新刊紹介:「前衛」6月号

「前衛」6月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは6月号を読んでください)

■「スターリン秘史――巨悪の成立と展開:大テロル(下)」(不破哲三*1
(内容要約)
・連載の5回目。不破の言う「大テロル」というのはいわゆるスターリン粛清のこと。前号では「国内の粛清劇」が取り上げられていたが、今回は「ポーランド共産党の解散強要」など、スターリンの粛清劇は国外の共産党員にまで及んだことが指摘される。


■「第二次安倍政権と日本の政治・政党状況を考える(上)」(小松公生)
(内容要約)
読んでて暗くなるような論文ではある。対話形式で書いてみよう。

「安倍政権は第一次と違い、第二次では未だ支持率もそこそこ高く、参院選での結果によっては改憲の危機が云々されるようになっています。これについてはどうご覧になりますか」
小松氏
「第二次政権が支持率がある程度高いのは、いろいろと理由が考えられるでしょうが、私個人は以下の理由があるのではないか、と思います。
1)最大野党民主党のていたらく
 民主党自民党政治を変えるとして政権交代を実現しましたが、沖縄基地問題、消費税問題などで公約違反を重ねついに下野しました。そしてそうした公約違反への反省もない。党外のどの政治党派(極右的な維新の会、社民主義的な社民党など)と連携していくかなどについて、党内右派と左派の意見対立があって、参院選でどう自民と戦っていくかの方針もまともに立てられません。
2)維新の会の存在
 維新の会という『自民以上に極右的な政治集団』が一定の政治力を持っていることは『安倍政権の極右性が目立たなくなる』という効果を果たしていることは否定できないと思います。前回衆院選での維新躍進が本当に悔やまれますね。
3)アベノミクス
 今回、安倍政権は出来る限り『右翼的な路線は封印』して『経済の安倍』をアピールしようとしています。ただ後で述べるように『閣僚の靖国参拝中韓の抗議を受ける』『河野談話に否定的な態度で韓国の抗議を受ける』など少しずつぼろは出ていますが。基本的に安倍政権の『右翼路線封印』は過去の失敗を反省してるわけでも何でもないので、『前回と同じ事を何とかやろうとして反発をかう』ということになるわけです。また我が党はアベノミクスを「間違った経済政策」としていますが、「アベノミクスの成功」というのが「虚構でしかない」事が明白になれば支持率は当然、落ちることになるでしょう。アベノミクスの問題点を指摘していくことは大変重要だと思います。
4)マスコミへの懐柔
 これについては例えば赤旗『これでいいのか大手メディア、首相と会食 とまらない、社長に続き政治部長論説委員長らも』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-11/2013041101_01_1.html)を参照して下さい。先日の国民栄誉賞での安倍パフォーマンスもそうした懐柔策の一環であるわけです」

「安倍政権のアキレス腱というか、批判ポイントというのはどこと思いますか?」
小松氏
「いろいろ考えられますが、ここでは1)TPP、2)解雇自由化などの労働規制の緩和、3)消費税増税、4)歴史認識問題(靖国村山談話河野談話)と改憲問題、をあげたいと思います。
1)〜3)はどれも国民生活・国民経済に直結する問題であり、安倍政権の目指すところが実現すれば国民生活・国民経済に甚大な被害を与えることになるでしょう。特に1)は明らかな公約違反であると言う問題もあります。
4)についていえば、安倍路線では到底、中韓と言った近隣諸国とはやっていけません。安倍路線は『戦前日本は正しかった』という主張ですから米国にとっても容認できる代物ではないですし、韓国は米国の同盟国です。当然、米国からもだめ出しが入る。保守本流路線こそが従来自民党の方針であり、そうした態度ならばここまで安倍氏が批判されることもないわけですし、安倍氏の野望『改憲』を実現する上でもこうした極右路線は明らかに障害になります。
 しかし安倍氏安倍氏本人がごりごりの極右ですし、側近(第二次安倍内閣の下村文科相、稲田行革相など)も応援団・ブレーン(産経の阿比留記者、国基研の櫻井よしこ一派など)もごりごりの極右です。反省などせず、内心では『中韓の野郎共め!』と思いながら『対中、対韓関係悪化による経済へのダメージ』『アメリカのダメだし』が怖くて本性を出せず、かといって、野党党首時代、安倍氏がさんざん『極右的な意味で』勇ましいことを言ったので、自分の非を認めることも出来ないでしょう。曖昧な態度をとり続け、中韓両国との冷戦状態が続く、それを米国が何とかしろとせっつくという笑えない状況がしばらくは続くでしょう。参院選までにこうした安倍政権の問題点を広く国民に知らせる事によって少しでも安倍政権へダメージを与えたい、そして少しでも我が党の議席を増加させたいと思っています。」

「小松さんが引用する右翼方面の『歴史問題での安倍の態度』への複雑な心境吐露というのはある意味面白いですね。阿比留や八木が必死に『前回首相時代、保守派が「歴史問題」で安倍さんを批判するから、それもあって政権が短命になったんだ』『安倍さんが河野談話撤回などを表明しないからと言っても我慢しろ、参院選まで辛抱しろ』と言う趣旨のことを言っているのは興味深いですね。まあ、不幸にして参院選後も安倍政権が続いたとしても、『河野談話撤回』などは無理でしょうし、『安倍が俺達への約束をすぐに実現しないからと言って批判するな、耐えろ、安倍を信じろ』とはどれほど安倍に甘いのか、と思いますが。では次号もよろしくお願いします」


■特集「社会保障改悪路線か、拡充の道か」
安倍内閣の改悪策動を打ち破り、社会保障危機打開の改革を(谷本諭)】
【「効率化・重点化」が医療に何をもたらすか(寺尾正之)】
【制度見直し後の介護保険の課題は何か(林泰則)】
(内容要約)
谷本論文が総論的論文、寺尾、林論文が各論的論文であり、タイトルからもわかるように、寺尾論文は医療問題について、林論文は介護保険問題について取り上げている。
内容要約にかえて以下の記事を紹介しておく。

【総論】
日本共産党『消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言』
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2012/02/post-141.html
赤旗
主張『安倍政権の社会保障大義なき大改悪へ“潜行作戦”』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-03/2013040301_05_1.html
『首相答弁 事実に反する 「社会保障削減計画ない」?!、生活保護・介護・医療・年金…、改悪案 目白押し』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-02/2013020202_01_1.html
自公政権、来年介護保険・今年生活保護社会保障改悪動き出す』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-22/2013012201_02_1.html


【医療】
赤旗
主張『医療費の窓口払い、負担引き下げへ国は踏み出せ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-11/2013051101_05_1.html
主張『「混合診療」の解禁、「医療の平等」原則を崩すのか』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-04/2013030402_02_1.html
主張『後期高齢者医療制度、痛みをますますひどくする』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-16/2013021601_05_1.html
主張『障害者「基本合意」3年、国は完全実施の約束を果たせ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-10/2013011001_05_1.html


介護保険
赤旗
『13万5千人署名 介護保険緊急改善を、この声聞いて、民医連国会行動』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-21/2013022101_04_1.html
主張『介護の生活援助短縮、“使わせない”路線を転換せよ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-29/2012102902_01_1.html


【医療・介護保険以外の問題】
赤旗
主張『物価上昇と生活保護削減、暮らしを壊す“あべこべ政治”』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-09/2013040901_05_1.html
主張『生活保護削減と国民生活、貧困底なし社会をつくるのか』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-20/2013022001_05_1.html
主張『一人親世帯の支援、親も子も安心できる暮らしに』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-31/2012103101_05_1.html


■「東日本大震災二年:いま何が水産業復興の課題となっているか」(有坂哲夫)
(内容要約)
要約にかえて以下の記事を紹介しておく。

赤旗
『浜の漁師の声尊重を、水産業復興特区 高橋氏が批判』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-02/2013050202_03_1.html
『水産加工資金促進を、紙議員 12年度わずか12件』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-03-28/2013032804_06_0.html

http://www.jcp.or.jp/seisaku/2011/20110517_daishinsai_genpatsu.html
『大震災・原発災害にあたっての提言(第2次)』より水産業関係の引用
水産業
 多くの漁港や施設が壊滅的被害を受けており、水産業の再出発のためには、生産・加工・流通までをセットで再生する総合的な全面支援が不可欠である。漁船では、激甚災害法で、5トン未満の小型船は3分の2を公費でもつことになっているが、被災地での小型漁船はほぼ壊滅状態であり、中型、大型船にも大きな被害が出ている。激甚災害法の枠組みでは、とても再出発はできない。養殖施設の破損は、90%は公費負担ということになっているが、実際は「減価償却分を差し引く」とされ、昨年のチリ津波にさいしての養殖施設破損への公費負担は半分以下にとどまった。被災した漁業者からは、「船も、養殖も100%公費で」という強い要望が寄せられている。国がこれにこたえる具体的施策をとることを求める。

http://www.jcp.or.jp/seisaku/2011/20111007_sinsai_genpatsujiko_3th_teigen.html
『大震災・原発災害にあたっての提言(第3次)』より水産業関係の引用
水産業――「水産特区」押しつけをやめ、生産・加工・流通一体で再建する全面支援を】
 「水産特区構想」には、漁業協同組合をはじめ被災地から激しい批判の声があがっている。目先の利益第一の企業に漁協と同格の漁業権を与えたら、漁業資源の適切な管理が損なわれる。浜の荒廃を招く「水産特区」の押しつけの中止を求める。
 国がやるべきは、生産・加工・流通一体で水産業のインフラ(基盤)を復旧するために、総合的で全面的な支援に乗り出すことである。「グループ化しなければ補助しない」というやり方をあらため、すべての被災事業者を対象にした支援を行う。
 三陸の養殖漁業は重要な産業であり、海上施設、陸上施設の立ち上げを支援する。養殖を再開しても水揚げまでに2〜5年かかる。漁協などとも協力して、その間の生活支援、所得補償対策を行う。
【被災地に大打撃となるTPP参加に反対する】
 政府は、TPP参加について、11月のAPECアジア太平洋経済協力)首脳会議に向けて、「早期に結論を出す」としている。しかし、TPP参加による関税撤廃は、日本の米の90%を破壊するなど農業に壊滅的な打撃を与え、ワカメ、コンブ、サケ・マスなどの三陸沿岸の主要産品をはじめ水産業にも壊滅的な被害が及ぶ。被災地の復興に重大な障害となり、食料自給率低下を招くTPPへの参加はきっぱり断念すべきである。


■「原発労働の現場が問いかけていること」(布施祐仁*2
(内容要約)
今回も要約にかえて、以下の記事を紹介しておく。前衛掲載論文において「著書『ルポ・イチエフ』を書くに至った思い」や「現地取材によって得た考え」を布施氏は語っているので、布施本の紹介で片付けてもそれほどずれてはいないだろう。
手抜きだけど要約って本当に大変なんでねえ。俺が駄文書くより、使えそうな物があればリンクで片付けた方がいいかなと。


朝日新聞書評『ルポ・イチエフ:福島第一原発レベル7の現場』
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2012121000014.html
 ただし、朝日の記者は一般人ではなく、布施氏同様、ジャーナリストの端くれなんだから他人事みたいに「布施本に感動した」とか抜かしてないでまともな記事書けよ、書いてるのかよ?とは思う。


hatehei666の日記『布施祐仁著「ルポ・イチエフ」を読んで』
http://d.hatena.ne.jp/hatehei666/20130102/1357118760


Living Well Is the Best Revenge『布施祐仁「ルポ・イチエフ」』
http://tomkins.exblog.jp/19732724/


■写真家たちが見た福島第一原発
福島第一原発作業員:今月のグラビアから(尾崎孝史)】
(内容要約)
尾崎氏の書いた記事紹介で内容要約に代替する。

福島第一原発 フリーランス代表スチール取材報告 第1回』
http://www.news-pj.net/news/2012/1019.html
福島第一原発 フリーランス代表スチール取材報告 第2回』
http://www.news-pj.net/news/ozaki/20121102.html
福島第一原発 フリーランス代表スチール取材報告 第3回』
http://www.news-pj.net/news/ozaki/20121118.html
福島第一原発 フリーランス代表スチール取材報告 第4回』
http://www.news-pj.net/news/ozaki/20121207.html


■「貧困をさらに拡大する自民党政治の労働規制緩和」(脇田滋*3
(内容要約)
 内容要約にかえて赤旗記事の紹介と、脇田氏のホームページ(http://www.asahi-net.or.jp/~rb1s-wkt/)の紹介で代替する。もちろん細部では脇田氏の意見と赤旗とでは違うが「労働規制緩和に批判的」と言う大枠では共通しているので一定の参考になるだろう。
 脇田氏のホームページ上をざっと見た限りでは今回のインタビューに該当するような「安倍政権の労働規制緩和批判」といった雑文が見あたらないのは残念ではある。正直、小生が愛読している五十嵐仁氏の『五十嵐仁の転成仁語』(http://igajin.blog.so-net.ne.jp/)のようにブログでも書いて下さると親しみも持てるし、リアルタイムでのご意見がわかってありがたいんだがなあ。いや、忙しい中、そういうことをやる五十嵐氏の方が「奇特な方(もちろんほめている)」であって大概の方はそこまでできないだろうが。

赤旗
主張『労働規制改悪:財界の横暴に連帯して反撃を』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-24/2013042401_05_1.html
主張『労働規制の緩和:労働者保護の根幹破壊許すな』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-26/2013032601_05_1.html


■「解雇規制の緩和と金銭的解決制度」(萬井隆令*4
(内容要約)
Q&A方式で書いてみる。

Q1「日本の解雇規制が諸外国に比べて厳しいというのは事実か?」
A1「全くの間違いである。たとえばアメリカには日本には存在しない『雇用差別禁止法』が存在する。アメリカの雇用差別禁止法がどれほど機能しているかという問題はさておき、『日本には存在しない雇用差別禁止法が米国には存在する』という事実だけでも『日本の解雇規制が厳しい』と言う主張は間違いである。むしろ労働契約法16条が成立するまで日本には判例法以外には解雇規制は存在せず、むしろ『規制は甘い』のである。」

Q2「解雇無効判決が出ても多くの場合、企業の抵抗で現職復帰がかなわず金銭処理で解決することが多いのだから金銭処理制度にしても大して現状と変わらないのではないか?」
A2「そもそも現職復帰が困難という現状を当然のものとしているところがおかしい。なぜ『現職復帰を応援する法制度構築』を考えないのか?。発想が完全に『解雇を行う企業側の目線である』と批判せざるを得ない。また現職復帰が困難であることは事実だが、現職復帰がないわけではない。ある調査に寄れば、解雇無効判決を得た労働者の約4割が現職に復帰している」

Q3「今回の解雇金銭処理制度はドイツの制度を参考にしていると言うが?」
A3「ドイツでは解雇を行うに当たっては『経営組織法に基づく従業員代表』との事前協議が義務づけられており、その手続きを経ずに行った解雇は原則無効である。また解雇の金銭処理解決は確かに可能だが、その場合、配置転換や減給など『解雇以外では問題解決が困難であること』や『差別的解雇でないこと』を企業が証明する必要がある。
 ここからは2つのことがわかる。まず第一にドイツにおいても『解雇は最後の手段』であり、解雇の金銭処理解決が無条件で実施できるわけでもなければ、当然視されているわけでもないこと。第二にドイツの金銭処理解決制度は『経営組織法に基づく従業員代表制』など、『日本にはない制度が前提にされている』ため単純に『金銭処理解決の部分だけ日本に導入するのは適切ではないこと』である。ドイツをモデルにするならば、『ドイツ労働法全体』を参考にすべきであり、企業側に都合のいい部分だけつまみ食いするのは不当である」


 最後に赤旗の記事を参考に紹介しておく。
赤旗『解雇の自由化:安心して働ける土台を崩すな』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-19/2013041901_05_1.html


■対談『オスプレイ、米軍基地被害、米兵犯罪、密約:いま安保条約を問う』(吉田敏浩*5井上哲士
(内容要約)
 内容要約にかえて以下の記事を紹介しておく。

オスプレイ
赤旗
主張『オスプレイ追加配備、県民無視した合意に怒り沸騰』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-09/2013050901_05_1.html
主張『オスプレイ本土訓練開始、痛みのたらい回し許されない』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-06/2013030601_05_1.html
主張『オスプレイ「建白書」、沖縄の訴えに応えるべきだ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-31/2013013101_05_1.html


【米兵犯罪】
赤旗
主張『後たたぬ米兵犯罪、基地の撤去はいよいよ急務』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-11-26/2012112602_01_1.html
主張『沖縄中学生暴行事件、米兵の身柄引き渡しを求めよ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-11-10/2012111001_05_0.html


密約問題
赤旗オスプレイ配備強行 背景に密約、米解禁文書 「事前協議の対象外」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-24/2012092401_01_1.html

日米軍裁判権放棄密約事件(ウィキペディア参照)
 日本が在日米軍裁判権について、「重要な案件以外」放棄していることが、アメリカ合衆国の公文書公開で明らかにされた事件のこと。
 以前より日本政府と在日米軍との間における、裁判権に関わる密約の存在は指摘されていたが、2008年、国際問題研究家の新原昭治がアメリカ国立公文書記録管理局で、米国側の機密指定解除により公開された公文書から、この指摘を裏付ける記述を発見してからこの問題が公にされた。
 新原の調査によると、1953年、日本政府は在日米軍将兵の関与する刑事事件について、「重要な案件以外、また日本有事に際しては全面的に、日本側は裁判権を放棄する」とする密約に合意した。その後5年間に起きた、約13000件の在日米軍関連事件の97%について、裁判権を放棄。実際に裁判が行われたのは約400件だけだった。また、新原と共同通信社が入手した『合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料』(法務省刑事局警察庁刑事局が1954年から1972年にかけて作成)などによると、法務省は全国の地方検察庁に「実質的に重要と認められる事件のみ裁判権を行使する」よう通達を出した。

海鳴りの島から『日米地位協定密約問題
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/d949b59fbe233a33e0092fd7813cdcdf

アジアプレス
『《連載》国家が情報隠蔽をするとき(1)――序 「知る権利」を侵す秘密の闇【吉田敏浩】』
http://www.asiapress.org/apn/archives/2009/07/07080951.php
『《連載》国家が情報隠蔽をするとき(46)――第1部 米兵犯罪裁判権をめぐる日米密約【吉田敏浩】』
http://www.asiapress.org/apn/archives/2010/01/27111102.php

 『《連載》国家が情報隠蔽をするとき』は「米兵犯罪についての裁判権放棄」密約問題を取り上げた吉田氏の連載。
 現時点では46が最新記事らしい。全部載せるのは面倒なので初回記事と、最新記事である46のみ、リンクを張って紹介しておく。


■「インターネット選挙運動の解禁:国民の選挙権と選挙運動の自由」(山本陽子
(内容要約)
 以下の記事紹介で内容要約に代替するがいくつかコメント。
1)共産の態度は「選挙権のない企業、団体には解禁すべきではないが、選挙権のある個人について原則自由化すべき」という立場らしい。
2)今回の立法については「一定の規制緩和がされたことは良かった」が「内容がわかりにくいため、個人のネット選挙活動につながるか疑問(全面自由化ではないため規制に引っかかるのを恐れてネットを選挙運動に活用しない可能性がある)」と共産は批判的なようだ。
3)なお、山本氏が「ネット選挙解禁をいわゆる『べからず選挙』の是正につなげたい」というのは全く同感である。


赤旗
『ネット選挙法が成立、参院本会議で全会一致』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-20/2013042002_02_1.html
『ネット選挙解禁、国民参加型の選挙へ、佐々木憲昭衆院議員に聞く』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-19/2013041905_01_1.html
『ネット選挙 企業解禁反対、佐々木議員 啓発費削減を批判』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-14/2013041404_04_1.html
衆院特 ネット選挙法案可決、共産党修正案 「ウェブもメールも解禁を」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-12/2013041202_02_1.html
『企業・団体への解禁 問題、ネット選挙で参考人指摘、衆院特別委で佐々木議員質問』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-05/2013040502_02_1.html
『ネット選挙法案 顧客名簿でメール可能、佐々木氏 企業・団体への解禁批判』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-03/2013040302_01_1.html
『ネットによる選挙運動、企業・団体の利用は問題、共産党 個人への解禁が原則』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-23/2013022302_01_1.html


■論点
【借金を背負わせる異常な奨学金制度をただす(宮本岳志)】
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で内容要約に代替する。

赤旗
『論戦ハイライト:奨学金問題 宮本議員が追及』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-02/2013040202_01_1.html
奨学金 有利子が7割にも、サラ金以上の取り立て 宮本議員告発、文科相“適切な対応考える時期”』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-02/2013040201_01_1.html


【旧社会保険庁の解雇の不当性と人事院判定(行沢寛史)】
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で内容要約に代替する。

赤旗
『旧社保庁職員の解雇取り消す、大阪の1人 人事院が初判定、秋田は「不当(注:判定)」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-06/2013040601_04_1.html
人事院厚労省の暴挙正せ、国公労連 社保庁解雇撤回訴え』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-19/2013011905_01_1.html


■暮らしの焦点
【被災者の「終の住み処」を奪う借上公営住宅からの追い出し・神戸(大かわら鈴子)】
(内容要約)
以下の記事紹介で内容要約に代替する。

赤旗
『被災者の居住継続を、山下議員 追い出し回避要求』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-06-25/2012062505_02_0.html


日本共産党神戸市議団
『借上継続で入居者の不安解消を』
http://www.jcp-kobe.com/topics/welfare-medical/953/
『「借上市営住宅懇談会」について市長に申し入れ』
http://www.jcp-kobe.com/topics/living-dwelling/962/
『借上住宅連絡会総決起集会:希望者全員の入居継続を』
http://www.jcp-kobe.com/topics/living-dwelling/1034/
『借上入居者の継続入居を(都市計画総局)』
http://www.jcp-kobe.com/topics/living-dwelling/1062/
『市長が継続入居決断を:借上住宅 孤独死出さぬため (総括質疑)』
http://www.jcp-kobe.com/topics/welfare-medical/1089/
『希望者の継続入居認めよ 借上げ問題で市に申し入れ』
http://www.jcp-kobe.com/topics/living-dwelling/1123/


■文化の話題
【映画:カネミ油症の被害者達の生き様を映し撮る:「食卓の肖像」(伴毅)】
(内容要約)
 うまく要約できないので、ひとまず、映画「食卓の肖像」公式サイト(http://shokutaku.ne.jp/)と監督・金子サトシ氏のツィッターhttps://twitter.com/satokaneko)を紹介しておきます。


【美術:ドキュメント「Document YAKINIKU:アーティスト・アクションin枝川」(武居利史)】
(内容要約)
 これについては以下の朝鮮新報記事が参考になると思うので、その紹介を内容要約に代替します。なお本の購入方法については、FAX番号、メールアドレスが朝鮮新報記事に書いてあります。コリアブックセンター(http://www.krbook.net/)でも取り扱ってるそうです。

朝鮮新報
「Document YAKINIKU―アーティスト・アクション in 枝川」出版
東京第2学校創立から旧校舎との別れ、そして新校舎までの記録
http://chosonsinbo.com/jp/2013/04/0419ks/


■メディア時評
【新聞:TPP交渉参加問題と選挙制度改革(金光奎)】
(内容要約)
「全国紙は酷い、地方紙はまとも、以上」と言う内容ですね。どう酷いのかというと
【TPP】
全国紙)TPP参加は不可避なんだ、国益なんだ。財界も霞ヶ関もそうしろと言ってるし、米国は同盟国だ。「公約違反?」。そんなの関係ない!。はいオッパッピー
地方紙)そもそもTPP参加は自民党の公約違反。また各方面からの「TPPで国益が害されないか」との批判、質問に政府はまともに答えていない。現状では到底参加を支持できない
選挙制度改革】
全国紙)まず「0増5減」を実施しろ。本格的選挙制度改革など言っていたら何も進まない
地方紙)「0増5減」は弥縫策でしかなく、すぐに「効果がなくなること」は目に見えている。この際、抜本的な「一票の格差是正策」に乗り出すべきだ。


【テレビ:「地デジ化跡地利用」をめぐる迷走とAMラジオ(沢木啓三)】
(内容要約)
・テレビの地デジ化によって出来た周波数の余裕、いわゆる「地デジ化跡地」について未だにどう利用するか決まっていないという話。
・今出てる話がいくつかあって一つが「アナログラジオのデジタル化」なんだそうだ。ただ、「テレビのデジタル化」もそうだったがラジオのデジタル化も1)放送局の設備更新、2)デジタル放送受信機の普及、というテレビと同じ問題がある。問題はラジオがマイナーメディア化してる現在、「ラジオ局が設備負担に耐えられるか」と「視聴者が受信機を買い換えてくれるか」である。
・もう一つ出てる話が「AMラジオのFM化」だそうだ。
たとえば、以下の記事を参照。
 朝日新聞『AM局、FM化検討 ラジオのデジタル化に壁』
 http://www.asahi.com/shimbun/nie/kiji/kiji/20130308.html

でこれにはメリットとデメリットがあるようだ。
沢木氏が指摘するメリットは以下の通り。
1)FMの方が音質がいい
2)設備投資が安くて済む
デメリットは
1)今のFMラジオでは「地デジ化跡地のFM放送」はおそらく受信できない。対応受信機の普及が必要、だそうだ。
他にどんなメリット、デメリットがあるかググって見る。


kinbusのうだうだ文字放送局『AMラジオのFM化?』
http://blog.livedoor.jp/kinbus/archives/51957050.html
メリット
1)高音質化
2)受信環境の強化。AMに比べ雑音に強いこと。
3)送信所の集約化(結果として低コストですむ)
 1)、3)については沢木氏も指摘している。


デメリット
1)遠距離受信が不可能
2)90〜108MHzの周波数帯*6を利用する場合、対応する受信機が限られる。これは、ラジオ受信機がFMの場合、現在の日本のラジオ局の周波数帯に合わせてつくられている場合があり、そうなると受信可能な周波数が76.0〜90.0MHzの範囲となっていることがあるからです。
3)AM送信を継続した場合には、FM送信と2重に費用がかかりラジオ局の経営を圧迫する。
4)中継局の設置が必要。AM局なら中継局が必要ない場合もあるが、FMでは必要になる場合が考えられます。TOKYO FMだと東京タワーの送信所の他に、青梅や八丈島などに中継局があります。ただし、テレビ局の電波塔を使えるので負担は抑えられます。
 2)については沢木氏も指摘している。


■スポーツ最前線「新時代を迎えた男子フィギュア界:ソチ五輪に向けての日本男子の課題」(辛仁夏)
(内容要約)
1)4回転ジャンプは出来て当たり前
前回バンクーバーでは、ミスを避けるため4回転を跳ばなかった選手が金メダルとなったがここ数年の技術の進歩はめざましく今やほとんどのトップ選手が「当たり前のようにノーミスで4回転を跳ぶ時代」とのこと。
 最低限1回は4回転を跳ばないと、それだけで出遅れる、メダル獲得の可能性が大きく失われる、おそらくメダル獲得はほとんど不可能、そういっても過言ではないのだそうだ。

2)ノーミスで飛ぶのは出来て当たり前

この2つを当然の如くクリアした上で、プラスアルファが必要という話。

*1:著書『スターリン大国主義』(1982年、新日本新書)

*2:原発関係の著書として『ルポ・イチエフ:福島第一原発レベル7の現場』(2012年、岩波書店

*3:著書『派遣・契約社員 働き方のルール―これだけは知っておきたい労働法』(2002年、旬報社)、『労働法を考える』(2007年、新日本出版社)、『ワークルール・エグゼンプション―守られない働き方』(2011年、学習の友社)

*4:著書『労働契約締結の法理』(1997年、有斐閣)、『バイト・フリーター110番』(監修、2003年、かもがわブックレット)

*5:米軍基地問題の著書として『密約:日米地位協定と米兵犯罪』(2010年、毎日新聞社

*6:いわゆる地デジ化跡地のこと