今日のMSN産経ニュース(3/2分)(追記・訂正あり)

■【正論】日本大学教授・百地章 男系重視と矛盾する「女性宮家
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120302/imp12030203170001-n1.htm
 女帝を採用するぐらいなら、旧皇族復帰だと叫ぶ産経。旧皇族なんて一般人を復帰させたところで国民に「敬愛の思い」が生じるか疑問ですし、旧皇族も復帰したがるか疑問です。復帰させることがいいかも疑問だし(例の竹田某さんの復帰は勘弁してほしい)
 そこまで女帝を嫌う理由が理解できませんが。

野田佳彦首相は「古来、皇位継承が男系で続いてきたことの歴史的な重みをしっかり受け止める」と答弁した。

いわゆる「典型的な官僚答弁」(「善処する、検討する」など)にしか見えませんが。一言も「女帝は考えていません」とは言ってない。

従来の政府見解は、憲法第2条にいう「皇位世襲」は「男系継承を意味する」というものであり、これは憲法制定議会からの一貫した解釈であった。にもかかわらず、平成13年、突然、政府見解を逸脱し、「男系でも女系でも構わない」と述べたのが、福田康夫官房長官である(拙稿「『皇位継承』の憲法解釈と『女系天皇』への疑問」『別冊正論』14号)。

 政府見解が従来そうだったとは知りませんでしたが、日本語の普通の解釈では「世襲」は「血のつながりで受け継いでいくこと」と言う意味でしかありませんから、「男系でも女系でも構わない」という福田氏の解釈の方が自然です。福田氏のような解釈でないと、皇室典範改正しただけではだめで改憲しないと女帝容認の制度にできないという不都合もありますし(その方が女帝反対の産経はうれしいのでしょうが)。
 しかし、一般論で言えば「政府見解の変更」それ自体は必ずしも悪いことではないのに「逸脱」呼ばわりねえ。
 これが「集団的自衛権の容認」のような自分にとって望ましい「政府見解変更」なら産経は逸脱どころか「正常化」と言って喜ぶんでしょうから本当にご都合主義です。

女性宮家」については、「陛下のご意向なしに、長官が発言するはずがない」との説もある。しかしこれは「臆測」にすぎず、朝日新聞の岩井克己記者によれば、羽毛田長官は「女性宮家の創設が陛下のご意向」であることを強く否定しているという(週刊朝日平成23年12月30日号)。

 そりゃ「陛下の意向です」なんて言ったら、憲法違反行為(天皇・皇族は政治的行為をしてはならない)に該当する恐れがあるし、今上が「女性宮家」反対派に糞味噌に罵倒される危険性があるからですよ(過去にいわゆる「大内糾事件」が起こってますからね)。少なくとも今上は「猛烈な反対」はしていないでしょうよ。猛烈に反対してるのに長官が公言するというのはちょっと考えがたいですからね。

長官は女系天皇推進派といわれ、以前、男系維持のお考えを述べられた寛仁親王殿下に対して「皇族は発言なさるべきでない」との言を吐いた人物である。

だって当事者(最大の当事者は今上一家でしょう)じゃないし、憲法違反行為(天皇・皇族は政治的行為をしてはならない)の疑いがあるし。

内閣官房参与に任ぜられた園部逸夫最高裁判事も女系容認論者であり、『皇室法概論』の中で「世襲は男系でも女系でも構わない」と主張している。

世襲は男系でも女系でも構わない」ってのは「憲法条文の『世襲』と言う言葉はそう解釈するのが妥当である」という法解釈の問題でしょうに。
憲法条文の『世襲』と言う言葉はそう解釈するのが妥当である」は「だから皇室典範を改正して女帝を認めよう」とイコールではないんですが。

政府は、「私や皇太子の意見も」と述べられた秋篠宮殿下からさえお考えを聞こうとしない。*1

どうせ「秋篠宮は男系支持と言うに決まってる、悠仁さんを天皇にしたいはずだ」という考えからそういってるだけでしょ、産経は。
俺が秋篠宮だったら「男系支持」なんて言ったら「そこまでして息子を天皇にしたいか、愛子さんが天皇になるのがそんなに嫌か」と言われかねないし、かといって「女系でもいい」と言ってウヨに罵倒されたくもないので何も言いませんが。「あの人(秋篠宮)がああいったからそうした」なんて政府に責任転嫁されてもたまりませんから。


【追記その1】
 ふと百地先生ってどんな著書があるんだろうと思った俺。ググってみる。それが以下の通り。
憲法政教分離』(1991年、成文堂)
政教分離とは何か』(1997年、成文堂)
靖国憲法』(2003年、成文堂)
憲法の常識・常識の憲法』(2005年、文春新書)
『日本人なら知っておきたい靖國問題』(共著、2007年、青林堂
『いま、教育の大転換が始まる!―新教育基本法と教育の再生』(共著、2007年、明成社
『卒業式・入学式 学校現場での国旗・国歌の指導は当然―国際的礼儀学ぶ権利踏み躙る「東京地裁判決」』(共著、2007年、明成社
『「人権擁護法」と言論の危機』(2008年、明成社
憲法と日本の再生』(2009年、成文堂)
『新版 外国人の参政権問題Q&A―地方参政権付与も憲法違反』(2009年、明成社


 靖国問題ばっかじゃん(苦笑)。靖国以外も右翼な代物ばっか。
しかも「産経文化人」「日本会議政策委員」「国家基本問題研究所客員研究員」というプロ右翼ぶりと、著書タイトル(「新教育基本法」「日本の再生」「人権擁護法」とか)からの予想から読まなくても内容の予想がつくというのが何とも(笑い)
 それとこんなに百地先生と親しいなんて成文堂って右翼傾向の出版社だったっけ?。明成社は明らかに右翼系列だけどね。


【追記その2】
■【安保法制】日本大の百地章教授「9条に集団的自衛権禁ずる明文規定ない」
http://www.sankei.com/politics/news/150620/plt1506200005-n1.html
・「9条は明文で集団的自衛権を禁止してないから集団的自衛権は合憲、従来の政府見解など関係ない」と強弁する百地が一方で女帝については

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120302/imp12030203170001-n1.htm
 従来の政府見解は、憲法第2条にいう「皇位世襲」は「男系継承を意味する」というものであり、これは憲法制定議会からの一貫した解釈であった。にもかかわらず、平成13年、突然、政府見解を逸脱し、「男系でも女系でも構わない」と述べたのが、福田康夫官房長官である

として「従来の政府見解は『憲法2条の世襲は男系世襲』なんだ、それなのに福田の野郎、勝手に政府見解を変えるな」「女系世襲違憲と解釈すべきなんだ、皇室典範改正だけじゃ女系世襲はできない」てどんだけでたらめなんですかね。
 世襲て言葉それ自体には「男系だの女系だの」て意味は全くなくてただ「血縁でつなげる」て意味しかないんですが。つうか「俺は男系世襲しか認めない」なんていったらかえって皇室が衰退しますよ。旧皇族復帰なんて現実的じゃねえし。

*1:そもそも彼らの意見を聞くことは憲法違反(天皇・皇族は政治的行為をしてはならない)の疑いがあるのですが?