今日のMSN産経ニュース(5/29分)(追記・訂正あり)

ライプツィヒの夏『「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(オランダ編)』(http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/95e7a684b7d1071f8928da30055f93b5)ではありませんが、『経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(台湾編)』とでもいうべき産経記事を紹介してみましょう。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140529/chn14052922590016-n1.htm
■【親日・台湾はいま】台湾ってどんなところ? 深まる対中依存、高まる警戒感
 中国と台湾は2010年6月、事実上の自由貿易協定にあたる「経済協力枠組み協定(ECFA)」を締結した。ECFAに基づき、今後約800品目の関税が引き下げられる。
 今回のサービス貿易協定は、ECFAを具体化した協定の一つだ。電子商取引や医療、旅行業など中国側が80項目、台湾側が64項目を開放する内容となっている。
 台湾への中国企業進出による、言論の自由や安全保障への影響を懸念する声が根強く、学生らの立法院占拠を引き起こした。
 背景には、台湾経済の中国依存度が高まっていることがある。
「我々(中国と台湾)はともに炎黄(中国の伝説上の王、炎帝黄帝)の子孫である」
08年5月に就任した馬*1総統は、「中華文明」という枠組みを強調し、対中融和政策に取り組んだ。
 就任翌月には、99年以来停止していた台湾の「海峡交流基金会」と、中国の「海峡両岸関係協会」のトップ会談を再開。経済分野での交流が加速し、09年4月には中台直行便を定期化した。
 08年9月のリーマン・ショックも対中依存を後押しした。
 それまで5%前後だった経済成長率は、08年に同0.7%までダウンした。翌09年は同1.8%のマイナス成長になり、失業率は5.85%に上昇した。馬総統にとって、経済の立て直しは急務だった。
 台湾経済は輸出の割合が66%に達する。馬総統は対中貿易の振興による不況脱却を目指した。
 この判断は、少なくとも経済面では奏功した。ECFAを結んだ10年、輸出額は前年比34.8%増を記録し、経済成長率は10.8%増とV字回復した。その後も、2〜4%の成長を続けている。
 中国に進出した台湾企業は累計10万社、就業人口1千万人のうち、10人に1人にあたる100万人が中国で働いているという。
 11年の台湾の輸出額3082億ドルのうち、輸出先は中国と香港が40%を占める。輸入額でみても2814億ドルのうち、中国が日本に次ぐ15%を占める。台湾にとって重要な貿易相手となっている。
 だが、経済の対中依存深化が、台湾社会に影を落とす。
 台湾の大手新聞「中国時報」は09年に、企業グループ「旺旺」に買収された直後から、中国に批判的な記者が次々と退社し、紙面の論調が「親中」に変わった。「旺旺」は台湾発祥の企業だが、中国に多数の工場を持つ。
 「台湾経済に侵食し、中台統一につなげるつもりだ」
 若者の警戒感は高まった。旺旺は12年、台湾のテレビ局買収に乗り出したが、若者を中心に反対運動が起こり、失敗した。
 今回のサービス貿易協定に対する反対運動も、こうした流れの延長にある。
 「私たちは貿易自由化に反対しているわけではない。中国との貿易自由化に反対なだけだ」
 立法院を占拠した学生は、口々にこう語る。この言葉の裏には、日本との貿易拡大を期待する気持ちがある。

まあ、この産経記事が事実なら学生諸君はバカですよね。もちろん「旺旺」とやらの中国時報の件が事実なら問題でしょう。だからといってそれは「中国との貿易協定反対」という話なのか。全然違うでしょうよ。
 不買運動などで「中国時報」の論調を変えるべき問題でしょう。学生諸君は台湾にとって中国が重要な貿易国だと言う事を無視するにも程がある。
 しかも

日本との貿易拡大を期待する気持ちがある

って日本より中国の方がおそらく「貿易」と言う意味では頼りになるでしょう。そんなに台湾が日本にとって魅力的ならとっくに学生諸君の願いは叶ってるでしょうよ。そして「日本企業や欧米企業のオーナー」なら「旺旺のオーナー」のようなことをやらないかといったらそんな保障はないでしょうよ。


【追記】
なお、「旺旺」でググったらこんな本がヒットしました。旺旺とは菓子メーカーのようです。

『日本のものづくりが中国を制す―旺旺集団岩塚製菓が挑む「世界品質」への道 』(2006年、PHP研究所
(内容紹介)
 20年前に創業した台湾の菓子メーカー・旺旺集団は、いまや中国全土に90以上の工場を稼動させ、スナック菓子ではNo.1のシェアを持つ。売上でも日本のグリコ、森永製菓、明治製菓を凌駕し、ロッテをも超える規模に。なぜそれほどまでに急成長できたのか。
 旺旺集団飛躍の秘密は、新潟の老舗米菓メーカー「岩塚製菓*2の存在なしに語れない。物語は、旺旺集団の創業者である若き蔡氏が岩塚製菓のヒット商品『サンフレンド』を食べて感動したところから始まる。蔡氏は岩塚製菓の槇社長(先代)に技術指導をお願いするが、なかなか首をタテに振ってくれない。その理由は、米菓の命はよい原料と高い加工技術であり、日本と気候と風土も違う台湾で同じような品質の商品をつくるのは難しいと判断したからである。
 しかし、蔡氏の情熱と行動力が槇社長を動かし、ついに旺旺集団への技術指導が始まる。米菓づくりに命を賭ける男たちの感動のドラマ。

*1:連戦内閣法相、台北市長を経て台湾総統

*2:公式サイト:http://www.iwatsukaseika.co.jp/index.shtml