今日のMSN産経ニュース(6/7分)(追記・訂正あり)

■元在日の脱北者拉致被害者救出訴え 秋田、民団や韓国総領事館も参加 
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140607/kor14060719010009-n1.htm

 トークショーは「北朝鮮に拉致された日本人を救出する秋田の会」(救う会秋田)が主催(中略)、在日本大韓民国民団秋田県本部が後援し、会場には駐仙台韓国総領事館の李聖煕副総領事の姿もあった。

 ブクマもつけましたが醜い野合としか言いようがありませんね。
 会長(西岡力)、副会長(島田洋一)が「河野談話は嘘だ、撤回しよう」「韓国は嘘つきの国だ」と放言する嫌韓国極右という団体「巣くう会」の秋田支部が主催するイベントに民団と韓国総領事館が協力って。まあ、善意に理解すれば「単なる脱北者トークイベント」と理解して「主催者が巣くう会秋田支部」と気付いてなかったのかも知れませんが、たとえそうだとしても駄目でしょ。
 もちろん巣くう会の正体を知りながら野合してるのなら論外だと思いますね。 


■【国際情勢分析 矢板明夫の目】打ち砕かれた希望「天安門事件の見直し」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140607/chn14060718000001-n1.htm

 2012年11月に習近平体制が発足した直後、遺族たちが高い期待を寄せたのには、それなりに理由があった。新政権の最高指導部(中国共産党中央政治局常務委員)のメンバー7人は事件当時、ほとんど課長、局長級の地方幹部だったため、武力弾圧との関わりはない。事件の責任者を追及しても、彼ら自身にその責任が及ぶことはないわけだ。
 習近平国家主席(61)の父親で、党長老だった習仲勲*1(1913〜2002年)は事件当時、全人代常務副委員長(国会副議長)を務めていたが、学生に同情的な言動を取ったため最高実力者のトウ小平*2(1904〜1997年)に嫌われ、権力中枢から追われたことはよく知られている。
(中略)
 しかし、習政権は天安門事件を再評価するどころか、胡錦濤*3前政権よりも厳しい姿勢をとった。

・なお、「中国共産党中央政治局常務委員7名」は以下の通りです。
 習近平*4国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席
 李克強*5:首相
 張徳江*6全国人民代表大会常務委員長 
 兪正声*7:人民政治協商会議全国委員会主席
 劉雲山*8:党中央書記処常務書記、党中央精神文明建設指導委員会主任、中央党校校長
 王岐山*9:党中央規律検査委員会書記 
 張高麗*10:第一副首相
・遺族の希望通りにならなかったのは何故だと産経は考えてるのか。まあ、興味のある方は産経を読めばいいと思いますが、要するに
天安門事件当時の幹部が未だ存命でそれなりの力を持ってる、と言う事が大きいわけです。たとえばナンバー3の張徳江氏は

 1990年3月、当時の党総書記であった江沢民の就任後初の外遊となった北朝鮮訪問に随行し、これをきっかけに江沢民の知己を得て、引き立てられていく。(ウィキペ「張徳江」参照)

と見られており江沢民氏に近い人物と考えられています。
 「俺は事件に関係ないから見直そう」というわけにはなりづらい。
 ちなみに何故張氏が北朝鮮訪問に随行したかというと

 1972年5月より延辺大学朝鮮語学部朝鮮語専攻で学び、1975年1月から延辺大学朝鮮語系党総支部副書記、大学党委員会常務委員を歴任。1978年8月から2年間、朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)の金日成総合大学経済学部に留学し、留学生党支部書記を担当する。1980年8月に帰国し、延辺大学党委員会常務委員・副校長を務める。1983年3月、政界に入り、吉林省延辺朝鮮族自治州党委員会常務委員兼延吉市*11党委員会副書記に就任。1985年4月、延辺朝鮮族自治州党委員会副書記に昇進。(ウィキペ「張徳江」参照)

ということで長い間、北朝鮮関係を歩んできた北朝鮮通だからです。「吉林省延辺朝鮮族自治州」というのは北朝鮮に隣接しています。
 なお、産経が名前を挙げてる「天安門事件当時の幹部」は
・事件当時、首相として強硬論を支持した李鵬*12
・事件によって趙紫陽*13総書記が失脚したため後任総書記に就任した江沢民*14
です。
 また「歴史の見直し」というのが天安門事件だけでなく「1959年のチベット動乱(中国的にはダライ一味の暴動でしかない*15)」など他に飛び火する事も危惧してるのではないかというのが産経の見方です。


■【試練・朴槿恵政権(中)】歴史認識批判 反日源流、拭えぬ「父の呪縛」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140607/kor14060718190007-n1.htm
 別に朴氏に限らず安倍*16レベルの極右・戦前美化政治家に対して「靖国参拝OK」「河野談話撤回OK」という韓国政治家はいないでしょう。しかし安倍の無茶苦茶な韓国挑発行為を問題視しない産経は勿論そうは思いません。
 おそらく野田*17前総理のママなら、あるいは自民党総理でも谷垣*18前総裁や、安倍と総裁選を争った石破*19幹事長、石原*20前幹事長なら今ほど酷い日韓関係ではないでしょうがそういう理解を産経はしません。
 「父・朴チョンヒの呪縛」などと訳のわからない事を言い出すわけです。呪縛というならむしろ安倍の極右政治の方こそ「祖父岸信介*21元首相や父安倍晋太郎*22自民党幹事長の呪縛」じゃないんですかね。


■「日本は別格、全天候型の友」 インド議会外務省諮問委員
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140607/asi14060709410004-n1.htm

 【ニューデリー=岩田智雄】インドのモディ新政権の与党・インド人民党(BJP)の上院議員で、議会の外務省諮問委員を務めるタルン・ビジャイ氏は3日、ニューデリー産経新聞のインタビューに応じた。ビジャイ氏は、インド代表団の一人として出席したシンガポールでの「アジア安全保障会議」で、「インドは日米や中国、韓国と緊密で戦略的な関係にあるが、日本は全天候型の友人だと訴えた」と述べ、新政権が対日関係を極めて重視していると強調した。
 ビジャイ氏は、「われわれはこうした国々と等距離外交を行っているが、日本は別の部類に入っている」と表明し、「日印両国の信頼レベルは最高だ。200%の信頼関係にある。日印は過去(第二次大戦中)に問題があったのも事実だが、(注:日本は反省していると思うし)歴史問題を抱えていない」と強調した。

日印は過去(第二次大戦中)に問題があったのも事実だ

というのが興味深いですね。このインタビューは産経が期待してるほど産経よりの回答ではありません。岩田記者が産経に不利な部分を隠さず書いた事はそれなりに評価出来ます。
 産経は「チャンドラ・ボース*23」「パル判事」を持ち出して「インド独立のために日本は太平洋戦争を起こした」「パル判事は日本無罪論だ、日本は悪くない*24」と平気で言いますけど向こうはそんな立場じゃないわけです。
 当たり前ですけど。「連合国の一員として日本と闘った」ガンジーやネール(インド初代首相)こそがインドの本流ですし、「戦前日本は正しかった」なんて抜かしたら欧米や中韓との関係が悪くなってしまいます。

 安倍氏を「過去に例をみない素晴らしい」首相だと述べた。
 一方で、「インドは中国との良いパートナーシップも欲している」とし、「南シナ海*25東シナ海の問題*26は2国間で解決してほしい。われわれは公式にどちらかに加担することはない」と語った。

 必要以上に中国を敵視しないという、これまた当たり前の発言ですが「インドと手を組んで中国封じ込め」を語る産経にとっては嫌な発言でしょう。
 産経的には「もちろん尖閣は日本の領土です」と言って欲しかったんでしょうけど。

昨年、中国人民解放軍カシミール地方の中印実効支配線を越えてインド側に駐留し、両国関係が緊張したことについては、「モディ首相は強力な指導者だ。こうしたことはもう起きないと確信している」と中国側を牽制(けんせい)した。

 確かに牽制でしょうが「中国軍なんか怖くない、カシミールに来たらインド軍で打倒する」などという極端な反中国発言でない点が重要でしょう。

*1:党中央宣伝部長、副首相、広東省党第一書記、全国人民代表大会常務副委員長などを歴任

*2:第一副首相、党副主席、党中央軍事委員会副主席、人民解放軍総参謀長などを経て国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*3:共産主義青年団中央書記処第一書記、貴州省党委員会書記、チベット自治区党委員会書記、中央書記処常務書記、国家副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*4:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て現職

*5:河南省長・党委員会書記、遼寧省党委員会書記、第一副首相などを経て現職

*6:延辺朝鮮族自治州党委員会書記、吉林省党委員会書記、浙江省党委員会書記、広東省党委員会書記、第一副首相などを経て現職

*7:青島市長・党委員会書記、建設相、湖北省党委員会書記、上海市党委員会書記などを経て現職

*8:党中央宣伝部副部長、宣伝部長、党中央精神文明建設指導委員会弁公室主任などを経て現職

*9:中国建設銀行頭取、広東省副省長、海南省党委員会書記、北京市長、副首相などを経て現職

*10:深セン市党委員会書記、山東省長・党委員会書記、天津市党委員会書記などを経て現職

*11:延辺朝鮮族自治州の首都

*12:電力工業大臣、副首相、国家教育委員会主任(日本の文科相に当たる)、首相、全国人民代表大会常務委員長などを歴任

*13:広東省長、四川省長、副首相、首相などを経て党総書記、党中央軍事委員会第一副主席となるが天安門事件で失脚

*14:電子工業大臣、上海市長・党委員会書記などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*15:胡錦濤国家主席は元チベット自治区党委員会書記ですしチベット問題の見直しと言うのも相当の困難事でしょう

*16:小泉内閣官房副長官官房長官自民党幹事長(小泉総裁時代)を経て首相

*17:鳩山内閣財務副大臣菅内閣財務相を経て首相

*18:小泉内閣国家公安委員長財務相自民党政務調査会長(福田総裁時代)、福田内閣国交相自民党総裁などを経て、現在、第二次安倍内閣法相

*19:福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政務調査会長(谷垣総裁時代)などを経て現在幹事長

*20:小泉内閣国交相自民党幹事長(谷垣総裁時代)などを経て現在、第二次安倍内閣環境相

*21:自民党幹事長、石橋内閣外相を経て首相

*22:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政務調査会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)などを歴任

*23:自由インド仮政府国家主席インド国民軍最高司令官。そもそもボースは日本と手を組む前はナチドイツと組もうとしていますし、日本の敗色が濃くなるとソ連亡命を考え出しますから最初から日本の大義なんか信用していないでしょう。「反英、インド独立のためなら悪魔とでも手を組む」という話です。

*24:そもそもパルは「事後法による裁判」を問題にしてるのであって「正義の戦争」なんて認定はしていませんが。パルの理屈だと当然ナチを裁いたニュルンベルク裁判も無罪になります。

*25:ベトナムやフィリピンと中国の領土紛争の事

*26:尖閣問題の事