岡田副総理記者会見にあの世界日報が参戦、「進化論非難」への同調を求める(追記・訂正あり)

 たまに、政府記者会見とか見てブログエントリネタ探しをしてる小生だが、「岡田副総理記者会見要旨:平成24年7月3日」(http://www.cao.go.jp/minister/1201_k_okada/kaiken/2012/0703kaiken.html)を見て、あまりのばかばかしさに吹き出してしまった。
 コレを文字起こしした方も笑いをこらえるのに必死だったのではないか。

(問)世界日報の山本と申します。
(中略)
 岡田副総理の発言で、6月22日の記者会見の冒頭に、閣僚懇での行政事業レビューについて御説明されまして、「行政事業レビューというのは、事業仕分けの進化形としてある」と表現されて(中略)この「進化」という表現を副総理はどういう意味合いでお使いになられたのかということをまず1点お伺いしたいと思っております。
(答)言葉のとおりです。
(中略)
 別にこれは進化論という考え方を私が信じているから申し上げたのではなくて、もう少し一般的に受け止めていただければと思います。

・犯罪カルト「統一協会」の機関紙・世界日報ごときが恥知らずにもずうずうしく内閣府の記者会見場に来てることにも吹き出し*1が「僕ちゃん、進化論は間違ってると思うんですが、大臣は進化論を支持するんですか」と遠回しに聞くのがすげえ。アホ違うか。「今回、副総理は行革担当大臣として、○○のような決断を下しましたがそれについていろいろとお聞きしたい」とかもっと実質的なことを聞けよ。まあ、そんな能力があったら世界日報の記者にならないだろうが。俺が記者会見場にいたら確実に爆笑してるな。
・ここでの「進化論」(?)はあくまでも比喩だろう。「何かがレベルアップすること」「何かをレベルアップさせようとすること」を「進化」と表現する事は別に珍しいことではない。「進化する羽生将棋」とか(←超適当)。もちろん「進化」概念は元々そう言うプラスの価値判断を含んでないし、そういう「進化概念の誤用」が「社会進化論」「優生学」という差別を生んだのも事実だろうが、「社会進化論」「優生学」という差別そのものならともかく、今更「進化概念の誤用」それ自体を問題にしてもしょうがないだろう。「進化は価値判断を含まない使い方をしましょう」と言ってもそれが可能な段階はとっくに過ぎている。「生物進化は価値判断を含まない」「社会進化論優生学は間違ってる」と理解すれば十分だろう。
 まあ、世界日報の場合そう言う問題意識では明らかにないが。
世界日報もどうせ聞くなら「進化とはレベルアップの比喩だと思いますが、行政事業レビューというのは、事業仕分けの何がどうレベルアップしたのですか」とでも聞けよ。そうすればもっと建設的な応答になっただろうに。
・当然、岡田氏が問題にしてるのは進化論が正しいかどうかとか言う話ではない。もちろん、俺は進化論は正しいと思うし、それが世間の常識だし、少なくとも統一協会が宣伝する『「ID論」と言う名前の事実上の「天地創造説」』が間違ってることは確かだろうし、「常識人の岡田氏」も俺や世間一般人と同意見だろうが。

・それはともかく

別にこれは進化論という考え方を私が信じているから申し上げたのではなくて、もう少し一般的に受け止めていただければと思います。

という岡田大臣の「進化論を信じていないと誤解されかねない発言」もどうかと思うが。もちろん俺に限らずまともな人間なら誰でも「岡田氏が進化論否定してる」とは思わないわけだがここは「進化論は学界の通説、世間の常識だと思いますが何か問題でも?」位言ってほしかった気もする。曖昧な物言いをすると世界日報が「進化論を岡田氏ははっきりとは肯定しなかった→進化論は間違ってると事実上認めたも同然」などとデマ宣伝する恐れがあるし。
悪意に見れば岡田先生は「自民、民主両党に深い根を張る統一協会の記者」相手に「ID論なんか正しいと思ってるのかよ?。バカじゃねえの」等とは怖くて言えずびびってるように見えなくもない。


【追記その1】
幸いなことにほとんどの方が小生に好意的、ないし統一協会に批判的ブクマをする中、一人奇妙なブクマをする方が。

gryphon
あはは愉快…というのは原文に「玄葉外相の発言との関連…メディアでも論議」とあるでしょ。この玄葉の、進化の比喩を最初に咎めたのは「週刊金曜日」なの!(優生思想批判文脈で。6月6日外相会見)夢タッグ結成(笑

言いたいことがよくわからないのだが。
週刊金曜日のその記事を読んでないので何とも評価できないが、「カルト統一協会の明らかなデマ(ID論)」と同列扱いされるほど酷い記事だったのだろうか?。まあ、そうだとして「だから何?」って話だが。
「どっちもどっち」論による統一協会の擁護者と誤解される危険性*2まで犯して、週刊金曜日への悪口が言いたいってのも変わった人だと思う。
もしかして「玄葉の発言」云々を省略したのは俺が週金をかばったとか妄想して嫌み言ったつもり?
単に文章が長くなると質問した山本の意図が少しわかりづらいかと思い省略したに過ぎないのだが。山本は「玄葉発言についてどう思いますか」とか「玄葉発言を云々したメディア(gryphonによれば週金らしいが)についてどう思いますか」とか「玄葉発言に副総理の発言、民主党政権では『進化』と言う言葉がはやってるのですか?」とか聞いた訳じゃないし。


【追記その2】
 上の方に書いた「進化論の誤用」云々という文章は別に「週刊金曜日」を想定して書いたわけではない。単なる一般論なのだがgryphon先生曰く「そういう問題意識」で玄葉外相の「進化」云々という発言を週刊金曜日が批判したという。
 本来、玄葉発言と週刊金曜日記事をよく読まないと何とも言えないが現時点での考えを書いておく。
1)「進化」と言う言葉にかみついてるという点でgryphon先生は週金と世界日報を同列視しているようだが、俺はそうは思わない。
 世界日報の「進化論は間違ってる、正しいのはID論」というのは「事実に反するただのデマ」だが、週金の主張は「一つの価値観」であり「事実問題」と「価値観の問題」を同列視するのってどうよと思う。
2)既に俺が書いた文章でわかるかもしれないが俺は「進化論の誤用」は本来望ましくないと思うが「今更それを問題にしてもどうしようもない」と思う。単に玄葉発言が「進化論の誤用」をしただけなら、それを批判する週金には賛同できない。
3)ただし、玄葉発言が「進化論の誤用」にとどまらず「優生学的外交の主張」、つまり露骨な「パワーポリティクス」とか差別的な主張、あるいはそう誤解されても仕方のない発言なら週金の批判はむしろ正論だろう。この辺りがわからないと評価のしようがない。まあgryphon先生に善意に解釈すれば「単なる進化論の誤用」にすぎず、だからこそ俺同様にgryphon先生も「今更そんな事言っても」という感想なのかもしれないが。


【追記その3】
 とりあえず玄葉記者会見を見てみることにする。で見てわかったのだが「6/6記者会見」がどうのこうのというのは、俺は「6/6記者会見での玄葉発言を週金が記事内で批判した」と誤解していたのだが、そうではなく、「6/6記者会見」に週金の記者が出席し質問をしていた。
 記者クラブ加盟社でない週金や世界日報(ただし世界日報についてはカルト機関紙の記者会見出席なんか認めていいのかと思うが)が記者会見で取材できるというのは「数少ない民主党政権の功績」ではないかと思う。自民時代にはそう言うことはなかったかと思う。もちろんこの程度のことで「消費税増税」だの「大飯原発再稼働」だのが正当化できるわけもないが。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/gaisho/g_1206.html#3
ソフィア・ルネッサンス連続講演会での発言
週刊金曜日 伊田記者】
 大臣が上智大学で講演された件について、外務省のホームページに掲載*3されておりますが、本年5月28日、上智大学のソフィア・ルネッサンス連続講演会「これからの日本外交」と題された講演録を読ませていただきました。その中で、学生から「隣国との外交もお忙しくされている最中だと思いますが、スピード感のある国のリーダーシップ、その点についてのビジョンを聞かせていただきたい」という質問があったのに対して、大臣の方から、「これはカトリックの考え方とちょっとどうかということもあるかもしれません。どういう種が強い人か。強い種が強い人ではない。どういう種か。時代に適応して変わり続ける種だ。だから、やや改革志向というのが強いのかなと」こういうように答えておられます。この「種」という考え方について、大臣の真意をお聞かせいただきたいと思います。
 というのは、「種」というのは、へたすると優生思想、ナチズムの思想につながったりとか、日本でも戦前、断種法というのがございましたけれども、そういったような極めて危険な受け取られ方をする可能性がありますので、ここで大臣の真意をしっかりお聞かせいただければと思います。
【玄葉外務大臣
 大学での講演録を読んでいただいてありがとうございます。あのとき、たしかどういう政権が望ましいのかと、こういった趣旨の質問だったのではないかというように思います。私(大臣)が申し上げたのは3つで、1つは、ポピュリズムと決別をすると*4。2つ目は、一定の改革志向というものがあるべきだろうと。3つ目が、安定した政権。その3つが必要なのではないかということを申し上げて、それぞれ1つずつ説明を若干付け加えたと、こういったことだったと思います。
 先ほどのは、一定の改革志向といったところで、カトリックとどうかという話は、ダーウィンの話を進化論に出てくる話だと私(大臣)は承知してますので、ダーウィンの話だということで、カトリックとどうかという話をしたのであり、また、ダーウィンがまさに、いわゆる生き残っていく種というのは、強い種とかということではなくて、時代に対応していく、変わり続ける、そういう種であるということを言ったと。つまり、決してナチス等々に行き着くような話では全くなくて、これからのあるべき政権を考えたときに一定の改革志向というものを、やはり常に持ち続ける必要があるのだろうと。時代に適応していくということに対して、その重要性というものを述べたものであるというようにご理解いただければと思います。
週刊金曜日 伊田記者】
 つまり、時代に適応しない種はなくしてもいいんじゃないかというようにつながりかねないと取れるのが怖いと思うのです。その点、いかがでしょうか。
【玄葉大臣】
 決してそういうことを申し上げているわけではございません。とすれば、この場で申し上げたいと思いますが、政権の有り様を伝えるために、時代に適応していくべきであるということを言いたかったということであります。

玄葉発言はさすがに「パワーポリティクス万歳」というそこまで酷い発言ではなかったようだ。
ただし、俺はgryphon先生がバカにするほど週金の質問が酷いとは思わないが。大体ここで問題になってるの「進化論」じゃなくて「強い種」と言う言葉じゃん。

「種」というのは、へたすると優生思想、ナチズムの思想につながったりとか、日本でも戦前、断種法というのがございましたけれども、そういったような極めて危険な受け取られ方をする可能性があります

というのは間違いじゃないと思うよ。ただし「そう言う意図はないんです」と玄葉が回答したのにそれを無視して玄葉叩き記事書いたりしたら問題だと思うけど(その当たりどうなんだろう)。
 ちなみにこの記者会見上には世界日報も来てるね。

ソフィア・ルネッサンス連続講演会での発言
世界日報 山本記者】
 最初の質問*5との関連になるのですが、ダーウィンの進化論ということで、これは前任者の、直前だったどうかちょっと忘れてしまいましたが、前原大臣も確か年頭にこれから生き残る、変化に対応する種が生き残るのだということで、年頭に省内にもそういうメッセージを伝えたという言い方で日本外交、日本のこれからの方向性を語られたということがあったと思うのですけれども、少し引っ張りすぎの質問になるかもしれませんが、米国の方では全く違う価値観で、大統領も聖書に手をついて宣誓してやっていく政権ですけれども、かたや日本の方では外務省が大臣のそれぞれの御見解かもしれませんけれども、ダーウィンの例を引いて、この政権のやり方を御説明されるのはちょっとどうかなという気も、外交というレベルのお立場でもありますし、思ったのですけれども、その点についてはどのようにお考えなのでしょうか。
【玄葉大臣】
 ダーウィンの例を引くのが如何かというお話でありますけれども、私(大臣)は政権の有り様というのは、もちろん変えてはいけないもの、そして、変えていくべきものというのが、当然、その都度政権には存在するというように思っていますけれども、あくまで一般論として基本的に常に変革をしていく、良くなっていこう、そういう意思というものを持ち続けるということが大切であるという趣旨で申し上げているわけでございますので、その点については御理解をいただければと思っています。

 世界日報の場合、週金と問題意識が全然違って「ID論に政府のお墨付きが得たい」って、評価する価値ナッシングのデマだからなあ。
 ああ、それと俺的には賛同できない部分が結構玄葉講演にはあるね。講演全てがダメだとまで全否定はしないが。
 たとえば

私自身はもっと防衛予算を増額してもいいと思います。特に南西方面への緊急展開モデル*6などは,日本自身がより本格的に整備を行っていかなければならないと思っています。

なんつうのには「おいおい、日中関係を悪化させる気かよ。中国が攻めてくるとか本気で思ってるのかよ」と思うが。
あるいは

私が外務大臣になってから,率直に申し上げて,一時的に揺らぎが出た日米同盟を強化するということを,ずっと意識してきました。

なんつうのには「要するに基地県外移設の約束を反故にして、沖縄裏切って米国の言いなりになっただけだろ、人として恥ずかしくねえの?」と思うが。
あるいは

ミャンマーは,率直に言うと欧米が大きく距離を置きながらも,日本は言わば独自のスタンスで関わってきたところです。それが,今,開花しそうになっているわけです。

とか。「単にミャンマーの天然資源目当てでミャンマー独裁容認してきただけだろ。だから日本は人権後進国とか言われるんじゃねえの?」「開花って最近の民主化の動きはむしろ欧米の経済制裁に泣きが入ったのであって日本関係ねえだろ?」と思うが。
 あるいは

日本らしいのは,先ほど来から申し上げているように,1つは約束を守る国なのです。

とか。「約束を守る国」ねえ。「守らなかったら国際問題になるから守って当たり前だろ」「で国際関係にならない国民相手なら消費税増税とか公約違反してもいいわけですね、わかります(毒)」と思うが。
 聞くのなら週金もこっち聞いた方がいいんじゃねと思うが。既に別の時に「中国脅威論」「沖縄基地問題」等について聞いてるから「今回は聞かなくてもいい」と言う判断か?。どうなんだろう。やや「こじつけの嫌み」っぽいけど「ミャンマーとの関係が種云々と言うことなんでしょうか?。時代に適応できないスーチーという種とはつきあわないという判断を今までしてきたということでしょうか?」とでも聞いてやれば良かったのに(毒)

*1:いっそ「犯罪カルト・統一協会関係者お断り」と言う理由で内閣府が記者会見場からたたき出してほしかった気もする

*2:このあとでブクマ書き直して「勿論擁護する気などない」としているが

*3:http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/24/egnb_0528.html参照

*4:いやしてねえだろ。尖閣国有化なんか典型的なポピュリズムだろ

*5:週金の質問

*6:要するに尖閣防衛だろう