「前衛」4月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは4月号を読んでください)
■「スターリン*1秘史:謀略のバルカン作戦(上)」(不破哲三*2)
(内容要約)
・連載の第15回目。13回目、14回目で不破はドイツが「ソ連打倒」を計画しながらそれを同盟国・日本、イタリアにすら隠し「日独伊ソ四国同盟による世界再分割計画」という口から出任せの計画を日本、イタリア、ソ連に提示し、「東欧での軍事活動(対ソ連戦争の準備)」を「世界再分割計画に基づいた動き」または「対英戦争の準備」と偽装していたこと、ドイツの「四国同盟提案」に対し「反ファシズムなどという考えは全くなく国益第一主義のスターリンが乗る気満々だったこと」を指摘していたがその続き。
・1941年、ドイツは対ソ連戦争(バルバロッサ作戦)の一環としてルーマニアにドイツ軍部隊を大量に送り込む。しかしこの行為はソ連には「ギリシアから英国を追放する対英戦争の準備」と説明されたのだった。これを信用したソ連側はルーマニアへの部隊の展開に何ら抗議しなかったのだった。
・ドイツのブルガリア進駐についてもスターリンはそれを容認した。
・1941年3月、松岡洋右・近衛内閣外相は訪ソするが松岡の言動からドイツ側は、松岡が「日独伊ソ四国同盟論」をドイツの真意と完全に信じ込んでいること、その考えに基づき「日ソ中立条約交渉に臨むつもりらしい」と気付き、頭を抱える。まさか今更「アレは嘘だった」というわけにもいかず、リッベントロップ外相は「日独伊ソ四国同盟はやはり実現の可能性が低いと思う」「ソ連は我が国を本心では敵視しており、戦争の可能性がないわけではない」「モスクワ訪問を予定していると聞くがこの四国同盟問題は持ち出さないで欲しい」と松岡に助言する。
・しかし1941年4月にモスクワを訪問した松岡はリッベントロップの助言を無視し「四国同盟を日本が希望している旨、ソ連側にアピール」する。松岡のこうした言動は客観的には「日本も四国同盟を望んでいるのなら成立は間違いない」というスターリンの考えを強め、ドイツの対ソ連戦争開戦有利に働いたと不破は見る。
・松岡の訪問で日ソ中立条約が成立する。
条約の付属文書では
大日本帝国政府及「ソヴイエト」社会主義共和国聯邦政府ハ千九百四十一年四月十三日大日本帝国及「ソヴイエト」社会主義共和国聯邦間ニ締結セラレタル中立条約ノ精神ニ基キ両国間ノ平和及友好ノ関係ヲ保障スル為大日本帝国カ蒙古人民共和国ノ領土ノ保全及不可侵ヲ尊重スルコトヲ約スル旨又「ソヴイエト」社会主義共和国聯邦カ満洲帝国ノ領土ノ保全及不可侵ヲ尊重スルコトヲ約スル旨厳粛ニ声明ス
とし日本がソ連の外蒙古への影響力を認める代わりに、ソ連が満州国を容認することが定められた。
不破は「モンゴル人や中華民国の意思を無視し勝手に決めるような話ではない」「ソ連が日独伊ソ四国同盟のために満州国を承認したことはファシズムへの屈服」としてスターリンを批判している。
・なお不破に寄れば、松岡の「付属文書」当初案によれば「満州国と外蒙古」のバーターだけでなく、秘密付属文書*3として「日本が将来、オランダ領インドネシア(蘭印)、フランス領インドシナ(仏印)に進出することをソ連が認める代わりに、ソ連がアフガンやイランに進出することを日本が認める」という「四国同盟に基づく世界再分割」に関する条項があったという。日本(少なくとも松岡)が「スターリンは国益至上主義」とみなし反共の立場から打倒するのではなく、自陣営に引っ張り込もうとしていたこと、それにスターリンの方もまんざらではなかったことが伺われる。
・1941年、皖南事変が発生する。この事件は
・蒋介石の考える国共合作とは、黄河以北では共産党が、長江以南では国民党が抗日戦線を展開するというものであったものと思われる。1940年10月19日、蒋介石は黄河以南で交戦中の共産党軍(新四軍・八路軍)に対して一ヶ月以内に黄河以北へ移動するよう、朱徳*4・彭徳懐*5宛に命令書を打電した。これに対して同年11月9日中共中央は命令を拒否、ただし情勢にかんがみ指定戦力の長江以北への移動を返答した。
・1941年1月4日、葉挺指揮下の新四軍9000名の部隊は安徽省南部茂林を移動中、国民党軍8万人に包囲され、7日間の戦闘の結果2000名が脱出に成功するが、2000人以上が戦死、4000人余が捕虜となった。軍長葉挺は身柄を拘束され、副軍長項英は部下の裏切りによって殺された。(ウィキペディア「皖南事変」参照)
と言う事件だった。黄河以南で共産勢力が力をつけることを恐れた蒋介石は黄河以北への移動を命令、それを共産党が拒否したことを理由にした軍事衝突であった。当然、共産党サイドはスターリンに「国民党の非」を訴えソ連が厳しく国民党批判することを求めるが、中国共産党を大して評価していなかったスターリンはその要望にこたえようとはせず、国民党側を事実上支持したのであった。このことは後の中ソ対立の遠因の一つになったと見ていいであろう。
なお皖南事変は戦闘自体は国民党側の勝利に終わったが国民党は厳しい非難を浴びることになったため政治的には逆効果だったように思われる。
■「東日本大震災3年:被災地の復興への懸命の努力にこたえる政治を、被災者と国民の連帯で切り開く」(高橋千鶴子)
(内容要約)
・要約にかえて赤旗記事の紹介。
『被災者支援、医療費負担減免を、高橋氏「国が実情に応じて」、衆院厚労委』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-13/2013121305_04_0.html
『復興へ新たな課題、高橋議員 岩手・宮城を視察』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-21/2013122104_03_1.html
『衆院特別委、被災地の公共交通支援、2年間継続予算化、高橋議員が要求』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-31/2013123102_02_1.html
『仮設店舗移転に支援、衆院復興特 高橋氏質問に回答』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-26/2014022602_01_1.html
『特殊公務災害認定を、仙台市職員津波死 高橋議員が求める、衆院予算委分科会』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-28/2014022804_04_0.html
■「新基地建設反対の揺るぎない「オール沖縄」の意思」(赤嶺政賢)
(内容要約)
・名護市長選での稲嶺氏勝利を喜ぶとともに、この勝利を元に新基地建設を許さない戦いを続けるという決意表明。
参考
赤旗
『名護市長選 稲嶺氏圧勝、“新基地ノー”揺るがず 安倍政権の強圧はね返す』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-20/2014012001_01_1.html
『民意は下された、沖縄・名護市長選 稲嶺氏、新基地の是非 正面から問い勝利』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-20/2014012002_02_1.html
『「基地つくらせない 信念貫く」、稲嶺市長決意新た、名護 政府圧力「地方自治の侵害」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-21/2014012101_01_1.html
『普天間基地 即時・無条件撤去しかない、名護市長選 稲嶺市長圧勝、「たらい回し」路線破綻』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-21/2014012103_01_0.html
『埋め立て承認で百条委、沖縄県議会設置 知事を追及』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-15/2014021501_03_1.html
■「戦後史のなかで安倍首相の靖国参拝を考える」(吉田裕*6)
Q&A形式で書いてみる。
Q1)小泉首相も安倍首相同様、参拝しましたがここまで厳しい国際的批判はなかったように思うのですが。
A1)小泉首相は確かに靖国参拝しましたが
1)二礼二拍手一礼は政教分離原則に反する疑いが強いという意見に基づき一礼のみした(この点は中曽根首相の参拝も同様です)
2)「東京裁判判決は認める、A級戦犯は犯罪者だ」と明言し
3)河野談話撤回論を唱えることはなく
4)審議会委員等に極右勢力を送り込むこともせず
5)「任期中には改憲しない」と表明しました。だから参拝していいとは言いませんが、小泉氏なりに外交や政教分離原則、国内の平和主義世論などに配慮していたと言えるでしょう。
一方、安倍氏は
1)二礼二拍手一礼で参拝し
2)「東京裁判やA級戦犯についての認識」をあいまいにごまかし
3)河野談話撤回論を公言し
4)中教審委員に桜井よしこ、教育再生実行会議委員に八木秀次、NHK経営委員に百田尚樹、長谷川三千子と数々の極右人士を送り込み、百田、長谷川氏の極右暴言(南京事件否定論や右翼テロリスト・野村秋介賛美)に対しても徹底的にかばう
5)任期中の改憲を公言
と明らかに小泉首相とはカラーが違っています。国際社会が安倍氏を警戒し批判するのも当然でしょう。そもそも靖国神社は「ハルノートにはめられた」「東京裁判はでっち上げ」という立場です。首相の靖国参拝は中国、韓国といったアジア諸国は勿論、米国にとっても本来黙認できることではないのです。
Q2)靖国参拝の何が問題なのでしょうか?
A2)問題点としては
1)政教分離原則違反
2)A級戦犯合祀や遊就館に象徴される戦前賛美やアジア蔑視
3)2)と関連しますが、国際社会から孤立し外交が成り立たなくなること(日本は米国、中国、韓国から厳しい批判を受けています)
があげられるでしょう。1)については愛媛玉串料訴訟(最高裁で違憲判決)や山口県自衛官合祀取消訴訟(一審、二審では原告勝訴)などを思い起こして下さい。靖国や護国神社に関して憲法問題が指摘されるのは昔からのことなのです。
最近のマスコミ報道で問題だと思うのはもっぱら3)の問題ばかりが指摘されることです。1)にはまるで触れないし、2)についても説明されることは少なく、説明される場合も、3)の背景説明、つまり「A級戦犯が合祀されたり、遊就館展示で戦前賛美したりするような神社への参拝など認められないと米国や中国、韓国が主張している」とまるで他人事です。これでは「外国が批判するから悪いのか」と変な被害者意識を日本国民に植え付けることになりかねません。
■「日本の進路を誤らせる財界流の安倍「成長戦略」」(藤田実*7)
(内容要約)
・統計データからはアベノミクスによる景気回復効果はもっぱら「公共事業の大盤振る舞い」によるものであることが伺われる。円安による輸出効果がないわけではないが「円高対応で従来から現地生産にシフトしていたこと」もありその効果は宣伝されているほどのものではない。
・一方、アベノミクスの問題点は「給与上昇の策」を何ら持っていないことだろう。「企業収益が上がれば給与も上がる」といういわゆるトリクルダウンの立場がアベノミクスだが、現実問題、日本社会はそのような企業構造にはなっていない。小泉政権時に企業収益が増加したとき(いわゆるいざなみ景気)もそのほとんどは内部留保として蓄積され、給与上昇には回らなかった。
給与上昇策をうつべき所、「派遣の拡大」「限定正社員制度の導入」など給与下落につながるであろう策を提唱しているのが安倍政権である。また安倍政権においては福祉予算の削減、消費税増税(4月より8%予定)、公務員給与削減(民間給与の引き下げ圧力になりかねない)といった「景気に悪影響を与えるであろう策」も提唱されている。アベノミクスで景気回復がされてもそれは「実感なき景気回復」にならざるをえないであろうし、場合によっては「景気悪化」の危険性すらあるのである。
■「労働法の全面的規制緩和の「総攻撃」に対抗する」(笹山尚人*8)
(内容要約)
安倍政権の労働法改悪への批判。
参考
【ホワイトカラー・エグザンプション】
赤旗
『主張:労働時間「改革」、またも「残業代ゼロ」制度化か』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-13/2013121301_05_1.html
『サービス残業、狙われる合法化』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-13/2014011304_01_1.html
【派遣制度改悪】
赤旗
『主張:労働者派遣法改悪、不安定な働き方増やすだけだ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-25/2014022501_05_1.html
『派遣会社の要求そのもの、法案要綱、安倍内閣は業界の代弁者か』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-03/2014030302_01_1.html
■「安倍「教育再生」とは何か:政権存続の突破口としての教育改革」(中田康彦)
(内容要約)
安倍政権の教育改革への批判。「教育の右翼化とそれを推進するための制度改悪」が安倍政権の方向性と言える。
参考
【教育委員会制度改悪】
赤旗
『政治権力による教育支配への大改悪:安倍政権の「教育委制度改革」について、志位委員長が会見』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-21/2014022101_02_1.html
『教育委員会「改革」、教育の政治支配狙う、「戦争する国」づくりへ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-20/2014022002_02_1.html
『教委制度「改革」田村議員の質問、教育介入意に介さず 安倍内閣の危険な姿浮き彫りに、論戦ハイライト』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-06/2014030602_01_1.html
『教委制度「改革」で主張、現場の声反映の教育に、TBSラジオ番組で宮本議員』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-08/2014030804_03_1.html
【道徳の教科化】
赤旗
『「道徳」教科化提言へ、教育再生会議 いじめ・体罰を論議』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-17/2013021702_02_1.html
『道徳教科化 議論始まる、中教審 “入試に活用”の意見も』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-05/2014030502_01_1.html
【歴史問題、領土問題での右翼的教育】
赤旗
『教科書検定、政府見解記述求める、審議会、基準改悪の報告』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-21/2013122101_03_1.html
『領土問題で政府見解明記、学習指導要領解説書 政治介入の危険あらわ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-29/2014012901_03_1.html
『教育へ権力介入の表れ、指導要領の解説書改訂』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-29/2014012902_02_1.html
■「3・11後の「原発利益共同体」の現状と実態(中):新たな一翼の誕生―JAPIC」(小松公生*9)
(内容要約)
・前月号の(上)の続き。
・JAPIC(日本プロジェクト産業協議会)は1979年に誕生した財界団体であり、「東京湾横断道路(東京アクアライン)」などの巨大プロジェクト推進による業界利益追求を目的にしている。
・このJAPIC内に「日本創生委員会」という組織があるが、この組織での原発についての議論を「震災前と震災後」で比べると大きな違いがあることがわかる。震災前は原発についての議論は少なかったのだが、震災後はそれが大幅に増えている(もちろん原発推進の方向の議論であり脱原発ではない)。ここからは「脱原発世論」の高まりに創生委員会が対応を迫られたことが伺える。
・なお、創生委員会メンバー(http://www.japic.org/vision/nihonsousei/pdf/memberlist02.pdf)に木村伊量・朝日新聞社社長らメディア関係者や、斎木昭隆・外務事務次官ら官僚が参加していることが注目される。創生委員会が「マスコミや官庁」を巻き込む形での政策提言をねらっていることが見て取れる。
と同時に、小松氏が批判するように一業界団体の一部門に過ぎないJAPIC日本創生委員会にマスコミや官庁の幹部が公然と関わることは「行政の中立性」「メディアの中立性」という観点から非常に問題であろう。
・ちなみに創生委員会委員長は『「菅降ろし」を煽る原発推進派にして鳩山由紀夫のブレーン・寺島実郎』(http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20110522/1306023069参照)である。
■「雇用・労働および税制・年金改革をめぐるフランスの動向」(米沢博史)
(内容要約)
オランド社会党政権は漸進的新自由主義の立場で「雇用の規制緩和」や「社会保障の削減」を進めようとしており、フランスの労働運動は厳しい状況にある。労組側はオランド政権に対する対決姿勢を強めている。
参考
赤旗
『年金制度改悪 仏全土で抗議デモ、保険料納付期間を延長』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-17/2013101701_03_1.html
『庶民増税反対広がる、大統領支持率 歴代最低の21%、フランス』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-15/2013111507_01_1.html
『企業にすり寄る仏政権、教育・医療の低下 労組警戒』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-21/2014022106_01_1.html
■対談「国連障害者権利条約批准の意義と権利実現への課題」(新井たかね、井上吉郎)
(内容要約)
要約にかえて赤旗記事の紹介。
参考
赤旗
『障害者権利条約批准承認へ、条約に沿い法制度を、参院委 田村議員がただす』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-04/2013120404_02_1.html
『主張:障害者権利条約、批准は法整備の新たな出発点』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-15/2013121501_05_1.html
■「水俣病問題の解決のために今何が求められているか」(板井優)
(内容要約)
・水俣病問題の重要な点として「認定基準が厳しすぎること(国が認定患者を狭めようとしていること)」が上げられ、こうした国の策動を許さない戦いの重要性が訴えられている。
参考
赤旗
『水俣病 質問を削除、市議会 チッソ出身議員が動議、共産党が抗議』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-21/2013032115_03_1.html
『水俣病訴訟の最高裁判決について、市田書記局長が談話』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-18/2013041801_03_1.html
『「水俣病は克服した」首相発言、被害者から怒りの声、「実態も知らずに幕引き図るのか」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-11/2013101101_07_1.html
『水俣病 145人追加提訴、熊本地裁 原告団「1000人めざす」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-27/2013122715_01_1.html
『被害者全員救済を、不知火患者会が決起集会、熊本』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-20/2014012017_01_1.html
『水俣病認定基準の見直し、患者抜きに決めないで、環境相に要求』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-20/2014022014_01_1.html
『水俣病・患者の声聞き救済 世論と運動が大事、市田副委員長、市長・被害者と懇談』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-08/2014030801_03_1.html
■論点
【若者を死に追いやる自衛隊:海自「たちかぜ」事件・10年目の真実】(山本眞直)
(内容要約)
山本論文で取り上げられているのは「たちかぜ乗組員のいじめ自殺事件」だが他にも自衛隊では似たような事件(いじめによると思われる自殺、しごきによる事故死*10)が起こっていることに注意が必要。もはやこれは自衛隊の組織的問題というべきだろう。
参考
【たちかぜ事件】
赤旗
『海自「たちかぜ」 いじめ自殺、遺書に「上官許さない」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-04-07/2006040715_01_0.html
『海自いじめ事件口頭弁論、告発者が証言へ、東京高裁』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-22/2013102215_02_1.html
『海自いじめ自殺、組織的な証拠隠し告発、東京高裁 現職3佐が証言』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-12/2013121215_02_1.html
【たちかぜ事件以外の問題】
赤旗
『海自いじめ自殺、謝罪と再発防止を、両親が防衛省に要請』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-10-24/2008102414_03_0.html
『陸自隊員が全裸「儀式」、福島の演習場 撤収を見送り』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-12-30/2008123011_02_0.html
『空自の人権侵害現職幹部が告発、自白強要 うそ発見器で取り調べ 病院に行かせず』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-05-08/2010050815_04_0.html
『自衛隊セクハラ、懲戒検討で内部調査、防衛省回答 原告ら厳正処分要求』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-01-26/2008012615_02_0.html
『任用拒否撤回求める、札幌地裁人権裁判 女性自衛官が意見陳述』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2009-02-20/2009022014_01_0.html
『性暴力と退職強要で提訴の女性自衛官、任用拒否の撤回求める、国会議員有志防衛省に要請』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2009-03-04/2009030414_01_0.html
『元女性自衛官の人権裁判勝訴、防衛省に控訴断念求める』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-08-07/2010080714_01_1.html
『自衛官自殺 いじめ原因、静岡地裁判決 国に8000万円賠償命令』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-12/2011071215_01_1.html
『“訓練死 陸自に責任”、札幌地裁 両親、究明求め提訴』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-08-04/2010080415_02_1.html
『「勝つため力いっぱい殴れ」、自衛官訓練死事件 指導教官が証言、札幌地裁弁論 3月29日判決』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-02/2013020205_02_1.html
『自衛隊格闘訓練死 裁判が結審、暴行死の疑惑浮上、イラク派兵機に事故急増』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-13/2013021315_01_1.html
『陸自隊員死に賠償命令、格闘訓練 安全配慮怠る、札幌地裁判決』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-30/2013033001_03_0.html
【政令201号犠牲者の名誉回復求めた日弁連勧告】(田村武夫)
(内容要約)
内容要約にかえて以下のエントリを紹介しておく。
http://ibjcp.gr.jp/?p=3362
■政令201号・土井事件 日弁連が人権救済の画期的勧告
日本弁護士連合会(日弁連)はこのほど、土井尚義さんが申し立てた「政令201号に関する人権救済申立」は正当なものとして、安倍晋三首相など3氏に勧告しました。
土井尚義さんと「支える会」は、政令201号弾圧により受けた、解雇・名誉毀損・年金などの不払いについて、2011年4月、日弁連の「人権擁護委員会」に、解雇撤回・名誉回復、損害の補償などを関係機関に求める「勧告」を出すよう求めました。
人権擁護委員会は2012年5月に申し立てを正規に受理し、調査を開始。
2013年8月22日、日弁連はポツダム宣言との関係、日本国憲法や労働法規など様々な角度から検討し、精査した結果、土井尚義氏の申し立ては正当なものと断定、8月29日、以下の3氏に調査報告書を添えて「勧告」しました。
・内閣総理大臣・安倍晋三
・JR支援機構・理事長
・国土交通大臣・太田昭宏
なお2013年5月1日、メーデーの最中、土井尚義さんは、働くものの生活と権利を守るため闘いぬいた92年の生涯を終えました。
土井さんの意思は、苦難を乗り越え、共に歩んできた妻、道子さんに引き継がれました。
「支える会」は、土井さんの申し立てを受理するよう求め、5年にわたり、ポツダム宣言の内容と新憲法が公布された下でのマッカーサー書簡やそれに基づく政府が出した政令などの違法性など、様々な角度から解明し、日弁連に「人権救済申立書」を提出していました。
日弁連は、こうした主張も検討し、公務員の争議権を剥奪した違法性まで調査した「調査報告書」を提出しました。
今回の「勧告」と「調査報告書」は、公務員の争議権の回復にもつながるもので、公務員の今後の闘いにとって極めて重要な内容となっています。
なお、匿名化された「調査報告書」は日弁連の公式Webサイトからご覧頂けます。
■暮らしの焦点「高速ツアーバス運転手の激務は改善されたか」(菊池和彦)
(内容要約:後で読む)
・皮肉にも3/3に高速バス事故で死亡者が出る事態がまた起こった。時期から考えて3/3事故は反映されているわけもない(3/3締め切りでは3/8号が出来ない)が、3/3事故を考える上での参考にはなるだろう。
・2012年4月に関越道で発生した高速ツアーバス事故を契機に国土交通省は『高速・貸切バスの安全・安心回復プラン』を2013年4月に発表。それをどう見るか意見が述べられている。
先ず第一に「以前よりは条件は厳しくなったものの今だ規制がゆるい」「また規制違反をチェックする国道交通省職員の数が少なすぎる」というのが菊池氏の意見である。
第二に「規制違反が横行する原因」として菊池氏は「参入バス業者が多すぎることによる過当競争」「旅行会社が無茶な計画をバス業者に押しつけていること」を上げた上でそうした部分への対応が『回復プラン』にはないとしている。バス業者への規制だけでなく「旅行会社に対しても規制を行う事」、また過当競争防止のため新規参入の規制が必要としている。
参考
赤旗『体調の変化・運転手不足・休日も出勤…、長距離バス事故 「車掌の同乗」必要』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-05/2014030515_01_1.html
■文化の話題
【美術:ターナーと未来社会への空想(朽木一)】
(内容要約)
・ターナー展(http://www.turner2013-14.jp/)の紹介。
【音楽:伊福部昭生誕100年に思う(小村公次)】
(内容要約)
生誕百年を迎える作曲家伊福部昭の紹介。
参考
「伊福部昭生誕100年記念ホームページ」
http://www.akira-ifukube.jp/%E4%BC%8A%E7%A6%8F%E9%83%A8%E6%98%AD%E7%94%9F%E8%AA%95100%E5%B9%B4/
読売新聞『「ゴジラ」横浜でも…伊福部昭生誕100年』
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/classic/clnews/01/20140217-OYT8T00833.htm
伊福部昭(1914〜2006年:ウィキペ参照)
・1935年(昭和10年)、大学を卒業後、北海道庁地方林課の厚岸森林事務所に勤務。
同年、パリでアレクサンドル・チェレプニン賞が催されると、審査員の中にモーリス・ラヴェルの名を見つけ、ラヴェルに見てもらいたいという一心で、『日本狂詩曲』を応募する。結局ラヴェルは病気のため審査員を降りたが、チェレプニンを初めジャック・イベールやアルベール・ルーセルといったフランス近代音楽を代表する作曲家たちが審査にあたった。
パリへ楽譜を送る際、東京からまとめて送る規定になっていたため伊福部の楽譜も東京へ届けられたが、東京の音楽関係者はその楽譜を見て、
1.平行五度などの西洋音楽の和声の禁則を無視し、当時の日本人作曲家にとって下衆に見えた日本の伝統音楽のような節回しが多いこと
2.当時としては極端な大編成である編入楽器多数の(打楽器奏者だけで9人を要する)三管編成オーケストラが要求されていたこと
の理由から、相当の驚きと困惑があったと言う。とくに1.の理由により「正統的な西洋音楽を学んできた日本の中央楽壇にとって恥だから、伊福部の曲を応募からはずそう」という意見も出たが、作曲家・大木正夫の「審査をするのは東京の我々ではなくパリの面々だし、応募規程を満たしているのに審査をはずす理由もない」という意見が通り、伊福部の曲も無事パリの審査会場へ届けられた。
結果は伊福部が第1位に入賞し、世界的評価を得ることとなった。この時の第2位は、伊福部と同じくほぼ独学で作曲を学んだ松平頼則であった。後に松平とは新作曲派協会を結成することになる。
・1946年(昭和21年)、東京音楽学校(現東京藝術大学)学長に就任した小宮豊隆が伊福部を作曲科講師として招聘し、これを受けて就任。この作曲科では、生徒だった芥川也寸志*11、黛敏郎*12などから大変慕われたという。特に芥川は2回目の授業の後で奥日光の伊福部家を訪ね、数日逗留したという逸話を持つ。
・1947年(昭和22年)、東宝プロデューサーの田中友幸*13から依頼を受け、映画『銀嶺の果て』で初めて映画音楽を担当。
・1954年(昭和29年)、『ゴジラ』の音楽を担当。以後、『ビルマの竪琴』や『座頭市』シリーズなど多くの映画音楽を手掛けた。
・1976年(昭和51年)、東京音楽大学学長に就任。
・2006年(平成18年)、死去。享年91歳。伊福部の死去に対して、「日本の作曲界を牽引した功績はとても大きい」(作曲家・池辺晋一郎)、「映画音楽の大山脈をなした方でした」(映画監督・熊井啓)など、各界から追悼のコメントが寄せられた。
・政治的スタンスについて明言することは無かったが、2005年(平成17年)には、音楽家有志によって結成された「音楽・九条の会」の呼びかけ人として参加している。
・自身は神道を信仰していたが、神道以外も含め宗教映画の映画音楽も多く手がけた(『日本誕生』、『釈迦』、『人間革命』等)。『続・人間革命』は降板させられたが、これは天理教の映画『扉はひらかれた』の映画音楽を担当したためだといわれている。
・伊福部の映画音楽デビュー作『銀嶺の果て』の打ち上げの席で、伊福部は俳優・小杉義男に、「あんた、監督さんにあんなふうに口答えするなんてどういうつもりなんだ」と監督と論争したことを咎められた。しかし後で、俳優・志村喬がやってきて、「音楽の入れ方で監督と論争する人は初めてだ。これからも大いに頑張りなさい」と励まされたという。
・『座頭市』シリーズで仕事を共にした勝新太郎とは、「勝っちゃん」「先生」と呼び合う仲で、後に勝が舞台で座頭市を行う際、オープニングは伊福部のボレロ(座頭市のテーマ曲)でなければならない、と言う勝の意見で、伊福部に音楽を依頼したと言う。
【演劇:『東海道四谷怪談』(劇団俳優座)(水村武)】
(内容要約)
・俳優座公演「東海道四谷怪談」の紹介。ただし筆者は「歌舞伎の四谷怪談」を越える物があったかというと残念ながらそうは言えないのではないかとかなり厳しい評価をしている。
■スポーツ最前線「ママさん選手が示した女子スポーツ発展のカギ」(呉紗穂)
(内容要約)
・カーリングの小笠原歩など、出産、育児をしながら活躍している選手もいるがまだその数は少ない。そうした状況には日本の女性選手支援が不十分なことがあると思われる。海外の女性選手支援も参考にしながらより女性選手支援を充実させる必要がある。
■メディア時評
【新聞:東京都知事選をどう論じたか(金光奎*14)】
(内容要約)
・都知事選報道において新聞の多くが「舛添、細川」を有力候補として報じたことは
1)政策報道ではなく政局報道になっていた
2)宇都宮候補など他候補を不当に軽視している、と言う点で非常に問題である。
・選挙結果について「原発推進メディア」読売、産経が「脱原発に対する不信任」であるかのように主張したことは
1)脱原発を主張した細川、宇都宮両候補をあわせた得票数が舛添候補と拮抗していること
2)舛添候補も早期の脱原発を主張した細川、宇都宮候補とは違い、「将来的な課題」としながらも脱原発を否定していない、という意味で極めて不当である。
むしろ京都新聞社説「東京都知事選:民意は原発推進ではない」(http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20140210_4.html)、琉球新報社説『東京都知事選:原発施策の信任ではない』(http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-219185-storytopic-11.html)こそ正当な指摘と言えるだろう。
【テレビ:歴史にない恥ずべき事態(沢木啓三)】
(内容要約)
・タイトルで『籾井、百田、長谷川のことかーっ」と思ったら予想通りでげんなり。まあ、まともな国ならあんな「慰安婦はどこの国でもあった(籾井)」とかネトウヨと同レベルの発言する奴らが公共放送の経営委員だの会長だのになりませんから。籾井については理事全員に「日付空欄の辞表を出させた」というパワハラ体質、ブラック企業体質まで発覚したし。
・特に百田なんか「南京事件は米国も関与した捏造、米国が自分の戦争犯罪(原爆投下や東京ダウ空襲などのこと)を隠すためにそうした」ってほざいてるんだから、本来更迭もんだろ。「日米関係は重要」ってのが自民の建前のはずなんだから。百田の言ってること、明らかに米国に対する誹謗中傷でデマじゃん。
参考
赤旗『NHK経営委員、“他国が攻めてきたら9条教信者を前線に送る”、作家・百田尚樹氏の“見識”』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-16/2013111614_01_1.html
赤旗『事実をゆがめる籾井氏発言、「慰安婦」は「どこの国にもあった」?、軍による制度は日・独だけ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-28/2014012802_03_1.html
赤旗・主張『NHK会長の暴言、かばい続ける政府の責任重大』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-03/2014020302_01_1.html
赤旗・主張『NHK経営委員、お友だちだから、かばうのか』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-06/2014020601_05_1.html
赤旗・主張『NHK籾井会長、いつまで居座りを続けるのか』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-05/2014030501_05_1.html
東京新聞『役員の辞表、預かってません 回答全45社 NHK会長発言で本紙調査』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014030702000141.html?ref=rank
*2:著書『スターリンと大国主義』(1982年、新日本新書)
*3:もちろん表沙汰にすると欧米の非難を浴びるからだが
*4:日中戦争・国共内戦時に人民解放軍総司令。建国後も国家副主席、全国人民代表大会常務委員長などを歴任。
*5:日中戦争・国共内戦時に人民解放軍副総司令。建国後は国防相に就任するが廬山会議で大躍進の失敗を批判したことから毛沢東に失脚させられる。晩年、直腸がんとなるが文革のため迫害されろくな医療も受けられず悲惨な死を遂げる。死後、名誉回復。
*6:著書『昭和天皇の終戦史』(1992年、岩波新書)、『日本の軍隊:兵士たちの近代史』(2002年、岩波新書)、『日本人の戦争観:戦後史のなかの変容』(2005年、岩波現代文庫)、『アジア・太平洋戦争』(2007年、岩波新書)など
*7:著書『日本経済の構造的危機を読み解く:持続可能な産業再生を展望して』(2014年、新日本出版社)
*8:著書『労働法はぼくらの味方!』(2009年、岩波ジュニア新書)、『それ、パワハラです 何がアウトで、何がセーフか』(2012年、光文社新書)、『パワハラに負けない!:労働安全衛生法指南』(2013年、岩波ジュニア新書)、『人が壊れてゆく職場:自分を守るために何が必要か』(2013年、光文社新書)など
*9:著書『原発にしがみつく人びとの群れ:原発利益共同体の秘密に迫る』(2012年、新日本出版社)
*11:作曲家。作家・芥川龍之介の三男。TBSラジオ『百万人の音楽』パーソナリティーを務めたことや映画『八甲田山』、『八つ墓村』の音楽を担当したことなどでお茶の間にも親しまれた。
*12:作曲家。スポーツ行進曲(ジャイアント馬場の入場曲として知られる。最近では日テレ系ドラマ「戦力外捜査官」のテーマ曲に使われている)の作曲や『題名のない音楽会』の司会などでお茶の間にも親しまれた。晩年は『自由社会を守る国民会議』(日本会議の前身)の議長として右翼活動に従事。