今日のMSN産経ニュース(4/6分)(追記・訂正あり)

■【島が危ない 第2部 佐渡に迫る影(1)】ガメラレーダー 日本海の要、接近 中国重鎮の思惑
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140406/plc14040611310008-n1.htm
 「対馬が危ない、韓国がねらってる」という嫌韓国記事を書いた前科がある産経ですが今度は「佐渡が危ない、中国がねらってる」んだそうです。「第2部・佐渡に迫る影(1)」ですからこれで終わりでなくて延々「佐渡に迫る影(2)」だの「佐渡に迫る影(3)」だのが続くんでしょう。
これが「街宣右翼の出してる機関誌」ではなく「一応、日本新聞協会加盟の全国紙」というのはまさに日本の恥でしょう。
 ヘイトスピーチを理由に協会から産経を除名してもいいんじゃないでしょうか。

「中国が佐渡島や新潟に拠点を作ると、日本海が中国の内海化する危険性がある」

 産経が取材した防衛省幹部の発言だそうです。
「本当にそんな幹部がいるのか」と疑いたくなるような珍発言です。
 そもそも「拠点」とは何なのか?。新潟には既に中国領事館がありますがそれは拠点なのか?。中国企業が新潟や佐渡に進出したらそれは拠点なのか?。いや何が拠点を意味するにせよ、「クリミアに進駐したロシア」のように「中国軍が新潟や佐渡にでも進駐しない限り」、日本海が中国の内海化するなんてことはありえないでしょう。もちろんそんなこと(中国軍の進駐)はありえないわけですが。

 佐渡島の表玄関・両津港から約3キロ。県道65号を車で10分ほど走ると、道の駅「芸能とトキの里」(佐渡市吾潟)に着く。ところが、目立つ場所に「学校法人・新潟国際芸術学院佐渡研究院」の看板が掲げられ、レストランも土産店もない。
 この施設はもともと、JA佐渡佐渡汽船グループが設立した「佐渡能楽の里」が運営していたが、観光客の減少で経営不振となり解散。絵画教室などを運営する学校法人新潟国際芸術学院(東富有理事長、新潟市中央区)が、建物部分(延べ床面積約3600平方メートル)を1円で購入した。同学院は土地もJA佐渡から無償で借り受け、23年6月から研修施設として利用している。
「持っていても(注:固定資産税など)税金がかかるだけ。二束三文でも手放したかった」。地元のベテラン市議は、“1円売却”の経緯をこう話した。
 東理事長自身の説明によると、同理事長は中国・瀋陽魯迅美術大を卒業。平成3年に新潟大大学院に留学し、5年後に日本国籍を取得。21年1月に「中国などからの短期留学生に新潟の自然風景を描かせたい」と新潟国際芸術学院を設立した。道の駅については、市などから、芸術分野での活用を働きかけられ、“購入”を決めたという。
(中略)
 地元の大手ホテル会社の社長が説明する。
「(注:新潟の中国)総領事館と東先生、(注:佐渡)市で、道の駅の場所に国際美術大学を作る計画がある。中国から学生を集めることが前提で、すでに中国の大学2校が学生を送り込むことが決まっている。佐渡を世界に発信できる」

 「1円売却」なんかして責任問題にならなかったんだろうかと疑問に思いますがそのあたりは産経記事ではわかりません。
 建物建設が「1円で出来た」なんてことはありえないわけで当然ながら
1)「JA佐渡佐渡汽船が不当にも安値でたたき売った(新潟国際芸術学院との癒着?)」
2)「1円でないと売れないくらい魅力のない施設、そして『1円でもいいから誰か買ってくれ』と言いたくなるほどJA佐渡佐渡汽船が困ってた」か
どっちかでしかないわけです。
 1)ならJA佐渡佐渡汽船、東理事長の三者に背任や業務上横領といった犯罪が成立するでしょう。犯罪が成立しない2)でも「何で1円でないと施設が売れないような異常事態を生んだのか」「そもそも施設を造ったことそれ自体が重大な経営判断ミスではないのか」というJA佐渡佐渡汽船の道義的・政治的責任は免れません(もしかしたら施設が抱える借金を学院が全て肩代わりしたのであって、それをカウントすると「1円売却」ではないのかもしれませんがそれは産経記事ではわかりません。まあ「実際は1円売却でない場合」でも「経営ミス」という批判は免れないでしょうが)。
・まあ、それはともかく。

(注:新潟の中国)総領事館と東先生、(注:佐渡)市で、道の駅の場所に国際美術大学を作る計画がある

ことは何ら悪いことではないでしょう。
1)その大学計画が無茶苦茶杜撰で、「文科省の認可がそもそも下りない」とか「開学から数年で閉校」なんて悲惨な事態になる恐れが大きい
とか
2)その大学計画は東理事長の口から出任せ、東氏は「大学設置の意思」などかけらもなく、イトマン事件の許永中並みに怪しい人物で佐渡市や中国政府当局からほら話で金を引っ張ろうとしており後々詐欺事件になりかねない
なんて異常な話でもない限り、敵視するようなことではないでしょう。
 つうか普通この計画に反対なら「計画がずさんだ、デタラメだ」「こんなんじゃ認可が下りない、仮に下りても数年で閉校する恐れがある」とでも言うのが一番適切な批判であって「佐渡が危ない、中国がねらってる」「佐渡には自衛隊ガメラレーダーがある」なんて非常識にも程があるでしょう。

 一行の中心は中国の唐家セン・元国務委員。そのほか、中国在新潟総領事館の王華総領事(当時)、新潟で絵画教室を運営する学校法人新潟国際芸術学院(新潟市中央区)の東富有理事長兼学院長、そして佐渡市の甲斐元也副市長(現市長)の姿もあった。

 産経タイトルの言う「中国重鎮」は唐氏のことでしょう。唐氏は中日友好協会理事、駐日大使館参事官、外務次官、外相、国務委員(外交担当)と日中畑、外交畑の要職を歴任し、今は中日友好協会会長という大物政治家です。
 ただこれって「大学設置計画がらみで佐渡市と東理事長が唐氏を佐渡に呼んだだけ」であってそれ以上の話では全くないと思いますね。そしてこれだけではどれほど唐氏がこの計画に関わってるかとか、この計画の実現可能性とかはわからないでしょう。

 新潟国際芸術学院が佐渡に進出したころ、新潟市内では、中国在新潟総領事館の移設問題が起きていた。
 新潟に総領事館が開設されたのは22年6月。当初、商業ビルに入居したが、同年10月に新潟市の学校法人NSGグループとの間で、専門学校の旧校舎を5年間借りる契約を結んで移転、現在もそこを使用している。

 新潟総領事館の移転なんて佐渡に全く関係ないし、本来この移転計画は大騒ぎするような話じゃない。中国に敵意を燃やす一部右翼が「中国のスパイ拠点になる」などとデマまで飛ばして、反対してるに過ぎません。

地域振興のために中国を活用しようとする佐渡。その思いに歩調を合わせる中国。佐渡の中国依存が深まっている。

 産経の言うような意味とは関係なく「中国や韓国に限らず」、「特定の団体(国に限らない)に過剰に肩入れすること」は「その団体がぽしゃったり態度を変えたりしたときにリスキー」と言う意味で避けるべきではあるでしょう(難しいことなのでどうしても「韓国人観光客を増やすこと(対馬の場合)」など「すぐに成果が出る話」に目が行くでしょうが。費用対効果を考えたらその方が少なくとも短期的にはいいわけですし)。たとえば「韓国人観光客に期待する(対馬)」というのは「韓国人観光客が何らかの理由で去ったとき」にはリスキーですから「観光以外に力を入れる」「韓国以外の観光客誘致につとめる」と言ったことは必要でしょう。「今韓国人観光客が対馬を好きだから」といって未来永劫そうだという保障はどこにもないわけです。たとえば、我ながらたとえがうまくないと思いますが、昔は「宮崎は新婚旅行先のメッカ」だったそうですが今はそうじゃない。たぶんハワイだのオーストラリアだのという海外の方がメッカでしょうね。新婚夫婦の趣味が変わったわけです。そういうことが「韓国人観光客と対馬の関係で起こらない保障」はどこにもない。
 ただ産経の主張はそういうことではなく「異常な中国・韓国敵視」に過ぎず、当然「韓国人観光客誘致以外にこういう策はどうでしょう」なんて建設的な話では全くありません。耳を傾ける価値など全くない。


■【編集日誌】「女性の活躍」に外国人労働者
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140406/plc14040608120004-n1.htm

 「女性の活躍推進の観点から、外国人の活用について検討してもらいたい」。安倍晋三首相が示した方針に、ちょっと違和感を抱きました。

 まあ、俺も違和感は感じますね。「女性の活躍推進」と「外国人の受け入れ」はストレートにはつながらない。「外国人移民の多い国なら女性の社会進出が進んでる」とか「女性の社会進出を進めるには移民を受け入れるしかない」とか到底言えないでしょう。
 そして移民というのは本気で受け入れるとなったら相当の覚悟が必要でしょう。今ですら在特会などと言うレイシストがでかい面してるわけで下手に受け入れるとそれこそ大規模なヘイトクライムがおきかねない。
 そう言う意味でこの産経文章にはある程度共感しますが、ただそれでもこの産経の文章には2つの点で違和感を感じますね。
(違和感その1)
 産経の場合、なんだかんだ言って「外国人嫌いだから移民反対なだけじゃないのか」という疑いがあります。
(違和感その2)
「ちょっと違和感」とは随分と優しい表現だなあと。これ、安倍以外の政治家、特に産経が敵視してる民主党の政治家が主張した場合でも「ちょっと違和感」で済ますかといったら、おそらくそうではなくて「外国に国を売り渡すのか」などと悪口雑言じゃないですかね。


■【産経抄】4月6日
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140406/plc14040603050001-n1.htm

竹島は韓国のものです」「尖閣諸島は中国から盗んだ島です」と事実に反する記述をしない限り、満足しない、というわけだ。

・アホかとしか言いようがないですね。建前論はともかく本音の世界では中韓両国ともそんなことは考えてないでしょう。ま、そんなことは産経も承知の上での「中国、韓国への敵意を煽る」扇動行為でしょうが。
・ここまで「領土教育とやらに力を入れる」のは、それも「尖閣竹島は日本領土」とだけ書いて排外主義を煽ってるのは安倍政権だけです。俺が子どもの頃なんかこんな教育してないですから。しなかったのはもちろん中韓への配慮です。外交関係悪化させていいことは何もいいことはないですから。
 要するに中韓は「安倍政権以前の昔に戻せ」と言ってるだけで、もちろん、それは「技術的には」別に難しいことではない。ま、産経や安倍にとっては「昔は屈辱」でしょうからそういう意思はないでしょうけど。
・大体、日本がこういう事をやれば中韓だって「そういう領土教育を強める恐れがある」わけです。それでいいというなら価値観の相違ですけど、俺は勿論いいとは思いません。
・こうした安倍の態度には尖閣竹島日本領土説をとる共産党

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-05/2014040501_02_1.html
 検定意見で、「日本の領土である尖閣諸島に対して、中国が領有を主張しており、政府は、その解決にむけて努力を続けています」との申請段階の記述が、「日本の領土である尖閣諸島に対して、中国が領有を主張しています」と修正される例もあります。
 これは、尖閣諸島について「領有権問題は存在していない」といって、日本固有の領土であると世界に主張しないという、“自縄自縛”に陥った日本政府の見解に沿うことを求めたものです。これでは、領土問題を話し合いで解決するということが学べないおそれがあります。

と批判しています。しかし修正理由がわからないですね。「日本領だから話し合いの余地なんかない」ということでしょうか。そういう話じゃないでしょうし、これはもはや「検定は事実の間違いを是正する」という建前に完全に反しますよね。

似たような光景は21年前にもあった。「慰安婦問題で『強制性』を認めてくれたら、二度と蒸し返さない」という韓国側の甘言に乗って、時の宮沢*1政権*2は、ろくな検証もせずに「河野*3談話」を出した。その結果、事実とはかけ離れた「性奴隷」という慰安婦像が世界中にばらまかれ、日韓関係はいまや最悪となった。

 デタラメだらけの文章です。
 まず第一に「河野談話を出したから最悪になった」のではなく「河野談話を撤回したいと安倍が言ったから最悪になった」んですが。ま、他にも靖国参拝とか今回の竹島問題とかも悪化原因としてありますが。
 第二に領土問題については争いがありますが「慰安婦が性奴隷かどうか」については争いなんかありません。
 争いがあるとしたら「歴史捏造主義極右(デマゴーグ)VSそれ以外」という争いです。それは「南京事件は実在したのか」「ホロコーストは実在したのか」「アポロは月へ行ったのか」「天地創造説は正しいのか」などという「論争」と同レベルの代物に過ぎません。
・そしてこういう産経のような「河野談話否定」のデマゴーグが「尖閣竹島は日本の領土」と言っても説得力なんかあるわけないでしょう。領土問題での主張が反発を買う背景には「慰安婦はデマ」だの「南京事件はデマ」だのいう極右の暴論が明らかにあるわけです。 

*1:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*2:歴代政権が踏襲している以上、宮沢氏や河野氏の個人責任に出来る話ではありません

*3:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長を歴任