新刊紹介:「経済」12月号

「経済」12月号の詳細については以下のサイトをご覧ください。興味のある記事だけ紹介してみます。
http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/

■巻頭言「教育委員会の哲学」
(内容要約)
 極右の安倍がもくろむ教育委員会制度の権限弱化(出来れば廃止したいのでしょうが)とそれとセットの「首長の権限強化」への批判です。ま、安倍のような極右が「自虐史観反対」などの極右的野望をストレートに教育現場に持ち込みたいというのが見え透いていますから批判されて当然です。

参考
赤旗『教育への首長権限強化、中教審文科省案 現行制度を改悪』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-09-27/2013092701_04_1.html


■随想「TPP参加撤回をめざして」(白石淳一)
(内容要約)
 筆者は農民運動全国連合会(全国農民連)会長。当然、文章内容は「農業の観点からのTPP批判」ですがもちろんTPPの問題点は農業だけではありません。だからこそ医師会など「農業関係以外の団体」も批判しているわけです。


■世界と日本
【中国ASEAN首脳会議(平井潤一)】
(内容要約)
 ウヨは「中国と東南アジアの対立ばかり強調」しますが、話はそんなに単純じゃないわけです。
 お互いつきあうことにはメリットがあるわけですから。でこういう首脳会議も開かれるわけです。

参考
赤旗『「南シナ海」 平和解決を、ASEANと中国が意欲、一連の会合開く』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-11/2013101107_01_1.html


IPCCの最新報告(早川光俊)】
(内容要約)
 IPCCの最新報告が従来以上に温暖化の脅威を強調しているという話です。

参考
赤旗
IPCC報告書、“温暖化防止はまったなし”、国連総長「行動」訴え』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-09-29/2013092904_04_1.html
主張『IPCC新報告、排出削減の公約を堅持せよ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-03/2013100301_05_1.html


少額投資非課税制度(野木秀夫)】
(内容要約)
 赤旗記事と大門衆院議員のサイト紹介で内容要約に代替する。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-27/2013032702_02_1.html
大門氏は、賃上げ策が乏しい一方で、株式投資に優遇税制を設けるやり方は逆立ちしていると指摘。株式配当・譲渡益を非課税とする少額投資非課税制度(日本版ISA)についてただしました。
大門
 個人貯金や高齢者の預金を株式などのリスクマネーに誘導するものだ。
財務相
 あまりにも預金に偏りすぎている。

http://www.daimon-mikishi.jp/kokkai/k-kiji/130326.html
大門実紀史
 今回の税制改正で変だなと思うのは、この日本版ISAですね。
(中略)
 毎年百万まで、最大五年間五百万までということで非課税にするということですけれども、その目的が私ちょっと気に食わないんですよ。
(中略)
 要するに、これ財務省の大変正直な若手の役人さんと議論するとはっきり言うんですけれど、やっぱり家計資産千五百兆、あるいは高齢者の預金、これをもっとリスクマネーに回してほしいと、株や証券にですね。誘導したいというようなことをもうはっきり言うならば、これは、しかも、資産形成といいますけれど、素人のそういう投資家という名前も付けられないような人たちが株でどれだけもうけられるのかと。大抵、さっき言ったけど、後で売り逃げ、売り抜け遅れて損させられる方なんですよね、巻き込まれて。それを、これやれば資産形成になるとか、ちょっとひどいんじゃないかと思うんですよね。
 例えば、この委員会で私ずっと取り上げたことがあるんですけれど、日本郵政投資信託をお年寄りに過度の営業戦略でばんばん売ったんですよ。それがもう大下落して、大損が広がってかなり問題になったことがあるんですよね。そういうことだってあったわけですよね。
(中略)
 もちろん、自分の責任で、自己責任で自分の意思で自由に投資するのはこれはもう勝手でございますけど、政府が証券会社の何か客引きみたいにこんな言葉で制度をつくると。
(中略)
 政府がこうやってわざわざ誘導するようなものはいかがなものかと思うんですけれど、常識的に考えてですよ。大臣、いかがでしょうか。
国務大臣麻生太郎*1君)
 少なくとも、こういった今度の日本版ISAというのをつくらせていただく背景というのは、少なくともリスクの高い金融商品へ投資を誘導するということを目的としているわけではありませんので、少なくとも日本の場合は個人が貯蓄しておられる部分の現預金の比率が世界の先進国の中では最も高い比率になっているというのは実態であります。そういった意味では、少なくとも安定的な資産形成というのを行うことを考えていかないといかぬのではないかと。余りにも現預金に偏り過ぎているのではないかということでありまして、それがこれを考えられた一番の背景なんだと思っておりますが。
大門実紀史
 ですから、本筋は、景気が良くなって、じっと寝ているのではなくて、そのお金が銀行にあるわけですから、銀行が投資をして、景気が良くなって投資すれば、金利も上がれば、利息も上がれば寝ているわけじゃないんですよね。全てデフレ、この不況に原因があるわけで、それを無理やり、リスク取らない連中がおかしいんだみたいな、これは話がもうあべこべだというふうに思いますので、ここは本当に、政府ですからやっぱり節度を持ってほしいなと思います。
 今申し上げたとおり、これは、ISAというのは、イギリスのやつの日本版といいますけれど、イギリスと違うんですよね。
(中略)
 イギリスは、個人貯蓄口座なんですね。これに対する非課税制度なんですよ。つまり、イギリスの場合は預貯金も非課税にしているんですよ、預貯金の利子も。日本の場合はこの投資関係だけなんですよね。これが大きな違いなんで、さっき言った利息が付かない、今大体もう貯金ができない人が増えて、なおかつ低額しか貯金できない人がいて、その方々の僅かな利子ですよ、これには二割掛けっ放しなんですよね。今度は、ちょっと余裕があって、投資をする余裕のある人には非課税にしてあげようと。普通に考えたらやっぱり変な話なんですよ。
 それは、やっぱりさっき言った、置いておかないで誘導したいからではないかなと思うわけですね。本来ならば、この僅かな貯金に二割も掛けっ放しじゃなくて、ISAという名前を付けるならば、イギリスと同じように個人の利息にももう非課税にするということが本来あるべきなのに、やっぱり誘導策であるというのはここにも表れるわけでございます。
 ちなみに、この二十年でこのゼロ金利政策、最初低金利ゼロ金利政策で、この二十年で受取利子から支払利子を引いた純受取利子というのは三百二十兆円マイナスなんですね。それだけ国民が利子所得奪われているわけでございます。やっぱり、この問題をきちっと考えないでこういう変な制度を打ち出されるのはおかしいなというふうに申し上げておきたいと思います。


特集「今、賃上げが決め手」
■「人事労務管理のフレキシブル化と成果主義賃金」(黒田兼一*2
(内容要約)
・「人事労務管理のフレキシブル化」とはこの論文においては「終身雇用と年功賃金の廃止」と言っていい。「終身雇用と年功賃金」は「安定雇用により労働者のやる気をもたらす」として高度成長時代には「日本企業の三種の神器」と呼ばれた(あともう一つは企業別労働組合)。
 しかし1990年代以降、日本企業は「終身雇用では余剰人員が発生する」「年功賃金では人件費がカットしづらい」としてこれらをスクラップの対象と見なすようになる。
 そして年功賃金にかわるものとして提唱されたのがいわゆる成果主義賃金である(もちろん年功賃金においても成果評価がないわけはないのだがそれはひとまずおく)。ただしこうした成果主義賃金は必ずしも成功したわけではない。なぜなら「何をもって成果とするか」が明確でなければ労働者の納得は得られず、かえってやる気を阻害する危険性があるからである。
・いずれにせよどのような「成果評価制度」をつくるにせよ、それには
1)評価基準が公正、透明で「反共労務差別」などに悪用される危険性がないこと
2)評価基準の策定について労組と企業が交渉を行うこと
3)査定結果に労働者が納得できる制度にすること(労働者の要望があれば企業が査定理由を説明したり、労働者が企業に不服申し立てを出来ること、そうしても不利益な取り扱いをされないこと)
が必要だろう(現状はそうではないわけだが)。政府もそうした状況を生むための制度改正に取り組むべきだし、労組もそうした状況を生むための活動に取り組むべきであろう。


■「デフレ脱却の国民春闘を:賃上げは国民的課題」(伊藤圭一)
(内容要約)
・まず諸外国(欧米先進国)と比べても日本の賃金の下落が大きいことが指摘される。
・その理由として「法制度の不備によるブラック企業の蔓延」「労組組織率の低さとそれに起因する労組の政治力の弱さ」「政府による公務員給与カット(これが民間企業の賃金カットを助長している)」があげられる。
・安倍政権は「法制度の不備によるブラック企業の蔓延」など現状をさらに悪化させる「賃金下落政策」を目指しており厳しい批判が必要である。
・また労組の組織率を高めることが重要である。労組の組織率を高める上でも、従来取り組みが遅れていた「男女別賃金格差」「正規、非正規の賃金格差」といった問題への取り組みが重要だろう。


■データで見る日本経済6・日本の賃金
(内容要約)
 統計データで見ると近年、日本の平均賃金は下がり続けているという話。もちろん「賃金が低い非正規が増えてるから」と言う理由もあるが正規の賃金も下がり続けている。


■「TPPが日本の地域社会・経済に与える影響」(岡田知弘*3
(内容要約)
TPPの批判。批判内容としては
1)「TPP反対」といっていた自民党の公約違反
2)TPP交渉過程がブラックボックスという秘密主義の問題
3)TPPの内容に対する批判がある。
 3)についてはこの論文では「農業に与えるダメージ」「ISD条項の問題」が主として指摘されている(他にも指摘される問題はあるが)。

参考
【自民の公約違反】
赤旗
『TPP これが自民党全議員の衆院選公約だ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-04/2013030407_01_0.html
『自民 TPP公約破り、重要5項目譲歩発言 列島各地に怒り広がる』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-09/2013100901_01_1.html
【交渉の秘密主義】
赤旗
『交渉前も 交渉中も 交渉後も、TPP 情報公開されず、衆院予算委 宮本氏追及』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-29/2013032901_03_1.html
『他国公表内容も拒否、TPP秘密交渉 政府が答弁書、紙議員に提出』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-08-14/2013081401_03_1.html
『TPP秘密交渉の弊害、共産党が当初から警告』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-08-25/2013082502_02_1.html
『TPP「特定秘密」指定も』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-03/2013110301_06_1.html
【農業へのダメージ】
赤旗
『農業所得 3483億円減、TPP試算 地域への影響明らかに、富山、米だけで4分の1喪失』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-23/2013052304_01_1.html
『TPP 10.5兆円生産減に、農業はじめ全産業へ波及、大学教員チーム試算』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-23/2013052301_03_1.html
『農家半減・雇用11万人減、TPP試算 北海道1.6兆円損失』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-20/2013032001_02_1.html

【ISD条項】
赤旗
『ISD条項は主権揺るがす、孫崎元外務省局長』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-03/2013050302_03_1.html
『米国無敗のISD、佐々木氏“主権侵害は明白”』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-24/2013032402_02_1.html


■「『科学技術イノベーション総合戦略』のゆくえ:科学・技術政策の動向を考える」(兵藤友博)
(内容要約)
 政府の「科学技術イノベーション総合戦略」は産業振興という要素が強すぎるのではないかと言う批判です。


■「生活保護改悪許すな:国民生活の「最低基準」引き下げに」(吉永純*4
(内容要約)
安倍政権が実行した生活保護基準引き下げ及び「いわゆる水際作戦合法化をねらった今後実行予定の生活保護法改悪」についての批判。

参考
生活保護基準引き下げ】
赤旗
生活保護基準 きょうから引き下げ、子育て世代ほど削減額大』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-08-01/2013080101_04_1.html
生活保護大改悪、不服審査請求広げ反撃、社保協・全生連が集会』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-09-01/2013090101_03_1.html
生活保護費削減 全国一斉に審査請求、7600超世帯 「生存権を空洞化」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-09-18/2013091801_02_1.html
生活保護引き下げに反撃、不服審査請求1万件超、“これでは生きられない”』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-12/2013101201_01_1.html
生活保護基準下げ 51制度に連動、帯広にみる 市民の4分の3利用、住宅家賃減免、住民税非課税、就学援助』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-22/2013102201_01_1.html
生活保護法改悪】
赤旗
主張『生活保護改悪、2法案の再提出を断念せよ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-12/2013101201_05_1.html
生活保護法改悪廃案に、研究者会見 共同声明1087人賛同』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-25/2013102501_04_1.html
『各地で親族に調査書、生活保護 改悪法案先取りを追及 参院委で小池氏、受給権を脅かす』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-08/2013110801_02_1.html


■「アベノミクス『異次元の金融緩和』の検証」(鳥畑与一*5
(内容要約)
1)アベノミクスの「異次元の金融緩和」が円安、株価高をもたらしながらも、それは喧伝されるほどの物ではないという指摘
2)そうした中途半端な物にならざるを得ないのは、「金融緩和で景気刺激」といういわゆるリフレ派の理論が間違っているから(この辺りの理屈は小生も無知なので今ひとつよくわからない)
3)また、「欧米リフレ派(多くは所得再分配にも目配りしている)」はともかく、日本版リフレ派(アベノミクス派)は「所得再分配には無関心」で「社会保障のカットや消費税増税」を実施する。そうした行為は内需を冷やし景気に悪影響を与えるし、景気回復を実現したとしても「実感なき景気回復」「賃金上昇、生活向上なき景気回復」にしかならず意味に乏しい
という批判である。
 1)について言えばよほどの「アベノミクス盲信者」でもない限り、喧伝されてるほどの成果は出ていないことを認めるだろう。円安による輸出大企業の利益は増加したが、それが国民消費につながってるとはとても言えないだろう。
 3)についていえば「金融緩和」とは直接関係ないが、
「いわゆるリフレ派はともかく、アベノミクスの景気回復論に極めて問題があると言うこと」
「リフレ派だからといって当然にアベノミクス支持とは限らない(例えばkojitakenの日記『スティグリッツ安倍晋三に「お墨付き」を与えているか』(http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20131108/1383868979)が紹介するスティグリッツ。いいエントリを見つけたら紹介したいがアベノミクス支持と喧伝されることが多いクルーグマンスティグリッツ同様、金融緩和部分を評価しているに過ぎないらしい)」
は出来るだろう。


■「タックスヘイブン多国籍企業の税不正をいかにしてなくすか」(一ノ瀬秀文)
(内容要約)
 タイトルに偽りありといった感じでやや、違和感がある。
 論文においては
1)タックスヘイブンの現状
2)しかしタックスヘイブンによる税逃れを希望する財界の圧力で欧米や日本がタックスヘイブン規制に消極的なこと
3)タックスヘイブン規制には国際的な規制が必要であること
が指摘されているが「タックスヘイブン規制の具体案」までは論じられていないからだ。
参考文献として紹介されている志賀櫻「タックス・ヘイブン」(2013年、岩波新書)を機会があったら読もうかと思う。


■コラム「故・品川氏と同友会精神」
(内容要約)
 品川氏とは品川正治氏のことで品川氏の追悼コラムです。

品川正治(しながわまさじ1924年7月26日〜2013年8月29日:ウィキペディア
 元・日本火災海上保険(現日本興亜損害保険)会長で、経済同友会終身幹事、財団法人国際開発センター会長。新自由主義的な経済政策への批判、平和主義・護憲の立場から発言や運動を行っていた。 「平和・民主・革新の日本をめざす全国の会」(全国革新懇http://www.kakushinkon.org/)の代表世話人の一人。
 1949年、東京大学法学部政治学科卒業。同年日本火災海上保険(現日本興亜損保)に入社。同社社長(1984〜1989年)、会長(1989〜1991年)を歴任。1991年より相談役。
 1993年から1997年まで経済同友会副代表幹事・専務理事を歴任。その後、同終身幹事に就任する。
 2004年、財団法人国際開発センター理事・会長に就任。
 「新自由主義への批判と護憲」という共通点から日本共産党が主催する赤旗まつりへの参加や、同党と共闘する政治運動「平和・民主・革新の日本をめざす全国の会」(全国革新懇)の代表世話人の一員を務めた。
 2013年8月29日、食道癌のため死去。89歳没。

■著書
単著
『戦争のほんとうの恐さを知る財界人の直言』(2006年、新日本出版社
『9条がつくる脱アメリカ型国家:財界リーダーの提言』(2006年、青灯社)
『これからの日本の座標軸』(2006年、新日本出版社
『手記・反戦への道』(2010年、新日本出版社
『戦後歴程:平和憲法を持つ国の経済人として』(2013年、岩波書店
■共著
憲法を変えて戦争に行こう、という世の中にしないための18人の発言』(井筒和幸井上ひさし香山リカ姜尚中・木村裕一・黒柳徹子猿谷要辛酸なめ子田島征三中村哲半藤一利・ピーコ・松本侑子美輪明宏森永卓郎吉永小百合渡辺えり共著、2005年、岩波ブックレット
『戦争を伝えることば:いらだつ若者を前にして』(清水眞砂子共著、2010年、かもがわ出版
■対談
志位和夫日本共産党委員長品川正治経済同友会終身幹事 響き合い対談』(2008年、日本共産党中央委員会出版局
『立ち位置変えず:品川正治対談集』(2010年、新日本出版社

全国革新懇というのはサイトの代表世話人名簿に

http://www.kakushinkon.org/sewanin.htm
志位和夫日本共産党委員長衆院議員)
矢野裕(前狛江市長)
山下芳生日本共産党書記局長代行・参院議員)

の名前があることでわかるように共産党色の強い団体です。ほかにも志位氏(共産党委員長)と対談したり、志位氏、不破氏ら共産党幹部の著書を出していることで共産党に近いと認識されている新日本出版社から本を出したりする品川氏は異色の財界人と言えるでしょう。
 彼としては「相談役や終身幹事」という「社長や代表幹事」といったものよりは引いた立場になったからこういうことがしやすいという考えがあると同時に「今の自民党に失望している」という面もあるのでしょう。
 「護憲の立場では共産党と共闘せざるを得ない、極右化した自民党は自分にとって支持できない」と財界人の品川氏が判断するのも何というか複雑な思いがしますね。昔の自民党なら品川氏に近い立場の人間はいくらでもいたはずですから。彼を受け入れた共産党側が「懐の深さ」を見せた点は評価したいと思いますが。

*1:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政政策担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相を経て首相。現在、第二次安倍内閣財務相

*2:著書『フレキシブル人事の失敗:日本とアメリカの経験』(共著、2012年、旬報社

*3:著書『TPPで暮らしと地域経済はどうなる』(共著、2011年、自治体研究社)

*4:著書『生活保護の争点:審査請求、行政運用、制度改革をめぐって』(2011年、高菅出版)

*5:著書『略奪的金融の暴走:金融版新自由主義がもたらしたもの』(2009年、学習の友社)