小森陽一『橋下「維新の会」の手口を読み解く』(2012年、5月:新日本出版社)(追記・訂正あり)

 定価600円で、ブックレット程度の薄さなので非常に読みやすいので大変いい本だと思います。
小生は購入しておらず(今後購入するかもしれませんが)、これから書くことは本屋で斜め読みした上で感じたことを思いつきで書いてるだけなので必ずしも本の要約ではありません。

【感じたことその1】
 橋下とその支持者にある考えは「敵と味方」「勝ち負け」「俺だけがお山の大将」なんだなあ、ということを改めて感じました。
 「是々非々」「敵ながらあっぱれ」「自分の非を認める」「議論の上でいい物を一緒に作り出していく」という考えは最初からない。
 だからこそ独裁になるわけでしょうが。

【感じたことその2】
 橋下の公務員叩き、教員叩き、在日差別、歴史修正主義などは橋下が勿論そう言うものに親和的な男だからですが、そう言う行為が受けると橋下が理解してるからという面もあります。つまり橋下一人を倒したところでそうしたものを生み出す「橋下的精神のありよう(日本社会のゆがみ)」を何とかしなければ、新たな橋下が生まれるだけと改めて思いました。 

【感じたことその3】
小森氏は橋下批判それ自体は理屈の上では簡単なことだとしているように思いました。これは別に橋下の恐怖を矮小化しているわけではありません。
 橋下という男には論理性のかけらもないので、批判自体は実に楽です。何せ自分が批判されると「きちんとした論理で批判しろ」などと抗議する癖に組合をデマリストで攻撃し、リストがデマだとわかっても謝罪もしないで居直るような男ですから。
 問題はそれに対し橋下支持者が聞く耳を持たないというところにあるわけです。考える能力や意思がなく全てを誰かに丸投げしたいというような「英雄待望論」「お任せ民主主義」な人がいわゆる「肉屋(橋下)を支持するブタ(橋下支持者の内、本来橋下を支持するのは利害関係的におかしい人々)」でしょうから。
 えせ科学とか歴史修正主義に共通する問題ですが。
 えせ科学や歴史修正主義も批判自体は楽で、世の中、頭がよくて誠実な人ばかりだったらえせ科学問題や歴史修正主義問題などないわけです。
 言葉を選ばずに言えば「バカ」や「不誠実な奴」が多いから厄介なわけです。

 
 で、これをどうするかは実に難しい。「水を飲みたがらない馬を川に連れて行く」ようなもんですから。しかも馬は「のどがかわいてない」とか「水がまずいから」とかで飲みに行かない訳じゃなくて「変な偏見」で水を嫌ってるわけですから。
 難しいが「手を変え品を変え」橋下の問題点や「橋下的なものの問題点」をわかりやすく詳しく説明していくと言う地道な作業しか残念ながらないだろうと小森氏はしています。もちろん「説明のわかりやすさや詳しさ」のテクニック向上は大切ですが、橋下支持者は橋下盲従な上、関西マスコミが一部を除いて露骨に橋下に媚びているので、そう簡単には考えが変わらないだろうと。大体デマリスト問題なんて説明の必要もないほど橋下に非しかないし、あんなことをやる奴はいつ市民相手に似たり寄ったりのデマ攻撃をするかわからないのにね。
 で、その説明の場合は「この愚民が!」という態度は取らないようお互い気をつけようと。橋下支持者には「ガチの差別主義者」もいるが中には「肉屋を支持するブタ」もいるので、そう言うブタは一応仲間じゃないかと。
 まあ、そうなんですが橋下支持者は本当に酷いからね。罵倒したくもなる。

【追記】

http://b.hatena.ne.jp/entry/mainichi.jp/select/news/20120604k0000m010093000c.html
id:opemu
 地方自治捏造のリストで他者を糾弾し、正気の沙汰とは思えない条例を出そうとし、原発再稼働で見苦しい手のひら返しを演じた後で、この世論調査の結果になるのであれば、もはや行き着く所まで行くしかあるまい

一番共感した、ブクマ。小泉ブームとか民主党ブームとかはまだ理解できるが橋下ブームは俺的にはねえよ。今解散すると悲惨なことになりかねねえのかよ、げんなり。野田は何があっても解散しないだろうが。
「いきつくところまで」って日本を焼け野原にされても困るが。
なんだかんだ言って小泉という人は「真紀子切りによる人気降下を挽回する」という党利党略もあったとは言え「外務官僚の意見を聞いて訪朝するだけの良識」があったし、道路公団民営化や郵政民営化も是非はともかく、全国各地でサービスが突然大幅に劣化するということもなかったと思う(経営困難局ががんがん潰されるという問題はあるようだが)。
 靖国参拝するとは言え「つくる会と露骨につきあうようなこと」もなかったと思うが橋下にはその種の物は何ら感じない。 
 これが奴のピークであることを望みたい。河信基氏も希望的観測と断った上で「これがピークで、そのうち今のみんなの党並みに落ちるのではないか」「誤差もあるだろうが関西メディアの翼賛報道で橋下人気が高いと言われる近畿ですら50%超えていないことは不幸中の幸い」と言う趣旨のツイートをしている。