■日曜版連載漫画「今日もいい天気パート2」第16話「小さな被害者」(山本おさむ*1)
スキャナで読み込んで画像貼り付けするのが一番わかりやすいのだが、あいにくスキャナがないし、画像貼り付けのやり方もわからないので文章をべた打ちする。福島県民の一意見として山本氏の漫画の文章を紹介してみる。
奥さん「私の口内炎もコタ*2の声が出ないのも内部被爆なの?。どうしよう?。私がんで死んじゃうの?」
山本氏「口内炎ができたからって必ずがんになる訳じゃないよ。それが放射能のせいだって証明するのもすごく難しいことらしい。コタの声が出ないのだって獣医は原因がわからないって言うんだからな。ただチェルノブイリでいろんな症状が現れてることは事実みたいだし、君とコタが村に1ヶ月いて普段の何倍も放射能を浴びたのも事実だ。国と東電は嘘の発表ばかりするし、マスコミは検証もしないでそれを垂れ流すだけだしこうなったら自分で情報を集めて最悪に備えるしかないよ」
(中略)
この頃はテレビ報道を見るたびに怒りばかりがこみ上げて仕方がなかった。
菅首相が浜岡原発停止を要請する一方で、政局は「菅おろし」に血道をあげた。
テレビはワイドショーでそれを煽りまくった。
原発推進派は金の力で政界やテレビ界をがんじがらめにしているのだろう。
そんななかで僕はネットで小出助教が出演するラジオ番組*3を毎回書かさず聴いた。
そして福島で子どもたちを守ろうと活動する人たちの動画を見た。
このような人たちの声はネット以外ではほとんど聞くことができなかった。
そして僕は思うのだ。
いち早く村を逃げ出した僕たちは爆発後の大量の放射能を避けることができた。
(中略)
放射能があるとわかっていても県内にとどまって頑張ろうとする人々。
そんな人たちと比べると僕たちは福島県民の中では一番小さな被害者だ。
2011年6月。「赤旗」日曜版の担当者と震災後、初の打ち合わせ。既に決まっていた翌年のこの連載について話し合うためだ。
山本氏「やっぱり原発事故のことは避けて通ることができません。自分の経験を描こうと思うのです」
(中略)
僕には福島の人たちの声を代弁することはできない。そこにはあまりにも多様な被害者が存在するからだ。しかし、一番小さな被害者として怒りだけは表明しておきたかった。
(つづく)