今日の産経ニュース(11/11分)(追記あり)

■【日中首脳会談】会談実現の舞台裏 見送りも構わない…強気の日本側に中国側が折れた
http://www.sankei.com/politics/news/141111/plt1411110016-n1.html
 タイトルから予想されるとおりの酷い内容です。あの4項目合意の存在を見ながらどういう脳みそをすれば記事タイトルにでかでかと

見送りも構わない…強気の日本側に中国側が折れた

なんてデタラメなタイトルがつけられるのか。「また阿比留か」と思ったら「阿比留でない」のでびっくりです。本当に産経はろくでもない記者の宝庫です。しかし安倍もさすがに産経に調子を合わせて中国を今後糞味噌に罵倒することは避けるでしょう。

 自民党の同じ町村派に所属しながら、そりが合わないとされてきた福田康夫元首相も習氏と2度にわたり会談し、環境整備を進めた。

 産経ですら「渋々」でしょうが「親中派としてさんざん罵倒してきた福田氏が安倍の恩人であること」を否定できないわけです。


■【APEC会議】中国「経済覇権」への野望のぞく 金融、貿易…日米欧へ対抗軸
http://www.sankei.com/world/news/141111/wor1411110054-n1.html

 北京に本部を置くアジアインフラ投資銀行(AIIB)へのインドネシア参加や、韓国との自由貿易協定(FTA)交渉妥結、人民元の国際化につながる香港との越境株式取引の発表

というのは別に違法行為でも何でもないでしょうに「経済覇権の野望」とまるで「悪事のようにネガキャン」するのはどういう神経なのか。


■“中国はずし”に困惑する習近平氏…北京で開かれたTPP交渉は焦る“部外者”にクギを刺す会合になった
http://www.sankei.com/world/news/141111/wor1411110017-n1.html

中国は改めて「分かりやすい国」だと思う。

 むしろ産経の方が「アンチ中国で中国の悪口ばかり」というわかりやすい新聞です。「中国がTPPに入りたがってるようだが仲間はずれにされてざまあ」などとくだらない事言ってないで「中国がTPP加盟で目指す物」「中国がTPPに参加する可能性」「中国のTPP参加がもたらすもの」についてまともに分析でもすればいいのに。


■岸田外相「尖閣に領土問題なしの立場は不変」
http://www.sankei.com/politics/news/141111/plt1411110042-n1.html
 言ってる事が無茶苦茶です。
 4項目合意で「尖閣について意見の違いがあることを認め合った」のに何で「領土問題なしの立場は不変」なのか。


■【主張】日中首脳会談 関係改善の一歩にすぎぬ
http://www.sankei.com/column/news/141111/clm1411110003-n1.html

3年ぶりの首脳会談実現は、尖閣諸島などをめぐる東シナ海での緊張関係に「異なる見解」を認めるなどの(注:日本側の)政治的妥協の上に実現したものだ。

 さすがの産経も社説だといくらかまともなようです。安倍の「譲歩の事実」をはっきり認めています。

 尖閣問題については、中国側が今後、「異なる見解」を根拠に領有権問題の存在を主張してくる可能性があり、警戒を怠るべきではない。

 「可能性があり」じゃなくて今後も領有権主張はするでしょう。「異なる見解の存在をお互い認め合った」んだから当然です。ただその場合も「日本が棚上げするなら、一応領有権を主張するが我が中国政府も声高には領有権を叫ばない」という形の「棚上げ的な形に近い領有権主張」になるでしょう。

約25分の初会談は、関係改善への一歩にすぎず、今後も会談を重ねるべきだ。

 基本的には「会談できないのは中国の方に非がある」というアンチ中国の産経ですがさすがに「会談なんかしなくてもいい」と社説で公言はしないようです。


■【産経抄】都合のいい「誤解」 11月11日
http://www.sankei.com/column/news/141111/clm1411110004-n1.html
尖閣棚上げ論と首相靖国参拝否定に安倍が事実上同意した」との中国の理解は「都合のいい誤解だ」と「都合のいい詭弁をかます」産経です。
 あの4項目合意の「歴史直視」が「首相靖国参拝否定」の婉曲表現であることは、まともな理解能力のある人には明白でしょう。尖閣についても「意見対立の存在を認めた上で、その平和的解決を目指す」としているのだからこれは事実上「棚上げ論」だと見なすべきでしょう。「日本の領有権を否定してないから棚上げ論じゃない」てのは詭弁です。そもそも棚上げ論は「日本の領有権を否定していません」。日本の領有権を否定しない代わりに「中国の領有権主張を激しく非難するのを控えること」が棚上げ論です。

日本と中国は、漢字という共通の文化を持っているにもかかわらず、しばしば言葉をめぐる「誤解」が起こる。毛沢東*1周恩来*2ら中国要人の通訳も務めた劉徳有(りゅうとくゆう)元文化次官は、こう指摘していた(『日本語と中国語』講談社)。

もちろん安倍や産経の場合そういう誤解ではありません。「靖国参拝などで戦前を美化しようとし非難されると誤解だと詭弁を吐いてるだけで」、そこには誤解はありません。中国の安倍理解「安倍は戦前を美化してる」は「正解」です。

「誤解」があった方が、中国政府にとっては、都合がいいらしい。

それは安倍の方でしょう。安倍としては身内のウヨ相手には「譲歩してない、中国の誤解だ」と強弁し、中国相手には「ウヨをなだめるためには仕方がない、譲歩を認めるわけにはいかない。俺の発言を大目に見てくれ、約束は事実上守るから」と懇願し、実際「靖国参拝はせず、尖閣についても棚上げにする」が「中国に譲歩したわけではない」と身内相手には強弁する。で身内(例:産経)も酒井信彦のようなゴリゴリの極右を除いて「その安倍の嘘にだまされてやる」という滑稽な光景が今後展開されるのでしょう。

笑顔のほとんど見られない、ぎこちない挨拶で始まった会談

産経も会談が「まだ始まりでしかない」事は認めるようです。

中国公船のあいつぐ領海侵犯や戦闘機による自衛隊機への異常接近から、小笠原沖での赤サンゴの密漁まで、こちらから言いたいことは山ほどある。

 それ言ったら中国だって「南京事件否定論百田尚樹NHK経営委員にしていること」とか、安倍政権に言いたいことは山ほどあるでしょう。しかし「日中関係の進展」や「首脳会談実現に動いた福田元首相らの面子」を考えてある程度我慢したわけです。産経みたいなバカ言ってたら日中関係は元の木阿弥でしょう。でそれを「アベノミクス挫折を理由に年内解散*3を画策する」今の安倍ができるとも思えません。まあ、それなりに中国に抗議はするのでしょうが産経が希望するような糞味噌な罵倒はしないでしょう。

【追記】
 ちなみに人民日報の報道。

http://j.people.com.cn/n/2014/1111/c94474-8807621.html
■会うことができた安倍首相だが、それからどうするのか?
 両首脳の会うシーンを見ると、これは「熱意」ある会談ではなく、習主席と他の首脳との温かく、熱のこもった会談とは鮮明なコントラストを成すものだった。こうした会談の雰囲気は、中日関係の現状をありのままに反映している。
(中略)
 中日関係の大局から見ると、これは「熱意」は欠くものの、「重み」のある会談だった。「重み」があると言うのは、今回の会談を受けて中日関係が直ちに好転したという意味では当然ない。「重み」があると言うのは、今回の会談が方向を見失った安倍政権に正しい方向を指し示し、両国関係が正常な軌道に早期に戻る可能性をもたらしたからだ。
(中略)
 現在人々が関心を持っているのは、安倍氏が北京を離れた後、対中関係において(注:対立と友好と)どちらの道を選ぶのかだろう。もし日本側が北京で一致した意見*4の精神を遵守すれば、中日関係は改善され続けるし、そうでなければトラブルが絶えないことになる。

*1:中国共産党主席

*2:中国首相

*3:もちろん今後もアベノミクス成功の見込みがないことが安倍の目にも明白だからでしょう。

*4:尖閣棚上げ論や首相靖国参拝否定のこと