【産経抄】12月25日

 何でも嫉妬で片付けるなとしか言いようのない文章。意見が違えば対立して、その結果、一方が政治的に敗北するなんて歴史上、珍しくないでしょうに。抄子はたとえば征韓論も政策的な争いではなく「西郷ら征韓派(非洋行組)への大久保ら非征韓派(洋行組)の嫉妬」で片付ける気なんでしょうか。もちろん征韓論という名前で分かるようにそういうゲスな理解をしてる人はまともな学者では一人もいないわけですが。

「秀才」軍人の東条英機が「天才」戦略家、石原莞爾を要職から追放したのも、恐らく嫉妬による。

 ウィキペ「石原莞爾」にも書いてありますが対立のきっかけはトラウトマン和平工作ですよ。嫉妬じゃない。
 関東軍参謀長の東条はいわゆる戦争拡大派だったが、参謀本部作戦部長・石原は不拡大派で和平工作をしていました。結局この工作は失敗に終わりますが。
 その後、上司となった東条のことを自分と意見が違うからと言って「東條上等兵」呼ばわりしてたらそりゃ追放されるでしょ。部下がそんな態度じゃ規律が保てない。
ちなみに話がずれますがトラウトマン和平工作では
『工作をすすめようとする多田駿参謀本部次長に対し、米内光政海軍大臣大本営政府連絡会議で、「内閣総辞職になるぞ!」と恫喝して黙らせた』(ウィキペ参照)と言うことで知られるように、この件では海軍は結構「行け行けどんどん」だったわけです。
 対英米戦反対とか、日独伊三国同盟反対とかで米内を評価する人は無視しがちな話ではあるんですが。

中止時点で総事業費の7割が投入されていた。

だから中止するなという抄子。
この辺り、俺より詳しい人に突っ込んで欲しいと思いますが確か本体工事には着工してなかったと思いますが。
総事業費というのも予定額に過ぎないのでこれからどんどんふくれあがる可能性があります。7割というのは現時点での見込みで最終的な総額なんか誰にも分からない。予算額全部つぎ込んだけどダムが出来ませんでした、そのまま放置しますというわけにはいかないんですから。
 中止は充分意味があると思いますが。