今日のMSN産経ニュース(10/26分)(追記あり)

【中高生のための国民の憲法講座】第17講 明治憲法制定の歴史的背景 長尾一紘*1先生
http://sankei.jp.msn.com/life/news/131026/edc13102611060001-n1.htm
 これが我が母校・中央大の教授かと思うと頭痛がしますね。小生が学生時代には長尾はこういう人ではなかったんですけどね。まるで「慰安婦問題発生後の秦郁彦の転落劇*2」「つくる会役員就任後の伊藤隆の転落劇」を見る思いがします。秦、伊藤、長尾が「変節した」のか「隠していた本性が露呈した」のか知りませんけど。
 勿論、中央大にはこの人以外にも教授はいます*3けど、つらいですね。
 何せウィキペに寄れば長尾は今やこういう人ですから。

ウィキペ「長尾一紘
 韓国の国会議員や地方自治体が領有権を主張する対馬対馬市)において、有権者は約3万人であり、市議会議員の最下位は685票である。したがって、外国人地方参政権が導入されれば、(注:韓国人が対馬市に移住することによって)対馬を韓国領土だとする市議会議員が数名は当選することが十分に考えられる。
尖閣諸島問題に関しては、(注:尖閣諸島が所属する)与那国町町長選挙では、過去、当落の票差はわずか103票ほどであり、大量に同島に在日中国人が移住すれば、容易に(注:尖閣中国領説の町長候補が)当選しうる。
沖ノ鳥島を中国は岩礁にすぎず日本の領土ではないとしているが、この島が属する小笠原村の村長選挙では、過去、(注:村長当選者の)得票は713票ほどであり、これも同様、容易に(注:沖の鳥島岩礁説の町長候補が)当選しうる。

 
 ウィキペにも書いてありますが実は元々は長尾は「外国人参政権容認」の立場です。それが「絶対ダメ、容認できない」という産経路線に何故か変説した上、理由がネトウヨ並みと言うんだから頭痛がしてきます。そもそも「対馬市与那国町小笠原村に韓国人、中国人が大量移住して」云々なんてことはないでしょうし、そんなことをしたところで現地住民の意思とかけ離れた「首長の当選」「議員の大量当選」などありえないでしょう。が仮にあったとして何だと言うんでしょうか?
 「対馬市長や与那国町長、小笠原村長」が「対馬尖閣沖ノ鳥島は日本の領土ではない」というと、「日本の領土」ではなくなるんでしょうか?。対馬市議会が「韓国に所属したいという決議」を可決すれば対馬が韓国の領土になるんでしょうか。まあ、あり得ない話でばかばかしすぎますが(追記:ちなみに以前読んだ雑学本に寄れば終戦直後の一時期、「長崎でなくて福岡に所属したい(福岡の方が豊かな県だから)」と言う決議が対馬の議会で可決されたことがあるらしいです。「長崎県の猛反発」&「福岡県が全く冷淡な態度だったこと」で決議は無効化しますが。福岡所属さえ難しいのに韓国所属なんて対馬市の力で実現できるわけがないでしょう)。
 さて話を産経コラムに戻します。

明治憲法はアジア最初の近代憲法として、明治22年に制定されました。当時、新たな憲法像を構想するさい、3つの参考モデルがありました。(1)君主専制のタイプ(ロシア)(2)行政権優位の議会制度のタイプ(ドイツ・プロシア)(3)政党内閣制のタイプ(イギリス)がそれです。

ロシアとドイツをあえて区別する必要があるんでしょうか。もちろん「日本はドイツ憲法を採用した」以上、「ドイツを皇帝専制と認めたくない」のはわかりますけど。

 戦後の学校教育において、明治憲法は、自由の抑圧をもたらし、軍国主義の強権政治をもたらしたものとされています。
 これが誤りであることは明らかです。戦時中に私権が制限され、行政権に権力が集中するのは、西欧諸国においてもみられる一般的な現象です。

やれやれですね。戦前日本のファシズム体制は「戦時中は一定の私権制限が見られることは欧米でも珍しくない」で片付けられる代物なんでしょうか?。まさかとは思いますが、「イタリアやドイツもファシズムじゃない、ただの戦時体制だ」なんて言わないでしょうね?

明治憲法を評価するさいには、戦時中の数年間ではなく、長期にわたる大正デモクラシーの時期を基準にすべきです。

やれやれですね。明治憲法というのは「解釈によって大正デモクラシー的に解釈も出来る反面」、一方で「昭和期ファシズムのようにも解釈できる代物」だったわけです。であるなら「昭和期ファシズムを元に明治憲法ファシズム体制をもたらした一因と評価する」のは当然でしょう。
 大体、前の文で「昭和期は欧米民主国家の戦時体制と変わらない」と言いながら「大正デモクラシー」云々というのは矛盾でしょう。結局「昭和期は欧米民主国家の戦時体制と変わらない」と言う主張に自信がないから「大正デモクラシー」云々という言い訳が始まるわけです。つうか「明治憲法は当時としては一定の先進性があったこと」位は産経や長尾の嫌いな左翼だって認めています。
 問題は「ファシズム体制を生み出すような憲法は今の時代ではお呼びじゃない、評価に値しない」ということです。

インドのネール首相は、日露戦争における日本の勝利について、「アジア人にとってうれしい驚きであった」と語っています。明治の日本は、植民地支配に苦しむアジアの人々に自信と希望を与えました。

やれやれですね。このネールの言葉には「しかしその期待は裏切られ日本は我々インド人のために何かしてくれたわけではなかった」「それどころか、欧米と同じ植民地支配を韓国相手に始めた」という主旨の失望の言葉が続くのですが。長尾と産経のせこい詐欺行為にはうんざりですね。

*1:著書『外国人の参政権』(2000年、世界思想社

*2:転落後の秦のトンデモ本としてはタイトルだけでトンデモぶりがわかる『歪められる日本現代史』(2006年、PHP研究所

*3:学部は違うけど吉見義明氏とか。まあ、吉見氏の存在はまともな人間にとっては「中央大の誇り」でしょう