今日のMSN産経ニュース(12/25分)

金正日時代と拉致(上)権力闘争の道具だった
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111224/kor11122407150005-n1.htm

俺はこの問題の専門家ではありませんし、すべてがデマだ、間違いだと言う気もないですが相当怪しい文章が多いなと思います。で、俺に突っ込める範囲で突っ込んでみましょう。本当は韓国・北朝鮮ウオッチのプロフェッショナルが突っ込むべきだと思いますが。

96年、申氏は金総書記の対南工作をまとめた本を韓国で出版した。彼が突然死したのは2年後のことだ。

こういう思わせぶりな文章を全国紙が書くのはどうなんでしょうか。突然死なんてどうとでも理解できるあいまいな言葉を使わずに他殺なら他殺とはっきり書くべきだし、病死の疑いが強いなら、そもそも死亡の事実を書くべきではないでしょう。

労働党統一戦線部の元幹部、張哲賢氏が、産経新聞に外国人拉致の実態について証言した。

 「外国の男性を拉致し、北朝鮮の女性を与える。外国人のタネを植えれば、見かけは欧米人の子供が生まれる。どこにでも潜りこませられる現地化の方法として考案された」

そんな話は俺は初耳ですがガセでないという確かな証拠があるんでしょうか。
そしてどこででもって「それが通用するのは欧米社会」でしょ?。日本とか欧米人の少ない社会に欧米人が居たらかえって目立つと思いますが。

しかし問題があった。「外国人の子供の場合、海外に出すと忠誠心が保てなかった」のだ。

だから「そう言う拉致は結局ほとんどやらなかったんだよ」と言う言い訳ですか?。そもそもそんな拉致は最初からなかったんじゃねえの?
「女性を『産む機械』(←柳沢*1厚労相の迷言)扱いする酷い国なんです」ってネガキャンしてるだけじゃないの?

それでは、と、外国人の子供を拉致し、北朝鮮で育てて忠誠心を持たせる「子供拉致」も考え出されたという。

そんな話は俺は初耳ですが(以下略)
それ、どこのアルゼンチン軍事政権ですか?(つうかアルゼンチンとかをネタにでっち上げたんじゃないの?)

参考

http://mainichi.jp/select/world/archive/news/2011/11/28/20111128ddm012030065000c.html
毎日新聞「アルゼンチン:軍政下の左翼狩り 「奪われた赤ん坊」出自判明で苦悩」
 南米アルゼンチンの軍政(1976〜83年)下、軍が反体制派とみなした市民を拉致する出来事があった。その数は推定3万人。多くが殺害されたとみられる。母親と一緒に拉致された乳児や収容所で産まれた赤ん坊は軍人家庭に引き取られ、出自を知らされないまま成長した。近年、近隣住民の通報などで捜査が始まり、DNA鑑定で「奪われた赤ん坊」と判明する事例が増えている。【ブエノスアイレス:國枝すみれ】

(前略)
 軍事政権はイデオロギーの違う左派の親を殺して乳児を奪い、右派の家庭で育てる「思想矯正」を試みた。拉致した女性が妊婦の場合、出産までは殺害しなかった。5000人を収容した海軍工兵学校には妊婦部屋が二つあり、妊娠7カ月を過ぎると集められ、出産した。全国で約500人の赤ん坊が、子供を望む軍人や警察官に引き取られた。
(中略)
 赤ん坊を取り戻す活動の中心は、行方不明者の家族が設立した人権団体「5月広場の祖母たち」だ。97年からキャンペーン「自分が誰だか知っていますか?」を始め、30代前半の若者に「出自に疑いを持っているなら連絡を」と呼びかけてきた。
 政府もこうした要求を受け、92年にアイデンティティー権利委員会を設立した。検察官が身元調査に協力し、希望者は無料でDNA鑑定を受けることができる。また、97年に養子縁組法を改正し、養子に本当の親の情報を開示することを義務づけた。
 今年10月までに「奪われた赤ん坊」の105人が本来のアイデンティティーを取り戻した。だが、出自判明で問題が解決するわけではない。養父母に対して訴訟を起こす者がいたり、逆に「本当の家族」との対面を拒否する者もいる。
(中略)
 政府が軍政下の人権侵害について調査を始めたのは83年の民政復帰後だ。だが歴代政権は一般軍人の責任追及に及び腰だった。軍のクーデターを恐れたからだ。左派のキルチネル政権が05年にやっと拉致事件の訴追を本格化させ、今年10月までに、収容所での拷問や殺害に関与した軍人約250人が殺人罪などで有罪判決を受けた。


◇軍政下の左翼狩り
 アルゼンチン、チリ、ブラジルなど南米6カ国の右派軍部は75年、連携してマルクス主義者を掃滅することに合意し、拉致や暗殺を含む「コンドル作戦」に着手した。アルゼンチン軍政は76年に左翼狩りを始め、確認されただけで1万1000人、推計3万人が拉致された。多くは収容所で拷問された後、睡眠剤を注射され、軍用機から河川や海に投げ込まれ、葬られた。


金正日時代と拉致(中)「人材必要なら連れて来い」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111225/kor11122507520003-n1.htm
(上)の続き。

北朝鮮は臆面もなく公式文書(「金日成全集」)に、金日成の言葉として拉北の命令を載せている。
 「南朝鮮のインテリを連れてくるための措置を取るように」(46年7月31日)

さすがに全集に「拉致しろ」なんて言葉は載せないだろ。この辺り、専門家が詳しいだろうが常識で考えて、全集の言葉は「合法的な手段で」に決まってるだろ。

北朝鮮による人間調達である「拉致」は、建国以来の国家犯罪だったのだ。

 (上)では「拉致は金正日の命令で1970年代から始まった」って書いてたのに「建国以来」ですか?。産経らしい論理一貫性のなさ。しかも「朝鮮戦争での捕虜」や「帰国事業での帰国者」まで拉致扱いしてるんだから頭が痛い。何でもかんでも拉致扱いするなよ。


金正日時代と拉致(下)「核兵器は人間で実験しろ」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111226/kor11122608530007-n1.htm
 ブクマもつけたが怪し過ぎるタイトルでおなかいっぱい。こんな酷い怪文書まがいのタイトルを良くつけられる物だ。しかも確たる物的証拠があるわけではなく、脱北者証言しかないというのだから恐れ入る。日本の戦争犯罪では「被害者証言だけでは信用できない」とほざく連中がいい度胸だ。
 その上、その証人も現在所在不明というのだから話にならない。

平壌で外国人専用のホテルといえば、高麗ホテルである。ここで宿泊客たちは北朝鮮の一般住民が口にできないような料理を食べ、外貨を落とす。この何げない行為を、政治犯収容所という北朝鮮の闇の世界が支えていると言われてもだれもピンとこないだろう。
(中略)
「管理所がなければ、北を訪れる外国人の食べる肉も野菜も酒もない。管理所は豚肉、すももなどの果物を平壌の『高麗ホテル』に上納していた。マツタケも採った。」

ま、そういうことにして北朝鮮旅行に行ってるid:Elekt_ra氏のような人物が、良心のとがめを感じて旅行を止めればめっけもの、それが無理でも、旅行者に「人でなし!」と言うレッテルが貼れれば万々歳と言うことなのだろう。
 怪しすぎて信用する気にならないし、それが事実だとしても「むしろそのおかげで管理所とやらが潰されずに、飯が食える」ような気がするのだが。管理所とやらは、それとは別に労働場所がなければ「管理所が潰れる=そこの人が死んじゃう」と同義ではないのか?
そしてこういうことを言ったらどこも観光旅行できなくなる気がするけれどな(特に海外、特に民主主義や人権の面で問題の多い発展途上国は)。日本国内だって「この旅館はブラック企業ではないだろうか?」とかチェックしなきゃいけないのか?
前も書いたけどこの理屈だとムバラク独裁時代にエジプト観光(ピラミッドとか)した日本人は悪人って事にならないか?
「そうです、悪人です」と産経が言うなら筋は一応とおってるが。

政治犯収容」も、北朝鮮当局による自国民の「拉致」行為といえるだろう。

 斬新な日本語の使用法だな。その理屈だとたとえばミャンマーなんかも拉致国家か?
 ちなみにこの記事の関連ニュースとして
「性病の人体実験で83人が死亡 グアテマラで米科学者ら」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110830/amr11083014190008-n1.htm
というのが紹介されています。こちらは共同配信だし、オバマ大統領がグアテマラに謝罪してるので間違いなく事実のようですが。

*1:小渕内閣金融再生委員長、森、小泉内閣金融再生担当相、第1次安倍内閣厚労相を歴任