都知事選について(舛添勝利を悲しむ)(追記あり)

 「直前の世論調査結果」と「石原を4選させる都民の政治意識の低さ」、「雪も影響しての低投票率」から覚悟はしていたんですが、NHKでいわゆる「8時当確」ですよ。テレビの中の舛添もにこにこ顔で支持者と一緒に万歳三唱。NHK記者も「当確を前提とした質問」をし、それに当確を前提に答える舛添。
 アンチ舛添、宇都宮支持者としてげんなりですね。今後は「舛添を打倒する戦い」が始まると覚悟していくことになるわけです。まずは赤旗週刊文春が報じた「政党助成金による借金返済疑惑の追及」でしょうか。
 唯一の希望はNHK出口調査に寄れば
「田母神がダンチで3候補から引き離されてること(これで田母神を支持した石原慎太郎の権威もさらに失墜するわけです。できれば供託金没収レベルの惨敗をして欲しい【2/8追記】kojitakenの日記『都知事選、田母神俊雄は供託金没収点をクリアか』(http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20140209/1391953510)だそうでこれは残念ですね。クリアしたと言う事はそれだけの田母神支持者がいると言う事でぞっとしますね。まあ、都民の少数派ではあるがそれでも恐ろしい話です。【2/9追記】確定結果を見ましたが、舛添が211票、宇都宮氏が98万票、細川が95万票、田母神が61万票、5位の家入君が8万票ですね。田母神ごとき極右が4位とは言え61万票というのはやはり深刻に受け止めざるを得ないでしょう)」と
「僅差のようだが宇都宮氏が細川を抜き、2位を確保しそうなこと(勝利の見込みを理由とした細川一本化論の間違いが勝敗という意味でも明白化した、また小泉神話が崩壊した)」でしょうね。結局、細川は「脱原発派の票を割る」という悪影響しかなかったわけです。細川が出なければ宇都宮氏の勝利が見込めたというほど小生も能天気ではありませんが、脱原発派にとってもっと気持ちのよい選挙が出来たでしょう。
・しかし「新党改革時代ぼろぼろだった舛添の勝利」と「過去に4選された元・都知事石原が支持した田母神の惨敗」を見るに「候補の人間性」など全く選挙結果に影響ないのでしょうね。少なくとも都民のマジョリティにとっては。
・vanacoralの日記『なぜ細川・小泉は負けたのか』(http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20140209)を紹介しておきましょう。

 (注:マスコミの事前世論調査の結果からある程度)覚悟はしていたとはいえ、やはり負けはきついものであります。

 おっしゃるとおり。

結論。宇都宮候補は2位、細川候補は3位。
細川は要りませんでした。
鎌田慧は恥を知れ!!

 これまたおっしゃるとおり。そもそも「先に出馬表明したのは宇都宮氏」「脱原発以外に共通点がなく、しかも細川側に政策協議する意思もなし(宇都宮はおりろとしか言わない)」「細川の佐川疑惑」「首相時代、原発を推進した小泉が支持では脱原発が本気か怪しい」と言う意味で、俺は「勝敗に関係なく」一本化など馬鹿げている、細川など支持できないと思っていましたが勝敗の面でも細川はダメだったわけです。
 まあ、鎌田が「細川一本化」を口にした時点で「宇都宮二位」の世論調査結果もあったわけで、そう言う意味ではこの選挙結果は何ら予想外ではありません。「東京新聞コラム」で、「細川一本化」を訴え続けた鎌田が今後「東京新聞コラム」でどう弁明するのかを楽しみにしましょう。
 なお、「敗北理由」について、このエントリでid:vanacoral氏が言いたいことはおそらく「保守中道票を取りたいが故に、世間に左派と見なされている宇都宮陣営(社民、共産など)との政策協議を拒絶したが、一方で世間的に左派と見なされてる人士(鎌田慧*1広瀬隆*2)の支持を受けたことで左派も保守中道票もとれない事態を招いた」ということでしょう。
 まあ、それもあるかもしれませんが個人的には「脱原発しかスローガンがなかったこと」「佐川疑惑」が大きかったんじゃないかと思いますね。
 id:scopedog氏が危惧するように細川の利敵行為のせいで『これで“脱原発”は終わり』(http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20140209/1391944516)ということにもなりかねません。まあ、細川に踊らされるような脱原発派は本物じゃないといえるかもしれませんが。
・なお、id:vanacoral氏のエントリに「善意の指摘か、アンチ宇都宮のただの嫌みか」はともかく「宇都宮の敗戦の弁は」と言うブクマをつけていた方(id:falkbeer)がいたので俺の感想を書いておけば「歴史捏造主義者・レイシスト石原を4選するほど都民がバカだから残念ながら敗戦した」である。似たようなことは 誰かの妄想・はてな版『これで“脱原発”は終わり』(http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20140209/1391944516)、村野瀬玲奈の秘書課広報室『都知事選が終わっても、闘いは続く』(http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-5250.html)も書いていますが(宇都宮陣営に何の問題もないと言わないし、問題があれば是正されるべきだが、それが敗戦の主原因とはとても言えないだろう)。
 もちろんid:scopedog氏や村野瀬氏も指摘していますが「客がバカだからいい物が売れない」ですますわけにいきません。
 どうやって売るかという問題はある。このあたりは智恵を絞る必要があるわけだがちょっと俺には思いつかないなあ。
 とにかく「地道に自らの政策を訴え、かつ、相手の問題点を指摘していく」という長期戦、地道な戦いしかない、特効薬は残念ながらないとは思ってる。


【2/10追記】
五十嵐仁の転成仁語『東京都知事選挙の結果について』(http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2014-02-10)と村野瀬玲奈の秘書課広報室『都知事選が終わっても、闘いは続く』(http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-5250.html)についてコメントしてみます。
 まず両エントリに共通する意見について。

http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-5250.html
 舛添が都知事になった以上、自民党政治に対する闘いはなおも続けなければならないということです。舛添は当選したが当選者への白紙委任ではなく、「それでも闘いは続く」ということです。

http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2014-02-10
 舛添さんが当選したからといって、「全て終わりだ」などと考える必要はないということです。「もう後はない」とか「脱原発運動は敗北だ」「中国との戦争が始まる」などという極論もありましたが、このような危機アジリや謬論に惑わされてはなりません。

全くもって同感です。「過大な楽観論」も問題ですが「過大な悲観論」もまた問題です。

http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-5250.html
脱原発陣営の亀裂の意識的な修復が必要です。

http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2014-02-10
 「一本化」騒動で生じた脱原発陣営の亀裂と不信感を早急に克服して運動を立て直さなければなりません。
 すでに、両陣営では「選挙結果にかかわらず、両候補の胸襟を開いての懇談の場を設けることも両選対の間で合意され」ているようです。私も、2月7日のブログで「選挙がどのような結果になろうとも、この『回答書』にあるように、将来に禍根を残さず、再稼働に反対して原発ゼロを実現する運動など、一致できる課題で手を取り合うことを望みたいものです」と書きました。

 これまた同感ですね。
 まあ、村野瀬、五十嵐両氏のご意見に大筋では異論ないのですが、村野瀬さんにはいくつか異論がありますね。

細川陣営、特に応援団には、宇都宮陣営のかかげた反新自由主義の政策方針を今後真剣に取り入れるように考えてほしいと思います。反原発以外の多くの主張や方向性が舛添と似ていたら、投票をためらう人たちが多くても不思議ではないと思います。応援団の中には反新自由主義の立場をはっきりととっている人も多数いたのでなおさらそう思います。応援団が「反新自由主義の政策方針を取り入れるよう全力を尽くすので今回はうちに投票してください」と繰り返し明言していれば取れたかもしれない票がけっこうあったのではないでしょうか。

まあ、そうなんですけどね。「細川の新自由主義に対する態度が曖昧なままでは一本化できない」という宇都宮陣営の批判を無視し続けた人たちですからねえ。「一部の新自由主義批判派」はともかく「細川応援団全体」としてはおそらくそういう方向には行かないでしょう。だからこそ「新自由主義派・小泉」と手を組んだわけです。

マスコミによる情勢報道が世論誘導のはたらきをして有権者の政治参加意欲をそいでいることも否めませんからこのような習慣はやめるべきだと思いますし、法制度によって選挙前の情勢報道を投票前には制限する必要もあると思います

 そこは微妙だと思いますけどね。たとえば「参院選共産党が東京、京都、大阪で幸いにも議席が獲得できた」のは明らかに「情勢報道で共産に当選の可能性があるなら今回は共産に投票しようか」という動きもあったと思いますけどね。共産だっておそらくそういう宣伝をしていたわけです。
 今回の宇都宮氏の2位だって「細川が勝ち目があると言われてるがそうでもないのやったら、宇都宮に入れるわ」と言う人もいたでしょう。宇都宮陣営だっておそらくそういう宣伝をしていたわけです。そうした事態をどう評価するか。何も事前調査は「自民党のみに有利なわけ」ではないでしょう。
 問題は情勢報道より「マスコミが情勢報道ばかりして政策報道しないこと(単なる情勢報道だったら競馬の予想と同じでしょう)」と「情勢を変えようとしない日本人の付和雷同性」じゃないですかね。
 ちなみに過去においてはむしろ選挙事前調査規制は自民党が主張していた。
 日経リサーチの鈴木督久氏も自ブログ(http://suzuki-tokuhisa.com/)に掲載した文章『 【書評】 谷岡一郎 (2000) 「社会調査」のウソ.文春新書』の中で

谷岡先生はこう書いている.

 しかし,どうせゴミみたいなデータしか集まらず,予想してもサッパリ当たらない*3のなら(どうせはずれても金を返さない調査会社に丸投げしているのなら),(ボーガス注:マスコミの選挙予測は)お金と時間の無駄でしかない.予想などやめてしまうのが正解であろう.アナウンス効果も考慮に入れれば,法律で禁止してもいいくらいだ.

 まさか自民党の御先棒を担いでいる訳でもないだろうが,自民党の耳に入ればさぞかし歓迎されることであろう.

と書いている。谷岡の「事前調査禁止論」は2000年においては鈴木氏に「自民党のお先棒担ぎ」「自民党の耳に入ればさぞかし歓迎される」と評価されるものだったわけだ(こう鈴木氏が評価する理由は、2000年当時は「神の国発言・森内閣」で自民党にとって不利な調査結果が多く、一部の自民党議員が事前調査規制論を主張していたから)。
 なお、鈴木氏は以下の通り「事前調査禁止論」に懐疑的意見を書いており小生も今のところ、鈴木説にも一理あるかと思うので「積極的には事前調査禁止論を述べる気にはならない」。ま、今後意見が変わることはあり得るが。

 なぜ選挙予測調査をするのか,という問題については個人的な考えを述べておこう.
 予測調査の報道を法規制しても,予測報道そのものは(ボーガス注:おそらく)なくならない.「(ボーガス注:マスコミ各社が)全国の支社・支局の取材網を動員した情報を総合的に判断して」情勢報道がされるであろう.予測するのなら可能な限り正確に報道したい.政治記者の耳と足で集めた情報よりも標本調査による予測の方が,予測精度も高く,手続きと根拠も透明である.予測報道するのなら科学的に達成できる最高の方法で予測すべきである.
 では,予測「調査」ばかりでなく,予測「報道」そのものを法規制したらどうなるであろうか.それでも予測調査は実施されるであろう.そしてその情報は与党だけが所有することができ,報道されず有権者に知らされることはない.与党は人知れず正確な情勢判断をしながら(ボーガス注:野党よりも有利に)終盤の選挙運動を展開するであろう.


【2/11追記】
vanacoralの日記『これでノーサイド出来るでしょうか!?』(http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20140210)には全く同感ですね。
五十嵐仁氏も五十嵐仁の転成仁語『東京都知事選挙の結果について』(http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2014-02-10)において

「一本化」騒動で生じた脱原発陣営の亀裂と不信感を早急に克服して運動を立て直さなければなりません。

ノーサイド論を唱えながらもその前提条件として

 宇都宮候補の得票が細川候補の得票を上回って2位となったことの意味をきちんと総括するべきだということです。今回の最大の特徴は、脱原発という点で似通った方針を掲げた候補が2人出て、その「一本化」が働きかけられたという点にあります。ただし、宇都宮さんではなく、細川さんへの「一本化」が……。
 このような働きかけがどのようになされ、両陣営はどう対応し、どのような問題点や弱点があったのかなどについては、今後、きちんとした総括が必要でしょう。特に、その中心となって働きかけてきた「脱原発都知事を実現する会」には、事実を踏まえた誠実な総括を求めたいものです。
 さしあたり、候補の「一本化」に当たって当選可能性だけを問題にしていたこと、宇都宮さんには当選の可能性はないと判断していたこと、そのために一方的に宇都宮さんに辞退を迫ったこと、その過程で、宇都宮さんとその支持者に対する誹謗や中傷が少なくなかったことなどが反省されなければならないでしょう。同時に、このような動きは客観的には宇都宮さんの足を引っ張る役割を果たしましたが、それにもかかわらず、宇都宮さんの得票が細川さんの得票を上回ったという事実を直視していただきたいものです。

と細川応援団に宇都宮陣営に対する謝罪と反省を求めています。
 五十嵐先生は以前から『都政と国政の大転換のために「女性蔑視の鼠男」ではなく「正義の弁護士」を都知事に』(http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2014-02-07)において

 もちろん、政策が似通っていれば、最悪の候補者の当選を阻止するために、当選可能性の高い候補者に票を集中するという戦術的な工夫もあり得ます。今回の選挙では、宇都宮さんと細川さんとの間で「一本化」の問題が生じました。
 しかし、これは両者にそのような意志があり、告示までに政策が明らかとなっていて、公開での討論や調整などが行われるというプロセスを経たうえで、基本的な政策についての一致がなければ実現不可能です。この点で、細川さんの側に「一本化」する意志があったのか、選挙が告示されてからでは「一本化」は極めて困難であることを知りながら、どうして公示前に政策を明らかにして話し合いを呼びかけなかったのかが問われなければなりません。
 また、候補者「一本化」の場合、どちらに「一本化」するかという問題もあります。「当選可能性の高い方に」と言われますが、どちらの当選可能性が高いかは不明です。
 選挙情勢についての世論調査などでは、宇都宮さんの方が細川さんよりも支持が多いという読売新聞などの報道もありました。どちらに「一本化」するかは、自明ではないということになります。

として
1)候補者一本化というなら政策協議すべきである。少なくとも建前においては宇都宮陣営は「政策協議の用意があること」を示していたのにそれに全く応じなかった細川の方にこそ非がある
2)当選可能性について言えば世論調査で宇都宮2位の結果もあり、細川の方が勝ち目があるとは言えない
と細川応援団を批判していました。
 Mukkeという方の選挙直前エントリ『東京都知事選挙では宇都宮候補を支持します』(http://d.hatena.ne.jp/Mukke/20140208/1391867043)も

細川候補については,後から割り込んだ挙げ句に宇都宮候補よりも魅力的な候補を立てられるというならともかく,よりにもよって猪瀬前知事の倍額の怪しげな金をめぐる疑惑があり,かつ過去にオリンピック反対を唱えていた(わたしは今でも五輪には反対ですが,しかし現実に決まってしまった以上は選挙戦略として「五輪をやらない」と言っていた,というのは下策でしょう)という勝てそうもない候補を立ててくるなんて,共産党以下の選挙戦略だと思いますし(小泉元首相も勘が鈍ったのだろうか。っていうか本人が出ればよかったのでは),それで本来は宇都宮候補に入るはずの票を割って勝てるはずの選挙だったのにみすみす別候補の当選を招いた,などということになったら,最悪の形で宇都宮候補のチャンスを潰し晩節を汚したという以上の評価は与えられないだろうと思います。

と批判しています(Mukke氏が問題視する「佐川疑惑」については沈黙して語らないのが細川応援団のようです)。
 vanacoralの日記『これでノーサイド出来るでしょうか!?』(http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20140210)によればこうした五十嵐氏やMukke氏のような細川批判の声を未だに無視し続ける人間の集まりが細川応援団と言う事なのでしょう。それではちょっとノーサイドというわけにはいかないでしょう。


【2/15追記】
1)毎日新聞『舛添都知事:「自民憲法改正草案、立憲主義の観点で問題」』
http://mainichi.jp/select/news/20140215k0000m010173000c.html

 舛添を過大評価する気は全くありませんが、舛添がさすがに安倍べったり路線ではないこと、舛添支持者も安倍べったりではないことはわかります。この種の舛添の「いい発言」はきっちりと責任を取らせるよう(今後「自民党改憲案万歳と言わせない」など)動く必要があるでしょう。

2)五十嵐仁先生が『東京都知事選挙の結果について』(http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2014-02-10)での自らの意見について、『舛添要一都知事の古いインタビュー記事を見つけた』(http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2014-02-13)で補足していますので紹介しましょう。

3月末の退職に向けて昔書いた新聞記事などをひっくり返していたら、舛添要一さんの昔の写真が映っているインタビュー記事が出てきました。「介護のための施設、人材育成を政治・行政がしっかりやることです」という見だしが出ている『しんぶん赤旗』1998年4月5日付です。
 この記事の下に、私の談話「政権担う“選択肢” 存在の大きさ示す」が掲載されています。このとき実施された衆院東京4区補選での徳留道信共産党候補の善戦・健闘に対するものでした。
 共産党の機関紙『しんぶん赤旗』に舛添さんのインタビュー記事が掲載されていた事実を私は忘れていましたが、その内容は興味深いものです。たとえば、次のような発言があります。
 「介護はハードウェア(施設・設備)も欠けている、ソフトウェア(人材)の面も遅れています。テレビでご一緒する志位さん(日本共産党書記局長*4)、穀田さん(同国対委員長)にもがんばってもらわなければいけないけれども、これをやることが行政改革にもなるし、血の通った行政になるんです」
 「このまえ衆院予算委員会公聴会に、介護の現場にいる立場から公述人として出ました。共産党の矢島(恒夫)議員が介護保険法はこのままでは“保険あって介護なし”になる、改めるよう要求しているといわれたので『議員、まったくその通りです』と申しあげました。共産党介護保険法批判は、的確です」

ここからは
1)当時、舛添が「福祉の専門家」的スタンスを取っていた
2)その舛添のスタンスでは共産党はむげに否定するものではなく一定の評価をしないといけないものだったということ
がわかります。今後、舛添が「東京の福祉」についてどういう態度を示すのか、監視していく必要があるでしょう。

 なお、2月10日付の私のブログ「東京都知事選挙の結果について」が話題になっているようです。これについて、いくつか補足と訂正をしておきたいと思います。
 第1に、脱原発候補の一本化を求めた「脱原発都知事を実現する会」に対する評価が一方的で厳しすぎるのではないかという点についてです。

 全然そんな事を思いませんけど。むしろ「俺やid:vanacoralさんなんかに比べれば細川陣営に寛容だよな」とすら思いました。 

そういう面があったかもしれませんが、それは私の意図するところではないとだけ釈明しておきましょう。
 これについては、これらの人々の主観的な意図と客観的な意味を分けて考えることが必要だと思います。脱原発を実現して安倍暴走をストップさせたいというその主観的な熱意と誠実さを疑っているわけではなく、だからこそ今後も共同すべきだと呼びかけています。
 しかし、投票日直前の2回目の申し入れには(注:明らかに)問題があったのではないでしょうか。この時点での一本化の申し入れと宇都宮さんに対する立候補辞退の要求は実現可能性のないもので、客観的*5には「細川勝手連」としての「選挙妨害」となってしまったようにみえます。

 2回目の申し入れどころか、最初の申し入れからして「とにかく宇都宮はおりろ」という無礼千万な代物ですが、まあ、2回目は確かに1回目以上に、筋が通らない無茶苦茶な代物でしたね。
 ただ、それを実行した鎌田慧なんぞは「この社民、共産、宇都宮陣営の犬め」ぐらいにしか五十嵐先生のことを思わないでしょうが。鎌田の方こそよほど「細川陣営の犬」なのですが。

第2に、宇都宮陣営にも問題があったという指摘があります。立候補をもっと遅らせて一本化の可能性を探る点で、努力が足りなかったのではないかというわけです。
 一本化の可能性がかなり大きなものであったとすれば、この指摘は正しいと言えるでしょう。私もそうあって欲しかったと思います。
 しかし、両者の間に一本化したいという意図がどれほどあったのかがそもそも不明ですし、細川さんの正式な立候補と主要政策の公表は告示の前日だったために調整の時間はありませんでした。これが一本化の条件を失わせた最大の原因だと思い、「今後、きちんとした総括が必要でしょう」と書きましたが、今さらそんなことを言っても「死んだ子の年を数える」ような気もしないわけではありません。

小生が太字強調にした部分が重要な指摘だと思います。つまり細川陣営に「政策協議した上での」候補一本化する意思が全くなかったことが一番問題だと。
 なお、澤藤統一郎氏などは細川陣営とは違った意味で、つまり「宇都宮以外にいい候補がでたかも知れない」と言う意味で「宇都宮出馬が早かった」と因縁つけてますが、そんな根拠はどこにもないし、「政策の是非や勝利可能性」をひとまず置けば、有力4候補以外に「家入一真*6(5位・約8万9千票)、ドクター中松(6位・約6万5千票)、マック赤坂*7(7位・約1万5千票)」など全部で確か16名でていたわけです。「宇都宮が早期に出馬表明したからいい候補が出せなかった」云々なんて醜い言い訳でしかありません。

 第3に、田母神候補の得票に対する評価です。「惨敗」と書いたのは不正確であり、これについては「敗北」と訂正します。
 得票の61万8千票は当初の予想を大きく上回るもので、田母神陣営自体も善戦したと総括しているようです。得票数の多さだけでなく20〜30代の若者からの支持の大きさも注目されており、これを軽視するような書き方は間違っていたと思います。
 基本的には日本社会の右傾化の反映であり、昨日のブログで指摘したように「政治に異議申し立てや抵抗するのではなく、権力に擦り寄ったり、弱者を攻撃したり、憎んだりすることで自らに対する癒し、慰めを得ようとしている」ためだと思われますが、本来であれば泡沫候補扱いされても不思議ではない田母神候補が当初から「有力候補」の一人としてマスコミなどで扱われたことも大きかったように思われます。これについての分析や評価は、これからもっと深められなければならないでしょう。
 いずれにしても、都知事選の経過によって脱原発運動が分断され、日本の右傾化がさらに進むというようなことにならないようにして欲しいものです。もしそうなれば、都知事選での敗北に次ぐ脱原発運動の敗北であり、安倍首相にとっては思うつぼになるでしょうから……。

 ほとんど異論ないですね。ま、小生も当初田母神の敗北を「8時開票直後に4位が確定」したため「惨敗」と短絡的に判断しそう書いてしまったので、その点では、五十嵐先生を責められません。

*1:原発関係の著書に『原発列島を行く』(2001年、集英社新書)、『原発暴走列島』(2011年、アストラ)、『日本の原発危険地帯』(2011年、青志社)、『六ヶ所村の記録:核燃料サイクル基地の素顔(上)(下)』(2011年、岩波現代文庫)、『さようなら原発の決意』(2012年、創森社)など

*2:原発関係の著書に『東京に原発を!』(1986年、集英社文庫)、『新版・危険な話:チェルノブイリと日本の運命』(1989年、新潮文庫)、『恐怖の放射性廃棄物プルトニウム時代の終り』(1999年、集英社文庫)、『原子炉時限爆弾』(2010年、ダイヤモンド社)、『新エネルギーが世界を変える・原子力産業の終焉』(2011年、NHK出版)、『原発破局を阻止せよ!』(2011年、朝日新聞出版)、『FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン』(2011年、朝日新書)、『第二のフクシマ、日本滅亡』(2012年、朝日新書)、『原発ゼロ社会へ! 新エネルギー論』(2012年、集英社新書)など

*3:鈴木氏も批判しているが「当たらないこともあるが当たることもある」し、大幅に外れたのは「自民党40日抗争」を引き起こした1979年衆院選と、橋本内閣が退陣に追い込まれた1998年参院選のみ(どちらも自民勝利と予想したが敗北)であり、谷岡の非難は誹謗の域に達していると思う。

*4:当時。現在、委員長

*5:いや主観的にも細川応援団でしょうがこのあたりは「主観は本人にしかわからないから」という五十嵐先生の謙虚さの表れでしょう。鎌田慧あたりに見習って欲しいものです。

*6:株式会社paperboy&co.創業者

*7:スマイルセラピー協会会長、スマイル党総裁