新刊紹介:「前衛」4月号

「前衛」4月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat167/
 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは4月号を読んでください)

■「消費税増税ストップ! 社会保障充実・財政危機打開の財源提案:「財界いいなり政治」から抜け出せば、展望が開ける」(小池晃*1
(内容要約)
『消費税大増税ストップ!社会保障充実、財政危機打開の提言』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-02-08/2012020803_01_0.html)の詳しい説明。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-02-08/2012020803_01_0.html
 いますすめられている消費税大増税計画には三つの大問題があります。
 第一に、ムダづかいを続けたままの、大増税だということです。
 中止を公約した八ツ場(やんば)ダムや「1メートル1億円」の東京外郭環状道路などムダな大型開発を次々と復活させ、重大な欠陥が指摘され完成してもいないF35を次期戦闘機として買い入れるために総額1.6兆円も費やし、320億円にのぼる政党助成金は受け取り続け、その一方で、富裕層や大企業には、年間1.7兆円もの新たな減税です。こういうムダづかいを続けながらの大増税など許せるものではありません。
 第二は、社会保障切り捨てと一体の大増税だということです。 
 老齢年金、障害年金の給付削減などを皮切りに、年金の支給開始を68〜70歳に先延ばしする、医療費の窓口負担を増やす、保育への公的責任を投げ捨てる「子ども・子育て新システム」を導入するなど、社会保障のあらゆる分野で、高齢者にも、現役世代にも、子どもにも、負担増と給付削減という連続改悪をすすめる計画です。「社会保障と税の一体改革」といいますが、「一体改悪」がその正体です。
 第三は、日本経済をどん底に突き落とし、財政破たんもいっそうひどくするということです。 
 1997年に、橋本内閣のもとで強行された消費税の5%への増税と医療費値上げなど総額9兆円の負担増は、当時、回復の途上にあった景気をどん底に突き落とし、その結果、財政破たんもいっそうひどくしました。税収の落ち込みと「景気対策」のための財政支出で、国と地方の長期債務はわずか4年間で200兆円も増える結果となったのです。


■特集「貧困と格差をなくし、人間らしい雇用のルールを」
【座談会『「国際競争力強化」を口実にした新たなリストラ・非正規切りに国民的反撃を』(生熊茂実/鷲見賢一郎/高根孝昭/仁比聡平)】
【暴走する財界の雇用戦略の矛盾(牧野富夫*2)】
【欧州の「社会的ルール」づくりと労働者のたたかい(筒井晴彦*3)】
(内容要約)
 座談会と、牧野論文は「日本の現状に対する批判」であり、筒井論文は「欧州の社会的ルール」の説明である。「欧州はバラ色」というわけではないが「欧州と比べ、労働者の権利保護法制が貧弱な現状」には「法制度充実の必要性」を感じざるを得ない。



■特集「大震災・原発災害の現場から」
原発ゼロへ国のありようを問い、いま、福島で生きる(根本敬)】
(内容要約)
原発被害の賠償、がれき処理など「福島県民が福島で生活できるための基盤作り」をすすめる必要がある。これを機に「脱原発の方向性」を目指すことは当然であろう。


【地域の安心生活拠点としてスピードある復旧こそ:高齢者、高齢者福祉(介護)施設の現状と課題(小野ともみ)】
(内容要約)
・被災地の高齢者福祉の現状は厳しい状況にある。国による地元支援が求められている。


■特集「若者の現在[下]」
【給付型奨学金実現はまったなしの課題:高学費・奨学金問題と学生の学ぶ権利保障のいま(宮本岳志)】
(内容要約)
赤旗記事の紹介で代替する。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-02-22/2012022202_01_1.html
教育無償化は世界の流れ、給付制奨学金の実現を、衆院委 宮本議員が主張
 日本共産党宮本岳志議員は21日の衆院予算委員会で、「無償で教育を受ける権利を保障するのが世界の常識となっている」と述べ、返済の必要のない給付制奨学金をただちに実現するよう求めました。無償化へと向かう世界の流れからも大きく立ち遅れている日本政府の姿勢が浮き彫りになりました。
 宮本氏は、玄葉光一郎*4外相が国際人権規約に定められた中等・高等教育の「漸進的無償化条項」の留保撤回を表明(9日の衆院予算委員会)したことについてただしました。1979年に条約を批准して以来、同条項を留保しているのは日本とマダガスカルだけとなっていました。


 宮本
 『非常に大事な決断だ。撤回することにした理由は何か。』
 玄葉外相
 『高校の授業料無償化が大きな弾みとなり、大学生への奨学金の予算が拡充傾向にあることから撤回すべきと判断した。』


 宮本氏は、無償教育導入の努力を進めていくことが国際公約になると指摘。玄葉外相は「いったん撤回したら、取り消すなどできない」と認めました。
 宮本氏は、OECD経済協力開発機構)加盟30カ国中「授業料が有料で給付制奨学金がない」のは日本だけだと国会図書館調査資料で提示。文科省が概算要求で給付制奨学金を求めながら、予算計上をなぜ見送ったのかとただしました。


 宮本
 『学業をあきらめざるをえない若者を見捨てるのか。』
 安住淳*5財務相
 『「所得連動返済型奨学金」を導入した。返済してもらった方が貸与にまわる。』
 平野博文*6文科相
 『(所得連動返済型創設で)一歩前進、二歩前進として対応している。』
 宮本
 『学生の厳しい実態がわかっているのか。月額10万円を4年借りれば利子も含め650万円も返済が必要だ。』


 所得連動返済型奨学金とは、年収300万円以下世帯の学生を対象とした奨学金です。
 宮本氏は、イギリスが給付制を廃止して所得連動返済型を導入したものの、教育が保障されず給付制を復活させたことを紹介し、「給付制の代わりにはならない」と強調。被災した宮城の学生から「1年休学して学費と生活費をためている。学業に打ち込めるよう給付制を実現してほしい」との声があがっていることをあげてただしました。


 宮本
 『子どもや若者に奨学金と名付けて金を貸し、利子まで背負わせる。これで救われると思うのか。』
 平野文科相
 『経済的な困窮で学ぶ機会が失われないように努力しなければならない。』


 平野文科相が、給付制奨学金の導入に努力したいと表明したのに対して宮本氏は、必要な予算は高校生向けで102億円、大学生向けで147億円であることを指摘。米軍への「思いやり予算」のわずか7分の1、政党助成金320億円にも及ばないと述べ、予算を修正し、給付制奨学金を実現するよう強く求めました。

 全く民主党は五輪招致とか馬鹿なことに使う金があったらこのくらいのことはやってみろよと小一時間(以下略)。


【大震災を経て青年団のいま 役割と課題(田中潮)】
(内容要約)
日本青年団協議会事務局長の田中氏に青年団活動の現状と課題についてインタビュー。

参考
「桜ライン311運動」(陸前高田市津波到達点上に桜を植樹し、 震災を後世に伝える為のプロジェクト。陸前高田市青年団協議会が協力)
http://sakura-line311.org/


■「東アジアの地域共同の発展とオバマ政権の新戦略」(森原公敏*7
(内容要約)
オバマ政権の中国戦略を「中国封じ込め(特に軍事力による封じ込め)」とみなすべきではない、そのようなことはできるものでもなければすべきでもないというのが筆者の結論のようだ。



■「憲法の眼で3・11後の現在(いま)を診る」(森英樹*8
(内容要約)
憲法の観点から」震災復興をどう成し遂げていくかが今問われている(要するに被災者の生存権を保証すると言うことだが)。
 一方で「やはり頼りになるのは米軍、そのためにも集団的自衛権の行使が必要」「福島事故のような事態に対応するため、憲法に非常事態規定が必要」といった火事場泥棒的改憲論に警戒する必要がある。


■「原発事故で問われる戦後日本の国家のあり方:「靖国」そして沖縄・福島を貫くもの」(高橋哲哉
(内容要約)
・高橋氏の最新刊『犠牲のシステム 福島・沖縄 』(2012年、集英社新書)を題材に、「日本の戦後」は「沖縄」と「今回の福島」が典型であるが「国益のために犠牲が容認されるシステム」であり、今回の件をきっかけにそうしたシステムを放棄すべきではないのか、そしてそうしたシステムを放棄する第一歩として「そのシステムが何故生まれたのか」といった現実認識を持つことが大事であろうとしている。


■「軍拡にのめり込む日本の宇宙開発」(向直也)
(内容要約)
赤旗記事紹介で代替する。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-03-08/2012030801_04_1.html
宇宙は平和のために、JAXA法改悪で署名呼び掛け、秋山元飛行士ら
 宇宙へのロマンを大切にしたいから、宇宙航空研究開発機構JAXA)法からの「平和目的」規定削除に反対します―。日本人初の宇宙飛行士でジャーナリストの秋山豊寛京都造形芸術大学教授ら6人がアピールを発表しました。7日に記者会見し、インターネット上での賛同署名を国民に呼びかけました。9日に国会内で集会を開きます。
 JAXAは日本の宇宙開発を担う独立行政法人。その業務を「平和の目的に限り」と定めたJAXA法からこの規定をなくし、研究者・技術者を宇宙の軍事利用に動員するための改定案を、政府が今国会に提出。緊迫した局面となっています。
 アピールは政府の改定案の問題点として、憲法の平和原則に抵触する▽宇宙の軍事利用のさらなる拡大につながる▽科学の公開性・民主性の原則が侵される▽研究の自由の侵害につながる▽一部の人たちの議論だけで進められ、当事者であるJAXAの研究者・技術者、国民の声が反映されていない―と指摘。日本の宇宙開発や科学のあり方について「戦争放棄の平和主義の道か、軍事大国化の道かをめぐる岐路に立たされている」として、「これからも日本の宇宙研究・開発は平和主義で行こう」と国民に広く呼びかけています。
 7日までに200人以上が署名。「夜空を眺めて戦争の心配をすることなどまっぴらごめんです」「科学は平和の中でこそ栄えます」といったメッセージが集まっています。池内了総合研究大学院大学教授(宇宙物理学・科学論)は会見で「軍事利用は歯止めがない。安全保障や抑止力という言葉を使うことでどんどん拡大していく」と指摘しました。
 署名ウェブサイトは、http://jaxaforpeace.a.la9.jp/です。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-02-15/2012021504_04_1.html
JAXA、「平和目的」規定外す、政府法案提出 研究者を軍事動員へ
 野田内閣は14日、日本の宇宙開発を担う独立行政法人宇宙航空研究開発機構JAXA)の業務を「非軍事」に限定したJAXA法からこの規定をなくし、防衛省の軍事衛星の開発などに研究者を動員するための同法改定案を国会提出しました。内閣府に宇宙政策の司令塔機能をもたせる内閣府設置法改定案なども提出しました。
 現行JAXA法は第4条で人工衛星の開発や打ち上げなどについて「平和の目的に限り」行うと定めています。改定案はこの文言を削除し、「宇宙基本法第2条の宇宙の平和的利用に関する基本理念にのっとり」と置き換えました。
 2008年に自民・公明・民主の各党が強行採決した宇宙基本法は、宇宙開発利用の柱の一つに「我が国の安全保障に資する」ことを掲げ、政府は「専守防衛の範囲内」での宇宙利用を推進すると明言。09年には、自衛隊による軍事衛星の活用を国家戦略として位置づけた宇宙基本計画を制定しました。今回の改定案はこれまで「非軍事」に限定されていたJAXAの業務範囲を拡大して、軍事衛星の開発・打ち上げ・運用の実施機関として研究者や技術者を動員するのが狙いです。
 一方、内閣府設置法改定案は、所掌事務に宇宙開発利用の推進や人工衛星の運用・管理業務を加え、宇宙政策委員会を新設。宇宙開発委員会を廃止するための文部科学省設置法の改定案も提出しました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-01-23/2012012302_01_1.html
主張『「JAXA法」改悪、宇宙の軍事利用拡大をやめよ』
 政府は、独立法人宇宙航空研究開発機構法(JAXA(ジャクサ)法)が宇宙開発を「平和の目的」に限定している規定を削除する方針です。そのための関連法案を今国会に提出する構えです。
 JAXA法から「平和の目的に限り」との規定を削除するのは、宇宙の軍事利用を禁じた法的歯止めを取り去ることによって、JAXAがもつ技術などを軍事政策に組み込むのが狙いです。戦争を放棄した憲法をもつ日本が宇宙の軍事利用を拡大して、戦争態勢づくりを強めるのを見過ごすわけにはいきません。
 JAXA法は、人工衛星の開発や打ち上げ、追跡などの業務を「平和の目的に限り」実施すると明記しています(第4条)。平和目的に限るとは軍事利用を禁止するということです。「平和目的」規定は憲法の平和原則を反映したものであり、守り抜くのは当然です。
 重大なのは、宇宙の軍事利用政策を拡大・強化するために、野田佳彦*9民主党政権JAXA法から「平和の目的に限る」規定を削除しようとしていることです。自公前政権時代に自民、公明、民主3党が強行した宇宙基本法にもとづいて、宇宙の軍事利用政策にJAXAを組み込むための企てです。野田政権が自公政権と変わらない危険な政権であることをうきぼりにするものです。
 政府の宇宙開発戦略専門調査会は13日公表した「宇宙空間の開発・利用の戦略的な推進体制について」と題する報告書で、「JAXA法の平和目的規定を宇宙基本法と整合的なものとする」とのべています。宇宙基本法は、宇宙開発は「平和目的に限る」とした国会決議も政府見解も投げ捨てて、軍事利用に道を開いた悪法です。JAXA法を宇宙基本法に合わせるというのは、JAXAの業務を「平和目的」から「軍事目的」に変えることです。これは重大問題です。
 実際、宇宙基本法をたてに防衛省自衛隊は、民間の通信衛星の回線借り上げによる利用をやめ、民間の資金を活用するPFI方式で天候に左右されない軍事通信衛星を自前で保有することを決めました。通信衛星偵察衛星などの軍事衛星保有アメリカいいなりで日本が海外で戦争する態勢づくりです。それだけに「平和目的」の削除は許されません。
 政府の狙いは軍事衛星の開発にJAXAを参加させることであり、JAXAのロケットを使って軍事衛星を打ち上げることです。軍事衛星の追跡などの業務をJAXAに実施させる狙いもあります。「平和目的」規定を削除するのはそのためです。JAXAを組み込み宇宙の軍事利用をさらに加速する狙いが透けて見えます。
 JAXA法の改悪は財界・兵器産業界の要求そのものです。経団連は昨年5月にだした「宇宙基本法に基づく宇宙開発利用の推進に向けた提言」で、JAXA法の「平和目的」規定が宇宙基本法の安全保障目的の宇宙利用規定と整合性がとれていないから、JAXA法を「改正」するよう求めています。幾種類もの軍事衛星を打ち上げて大もうけを図る財界・兵器産業の身勝手な要求です。
 財界いいなりにJAXAを宇宙軍拡に組み込むJAXA法の改悪は阻止することが重要です。


■「欧州自然エネルギーのいま:スペインの取り組みを見る」(坂口明*10
(内容要約)
別のブログ記事紹介で代替する。


ちらっと「しんぶん赤旗日曜版」
「太陽熱発電進む技術革新・スペインアンダルシア、しんぶん赤旗特派員報告」
http://nitiban.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/07/post_6a80.html
「太陽”エネルギー”がいっぱい 自然が主役 欧州を行く」
http://nitiban.blog.ocn.ne.jp/blog/2012/01/post_ace5.html


■論点
【武道必修化 柔道で相次ぐ重大事故(代田幸弘)】
(内容要約)
赤旗記事紹介で代替する。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-02-26/2012022601_05_1.html
主張『武道必修化、子どもたちの安全を守れ』
 「このままでは心配」「子どもたちの安全は守れるのか」―。4月からの中学校武道必修化を目前にして、いま保護者や学校現場から不安の声が上がっています。必修化で全国の多くの中学校が採用するとみられている柔道で、重大事故が続いているからです。
 もともと武道必修化は2006年に自民・公明政権下で改悪された教育基本法を受けて、文部科学省が進めてきたものです。基本法は「教育の目標」に「伝統と文化を尊重し、それをはぐくんできた我が国と郷土を愛する…態度を養う」ことを掲げました。文科省は08年3月に中学校の学習指導要領を改訂、体育の授業に武道・ダンスを取り入れ、武道については柔道、剣道、相撲の科目の中から一つを選び、1、2年は必修、3年は球技との選択になります。
 ところがここにきて、柔道の安全性が大きく問われてきました。文科省の外郭団体である日本スポーツ振興センターが毎年発行する『学校管理下の死亡・障害事例と事故防止の留意点』の過去28年間分を名古屋大の内田良准教授(教育社会学)が分析したところ、柔道では114人が死亡し、275人が重い障害を負う事故が続いてきたことがわかりました。最近10年間の中学校部活動における死亡確率も、柔道が飛び抜けて高いことが判明しています。
 なぜ、柔道でこうした重大事故がなくならないのか。一つは安全配慮に欠けた指導者の姿勢があります。重大事故に多い頭部の損傷は、頭を直接打たなくても、脳がはげしく揺さぶられることで起きる場合があります。「加速損傷」と呼ばれる症状ですが、これまで指導者の多くはそうした認識がなく、起きた場合の対処法も知らないままでした。
 もう一つ事故の温床になってきたのが、指導や練習という名のもとでまかり通ってきた体罰やしごき、いじめです。「根性をつける」と有段者の指導者が何度も投げ飛ばす、上級生が初心者の後輩に危険な技をかける。こうした例は枚挙にいとまがありません。
 実際の授業でもふざけて技をかけて事故を起こせば、子どもが被害者だけでなく、加害者になる可能性もあります。しかも文科省は学習指導要領の中で、頭部損傷に至る危険性がもっとも高い大外刈りなどの投げ技を1、2年の学習内容の例にあげているのです。
 必修化を前に各地で講習会が開かれていますが、まったく柔道に縁がなかった先生たちは事故が起きないように教えられるのか、不安を隠せません。文科省が安全対策を確立していない状況で、地域によっては乱取りを禁止したり、ヘッドギアなどを配備する独自の対策をとる動きも出てきました。
 本紙が昨年連載した「なくせ柔道事故」でとりあげ、日本共産党宮本岳志議員が衆院文部科学委員会で質問したように、これまでの事故を医科学的に解明し、再発防止策をたて、指導者研修を行うことは必修化の前提です。
 指導要領の体育の目標には「運動を適切に行うことによって体力を高め、心身の調和的発達を図る」とあります。いまの状況はその真逆です。文科省は武道必修化の延期をふくめ、安全の確保を最優先に考えるべきです。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-06-05/2011060510_01_1.html
柔道指導者の研修急げ、宮本議員が文科相に質問、子ども110人 事故の犠牲
 独立行政法人日本スポーツ振興センターが毎年発行する『学校管理下の死亡・障害事例と事故防止の留意点』をもとに、名古屋大学の内田良准教授が調べたところ、1983年度から2009年度までの27年間で、110人の子どもが柔道事故で命を落としています。さらに、脳障害をはじめ何らかの後遺症を抱える事故が261件も起きていました。この数字には民間の道場などの事故は含まれておらず、公になっていない事故も少なくありません。
 こうした実態を示し、現状認識をただした宮本議員にたいして、高木文科相は「事故はあってはならないもの。各学校において、部活も含め、安全の確保は最重要」と答えました。
 そして、「今年度は新たに体育活動中の事故防止にかんする調査研究を行い、事故の分析、防止策について検討し、安全確保に努めていきたい」と答弁しました。
 宮本議員は、事故を医学的、科学的に解明し、再発防止策をたて、早急にすべての指導者に研修を行うことを求めました。さらに、事故の背景には体罰、しごきの問題があるとして、イギリスの例を紹介しました。


宮本
「イギリス柔道連盟では児童を保護するためのガイドラインをつくり、けがをするとわかっていながら技をかけることも、根性をつけるためと繰り返し技をかけることも、勝利の価値を強調しすぎることも、虐待であると定めています。」


 イギリスでは、指導者になるためには、この研修は必修だということになっています。
 そのうえで、宮本議員はスポーツ活動のあり方を正面から問いました。


宮本
「柔道などの武道では、スポーツ活動を通して、相手への尊重と共同する精神、公正な規律を尊ぶ態度などを培っていく。そうした精神を指導者らの規範として確立していくことは、スポーツを担うすべての人々の人格、人権を守ることや、これからのわが国のスポーツの発展にとっても必要なことだと考えます。」


高木文科相
「スポーツ指導者の責務、役割は極めて重要。講習会なども行い、安全確保のための資質を向上させていきたい。人権を侵害するとか、健康、安全を害すとか、こういうことは絶対にあってはならない。」



 来年4月からは中学校での武道必修化が始まります。しかし柔道事故被害者の会をはじめ、学校現場や親たちからは安全を危ぐする声が相次いでいます。これから、事故が増える夏場に入ってきます。これ以上、子どもの命や健康を損なわないためにも、国や関係団体は事故防止に一刻も早くとりくむべきです。

■文化の話題
【美術:中国との美術交流の歴史から(朽木一)】
(内容要約)
東京国立博物館の「北京故宮博物院200選」(http://www.kokyu200.jp/)と京都国立博物館の「中国近代絵画と日本」(http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/120107/index.html)の紹介(いずれも公開はすでに終了)。

http://www.asahi.com/kokyu200/news/20120215.html
朝日新聞『名宝と至福の時間 「北京故宮博物院200選」上野で19日まで』
 上野の東京国立博物館で開かれている特別展「北京故宮博物院200選」は、19日の会期終了まで5日を残すのみとなった。日中国交正常化40周年を記念して書画や陶磁器、皇帝衣装など、中国歴代王朝の名宝が並ぶ会場は、連日多くの来場者でにぎわっている。
 12日までの会期37日間の総入場者数は21万443人で、1日平均5688人が来場。中国美術の展覧会としては異例のヒットだ。1月24日まで公開された北宋時代の傑作絵巻「清明上河図(せいめいじょうかず)」が人気に火を付けた格好となったが、ほかにも出展のまれな宋・元時代の書画40件など各分野の名品がそろい、全作品の約半数が国宝級の一級文物。かつてない質の高い内容が、美術ファンの関心を集めたと見られる。
 清朝が舞台の小説「蒼穹(そうきゅう)の昴(すばる)」などで知られる作家の浅田次郎さんは、「故宮博物院でもこれだけの作品を一度に見ることはできない。中国美術のおいしいところ取りをした、満足度の高い内容」と太鼓判を押す。注目した作品は「乾隆帝像」「乾隆帝大閲像軸」の二つの皇帝肖像画。「青年と壮年の皇帝の姿は写実的で、いずれも大作。実物を見られる貴重な機会だ」と話す。

 何で朝日さんが宣伝してるかというと、朝日さんが主催者の一人だからですね。

http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20120218ddlk26040661000c.html
毎日新聞『特別展:「中国近代絵画と日本」 広州美術学院の李偉銘研究員、嶺南画派への影響紹介』
 京都国立博物館京都市東山区)で26日まで開催中の特別展「中国近代絵画と日本」にちなむ国際シンポジウム「中国近代絵画の形成と日本」がこのほど、国立京都国際会館左京区)で開かれた。
 同展は19世紀後半から20世紀前半の中国絵画の展開を、同館の「須磨コレクション」を中心とした約200点の作品でたどる展覧会。
 シンポジウムでは広州美術学院の李偉銘研究員が、広州を拠点として活躍した「嶺南(れいなん)画派」に見る日本の影響について発表した。 同派を代表する高剣父(こうけんぷ)らが竹内栖鳳(せいほう)や山元春挙らの影響を受けたことを紹介。「日本美術と出会った経験により、彼らの理想とする中国画の変革を推し進めることができた」と述べた。
 「中国近代洋画と日本」をテーマに発表した上海大の李超教授は「日本は中国より50年早く西洋美術を導入。中国にとり、日本文化の開放性が最大の師だった」と指摘した。
 中国近代絵画の代表的な画家の1人、斉白石(せいはくせき)の西洋最大のコレクションを有するチェコプラハ・ナショナルギャラリーのミハエラ・ペイチョホバー研究員は、同コレクションを収集したボイチェフ・ヒティルの足跡を紹介。
 京都国立博物館の西上実・学芸部長は、須磨コレクションにも多数優品が含まれている斉白石が、1922年、東京での「日華絵画連合展覧会」をきっかけに高く評価されるようになったことを紹介。コレクションを築いた外交官、須磨弥吉郎は1927〜37年に中国で勤務し、ヒティルが収集活動をしていた時期と重なることを指摘した。
 同展を担当した同館の呉孟晋(くれもとゆき)研究員は「これまで中国近現代の美術を概観する企画が日本でほとんどなく、作品そのものに語らせて中国近代絵画のすばらしさを伝えたかった」と述べた。


【演劇:こんにゃく座公演 オペラ『金色夜叉』(水村武)】
(内容要約)
うまく説明ができないので一応、公式サイト(http://www.konnyakuza.com/syusai.html)を紹介しておく。


■メディア時評
【新聞:橋下「維新の会」をどう論じたか(金光奎)】
(内容要約)
・橋下一派の暴挙、特に「悪質な人権侵害である市役所職員の思想調査」について新聞がまともな批判をしない事への厳しい批判。まあ、「新聞の名誉」(?)のために書いておけば「ミヤネ」だの「みの」だのテレビワイドショーの方がもっと酷いが。日本のマスゴミのひどさにはいつも呆れさせられる。


【テレビ:原子力利用のありかた問う番組(沢木啓三)】
(内容要約)
もっぱら、NHKの「追跡!真相ファイル・低線量被ばく 揺らぐ国際基準」(http://www.nhk.or.jp/tsuiseki/shinsou_top/20111228.html)が紹介されている。「低線量被ばく」についてはわからないことが多く「ICRP基準は一つの考えに過ぎず、絶対視できるものではない」というのが番組内容のようである。
 沢木氏は好意的評価のようだが俺としてはまあ、機会があったらじっくり考えてみたいとは思う。「原発安全神話」の存在を考えれば、何事も疑ってかかるべきであろうが、科学音痴がうかつなこと言うのも怖いのでねえ。 


■スポーツ最前線
【卓球の楽しさ、難しさを伝える(西村卓二*11)】
(内容要約)
 2013年アテネデフリンピック聴覚障害者のオリンピック)を目指す上田萌選手(東京富士大学、2009年台北デフリンピックで銀メダル)について東京富士大学の西村監督にインタビュー。

*1:著書「これからどうする!介護と医療」(2001年、新日本出版社)、「どうする日本の年金」(2004年、新日本出版社

*2:著書『労働ビッグバン―これ以上、使い捨てにされていいのか』(共著、2007年、新日本出版社

*3:著書『働くルールの国際比較』(2010年、学習の友社)

*4:鳩山内閣衆院財務金融委員長、菅内閣で党政策調査会長内閣府特命担当相(「新しい公共」・少子化対策男女共同参画)等を歴任

*5:菅内閣で党選挙対策委員長、防衛副大臣、党国会対策委員長を歴任

*6:鳩山内閣官房長官菅内閣衆議院安全保障委員長

*7:著書『NATOはどこへゆくか』(2000年、新日本新書)

*8:著書『国際協力と平和を考える50話』(2004年、岩波ジュニア新書)

*9:鳩山内閣で財務副大臣菅内閣財務大臣

*10:著書『国連:その原点と現実』(1995年、新日本出版社

*11:著書『確実に上達する卓球』(実業之日本社、2005年)、『ぐんぐんうまくなる!卓球』(2009年、ベースボールマガジン社