今日のMSN産経ニュース(5/17分)(追記・訂正あり)

■【インド総選挙】オバマ米大統領、モディ氏の訪米要請 アジア重視で方針転換
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140517/asi14051721030014-n1.htm

 オバマ米大統領は17日までに、インドの新首相への就任が確実になったインド人民党(BJP)のモディ氏に電話し、総選挙でのBJPの勝利に祝意を伝えるとともに、訪米を要請した。米国はこれまで、2002年にグジャラート州で起きたイスラム教徒虐殺事件*1での対応に問題があったとして、モディ氏への査証を発給していなかったが、同氏の首相就任で招待に転じた。

 要するに石原慎太郎みたいなイスラム教徒差別発言ぶちかまして状況を悪化させたことに「あいつはアホか」と米国が反発したのでしょう。査証(ビザ)がでなかったわけですがさすがに「グジャラート州首相」ならまだしも、「経済大国インドの新首相」相手に「お前が首相になろうとビザなんか出さないから、お前は米国に来なくていいから」と言うわけにも行かないのでしょう。
『「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例』(http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/0923078995318b8a865f3339b5611701)の一例です。
 今後モディ氏が何か問題(イスラム差別発言など)を引き起こさない限り、米国のこの対応が続くのでしょうし、モディ氏もバカでない限り「2002年にグジャラート州で起きたイスラム教徒虐殺事件」の再現を引き起こすようなバカはしないでしょう。


■【産経抄】5月17日
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140517/plc14051703060005-n1.htm

どの新聞を読んでも同じ、という時代はとっくに過ぎ去った

いやいや消費税増税やTPPについて言えば完全に全国紙は「金太郎飴」ですけど。
一方、外交安保政策で産経や読売が右寄り(つうか極右)で、朝日、毎日は左より(つうか中道)というのは昔からで何も最近始まった話ではない。読売がナベツネの命で改憲案を作ったのは1990年代のことです。

 東京新聞のはじけぶりは、素晴らしい、の一言に尽きる。
 ▼1面には「『戦地に国民』へ道」の大見出しが躍り、「近づく 戦争できる国」という見出しを社会面に掲げた朝日新聞(東京版)を圧倒した。

言ってることがさっぱりわかりません。東京と朝日にそんなに意味やインパクトの違いはないでしょう。
「『戦地に国民』へ道」てのは全くその通りでしょう。「専守防衛でなくても自衛隊に軍事行動させる」というのは「『戦地に国民』へ道」でしょう。安倍はイラク戦争のような「多国籍軍型参戦」も否定していませんし。
 産経は「自衛官は国民ではない」とか「集団的自衛権を行使する場所は戦地ではない」とでも言う気でしょうか?
 問題は『戦地に国民を送ることを是とするか非とするか』なんですが産経は詭弁で「戦地に国民は送らない」と強弁でしたいようです。さすがの産経も「国益のために自衛官イラク戦争のような場所に送り込んで死なせて何が悪い」と「現時点では」放言する気はないようです。

申し合わせたかのように、同じような見出しや記事を掲載した新聞がほかにもある。「安倍『戦争ができる国』宣言」「日本を戦争への道へと向かわせている」。
 ▼前者は韓国の東亜日報、後者は中国の環球時報である。

でそれが何だと言うんでしょうか。「朝日や東京は中韓の手先だ」というネガキャンですか?
何度も言いますが「専守防衛でなくても軍事行動できる」というのは「戦争への道」以外何物でもないでしょう。

日本の集団的自衛権行使を警戒している国は、世界広しといえども中韓北朝鮮*2しかない。

 EUや米国、ロシアが明らかに安倍靖国参拝を批判してるのに「中韓しか批判していない」とデマを飛ばす産経なので話半分にきいておきます。
 仮に「中韓北朝鮮以外に厳しい批判をする国が少ない」としてもそれは「日本が正しいから」というよりは「日本とこの問題でもめることにメリットを感じないから容認する」と言う「国益論」に過ぎないでしょう。
 「ほとんどの国は批判してない」というなら「中国のチベット統治」「ロシアのチェチェン統治」だって人権問題として批判してる国は「一部の欧米国家だけ」で「東南アジアやアフリカ」など、ほとんどの国は批判してないでしょうが、それは別に「ダライラマチェチェン反政府勢力は100パー間違ってて中国やロシアが正しい」という話ではなく*3、単なる国益論に過ぎません。
 そして「国際社会の声」云々というなら「クマラスワミ報告」「マクドガル報告」などで既に「戦争犯罪」と言う認識が国際社会の共通認識になっている慰安婦について「河野談話撤回」などという与太を飛ばすのは辞めたらどうなんでしょうか。

反日」でなければ大統領になれない韓国

産経の言う親日とは「日本の植民地統治を全面賛美せよ」ということですから確かに「反日でなければ大統領にはなれない」でしょう。
でそれの何が悪いのか。
どこの世界に「植民地統治時代を全面賛美する国家」が存在するのか?。
フィリピン(米国植民地)、インド(英国植民地)、ベトナム(フランス植民地)、インドネシア(オランダ植民地)などは植民地時代を全面賛美しているのか?

同盟が強化されれば、尖閣諸島沖縄県石垣市)占領をはじめ、軍事力を背景にした(注:中国の)海洋進出の野望がくじかれるからだ。

 集団的自衛権の対象は何も「中国限定」ではありませんのでデタラメにも程があります。アメリカは「イラク戦争、アフガン戦争」のような中国が関係ないケースでも日本の自衛隊派兵を求めるでしょうし、その場合でも産経は諸手で賛成でしょう。
 それともこの産経の一文は「中国と尖閣でガチンコの戦争をやるときに米国の支援を受けるためには米国の要求は全てハイで受け入れなければならない、だからイラクでもアフガンでも米国に求められたらどこでも自衛隊を送らないと行けない」とでも言うんでしょうか?。「親分・アメリカの言う事なら何でも応じる」というのはもはやまともな外交方針とは言えないのではないでしょうか?
 そもそも米国の「集団的自衛権行使」要求に安倍政権が応じたところで米国は「中国とガチの戦争」などしたくない*4でしょうし、そもそも中国の方だって日本相手にガチの戦争なんかしたくないでしょう。
 世界有数の軍事力・自衛隊相手に勝てるかわからないし、仮に勝てたところで中国の評判が良くなるとも思えないからです。「軍事的勝利イコール政治的勝利」ではありません。だからこそ米国だってそう簡単には軍事力行使しないし、できない。仮に自衛隊に勝利できたとしてもむしろ日本企業や欧米企業の中国撤退が相次ぐなどかえってダメージでしょう。
  尖閣を中国領にする程度で、そのダメージの埋め合わせが出来るとも思えません。

*1:事件当時、モディ氏はグジャラート州首相

*2:日本が経済制裁している北朝鮮の声を「無視して構わない」というのはわかります。日本が経済交流している中韓をここまで敵視する神経がわかりません。「中韓の誤解を解きたい」というならまだわかるんですけどね。

*3:中国やロシアに気を遣って、建前ではそういう話だというかも知れませんが本音はそうではないでしょう。

*4:だからこそそうならないように「日本、中国双方にそういうことはするな」と強烈なプレッシャーをかけるでしょうし、仮に不幸にしてそういう事態が発生しても「在日米軍が直接攻撃でもされない限り」即座に米軍が自動参戦したりはしないでしょう。「早急に日中両国の和平を望む」とでも声明出して終わりじゃないか。