土地を売却。その直後、本間と2人で上京し、4億円を田中邸に運んだ。
 木村はその年、総所得4億5486万円で県内長者番付のトップに躍り出た。うち3億9495万円が原発用地を売った譲渡所得だった。坪単価では約2500円に膨らんでいた。2位にも“原発地主”が入った。
  69年の原発誘致決議は「地域開発促進に貢献するところは絶大」とうたう。東電が決議を受け柏崎、刈羽の2市村にまたがる砂丘地での建設計画を発表したのは同年9月18日。その3年前の66年ごろから砂丘地をめぐる売買が熱を帯びる。登記簿には、木村以外にも地元有力者のほか、建設会社、不動産業などの名前が登場する。関係者は「地位で知り得た情報で買う動きもあった」と憤りを隠さない。
 「不毛の地で何もしてみようがなかった」。柏崎商工会議所の前専務理事・内藤信寛(67)がこう振り返る砂丘地を「宝の山」に一変させた原発誘致。72年に首相に登り詰める田中の影を指摘する声は少なくない。


 こうした自民党の策謀にわが共産党は、力不足で、今回の福島事故を防げなかったが、全力で戦ってきたのであった。
 社会党も我が党とともに戦ってきたのだが、少なくとも1980年の「反共社公合意」による社公民路線以後は状況が変わってきた。オイルショックを口実に朝日が親原発に転向した(朝日の社論が社会党の路線にかなり影響を与えるのは日本の常識だろう)こともあり、社会党は反原発から距離を置くようになったのであった。
 こうした社会党の態度は、政権参加(細川政権、村山政権)によって寄り酷い物になり、支持者の非難を浴びるのであった。
 福島事故で最近態度を脱原発に変えた*3が、どれほど信用できるのか、今後の注意が必要であろう。
 野党時代から公然と自公民路線で、自民とつるんでいた公明党民社党原発万歳であることについては説明の必要すらないであろう。
 なお、聖教新聞が恥知らずにも「原発安全広告」を掲載した過去があることを指摘しておく。
・【福島事故以降】
脱原発を主張:社民、共産
未だに原発推進:自民
態度が不明確:他の党、と分類できるだろう。


原発における被爆労働と非正規労働者の「活用」(萬井隆令*4)】
(内容要約)
原発労働者の多くは非正規であり、原発は差別の上に成り立っているシステムである。こうしたシステムは継続すべきではない。


■「世界経済におけるBRICSの台頭と役割」(毛利良一*5
(内容要約)
BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)が最近力を強めており今後の展開が注目されるというお話。


■「国立大学の国家統制の進行と危機打開の方向」(山本高志)
(内容要約)
・現行の国立大学法人制度は大学の自主性を重んじるシステムとは言えず、改善の必要がある。

参考

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-05-24/2010052404_03_0.html
交付金削減 根拠なし、高橋氏 国立大「評価」を批判
 日本共産党の高橋ちづ子議員は21日の衆院厚生労働委員会で、国立大学法人に対する客観性の乏しい政府の「評価」が運営費交付金の額に反映されていることを批判しました。
 高橋氏は、各大学の取り組みを6年間で「評価」し、予算に差をつける「運営費交付金の評価反映分」の順位について、最下位の弘前大学青森県)から抗議文が出ていると指摘。各大学で独自に掲げている目標に対しての達成状況の評価を並べることには「まったく意味がない」と認めた鈴木寛文部科学副大臣に、「では、評価が係数化されて運営費交付金に結び付けられる根拠はどこにあるのか」とただしました。
 鈴木副大臣は、「各大学が2002年に決まったルールで走っている以上、決めた通りにする」などと答弁。高橋氏は、「前政権が決めたことを引き継ぐものだ。一部の強いもの(大学)だけがもっと強くなる構図は、小泉改革そのものだ」と見直しを求めました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-12-26/2010122602_01_1.html
国立大交付金、民主政権 2年連続減、公約違反「研究、教育危うく」
 2011年度予算案(24日に閣議決定)の文部科学省予算で、国立大学の基盤となる国立大学運営費交付金は、10年度比58億円(0・5%)減額の1兆1528億円とされました。同交付金は04年度の独立行政法人化以降、毎年約1%減、合計830億円がすでに削減されてきており、さらに追い打ちをかける削減です。「削減方針を見直す」とした民主党政権公約にも反しており、民主党政権下で2年連続の削減になります。


■特集 大震災後、都市防災をどうすすめるか
【首都直下型地震液状化、臨海コンビナートの危険性(濱田政則)】
(内容要約)
タイトルの「臨海コンビナートの危険性」というのは石油コンビナートの大規模火災の危険性のことである。
液状化などの問題に充分対策が取られている過去の機会にチェックしようというお話。

【東京:都市型スーパー災害を防ぐために(末延渥史)】
(内容要約)
筆者が対策としてあげているものを箇条書きにしてみる。
・地域防災計画の定期的見直し
・木造住宅密集地域の改善、解消
・住宅の耐震化
・東京一極集中の是正
・東京特有の問題への対処:具体的問題としては液状化帰宅困難者への対応


■論点
【「原発利益共同体」の解体へ天下り禁止を(山下唯志)】
(内容要約)
脱原発を推進するためにも、天下りの全面禁止に乗り出すべきである(ここで問題にあっているのはもちろん経産官僚による電力会社天下り)。


【横須賀米兵強盗殺人事件 目前に迫る控訴審判決(中村晋輔)】
(内容要約)
この件については先ず赤旗記事を紹介。現在、高裁に控訴したところであり、原告の請求が認められることを願ってやまない。在特会はこう言うのについてアメリカ大使館に抗議しろってんだよ。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-05-21/2009052115_01_1.html
強殺米兵に賠償命令、横須賀女性殺害 国の責任は認めず、横浜地裁
 神奈川県横須賀市で二〇〇六年、米空母キティホーク乗組員に殺害された佐藤好重(よしえ)さん=当時(56)=の夫・山崎正則さん(61)ら遺族が、米兵と国に損害賠償を求めた訴訟の判決が二十日、横浜地裁(水野邦夫裁判長)で言い渡されました。判決は、リース・ジュニア・ウィリアム・オリバー被告に対し、総額約六千五百七十三万円の賠償を命じましたが、国の責任は認めませんでした。
■公務外でも責任問う
 国側は、公務時間外の米兵犯罪は個人問題で、米軍と国に責任はないと主張してきました。しかし、公務時間外に職務の執行とは関係なく行われた場合であっても、監督権限の不行使が著しく合理性を欠くときは、国の賠償範囲を定めた「民事特別法一条等の適用上違法となり得る」との解釈を示しました。しかし、今回の事件では著しく合理性を欠くとまでは認められないとして、退けました。
 裁判所は判決の中で、本件のような不幸な出来事が繰り返されないよう「状況に応じた有効な監督措置を講じていくよう」在日米軍に苦言を呈し、判決を言い渡したあとにも裁判長が、「判決に込められたメッセージを関係各位に、十分理解を」と言い添えました。
 判決後の記者会見で、山崎さんは「国と米軍の責任が認められなかったのは悔しいが、たたかってきたことは評価されると思うと妻に報告したい」と語りました。
 弁護団は、控訴を視野に入れて対応を検討するとしています。
 判決を受け、原告団弁護団らは、防衛省、外務省、防衛省南関東防衛局に米兵犯罪の根絶を要請しました。
 事件は二〇〇六年一月、洋上での長期の演習・訓練を終えて横須賀に戻った被告が、夜通し酒をバーで飲み、強盗目的で通勤途上の好重さんを襲い、殺害。その残虐さは戦場で人を殺すことを教育された兵士特有のものでした。
■米軍・国は真剣な対策を、原告団など声明
 横須賀米兵強殺事件国家賠償訴訟原告団・同弁護団山崎正則さんを支援する会は二十日、米兵による強盗殺人事件に関する賠償請求にたいする横浜地方裁判所の判決について、次の声明を発表しました。


『裁判所は、米兵犯罪の特殊性を考慮した高額賠償を認める勝訴判決を出したが、米軍・国の責任は認めなかった。米兵犯罪は、政府の密室の措置により社会的に知らされずに「やみの中に葬られる」歴史をたどってきた。原告らは、泣き寝入りせずに、本訴を提起し、公開の法廷で事実を明らかにし、この判決を勝ち取ったものであり、米兵犯罪の根絶にとって、大きな前進である。
 判決は、公務時間外の米兵犯罪についても米軍の監督責任が発生しうること自体は認めたものの、本件については具体的な義務違反までは認められないとして、米軍・国の責任は認めなかった。結果的に、米軍・国が米兵犯罪について責任を問われることはないに等しい。これでは、米兵犯罪の続発を防止することは不可能に近い。
 一方で、判決は、米軍によってちゅうちょなく人を殺戮(さつりく)することができるように訓練された米兵による犯罪であることや、本件犯行が執拗(しつよう)かつ残忍なものとなっていること等を指摘し、高額の賠償を認めたもので、被害者が抱き続けている無念さや怒りを適切に評価したものである。
 米軍と国は、その責任の自覚の上に立って、今こそ、米兵犯罪を撲滅するための真剣な対策を行うべきである。』


■暮らしの焦点
【「効率化の徹底」で消費者の利益は守れるのか(堤文俊)】
(内容要約)
効率化を理由に「国民消費生活センター」を廃止し、消費者庁に一元化するという案についての批判。

参考

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-21/2011082102_05_0.html
主張「国民生活センター、消費者目線で「一元化」見直せ」

 東日本大震災の被災地では、「屋根修理で高額請求」「義援金目当ての投資話」など、新たな消費者被害が広がっています。世に悪徳商法の種は尽きません。
 各地の消費者センターなどに寄せられる消費者被害の相談は毎年100万件程度にのぼり、新手の巧妙な詐欺、深刻な製品事故も続いています。これへの対策を全国的ネットワークで進めてきた国民生活センター消費者庁に統合・一元化する動きがあります。消費者行政の強化どころか後退を招き、「消費者の利益を大きく損なう」と批判の声があがっています。

消費者庁の「暴走」
 「業界寄りで消費者目線を欠く」といわれてきた日本の行政は、2009年9月の消費者庁、消費者委員会発足で大きく変わると期待されました。初めて消費者問題を専門に扱う国の機関が誕生し、消費者行政の“司令塔”としての消費者庁、全省庁を“監督”する消費者委員会、消費者への情報提供や相談助言活動など機動的に動く国民生活センターの機能が強化され、消費者の権利が守られる社会への機運が高まるはずでした。
 それから2年。民主党政権は「事業仕分け」にもとづく昨年12月の閣議決定で、「効率化」のために国民生活センターの「廃止を含めた見直し」を決め、消費者庁と統合・一元化しようとしています。
 「効率化」といいますが、消費者庁国民生活センターは果たすべき役割や機能が違います。
 消費者被害への対応で、消費者庁はその業者を処分する強い権限を持つだけに厳密な法解釈で慎重な姿勢をとるのにたいし、国民生活センターは消費者の側に立ち、法を柔軟に解釈して解決の道を示し、被害拡大を防ぐために迅速に注意喚起をします。消費者庁への一元化は、国民生活センターの消費者の立場からの柔軟性や迅速性の機能を損ない、消費者被害が拡大することが心配されています。
 これは杞憂ではありません。電子たばこ、加圧スパッツなどの案件で、国民生活センターが国民からの相談にもとづき早期に注意喚起しようとしたのに対し、消費者庁がそれにストップをかける方向で圧力をかけたことが、消費者委員会で問題化しています。
 一元化には、消費者委員会が「慎重に検討を深める必要がある」と意見をあげているのに、消費者庁は手続きを強引にすすめようとしています。全国の13の消費者団体は連名で「消費者庁の『暴走』に強く抗議します」という声明を出しました。それでも細野豪志消費者担当大臣は、「8月の末という区切りで判断したい」と無責任な答弁をしています。
■白紙から議論尽くせ
 日本共産党は、消費者行政の抜本的拡充のため、消費者庁や消費者委員会の体制・人選を適切なものにし、国民生活センターの人員、予算も増額するよう求めてきました。一元化方針に対しては、大門実紀史参院議員が国会で、「白紙で一からじっくりみんなで考えるべきだ」と要求しています。
 消費者の利益を第一にし、消費者の納得と理解を得てこそ、日本にまともな消費者行政を根付かせるという大きな仕事は成功します。消費者庁への“一元化ありき”ですすめたこれまでのやり方を改め、じっくりと腰をすえた議論を尽くす努力をすべきです。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-22/2011082202_04_1.html
消費者行政後退のおそれ、国民生活センター一元化、大門議員 「白紙に戻し議論を」
 独立行政法人国民生活センター消費者庁への一元化は消費者行政の後退につながるおそれがあるとして、消費者団体が抗議の声をあげ、国会でも慎重な対応を求める声が出されています。改めて一元化問題をみてみると―。


 同センターは1970年に設立され、苦情・相談対応、各地の消費生活センターの支援、商品テストなどを実施してきました。一方、消費者庁は、消費者行政の基本的政策の企画・立案・推進を担うとして2009年に発足しました。その際、日本共産党は、規制緩和の名によるセンターの直接相談業務の廃止や商品テストの外部化などを批判。「規制緩和を根本的に見直し、消費者の権利や利益を守る立場に立つ」(吉井英勝議員)よう求めました。
■8月中に最終報告
 しかし、センターは10年に「事業仕分け」の対象になり、昨年12月に閣議決定で「廃止を含め検討する」とされました。消費者庁とセンターでつくるタスクフォース(作業班)が7月25日に出した「取りまとめ」は、「多くの事業で重複がある」などとして「一体性の確保」などを求めました。8月中に最終報告が出される予定です。
 一元化の問題点として消費者団体があげているのは、消費者庁が事業者名の公表に慎重すぎて、消費者への被害情報の発信が遅れる危険性です。存在しない会社の社債を使った勧誘被害では、センターが10年3月に事業者名を明らかにして注意を呼びかけたのに対し、消費者庁が事業者名を公表したのは同年10月でした。
 事業者の監督官庁と“事前調整”が行われる危険性も指摘されています。貴金属の買い取り商法被害では、センターが昨年12月、「特定商取引法の適用対象となり得るとの考え方もある」との考えを発表しようとしたのに対し、消費者庁警察庁と協議し、「触れることについては否定的だったので、ほとんど落とした」(7月1日消費者委員会、野々山宏センター理事長)として削除されました。
 「取りまとめ」に対し、消費者庁の監視・諮問機関である消費者委員会は、あっせんと各省庁の調整問題など「示した懸念は、あまり解消されていない」(8月5日)との意見を示しています。
■「暴走」に強く抗議
 センターの重要性については、消費者庁設置法が「さらなる整備を図る」と規定し、国会の付帯決議も消費者委員会の意見を十分尊重するよう求めています。消費者団体などでつくる全国消費者行政ウォッチねっとは7月27日、「消費者庁の『暴走』に強く抗議します」との声明を発表し、法律や国会の付帯決議、消費者委員会の意見を尊重するよう求めています。
 10日の参院消費者問題特別委員会では各党から「この夏決定するような拙速なことは絶対にやめていただきたい」「国会が消費者庁をつくったときの認識とずれている」などの意見が出されました。
 日本共産党大門実紀史議員は、法律や付帯決議にも反するやり方を批判し、「じっくり検討すべきだ。“一元化ありき”でなく、白紙に戻って一からちゃんと議論すべきだ」と指摘しました。細野豪志消費者担当相は「消費者委員会のご意見もしっかりうかがった上で判断をしたい」と答えました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-30/2011083004_02_1.html
国民生活センター、一元化の検討 大門議員批判
 参院消費者問題特別委員会の理事懇談会が26日行われ、消費者庁国民生活センターの一元化問題について、細野豪志消費者担当相から方針について説明を受け、各党が意見をのべました。
 日本共産党大門実紀史議員は、消費者庁および消費者委員会設置法の趣旨は、消費者庁とその監視機関である消費者委員会、国民生活センターそれぞれを充実強化することであり、廃止や一元化はまったく想定されていないと指摘。消費者委員会を除外して一元化を検討していることについては、参院の付帯決議で「消費者委員会の実質的な審議結果を踏まえた意見を十分に尊重せよ」としていることをあげ、「国会軽視も甚だしい」と批判しました。


■文化の話題
【映画:現代に問うヴェル・ディブ事件(児玉由紀恵)】
後で読むが「ヴェル・ディブ事件」でググったら見つかった映画「黄色い星の子供たち」が紹介されているのだろう。

参考
「黄色い星の子供たち」公式サイト(http://kiiroihoshi-movie.com/pc/

「黄色い星の子供たち」(ウィキペ参照)
 2010年に公開された、ナチス・ドイツの占領下にあったヴィシー政権時代のフランスを描くフランスの映画。
 1942年7月16日、ナチス占領下のフランスでユダヤ人約1万3000人がフランス警察に検挙されドイツの強制収容所に送られたヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件(ヴェル・ディヴ事件)をわずかに生き残った400人の証言を元に再現。
 この事件に対してフランス政府は1995年まで「ヴィシー政権はフランスではない」として一切責任を認めようとしなかった。
 ボシュ監督の夫の家族はユダヤ人であり、劇中のウェイスマン一家の近所に居住していた。また自らの父もスペインの独裁者フランコに拘束された経験を持つ。そのためボシュはヴェル・ディブ事件を描くことを決意、当時を知るジョセフ・ワイスマン、アネット・モノーに出会い証言を元に台本を書いた。
 主演にコメディアンのガッド・エルマレを抜擢。彼は完全に畑違いのシリアスな作品に一度は躊躇うものの台本を読み作品の奥深さに感動、出演を了承した。

【追記】
「黄色い星の子供たち」が紹介されてるという読みは正しかったが、それだけでなく「サラの鍵」という映画も紹介されていた。
「サラの鍵」の原作が新潮社から出てるので興味のある方はお読みになるといいだろう。
 いや、さすがフランスさんは立派ですね。日本で同じような映画を作ろうとしたらほぼ確実に珍右翼が自虐とか言い出す。しかもそう言う珍右翼に政治家や自称全国紙がいたりするから頭が痛い(まあ、フランスの珍右翼は自虐とか言ってるのだろうが)。

参考
「サラの鍵」公式サイト(http://www.sara.gaga.ne.jp/

「サラの鍵」Amazonレビュー
映画の日本公開もお願いします!!, 2011/3/2
By せぷたか
2010年に開催された東京国際映画祭で幾多もの作品の中から、栄えある観客賞を受賞したのを知り手に取りました。
フランスでユダヤ人を迫害する事件があったなんて、 この本を読むまで、まったく知りませんでした。
(中略)
日本で映画公開が決まれば、 そちらも絶対に観に行こうと思います。


【演劇:異色の舞台劇『キネマの天地』(関きよし)】
(内容要約)
映画「キネマの天地」*6井上ひさしが演劇化した物の紹介。ただし前衛やこまつ座サイトが紹介する演劇版の筋は映画版*7とはかなり違う(一応俺は映画はテレビで見てるのであらすじは分かる。日本の名優・渥美清先生の泣かせる名演技に号泣ですよ)。

参考
こまつ座
http://www.komatsuza.co.jp/contents/performance/


■メディア時評
【新聞:野田内閣誕生をどう報じたか(金光奎)】
(内容要約)
・どんだけ全国紙は野田万歳すれば気が済むんだよ。それに比べて地方紙はまだまともだ。
・大体、野田は原発問題で菅より後退してるのに何で朝日は「後は実行あるのみだ」(社説の締めの言葉)とまで野田を評価できるんだ?。ああ脱原発はやっぱり口から出任せだった訳ね?


【テレビ:「検証報告書」と検証番組の問題点(沢木啓三)】
(内容要約)
・誰が何を番組で検証したかというと東海テレビが例のセシウムさんを何故起こったか検証。再発防止策があいまいだったことが沢木氏の言う「問題点」である。
・一方、沢木氏は東海テレビが光市事件の弁護団に密着取材した「光と影」など数々の良質の番組を送り出していることにも触れ、東海テレビのそうした点はこの事件に関係なく評価すべきであろうとしている。

*1:産経や読売にいたっては、東電の機関誌かと言いたくなる、批判云々以前の酷さだが

*2:著書『政党助成法の憲法問題』(1999年、日本評論社)、『ゼロからわかる政治とカネ』(2010年、日本機関紙出版センター)、『議員定数を削減していいの?』(2011年、日本機関紙出版センター)

*3:まあ、変えない自民や自民とつるんでるらしい公明やたちあがれや、みんな、民主党内小沢一派よりはマシだが

*4:著書『労働契約締結の法理』(1997年、有斐閣

*5:著書『国際債務危機の経済学』(1988年、東洋経済新報社)、『グローバリゼーションとIMF世界銀行』(2001年、大月書店)、『アメリカ金融覇権終りの始まり―グローバル経済危機の検証』(2010年、新日本出版社

*6:有森也実が主役を演じ一躍有名になった作品ですな、まあ最近の若者は知らないんだろうけどね、ははは(乾いた笑い)

*7:ウィキペ「キネマの天地」で映画版のあらすじはある程度分かる