今日の産経ニュース(5/4分)(追記・訂正あり)

■国共トップ6年ぶり会談 習主席「中台一体感」を演出、台湾世論刺激避け「統一」すら封印
http://www.sankei.com/world/news/150504/wor1505040045-n1.html
 産経的にはKY(空気読めない)な習主席が「早期統一」をがんがんアピールし、「台湾の反中国感情が盛り上がること」を期待してた様ですが「そうは問屋が卸さなかった」わけです。
 まあ、「台湾独立は勿論認めない」といつも通り釘は刺したもののもっぱら文化交流や経済交流をアピールしたと。


■【野口裕之の軍事情勢】韓国の「国歌機密」 作曲者は親日、「不都合な歴史」を封印
http://www.sankei.com/premium/news/150504/prm1505040030-n1.html
 「韓国の国歌の作曲家、作詞家*1親日派だ」と言うことの何が「軍事情勢」だかさっぱりわかりません。軍事少しも関係ないやないか。

尹氏は日韓併合当初は独立運動家だったが、(注:後に「独立は不可能に近い」という考えに)覚醒したことで「親日派」の烙印を押された開明的人物。

 まあ、突っ込みどころしかない文章ですがここが一番小生的にはばかばかしかったですね。この文章では「覚醒=正しい考えに目覚める」つう意味です。まあここでの「覚醒=正しい考えに目覚める」つうのは要するに「日本からの韓国独立は非常に困難(あるいは不可能に近い)と言う理解の元、独立路線から、日本支配下での朝鮮民族の福祉向上や自治拡大を目指す路線に転向したこと」つうことでしょう。
 しかし、それを「韓国が独立を遂げた今」、そして「韓国を植民地支配していた日本人の立場」でためらいなく「(注:韓国独立論の過ちに)覚醒した尹氏」て言っちゃう野口には絶句ですね。せめて「独立路線を放棄した尹氏」とか客観的表現をしたらどうなのか。そして尹氏は「覚醒」と野口が言うほど無邪気だったのか。
 実際には「独立論放棄」には相当の精神的葛藤があったのではないか。
 ちなみに

 インド亡命当初は独立運動家だったが米中国交正常化で、CIAにチベットゲリラ部隊への軍事支援を打ち切られ「独立の見込み」ゼロであることに「覚醒」し「高度自治路線」になったのがダライラマ*2

 米中国交正常化前から「高度自治路線」に「覚醒」したことで、ダライ氏が「覚醒」するまで「親中派」「裏切り者」の烙印をダライ氏ら独立派から押された開明的人物がプンワン(プンツォク・ワンギャル)氏*3*4

です(産経・野口への皮肉のつもり)。まあ冗談はともかく「ダライ一味は米中国交正常化まで独立が不可能であることに覚醒する事ができなかった愚かな連中、覚醒していたプンワン氏とはレベルが違いすぎる」とか言えばMukkeさんとかI濱女史が「何が覚醒だ、ふざけんな、ダライ猊下に謝れ」と怒り出すのは勿論、産経・野口も「自分の覚醒発言」を棚に上げて「何が覚醒だ、ダライ氏に謝れ」とか言い出すんでしょうね。
 「日本の朝鮮植民地支配は『抗日運動』があっても『近代化』を理由に正当化する癖に、中国のチベット統治はダライ一味の批判を理由を非難するダブスタの屑」が産経ら日本ウヨですので。
 なお、「言葉を選ばず言えば」やはり高度自治を提唱した「現実主義者」プンワンは偉大で「プンワンを当初理解できず独立に長く固執したダライ一味は政治的に愚かだった」と俺は思いますね。MukkeさんとかI濱女史とかはこういうと大激怒でしょうけど。

 ところで、4月29日は先帝(昭和天皇)陛下がお生まれになった《天長節*5=昭和の日》であった。昭和7(1932)年のこの日、上海で行われた天長節祝賀会で、壇上に在った重光葵*6(まもる)公使(後の外相/1887〜1957年)らに、朝鮮人テロリスト*7*8が爆弾を投げ付ける。だが、右脚を失った重光を含め、居並ぶ帝國*9陸海軍の将軍らは誰も動かなかった。「国歌斉唱中だった」からだ。

 本当か知りませんが、野口の言うように本当に「爆弾を投げつけられたのに国歌斉唱中だから動けるのにあえて動かなかった(突然の出来事だったので狼狽して動けなかったわけではない)」としたらそれは「国歌への敬意があって素晴らしい」とほめることじゃなくて「すぐに逃げるか、拾って遠くに放り投げるか」すべきでしょう。つうかまあ、日本で今後、そう言うことがあっても困りますし、ないでしょうが仮に「今同じ事がたとえば安倍内閣閣僚(例:菅官房長官)にでもあった場合」、「たとえ死んでも菅長官は国歌斉唱をしろ、逃げたり爆弾を遠くに投げようとして動くなど不敬だ」とでも言うんでしょうか?。それで菅が死んでも「仕方がなかった」とか「国歌に敬意を払って動かなかった菅長官の態度は立派だ」とか産経・野口は言うのか。
 それ単に人命軽視じゃないですか。
 なお、何故か野口は「重光が右足を失ったこと」にしか触れませんが、ほかにも「上海派遣軍司令官・白川義則*10陸軍大将が死亡」「第9師団長・植田謙吉*11陸軍中将が左足を失う」「第3艦隊司令長官・野村吉三郎*12海軍中将が右目を失明」という被害が出ています(ウィキペ「上海天長節爆弾事件」参照)。


■【国際情勢分析】習氏「はい、はい」と(注:生返事で)軽視される台湾 AIIBでハシゴ外された馬英九政権の“面子丸つぶれ”
http://www.sankei.com/premium/news/150504/prm1505040006-n1.html

 台湾が中国主導で設立準備が進む国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーから除外されたことで、馬英九政権への批判が強まっている。期限の3月末に“駆け込み”申請し、名称や参加資格について控えめの要求*13をしたにも関わらず、はしごを外されメンツを失ったためだ。

などと「中国に媚びてるダメ男」認定してるらしい馬総統をさんざんにこき下ろす産経です。
 とはいえ「AIIB創設メンバーから残念ながら外されたこと」はともかく「AIIB参加それ自体」は「それしか選択肢がない」と思うんですけどね。産経は「こんな冷遇されるくらいなら参加表明しない方が良かった」と言いたげですがそう言う話じゃないでしょう。現実的批判としてあり得るのは「何故創設メンバーから外されたのか、創設メンバーに何とかなれなかったのか」「こうなったら創設メンバーは無理でも何とかそれなりの待遇をしてもらえないか。台湾より後の参加表明の国(たとえば今後あり得る可能性として日本や米国)が厚遇されたのでは面子が立たない」つうところじゃないですかね。
 そして日本に台湾を小馬鹿にしてる余裕があるのか。まあ、「絶対に入らない」つうのなら話は別ですが「やっぱ入ります(安倍政権)」ということになったら日本も冷遇されることになるんじゃないですかねえ。
 中国からすれば「創設メンバーに入らないかと声をかけてやったのに断るとは日本は何だ」「今頃入ると言うくらいならもっと早く言え」という不快感があるでしょうし、創設メンバー国にしたって「いくらアジアの大国だからって創設メンバーでも何でもない日本を厚遇するなよ。むしろ俺達を厚遇しろ」て思いがあるでしょうしね。

*1:産経・野口曰く作曲者は「安益泰(アン・イクテ)氏」、作詞者は「尹致昊(ユン・チホ)(日本名・伊東致昊(ちこう))氏」。

*2:未だに「独立論は無理」と言う考えに覚醒してない人物がいるらしいのは本当に困り物だと思います。ペマギャルポとか。

*3:全国人民代表大会常務委員、中央民族委員会副主任などの要職を歴任

*4:ちなみにダライと違い中国に残った故パンチェン・ラマ氏もプンワンに近い立場かと思います。

*5:天皇誕生日の古い言い方。

*6:東条、小磯、東久邇、鳩山内閣外相を歴任

*7:民族英雄・安重根すら「伊藤博文・前韓国統監を暗殺したテロリスト」呼ばわりし銅像設立を罵倒する産経にとって安以外の活動家(ちなみにこの事件の実行者は李奉昌という人物)をテロリスト呼ばわりすることにはもちろん何のためらいもないのでしょう。

*8:なお李奉昌は1962年、朴チョンヒ政権から建国勲章大統領賞を追叙され、1992年には盧泰愚政権から逝去60周年を記念する百ウォン切手が発行された(ウィキペ「李奉昌」参照)。

*9:「國」とわざわざ旧字を使う辺りさすが産経です。

*10:田中義一内閣で陸軍大臣

*11:朝鮮軍司令官、関東軍司令官など歴任

*12:外相(阿部内閣)、駐米大使(近衛内閣)など歴任。

*13:中華民国」でなくて構わないと言う事。