今日のMSN産経ニュース(5/27分)(追記・訂正あり)

■中国総領事館移転「ぜひ進めて」 国会質問の自民議員、新潟の不動産会社から献金http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140527/crm14052707080005-n1.htm

 中国在新潟総領事館新潟市)の移転・拡張計画が頓挫*1している問題にからみ、平成24年の国会質問で「外務省が仲介に立ってぜひ進めていただきたい」と対応を迫った自民党中原八一参院議員(新潟選挙区)側に、移転用地の売買に関係している同市内の不動産会社から政治献金36万円が提供されていたことが26日、分かった。現在、国土交通政務官を務める中原議員は産経新聞の取材に献金を受けたことを認めたうえで「便宜を図る意図はなかった」と説明した。
(中略)
 中原議員は民主党政権時代の24年3月、参院国土交通委員会で質問。「中国側からしっかりその領事館建設の中身を聞いて、妥当であるというのであれば、地元の市や県にただ任せるだけではなくて、外務省がしっかりと仲介に立ってぜひ進めていただきたい。新潟県としては、中国領事館の建設に反対するものではない」と発言した。
(中略)
 中原議員側が不動産会社から献金を受けていたのは、この前後の時期。同議員が代表を務める自民党新潟県参議院選挙区第3支部に対し、22〜24年度に毎年12万円が献金されていた。

 なかなか面白い記事ではあります。中原議員にとっては「支援者(不動産業者)のために動くのは当然」でしょうし、ましてや中国領事館の拡張は「支援者」だけでなく、「新潟の経済」にとってもいいわけで、反対する産経が理解できないんじゃないか。産経の方は「自民党議員で安倍内閣国交大臣政務官のくせに中国とつるみやがって」とでも思ってるんでしょうが。
 これもまた、ライプツィヒの夏『「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(オランダ編)』(http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/95e7a684b7d1071f8928da30055f93b5)が指摘する「経済重視」の一例なのでしょう。

【追記】
産経新聞『民主、献金受け質問の自民議員追及へ』
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140528/stt14052821510004-n1.htm
 もちろん質問の見返りに不動産業者から賄賂をもらっていたら贈収賄という立派な犯罪です。
 ただブクマもつけましたが問題は二つあります。
1)収賄の疑いが証明できるのか
 証明できないとなかなか非難しづらいでしょう。「新潟領事館の拡張に反対するのっておかしくね?」というその指摘自体は正論だからです。
2)下手に扱うと反中国極右を煽ることになる
 「下手に扱うと」です。質問するなとはいってない。つまり「あくまで贈収賄の疑いを指摘してるのであって、領事館拡張への反対ではない」ときちんと民主党がアピールすりゃいいんですが、その当たりが怪しいのが「党内に松原仁*2ら極右議員を抱える民主党だ」と俺は思っています。反中国の扇動になるようだったら質問なんかしなくて結構だと言いたい。


■静岡−天津にチャーター便 中国人観光客増加で
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140528/chn14052800200002-n1.htm

 静岡県は27日、静岡空港に中国・天津からのチャーター便が28日に就航すると発表した。
(中略)
 静岡県によると、日本を訪れる中国人観光客が大幅に増えていることを背景に、天津航空から打診を受けた。天津に近い北京からの来訪者も見込む。
 川勝平太知事は記者会見で「天津航空からは定期便化も視野に入れていると聞いている。空港の利便性が一層向上する」と期待を示した。

 これもまた、ライプツィヒの夏『「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(オランダ編)』(http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/95e7a684b7d1071f8928da30055f93b5)が指摘する「経済重視」の一例なのでしょう。
川勝知事はウィキペディア川勝平太」によれば

・1997年に行われた新しい歴史教科書をつくる会第二回シンポジウムに参加しており、2005年当時の「つくる会」の公式ページでは「つくる会」の賛同者であると紹介されていた。しかし、2009年7月8日の知事就任記者会見において「賛同者なのか」との質問に対して「もう違います。ああいった方々とは一線も二線も画しております。」と否定している。川勝は記者に対して「まず誤解を解かなければいけません。新しい歴史教科書をつくる会ですか。一度もメンバーになっておりません。*3」と語った。
・川勝は「日本最強内閣」としての閣僚には誰が最適かとする「月刊文藝春秋」2009年4月号アンケートにて、内閣総理大臣櫻井よしこ*4外務大臣曽野綾子内閣官房長官中山恭子*5の名を挙げている。川勝は、櫻井について「憂国の士」、「美しい大和撫子」 と評している。

ということでかなりの右ですが、そういう人でも静岡経済のことを考えれば「ウェルカム中国」になるわけです。


【追記】
さてこのように多くの日本人は「経済関係から中国との友好を望んでいます」。少なくとも安倍みたいな反中国は極右以外まず望んでないわけです。
一方、極右の「国家基本問題研究所」の主張。

http://jinf.jp/news/archives/12873
■対中関係悪化しても日本経済へ甚大な影響ない 大和総研・熊谷氏の見通し
 大和総研執行役員・チーフエコノミストの熊谷亮丸氏は4月18日、国家基本問題研究所企画委員会で、ゲスト・スピーカーとして「中国経済の行方と日中関係」について語った。この中で、熊谷氏は、中国経済について短期的には楽観しているが、3年から5年の時間軸でみると「バブル崩壊」の可能性が強まる*6との見方を明らかにした。
 また、熊谷氏は、日中関係悪化の場合の日本への影響について、自動車など一部の主要産業では悪影響があると思うが、マクロ経済の視点からは日本経済に甚大な打撃を与えるものではないとの見解を示した。

 呆れて物も言えないですね。こういう「反中国極右の自称エコノミスト」が安倍の周りにわんさかいて安倍がああいう暴走をしてるのかと思わせる記事です。
 熊谷氏の名前でググったら『パッシング・チャイナ:日本と南アジア*7が直接つながる時代』(2013年、講談社)なんて本がヒットしたから「中国なんかパッシング(無視)すればいい。中国がなくてもインドがある、ベトナムがある」とかいう国基研好みの「アンチ中国さん」なんでしょうけど。そういう人が「大和総研執行役員・チーフエコノミスト」ねえ。他人事ながら大和総研は大丈夫なんでしょうか。
つうか主張が矛盾してるように思うんですが。

自動車など一部の主要産業では悪影響がある

というのと

日本経済に甚大な打撃を与えるものではない

というのは両立するのか。悪影響、打撃はあるけど甚大じゃないとでもいうんでしょうか。

*1:他人事みたいに言ってますが頓挫してるのは産経がこの問題で反中国ウヨ(一部自民党ウヨ議員を含む)を扇動し、それに対し行政当局がびびってるからです。

*2:野田内閣国家公安委員長、現在、民主党国会対策委員長

*3:メンバーでなくてもシンポに出る時点でかなりの右でしょう。ただその彼も「メンバーで何が悪い」と居直るであろう石原慎太郎などとは違い「メンバーではない」と言い訳する程度の常識はあるわけです。

*4:冗談でも「よしこ首相」なんていう人の気は知れませんね。島田洋一ですら「よしこ官房長官」なのに。一方で「総務大臣丹羽宇一郎」て「石原の尖閣購入論を批判した」丹羽氏と反中国のよしこじゃ大分違うでしょうに。川勝氏の考えはさっぱりわかりません。

*5:よしこだけでもうんざりですが曾野綾子中山恭子って(絶句)。

*6:実際どうかは素人なので知りません。ただこれが日本にとって喜べる話かといったら普通に考えて喜べない(異常なアンチ中国である国基研一派は喜ぶのでしょうし、熊谷氏も喜ぶのかも知れませんが)。ギリシャのような小国すら経済危機に陥ったら世界経済に一定の打撃を与えたわけです。大国中国でバブルが崩壊したらそのダメージは当然世界経済、日本経済を直撃するでしょう。まあ、国基研や熊谷氏は「そのときこそパッシングチャイナ(熊谷氏の著書名)で東南アジアとつながればいい、ダメージは少ない」といって済ますのかも知れませんがたぶんそうはうまくはいかない。

*7:南アジアとは「インドとその周辺国(パキスタンバングラデシュ、ネパール、ブータンスリランカなど)」のことだがアマゾンの内容紹介には東南アジアの国(ベトナムインドネシアなど)も出てくるので南アジア限定ではないのだろう。