今日のMSN産経ニュース(6/23分)

産経抄】6月23日
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130623/amr13062303140001-n1.htm

アイゼンハワー米大統領の訪日まで中止させたアンポ反対のパワーは、外国人の目からは不思議に思えたに違いない。特に米国にすれば「日本を守るために改定したのに」との思いが強かったはずだ。

「日本を守るために改定したのに反対した」ってのがすごいですね。よくそういうトンデモが言える。じゃあ改定以前のいわゆる旧安保は何のために存在したのか?。「日本防衛以外の事」を「存在目的」としていたのか。明確な形では「日本を守る義務がある」とは書いてなかった*1ようですが建前では日本防衛を目的としていたでしょうに(正確には極東の安全保障なども目的にしていたわけですが)。
 安保闘争について詳しくない人間ですら首をひねるでしょう。
 まず安保闘争での反対理由ですが以下のようなもんではないでしょうか。。

1)そもそも安保それ自体、あるいは安保には反対ではないが在日米軍それ自体に反対。反対している物の改定に賛成するのは筋が通らない
2)安保改定に反対。
 a)いわゆる極東条項がそのまま残されており、これでは日本防衛以外の理由での米軍出動が可能
 b)改定後では「米軍の日本防衛義務」が明記される代わりに「日本にも米軍と共同で防衛する義務」が課せられた。その結果、自衛隊の軍拡が進みかねない。また防衛を口実にした日米両国の対外軍事行動が起きかねない


 次に何で安保闘争は激化したのかは以下のような理由だろうと俺は思います。
1)首相が極右の岸*2
 これが石橋首相*3が病気辞任しなければ、あるいは石橋辞任後の首相が岸以外の人間、たとえば石橋や岸と総裁選を争った石井光次郎*4が首相ならばあれほどの盛り上がりは見せなかったかもしれません。
 世間は「岸にとって安保改定は改憲とワンセット」と見ていたでしょうし、実際岸にとってはそうだったでしょう。
2)警職法の問題
 岸は在任中、「警職法改正」を企画しますが「デートも出来ない警職法」と批判され改正を断念します。彼が「元A級戦犯容疑者」というだけでなくこうしたこともあって以前から、「危ない極右政治家」と見なされていたわけです。
3)岸の高圧的な姿勢
 岸は安保条約を衆院強行採決し、安保反対運動を「国際共産主義の陰謀」、つまりソ連の手先呼ばわりします。本気かネガキャンかはともかく、安保反対派には保守派もいる*5のにソ連の手先呼ばわりしたことで完全に岸は反対派を敵に回します。
4)ソ連による米国スパイ機・U2型機撃墜事件(1960年)の発生
 当時においては米ソ戦の恐怖は机上の空論ではなかったわけです。「改定は米ソ戦の恐怖を助長するのではないか」という批判には一定の説得力がありました。

競技場建設に多額の公金をかけることに反対なのだそうだ。

まあ、日本だって同様の理由から東京五輪招致反対派がいますから理解は出来ます。
とはいえ、「招致計画発表時」に了承は取ったわけでもやもやした気持ちは残ります。
「招致時は経済が好調だったが今はそうではない」とかそういうことでしょうか。

*1:日本の要請により日本防衛を行うことができるという書き方

*2:自民党幹事長、石橋内閣外相を経て首相

*3:吉田内閣蔵相、鳩山内閣通産相を経て首相

*4:池田内閣通産相、佐藤内閣法相などを歴任

*5:まあ、左派だってソ連の手先ではないですが