今日の産経ニュース(12/10分)(追記・訂正あり)

正論大賞秦郁彦氏と西岡力氏 新風賞に山田吉彦
http://www.sankei.com/life/news/141210/lif1412100039-n1.html
 「まともな人間なら恥ずかしくてもらえない賞」「つうかまともな人間なら向こうが絶対にくれない賞」として「田母神がもらったアパ賞」とともにバカにされてる正論大賞をついに秦郁彦が「西岡力とダブル受賞」したそうです。もちろん西岡、秦ともに「慰安婦研究での右翼界への貢献」だそうです(苦笑)。
 以前から「昔はまともな人だったと思うんだけどねえ」と同業者(例:吉見義明中央大学教授)に冷たい目で見られていた秦が名実共に「産経文化人のお仲間」となったわけです。皮肉を込めて「おめでとう、秦先生!」と書いておきます。つうか俺だったら受賞拒否しますよ(毒)。


■【衆院選2014】「資本主義体制は是認、これが共産との違いだ」党首インタビュー(8)社民・吉田党首
http://www.sankei.com/column/news/141209/clm1412090001-n1.html

 社会民主主義を掲げる日本でただ一つの政党という自負がある。

 まあ、そうなんですけど、それ言ったら過去の民社党も「社会民主主義を掲げる日本でただ一つの政党」*1だったし、今の日本において、共産党は事実上、「社民政党」ですからね。あえて言えば遅くとも、これは「条件次第では社会党中心の野党*2連立内閣に参加の用意がある」とした1970年代から共産党はそうだったと思います。
 とはいえ、最近、1970年代や1980年代、1990年代以上に徐々に社民化の度を強めつつあるような気がしますが。なお俺個人は「ゴリゴリのマルクスレーニン主義左翼」ではないのでそのことを別に問題だとは思いません。
 まあ、共産党の場合「共産主義は今すぐ実現できないからその前段階として社民主義を目指す」という話*3の訳ですが、いずれにせよ「現時点では共産党の主張は社民政党とほぼ同じ」であり「我々は唯一の社民主義政党だ!」と言ったところであまり意味がありません。

さらに議員が減るかもしれないとの不安は

 また産経もえげつないこと聞きますね。そりゃそういう不安はあるでしょう。つうかマジで減りそうですけど。

党勢回復がままならず、歯ぎしりしたことは
 「一番こたえたのは、前回衆院選で2議席になったことだ。代表質問や予算委員会にも立てず、憲法審査会にも委員を送れない。衆院でまったく表に出られない。そういう意味で露出の度合いが減って、発言の機会が減った。これが一番、こたえた。私はいつも楽観的だが、安倍さんが衆院を解散してくれたおかげで、議席を増やすチャンスが早まったと前向きにとらえている」

 まあ立場上こう答えざるを得ないでしょうが、実際には「現有議席維持すら難しい」「増えるとしてもせいぜい1〜2議席でトータルで3〜4議席」というのが世論調査結果の訳です。共産の予想(善戦すれば倍増して16議席)とは大分違う。共産なら「議席を増やすチャンスが早まったと前向きにとらえて」もいいでしょうけど。
 「民主党に主力部隊を引っこ抜かれ」、あげく「社民党は落ちぶれてるし、公約してない自社さをやったり今ひとつ信用できなから共産党*4を支持しよう」と言われる笑えない状況にあるわけです。

 共産さんとの違いは、われわれは社会民主主義だから、今の資本主義の体制は是認しつつ、そのひずみを是正していく。社会民主主義は、欧州では普通に政権を担っている。日本でなぜ受け入れられないのか*5。疑問でしようがない。
 日本人は、あまり極端な改革を、どちらかというと望まない国民性だ。社会民主主義共産主義とは違い、今の経済体制を是認しつつ、正していくという意味では日本に非常に合っている主義、主張だ。

 産経がタイトルにした部分です。まあ正直、「街宣右翼ならまだしも」これが社民党の党首の言う事なのかと目が点になりましたね。
 そりゃ共産は「最終目標としては共産主義」を掲げていますよ。ただそれはあくまでも「最終目標」にすぎません。
 共産の当面の目標は「今の日本で共産主義唱えても現実的じゃないから、しばらくの目標は北欧型やドイツ型の社民主義だ」なんてことは赤旗とか前衛とか幹部(不破哲三氏など)の著書とか読んでれば嫌でも分かります。である以上「最終的にはともかく」当面は「共産主義云々」なんてことは政治日程にあがってこないし、である以上、「共産主義社民主義の違いが社民党共産党の違い」なんて言っても誰も「じゃあ社民党にしようか」なんておそらく言いません。少なくとも俺はそんな事言いません。つうか「執行部や古参の党員・後援会員、支持者はともかく」今時、共産党員・後援会員ですら「特に若手」は「共産主義を目指してるか」は疑問でしょう。少なくとも「別に共産主義とか目指してないけど、自民党批判をちゃんとやるの共産ぐらいしかないし」とか「労働問題とかで共産に世話になったから支持してる」とか言う党員もおそらく少なくない。
 「吉田党首はバカじゃねえの」としか言いようがない。本気で共産との差別化をしたいならもう少しまともなことを言えよと言いたいですね。一方共産党を「過大評価する気はないですが」、その辺り社民党と違ってそれなりに分かってて社民党との違いを「社民主義共産主義の違いだ」なんて言わない*6で、「社民党は村山政権時代に日米安保を一夜にして認めた、我々はそんな裏切りはしない」「辻元清美氏の金銭スキャンダルのような事はしないよう我々は常に気をつけてきた、そこが違う」とかまあ、社民党の言う「違い」なんぞよりはよほど説得力のある「違い」をあげてくれるわけです(他にもたぶんありますけど)。何というかこういう事一つとっても失礼ながら「社民党はもうどうしようもないな」感が否定できないですね。

 社民党が旗振り役となり、野党共闘を仕掛けることはあるか
 「新たな政治勢力の結集以前に、野党が共闘、協力をしなければ、自民、公明に対峙(たいじ)できない。そういう意味では、野党共闘に、社民党も役割を果たして、民主党共産党との接着剤のような役割をしていかなければならない」

 まあ、何というかこういう所が俺が社民党が好きになれないところですね。
 「民主党共産党との接着剤」とやらをどうやって実現するのか。民主は共産どころか極右政党・維新と野合する有様ですし、一方の共産は険悪な仲の維新なんかと手を結べないわけです。つうか共産の意思がどうこう以前に民主側に共産と手を組む意思がないでしょうが。お互い手を組む意思がないのにどうやって接着剤になるのか。つうか別に「衰退一途の」社民党に接着剤になってもらうことに民主も共産も魅力を感じないわけです。社民党に「民主党左派(旧社会党社民党系)」をぶっこ抜いて「民主党左派・社民党共産党」の「左派大連合(仮称)」でも構築する才覚があればまだいいですがまあそうじゃないですからね。つうか別に「民主と共産の接着剤」にならなくても「社民党共産党と協力すればいい」じゃないですか。まあ、そうなると今の党勢ではほとんどの場合、「共産候補を社民が支持する」というパターンにしかならないでしょうがそれは仕方ないでしょう。いっそ「共産に集団入党すらしてもいい」んじゃないかと思いますね(共産が受け入れるかは分かりませんが)。
 今の社民にはどう見ても上がり目がない。このままじゃ「地方政党としてのみ活躍してる」新社会党沖縄社会大衆党などと同じコース一直線でしょう。

*1:民社党が社民政党とは俺にはとても思えませんが。それと社民連社会民主連合)登場後は事態は違います。

*2:公明とか民社とか

*3:それが本心なのか、実際には「社民主義政党を目指してるが共産党という看板を諸事情からそのままにしてるだけ」なのかはここでは議論しません。共産党の本心なんか外部からは分かりようがないですしね。

*4:まあその共産躍進だって過大評価はできませんが、社民の惨状に比べたらまだ余裕があるわけです。

*5:事情はともかく西欧や北欧と違い日本においていわゆる「保守主義」が日本人全体に強固に浸透してると言う事でしょう。悔しいことですが、それを嘆いても仕方がない。地道に運動していくしかないわけです。

*6:共産主義社民主義に比べて人気があるわけでもないし、当面共産主義なんて現実的政治日程に上らないことくらい共産党も分かってるのでそんな馬鹿な事は勿論言いません