今日のMSN産経ニュース(6/6分)(追記・訂正あり)

■「河野談話」見直しの結果、22日までに公表方針 政府答弁書
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140606/plc14060612420014-n1.htm
 正体不明の検証チームなんぞの検証結果など世間に通用すると本気で思ってるんでしょうか。
 このチームの方こそ「検証結果を検証したいので、誰がメンバーか教えて欲しい、吉見義明氏*1のような歴史学者はいるのか?(おそらくまともな人間はいないのでしょうが)」と批判されるような代物でしょう。
 しかも以前、「見直し論」を批判した米国、韓国に対して「河野談話を撤回しない」と言い訳してるんだから全く意味不明です。何をどう見直すというのか?
 「事実上撤回したも同然の見解を出して米国、韓国などに非難される」か「ウヨ支持層に『何だこりゃ、見直してないじゃん?』と言われる意味不明な代物を出すか」、どっちにしろろくな代物は予想できません。せめて「全く談話を見直してない、韓国、米国が怒りそうにないもの」「むしろウヨ支持層が怒りそうなもの」でお茶を濁して欲しいところです。


■危険・反日国家に子供行かせるな! 韓国への修学旅行中止・変更検討広がる 保護者の不安増大
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140606/wlf14060620450034-n1.htm
 タイトルだけで唖然ですね。前も「秋田県の韓国修学旅行」に因縁つけてましたが全くもって馬鹿げた反韓国記事です(過去の産経記事については、たとえば『「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(日本の自治体編)』(http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/dac834e188396517b2a5114aa83a363e)参照)。

文部科学省によると、(注:修学旅行先に)韓国を選んだ高校は12年度に241校(3万7663人)に上ったが、23年度には167校(2万833人)にまで減少した*2。24年度以降も減少傾向が続いているとされる。

 ま、これだけでは減少理由はわかりません。しかし産経が根拠もないのに「反日だからだ」と言い出すのはいつもの事です。
 最近のセウォル号事件や地下鉄事故、円安も考えられる減少理由に挙げてはいますがもちろん産経が一番強調してるのは「反日」です。
 そもそも「平成12年度(小渕*3、森*4内閣)」と「23年度(第2次安倍*5内閣)」を比べる事自体がおかしいでしょう。10年も経てばいろいろと変化があります。何故「22年度」と比べないのか。「12年度が韓国修学旅行のピーク時で減少を強くアピールできるからではないのか」「実は22年度と比べるとそれほど減ってないのではないか(あるいは逆に増えてるのではないか)」と疑わざるを得ません。まさか10年スパンの調査って訳でもない*6でしょう。

 今年秋の韓国への修学旅行を計画した大阪府柴島(くにじま)高校(大阪市東淀川区)は、先月に実施した保護者アンケートの結果を踏まえ、行き先を国内に変更する方向で検討している。
 「アンケートで不安の声が多かった。生徒たちの安全と保護者の安心が確保できなければ決行できない」と山崎為伯(ためのり)校長は話す。セウォル号沈没事故や相次ぐ地下鉄事故を受け、現地交通機関に対する不安の声は少なくない。
 同じく今秋の韓国行きを計画した府立東淀川高校(同市淀川区)でも保護者から不安の声が寄せられたため変更も含め検討。今月中旬に保護者の意見を集約する方針だ。

 「心配しすぎじゃないの?」と個人的には思いますが、これは人それぞれの価値観だからどうしようもない。少なくとも「反日だから」なんて産経的理由でないことは救いです。

今年、韓国から国内に変更した大阪府内の高校の校長は「旅費はかさむが、将来的には親日的な台湾や東南アジアに行きたい」と話した。

 正気なんですかね。台湾や東南アジアにだって日本の戦争被害者は当然いる。「(産経の言うような意味で)親日だ」なんてのは勝手な思い込みに過ぎません。

 一方、セウォル号沈没事故直後の4月下旬に韓国への修学旅行を実施した高校も。40年間、韓国への修学旅行を続けている智弁学園高校奈良県五條市)だ。同校は「主要なところは韓国警察の白バイが先導した。安全面で問題ないと判断したので行った」としている。
(中略)
 7〜8年前から韓国に行っている大阪府立桃谷高校(大阪市生野区*7定時制)では、元慰安婦の韓国人女性が共同生活するソウル近郊の施設「ナヌムの家」を訪問。生徒が元慰安婦の話を聞く日程を組んでいる。

 反韓国の産経にとって「韓国修学旅行自体が許し難い事」ですが、当然「ナヌムの家訪問」は「さらに許し難い事」でしょう。こうして名前を出して「智弁学園高や桃谷高」をウヨの攻撃対象にしようとしてるのでしょう。全くもってゲスの極みです。

自民党片山さつき*8参院議員は「安全性について親御さんが疑問を持っている時期に(注:智弁学園高や桃谷高が韓国に学生を)行かせるのはいかがなものか。さらに反日教育をしている国は修学旅行にふさわしくない」と話す。

 片山さつきのトンデモ右翼ぶりがまた明らかになりました。まあ、ここまで酷い暴言って自民党でも片山ぐらいしかさすがにしないんでしょうけど。

*1:中央大学教授。慰安婦関係の著書に『従軍慰安婦』(1995年、岩波新書)、『日本軍「慰安婦」制度とは何か』(2010年、岩波ブックレット

*2:何のためにそういう調査(修学旅行先がどこか)をしてるのか知りませんがそういう調査をしてるんですね

*3:竹下内閣官房長官、橋本内閣外相を経て首相

*4:中曽根内閣文相、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)を経て首相

*5:小泉内閣官房副長官官房長官自民党幹事長(小泉総裁時代)を経て首相

*6:仮に10年スパンの調査だとしたらその旨記事に明記すべきでしょう。

*7:生野区(鶴橋、今里)にコリアンタウンが存在する事も韓国修学旅行に関係があるのかも知れません(ウィキペ「生野区」参照)

*8:第2次安倍内閣総務大臣政務官