今日のMSN産経ニュース(6/24分)(追記あり)

【最初に追記】
どうもこの阿比留文章、つか氏の文章を都合よく引用したというとんでもない代物のようです。
(誰かの妄想・はてな版『つかこうへい「娘に語る祖国 「満州駅伝」従軍慰安婦編」より』(http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20130629/1372504776)参照)。小生は「阿比留氏の引用するつか発言」を事実とみなしてつか批判していますが結果的にはつか氏に対して失礼な行為をしたように思いますのでここに謝罪します(言い訳させてもらえば、本来一番が罪が重いのは阿比留ですが)。ただし「つか発言をネタにした阿比留理論」への批判は意味があると思うのでそのまま残しておきます。


【視線】慰安婦、つかこうへい氏の見方「歴史は優しい穏やかな目で」 阿比留瑠比
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130624/plc13062413040005-n1.htm

「強制連行の証拠はない」「慰安婦は性奴隷ではない」など正当な主張は、百万回でも繰り返すべきである。

 「強制連行の証拠はある」し、「慰安婦は性奴隷」なのでそれを否定する主張を何回繰り返そうと誰も支持なんかしません。むしろ日本の評判が落ちるだけです。

「僕は『従軍』という言葉から、鎖につながれたり殴られたり蹴られたりして犯される奴隷的な存在と思っていた*1けど、実態は違った。将校に恋をしてお金を貢いだり、休日に一緒に映画や喫茶店に行ったりという人間的な付き合いもあった。不勉強だったが、僕はマスコミで独り歩きしているイメージに洗脳されていた」

 以下、全て阿比留のつか引用が正しいと仮定して話を進めますが、単につか氏が馬鹿なだけじゃないですか。勝手に偏見で慰安婦を理解していたわけですから。マスコミがつか氏のようなイメージを流布していた事実はどこにもないですから。
大体この理屈だと小説「アンクルトムの小屋」のトムは奴隷じゃないことになりますよ。彼は最後には「悪辣きわまりない奴隷主」のもとで、非道な待遇によって死を遂げますが、それまでは「それなりに人道的な奴隷主」によって「それなりに人間的な対応をされてた」わけですから。
 あるいは江戸時代の吉原遊郭なんかも「客と遊女の恋愛関係があった」ら、「休日にレジャーがあった」ら法的にあるいは道徳的に問題がないんでしょうか?。そんなことはないわけです。

従軍慰安婦』という言葉が戦後に作られた

だとしてそれが何なんですか?。かつ「従軍慰安婦」と言う言葉にはネガティブな意味は何もありませんし、だからこそ最近は「慰安婦では違法な実態が表現されない」として「性奴隷」と呼ぶようになってるんですが。

慰安婦の主流が日本人だった

小生は不勉強なので「慰安婦の主流が日本人」か知りませんが、そんなことは「慰安婦が違法かどうか」とまったく関係ないんですが。

この事実についても、ほとんどのマスコミや左派系の政治家らは気付かないか無視している。

 秦の言うように「慰安婦の主流が日本人」かどうかはともかく、阿比留の言うように「日本人慰安婦の存在」を彼らは無視なんかしていないでしょう。阿比留が「無視してる」と思い込んでるか、言いがかりと知りながら言いがかりをつけているかどちらかでしょう。

筆者は12年10月に当時、元慰安婦に一時金(償い金)を支給するアジア女性基金の理事長だった村山富市元首相にインタビューし、こう問いかけたことがある。
 「慰安婦の多くが日本人だったことはどう考えるのか。今後は、日本人も一時金の支給対象とするつもりはあるのか」
 すると、村山氏は「うっ」と言葉に詰まったきり、何も答えられなかった。同席した基金理事が、慌てた様子で「今の質問はなかったことに」と取り繕っていた。

阿比留の言うことでは「村山氏の発言」「同席した理事の発言」とやらが本当のことかわかったものではありません。ま、それが事実だとしても「村山氏ら基金側が日本人慰安婦のことについて何も考えていなかった」と言うだけの話で、そんなことは「慰安婦が違法じゃない」なんて根拠にはまったくなりません。
 阿比留にしても「日本人慰安婦にも補償しましょう」と人道的なことをいうのならともかく「誰一人として一銭も払わないことにすべきだ」といいたいがためにこういうことを言い出したんでしょうから話になりませんね。

常識的に考えて、いくら戦中でも、慰安婦を殴ったり蹴ったりしながら引き連れていくようなやり方では、軍隊は機能しない。

証拠も出さずに「常識的に考えて」で話をしてしまうつか氏には呆れて物も言えません。大体「むき出しの暴力でなければ違法でない」なんてこともないわけですが。
そんな論法が許されるなら「常識的に考えて」、「慰安婦証言は大筋で信頼すべき」でしょう。「自分は慰安婦だった」なんて「常識的に考えて」普通の人間は口にしたい事実ではないからです。

人は、人を恨むために生まれてきたのではない。

と第三者が被害者にいうのならあるいは「反省すれば許す、いつまでも恨む気はない」として被害者が加害者にこの言葉を言うのならともかく加害者が被害者にいうのはただの居直りでしかありません。しかも被害者に向かって「慰安婦は違法じゃない」と言うなんて正気の沙汰じゃありません。
 そんな馬鹿なことをすれば恨まれても自業自得でしょう。まあ、「経済補償してくれ」「謝罪してくれ」ってのは必ずしも恨みの感情ではないでしょうが。

*1:従軍という言葉からそういうイメージなんですか?。変人ですね。「従軍記者」「従軍看護婦」なんかも「鎖につながれたり殴られたり蹴られたり」してたんでしょうか。「性奴隷」と言う言葉からそういうイメージを持つのならまだわかりますが