「経済」1月号の詳細については以下のサイトをご覧ください。興味のある記事だけ紹介してみます。
http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
特集「2013年の世界経済をどう見るか」
■巻頭言「国民的審判を」
(内容要約)
総選挙で少しでもまともな政治勢力(もちろん共産党もその中に入るが共産オンリーではない)を伸ばし日本の政治を良くしようという話なのだが、既存政党の中では一番「極右、弱者切り捨て路線」で「原発問題について質問されて党首石原がまともに返答できないような、まともに政策立案をしてるとは思えない最低最悪の政党・維新」が躍進しそう(そしてそのあおりもあって俺の支持する共産が議席を減らしそう)と言うのだから国民の愚かさには絶句せざるを得ない。選挙最終局面までがんばりが必要だが、最悪の結果がでてもめげずに戦い続けることが大事だろう。と自分と「反ネオリベ、反極右という広い意味での同志の方々」に呼びかけずには、言い聞かせずにはいられない。
■随想「心の中でスクラム組んで」(内田妙子)
(内容要約)
筆者はJAL客室乗務員*1不当解雇訴訟原告団長。一審では不当にも敗訴判決が出たが、くじけず逆転勝訴めざし最後まで仲間とともに頑張る、「『沈まぬ太陽』の恩地一のような気分だ」という文章には涙が出そうになった。俺もそういう「失業」という事態になる危険性がサラリーマンとして皆無ではない(つうかほとんどのサラリーマンはよほどのエリート以外そうだろう)わけで励まされる。自民だの維新だのが躍進したら「そうした失業の恐怖は全国民的なものになりかねない」のに国民も何を考えてるのかとぼやきがでるな。既に小泉改革がそうした事態を助長してるわけだし。
また、マスコミにも自分らの運動を記事にしてもらおうと様々な働きかけをしたが日本のマスコミは「経営危機なんだから仕方がない」レベルの認識しかないらしいことに愕然としたという筆者の文章にも愕然とした。こういう文章を読むとつい「マスゴミ」と言う言葉を使いたくなるな。「経営危機だから仕方がない」なんて態度だと今、経営が苦しいマスコミだって少なくないんだから、マスコミ社員の首も締まると思うけどね。
この間、NHKニュースで「中高年サラリーマンへの電機リストラの非情さ」というのを特集していたが、「何度も呼び出して辞職を迫ったあげく、それに応じない技術者A氏を経験などない不慣れな営業部門に飛ばし、フォローもせずに『低評価して減給』」という某電機メーカーの酷い話には泣きたくなったね。
A氏曰く「自分を含む社員への酷い対応も許せないがここまでうちの会社が社員に非情になったのか、これで先行き大丈夫なのかと思うと泣けた」というのにはただ絶句だ。
■世界と日本
【オバマ再選の米大統領選挙(田中靖宏)】
(内容要約)
オバマの再選と上院の過半数キープ(残念ながら下院は共和党が過半数)で米国の右傾化にストップがかかりほっと一安心という記事。オバマ再選においては「非白人」「女性」の力が物を言った、つまり共和党とは「非白人」「女性」にとって「金持ち白人男性中心の右翼政党」と見なされたことが、共和党の敗因。
【中国共産党第18回大会(平井潤一)】
(内容要約)
党大会では重要課題として「生活水準の向上と格差是正」「腐敗の撲滅」が従来通り重要課題として掲げられたという話。
【日銀の金融緩和政策(桜田氾)】
(内容要約)
日銀批判というよりは政府批判。消費税増税などの「デフレ促進策」をうちながら金融政策しても意味がない、金融政策は「打ち出の小槌」じゃないという当たり前の話。
■座談会「資本主義経済の危機をどう見るか」(増田正人、岩橋昭廣、朝日吉太郎*2)
(内容要約)
結論的には「日本を含む世界中で猛威をふるうネオリベラリズムによる弱者切り捨てに対抗していこう」というお話。
■「東アジア経済の発展と日本」(櫻谷勝美)
(内容要約)
中国、韓国など東アジア諸国の発展により、日本の輸出は過去に比べると伸び悩んでいる、そうした状況の克服のためにも東アジア共同体構想の実現が求められるのではないかという話。
■「雇用危機に立ち向かうILO」(筒井晴彦*3)
(内容要約)
「低賃金長時間労働」など雇用の劣化にたいしILOが「ディーセントワーク(人間らしいまともな労働)」を唱えその実現の為の諸活動をしているという話。
■座談会「第16回非同盟諸国首脳会議に参加して:世界を動かす非同盟運動」(小松崎栄、高草木博、緒形靖夫*4、田川実)
(内容要約)
非同盟会議の参加報告。米国との対立が深まるイランでの開催であり、会議の成功自体が危ぶまれたが、いっていの政治的成果(テヘラン宣言)が出せたことは幸いだったという話。
■シリーズ「フクシマは発信する(3)」
【海洋の放射能汚染と水産業への影響(片山知史)】
(内容要約)
原発事故による水産業への悪影響(放射能汚染で魚をとっても安全基準に抵触し販売できないため、廃棄するしかない、あるいは「安全基準値内でも放射能不安から表皮社が買ってくれない」いわゆる風評被害)での対策を政府は十分に取るべきという話。
■鼎談「教育の問題をどう考えるか:いじめの問題から子どもの権利条約へ」(牧柾名、山科三郎、世取山洋介)
(内容要約)
・いじめ問題などの子どもの問題は「生保受給者叩き」などのすさんだ日本社会の反映という面がある。子ども社会だけをよくしようということは不可能であろう。
・近年、教育現場にも影響を与えている「新自由主義(競争万能主義と弱者切り捨て)」「国家主義」にどう対応していくかが日本社会に問われている(対談時ではもちろん安倍自民や維新の躍進の危険性はわかっていないが、そうしたありうる事態にどう対応していくかという討議はなされている)。その対応において「子どもの権利条約」等の国際基準は一つの有効な武器だと言える。
■「消費税二桁の意味:日本の租税民主主義を考える」(安藤実*5)
(内容要約)
税金とは「直接税中心」「累進課税強化」こそが租税民主主義に適合的との立場からの消費税増税論批判。
■「株式市場におけるインサイダー取引の疑惑」(大島和夫*6)
(内容要約)
日本での最近のインサイダー取引事例を簡単に説明した上で、法令の強化と、規制機関の能力向上(人員を増やすなど)を主張。
■「21世紀型世界経済危機の現局面」(建部正義*7)
(内容要約)
「景気回復は金融政策で全て解決」的な傾向が強いネオリベへの批判。「累進課税を強化し消費税増税を辞める」「福祉を充実させ生活不安をなくす」などの手を打たずして景気回復は望めないとする。
■「増大するインドの再生可能エネルギー利用」(和田幸子)
(内容要約)
和田「再生可能エネルギー“先進国”インド」(2010年、日報出版)と言う著書がある筆者のインド電力事情報告。
インドというと日本右派は「原子力大国」と言いたがるし、それは間違いではないのだが、原子力への批判派は勿論存在するし、再生可能エネルギー(風力発電、太陽光発電)への投資も行われているという話。
■研究余話1「1952年・戦史解禁」(岩井忠熊)
(内容要約)
タイトルの意味は、「1952年にサンフランシスコ講和条約が発効し、日本の独立が回復された」ので「戦犯追及の危険性がなくなり高級将校による戦史が1952年以降多数出版された」と言う意味である。
ただしそれ以前にも一定の資料批判が必要とは言え、原田熊雄『西園寺公と政局』(1950〜1952年、岩波書店)、高木惣一『太平洋海戦史』(1949年、岩波新書)などの重要書籍は出ている。
■投書
11月号の唐鎌論文「日本の貧困と生活保護バッシング」の感想。投書者曰く「日本では最低賃金が安いので生活保護との逆転現象が起こることが生活保護受給者へのバッシング原因の一つではないかという唐鎌論文に共感した。最低賃金引き上げの重要性を改めて理解した」とのこと。