新刊紹介:「経済」3月号

「経済」3月号の詳細については以下のサイトをご覧ください。興味のある記事だけ紹介してみます。
 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
■世界と日本
シャルリー・エブド事件】(宮前忠夫*1
(内容要約)
 シャルリー・エブドへのテロを批判すると共に「シャルリー・エブドの風刺画に問題はなかったのか」「ヨーロッパにイスラムへの差別などの問題はなかったのか」議論する必要があるとしている。


【地銀6行経営統合の衝撃】(桜田氾)
(内容要約)
 2014年に入ってからの「東京都民銀行八千代銀行」「横浜銀行東日本銀行」「肥後銀行鹿児島銀行」の経営統合を紹介。これらの経営統合の行方を注目したいとしている。


特集「「女性の活躍」と日本社会」
■座談会『女性の働き方、差別撤廃にむけて:男女雇用機会均等法から30年』(清山玲、今野久子*2、伍賀一道*3
(内容要約)
・現状の男女雇用機会均等法の問題点を指摘した上でそうした問題点を解決する法改正の必要性が指摘される。また安倍政権の女性活用論は少なくとも今のところ、そうした「男女の雇用の平等化」という面が見られないことが指摘される。

参考
日本共産党『女性への差別を解決し、男女が共に活躍できる社会を:日本共産党は提案します』
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2014/10/post-599.html
赤旗
■主張『「女性の活躍」、差別と格差の是正こそかなめ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-10-28/2014102801_05_1.html
■『長時間労働 是正こそ、高橋氏指摘「女性活躍」審議入り、衆院本会議』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-11-01/2014110104_02_1.html
■『女性の職業生活における活躍の推進に関する法案、衆院本会議 高橋議員の質問(要旨)』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-11-04/2014110407_02_0.html
■『賃金格差の状況把握を、高橋議員 女性活躍推進法案で指摘』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-11-13/2014111302_01_1.html
■主張『総選挙と女性、女性差別なくす本気度を問う』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-10/2014121001_05_1.html


■『女性非正規労働者の現状と展望』(脇田滋*4
(内容要約)
・日本では女性の非正規労働者が多いこと、低賃金など、非正規の待遇が極めて劣悪であること、非正規労働者と正規労働者との間に賃金格差など様々な格差があることを指摘。
・「非正規を例外、正規を原則とし正規の数を増やし、非正規の数を減らすこと」「劣悪な非正規の労働条件を改善すること」「非正規と正規の格差をなくすこと(いわゆる同一労働同一待遇)」が政治に求められていると主張。


■『女性労働者のたたかいと労働組合:差別撤廃の世界の流れから』(大西玲子)
(内容要約)
日産自動車事件(男女別定年制の有効性を争った訴訟、1981年に最高裁で、男性55才、女性50才とする男女別定年制を違法無効とする原告女性勝訴判決が確定)など過去の裁判闘争などをまず紹介。女性労働者の権利保護において、労働者や労働組合の戦いが果たしてきた役割の重要性を指摘し、今後そうした役割をいっそう果たすことが労組に求められているとする。

参考
赤旗
■『最高裁判断 大きな一歩、マタハラNet 妊娠降格訴訟で会見』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-10-25/2014102505_01_1.html
■『ルネサスのリストラはね返す、2人の女性を元の職場へ、電機・情報ユニオン』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-04/2015010401_05_0.html


■『賃金・雇用差別の実態と安倍「女性の活用」批判』(上田裕子)
(内容要約)
 安倍政権の「女性の活用論」が「男女間の賃金格差」や「コース別人事」などといった女性差別問題を視野に入れていないことを批判。そうしたことでは「女性の活躍」が到底進むとは考えられないと批判。

参考
赤旗
■主張『「女性の活躍」、差別と格差の是正こそかなめ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-10-28/2014102801_05_1.html
■主張『総選挙と女性、女性差別なくす本気度を問う』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-10/2014121001_05_1.html


■『女性の地位と女性運動の課題:女性差別撤廃条約批准30年』(米山淳子)
(内容要約)
・筆者は新日本婦人の会(新婦人)事務局長。
・日本政府が「非嫡出子の相続差別」「夫婦別姓」「コース別人事」などで勧告を受けても、それに対応する動きがほとんどみられないことを批判。そうした状況を克服するため、新婦人としても全力を尽くすとしている。

参考
日本共産党女性差別撤廃条約批准国としての責任を果たし、女性差別の改善へ、条約の全面実施を:女性差別撤廃委員会への政府報告にあたって』
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2014/07/-201422.html
赤旗
■『女性差別撤廃条約採択35年、問われる日本の政治(平兼悦子)』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-07/2014040708_01_0.html
■『女性差別撤廃 真摯に、党国会議員団が内閣府要請』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-23/2014072304_01_1.html


■『安保理決議1352と日本の行動計画』(堀江ゆり)
(内容要約)
安保理決議1352とは「紛争下における女性への性暴力撲滅」についての決議である。この決議に基づき、国際社会がどう「紛争下における女性への性暴力撲滅」に取り組んでいくかが問われている。
・またこの決議からは「旧日本軍慰安婦問題」は「決して過去の問題ではなく現在進行形の問題であること」が見て取れる(是非はともかく、現在、自衛隊PKOなどの形で海外に出ており、自衛隊が「性暴力の加害者になる恐れがあること」には当然注意が必要)。安倍政権の慰安婦問題に対する態度は「決議1352」の精神に反する物であり、女性の人権を軽視するものであり、また、日本の国際的評価を落とす国益毀損行為といっても問題はないだろう。


■データで見る日本経済17「国際比較・男女格差」
(内容要約)
・統計データの国際比較からは「日本の男女間賃金格差が欧米に比べて大きい事」「日本の女性の管理職への登用も欧米に比べて低いこと」がわかる。なお「管理職への登用が低い理由」の一つとしては「出産・育児問題」があげられる。欧米では出産休暇、育児休暇などの制度が充実しているが日本はまだその点立ち遅れている。


■日本の軍事産業1『新たな段階を迎えた日本の軍事産業三菱重工を中心にして』(古賀義弘*5
(内容要約)
・安倍政権の「日本の軍事大国化戦略」に乗る形で、軍需部門を持つ三菱重工も軍需への傾斜を強めているという指摘。

参考
赤旗
■『武器国際展示会に日本企業 三菱重工など13社、安倍政権の武器禁輸撤廃で』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-17/2014061701_02_1.html


■『日米金融政策の比較:量的緩和をめぐって』(建部正義*6
(内容要約)
 米国の金融緩和が「伝統的政策」の枠組みにとどまるのに対し、日本の金融緩和は当事者の安倍政権、日銀が自称するように過去に前例のない「非伝統的政策」といえる。そのため、米国以上に日本は金融緩和を終了させる「出口政策」が極めて困難だと言える。
 特に現在、アベノミクスは「金融緩和が思ったほど効果がない→さらに緩和する→しかし効果がでない→さらに緩和する→しかし(以下略)」の悪循環に陥っている。もはや安倍政権は金融緩和には景気回復の効果がないこと、及び「円安による物価高騰」などの弊害が大きいことを認め、「金融緩和政策の終了」を真剣に検討すべきだろう。今のママ「緩和を野放図に続けること」は「傷口をなるべく大きくしない形での出口実現」をどんどん難しくしていくであろう。

参考
NHK時論公論『米・超金融緩和終了、世界への影響は?』
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/202268.html


■『アメリカ経済の長期的変化:T・ピケティ、R・ゴードン、W・ボーモルらの研究と考察』(本田浩邦)
(内容要約)
 トマ・ピケティ*7、ロバート・ゴードン*8、ウィリアム・ボーモル*9の経済理論の紹介。詳しい内容は到底理解できないのでここには書きません。

*1:著書『週労働35時間への挑戦:戦後ドイツ労働時間短縮のたたかい』(1992年、学習の友社)、『人間らしく働くルール:ヨーロッパの挑戦』(2001年、学習の友社)

*2:著書『こんなときどうする?パートの権利Q&A』(2000年、学習の友社)

*3:著書『雇用の弾力化と労働者派遣・職業紹介事業』(1999年、大月書店)、『「非正規大国」日本の雇用と労働』(2014年、新日本出版社)など

*4:個人サイト(http://www.law.ryukoku.ac.jp/~swakita/)。著書『労働法を考える』(2007年、新日本出版社)、『日本の雇用が危ない:安倍政権「労働規制緩和」批判』(共著、2014年、旬報社)など

*5:著書『日本産業中国経済の新世紀』(編著、2004年、唯学書房)、『中国の製造業を分析する:繊維・アパレル、鉄鋼、自動車、造船、電機・機械』(編著、2011年、唯学書房)など

*6:著書『貨幣・金融論の現代的課題』(1997年、大月書店)、『金融危機下の日銀の金融政策』(2010年、中央大学出版部)、『21世紀型世界経済危機と金融政策』(2013年、新日本出版社)など

*7:フランスの経済学者。著書『21世紀の資本』(2014年、みすず書房)、『トマ・ピケティの新・資本論』(2015年、日経BP社)

*8:アメリカの経済学者。ノースウェスタン大学教授。著書『現代マクロエコノミックス(上)(第6版)』(1997年、多賀出版)、『現代マクロエコノミックス(下)(第6版)』(1999年、多賀出版)

*9:アメリカの経済学者。ニューヨーク市立大学教授。元アメリカ経済学会会長。著書『自由市場とイノベーション』(2010年、勁草書房