今日の産経ニュース(11/8分)(追記あり)

■【一筆多論】朝日に訂正の作法教えたい 西田令一
http://www.sankei.com/column/news/141108/clm1411080006-n1.html
 訂正の作法としてあげてるのが「ニューヨークタイムズイラク大量破壊兵器誤報についての謝罪」てあたりが「産経ってバカ?」「普通『ジミーの世界』*1とか他の例出さない?」と本当に呆れます。
1)産経も同じ「大量破壊兵器誤報したのにニューヨークタイムズと違って謝罪するどころか「フセイン独裁体制が打倒されてよかった(だから誤報に問題はない)」「誤報したのは俺だけじゃない、他のメディアも誤報した(だから謝罪しない)」と居直った
2)したがってニューヨークタイムズの謝罪を評価すると論理的には「ニューヨークタイムズと違ってイラク大量破壊兵器誤報について何一つ謝罪しなかった産経はメディア倫理に反することになる」*2んですがそういう常識がないバカの集まりが産経のようです。
 まさかとは思いますが「産経もニューヨークタイムズ同様に謝罪した」とでも勘違いしてるんでしょうか?
 まあ何というか呆れます。


■中国人への数次ビザ発給要件を緩和 外務省
http://www.sankei.com/politics/news/141108/plt1411080022-n1.html
 基本的には「金持ち中国人の日本旅行を増やそう」て金儲け話でしょうがこの時期の発表というのはやはり「日中友好ムードの醸成」も目的でしょう。


■【日中首脳会談へ】米政府が日中合意を歓迎「米国が重要な役割」とも
http://www.sankei.com/world/news/141108/wor1411080022-n1.html
 まあ当然の話です。尖閣自衛隊なんか安倍が出したあげく「同盟国なんだから米国も軍隊を出して欲しい」なんて言われたら迷惑この上ない。米中関係を考えたらそんなことできるわけもない。「早く日中首脳会談をしてごたごたにうまく片をつけて欲しい」と米国が思うのは当然ですし、安倍が首脳会談の方向に踏み切ったのも米国からも「早く首脳会談をしてほしい」と安倍がせっつかれていたのかも知れません。


■安倍首相、条件なし「日中会談」貫く 中国に大きな軟化は望めず
http://www.sankei.com/politics/news/141108/plt1411080009-n1.html
 書き手はあの阿比留です。どう見ても貫いていないと思いますが「4項目の合意事項」に明確な形では「靖国参拝、真榊奉納はしない」「尖閣棚上げ」と書いてないことで「予想の範囲内」ですが安倍信者の阿比留は「条件なし貫いた」と強弁する気のようです。島田洋一だの櫻井よしこだの他の安倍信者も同じ事を強弁するんでしょうか。
 というか「4項目の合意」をどう理解するにせよ、この合意自体が明らかに譲歩でしょうに。まさか「4項目の合意は必要なかった(じゃ何の意味で合意したの?)」「4項目の合意は中国にのみ義務を生じさせる物だ、譲歩したのは中国だけだ(双方って書いてあるんだからそんなわけないだろ)」「4項目の合意は中国でなく日本が要求した(もちろん普通に考えて要求した側は中国でしょう)」とでも強弁する気でしょうか。まあ、これが安倍以外の首相なら平然と「何だこの4項目の合意は!」と阿比留は言ってるんでしょうけどね。「何をしたか」ではなく「誰がしたか」で評価がまるきり変わるデタラメな産経・阿比留です。

今回の日中間の協議では歴史問題に関しては「双方は、両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた」とわざわざ「若干」という留保を置いている。首脳会談が行われても、今後も中国は歴史問題を提起し続ける*3とみられる。

 「若干」という留保表現つけることを希望したのは中国でなく「安倍」だと思うんですけどね。「若干てつけないと、中国の言い分を全部受け入れるのかとウヨ支持者に突き上げ食らう、若干てつけてくれ、そうすれば何とかウヨ支持者を丸め込める」「あくまでも若干とはウヨ支持者を丸め込むための表現であって、中国ともめる気はないから誤解しないで欲しい」とか何とか言って。まさか中国側も「若干というのは中国がつけさせた、これは問題だ」とまるきりデタラメなことを阿比留が言うとは思ってもなかったでしょう。


■日中外相も会談へ 日中首脳会談、関係改善に両国が一致
http://www.sankei.com/politics/news/141107/plt1411070056-n1.html

 安倍晋三*4首相と中国の習近平*5国家主席による首脳会談が、10、11両日に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、行われることが固まった。日本政府関係者が7日、明らかにした。具体的な最終調整を急ぐが、正式な首脳会談は平成24年5月*6以来となる。
 首相は6、7両日に谷内正太郎*7国家安全保障局*8長を北京に派遣。谷内氏は中国の楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)*9国務委員と会談し、双方の立場や首脳会談の形式などについて詰めの協議を行った。
 谷内、楊両氏の会談では(1)戦略的互恵関係の発展を確認(2)歴史を直視し未来に向かう精神に従い、政治的困難の克服で若干の一致(3)尖閣諸島沖縄県石垣市)などでの緊張状態に異なる見解を有し、対話と協議を通じた不測の事態回避で一致(4)政治、外交、安全保障対話を徐々に再開し、信頼関係の構築に努めることで一致−の4点を確認した。
(中略)
 また、APEC閣僚会議に出席するため7日に北京入りした岸田文雄*10外相は、中国の王毅*11外相と会談すると発表した。8日に開催する方向。

 4点の確認事項とやらの内、2番目の「歴史の直視」は「靖国参拝、真榊奉納は今後しない」の婉曲表現と見るべきでしょう。なぜなら中国は「靖国参拝や真榊奉納は歴史の直視に反する行為、過去の戦争の正当化行為」として安倍非難してきたからです。
 中国としてははっきり、「靖国参拝、真榊奉納はしない」と明言して欲しかったでしょうがそこは妥協して安倍の顔を立てたわけです。
 3番目の「尖閣諸島沖縄県石垣市)などでの緊張状態に異なる見解を有し、対話と協議を通じた不測の事態回避で一致」というのは「尖閣に領有権の争いがあることは認める」「尖閣問題は事実上棚上げする」「尖閣に武力発動しない」の婉曲表現でしょう。今まで「そもそも領土紛争なんか存在しない、尖閣は日本の領土であることに争いはない」と木で鼻をくくったようなことしか安倍政権は今まで言ってないので大きな妥協です。また3番目の内容「尖閣問題は平和的解決を目指す」から今後安倍は「集団的自衛権行使の正当化に尖閣問題を持ち出すこと」は難しくなったとは言えるでしょう。
 結局安倍は「靖国参拝、真榊奉納するな、尖閣は棚上げしろという中国の要求はのむが、言い訳できそうな曖昧な文章で支持者相手にごまかしを図る」という形で、一方、中国は「安倍が言い訳できないような形で確約して欲しかったが安倍の顔を立ててこの程度でも容認」という形で妥協したわけです。
 あえて言えば「実を取った中国」のほうが妥協は小さいでしょう。安倍もさすがに後になって「この確認事項と靖国参拝、真榊奉納は矛盾しないとして参拝ないし奉納を実行」とか無茶苦茶な事はできないでしょうし、周囲もやらせないでしょう。
 まあ、中国としても「河野談話」という歴代政府が踏襲してきた政府見解すら撤回しようとする安倍相手に「この曖昧な文章では後でちゃぶ台返しする恐れがある」との危惧があったでしょうが、そこは訪中した福田元首相*12らが「私を信じて欲しい、安倍君にそんな事は絶対にさせない」「中国さんだっていつまでも首脳会談を拒否したいわけではないでしょう」と説得したのでしょう。
 でまあ、安倍以外なら「尖閣諸島沖縄県石垣市)などでの緊張状態に異なる見解を有し、対話と協議を通じた不測の事態回避で一致」に「尖閣について異なる見解を有してることを認め、絶対に自衛隊発動しないと約束するとは何事だ」と言うであろう産経も見事なまでに黙りの訳です。
 しかし安倍もさすがに「消費税増税による消費減でアベノミクスの挫折がもはや明白になった」以降は「日中首脳会談しないと景気が持たない」という恐怖感がおそってきたのでしょうね。その程度の常識は安倍にもあったようです。「安倍首相では、日中の実務者会談、外相会談はあっても安倍・習会談はないんじゃないか」「首脳会談はポスト安倍以降の話」と思ってたので意外ではあります。


【追記その1】
■浅井基文ブログ『日中間の合意文書』
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2014/647.html

 谷内(注:国家安保局長)は(注:楊国務委員に)次のように述べた。日本は日中戦略互恵関係を高度に重視しており、大局に着眼し、中国との対話と協議を通じて共通認識及び相互信頼を増進し、不一致及びセンシティヴな問題を妥当に解決し、日中関係の改善プロセスを推進することを願っている。
 双方は、中日関係の解決及び改善について、以下の4点の原則的共通認識を達成した。
一、双方は、中日間の4つの政治文書の原則と精神を遵守し、中日戦略互恵関係を引き続き発展させることを確認する。
二、双方は、「歴史を正視し、未来に向きあう」精神に基づき、両国関係に影響している政治的障碍を克服することについていくつかの共通認識を達成した。
三、双方は、釣魚島などの東海海域で近年現れている緊張した情勢をめぐって異なる主張が存在することを認識し、対話と協議を通じて情勢の悪化を防止し、危機管理メカニズムをつくり、不測の事態が発生することを避けることに同意した。
四、双方は、様々なマルチ及びバイのチャンネルを利用して政治、外交及び安全保障の対話を段階的に再開し、政治的な相互信頼を作り上げることに努力することに同意した。

 浅井氏が紹介する中国側の記者発表ですが、太字部分が重要なポイントかと思います。
 「(尖閣問題について)不一致及びセンシティヴな問題を妥当に解決し、日中関係の改善プロセスを推進」「(尖閣問題で)危機管理メカニズム*13を作り」てこれはどう読んでも「尖閣問題で安倍政権は妥協しなかった」とはとても言えないでしょう。産経の報道と比べて「安倍の譲歩」が実によく分かります。
 結局浅井氏が指摘するように「中国側は安倍の譲歩の事実を強くアピールし、一方安倍はそれをできる限りごまかそうとした、その安倍のごまかしに産経が荷担した」て話でしかないでしょう。
 おそらく浅井氏のような方が「中国の記者発表について触れ、安倍は妥協したと指摘すれば」産経辺りは「あれは中国の政治工作だ、とにかく安倍さんは妥協してない、譲歩してない」と無茶苦茶言うんでしょうが。

【追記その2】
日経新聞『日中首脳会談、パイプつなぎ直した政治家のワザ 』
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO79492590Q4A111C1I00000/

 2012年12月の第2次安倍政権発足以来、初となる日中首脳会談が実現した。お膳立てを買って出たのは首相、安倍晋三との関係があまり良くないとされてきた元首相の福田康夫だった。首脳会談に先立ち日中両政府が7日に発表した合意は、福田と国家主席習近平による7月末の極秘会談*14を受けて(注:公表された4項目合意の)文書づくりが始まっていた。

 残念ながら「会員登録しないとこの後の記事は読めません」。読めませんがまあ内容は想像がつきます。
 安倍が福田氏に「政府の特使として訪中していただきたい」と頼んだという「島田洋一のようなアンチ福田の安倍信者」には絶対に認められない内容でしょう。まあ、日経がこういう記事を書かなくても「安倍信者以外には」「福田訪中は当然安倍の特使だよな」とわかることではありますが。
 で福田氏と中国側で
福田「尖閣棚上げと靖国参拝しないことは私が安倍君に飲ませるから私を信頼して短時間でもいいから安倍君と会談して欲しい」
中国「ならば、会談前にそれを日中間の合意事項として発表したいのだが」みたいなやりとりがあって例の4項目の合意事項になったと。
 安倍には「同じ清和会の福田氏以外に中国とのパイプ役を務めてくれる人がいない」のでしょう。安倍の取り巻き連中は反中国ばかりですし、一方親中国派に安倍はパイプがない。安倍にとっては「神様、仏様、福田様」でしょうが、まああの男が「福田氏と安倍しかいないような場」ならともかく、「公式な場で福田氏への感謝を口にする事」は島田洋一櫻井よしこらウヨ連中に配慮して絶対にしないでしょう。
 しかし「福田氏の安倍への好意的態度(同じ派閥で、安倍の親父さん「晋太郎*15」にもおそらく世話になってるから意外にも安倍に好意を感じてるのか、国益自民党の利益を考えてあえて無礼な安倍に我慢してるのかは知りませんが)」といい「島田洋一ら取り巻き連中が福田氏に悪口雑言吐いてることを知りながら福田氏に頼み事をする安倍の厚顔無恥ぶり*16」といいちょっと俺には理解できませんね。俺が福田氏なら安倍のためになんか「自分では」*17絶対に動きたくないし、一方、俺が安倍なら福田氏に頼み事なんて「俺がそれやったらあまりにも恥知らずすぎるよなあ」て躊躇しますね。


■麻原死刑囚の三女、アレフ「実質的な現職役員」とみて調査 公安調査庁、教団の観察処分更新請求へ
http://www.sankei.com/affairs/news/141108/afr1411080003-n1.html
 いい加減にして欲しいですね。こんな更新請求を今まで認めてきた*18公安審査委員会も頭がどうかしていますが。「アレフ」の是非はともかく「公安調査庁が観察処分する必要があるか」と言ったら明らかにないでしょう。松本サリン、地下鉄サリンのようなテロを起こす意思も能力もないでしょう。としたら、仮にアレフに問題があるとしてもそれはせいぜい「統一協会法の華三法行」のような「違法ないし不当な勧誘」「違法ないし不当な商行為(霊感商法とか)」て話でしょう。
 でその程度の話なら「取り締まりは必要」ですが、公安調査庁の観察処分にする必要もない。統一協会その他のカルトが皆公安調査庁の観察処分対象なんてことはないわけです。
 「無駄な公共事業」と一緒で「生活のためにむりやりやってる」んでしょうがそういうふざけたことを公安調査庁は辞めたらどうなのか。そもそも「ソ連崩壊」で存在意義も薄れた*19んでしょうから、本来は「事業縮小の上」、余剰人員を「他の法務省の事業(法務局、入管など)」に当てるべきでしょうに何考えてるんですかね。


■公安調査官の写真串刺し、教団名隠し勧誘…旧オウム、「反社会性」は継続
http://www.sankei.com/affairs/news/141108/afr1411080004-n1.html
 実際に「反社会的」かどうか知りませんが反社会的なら観察処分にしていいのなら「統一協会」など他のカルト教団も観察対象にすべきだというおかしな話になります。あくまでも「地下鉄サリンのようなテロの危険性」が観察処分の理由であるべきで、オウム事件後約20年が経ちもはや「テロの危険性がないことは明白」なんだからこんな観察処分はやめるべきです。

*1:ワシントンポストの有名な誤報事件

*2:「この記事によって西田氏は朝日批判と見せかけて産経批判をやってるんだ!」なんてことはないでしょうね。

*3:まあ、そんなことはないでしょうがたとえば安倍が今後靖国参拝すればそりゃ提起するでしょう。別におかしな事でも何でもない。

*4:小泉内閣官房副長官官房長官自民党幹事長(小泉総裁時代)を経て首相。

*5:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*6:当時は野田内閣。なお平成24年9月の野田内閣による尖閣国有化で日中関係が悪化するが、それを靖国参拝などでさらに悪化させたのが安倍である。

*7:元外務官僚。小泉内閣内閣官房副長官補(当時の副長官は安倍)、外務事務次官(当時は第一次安倍、麻生内閣)、第二次安倍内閣内閣官房参与などを経て現職。

*8:第二次安倍内閣によって新設された組織。日本版NSCなどとも言われる。

*9:駐米大使、外務次官、外相など外交畑の要職を歴任。

*10:小泉内閣文科副大臣、第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相などを歴任

*11:外務省日本課長、駐日大使館参事官、外務省アジア局長、外務次官、駐日大使、中国共産党中央台湾工作弁公室主任(国務院台湾事務弁公室主任兼務)などを歴任。

*12:森、小泉内閣官房長官を経て首相

*13:要するに米ソ冷戦時代のホットラインみたいなもんでしょう

*14:7月時点はともかくこうして記事になった今では全然極秘ではありませんが

*15:三木内閣農林相、福田内閣官房長官、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)などを歴任

*16:まあ、「それだけ安倍が中国問題で追い込まれてるって事」&「安倍にとって頼りになる人間が福田氏しかいないって事」ですが。

*17:誰か別の人間を安倍に中国とのパイプとして紹介するぐらいならやるかもしれません。でも自分では動きたくないですね。

*18:今回も認めるんでしょう

*19:大体公安調査庁がなくても公安警察や公安検察がありますし