新刊紹介:「前衛」3月号

「前衛」3月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは3月号を読んでください)
 
■「スターリン秘史――ベルリン会談の深層」(不破哲三*1
(内容要約)
・連載の第14回目。
・1940年7月31日の政府秘密会議でヒトラーは政府閣僚に「対英戦争の動向に関係なくソ連打倒作戦を早期実施する方針(つまり最悪、二正面作戦になっても構わない)」を表明した(ヒトラーのこうした態度は単に反共主義が原因ではなく、二正面作戦になってもソ連軍に勝利できるとするソ連軍事力への低い評価が理由だったようだ。そうした評価の原因の一つはソ連フィンランド戦争でのソ連軍の苦戦だったと見られる)。
・しかしヒトラードイツはこうした方針を隠し、「敵(ソ連)をだますにはまず味方(日本、イタリア)から」とばかりに日独伊三国同盟(1940年9月に調印)について日本やイタリアに「日独伊三国同盟にはソ連もいずれ加え日独伊ソ四国同盟を目指す、そして米英に対抗する」と平然と虚言を吐いていたのだった(ここまで第13回目)。
・さてこうした詐欺的外交手法はソ連相手にも行われた。1940年11月、ベルリンにおいてヒトラー、リッベントロップ(当時、ドイツ外相)とモロトフ(当時、ソ連の外相兼首相)による外交交渉が行われるが、ここでもヒトラーらドイツ側は「対ソ戦争の実行」という自らの本心を隠して、「日独伊ソ四国同盟による世界再分割構想」をモロトフに主張したのだった。
 ここで不破が興味深いとしているのは
1)「ヒトラーの再分割構想」にスターリンが乗り気であること
2)スターリン満州国インドネシア*2を日本の勢力圏内とすることを容認していること
である。
 しかし不破の理解ではこうした「ヒトラーの日独伊ソ4カ国による世界再分割構想」は
1)ドイツの対ソ戦争は当分ないとスターリンを油断させるとともに
2)ドイツの東欧での対ソ戦争準備を「対英国戦争準備」や「再分割構想に基づく東欧支配の強化」にすぎないと偽装する
ためのマヌーバーに過ぎなかった。


■安倍政権の害悪と対決、さらなる躍進へ心一つに:日本共産党第26回大会の特徴(山下芳生*3
(内容要約)
 第26回大会で新たに書記局長に選出された山下氏による大会の説明、及び新局長としての抱負。

参考
赤旗
『第26回党大会での志位委員長の開会あいさつ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-16/2014011601_02_1.html
『実力のうえでも「自共対決」時代を、“戦争する国づくり、暗黒日本への道” 許さない国民的共同よびかけ、日本共産党26回大会始まる、志位委員長が報告』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-16/2014011601_01_1.html
『第26回党大会、討論始まる 党躍進へ決意』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-16/2014011602_02_0.html
『息吹 26回党大会、避難所での党員の姿に感動、縁なかった私がここに、岩手・大槌支部 中村 光さん(73)』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-16/2014011614_01_0.html
『第26回党大会にたいする中央委員会報告:幹部会委員長・志位和夫
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-17/2014011709_01_0.html
『26回党大会2日目、たたかいと世代継承、しなやかに 力強く、青年もベテランも活発討論続く』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-17/2014011701_01_1.html
『政治変える強い党を、党勢倍加、いっせい選へ決意、26回党大会 討論終わる』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-18/2014011801_02_1.html
日本共産党第26回大会決議』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-19/2014011909_01_0.html
『地方・国政選躍進へ心一つに、日本共産党第26回大会 決議採択し閉幕、党勢倍加・世代的継承実現できる、198人の新中央委員会を選出』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-19/2014011901_01_1.html
『息吹 26回党大会、本当の復興 党の力で、岩手・宮城 被災地の親子代議員ら』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-19/2014011922_01_0.html
『第26回党大会での志位委員長の閉会あいさつ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-19/2014011902_01_0.html
『党支部の自覚的活動が鍵、新三役が記者会見』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-19/2014011901_04_1.html
日本共産党第26回大会閉幕、志位委員長が結語』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-19/2014011901_02_1.html
日本共産党第26回大会:志位委員長の結語』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-20/2014012009_01_0.html


■『安倍政権の「海外で戦争する国」づくりを許すな』(山根隆志*4
(内容要約)
・「海外で戦争する国=集団的自衛権行使の容認」と理解すればいいでしょう。「専守防衛限定」なら「海外で戦争する国」ということはありませんので。そして集団的自衛権行使の前提として「日本版NSC法」や「国家安全保障戦略等の閣議決定」等のわけです。

参考
赤旗
主張『日本版NSC発足、「戦争司令部」いらない政治を』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-05/2013120501_05_1.html
主張『集団的自衛権行使、立憲主義否定する解釈改憲だ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-09-19/2013091901_05_1.html
『「戦争する国」へ大転換、安保戦略など閣議決定海兵隊能力を新設 敵基地攻撃能力に道』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-18/2013121801_01_1.html
『「国家安全保障戦略」・新「防衛大綱」・新「中期防」について、市田書記局長が談話』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-18/2013121802_02_1.html
集団的自衛権 首相、行使容認前のめり、参院予算委 「解釈の変更で可能」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-06/2014020602_01_1.html


■『「概念操作」による新手の雇用破壊:雇用・労働時間・賃金のゆくえ』(牧野富夫*5
(内容要約)
 「正社員」と言う概念を操作し「限定正社員」という「新しい正社員」をつくることによる「新手の雇用破壊計画」への批判。

参考
主張『限定正社員、「多様な正社員」の落とし穴』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-02/2013040201_05_1.html
『「限定正社員」って何だ?!、解雇しやすく低賃金、政府・規制改革会議の答申』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-06-06/2013060603_01_1.html


特集「福島原発事故3年」
■『「村民一人ひとりの復興」への模索と課題:全村避難・飯舘村の取り組みが問いかけること』(松野光伸*6
(内容要約)
 『飯舘村は負けない』(2012年、岩波新書)の著者による飯館村レポート。

参考(もちろん他にも書評はあるが)
 電網郊外散歩道『岩波新書で『飯舘村は負けない』を読む』
 http://blog.goo.ne.jp/narkejp/e/1270e2b834ca5de5f0ca355c1492d08f
 弁護士 吉田悌一郎のブログ『飯舘村は負けない』
 http://ameblo.jp/bigsaga/entry-11473804938.html
 前田朗Blog 『千葉悦子・松野光伸『飯舘村は負けない』 』
 http://maeda-akira.blogspot.jp/2012/12/blog-post_9083.html


■『農の再生・食の安全への国の責任と福島のとりくみ』(小山良太*7
(内容要約)
・うまく要約できなかったので内容要約にかえて以下のサイトを紹介しておく。

農業協同組合新聞
『現地からのレポート・福島県:世界に類なき放射能汚染 この人災をどう克服するか(福島大学経済経営学類准教授・小山良太)』
http://www.jacom.or.jp/tokusyu/2012/tokusyu120117-15871.php
『【提言】「風評」被害のふっ拭、合理的判断基準示せ(小山良太・福島大学経済経営学類准教授)』
http://www.jacom.or.jp/proposal/proposal/2013/proposal131113-22738.php
貿易研修センター『真の「風評」被害対策へ福島大学の取り組み(福島大学経済経営学類准教授、うつくしまふくしま未来支援センター産業復興支援部門長・小山良太)』
http://www.iist.or.jp/jp-m/2013/0225-0910/


■『絶望から希望へ:原発労働問題の改善のたたかい』(渡辺博之)
(内容要約)
 筆者は日本共産党いわき市議。筆者による原発労働者の労働環境改善の諸運動が紹介されている。

参考
赤旗
『福島第1原発、下請けに危険手当検討、東電、党いわき市議に回答』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-04/2011080414_01_1.html
『レベル7 原発作業員の抵抗(上)』
http://www.jcp.or.jp/akahata/web_daily/html/rensai/20111117-level7-1.html
原発労働者に届かない危険手当、東電「元請けに徹底」、福島・いわき市 党渡辺議員に』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-03-14/2012031414_02_1.html
福島原発事故 高濃度下で作業指示、元作業員 東電・関電工の違法を告発』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-11-02/2012110201_02_1.html
『「危険手当増額させた労働者がいます」、ポスター張り出し原発作業員を応援、福島』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-02/2013050214_02_1.html
原発関連作業 未払い賃金払わせた、福島第1元作業員 違法労働訴え / 多重派遣に改善命令』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-07-31/2013073115_01_1.html
原発作業員を応援、福島 ポスターに反響も』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-05/2013100503_03_1.html
『「甘い梨で疲れ癒やして」、原発作業員を激励、福島 住民と共産党議員』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-19/2013101901_07_1.html
『福島4号機など廃炉作業の「危険手当増額」、東電・元請けの“攻防”、引き上げ金額明示に元請け“余計なこと”』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-31/2013123101_04_1.html


■『3・11後の「原発利益共同体」の現状と実態』(小松公生*8
(内容要約)
 筆者の著書『原発にしがみつく人びとの群れ:原発利益共同体の秘密に迫る』(2012年、新日本出版社)の続編といえる文章。
 一言で言えば政治家(原発族議員)、官僚(経産省文科省)、財界(電力会社、原子炉メーカーなど)、労組(電力労組)、メディア(読売、産経など)による「原発利益共同体」は今も健在であり、批判が必要だという話。

参考
赤旗
『電力会社・大手商社など、原発輸出・再稼働 首相にハッパ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-26/2013052601_04_1.html
『追跡 原発利益共同体、東電広告費 116億円 昨年度』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-06-29/2011062901_02_1.html
経産省が新組織、原発マネー1300万円もらった研究者も、再稼働後押しか』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-07-17/2013071701_04_1.html
原発推進へ3億円超、自民への政治献金増加』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-02/2013120201_04_1.html


■『選手の力を生かす、日本の柔道を変える:女子選手の告発から1年』(溝口紀子*9
(内容要約)
 溝口氏と言えば「柔道村を内部から批判し続けた猛者」として有名な人です。
 小生も拙エントリ『柔道が危険なスポーツなのではない、日本の柔道が危険なのだ(追記あり)』(http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20130716/2504978316)で取り上げたことがあります。
 で、この前衛インタビューでも言ってることは基本的に変わりません。日本柔道の「女性差別体質(セクハラなど)」「非合理な精神主義体質、及びその結果生まれる事故死」「しごきや体罰の横行」「勝てば何でも許されると言う勝利至上主義体質(例:準強姦で逮捕起訴された内柴)」などが溝口氏によって批判されるわけです。


■『「学徒出陣」とは何だったのか:私の体験から』(岩井忠熊)
(内容要約)
・『特攻:自殺兵器となった学徒兵兄弟の証言』 (兄・岩井忠正氏との共著、2002年、新日本出版社)と言う著書がある岩井忠熊氏の特攻体験の証言です(なお、兄・忠正氏は回天→伏龍、弟の忠熊氏は震洋)。内容的には当然『特攻』とかぶります。
・岩井氏は「自分が特攻に志願したのは強制ではない」が「全くの自主性と理解するのは間違い」だとしていますね。「軍上層部が特攻を期待してるのでそれに知らず知らずのうちに影響された」という話です。「どうせ死ぬのだろうからそれならば華々しく特攻で死んだ方がマシじゃないか」というある種の英雄気分もあったと(実際の特攻はそれほど華々しくないのですが)。
 したがって「検閲を警戒せざるを得なかった遺書」に格好いいことが書いてあったとしても「極右連中が言うような特攻賛美は間違ってるし許せない」というのが岩井氏の立場です。
 で幸いにも死なずにすんだ岩井氏は歴史学者として「日本近代の戦争」にこだわり、『大陸侵略は避け難い道だったのか:近代日本の選択』(1997年、かもがわ出版)、『近代天皇制のイデオロギー』(1998年、新日本出版社)、 『「靖国」と日本の戦争』(2008年、新日本出版社)と言った著書を執筆するわけです。 


■論点『カジノ議連がねらうカジノ推進法案の問題点』(山本正人
(内容要約)
赤旗『カジノ解禁認めない、大門議員 「多重債務者増に」、参院財政金融委』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-17/2013051704_03_1.html)、『「カジノ合法化」動き急、財界・業界団体 安倍政権に呼応』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-06/2013100601_03_1.html)、『行政組織立ち上げ・セミナー・海外視察、カジノ誘致 踊る自治体、
国民の反対 “見切り発車”』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-06/2014020615_01_1.html)などが指摘するカジノ合法化の動きへの批判です。
注意しないと行けないことは
1)昨年12月に自民、維新、生活の三党がカジノ法案を提出し、継続審議となっている
2)いわゆるカジノ議連幹部に与野党の大物議員が名を連ねていること
でしょう。
 具体的には
カジノ議連最高顧問:安倍晋三*10首相、麻生太郎*11財務相石原慎太郎*12日本維新の会共同代表、小沢一郎*13・生活の党代表
カジノ議連会長:細田博之*14・元自民党幹事長
カジノ議連事務局長:萩生田光一自民党総裁特別補佐
となっている。
 もちろん保守層にもカジノ反対派はいるので「安倍が推進の構え」だからといって話がスムーズに進むわけではないし、安倍にとって「カジノ推進」の優先順位は落ちるでしょうが要注意でしょう。 


■暮らしの焦点「都ぜんそく助成制度の打ち切りを許さない」(石川牧子*15
(内容要約)
 「助成制度打ち切り」とは何のことかは
毎日新聞『東京都:ぜんそく認定中止、患者助成も縮小へ 拠出金尽き』(http://sp.mainichi.jp/select/news/20131206k0000m040025000c.html)、東京新聞『安全網のすき間で(上) 患者切り捨て ぜんそく助成 縮小不安』(http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/2014tochiji/list/CK2014020502000154.html)、赤旗『宇都宮さんで公害ない東京、都知事選 宣伝と要求懇談会』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-22/2014012215_01_1.html)を読めばわかるでしょう。大気汚染によるぜんそく患者がいなくなったわけでもないのに「拠出金が足りなくなってきた」なんてふざけた理由で助成制度打ち切り方針とはふざけるにもほどがあります。そうした福祉破壊を許さない戦いが重要ですね。


■文化の話題
【写真:戦時下の写真界(関次男)】
(内容要約)
・戦時下写真界の軍事統制の説明。
・1941年、大政翼賛会の傘下に国策的団体として「興亜写真報国会」が誕生する。しかしこの時点では他の写真家団体も存在した。
・1943年、すべての写真団体が統合されて「日本写真報国会」が誕生する。写真集も『学鷲海軍予備学生』『大東亜戦争と台湾青年』など軍事色一色になっていく。こうした戦前の負の歴史を繰り返さないためにも「特定秘密保護法」などといった「情報規制の動き」を批判していく必要がある。


【美術:政治の反動に抗した美術家の奇跡:柳瀬正夢・1900〜1945(武居利史)】
(内容要約)
 美術展『柳瀬正夢 1900〜1945』の紹介。筆者は政治の反動化が深刻な今、柳瀬らプロレタリア美術家は再評価されるべきとしている。

参考
神奈川県立美術館・葉山『柳瀬正夢 1900−1945』
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/museum/exhibitions/2013/yanase/
美術館連絡協議会・展覧会紹介『柳瀬正夢 1900−1945』
http://event.yomiuri.co.jp/jaam/shows/s_117.cfm


【映画:秘密保護法に反対する映画人たち:戦前の「映画法」とのかかわりで(伴毅)】
(内容要約)
 「特定秘密保護法案に反対する映画人の会」「日本映画監督協会」といった映画関係者が特定秘密保護法案批判を行ったことを紹介。不幸にして法が強行可決されたが、今後も「法による言論弾圧」を許さず、また「法の改正や廃止を目指す」ため、こうした運動を一過性の運動に終わらせることなく継続することを求めている。

参考
赤旗『秘密保護法案 反対 空前、映画人・学者・国際人権NGO…、映画人の会 宮崎駿さん・大竹しのぶさんら賛同』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-04/2013120401_01_1.html


■スポーツ最前線「日本サッカー フェアの姿勢をさらに」(和泉民郎)
(内容要約)
 Jリーグがフェアプレー賞を制定し、フェアプレーの普及に努めていることの紹介。


■メディア時評
【新聞:名護市長選の歴史的勝利(金光奎*16)】
(内容要約)
・名護市長選を全国紙がどう報じたか。社説のタイトルを見ると
朝日「再考せよ」
毎日「民意生かせ」
日経「移設の重要性を粘り強く説け」
産経「ひるまず進め」
読売「移設は着実に進めたい」
ということで、特定秘密保護法案の「朝日、毎日=政府を根本的に批判」「日経=政府の方向性を一応支持しながらも、進め方に問題があるとし、政府に一定の批判」「読売、産経=ただただ政府礼賛」と言う傾向と同じ傾向が、名護市長選評価でも見られたという話です。
 財界機関紙・日経ですら「粘り強く説け」と「移設計画そのものは支持しながら、選挙結果を基に政府の進め方に一定の批判をしている」のに「選挙結果なんか無視しろ」と放言して恥じないのが読売、産経の訳です。
・今後こうした名護市攻撃を読売、産経が仕掛けて来るであろう事、それを厳しく国民が批判していかなければならないことに注意が必要です。赤旗『名護の民意受け止めよ、赤嶺議員 沖縄新基地断念迫る、安倍首相、「県内移設」に固執衆院予算委』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-05/2014020501_01_1.html)が指摘するように安倍は仲井真県知事の「埋め立て申請承認」をタテに移設強行の構えを見せてるわけです。
・なお、筆者が「ろくでもない記事に対する批判」も大事だが「いい記事に対するエールも大事」だ、新聞の投稿欄にそうしたエール投稿を送る、読者対応部署に応援の電話、メールをするなどの支援を使用としているのには同感です。沖縄基地問題に限らずそうした行為がマスコミの緊張感につながるわけです。


【テレビ:NHKをめぐる危険な情勢(沢木啓三)】
(内容要約)
 安倍がNHKを自分に都合のいい物にしようと、会長とした籾井勝人、経営委員にした長谷川三千子百田尚樹の話ですね(長谷川、百田は「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」呼びかけ人)。
 3人とも、早速「就任記者会見での慰安婦暴言(籾井)」「テロリスト野村秋介賛美の過去が発覚(長谷川)」、「田母神の選挙応援で南京事件否定論の暴言、しかも東京裁判南京事件が認定されたのは米中の捏造と放言し米中両国から当然非難される(百田)」と常人では考えられないような暴挙をやらかしたわけです。
 なお、前会長の松本正之氏も実は「JR東海副会長」で、安倍に近いJR東海会長・葛西敬之*17が送り込んだ人物です。ただ松本氏という人は「当然、反安倍ではない」にせよ「それなりに常識人」だったんでしょう。葛西や安倍の願望はわかっていたでしょうが、人として籾井ほどの「権力の犬」にはなれなかった。まあ、松本氏に限らず、過去の「財界人会長(永田清・日新製糖会長、池田芳蔵・三井物産会長、福地茂雄・アサヒビール相談役)」と比べても籾井は明らかに異常でしょうが。
 結果、松本氏当人は続投する気だったし、不祥事でもなければ1期で会長を辞めると言う事は普通ないんですが籾井に交代させられるわけです。


参考
五十嵐仁の転成仁語『「NHK乗っ取り作戦」が安倍首相の躓きの石になるかもしれない』
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2014-02-06 
朝日新聞『米国務省「不合理」と反論 百田尚樹氏の都知事選演説』
http://www.asahi.com/articles/ASG2804PRG27UHBI032.html
赤旗
『事実をゆがめる籾井氏発言、「慰安婦」は「どこの国にもあった」?、軍による制度は日・独だけ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-28/2014012802_03_1.html
『籾井氏の「慰安婦」発言 NHK会長資格なし、国内外の批判広がる』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-28/2014012801_01_1.html
主張『NHK会長の暴言、かばい続ける政府の責任重大』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-03/2014020302_01_1.html
『特異な歴史観で田母神候補応援、百田氏の異常な言動とNHK経営委員の資格』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-05/2014020504_01_1.html
『NHK会長・経営委員 止まらぬ異常言動、今度は長谷川氏 テロ行為礼賛の暴言、問われる安倍政権』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-06/2014020601_01_1.html

*1:著書『スターリン大国主義』(1982年、新日本新書)

*2:まだアジア太平洋戦争は始まっていないが「1940年9月の北部仏印進駐」などから、日本が東南アジアへ本格的な侵略をする気ではないかという懸念は既に国際社会の常識だったわけである。

*3:参議院議員、書記局長

*4:著書『イラク戦争の出撃拠点:在日米軍と「思いやり予算」の検証』(共著、2003年、新日本出版社

*5:著書『労働ビッグバン:これ以上、使い捨てにされていいのか』(共著、2007年、新日本出版社

*6:著書『飯舘村は負けない:土と人の未来のために』(共著、2012年、岩波新書

*7:著書『放射能汚染から食と農の再生を』(共著、2012年、家の光協会)、『農の再生と食の安全:原発事故と福島の2年』(共著、2013年、新日本出版社

*8:著書『原発にしがみつく人びとの群れ:原発利益共同体の秘密に迫る』(2012年、新日本出版社

*9:バルセロナ五輪52キロ級銀メダリスト。現在は静岡文化芸術大学准教授(スポーツ文化論)。静岡県教育委員会委員として「柔道授業での大外刈り禁止」を決定したことでも知られる。著書『性と柔:女子柔道史から問う』(2013年、河出ブックス)

*10:小泉内閣官房副長官官房長官自民党幹事長(小泉総裁時代)を経て首相

*11:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第1次安倍内閣外相などを歴任

*12:福田内閣環境庁長官、竹下内閣運輸相、都知事を歴任

*13:中曽根内閣自治相・国家公安委員長、竹下内閣官房副長官自民党幹事長(海部総裁時代)、新生党代表幹事、新進党幹事長、自由党代表、民主党代表、幹事長などを歴任

*14:小泉内閣官房長官自民党幹事長(麻生総裁時代)、総務会長(谷垣総裁時代)を歴任。現在、幹事長代行

*15:「東京公害患者と家族の会(患者会)」副会長。東京新聞記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/2014tochiji/list/CK2014020502000154.html)にも「むしろ制度拡充を望む」とする石川氏の発言が紹介されている。

*16:著書『マスコミはなぜ権力に弱いか』(1994年、新日本出版社

*17:教育再生会議委員。安倍を支援する財界人の集まり「四季の会」メンバーと言われる。たとえばkojitakenの日記『安倍晋三NHKと「四季の会」と』(http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20131116/1384566147)参照