今日の産経ニュース(2/24分)(追記・訂正あり)

■「日本をたたくことによって習指導部は求心力を高める」王*1外相発言で中国共産党関係者
http://www.sankei.com/world/news/150224/wor1502240041-n1.html
 それはどうですかね。むしろ中国としては「日中貿易」を考えればあまり「安倍叩き」もしたくないのではないか。とはいえ安倍ほどの反中国極右相手に下手に妥協すれば中国の面子が立たないわけです。

 歴史認識にかかわることで新たに中国を刺激するようなことも起こっていない。
 しかし、日本側の状況とは関係なく、中国の習近平*2指導部は日本と対峙する姿勢を崩していない。

 おいおいですね。最近、「70年談話を検討する有識者会議」に委員として「中西輝政(元つくる会理事の極右)」なんか突っ込んだことは充分「歴史認識にかかわることで新たに中国を刺激すること」でしょう。いつものことですが、産経には常識がなさすぎる。

 2012年秋に発足した習指導部は、日本と対決する姿勢を続けてきたが、国民に飽きられないように毎年“反日カード”を変えているのが特徴だ。

 「カードが変わってる」のは政治状況が変わってるからです。民主党政権時代は「尖閣問題」が最重要問題だった。安倍政権になったら「歴史認識問題や靖国問題」のほうが中国にとって重要になったと言うだけです。「単なる領土問題」ならともかく、「過去の侵略正当化(安倍)」なんか中国にとって黙認できる話じゃないし、また領土問題と違って「中国の主張に対する諸外国の賛同」も得やすいわけです。


河野洋平*3「今は右翼政治の気がする…」 
http://www.sankei.com/politics/news/150224/plt1502240044-n1.html
河野氏発言の要旨「河野談話は誠心誠意作り上げた」
http://www.sankei.com/politics/news/150224/plt1502240065-n1.html

今は保守政治と言うより右翼政治のような気がする。

 ご子息「河野太郎*4代議士」のことなどを考えまだまだかなり遠慮してるように思いますが「右翼政治」と呼ぶとはかなり「安倍の無法ぶりへの危惧」が強まってるのでしょう。


■【国基研シンポ】中国の脅威にどう向き合うのか? 日米同盟を基本に印豪と結束を 
http://www.sankei.com/politics/news/150224/plt1502240053-n1.html

田久保氏
 朝鮮半島が統一されて核武装国家になったらどうするのか。台湾が独立して核を持つかもしれない。

 国際社会の反応を考えたらそうそう簡単に核武装できるとも思えませんが。「日本核武装を正当化するため」にはデマの垂れ流しも辞さないようです。

例えば核による威嚇で「日米安保条約を破棄しろ」「皇室を廃止しろ」と言われたらどうするのか。

 「核の恫喝による日米安保破棄要求」だってしないでしょうが、「核の恫喝による皇室廃止要求」ねえ(苦笑)。そこまで皇室を敵視してる国って具体的にどこのことやら。外国にとって日本の皇室なんか「どうでもいい存在」でしょうに。

櫻井よしこ*5
 それでは会場から質問に答えていただきたい。
会場
 インドはBRICS銀行やAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加しているが、日米との関係と、中国との関係のどちらを重視しているのか
インド政策研究センターのブラーマ・チェラニー教授
 BRICS銀行は中国、ブラジル、ロシア、インド、南アフリカの5カ国が対等なメンバーだが、AIIBは中国主導の銀行だ。インドがAIIBに参加したのは間違いだった。中国の戦略的野望を手伝ってしまうことになる。ただ、インドにとって中国が大事なのか、米国が大事なのかという問いへの答えは明確だ*6。正気のインド人は、中国を真の友人だと思っていない。 

・まあ、まじめに答えれば「日本も米国も中国もすべて重視してる!」でしょうね。ある一方を選んで、別の一方と敵対するのは得策ではない。
 チェラニーがはっきりと「もちろん日本の方を重視しています」と言えない辺りに苦笑。また「AIIB参加は間違いだった」と言ったところでチェラニーの発言にインド政治への影響力があるわけでは全くないであろうことにも苦笑。


■【国基研シンポ】田久保忠衛・国基研副理事長基調講演 「中国の膨張主義と米国の内向き志向を直視せよ」
http://www.sankei.com/politics/news/150224/plt1502240055-n1.html

中国指導者には清朝時代の版図を再現するという野心がある。

 やれやれですね。本気でそんな事を実現しようとしたら「外モンゴルやロシアに向かって攻めていく」ことになるわけですがいくら何でもそんな馬鹿な事は中国もしないでしょう。さすがに田久保らウヨも「ほとんどの連中はデマをデマと知りながら垂れ流してる」のでしょう。

 第2期オバマ政権で顕著になっている米国の内向きな傾向だ。
(中略)
 平成25年12月に安倍晋三首相が靖国神社を参拝した際も米政府は「失望した」という声明を発表した。

 靖国に祀られてるA級戦犯が「米国の敵だったこと」を考えれば失望されるのは当たり前でしょう。
 「内向きのオバマ政権」とかそう言う話じゃない。ならブッシュやクリントンといったオバマとは別の大統領なら「失望しなかった」のか。そんなことはないでしょう。


■【国基研シンポ】ウォルドロン米ペンシルベニア大教授基調講演 「日本は最小限核抑止戦略を」
http://www.sankei.com/politics/news/150224/plt1502240056-n1.html
 「日本も核武装すべきだ」というタイトルからして絶句ですね。「最小限」と言い訳するなら核武装していいのなら北朝鮮核武装だって非難はできないでしょう。大体日本がそれをやるには「NPT脱退」が必要ですし、そんなことをしてNPT体制を破壊したら日本は国際的批判を浴びることになるでしょう。

現在の米中は相互依存度が非常に高い。13年の2国間の貿易総額は5620億ドル。中国政府は米国債を1・3兆ドル保有している。13年から14年にかけて、米国への留学生は88万6千人だったが、その4分の1が中国から来た。

 である以上米中両国が「合理的判断」をすれば戦争など起こりえないわけです。もちろん「気違った判断」をすれば話は別ですが、そんな事を言ったら「尖閣日中戦争が起こりうる」「竹島で日韓戦争が起こりうる」「北方領土で平成の日露戦争が起こりうる」「ロシアがクリミア併合どころかウクライナのロシアへの完全併合目指して戦争を始める」「インドとパキスタンの国境紛争で核兵器が使われる」などと何でもありになってしまいますからそういう馬鹿な事は考える必要はないでしょう。
 ところが「起こりうるというバカ」がこのウォルドロン先生の訳です。さすが国家基本問題研究所が呼ぶだけのことはあります。

 米政府は表向き、日本が攻撃されたら必ず守ると公言してきたが、私はこの言葉を信じない。嘘だと思う。

 と言うのなら日米安保は解消すべきでしょう。しかし産経も国家基本問題研究所もウォルドロン先生も、もちろん日米安保解消論者じゃない。結局、いわゆる「核の傘理論」を否定し、日本の核武装を正当化するためには何でもありになるわけです。「米国を信用できないといいながら日米安保を続ける矛盾」などお構いなしです。
 つうか「日本への攻撃」なんてそもそも現実的じゃないし、日本には自衛隊があるし「核兵器でないと対応できない脅威」なんてまずないわけです。


■【経済インサイド】「慰安婦」「訪韓団対応」「産経前支局長」…日韓通貨スワップ協定打ち切り、日本の“怒り”
http://www.sankei.com/premium/news/150224/prm1502240004-n1.html
 「経済紙の建前」でありながらとんでもない事を平然と書いてる産経です。「スワップ協定」というのは「純粋に経済的なメリットに基づく協定」なんだから「日本の怒り」なんて情緒的なモンを持ち出すべきではない。実際、建前の世界では日韓両国政府とも「純粋に経済的判断で靖国問題慰安婦問題などは影響していない」といってるわけです。実際はどうかはともかく、そういわざるを得ない。
 「韓国への怒りが理由だ(日本)」なんて言ったら「なんて感情的な愚かな国家だ(国際社会)」と思われるだけですから。しかし「韓国への怒りが原因だ」というアホ記事を書く産経です。

財務省幹部はこう吐き捨てた。
 「慰安婦問題、二階氏*7訪韓団への対応、それに産経新聞前ソウル支局長の問題。これでスリーアウト、チェンジだ」

本当にこんな財務省幹部(さすがに官僚ではなく麻生財務相ら政務三役でしょうか?)がいたらその方が「スリーアウトチェンジ」でしょう。「スワップ協定の問題」に全く関係ない問題を持ち込むのは常軌を逸しています。

 そもそも日韓間の通貨スワップ協定は、世界最大の対外純資産国である日本の「韓国への信用補強」という側面が強い。

 やれやれですね。本当に「韓国の信用補強」という面が強く「日本の信用補強上は必ずしも必要ない」のかしりませんが韓国経済が沈没したら日本が困ることは事実でしょうに。


春節「爆買」旋風で百貨店潤う 訪日客売り上げ2〜4倍に
http://www.sankei.com/economy/news/150224/ecn1502240004-n1.html
 ウヨが中国を敵視しても日本経済のかなりの部分はこのように中国に依存してるわけで実に皮肉です。


■【テキサス親父に直撃インタビュー】シー・シェパード「内部分裂している」「被害受けている国は日本だけでない。日本は連携を」
http://www.sankei.com/premium/news/150224/prm1502240005-n1.html
 真実を語ることではなく「日本ウヨに受けること」を語ることに専念してるウヨ芸人「テキサス親父」の言葉など何の意味もありません。全国紙が書く記事じゃない。


■【正論】冷戦の勝利者は誰かを問いたい 東京基督教大学教授・西岡力
http://www.sankei.com/column/news/150224/clm1502240001-n1.html
 要するに「冷戦の勝利者は俺達だ!」と叫んでるわけですが「頭に乗るな」といいたい。「勝利者=西側」「敗北者=東側(ソ連東欧の共産体制)」とは言えるでしょうが「西側=西岡や産経のような極右」ではありません。勘違いも甚だしい。


■【主張】与那国の住民投票 南西防衛の強化を進めよ
http://www.sankei.com/column/news/150224/clm1502240002-n1.html

 日本最西端の与那国島沖縄県与那国町)で行われた陸上自衛隊「沿岸監視隊」配備をめぐる住民投票は、賛成票が6割を占めた。
 この住民投票には法的拘束力はないとはいえ、仮に反対票が多数となっていれば、その政治的効果から町が部隊配備に協力しない姿勢に転じる恐れもあった。
 南西防衛の重要性を認める住民の判断が多数となったことは、常識的な結果といえるだろう。

 「南西防衛の重要性を認める住民の判断」なんて話ではなく、この話での賛成派のメインは「カネが落ちる」でしかありません。


■【産経抄】クガネ島 2月24日
http://www.sankei.com/column/news/150224/clm1502240004-n1.html

・作家の沢木耕太郎さんが与那国島を訪れたのは、昭和47年に沖縄が本土に復帰してまもなくの頃だ。
(中略)
 実は、島に自衛隊の配備を求める声は、沢木さんが訪れた頃から上がっていた。
・人口減少、特に高校がないために若者が島を出てそのまま帰らない。

 まあ、要するに「自衛隊誘致派が住民投票で勝利した最大要因」はこれです。反対派は「騒音や事故の危険性がある」「中国敵視に荷担することは長い目で見れば経済に悪影響だと思う」と訴えたわけですが「明日の100より今日の50」ということで、「自衛隊誘致によるカネ」が優先されたわけです。「中国人観光客が与那国に多数訪れてる」などといった事情でもあれば話は変わったのでしょうが。
 従来、自衛隊配備論が具体化しなかった理由は「日中関係を考え自民党政権が自重したこと」が大きいでしょうが今の安倍にはそんな自重はないわけです。


■【秘録金正日(13)】背が低く、貧弱な体格…母が育てた“後ろ盾”の威を借りた「ガキ大将」
http://www.sankei.com/premium/news/150224/prm1502240003-n1.html
 まあ、産経らしいタイトルです。「貧弱な体格だから何なの?」といいたくなります。
 まあ、「貧弱な体つきのガキ大将(つうかガキ大将気取りの野蛮人)」といえば「安倍」を俺は連想しますがそう誰かがいったら産経は「こんな記事を書いてる癖に」憤慨するのでしょうね(苦笑)。

*1:アジア担当外務次官、駐日大使、中国共産党中央台湾工作弁公室主任(国務院台湾事務弁公室主任兼務)などを経て外相

*2:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*3:中曽根内閣科学技術長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長を歴任

*4:小泉内閣総務大臣政務官、法務副大臣などを歴任

*5:『異形の大国・中国:彼らに心を許してはならない』(2010年、新潮文庫)、『中国に立ち向かう覚悟:日本の未来を拓く地政学』(2012年、小学館)、『中国はなぜ「軍拡」「膨張」「恫喝」をやめないのか:その侵略的構造を解明する』(共著、2012年、文春文庫) 、『日本とインド・いま結ばれる民主主義国家:中国「封じ込め」は可能か』(共著、2014年、文春文庫)など反中国ウヨ著書多数。

*6:いや、これだって「米国も中国もどっちも大事だ」が答えでしょうよ。

*7:小渕内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相などを歴任。現在、自民党総務会長