維新の怪の自称「過労死対策」がトンデモ過ぎる

 まあ、あそこは、「過労死常習のブラック企業ワタミ会長が橋下ブレーンで「最低賃金制廃止」を公約に掲げたところですからまともな対策があるとは思いませんがそれにしても今日の東京新聞夕刊(ただしネット上にはたぶんその記事がない)を読んで愕然としましたね。こいつらここまでキチガイなのかと。俺の予想を上回るキチガイだなと。このキチガイ連中をどうにかしてくれと批判エントリを書かずにはいられない。
 東京も含めてマスコミはもっとこういう批判をしないと行けない。
 過労死問題に取り組む某市民団体が各党に過労死対策を聞いたんだそうです。一応お断りしておくと、「維新の怪」以外は「本当にやる気があるかどうか」「抽象的すぎないか」と言う問題もおけばまともです。記事を読む限りまとも。「維新」とつるむ可能性のあった「みんな」ですら「サービス残業を撲滅」などと、それなりにまともな答えだったそうです。自民もわりとまとも。で、維新の回答。
 「雇用の流動化と多様化」だそうです。おいおいです。むしろ「雇用の流動化と多様化が過労死を助長してる」と思うんですがね。大体どちらも小泉政権が推進してきたことですし。
 過労死する危険性がゼロじゃないサラリーマンの方々は絶対に維新に投票してはいけませんね。ま,ブレーンがワタミって段階でわかりきったことですが。つうかマスコミ予想によればあれだけ躍進するって事は「過労死しないワタミサイドの人間」だけが支持してるわけじゃないんでしょうねえ。バカというか「肉屋を支持するブタ」というか。いやバカがどうなろうと知りませんが、「過労死の危険性がゼロじゃない平凡なサラリーマンの一人(ほとんどの平凡なサラリーマンは過労死の危険性が大なり小なりあるでしょうが)」である俺が巻き添えを食らいたくないんですよ。
 ま、「雇用の流動化と多様化」と言ってもわからない人が多いでしょうし、東京ももう少し詳しい解説ぐらいつけろよと思いましたけどね。どういう理屈で維新が「過労死がなくなる」と言ってるのかわからない。いや一応想像できますが。
 id:kojitaken氏とか、id:opemu氏とか、id:shigeto2006氏とか俺の観測範囲内で維新批判してる「俺よりお利口で人格者」と思われるリベラル派の誰かに「維新のトンデモ過労死対策」批判でもやって欲しいですが、ま,オレ流にやってみましょう。
 まず「雇用の流動化」。平たく言えば「終身雇用制の否定」です。昔は「日本経済成長のてこ」とか「日本企業三種の神器(他の二つは確か企業別組合と年功賃金です)」とか言われて終身雇用制は評価されてましたが。で何で終身雇用を否定すると「過労死が減るか」と言ったら「過労死させるようなダメ企業はやめればいい、辞める自由万歳」ってことでしょう。残念ながら東京の記事には「維新の主張の論理構成」までは書いてなかったので俺の想像ですが。
 冗談も大概にして欲しいですね。今の不況下でどこに辞める自由があるのか。やめてどうやって再就職するのか。大体昔ほど日本の雇用形態は終身雇用制じゃありません。すでに中高年リストラも当然のように行われてる。この間もNHKで「電機メーカーの技術者が、辞めさせたい会社によって不慣れな営業に回された」なんて酷い話を放送してましたが、終身雇用制を否定するような政策を促進したら酷い首切りが今以上に横行するだけです。そういう状況では「首切りされたくないからどんなに酷い雇用条件でも耐える→過労死の増加」となるであろうことはよほどのバカでない限りわかる。今は不況なんですからおいそれとやめられるわけがない。
 次に「雇用の多様化」。平たく言えば「派遣やパートタイムなどの非正規、非正社員を増やす」ってことです。「もう十分増えてるだろ」としか言いようがないですね。何で非正規が増えれば過労死が減ると維新が主張するかといったら
1)「非正規は短時間雇用が多いから過労死しにくい」
2)「非正規は賃金が安いから沢山雇える、たとえば今までの人件費X円で100人雇ってたのが200人に増えれば一人頭の仕事量が減るから」
のどちらか(あるいは両方)でしょうね。そこまでは東京には書いてなかったので東京の記事も不十分ですが。どっちも「ホワエグをやれば残業代目当ての残業が減る→ホワエグは家族団らん法by安倍&舛添」並の寝言ですね。
 まず1)から批判。確かにパートタイムの短時間非正規はいますけど、正社員とほとんど変わらない時間働く長時間非正規もいるし、確か今その数は増えてたはずです。「非正規なら短時間で過労死しにくい」とは一概には言えない。
 次に2)の批判。「賃金を下げて雇用を増やす」と言う考え(それじゃいわゆるワーキングプアが増えるだけでしょう)の是非はともかく、そもそも「賃金を下げたからって雇用が増える保障なんかない」。
 「従来の人件費X円」が「賃金を下げた後も不変」なら当然雇用は増えるでしょう。しかし「X円が不変」なんて保障はどこにもないわけです。まあ、「X円がより安いY円」に下がって「YーX=差額Z」のZ円が「(例えばメーカーを例に取れば)材料費や設備費用など」人件費以外に投入されない保障はないし、実際に投入されることもあるでしょう。そうすれば労働者の数は増えない。「賃金を下げれば雇用人数が増えるから一人頭の労働量は減って過労死は減る」なんてならないわけです。むしろ低賃金だと「生活費を稼ぐための長時間労働」を助長し、過労死が増えるのではないかと思います。
 こんなとんちきなことを過労死撲滅運動団体のアンケートに平然とできる神経がすごすぎです。普通、こんなとんちきなことを回答するぐらいなら「きれい事(例:みんなの回答『サービス残業撲滅』)を回答する」か「ノーコメント」でしょうよ。喧嘩売ってるのも同然じゃないですか。そしてこんな事を答えれば記録が残る。
 今日の東京新聞夕刊もその記録の一つでしょう。
 俺みたいなサラリーマンがその記録を見れば激怒する。そもそも党の過労死撲滅策を聞くアンケートに「過労死助長策」を答えてるんですから正気じゃない。サラ金問題撲滅団体に「サラ金問題解決のため何をすべきだと思いますか」と聞かれ「金利規制をなくせばいい」と答えるくらい正気の沙汰じゃない(言うまでもなく高金利サラ金の問題の一つです)。
 最低賃金廃止公約の時もそうでしたが、マスコミが維新に甘すぎるが故に、「世間の目を全く考えず適当なことを言ってる」「結果、問題が表面化してからどたばた劇」としか思えないですね。これが躍進なんかしたら何やり出すかわからない。非常に恐怖を感じます。とはいえ、ここまで無茶苦茶な団体なら、にっちもさっちもいかず、「投票日12月16日が維新にとって最高の日、後は支持率は落ちるだけ、次の選挙が来る日が怖い(のでどんどん自民入りして正体バレバレ)」となる可能性もあるかなと思います。アンチ維新の俺の願望込みですけどね。