新刊紹介:「前衛」7月号

「前衛」7月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは7月号を読んでください)

■「スターリン*1秘史:反ヒトラー連合とポーランド問題(上)」(不破哲三*2
(内容要約)
・連載の第18回目。
 ソ連と英国はドイツに立ち向かうため、同盟を組み、その過程においてスターリンチャーチルの要求で英国に亡命していたポーランド亡命政府を渋々ながら承認する。ドイツとの密約でポーランドを分割した路線から大きな転換であった。
 しかし当初からスターリンは「この承認」をいずれは「亡命政府中枢に圧力をかけてソ連批判派を追放しソ連よりの集団にする」「亡命政府とは違うソ連よりの第二亡命政府を作りそれをバックアップし亡命政府を潰す」など何らかの手段で事実上反故にするつもりであった(後で触れるが「カチンの森事件」での亡命ポーランド政府の真相追及を「ドイツへの荷担」「ソ連への不当なネガキャン」として断交理由にしたのは「承認反故」のはじまりだった。)。
 というのも
1)ドイツとの密約によるポーランド分割
2)いわゆる「カティンの森事件*3
から亡命政府はソ連に不快感を有しており、一方、スターリンポーランドを衛星国にする野望を持っていたからである。
 次号で「スターリンによるポーランド衛星国化」について説明がされる予定。

参考

カティンの森事件(ウィキペ参照)
■捕虜の扱い
・1939年9月、ナチス・ドイツソ連の両国によってポーランドは攻撃され、全土は占領下に置かれた。ソ連軍に降伏した将兵強制収容所ラーゲリ)へ送られた。 ポーランド亡命政府は行方不明の軍人について何度もソ連側に問い合わせを行ったが満足な回答は得られなかった。1941年の独ソ戦勃発後、対ドイツで利害が一致したポーランドソ連は条約を結び、ソ連国内のポーランド人捕虜はすべて釈放され、ポーランド人部隊が編成された。 しかし集結した兵士は行方不明となった捕虜の10分の1にも満たなかった。 亡命政府は捕虜の釈放を正式に要求したが、ソ連側はすべて釈放した*4と回答した。
■事件の発覚
・1943年2月27日、ドイツ軍はカティン近くの森でポーランド人将校の遺体が埋められているのを発見した。4月9日、宣伝相ゲッベルスポーランド赤十字社に事件の調査を勧告した。4月13日には世界各紙で「虐殺」情報が報道された。1943年4月15日、ソ連はドイツの主張に反論し1941年に侵攻したドイツ軍によってロシア・スモレンスク近郊でポーランド人たちが殺害されたと主張した。しかし捕虜がスモレンスクにいたという説明は過去、ポーランド側に行われたことがなく、亡命政府はソ連に対する不信感を強めた。4月24日、ソ連ポーランド亡命政府に対し「『カティン虐殺事件』はドイツの謀略であった」と声明するように要求した。(注:ソ連に不信感を持つ)ポーランド亡命政府が拒否すると、26日にソ連は亡命政府との断交を通知した。
■当初の英米の対応
ポーランド亡命政府大使オーウェン・オマレーは、事件がソ連によるものであると結論した覚書を提出したが、ウィンストン・チャーチル*5首相は(ソ連に配慮して?)これを公表しなかった。
・1944年、アメリカ大統領フランクリン・ルーズベルト*6カティンの森事件の情報を収集するために、かつてブルガリア大使を務めていたジョージ・ハワード・アール海軍少佐を調査に送り出した。アールはソ連の仕業であると考えたが(ソ連に配慮した?)ルーズベルトにこの結論を拒絶された。
■冷戦期のカティンの森事件問題
 冷戦中の1952年12月、アメリカ議会は「カティンの森事件ソ連内務省が1939年に実行した」という決議を行った。しかし東側諸国はもとより西側諸国の多くもこれに同調しなかった。
■冷戦後の調査
 ペレストロイカがすすみ、グラスノスチの風潮が高まった1987年にソ連ポーランド合同歴史調査委員会が設置され、事件の再調査が開始された。1990年にはNKVD*7の犯行であることを示す機密文書が発見された。4月13日、タス通信カティンの森事件に対するNKVDの関与を公表し、ソ連政府は「スターリンの犯罪の一つであるカティンの森事件について深い遺憾の意を示す」ことを表明した。

 スターリンの「亡命ポーランド政府との断交」という相当の無法を米英が事実上黙認したのも「ソ連が対ドイツ同盟から抜けると困る」という政治的判断が明らかにあったのだろう。

スタニスワフ・ミコワイチク(ウィキペ参照)
 1939年9月、ナチス・ドイツポーランド侵略を開始すると、ロンドンに亡命、亡命政府の内相となった。1943年7月に亡命政府首相(国防相ポーランド軍最高司令官兼任)のヴワディスワフ・シコルスキが飛行機墜落事故で死亡したため、後を継いで1944年11月まで亡命政府首相を務めた。
 解放後の1945年6月、ポーランドに帰国、ソ連の後押しを受けたポーランド国民解放委員会(ルブリン政権)と亡命政府の一部政治家によって発足した挙国一致臨時政府に副首相兼農業・農地改革相として入閣した。臨時政府内部においてソ連の後押しを受けて勢力を拡大していたポーランド労働者党に対抗して、1945年8月にポーランド農民党を再建、党首として共産党勢力に対抗した。
 しかし、1947年に入るとソ連と労働者党による農民党への弾圧が強化され、ミコワイチク自身の身にも危険が及んできたため、1947年10月に亡命を余儀なくされた。1966年、アメリカの首都ワシントンで客死した。
■著書
『奪われた祖国ポーランド:ミコワイチク回顧録』(邦訳:2001年、中央公論新社


■「マルクス未来社会論の“発掘”[上]」(不破哲三*8
(内容要約)
 要約しようと思ったのだがうまくまとまりそうにないのでいくつか参考資料を挙げておく。特にコメントはしない。 今回の内容は『古典研究・マルクス未来社会論』(2004年、新日本出版社)で論じた内容を改めてわかりやすく説明していると思えばいいかと思う。

参考
赤旗
『世界の変化と未来社会論:学者・研究者党後援会交流集会 不破氏が講演』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-13/2014041302_01_1.html
『「ゴータ綱領批判」の読み方:マルクス・エンゲルス未来社会論を解明、不破議長を講師に学習会』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-08-19/01_02.html
さざなみ通信
マルクス未来社会論と分配問題:『前衛』の不破論文批判』
http://www.geocities.jp/sazanami_tsushin/sazanami/035/51.html
不破哲三氏の負け惜しみの未来社会論』
http://www.geocities.jp/sazanami_tsushin/sazanami/037/01.html
 さざ波通信とは自称「共産党内の執行部批判派(自らを左派と、執行部を右派と位置づけてるらしい)」である(実際に党員なのかどうか知らんが)。タイトルでわかるように不破の理解には好意的ではない。
 別に彼らの主張を支持してるわけでもないが*9、ググってもうまい「不破主張の要約」が見つからないので参考に紹介しておく。もちろん「批判派故のバイアス(不破主張の誤読)」は当然あると思うが、それは興味を持った方が直接不破の原文(後に『古典研究・マルクス未来社会論』に収録された)にあたればよろしかろう。


■「原発の避けがたいリスクと再生可能エネルギーへの道」(北澤宏一*10
(内容要約)
 福島事故のような事故の危険性、あるいは、核廃棄物の捨て場所が未だにない事を真摯に考えたらどういう計画で脱原発するかはともかく、「脱原発するのは当然」という話です。
 でその場合にはいわゆる再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、潮力など)が重要になると。化石燃料と言うのは限りがあるし、温室効果ガス(CO2)の問題もあるわけです。再生可能エネルギーをどう推進していくか、日本で有望な再生可能エネルギーは何なのかと言う具体論はともかく、再生可能エネルギー推進はもはや当然の事だろうという話です。


■「ますます国民との矛盾が広がるTPPの交渉実態」(真嶋良孝*11
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で代替する。

赤旗
「日米首脳会談 「共同声明」異例の先送り、TPP閣僚協議を継続」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-25/2014042501_01_1.html
「日米首脳会談について、志位委員長が会見」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-25/2014042501_02_1.html
「牛肉関税引き下げ 日豪EPA「大筋合意」、国会決議踏みにじる」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-08/2014040801_03_1.html


特集「自衛隊60年 戦争する軍隊への変貌」
■座談会「変貌する自衛隊憲法破壊とどうたたかうか」(小泉親司*12 、白髭寿一、竹内真
■「集団的自衛権容認にひた走る安倍政権:安保法制懇報告と政府「基本的方向性」をめぐって」(小沢隆*13
(内容要約)
 座談会、小沢論文ともに一番問題にしてるのは「集団的自衛権行使論」です。座談会はそれ以外に「武器輸出三原則の事実上の廃止」なども問題にしていますが。なお、座談会も指摘していますが、鳩山、菅政権はおくとしても、少なくとも野田政権においては「集団的自衛権」や「武器輸出三原則」については安倍に近い立場が打ち出され、その目的を果たすため、防衛相に産経文化人でタカ派森本敏氏が任命されています。その意味では「安倍が極右的」なのは確かですが座談会が指摘するように「民主党が安倍的極右路線について無罪の訳では全くない」わけです。


参考
赤旗
『非現実的事例で「殺し殺される国」へ 歯止め外し 9条なきものに、安保法制懇報告にみる安倍首相の本音』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-05-16/2014051603_01_1.html
『安保法制懇報告 首相会見、ごまかし・混迷 際立つ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-05-16/2014051603_02_1.html
主張『集団的自衛権行使、歴史逆行の危険な野望許さず』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-05-16/2014051601_05_1.html


■「自衛隊協力映画を追う」(須藤遙子*14
(内容要約)
 『自衛隊協力映画:「今日もわれ大空にあり」から「名探偵コナン」まで』(2013年、大月書店)の著者・須藤氏による「自衛隊協力映画」についての説明。
 著書の副題、「今日もわれ大空にあり」から「名探偵コナン」までというのは須藤氏が著書を書いた時点で「自衛隊が公表している記録に限れば」、「今日もわれ大空にあり」(1964年、東宝)が一番最初の自衛隊協力映画であり、『名探偵コナン・絶海の探偵』(2013年、東宝)が一番新しい自衛隊協力映画ということである。ただし「史料に残っていない映画」もあり得るので今後のさらなる研究が必要と須藤氏はしている。なお、自衛隊が協力してるのは勿論映画だけではなく「空飛ぶ広報室」(2013年、TBS日曜劇場)のようなドラマもある。
 もちろん何でも協力しているわけではなく自衛隊のクーデター計画をネタにした山本薩夫『皇帝のいない八月』(1978年、松竹)には協力しなかったと言われている。要するに「自衛隊のポジティブイメージに役立つ映画」と言う枠が一応あるわけだ。
 しかし協力映画一覧のなかに石原の『俺は、君のためにこそ死にに行く』(2007年、東映)があると知ってびっくり。「え、あれ協力したら、むしろまずいんじゃないの?」。
 また、記録上は「戦国自衛隊」(1979年、角川製作、東宝配給)には自衛隊は協力していないが、リメイク版「戦国自衛隊1549」(2005年、角川製作、東宝配給)には協力してるらしい。

「皇帝のいない八月」(ウィキペ参照)
 列車が舞台のパニック映画では、1975年に東映が『新幹線大爆破』、東宝が『動脈列島*15』を制作しており、この作品はそれらと比較されることもある。これら諸作と同様、内容が内容だけに国鉄(当時)の協力は得られず、「さくら」はすべてセットで撮影された。「さくら」号を最後に爆破したことで国鉄は激怒し、製作元の松竹をはじめとした国内の映画各社には「以後、国鉄は映画の撮影には一切協力しない」との通達が出されたという。
 また、自衛隊員がクーデターを起こすという内容から、自衛隊の協力も得られず、火器や車両等は『戦国自衛隊』(1979年)で使用されたものと同じものが使われている。

今日もわれ大空にあり(ウィキペ参照)
 1964年2月29日に東宝の配給で公開された日本映画。航空自衛隊浜松基地を舞台に、それまでの主力要撃戦闘機F-86Fセイバー(旭光)から、当時『最後の有人戦闘機』と謳われたF-104J/DJ スターファイター(栄光)への機種転換を控えたパイロット訓練生達と、赴任したばかりのベテラン教官の姿を描く。

名探偵コナン 絶海の探偵(ウィキペ参照)
 劇場版『名探偵コナン』シリーズの17作目。
 京都府舞鶴湾で巡回中の海上保安官によって自爆用の爆弾を積んだ1隻の不審船が発見された。
 同日、舞鶴港海上自衛隊によるイージス護衛艦「ほたか」の体験航海が開催され、その参加者の中には高倍率の抽選を当てたコナン一行もいた。
 その後、コナンたちは自衛官の左腕のみが発見された場面に遭遇する。蘭は小五郎の名前を出して捜査協力を申し出て、コナンも平次に連絡し捜査の協力を頼む。
 目暮警部たちも海上保安官らとヘリでイージス艦に合流して捜査を開始するが、海自側は何かを隠している様子だった。その後、遺体の胴体部が若狭湾の造船所で、マイクロSDの抜かれた被害者の携帯電話が艦内で発見される。女性自衛官・藤井七海からその後、ある国のスパイ・「X」が艦内にいることが告げられる。

 自衛隊が協力してる、していない以前に某国(どこだか何となく見当がつく、さすがに名前は出せなかったのだろうが)に失礼だろ。
 コナン製作サイドは頭わいてるのか。
 まあ、それはともかく話を元に戻して。
 須藤氏が調べた限りでは自衛隊協力映画は「自衛隊の持ち込み企画」というものはなく、そう言う意味では「自衛隊協力映画」には「自衛隊サイドの強い意志」と言うものはないと言える。もちろんだからといって「だから問題ない」ということにはならないわけだが。
 さてさて。別にこうした「軍事的でいかがなものか」という懐疑、批判の声(あるいは逆に「愛国ですばらしい」という保守方面からの賛美の声)は何も、「自衛隊協力映画」に限った話ではない。
 昔だったら「宇宙戦艦ヤマト」、最近だったらMukkeさん*16がエントリネタ『艦これのおかげでむしろ視野は広がる』(http://d.hatena.ne.jp/Mukke/20140527/1401180026)にしてる「艦これ」*17とか「自衛隊が必ずしも協力していない非映画」もあるわけだ。
 で、まあ、予想通りであるのだがファンというものはこの種の懐疑、批判、あるいは礼賛については「そんな気ない、政治的に解釈されては迷惑だ」「ヤマト(あるいは艦これ)はただの娯楽だ」(Mukkeさんのエントリ内容も要約すればこういうことだろう)で終わっちゃうわけだが俺なんかは「ええ?。ヤマトは旧日本軍の軍艦名だし、艦これに出てくるのも旧日本軍の軍艦名じゃん?」「それでええんか?」というもやもや感はある。いや「極右作品」として「ヤマトや艦これ」を積極的に排撃しようとまでは思わないが。
 そういうもやもや感は須藤氏もあるらしく、この論文では「ガルパン*18が取り上げられてる。って『戦車を使った武道である戦車道が華道や茶道と並び大和撫子の嗜みとされている世界』(ウィキペ『ガールズ&パンツァー』)て何だよ(吹き出した)。須藤氏曰く「前衛の読者の方はご存じかどうか知りませんが」。ウン少なくとも俺は「名前以外は」まったくご存じではない。そもそも興味ないし。「酒のほそ道」や「バー・レモンハート」が好きなオッサンですから。
 なお「ガルパン」は舞台が茨城県大洗市という設定なので須藤氏曰く大洗市観光協会が必死に乗っかろうとしてるらしい。
 まあ、「らき☆すた」に鷲宮町*19観光協会が乗っかったのの二番煎じですね。最近そういうのはやってるらしいですね。

【2014年6/8追記】
 産経新聞『イケメン自衛官と制服撮影 自衛隊のゆる〜い交流イベントにチビっ子、女性ら殺到』
 http://sankei.jp.msn.com/life/news/140608/trd14060818000002-n1.htm
 自衛隊協力映画ではないですがこういうことも「親しまれる自衛隊」をアピールする広報活動という意味では「自衛隊協力映画」と共通点があるわけです。
 こういう広報活動を俺個人は全否定はしませんが「当然、自衛隊にとって都合のいい部分しか宣伝されてない」という受け手のメディアリテラシーは必要でしょう。「裁判になったいじめ自殺問題や自衛隊の市民活動スパイ疑惑」など「自衛隊の負の面」はこういう場面には出てこないわけです。


■「誌上再現・全国革新懇:「一点共闘」と政治を変える共同の発展をめざす懇談会」
 全国革新懇の懇談会報告。
 吉田務氏(やんばる統一連代表)による「名護市長選挙」、佐藤糸江氏(日本共産党十勝地区委員長)による「TPP批判運動」、渡辺治氏(一橋大名誉教授・九条の会事務局員)による「九条の会運動」などでの「一点共闘」の報告紹介。
 また「各地のとりくみ:フロアからの発言」としてたとえば大阪革新懇事務局長から「堺市長選」での竹山市長との共闘の説明がなされた。

参考
(新版)お魚と山と琵琶湖オオナマズの日々『「一点共闘」各分野で/全国革新懇の懇談会から』
http://blog.goo.ne.jp/uo4/e/b759392c25fbacbb02b2fa68f72baa49


■新シリーズ・ いま「大学改革」を考える3「グローバル人材育成と切り捨てられるノン・エリートの大学教育」(高柳シンジ)
(内容要約)
赤旗『教育の国家統制 全分野で、緊急シンポ 安倍政権の危険性強調』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-14/2013041414_02_1.html)での

 新潟大学の世取山(よとりやま)洋介*20准教授は、安倍政権の教育制度「改革」の問題点について報告しました。安倍政権の「教育改革」は新自由主義的であり、教育体系を「エリート教育」「ノンエリート用の職業教育」「基礎教育」などに分ける複線化を狙っていると指摘。これに対抗する運動の側が「公教育」とは何かについて基本的な考え方を鍛え直す必要があると問題提起しました。

と言うのと同じ問題意識の論文だと思います。つまり大学とは「エリート」のためのものだが、今は「ノンエリート」も進学している、ノンエリートは職業教育、つまり専門学校にいくか、「高卒で就職」してくれ、大学には進学しないでくれ、それが安倍政権の目指す大学改革のポイントの一つだというわけです。しかしそういう安倍政権のような大学理解でいいのかと言う話です。


■論点
【たちかぜ訴訟・自衛隊の組織的隠ぺいを断罪した東京高裁判決の意義】(山本眞直)
(内容要約)
赤旗の記事で代替します。

赤旗
『自殺 いじめが原因、海自「たちかぜ」訴訟 東京高裁 組織的隠ぺいを断罪、賠償額 一審から増額』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-24/2014042401_01_1.html
『「息子に報告」母涙 海自いじめ認定判決、命の重さ認められた、告発の3等海佐と握手』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-24/2014042415_01_1.html


みんなの党渡辺喜美前代表の巨額借り入れ問題は何を示したか】(藤沢忠明)
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
『渡辺みんなの党代表、「熊手買った」というが… 説明不能 8億円疑惑』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-29/2014032903_01_1.html
 事件発覚当初の報道。代表居座りを決め込む渡辺氏だが逃げ切れなくなり、ついに代表辞任に追い込まれる。
『代表辞任ではすまない、8億円借り入れ問題 渡辺氏・みんなの党に事実究明と説明責任』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-08/2014040802_03_1.html
 辞任しても疑惑が解明されない限り、責任は残るという当然の批判。
『政治資金オンブズマンの共同代表ら、渡辺みんなの党前代表を告発、DHC会長からの巨額借金』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-03/2014060315_01_1.html
 市民団体による渡辺氏告発(政治資金規正法公職選挙法違反)の動き。
『本会議ドロン 2カ月、渡辺 みんな前代表、欠席理由語らず』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-04/2014060414_01_1.html
 渡辺氏の酷い醜態の説明。


■暮らしの焦点「貸金業法改悪を許してはならない:若者を借金漬けにするサラ金業界」(山本正人
(内容要約)
 自民党サラ金族議員による貸金業法改悪(金利規制の緩和)の動きへの批判(ただし現時点では麻生財務相*21、森消費者問題等担当相は「現時点では」とのエクスキューズ付ながらも「法改正は考えていない」と答えている点に注意が必要。金利規制を行った2006年は「第一次安倍内閣」であり、国民世論も考えればそう簡単には改正論はぶちあげられないということ)。
 むしろ現行金利の20%は未だ高くさらに引き下げるべきだとしている。


■文化の話題
【美術:美術鑑賞を楽しくするために(朽木一)】
(内容要約)
 美術鑑賞は勉強じゃないんだという話です。まあ、それはおっしゃるとおりで「勉強=義務」ですから。小生は読書は嫌いではないですが「読書感想文と言う勉強」は嫌いです。


【音楽:作曲偽装事件を考える(小村公次)】
(内容要約)
 佐村河内の話です。少し遅いかなという気はします。
 「このような事件が二度と起きないで欲しい」「NHKなど周囲は本当に気付かなかったのか、うすうす気付きながら荷担したのではないか、検証が必要だ」「作品内容ではなく『全聾』『被爆者』『ベートヴェン』などといった話題性で音楽が売れるのは問題ではないか、話題性ばかり業界が宣伝するのはおかしいのではないか」、全て全く同感です。
 ただし最後の「話題性で売ろうとするのどうよ」「全聾とか作品のできに関係ないじゃん」は正論だとは思いますが、「話題性でしか売れない、ある意味オワコンの世界なのかな」と言う気がしないでもありません。要するに「ああいう事件の再発防止策」と言う主張のうち、「話題性で売るの辞めたら」というのも全く正論だと思います。あの種のスキャンダリズム、話題性重視が小保方事件など別の分野でも問題を生んでると思いますし。小保方事件なんか「ムーミン」「割烹着」とか研究成果と関係ない事で騒ぎすぎです。
 が、それについてはどうしたらいいのか正直わかりません。


■スポーツ最前線「バレーボール 唯一のクラブチーム・岡山の快挙」(小川勝)
(内容要約)
 唯一のクラブチーム「岡山シーガル」以外は、全て企業チームです。岡山シーガルも元々は東芝のチームだったのですが1999年に休部した事でいやおうなく、クラブチーム化したわけです。
 で今年のVリーグでは準優勝と。過大評価はそてはならないでしょうが、クラブチームでその成績を収めた事はやはり快挙であり、「クラブチームの一つの形」として学ぶ事も多いんじゃないか。 


■メディア時評
【新聞:集団的自衛権をどう論じたか】(金光奎*22
(内容要約)
 産経、読売、日経はウヨなので「集団的自衛権万歳」と叫び、朝日、毎日、東京はそれを批判した。地方紙の多くも読売などと違ってそこまでウヨってないところが多いので批判が多いと言う話です。
 読売も「諸悪の根源・ナベツネ」が死ねば少しは変わるんでしょうか?


【テレビ:TPP交渉の深層】(沢木啓三)
(内容要約)
 TBSや読売が「オバマ来日時の甘利*23TPP担当相(経済財政担当相)とフロマン通商代表の協議で実質合意に達した」と報じた事がネタにされている。
 政府は「実質合意を否定」、他マスコミもTBSや読売に追随もしないが、取り立てて批判もしないことによってこの問題はうやむやになっているが本来、「実質合意の有無」について追及する報道がマスコミ各社によってされてしかるべきと批判している。実質合意が事実ならばスクープであるし、一方事実でないなら「誤報」と言う別の問題が生まれるからだ。
(なお、TBSはともかく読売は自民党応援団なのでこの報道が客観的に果たした効果*24はともかく、主観的には明らかに安倍応援を狙ったものだろう。)

*1:ソ連共産党書記長

*2:スターリン関係の著書に『スターリン大国主義』(1982年、新日本新書)

*3:ソ連は「ナチスの犯行」と釈明したが、亡命政府側は真偽不明としてソ連を疑っていた。なお、ソ連の犯行である事をソ連側も認め、事実が確定するのはゴルバチョフ時代の事である。

*4:つまりは「お前ら、亡命政府の兵士募集のやり方が悪いから人が集まらないだけだろ!。マジで全員釈放したから。ソ連のせいにするな」という話でしょう。大嘘ですが。

*5:アスキス内閣通商大臣、内務大臣、海軍大臣ロイド・ジョージ内閣航空大臣、植民地大臣、ボールドウィン内閣蔵相、チェンバレン内閣海軍大臣などを経て首相

*6:ニューヨーク州知事を経て大統領

*7:スターリン時代ソ連の秘密警察「内務人民委員部」のこと。KGB(国家保安委員会)の前身。

*8:本論文に関係する著書として『古典研究・マルクス未来社会論』(2004年、新日本出版社

*9:つうかコメントできるほど知識もない

*10:著書『日本は再生可能エネルギー大国になりうるか』(2012年、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『原子力発電の根本問題と我々の選択:バベルの塔をあとにして』(2013年、新教出版社

*11:著書『いまこそ、日本でも食糧主権の確立を!』(2008年、本の泉社)

*12:著書『核軍事同盟と自衛隊』(1988年、新日本新書)、『日米軍事同盟史研究:密約と虚構の五〇年』(2002年、新日本出版社

*13:著書『安倍改憲自治体:人権保障・民主主義縮減への対抗』(共著、2014年、自治体研究社)

*14:著書『自衛隊協力映画:「今日もわれ大空にあり」から「名探偵コナン」まで』(2013年、大月書店)、個人サイト(http://sudonoriko.tosalog.com/

*15:原作は第28回日本推理作家協会賞を受賞した清水一行の小説

*16:あ、単にネタにしただけで別に求愛じゃありませんから、Mukkeさん。気にしないで下さい。

*17:見てないので知らん。そういうのが苦手なおっさんなのでたぶん今後も見ない。Mukkeさんのエントリとかで「美少女キャラとかそういうのか、俺みたいなおっさんが見るもんじゃねえな」というイメージがある。

*18:見てないので知らん。そういうのが苦手な(以下略)

*19:市町村合併で現在は久喜市

*20:著書『新自由主義教育改革:その理論・実態と対抗軸』(共著、2008年、大月書店)、『公教育の無償性を実現する:教育財政法の再構築』(共著、2012年、大月書店)

*21:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを歴任

*22:著書『マスコミはなぜ権力に弱いか』(1994年、新日本出版社

*23:小渕内閣労働相、第一安倍、福田内閣経産相麻生内閣規制改革担当相など歴任

*24:つまりかえって反対派の批判が強まったのではないかと言う事