いつもどおりid:noharra氏に突っ込む(副題:天安門「広場」では死者はいなかった)(5/4分)(追記・訂正あり)

■弯曲していく日常『25年も経つと、どんな大事件でも』
http://d.hatena.ne.jp/noharra/20140605

突っ込み所だらけですね。

20年ほど経つまでは、南京大虐殺従軍慰安婦も、(本来はそれをないものだと思いたい加害者側の人たちも)あえて、「なかった」などとは言い出さない。

 単に「南京大虐殺従軍慰安婦について『朴チョンヒ軍事独裁政権が日本からの援助目当てで被害者の声を抑え込んだ』『性暴力被害へのセカンドレイプの恐怖*1』『大躍進や文革の混乱などでそれどころではなかった』など様々な理由で被害国側の国民があまり声をあげなかったから、わざわざ「なかった」という必要が日本ウヨになかったに過ぎません。
 戦争犯罪に限らず、公害であれ、オレオレ詐欺であれ、何であれ、被害者が声を上げないなら「黙ってる事」が加害者にとっては一番得策です。下手にしゃべる事はやぶ蛇にしかならない。
 批判の声が大きかったら、戦後すぐに「なかった論」が大々的に主張されたでしょう。

仮に言い出してもたちまち関係者たちに反撃され、自分の立場を悪くしてしまう。

 別に「終戦直後に言い出しても」、残念ながら立場は少しも悪くならないでしょう。そもそもid:noharraのいう「なかった派」は論理的勝利を目指してるわけではないのだから「日本が悪い事をした」と認めたくない日本人の「ナショナリズム」に訴えればいいだけの話です。でそういう「情緒の世界での勝利」の危険性は残念ながら、今も「終戦直後」もたいして変わらないでしょう。もちろん「時間が経てば生き証人がいなくなり嘘を躊躇する理由が減る」のは事実ですが、別にそういう理由で「なかった論」が終戦直後に大々的に主張されなかったわけではありません。

事件直後に柴玲ら中心人物が熱心に語った「戒厳部隊が広場を血で洗った」は嘘であった!

 野原はこの嘘の追及にご不満なようですが、実際、id:noharraも認めてるように、嘘なんだから「嘘だ」といって何が悪いんですかね。日本だとこの嘘を「嘘だと知らない人間がいる」から困ります。嘘は徹底的に批判され消滅させないといけない。別にこの嘘を批判する事は「天安門事件で死者が出なかった」と言ってるわけでもないですし。

広場のすぐ外側でたくさんの流血があった以上、それは意味のない情報だった。

 冗談も大概にして欲しいですね。嘘を嘘だと批判する事の何が「意味がない」のか。
 大体「意味のない情報」なら何で嘘なんか流すのか。中国にいい反撃のネタを作ってるだけです。嘘つきの柴玲にとって少なくとも「主観的には」意味があったわけです。
 この野原の詭弁、単にアンチ中国のid:noharraが、「中国を批判する嘘」は平気で容認するだけの馬鹿野郎だという話です(あるいは大好きな柴玲の嘘なら詭弁で擁護するバカ野郎)。ならばドイツや日本の戦争犯罪を語るにおいて明らかなデマゴギー(ただし俺の知る限りそういうデマはありませんが)が垂れ流されても「ホロコーストとか、731部隊とか残虐行為をドイツや日本がやってたのは事実だから、その話がデマでも問題ないよ」になるのか。なるわけないでしょう。
 「広場で流血はなかった」と言う人が「しかし広場以外では流血があった」というなら、「流血はなかった」発言は別に中国を免罪してるわけではなく何の問題もない。ちなみにそういう人間(広場内ではなかったが広場外ではあったと主張)の一人が、「学生を説得して広場から撤退させた劉暁波*2」です。
 「広場で流血はなかった」と言う人が「広場以外でも流血はなかった」というなら、それはデマでしょうが、その場合批判されるべきは「広場外でも流血はなかった」発言であって、「広場で流血はなかった」発言ではないでしょう。
 どっちにしろ「広場で流血はなかった」はid:noharraも認めるように事実なんだからそういう発言をする事それ自体には何ら問題などない。

しかしこれからは違う。日本人はすでに天安門事件をごくわずかしか覚えていない。だから「戒厳部隊が広場を血で洗ったは嘘であった!」を大々的に強調すれば、それは大きな効果を上げるだろう。

 とてもそうは思えませんけどね。そもそも「広場で流血はなかった」を日本メディアがきちんと報じてるなんて事実がありませんし。中国メディアがそういう報道をしてもほとんどの日本人は中国メディアなんか見聞きしませんし。
 id:noharraは本当に日本人なんでしょうか?。一体どこの日本の話をしてるんでしょうか。
 日本がそんなに「親中国(?)的な国」なら安倍ごとき反中国極右が首相になる事もなく、日中関係ももっとずっとまともだったことでしょう。
 「A級戦犯を合祀した靖国への首相参拝はおかしい」という「中国の正当な批判」さえ、「言いがかり」であるかのように報じる右翼反中国メディア(例:産経、週刊新潮)がごろごろしてる日本においてid:noharraの主張は「明日天が落ちてくるんじゃないか」レベルの杞憂です。むしろ「安倍のような反中国をどう是正していくか」「そうした反中国に天安門事件批判が悪用されないためにはどうしたらいいか」と真剣に考えるべきでしょう。そう言う意味ではid:noharraの主張とは違いむしろ日本においてはもっともっと「天安門広場では流血はなかった」と言う事実が宣伝されないといけません。

「戒厳部隊が広場を血で洗った」は嘘を強調することは「すぐ外側でたくさんの流血があった」ことを直ちに思い出させてしまうので、かえってまずいやり口だった。25年間は。

いやいや、以前から「広場では流血はなかった」は中国政府も主張してきた事じゃないんですか。そして外側での流血については「死者は400人程度で一部西側メディアや亡命学生運動家が言うほど多くない」「それらも暴徒鎮圧のためにやむを得ない事であった」としてきたわけです。

 Ko会長は「学生指導者たちは死者の数を誇張した可能性がある」と述べ、「北京中央は社会秩序を回復し、治安を維持するため極端な行動を不可避的にとらざるを得なかった」と語った。

「異常なアンチ中国」のid:noharraはこのko発言を全否定している。しかし、後半の「社会秩序回復のための不可避の行動」と言う評価はともかく、前半の「誇張の可能性」は全く正論だろう。


【追記】
この件についての
映画評論家町山智浩アメリカ日記『天安門広場での死者はなかった』
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040313
紹介。ちなみにこの町山エントリは今から10年前(2004年)、つまり天安門事件(1989年)から15年後のものだ。

 この事件の本質は、世界が当時信じた「善意の学生運動を政府が軍で弾圧した」という単純な話ではなかったのだ。
 死者300人*3について最も責任を負うべき者は、学生のリーダーだったのだ。
 なぜなら、彼らは意図的に、軍の介入と「虐殺」を引き起こそうとしたと、アメリカの映画やテレビのインタビューなどですでに告白しているからだ。
 そもそも政府にとって、北京に解放軍を入れるのは内外ともに悪い効果しかないことが明らかなので、絶対にやりたくない最後の手段だった。そのため政府は最後まで無血で学生を排除しようと説得していた。
 しかし、学生側のリーダーたちは説得を拒み続けた。なぜなら彼らは「虐殺が必要だ」ったからだ。
 1995年製作のアメリカ製ドキュメンタリー映画天安門THE GATE OF HEAVENLY PEACE」(日本でもちゃんと公開済)で、学生リーダーの柴玲(チャイ・リン)が無責任にも、カメラの前ではっきりとこう言っているのだ。
 「政府を追い詰めて人民を虐殺させなければ、民衆は目覚めない。だけれど、私は殺されたくないので逃げます」
 彼女らは、政府と学生を煽って、なんとかして虐殺を起こそうとしたのである。そして、いざ軍が来るという情報を得ると、自分たちだけCIAの手引きでこっそり海外に脱出したのだ。
 軍が入ってきた時、広場に残った学生たちは柴玲たちがいなくなっていることに気づいて呆然とした。
 いつの間にか中国を脱出していた柴玲たちは見てもいない「天安門の虐殺」を世界のマスコミに向けてアピールした。

小生、このドキュメンタリーを見てないので評価しようがないがこれが事実なら柴玲のような輩は「CIAの工作員も同然」と言って何ら問題ないだろう。アンチ中国のid:noharraさんはまた考えが違うかもしれんが。
この町山エントリについたブクマもいくつか紹介しておく。

esbee 興味深い これはひどい 政治
『彼女らは、政府と学生を煽って、なんとかして虐殺を起こそうとしたのである。そして、いざ軍が来るという情報を得ると、自分たちだけCIAの手引きでこっそり海外に脱出したのだ。』清々しいほどのクズ
ncc1701
当時北京の学生だった人と話したことがあるが、民主化リーダーについて「あいつら、天安門から真っ先に国外逃亡して、今じゃアメリカで太った実業家になってやがる」と怒りまくってたな。

さてこれについてのid:noharraの応答。

シモツカレうざい
いくらコメントしても一切読んでないから。「緑の党*4支持者でないと認める」なら、誰かを通して間接的に伝達*5してください。

 そうですか、そうですか。いやそういう態度だろうとは予想していましたが。
しかし俺が紹介した「町山の文章」くらいは何かコメントするかと思ったんですけどねえ。まあ、別にあなたにコメントしてもらわなくてもいいんですけど。
ブログの「ご批判、ご質問などをよろしくおねがいします」と言う言葉が泣いていますよ(苦笑)。つうか俺以外、野原ブログにコメント者がほとんどいないってのも何だかなあ。俺へのid:noharraの態度で「あいつは話が通じないから」と見なされててコメントがないのと違うのかと少しだけ思う。

*1:こうした恐怖は何も慰安婦に限らない。また状況は改善されたとは言えそういうセカンドレイプの恐怖は消えてなくなったわけではないでしょう。

*2:2010年ノーベル平和賞受賞者。著書『現代中国知識人批判』(1992年、徳間書店)、『天安門事件から「08憲章」へ』(2009年、藤原書店)、『「私には敵はいない」の思想』(2011年、藤原書店)、『最後の審判を生き延びて』(2011年、岩波書店

*3:原文のまま。とりあえず数の問題はここでは論じない

*4:緑の党」云々なんて全く関係ない話を持ち出す当たりが無茶苦茶です。

*5:いやあ、あなたと私に共通の知人なんていませんからね、id:noharraさん。そんな事は無理ですよ。