今日の産経ニュースほか(4/16分)(追記・訂正あり)

■【政界徒然草】橋下維新は現代の新選組なのか? 局中法度で浪速のエリカさまもバッサリ
http://www.sankei.com/premium/news/150416/prm1504160002-n1.html
 橋下の行為はトカゲのしっぽ切りもいいところで全然褒められる行為じゃありませんがそれはさておき。
 小生にとって新撰組とは「芹沢鴨暗殺」「伊東甲子太郎暗殺」など、「近藤勇土方歳三グループの敵対勢力を暴力的手法で排除していった危ない連中」てイメージがあるのですが、産経的には「橋下維新って新撰組みたい」とは「テロなど違法行為*1すらためらわない危ない連中というネガキャン」ではなく「悪を正す正義の集まり」という意味のようです。「俺と価値観が産経は全然違うなあ」と改めて思いました。


■民主・岡田代表、統一選を「全然甘く見てない」「『底なし』と言って意味あるのか?」 身内の批判に反論
http://www.sankei.com/politics/news/150416/plt1504160048-n1.html
 岡田*2代表や枝野*3幹事長の「統一地方選結果は議席減少と厳しい結果だが『最悪の事態』は脱した、党勢は回復傾向にはある」つうのには全く同感できません。責任逃れの詭弁じゃないか*4。とはいえ岡田執行部批判派(例:岡田氏と代表選を争った細野政策調査会長*5や「細野氏の子分」である榛葉賀津也*6参院国対委員長)も「岡田・枝野現執行部を叩いて、単に自分が彼らにとってかわりたいだけ」「党勢回復の秘策があるわけでも何でもない」のでまあ、くだらない話です。
 安倍からすれば「内紛するほど、こんなに民主党がだらしないんじゃ当面安泰だ」とにこにこでしょう。今回躍進した共産党も「民主党はだらしなさ過ぎる、これでは安倍が大喜びではないか」と憤慨し、嘆く一方で「こんなに民主党が酷いのなら当面我が党への『安倍批判派からの支持傾向』という追い風はやまないな」と冷静な計算もしてるでしょう。


■【北朝鮮拉致】それでも北朝鮮が「拉致・日朝協議」を決裂させられぬ“事情”…「中断」はポーズ、喉から手が出るほど「外貨が欲しい」が本音
http://www.sankei.com/premium/news/150416/prm1504160003-n1.html
 ぶっちゃけ「産経はバカじゃねえの?」と思いますね。北朝鮮が決裂させたくない以前に「安倍が決裂させたくない」わけですがそういうことは全く無視するいつもの「安倍信者・産経」です。
 つうか、安倍が「拉致でいい成果が出るならそれなりのお土産を用意してもいい」つう態度を北朝鮮相手に取るから決裂しないつう面は明らかにあるでしょうに(苦笑)。


■【歴史戦】第10部(4)「南京事件」世界に広めた豪人記者、国民党宣伝機関で活動 台北の史料で判明
http://www.sankei.com/world/news/150416/wor1504160012-n1.html
 ここでの産経の主張は「前から産経が主張してるが全く相手にされてないはないデマ主張」です。
 既にネット上にも
■「国民党がティンパリーらに本を書かせたというのは嘘」
http://seesaawiki.jp/w/nankingfaq/d/%B9%F1%CC%B1%C5%DE%A4%AC%A5%C6%A5%A3%A5%F3%A5%D1%A5%EA%A1%BC%A4%E9%A4%CB%CB%DC%A4%F2%BD%F1%A4%AB%A4%BB%A4%BF%A4%C8%A4%A4%A4%A6%A4%CE%A4%CF%B1%B3
■「ティンパリーの素性に怪しい点は何もない」
http://seesaawiki.jp/w/nankingfaq/d/%A5%C6%A5%A3%A5%F3%A5%D1%A5%EA%A1%BC%A4%CE%C1%C7%C0%AD%A4%CB%B2%F8%A4%B7%A4%A4%C5%C0%A4%CF%B2%BF%A4%E2%A4%CA%A4%A4
という批判エントリが存在します。注意いただきたいのはこの批判エントリの日付です。「2008年」となっています。つまり「遅くとも6年前に論破されたデマ主張・ティンパリー国民党工作員説」を懲りずに紙面に産経は載せてるのです。およそまともな新聞のやることではありません。なお、この批判エントリを読めば分かりますがこの「ティンパリー国民党工作員説」の元ネタは北村稔『「南京事件」の探求』(2001年、文春新書)です。もちろん北村の「ティンパリー工作員説」が2001年から今に至るまでまともな人間には相手にされてないことは言うまでもありません。
 なお、この産経や北村が騒いでる話、「ティンパリー記者の南京事件報道を評価した中国蒋介石政府が広報マンとして彼をスカウトした」という話であって「ティンパリー記者は中国国民党政府の広報マンとして南京事件捏造報道した(産経)」なんて話では全然ありません。南京事件当時の彼は記者であって中国政府とは関係ない。
 つうか本当に「蒋介石政権の意向による捏造」だったらティンパリーも蒋介石政権も最後まで「関係は隠しておく」もんでしょう。「産経編集局長の山根卓二」がレフチェンコ事件で暴露されるまで「ソ連との不適切な交際」を隠し続けたように(毒)。
 ティンパリーが「蒋介石政権広報マンに転進したこと」それ自体が産経の「ティンパリー国民党工作員説」「ティンパリー南京事件捏造説」を否定しています。
 産経の言ってることは「黒岩神奈川県知事」について「自公の支援で政治家になるような奴だからフジテレビニュースキャスター時代から自公の犬だったに違いない」と根拠レスで言うようなもんです。
 あるいは「自公の支援で都知事選に出馬した、元NHKニュースキャスター磯村尚徳」「外務省報道官を一時つとめた、元NHKニュースキャスター高島肇久」について「自公の支援で政治家を目指す奴だからニュースキャスター時代から磯村は自公の犬だったに違いない」「自公政権で外務省報道官を務めるような奴だからニュースキャスター時代から高島は(以下略)」と根拠レスで言うようなもんです(もちろん根拠があれば「キャスター時代から彼らは自公の走狗だった」などと批判していいですが)。
 で、そういうことを誰かがいったら「マスコミ人が政治家を目指したら、政府の役職に就いたらいけないのか」「キャスター時代の黒岩さん、磯村さん、高島さんのどこが自公の犬か言ってみろ」とか言うのが産経でしょう。でもティンパリーの「蒋介石政権広報マン就任」て「黒岩の神奈川県知事就任」「磯村の都知事選出馬」「高島の外務省報道官就任」と似たり寄ったりの話なんですが。
 しかも南京事件を報じたのは「AP通信のティンパリー」だけではない。ほかには「ニューヨーク・タイムズのダーディン記者」「シカゴ・デイリー・ニューズのスティール記者」「ロイター通信のスミス記者」「タイムズのマクドナルド記者」などがいます(http://www.geocities.jp/yu77799/参照)。まあティンパリー以外のこれらの記者について産経ら南京事件否定派は「その存在を無視する」か「ティンパリー同様酷い言いがかりをつけてデマ報道と誹謗する」かのどっちかでしかないわけですが。
 それにしても冷戦時代は「反共の同志扱いしていた蒋介石」を「冷戦終了後、国民党が中国共産党への接近を強める」や、今まで蒋介石との関係上無視していた民主進歩党を「反中国の同志」として突然持ち上げだし、今や蒋介石を「ティンパリー記者を使って南京事件をでっち上げたデマ屋」扱いし、国民党も「中国の走狗」扱いする産経の無茶苦茶にはいつもながら呆れます。
 それ、産経の過去連載「蒋介石秘録」にも完全に矛盾するし(死傷者数など細かい部分はともかく蒋介石秘録は「蒋介石万歳企画」なので当然「南京事件の存在自体」は認めています)。
 「蒋介石とお友達時代」は「蒋介石に気を遣って」、南京事件の実在自体は認めた産経ですが、政治状況が変わると過去の連載「蒋介石秘録」での「南京事件記述」をなかったことにしてしまうのだからいい度胸です。


■【正論】中国の金融野心と参加国の策略 評論家・西尾幹二
http://www.sankei.com/column/news/150416/clm1504160001-n1.html
 経済専門家でも何でもない西尾にAIIBについて書かせる辺り実に産経は非常識です。

 中国と韓国は果たして日本の隣国か、という疑問を述べておく。地理的には隣国でも歴史はそうはいえない。隣国と上手に和解したドイツを引き合いに日本を非難する向きに言っておくが、ドイツが戦後一貫して気にかけ、頭が上がらなかった相手はフランスだった。
(中略)
 それなら同様に戦後一貫して日本が気兼ねし、頭が上がらなかったのはどの国だったろうか。
 中国・韓国ではない。アメリカである。ドイツにとってのフランスは日本にとっては戦勝国アメリカである。日本にとっての中国・韓国はドイツにとってはロシアとポーランドである。その位置づけが至当である。こう考えれば、日米の隣国関係は独仏関係以上に成功を収めているので、日本にとって隣国との和解問題はもはや存在しないといってよいのである。

 ぶっちゃけ「ナチス犯罪」について言えば「ドイツはロシアやポーランドとも和解してる」んですけどね。
 西側の一員として「冷戦期にロシア(ソ連)、ポーランドと対立した」なんてのは戦争犯罪の解決とは別問題です。
 たとえば有名な「ブラント首相のワルシャワ・ゲットー訪問」を西尾は知らないんでしょうか。それとも知った上で故意に無視してるのか。
 しかし「米国(ジャイアン)さえ俺の味方なら後はどうでもいい(露骨なスネ夫根性)」てそういうわけにいかんでしょうよ。米国にとっては米国の国益上、「世界に冠たる経済大国」中国、韓国は「スネ夫(日本)のために切って捨てられるような存在」じゃありません。日本にとっても、日本の国益上、「世界に冠たる経済大国」中国、韓国は「ジャイアン(米国)さえ俺の味方ならそれでいい」と切って捨てられるような存在」じゃありません。
 かつ「西尾らウヨが米国を本当に味方扱いしてるのか」「米国が西尾らウヨを本当に味方扱いしてるのか」ははなはだ疑問でしょう。
 なぜなら西尾らは「ハルノートではめられて戦争になった」「バターン死の行進なんて米国の捏造だ」などと平気で反米発言してるからです。まあ、戦前日本を美化すれば「戦前日本と闘った米国を誹謗中傷する」のはある意味自然ですが。
 結局、西尾らウヨと米国の「和解」とやらは「党利党略の野合」でしかないのであり、「真の和解」なんて言えるもんでは全くありません。

*1:テロはともかく橋下が「違法行為」と裁判所に断罪された行為(例:職員アンケート)を居直る屑であることは事実ですが。

*2:民主党幹事長(鳩山代表時代)、鳩山、菅内閣外相、野田内閣副総理・行政刷新担当相などを経て民主党代表

*3:鳩山内閣行政刷新担当相、菅内閣官房長官、野田内閣経産相などを経て民主党幹事長

*4:まあ岡田氏当人は「統一地方選後半戦があるのに負けだ、負けだと言ってられない」「まずは後半戦で巻き返しじゃないのか」とも言い訳してますが。

*5:野田内閣環境相民主党幹事長(海江田代表時代)などを経て現在、民主党政策調査会長

*6:鳩山、菅内閣防衛副大臣、野田内閣外務副大臣など歴任