今日の北朝鮮・韓国最新ニュース(8/12分)(追記・訂正あり)

 日付がずれてますが連続更新の形にしたいので。
 
産経新聞「【書評】『夏目さんちの黒いネコ やむを得ず早起き2』関川夏央著」
http://sankei.jp.msn.com/life/news/131103/bks13110314300009-n1.htm
 なお夏目さんとは「夏目雅子(女優)」でも「夏目三久(元日本テレビアナウンサー)」でもなく、「夏目漱石(作家)」のことです。昔は荒木とつるんで「アンチ北朝鮮商売」をやって、『退屈な迷宮:「北朝鮮」とは何だったのか』(1992年、新潮社)、『検証・北朝鮮北朝鮮の全体像を読む』(荒木和博らとの共著、1992年、ジャプラン出版)とか出していたのが関川です。
 ウィキペ「関川夏央」によれば1990年代には

北朝鮮社会主義国家ではなく、破綻したカルト宗教団体である」

と荒木や島田洋一なみにとんでもないことを言っていたわけです。
しかし、最近の著作は見事なまでに

『本よみの虫干し:日本の近代文学再読』(2001年、岩波新書
二葉亭四迷の明治四十一年』(2003年、 文春文庫)
『白樺*1たちの大正』(2005年、文春文庫)
『現代短歌そのこころみ』(2008年、集英社文庫
『女流:林芙美子有吉佐和子』(2009年、集英社文庫
『「坂の上の雲」と日本人』(2009年、文春文庫) 
『おじさんはなぜ時代小説が好きか』(2010年、集英社文庫) 
『子規、最後の八年』(2011年、講談社
『東と西 横光利一旅愁』(2012年、講談社) 
『「一九〇五年」の彼ら:「現代」の発端を生きた十二人*2の文学者』(2012年、NHK出版新書)

と文学方面に一大進出です(ウィキペディア関川夏央」参照)。ウィキペディア関川夏央」にもはっきりと

2000年代以降は、朝鮮半島関係の執筆・発言は少なくなっている。

と書いてあります。
 しかもつきあってる出版社が「集英社」「講談社」「文春」「岩波書店」と大手有名出版社総なめです。
 まあ、「2000年代以降は北朝鮮ネタはもはや儲からない」という判断が関川にはあるのでしょうし、関川が「得意な分野」も「やりたいこと」も実は「文学方面」であった、「北朝鮮ネタ」はたとえるなら「女優や歌手になりたい女の子がまずはアイドルグループでデビューする」「俳優としてデビューしたい女の子がまずは特撮ヒーロー物に出演」程度のものでしかなかったんでしょう。だから「アイドルグループ、特撮ヒーロー物(北朝鮮商売)」を途中でやめて、「女優や歌手(関川の場合文学評論)」に転進したわけです。「巣くう会」というアイドルグループは今や先細りです。
 かつ「方向転換するだけの能力」が関川にはあったと言うことでしょう。おそらく「一部のアイドルグループ出身の女優、歌手」が「昔のアイドルグループ時代のことを語りたがらない*3」のと同様、関川にとって「アンチ北朝鮮商売時代」はもはや、あまり口にしたくない黒歴史でしょう。あの時代について聞かれれば応対するが、自分から進んでは語らないと。
 一方、荒木の一番やりたいことは「北朝鮮叩き」だし、そもそも「関川のように北朝鮮叩きから別の路線に方向転換する能力もない」からいつまで経っても北朝鮮叩きだし、次第に「相手してくれる出版社が極右系だけ」というお粗末な話になるわけです。
 まあ、俺個人は関川みたいな生き方は「機会便乗主義者」と呼んで軽蔑しますけどね。「その場その場の商売のこと」「そのとき何が受けるかと言うこと」しか考えてないわけですから。
 「名前を売るためなら何でもやる、儲けるためなら何でもやる」と言う生き方は好きになれないですね。そのうち関川は「文学評論」も捨てるのかも知れませんし。
 まあ、「アイドルグループや特撮物からの女優や歌手への転進」は「アイドルグループも特撮物」も「別に悪いことじゃない」からいいですけど関川が名前を売るためにやったことは「荒木とつるんで北朝鮮相手にあることないこと悪口雑言」ですからね。人として最低最悪でしょう。


東洋経済オンライン『北朝鮮の生活水準はベトナム、インド並み?:当局者が自ら公表、1人当たりGDPは904ドル』
http://toyokeizai.net/articles/-/20532

 2011年の1人当たり国民総生産(GDP)は904ドル、発電能力は750キロワットで同年発電量は503万キロワット、穀物生産量は2012年で529万8000トン。北朝鮮の経済状況を示すデータが、北朝鮮の経済専門家から直接明らかにされた。
 北朝鮮の朝鮮社会科学院経済研究所の李基成(リ・ギソン)教授が9月上旬、東洋経済など平壌を訪れた日本人ジャーナリストとの懇談の中で明らかにした。北朝鮮側、特に政府関連機関から具体的な経済データが直接出てくるのは、きわめてまれだ。
 懇談の中で李教授は、2011年のGDPは220億7000万ドル、1人当たりGDPは904ドルになると紹介。さらに、2007年の1人当たりGDPは638ドルとし、「それ以降、年率10%程度の経済成長を遂げていることになる。世界でもこれだけの成長率を記録している国はめずらしい」と付け加えた。
 また、電力不足で知られている北朝鮮の発電能力は750万キロワットで、2011年には503万キロワットの発電量となったと言い、「依然として電力に関しては(十分な量ではなく)難しい状況にある」と率直に認めた。
 さらに、「農業生産の引き上げに努力しており、食糧問題はまだ楽観を許さない」と前置きしたうえで、2012年の穀物生産量は529万8000トンで、前年比16万トンの増加になったと明らかにした。これまで、北朝鮮に必要な穀物総量は約600万トンと言われており、李教授も「まだ不足しており、一部の穀物は輸入している」と認めた。
(中略)
 これまで、北朝鮮の経済指標は北朝鮮自らがデータを発表することがなく、そのため韓国の政府機関などが関連情報を集めて推計したものが北朝鮮の経済指標として発表されてきた。
 その一つ、韓国の中央銀行である韓国銀行が「国民総所得」(GNI)として、2011年の北朝鮮の1人当たりGNIを1204ドル(前年比0.8%増)と発表している。同行はまた、2012年の1人当たりGNIは1216ドルとも発表している。さらに、韓国の民間シンクタンクで、北朝鮮経済の研究では定評がある現代経済研究院が今年7月に発表した2012年の1人当たりGDPは783ドル、11年は720ドルと発表しており、李教授が発表した数値とは乖離がある。
 また、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)はアジア諸国GDPを発表しているが、これによると2011年の北朝鮮の1人当たりGDPは506ドルと、李教授の数値とはさらに離れている。
 さらに、李教授が触れた「2007年から11年まで年率10%成長」について韓国銀行の発表データを見てみると、GDP成長率は07年マイナス1.2%、08年3.1%、09年マイナス0.9%、10年マイナス0.5%、11年0.8%と、これも両者間で大きな乖離が見られる。
 北朝鮮経済に詳しい、環日本海経済研究所(新潟市)の三村光弘調査研究部長は、1人当たりGDPについて「904ドルという数字は、実際より高めの数字ではないだろうか。1000ドル近い1人当たりGDPなら、1500ドル程度のベトナムやインドよりも、少し遅れているレベルになる。平壌だけを見ると2000〜3000ドル程度と言っても差し支えない*4が、地方との落差を考えながら総合的に考えてみると500〜700ドルレベルでは」と推測する。
 発電能力についても、「李教授が紹介した発電能力と発電量が実際にどのような定義で言われたのかがわからないが、発電設備能力で750万キロワットがあり、実際に503万キロワット発電できれば、状況はかなり改善したほうだろう」と言う。また、穀物生産量でも、「前年比16万トン増は、まずは納得できる数字。国家から買い上げるコメの価格も、通常より10(北朝鮮)ウォンプラスされたという情報もある。農民たちのインセンティブを高める施策が広がっており、実際に農村地域では肥料の生産、地力向上に熱心に取り組む農民たちが増えているようだ」と紹介する。
 三村氏は、「北朝鮮は国際的比較ができるようにデータの作成作業に向けて動いているようだ。だが、国連統計委員会で採択され、世界中で同一基準に基づいたデータとなるSNA(国民経済計算)を導入するのか、また国営部門、非国営部門などどこまで自国の経済データを収集・分析できるかは不透明だ」と指摘する。
(中略)
週刊東洋経済」10月7日発売号では、北朝鮮特集〜「金正恩*5の経済学−開放路線*6に未来はあるか」を掲載予定です。

北朝鮮について議論するのならやはりこういう「統計データ」で議論することが大事でしょう。救う会のような「北朝鮮崩壊論」は話にならないでしょう。
 しかし記事に指摘があるように「韓国銀行やESCAPの推計値とは開きがある」ので、李基成(リ・ギソン)教授の報告数値が正しい保障はもちろんない(水増しの可能性はある)ですが、こういう報告をすること自体が変化の表れではないかと思いますね。
 また、仮に水増しだとしても「電力不足や食糧不足の存在」は認めているし、「1人当たりGDPも904ドルとインド、ベトナムを少し下回る程度(最近経済成長していると言ってもインドやベトナムは都市部はともかく、全体で平均すると、まだまだそんなもんなんですね)」というのは韓国と比べたら全然下回ってる数値だと認めてるわけです(まあ、経済の専門家・李教授が「韓国の1人当たりGDPを上回ってる」などの明らかなガセ数値を、経済ジャーナリストの前で言うわけにもいかないでしょうが)。
・なお記事に名前が出てくる三村氏の所属組織「環日本海経済研究所」の役員は以下の通りです。
 別に親北朝鮮とか左翼的とかいうわけでもなくて、まじめに「環日本海での経済活動を促進するための組織(どちらかというと保守より?)」であり、当然、三村氏の分析もそれなりに根拠のあるものでしょう。三村氏は明らかに「巣くう会的な崩壊論」は採用していないわけです。

http://www.erina.or.jp/jp/Info/riji.htm
評議員
宇部文雄:一般社団法人東北経済連合会副会長
栢原英郎:公益社団法人日本港湾協会名誉会長(元・運輸省大臣官房技術総括審議官)
塩谷輶英:公益財団法人労働科学研究所理事長(元・経済企画庁顧問)
鈴木聖二:株式会社新潟日報社執行役員論説編集委員室長
中山輝也:特定非営利活動法人新潟県対外科学技術交流協会理事長
西村伸也:国立大学法人新潟大学副学長
森邦雄:新潟県副知事
山口英樹:新潟市副市長

【理事】
代表理事
 西村可明*7:公益財団法人環日本海経済研究所所長
業務執行理事
 伊藤幸一:公益財団法人環日本海経済研究所事務局長
理事
 大倉俊司:株式会社日本政策投資銀行新潟支店長
 坂本光弘:東北電力株式会社上席執行役員新潟支店長
 田畑伸一郎*8国立大学法人北海道大学スラブ研究センター教授
 野崎茂:住友金属鉱山株式会社監査役
 若月章:公立大学法人新潟県立大学国際地域学部教授

【監事】
遠藤修司:新潟県商工会議所連合会専務理事
藤澤成:新潟経済同友会専務理事・事務局長

*1:いわゆる白樺派のこと。武者小路実篤志賀直哉有島武郎が中心人物

*2:アマゾンレビューなどに寄れば12人とは森鴎外、津田梅子(津田塾大学創始者)、幸田露伴夏目漱石島崎藤村国木田独歩高村光太郎与謝野晶子永井荷風野上弥生子平塚らいてう(戦前からの女性活動家。戦後も日本婦人団体連合会初代会長、世界平和アピール七人委員会委員などを歴任)、石川啄木。ただし一般的には津田、平塚は文学者とは言わないと思う。

*3:もちろん語ることに何らためらいのない人も一方でいますが

*4:ファンキー末吉氏が以前、自ブログで指摘した「平壌バブル説」「平壌経済成長説」を裏付ける発言ですね

*5:朝鮮労働党第一書記、朝鮮労働党軍事委員会第一委員長、北朝鮮国防委員会第一委員長、朝鮮人民軍最高司令官

*6:タイトルに注目しましょう。巣くう会と違い、東洋経済北朝鮮が「改革開放にシフトを切った」と見なしてるわけです。

*7:編著『移行経済国の年金改革:中東欧・旧ソ連諸国の経験と日本への教訓』(2006年、MINERVA現代経済学叢書)

*8:『環オホーツク海地域の環境と経済』(共著、2012年、北海道大学出版会)、『ユーラシア地域大国の持続的経済発展』(共著、2013年、ミネルヴァ書房