新刊紹介:「前衛」2月号

「前衛」2月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは2月号を読んでください)
 
■「スターリン秘史――1940年夏。スターリンヒトラー」(不破哲三*1
(内容要約)
・連載の第13回目。「独ソ不可侵条約附属議定書(独ソ密約)」に基づき、バルト三国併合をやすやすと実現したスターリンソ連共産党書記長)はさらなる領土的野望として「ルーマニア(当時、王国)」にベッサラビア割譲を要求しこれも実現した。ドイツが密約からソ連の行為を黙認し、英仏も対ドイツ対応で手一杯だったためバルト三国同様、ルーマニアソ連の要求をのむ他はなかった。
なお、現在、ベッサラビアはモルダビア・ソビエト社会主義共和国時代(旧ソ連時代)を経て、モルドバ共和国となっている(そうした経緯から、モルドバの人口の多数派はルーマニア系である)。
・独ソ密約に基づくソ連の「バルト三国併合」「ベッサラビア割譲」にドイツが異を唱えなかったことからスターリンは「英国がナチドイツに屈服するまでは両面作戦は困難であるし、ドイツの対ソ戦争はない」と見なすようになる(一般的に言って二正面作戦はリスキーすぎるし、実際、「冬将軍で自滅したナポレオン」という前例もある。結果としてナチスドイツもソ連戦争で自滅を招いた。スターリンの読みはそれほど不自然ではないだろう)。
・しかし1940年7月31日の政府秘密会議でヒトラーは政府閣僚に「対英戦争の動向に関係なくソ連打倒作戦を早期実施する方針(つまり最悪、二正面作戦になっても構わない)」を表明した(ヒトラーのこうした態度は単に反共主義が原因ではなく、二正面作戦になってもソ連軍に勝利できるとするソ連軍事力への低い評価が理由だったようだ。そうした評価の原因の一つはソ連フィンランド戦争でのソ連軍の苦戦だったと見られる)。
 スターリンの読みは外れていたのである(ただしヒトラーは準備期間を考えると1940年中の開戦は無理であり1941年の早い時期の開戦を主張した。実際の独ソ戦開戦は1941年6月)。
・しかしヒトラードイツはこうした方針を隠し、「敵(ソ連)をだますにはまず味方(日本、イタリア)から」とばかりに日独伊三国同盟(1940年9月に調印)について日本やイタリアに「日独伊三国同盟にはソ連もいずれ加え日独伊ソ四国同盟を目指す、そして米英に対抗する」と平然と虚言を吐いていたのだった。
 これを鵜呑みにした当時の松岡洋右外相*2が「四国同盟論による米国封じ込め」を画策し、日米関係を悪化させ、結果、太平洋戦争を招いたことを考えると、「ナチスの虚言」は日本の亡国を招いたと言える(もちろんドイツが本心、四国同盟論を希望していたとしてもソ連がそれに乗るとは限らないのに、四国同盟論に過剰に期待した日本はバカだし、仮に四国同盟が成立したとしてもそれで米国を押さえ込めると考えるのもかなり危険な考えだろうが。いずれにせよ、ここからは戦前日本が、少なくとも独ソ不可侵条約締結後はスターリンソ連を「国益のためならナチドイツとも手を握るマキャベリスト国家」と見なし「社会主義国と共闘など出来ない」とは全く考えていなかったことが伺える)。
・なお、不破は本論文の参考文献として三宅正樹*3スターリンヒトラーと日ソ独伊連合構想』(2007年、朝日選書)を上げている。


■座談会『「政治改革」20年 日本政治に何をもたらしたのか』(小沢隆*4、上脇博之*5、白髭寿一、穀田恵二
(内容要約)
・いわゆる政治改革の目的は建前では「政治浄化」であっても本心は
1)「小選挙区制度導入による少数野党の排除(与党の多数議席確保)」
2)「小泉郵政選挙に見られるように『反主流派』を公認権を使って恫喝し、主流派が抑え込むこと(小選挙区では公認を外されると当選が困難)」
だったといえよう。そうした思惑は「安倍自公政権の衆参両院過半数確保」「安倍による自民党完全支配(自民党内からの目立った安倍批判の不在)」として見事に実現したと言える。
・ただしその結果いわゆる自民党の強さの一つとされた「主流派と反主流派の論争」や「疑似政権交代」が消滅したことを考えるとそれが長期的には自民党にプラスかどうかは疑問である。
・皮肉なのは小選挙区導入の貢献者である細川護煕首相(日本新党代表)、小沢一郎新生党代表幹事、河野洋平自民党総裁がいずれも現在では政治生命を失ったことだろう。特に小沢が「少数政党排除」を自らもくろみながら「小沢本人が少数政党(生活の党)に転落したが為」悲哀を味わっているのは全く自業自得と言える。
小選挙区を辞め、中選挙区比例代表など、少数意見を反映した死票の少ない選挙制度にすることは民主主義の観点から急務と言える(なお、共産党自体は比例代表中心の制度を展望している)。


■『安倍改憲の歴史的位置と新たな特徴(下) 』(渡辺治*6
(内容要約)
・安倍の目指す改憲について現在の政治状況は以下のように分析される。
・安倍にとってのプラス面。
1)民主党が大敗し、それに変わる最大野党が存在せず、みんなの党、維新の会が露骨に安倍に媚びていること
2)米国が内向き傾向を強め、その代わりに日本に「極東の憲兵」「米国の副官」となることを求めていること
は安倍にとって有利な条件と言える。
・安倍にとってのマイナス面は安倍本人が生み出していると言える。
1)安倍は靖国参拝河野談話撤回論など極右外交で中韓との対立を深めている。この状況では「基本的には安倍の改憲を支持する米国」もうかつに安倍支持することは「米中・米韓関係を悪化させる危険性」がある上、安倍が「尖閣問題や竹島問題で中韓相手に開戦し、米国が安保条約からそれに巻き込まれる恐れ」すら否定できない。米国としては安倍を一定程度、牽制せざるを得ないのである。ここが同じ改憲派でも「野田佳彦*7前首相」などと安倍の大きな違いである。
2)安倍は改憲の前段階として「特定秘密保護法」を強行可決したが、これは世論やマスコミの批判を呼び、その結果いったんは安倍と修正協議に合意した維新の会が採決を棄権するに至った。また、みんなの党は渡辺執行部は賛成票を投じたが、江田憲治ら造反者が出、彼らはみんなの党を離党、「結いの党」を結党するに至った(みんなの党については結いの党誕生により、第三極としての力を失い、自民党への復党が予想される)。
 今後安倍が目指す改憲の内容・方法によっては同様の批判運動が起こる可能性がある。
・安倍改憲にどうやって対抗していくか。
 自公が衆参過半数を占める状況では多大な困難が当然予想されるが、「特定秘密保護法反対運動」の一定の盛り上がり(一部保守層も参加)を考えれば、「保守層を巻き込んだ改憲反対運動」を展開していくことは不可能ではないと思われる。その場合、既に存在する「九条の会」などの各種護憲団体を一つの基盤とすることが考えられる。
・過大評価は禁物だが「参院選での共産党の伸張」、「参院東京選挙区での山本太郎氏の当選」を考えると、安倍自民への批判層は少なくないと思われる。今後、共産党など安倍批判派がそうした「安倍批判層をどう増やしていくか、そうした層の期待にどう答えていくか」が問われていくと言える。


被爆70周年・2015年NPT再検討会議にむけて
【「核兵器のない世界」実現への課題(川田忠明*8)】
(内容要約)
 昨今の国連等での「核兵器廃絶の流れ」を大筋で評価するとともに、「核の傘論」に固執し、「核廃絶」に背中を向ける日本政府の消極的態度を批判。

参考
赤旗
『核不使用声明に125カ国、国連総会 日本政府が初参加』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-23/2013102301_02_1.html
『日本政府は、「核の傘」から脱却し、「核兵器のない世界」にむけた積極的行動を、国連の共同声明、志位委員長が談話』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-23/2013102301_03_1.html
主張『核兵器不使用声明、「核抑止力」論は相いれない』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-24/2013102401_05_1.html
『核禁止条約交渉開始を、国連総会で決議を採択、日本は棄権』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-07/2013120707_01_1.html


【響き合う草の根と自治体 地域から核兵器禁止のうねり(田中章史)】
(内容要約)
 筆者は日本原水協原水爆禁止日本協議会)常任理事。原水協が取り組んでいる核兵器廃絶運動について簡単に紹介。


■誌上再現『汚染水問題シンポジウム』(北澤宏一*9、舩橋晴俊*10、本島勲、廣瀬勝己、大島堅一*11笠井亮*12志位和夫
(内容要約)
 赤旗記事の紹介で代替。

赤旗
『汚染水どうする 共産党がシンポ、解決へ英知を集め』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-22/2013112201_03_1.html
『汚染水解決へ多角的提起、共産党シンポ 幅広い参加者』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-22/2013112204_01_1.html
『汚染水問題 どう打開、共産党シンポ パネリストの発言から』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-23/2013112303_01_1.html


■『オバマ政権以降の米国の戦略動向と日米関係:並行する軍事的覇権主義と外交重視』(小林俊哉)
(内容要約)
オバマ外交の特徴としては「軍事介入の回避傾向(介入否定ではない)」が上げられる。リビアカダフィ政権については限定的軍事介入を行ったが、、シリアについては「ロシアの政治介入」もあり軍事介入は見送られた。
 またイラクから米軍は撤退し、アフガンからも撤退の方針である。ブッシュjr政権の「イラク開戦の傷跡」は大きなものだったといえる。
・そうした中、安倍政権が中国との対立を深め「尖閣での軍事衝突すら危惧されること」は「軍事介入を出来るだけ避けたい米国」にとって迷惑な行為であると言える(特に安倍が靖国参拝など、中国どころか韓国やEU、ロシアからも避難される行為を行う事は非常に迷惑であると言える)。
 米国の対中国外交をどう評価するかは「米国政府内にも多種多様な意見があり一枚岩ではないこと」などで難しいが、少なくとも安倍のような「異常な中国敵視外交」でないことだけは確かであろう。防空識別圏ADIZ)問題で米国が安倍政権ほど中国に敵対的でないことはその一つの表れであろう。

参考
誰かの妄想・はてな版『中国ADIZに対する日米の姿勢の違い』
http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20131205/1386251195 


■『特攻隊と「学徒出陣」:侵略戦争の主力部隊とされた青少年』(高野邦夫*13
(内容要約)
・特攻隊の大部分が「学徒出陣」であったことは
1)「特攻隊でベテランパイロットを失うことをおそれ学徒兵を使い捨てにした」
2)「特攻隊のような無謀な作戦を納得させるには世間にうとい学徒兵の方が都合がいい」と
軍上層部が事を示していると思われる。その意味で特攻の野蛮さ、無意味さは当時から明白だったと言える。


■座談会「『古典教室』第3巻を語る」(石川康*14不破哲三*15山口富男
(内容要約)
 不破の著書「古典教室第3巻:第4課・エンゲルス『フランスにおける階級闘争』(マルクス)への「序文」、第5課・マルクスエンゲルス以後の理論史」(2013年、新日本出版社)についての座談会。
 なお、他に『古典教室』のシリーズとしては第1巻「古典教室第1巻:第1課・マルクス『賃金、価格および利潤』、第2課・マルクス『経済学批判・序言』」(2013年、新日本出版社)、「古典教室第2巻:第3課・エンゲルス『空想から科学へ』」(2013年、新日本出版社)がある。

参考
綱領・古典の連続教室
http://www.jcp.or.jp/kk_kyousitu/#fragment-1


■論点『実態から出発した「学校いじめ基本方針」の策定を』(秋間みどり)
(内容要約)
 安倍政権が成立させた「いじめ防止対策推進法」に対する批判。

参考
赤旗
『いじめ問題に関わる法制化についての日本共産党の見解』
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2013/06/post-515.html
主張『いじめ防止推進法、問題ただし、とりくみを前に』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-07-01/2013070101_05_1.html


■暮らしの焦点「難病患者に重い自己負担を課していいのか」(秋山千尋
(内容要約)
・安倍政権が計画している難病対策(助成対象の難病が増える一方、患者の自己負担が増える)への批判。

参考
赤旗
『難病患者医療助成、厚労省案 受診抑制懸念、負担限度額が大幅増』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-28/2013102814_01_1.html
厚労省助成案 難病重症者は負担増、所得に応じ限度額設定 軽症者は対象外に』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-30/2013103014_01_1.html
主張『難病医療費負担増、患者を追い詰める改悪中止を』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-04/2013110402_01_1.html
『助成の線引きを批判、衆院委 難病患者医療費見直し、高橋議員』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-21/2013112104_03_1.html
『難病患者の負担減へ、厚労省対策委 対象外出る懸念の声』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-14/2013121404_01_1.html
『子どもの難病など医療費助成、自己負担を引き上げ、厚労省専門委』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-15/2013121501_02_1.html


■文化の話題
【演劇:がんばる大阪の劇団・観劇記(鈴木太郎)】
(内容要約)
 第41回大阪新劇フェスティバル(http://osaka-shingeki.com/festival.html)で講演された劇団未来(http://www17.ocn.ne.jp/~mirainoe/)『真珠の首飾り』、劇団息吹(http://g-ibuki.jp/)『夢の裂け目』、劇団コーロ(http://kooro.org/)『わいどま、ぎゃあいうとたたききるど』の紹介。

参考

http://g-ibuki.jp/
 55周年を迎えた今年、井上ひさし作「夢の裂け目」の大作に挑戦いたします。東京裁判3部作*16の最初の作品で音楽劇としてとても楽しい作品です。第2次世界大戦後の日本の出発がどのように進められたのか、民衆は何を考えていたのかを描いています。憲法が大きく取りざたされている昨今、ぜひ見ていただきたい作品です。

http://kooro.org/works/07.html
『わいどま、ぎゃあいうとたたききるど』
 戦時下の旧制中学校、学校でいばっているのは配属将校や軍曹たちだ。 勉強なんかそっちのけ。 今日も軍事教練のあと校長室の掃除にきた、きむらくすじろう達。 なんとそこにあった軍刀でエンピツをけずってしまったからさあ大変。 てんやわんやの大騒動をひきおこしてしまう


【映画:アニメの新世界を切り開く高畑勲監督の『かぐや姫の物語』(児玉由紀恵)】
(内容要約)
高畑勲かぐや姫の物語』の紹介。1988年、『火垂るの墓』(脚本・監督)、1991年、『おもひでぽろぽろ』(脚本・監督)、1994年、『平成狸合戦ぽんぽこ』(脚本・監督)、1999年、『ホーホケキョとなりの山田くん』(脚本・監督)と寡作で知られる高畑氏の14年ぶりの作品である。


【音楽:2つの「フィデリオ」(宮沢昭男)】
(内容要約)
11/24に日生劇場で「二期会新日本フィルハーモニー交響楽団」で行われた「フィデリオ」と、11/28に横浜みなとみらいホールでドイツカンマーフィルハーモニー管弦楽団で行われた「フィデリオ」の紹介。


■スポーツ最前線「上原浩治の"ロング・アンド・ワインディング・ロード"」(上田龍*17
(内容要約)
・日本人として初のワールドシリーズ胴上げ投手の栄誉に輝いた上原の紹介。

ウィキペ「上原浩治
 進学した東海大学付属仰星高等学校では1、2年時は中学時代に陸上部で鍛えた脚力を見込まれて外野手を務める。3年になって投手になるが同学年の建山義紀日本ハムファイターズ、テキサスレンジャーズを経て現在ニューヨークヤンキース)の控えでほとんど登板機会がなく、同校も夏の府大会で敗退したため全くの無名選手であった。その頃から、建山がプロ球団から勧誘され、マスコミの注目を集める中、上原は体育教師になる夢を叶えるため大阪体育大学へ進学

つうことで上原がマスコミ等に注目され上原本人もプロを目指すようになるのは大阪体育大進学後です。

 国際大会の活躍で注目度を上げたことで、メジャー4球団を含む日米の複数球団が獲得に乗り出し、最終的にメジャーリーグアナハイム・エンゼルス読売ジャイアンツによる争奪戦となった。一時はエンゼルス入りに傾いた上原だったが、巨人が熱烈にラブコール。上原は迷いながらも巨人を逆指名し、1998年のドラフトで1位で入団した。入団会見では「メジャーでやるにはまだ自信がないから、日本を選んだ」と述べ、悔しさを滲ませた。
 1999年、最多勝利、最優秀防御率最多奪三振、最高勝率の投手主要4部門を制し、史上10人目、新人としては史上3人目の投手4冠を達成。また、新人王と沢村賞も受賞する。
 2002年には、17勝5敗の好成績で最多勝沢村賞ベストナインを獲得。
 2005年は、ポスティングシステムによるメジャー移籍志願を公言したために契約交渉がもつれ、キャンプ入りが遅れた。上原は入団当初からメジャーへの強い希望を持ち続けており、ポスティングシステムによるメジャー移籍を直訴。当時の年俸3億3,500万円を8,500万円分減額して、FA権を取得するまでかかる4年間分の違約金を払うとまで申し出たが、球団首脳陣は頑としてポスティングシステム行使を容認せず、「わがまま」であると評したために、フロントとの感情的な対立に発展。そのシーズンは契約交渉がまとまらないままキャンプ入りした。
 2008年4月4日にFA権を取得。翌年のメジャーリーグ移籍を目指すことを7日に表明。11月14日にはFA宣言を行い、正式にメジャーリーグ挑戦を表明。2009年1月6日にボルチモア・オリオールズと2年契約で基本合意。
 オリオールズでの活躍が、優勝争いをしていたテキサス・レンジャーズの目に留まり、シーズン途中である2011年7月30日にトミー・ハンター、クリス・デービスとのトレードでテキサス・レンジャーズに移籍。
 2010年は43試合で防御率2.86、13セーブ、2011年は65試合で防御率2.35、2012年は37試合で防御率1.75と、安定した成績を残した上原は、オフには複数球団で争奪戦となった。2012年12月6日、ボストン・レッドソックスと契約に合意したことが報じられ、18日に契約した。

つうことで「いずれはメジャーでやりたい」というのは巨人入団時からの考えであり、「巨人入団時からメジャーのお誘いが来るほど」評価されていたわけです。で日本でほぼ順調に実績を積み、2009年に念願のメジャー行きを果たしたと。メジャー移籍後もまあおおむね順調な実績を積んだと言う事でしょう(ただし年齢による衰えもあり、日本では先発だった上原はメジャーでは先発をあきらめリリーフに転向している)。

選手としての特徴
 特筆すべきはその制球力であり、奪三振が多く与四球が少ないピッチャーである。
 日本での通算与四球率は1.20で、「精密機械」と呼ばれた広島・北別府学の1.90といった往年の名投手の記録を大きく上回る。暴投も非常に少なく、10年間で10個しか記録していない。制球力に加えて、一球ごとの投球間隔が非常に短く速いテンポでどんどんストライクを投げ込んでいくため、巨人時代には2時間程度での完投勝利もしばしばあり、1999年7月4日の横浜ベイスターズ戦では1時間59分での完投勝利を記録した。


■メディア時評
【新聞:秘密保護法成立と新聞(金光奎*18)】
(内容要約)
・前月号に引き続き特定秘密保護法問題がテーマ。
 朝日、毎日、日経、また各地の地方紙が一定の特定秘密保護法批判(法案の内容の危険性、法案審議の拙速性など)を行ったことは評価出来る(日経の批判は朝日、毎日、地方紙に比べるとぬるいが)。一方、読売、産経が最初から最後まで特定秘密保護法成立を支持し続けたことはジャーナリズム精神の放棄と批判せざるを得ない。
 財界機関紙(当然、保守系)である日経すら一定の批判を行った特定秘密保護法を手放しで賛美する読売や産経の姿勢は明らかに異常である。


【テレビ:テレビは秘密保護法をどう報じたか(沢木啓三)】
(内容要約)
・民放(TBS『ニュース23』『報道特集』『関口宏サンデーモーニング』、テレビ朝日報道ステーション』など)が一定の批判報道をしたこと、民放キャスター(金平茂紀・TBS報道特集キャスターら)が共同で批判会見を行ったことには一定の評価が出来る。
・しかし民放連がついに「慎重審議」を求めるだけで、明確な批判をしなかったことは問題である。
・またNHKが政府に配慮してかろくに批判報道しなかったことは非難されてしかるべきだろう。

参考
赤旗
『おかしいぞ NHK、中身伝えず「修正」協議ばかり』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-20/2013112003_02_1.html
『秘密保護法案反対 メディア関係者ら総決起集会、菅原文太さん 澤地久枝さんら「ひどい法案」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-21/2013112101_03_1.html
NHKに今、何が?、異常な秘密保護法報道、まるで政府報道官』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-16/2013121601_01_1.html
『安倍首相“電波ジャック”、秘密保護法で虚偽説明、原発再稼働改めて固執、3番組出演』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-22/2013122202_02_1.html

*1:著書『スターリン大国主義』(1982年、新日本新書)

*2:小生も松岡が四国同盟論者であることぐらいは、知っていたがもともとこの構想の発案者が松岡ではなく、ナチドイツであること(もちろんソ連を油断させるためのデマゴギーに過ぎないが)は無知の為知らなかったので大変勉強になった

*3:著書に『日独伊三国同盟の研究』(1975年、南窓社)、『ヒトラー第二次世界大戦』(1984年、清水新書)、『日独政治外交史研究』(1996年、河出書房新社)、『スターリンの対日情報工作』(2010年、平凡社新書)など。

*4:著書『ここがヘンだよ日本の選挙』(共著、2007年、学習の友社)、『市民に選挙をとりもどせ!』(共著、2013年、大月書店)

*5:著書『政党助成法の憲法問題』(1999年、日本評論社)、『ゼロからわかる「政治とカネ」』(2010年、日本機関紙出版センター)、『議員定数を削減していいの?:ゼロからわかる選挙のしくみ』(2011年、日本機関紙出版センター)、『国会議員定数削減と私たちの選択』(共著、2011年、新日本出版社)、『なぜ4割の得票で8割の議席なのか』(2013年、日本機関紙出版センター)

*6:著書『安倍政権の改憲構造改革新戦略:2013参院選と国民的共同の課題』(2013年、旬報社

*7:鳩山内閣財務副大臣菅内閣財務相を経て首相

*8:著書『名作の戦争論』(2008年、新日本出版社

*9:著書『日本は再生可能エネルギー大国になりうるか』(2012年、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『原子力発電の根本問題と我々の選択:バベルの塔をあとにして』(共著、2013年、新教出版社

*10:著書『核燃料サイクル施設の社会学青森県六ヶ所村』(共著、2012年、有斐閣選書)

*11:著書『原発のコスト:エネルギー転換への視点』(2011年、岩波新書)、『原発はやっぱり割に合わない:国民から見た本当のコスト』(2012年、東洋経済新報社

*12:著書『政治は温暖化に何をすべきか:日本共産党、ヨーロッパを訪ねて』(2008年、新日本出版社

*13:著書『新版・天皇制国家の教育論:教学刷新評議会の研究』(2006年、芙蓉書房新社)、『軍隊教育と国民教育:帝国陸海軍軍学校の研究』(2010年、つなん出版)

*14:著書『マルクスのかじり方』(2011年、新日本出版社)、『若者よ、マルクスを読もう:20歳代の模索と情熱』(共著、2013年、角川ソフィア文庫

*15:著書『マルクスは生きている』(2009年、平凡社新書

*16:『夢の裂け目』『夢の泪』『夢の痂』

*17:著書『戦火に消えた幻のエース:巨人軍・広瀬習一の生涯』(2009年、新日本出版社

*18:著書『マスコミはなぜ権力に弱いか』(1994年、新日本出版社