今日の産経ニュース(5/23分)(追記・訂正あり)

■【外信コラム】ソウルからヨボセヨ もう一つの日韓協力(黒田勝弘
http://www.sankei.com/column/news/150523/clm1505230004-n1.html

 韓国ではこのところ国際会議やセミナーに日本の政治家が招かれ、しきりに安倍政権批判を言わされている*1。いずれも元首相の村山富市福田康夫*2菅直人*3らでマスコミで大もてだ。
 中古品といっては失礼だが彼らも日本では一応、政治的役割を終えている。ただ考えようによっては韓国でこんなに重宝がられているのはありがたいことかもしれない。

 やれやれですね。菅氏や村山氏への悪口も酷いですが俺的に呆れるのは福田氏への悪口ですね。
 安倍が習近平国家主席と会談できたのは誰のおかげなのか。当時のマスコミ報道を見れば「福田氏が特使として中国に行ってくれたこと」が大きいでしょうに。
 もちろん安倍は「福田氏訪中」を「政府特使だ」なんて言いません。でも「政府特使だった」という報道に対し「福田は特使じゃない」なんて言わないし、言えないわけです。
 産経ですら

http://www.sankei.com/politics/news/140803/plt1408030001-n1.html
 福田康夫元首相が7月下旬に訪中した際、中国の習近平国家主席と極秘に会談していたことが分かった。安倍晋三*4首相と習氏による日中首脳会談の実現に向けた環境整備の狙いがある。福田氏は訪中前、習氏と会談する意向を安倍首相に説明していた。

と当時書いてるわけです。
 安倍も「恩人である福田氏」に対して「特使という報道は間違いだ」なんてそこまで無礼な事は言えないわけです。また安倍は福田氏には「福田氏の父親・赳夫*5」が「安倍の父親・晋太郎*6」に派閥を引き継いだと言う恩義もありますしね。
 もちろん産経もそんなことはよくわかってるはずなのにこういう悪口なんだから心底呆れます。
 「恩人でない、安倍の政敵の菅氏」相手なら悪口言っていいと言うもんでもないですが「安倍の恩人の福田氏」に悪口雑言とはどういう神経をしているのか。
 福田氏が安倍に訪中を頼まれて「僕には首脳会談をとりまとめる自信がないなあ、悪いがほかの人間に頼んでくれ*7」と断ったらどういうことになったかくらいわかるでしょうに。安倍は福田氏以外にそんなパイプはないでしょうから首脳会談ができないことになったでしょうね。それで産経は善かったのか。
 社民党・村山氏や民主党・菅氏はともかくどう見ても「安倍と同じ派閥・清和会」の福田氏は安倍に対し敵視はしてないと思うんですけどね。
 俺には福田氏が安倍に「どういう感情を抱いてるのか」よくわかりません。「同じ派閥の仲間意識」「安倍の祖父・岸信介*8や、安倍の父・晋太郎に対する恩義*9」「政治的同志意識*10」があるのかどうか。
 いずれにせよ「繰り返しますが」敵視はしてないと思うんですけどね。福田氏が安倍を公然と敵視してたらさすがに安倍も特使は頼めないでしょうし、福田氏も特使は引き受けないでしょう。
 安倍に対して福田氏が批判したとしても、それは「安倍政権打倒」ではなく「苦言」にすぎないわけです。

【追記】
 なお、福田氏を「終わった政治家」呼ばわりする産経ですがウィキペ「福田康夫」を見るだけでも「自民党や政府・外務省」にとって福田氏は「終わった政治家」などとは呼べないことが分かります。
 もちろん「安倍・習会談の事前調整としての訪中」だけでも「終わってないこと」は明白ですがほかにも次のような動きが福田氏には首相退任後にあります。

ウィキペ「福田康夫
ネルソン・マンデラの死去に際し、2013年12月9日に「故ネルソン・マンデラ南アフリカ大統領の追悼式に参列する特派大使」に任命された。そして、皇太子徳仁親王らとともにマンデラの追悼式に出席した。
・2015年1月25日、サウジアラビアのアブドラ国王が死去したことにより、皇太子とともに特派大使として弔問に派遣された。


■【産経抄】5月23日
http://www.sankei.com/column/news/150523/clm1505230003-n1.html

 沖縄県翁長雄志知事は先月、河野洋平*11衆院議長らと中国の李克強*12首相と会談したが、尖閣諸島問題は触れずじまいだった。
(中略)
 尖閣より(注:中国人観光客を呼び込むための)中国福建省との定期航空便開設の方が重要だとお考えなのだろう。

 産経も書いているように、「尖閣に触れなかった理由」は実に簡単で「中国人観光客にもっと来て欲しい」という営業に知事は行っていたからです。
 営業先で「お客の悪口」は普通言わないでしょう。大体尖閣問題なんて国の問題ですしね。
 まあ、尖閣がらみでは「沖縄の漁業」と言う問題がないわけではないでしょうが、「観光業>漁業」なんでしょうし、「俺がどうこうするより農水省水産庁)で何とかしてもらおう(知事)」てことでしょう。
 なお河野氏は「日本国際貿易促進協会http://www.japit.or.jp/)」の会長として訪中したようです。
 この協会は

・日本中国甘栗輸入協議会
・中国水煮筍輸入企業連絡会
・中国ウーロン茶輸入商社協議会
・中国稲わら輸入懇話会

などからなる団体で役員も

顧問
佐藤嘉恭
 元中国大使、(一財)国際協力推進協会http://www.apic.or.jp/)理事長
・藤野文唔:
 藤野中国研究所代表
監事
・守野卓:
 日中平和観光株式会社(http://www.nicchu.co.jp/)社長

ということで「国際貿易」と言う名ではありますがメインは中国関係のようです。
 なお、藤野氏ですが『環日本海経済交流センター』なる団体の長を務めておられ、センターのサイト(http://www.near21.jp/kan/center/fujino.htm)が紹介する略歴に寄れば

・長年中国ビジネスに携わる、日本を代表する中国経済ウォッチャー。
伊藤忠商事(株)中国総代表、伊藤忠商事(株)常務取締役、伊藤忠商事(株)中国研究所長等を経て、現在、(公財)富山県新世紀産業機構環日本海経済交流センター長のほか、藤野中国研究所代表。
 ほかにも日本国際貿易促進協会顧問、日中経済協会評議員、大連経済技術開発区特別経済顧問等を務める。
 主な著書に、「中国と私」(伊藤忠商事(株)、1999年)、「仕事人秘録(日中友好の井戸を掘る)」(日経産業新聞掲載記事をまとめたもの、2005年)、「日本と中国「Focus」論集」(日中友好協会、2007年)などがある。

だそうです。日中ビジネスの大御所といったところでしょうか。しかし伊藤忠と言えば、丹羽宇一郎・駐中国大使(当時)も「元伊藤忠社長」でしたし中国と太いパイプがあるんですかね。
 ちなみにこの協会、

副会長
・増田信行:
 三菱重工業㈱・相談役
・三木繁光*13
 ㈱三菱東京UFJ銀行・特別顧問
・渡文明*14
 JXホールディングス(株)・名誉顧問
・庄山悦彦*15
(株)日立製作所・相談役
・宮村眞平*16
 三井金属鉱業㈱・相談役
立石義雄
 オムロン(株)・名誉会長
大橋洋治
 ANAホールディングス(株)・取締役会長
・秦喜秋:
 三井住友海上火災保険㈱・シニアアドバイザー
・土橋昭夫
 双日㈱・顧問
・松本正義:
 住友電気工業(株)・代表取締役社長
・川合正矩:
 日本通運(株)・代表取締役会長
・新井祐興
 東工コーセン(株)・代表取締役社長
・室町正志:
 (株)東芝・取締役会長

ということで役員には日本を代表する大企業の幹部が名を連ねています。財界にとっていかに中国ビジネスが大事かと言う事でしょう。


■戦後70年談話「謝罪必要なし」 有識者会議の西室座長
http://www.sankei.com/politics/news/150523/plt1505230003-n1.html
 産経の記事なので割り引く必要があるかも知れませんが記事を読む限り相手の神経を逆なでするろくでもない談話しかできそうにないですね。
 しかし西室座長が「元東芝社長」てのには絶句しますね。東芝は中国や韓国も市場にしてるだろうに何で元幹部がこういう馬鹿な事言いますかね。まあ、この種の「元大企業幹部のウヨ」てのは世の中にほかにもいるわけです。
 日本会議の役員名簿にも

http://www.nipponkaigi.org/about/yakuin
顧問
石井公一郎
 ブリヂストンサイクル(株)元社長

なんて財界人の名があります。
 まあ、でも日本会議役員名簿をざっと見た限りでは財界人の名は少ないし、あっても聞いたことがないような中小企業のようですね。役員のほとんどは神社関係(靖国宮司とか)、ウヨ宗教関係(崇教真光佛所護念会など)です。「日本会議宗教右翼」と言っていいでしょう。
 ウィキペ「日本会議」によれば昔は

会長
塚本幸一(ワコール会長、初代、1997年〜1998年)
稲葉興作IHI石川島播磨重工業)会長、第2代、1998年〜2001年)
代表委員
中條高徳英霊にこたえる会会長、アサヒビール名誉顧問)

つうことで「ワコール」「IHI」「アサヒビール」だのという大企業の幹部が公然と日本会議役員名簿に名前があって頭痛がしたもんですが、最近は「中韓ビジネスの重要性」からさすがにそう言う財界人も減ってきたんでしょうか。
 しかし、こういうウヨ財界人は何考えてるのか、本当によく分かりませんね。

*1:「言わされてる」と言う物言いも酷いですが

*2:森、小泉内閣官房長官を経て首相

*3:橋本内閣厚生相、鳩山内閣財務相を経て首相

*4:小泉内閣官房副長官官房長官自民党幹事長(小泉総裁時代)を経て首相

*5:岸内閣農林相、自民等政務調査会長(池田総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、自民党幹事長(佐藤総裁時代)、田中内閣蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*6:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政務調査会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党総務会長(中曽根総裁時代)、幹事長(竹下総裁時代)を歴任

*7:いや正直、普通の人間はこういう火中の栗を拾うことには躊躇するでしょう。

*8:福田氏の父親・赳夫に派閥を引き継がせてやった恩義ですね。もちろん福田赳夫が首相になる際にもいろいろと岸は政治工作したでしょうし。

*9:「晋太郎への恩義」とは書いたものの福田氏が政界入りした1990年には「晋太郎は末期がんで入院していた」ので恩義は特にないかもしれません。父・赳夫は晋太郎に恩義を受ける側ではないでしょうし

*10:マジな話、いくら同じ派閥でも、とてもそんな意識があるようには思えませんが

*11:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相など歴任

*12:河南省長・党委員会書記、遼寧省党委員会書記、副首相などを経て現在、首相

*13:東京三菱銀行頭取、会長を歴任(ウィキペディア参照)

*14:日石三菱(JXホールディングスの前身)社長、会長を歴任(ウィキペディア参照)

*15:日立製作所社長、会長を歴任(ウィキペディア参照)

*16:三井金属鉱業社長、会長を歴任(ウィキペディア参照)